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特開2019-144878タッチパネルの制御回路、制御方法、それを用いたタッチ式入力装置、電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-144878(P2019-144878A)
(43)【公開日】2019年8月29日
(54)【発明の名称】タッチパネルの制御回路、制御方法、それを用いたタッチ式入力装置、電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/045 20060101AFI20190802BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   G06F3/045 D
   G06F3/041 522
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-28864(P2018-28864)
(22)【出願日】2018年2月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 雄二
(57)【要約】
【課題】ノイズ耐性を高めたタッチパネルの制御回路を提供する。
【解決手段】制御回路200は、駆動回路210および電流検出回路220を備える。駆動回路210は、第1状態φ1において第1端子XPと第3端子TSの間に駆動電圧VDRV1を印加し、第2状態φ2において第2端子XNと第3端子TSの間に駆動電圧VDRV2を印加する。電流検出回路220は、第1状態φ1において第1端子XPと第3端子TSの間に流れる電流Iを検出し、第2状態φ2において第2端子XNと第3端子TSの間に流れる電流Iを検出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルの制御回路であって、
前記タッチパネルは、
ギャップを隔てて設けられる第1膜および第2膜と、
前記第1膜の対向する二辺から引き出される第1端子、第2端子と、
前記第2膜から引き出された第3端子と、
を有しており、
前記制御回路は、
第1状態において前記第1端子と前記第3端子の間に駆動電圧を印加し、第2状態において前記第2端子と前記第3端子の間に駆動電圧を印加する駆動回路と、
前記第1状態において前記第1端子と前記第3端子の間に流れる電流を検出し、前記第2状態において前記第2端子と前記第3端子の間に流れる電流を検出する電流検出回路と、
を備えることを特徴とする制御回路。
【請求項2】
前記第2膜は実質的に導体であることを特徴とする請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記第2膜は前記第1膜の下側に位置することを特徴とする請求項1に記載の制御回路。
【請求項4】
前記電流検出回路は、前記駆動回路がソースまたはシンクする電流を検出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の制御回路。
【請求項5】
ひとつの半導体基板に一体集積化されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の制御回路。
【請求項6】
タッチパネルと、
前記タッチパネルと接続される請求項1から5のいずれかに記載の制御回路と、
を備えることを特徴とするタッチ式入力装置。
【請求項7】
請求項6に記載のタッチ式入力装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
タッチパネルの制御方法であって、
前記タッチパネルは、
ギャップを隔てて設けられる第1膜および第2膜と、
前記第1膜の対向する二辺から引き出される第1端子、第2端子と、
前記第2膜から引き出された第3端子と、
を有しており、
前記制御方法は、
第1状態において、前記第1端子と前記第3端子の間に駆動電圧を印加するステップと、
前記第1状態において、前記第1端子と前記第3端子の間に流れる第1電流を検出するステップと、
第2状態において前記第2端子と前記第3端子の間に駆動電圧を印加するステップと、
前記第2状態において前記第2端子と前記第3端子の間に流れる第2電流を検出するステップと、
前記第1電流および前記第2電流にもとづいて、タッチされた座標を検出するステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗膜方式タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のスマートホン、タブレット端末、ラップトップコンピュータ、ポータブルオーディオ機器、デジタルカメラなどの電子機器は、指で接触することによって電子機器を操作するためのタッチパネル(タッチセンサ)を備える(特許文献1)。
【0003】
図1は、3線式の抵抗膜タッチパネルを模式的に示す図である。このタッチパネル100は、第1膜102、第2膜104、上側端子ペアXP,XNおよび下側端子TSを備える。第1膜102および第2膜104は、ギャップを隔てて対向して配置される。端子ペアXP,XNは、第1膜102の対向する2辺から引き出されている。下側端子TSは、第2膜104から引き出される。
【0004】
図2は、タッチパネル100を利用した従来の座標検出方法を説明する図である。上側端子ペアXP,XNの間に、駆動電圧VDRVが印加される。たとえば端子XNは接地され、端子XPには所定電圧Vが印加される。
【0005】
ユーザが任意の点(タッチ点)Pで接触すると、その点Pにおいて第1膜102と第2膜104が接触する。接触抵抗はRで示される。タッチ点Pには、定電圧Vを抵抗R,Rで分圧した電位Vが発生する。
=V×R/(R+R
は、タッチ点Pと端子XNの間のインピーダンスであり、Rは、タッチ点Pと端子XPの間のインピーダンスであり、それらはタッチ点Pの座標xに依存する。R+Rは、端子XPとXNの間の第1膜102のインピーダンスRであり、パネルに固有の値であるから、
=V×R/R
となる。抵抗RはX座標に応じた値を有するから、電圧Vは、X座標を表す。
【0006】
下側端子TSの電圧Vは、タッチ点Pの電圧Vと実質的に等しい。したがって、下側端子TSの電圧Vを読むことにより、X座標を検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−48233号公報
【特許文献2】米国特許第8,390,596B2号明細書
【特許文献3】米国特許第8,860,673B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、従来の座標検出方法について検討した結果、以下の課題を認識するに至った。図2の等価回路においてTS端子には、高入力インピーダンスの電圧検出器が接続される。したがって、センシングの間、第2膜104はハイインピーダンスであるといえる。
【0009】
多くの用途において、タッチパネル100の下部には、液晶パネルや、その他のデジタル回路、アナログ回路が配置される。したがって第2膜104はノイズに曝されており、そのインピーダンスが高い状況では、電圧Vにノイズが重畳するという問題がある。なおこの問題を当業者の一般的な認識と捉えてはならない。
【0010】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、ノイズ耐性を高めたタッチパネルの制御回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様は、タッチパネルの制御回路に関する。タッチパネルは、ギャップを隔てて設けられる第1膜および第2膜と、第1膜の対向する二辺から引き出される第1端子、第2端子と、第2膜から引き出された第3端子と、を有している。制御回路は、第1状態において第1端子と第3端子の間に駆動電圧を印加し、第2状態において第2端子と第3端子の間に駆動電圧を印加する駆動回路と、第1状態において第1端子と第3端子の間に流れる電流を検出し、第2状態において第2端子と第3端子の間に流れる電流を検出する電流検出回路と、を備える。
【0012】
この態様によると、ハイインピーダンスノードの電圧をセンスする必要が無いため、ノイズ耐性を高めることができる。
【0013】
第2膜は実質的に導体であってもよい。インピーダンスの低い導体をノイズシールとして機能させることができる。
【0014】
第2膜は第1膜の下側に位置してもよい。下側の第2膜をノイズシールドとして利用することで、タッチパネルの下側に配置される別の部品からのノイズを好適に遮断できる。
【0015】
電流検出回路は、駆動回路がソースまたはシンクする電流を検出してもよい。
【0016】
制御回路は、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。
「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0017】
本発明の別の態様は、タッチ式入力装置に関する。タッチ式入力装置は、タッチパネルと、タッチパネルと接続される上述のいずれかの制御回路と、を備えてもよい。
【0018】
本発明の別の態様は電子機器に関する。電子機器は、タッチ式入力装置を備えてもよい。
【0019】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、あるいは本発明の表現を、方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明のある態様によれば、ノイズ耐性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】3線式の抵抗膜タッチパネルを模式的に示す図である。
図2】タッチパネルを利用した従来の座標検出方法を説明する図である。
図3】実施の形態に係るタッチ式入力装置を備える電子機器のブロック図である。
図4図4(a)、(b)は、図3の制御回路の動作を説明する等価回路図である。
図5】駆動回路の構成例を示す回路図である。
図6】駆動回路の別の構成例を示す回路図である。
図7】電流検出回路の構成例を示す回路図である。
図8】電流検出回路の別の構成例を示す回路図である。
図9】5線式のタッチパネルの制御回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0024】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0025】
図3は、実施の形態に係るタッチ式入力装置4を備える電子機器1のブロック図である。電子機器1は、スマートホン、タブレット端末、ノート型PC、ポータブルオーディオプレイヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどであり、LCD(Liquid Crystal Display)パネルや有機ELパネルを有するディスプレイパネル2を備える。タッチ式入力装置4は、ディスプレイパネル2とともに電子機器1に搭載される。
【0026】
タッチ式入力装置4は、タッチパネル100および制御回路200を備える。タッチパネル100は、ディスプレイパネル2の表層に配置され、タッチ式の入力装置として機能する。タッチ式入力装置4は、ユーザが指やペンなど(以下、指6)でタッチしたポイント(点)のX座標を判定する。タッチパネル100は3線(3端子)抵抗膜式であり、その構成は図1を参照して説明した通りであり、第1膜102、第2膜104、第1端子XP、第2端子XN、第3端子TSを備える。
【0027】
本実施の形態において、下側に配置される第2膜104は実質的に導体であり、上側に配置される第1膜102は抵抗膜である。
【0028】
制御回路200は、ひとつの半導体基板に集積化された機能IC(Integrated Circuit)であり、タッチパネル100に適切な電気信号を印加し、タッチの有無およびタッチした座標に応じてタッチパネル100に生ずる電気的な変化にもとづいて、座標(あるいはジェスチャ入力)を検出する。
【0029】
制御回路200は、駆動回路210、電流検出回路220、信号処理部240を備える。
【0030】
制御回路200は、1回の座標検出にあたり、第1状態φ1と第2状態φ2が切りかえ可能である。
【0031】
駆動回路210は、第1状態φ1において第1端子XPと第3端子TSの間に駆動電圧VDRV1を印加し、第2状態φ2において第2端子XNと第3端子TSの間に駆動電圧VDRV2を印加可能に構成される。ここでは、XP,XNを高電位とし、TSを低電位とする。一例として、第1状態φ1において、XPにハイレベル電圧VH1を、TSに接地電圧VGND(0V)を印加し、第2状態φ2において、XNにハイレベル電圧VH2を、TSに接地電圧VGND(0V)を印加してもよい。VH1とVGNDの差が駆動電圧VDRV1に、VH2とVGNDの差が駆動電圧VDRV2に相当する。それに限定されないが、以下の説明では、VH1=VH2、VDRV1=VDRV2であるとする。
【0032】
電流検出回路220は、第1状態φ1において第1端子XPと第3端子TSの間に流れる電流Iを検出し、第2状態φ2において第2端子XNと第3端子TSの間に流れる電流Iを検出するように構成される。電流検出回路220は、第1状態φ1、第2状態φ2において検出した電流I,Iを示すデジタルの電流検出値D,Dを出力する。
【0033】
信号処理部240は、第1状態φ1、第2状態φ2において得られた2つ電流検出値D,Dにもとづいて、ユーザがタッチした座標を検出する。また信号処理部240は、駆動回路210、電流検出回路220の状態を制御する。
【0034】
以上が制御回路200の構成である。続いてその動作を説明する。図4(a)、(b)は、図3の制御回路200の動作を説明する等価回路図である。図4(a)には第1状態φ1の等価回路が、図4(b)には第2状態φ2の等価回路が示される。Pはタッチ点を表し、Rはタッチ点と第1端子XPの間のインピーダンスを、Rはタッチ点Pと第2端子XNの間のインピーダンスを表す。Rは第1膜102と第2膜104の接触抵抗である。
【0035】
図4(a)を参照すると、第1状態φ1において検出される電流Iは、式(1)で表される。
=V/(R+R) …(1)
【0036】
同様に、図4(b)を参照すると、第2状態φ2において検出される電流Iは、式(2)で表される。
=V/(R+R) …(2)
【0037】
また、R+Rはタッチ点の座標に依存しない定数であり、予め測定されている。たとえば第1端子XPと第2端子XNの間に駆動電圧VDRVを印加する第3状態φ3にセットする。そのときに流れる電流Iを検出する。第3状態φ3で検出される電流Iは、式(3)で表される。
=V/(R+R) …(3)
【0038】
式(1)〜(3)それぞれを変形すると、式(4)〜(6)を得る。
+R=V/I …(4)
+R=V/I …(5)
+R=V/I …(6)
【0039】
式(4)〜(6)は、R,R,Rを変数とする3元1次方程式であり、その解は、式(7)〜(9)となる。
=V/2×(1/I−1/I+1/I) …(7)
=V/2×(−1/I+1/I+1/I) …(8)
=V/2×(1/I+1/I−1/I) …(9)
【0040】
信号処理部240は、この関係式にもとづいて、R,Rの少なくともひとつを計算し、座標を検出する。たとえば信号処理部240は、この関係式にもとづいて抵抗Rを計算し、X座標を検出してもよい。もちろんX座標の判定に抵抗Rを利用してもよい。
【0041】
さらに信号処理部240は、接触抵抗Rを計算してもよい。
【0042】
以上がタッチパネル100の動作である。
【0043】
このタッチパネル100によれば、X座標を検出できる。この座標検出に際して、従来のような電圧の検出は不要である。したがって、ノイズの影響を低減した座標検出が可能となる。
【0044】
接触抵抗Rは、パネルの経年劣化や、タッチの強さに依存して変化するところ、本実施の形態において取得される抵抗値R,Rには、接触抵抗Rの項が含まれないため、高精度な座標検出が可能である。
【0045】
加えて、従来技術では検出できなかった接触抵抗Rを検出でき、それを信号処理に利用することも可能である。
【0046】
上述のように接触抵抗Rは、タッチパネル100の経年劣化とともに大きくなる。したがって接触抵抗Rを、経年劣化の指標として用いることができる。言い換えれば、制御回路200によって、タッチパネル100の劣化を診断することができる。
【0047】
また接触抵抗Rは、タッチの強さに依存し、弱いタッチでは接触抵抗Rは大きく、強いタッチでは接触抵抗Rは小さくなる。たとえば、接触抵抗Rがしきい値より高い場合には、無効な入力として扱ってもよい。これにより誤タッチを排除できる。あるいはタッチの強さを、入力情報として扱うことができる。
【0048】
タッチパネル100の利点は、比較技術との対比によって明確となる。この比較技術を従来技術として捉えてはならない。比較技術では、第1状態φ1のみで得られた電流を利用して座標を検出する。R+Rは、予め求められているものとする。
【0049】
この場合、式(7)と(9)の連立方程式となる。この場合、接触抵抗Rとして設計値(あるいは推定値)を利用することとなる。接触抵抗Rが安定しているパネルでは、ある程度正確に抵抗Rを計算することができるが、接触抵抗Rが不安定なパネルでは、抵抗Rの誤差が大きくなり、座標の誤差が大きくなってしまう。
【0050】
これに対して、実施の形態に係るタッチパネル100では、抵抗R1(R2)のみを正確に計算できるため、さまざまなパネルを対象として、座標検出の精度を高めることができる。
【0051】
本発明は、図3のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、回路に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や回路動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や変形例を説明する。
【0052】
図5は、駆動回路210の構成例を示す回路図である。図5では、第1状態φと第2状態φとで、安定化された定電圧Vを生成するアンプ(定電圧源)212が共用される。セレクタ214は、アンプ212の出力電圧Vを、XP端子、XN端子の一方に選択的に供給する。セレクタ214は、スイッチSW1,SW2を含んでもよい。また駆動回路210は、TS端子と接地の間に設けられたスイッチSW3を含んでもよい。このスイッチSW3は、第1状態φ1、第2状態φ2においてオン、第3状態φ3においてオフとなる。
【0053】
さらに駆動回路210は、XN端子と接地の間に設けられたスイッチSW4を含む。スイッチSW4は、第3状態φ3においてオンとなる。
【0054】
図6は、駆動回路210の別の構成例を示す回路図である。駆動回路210は、2つのアンプ212A,212Bを含む。アンプ212Aは、第1状態φ1、第3状態φ3においてイネーブルであり、定電圧VH1を生成する。第2状態φ2ではディセーブルであり、その出力はハイインピーダンスとなる。
【0055】
アンプ212Bは、第2状態φ1においてイネーブルであり、定電圧VH2を生成する。第1状態φ1、第3状態φ3ではディセーブルであり、その出力はハイインピーダンスとなる。
【0056】
図7は、電流検出回路220の構成例を示す回路図である。電流検出回路220は、駆動回路210がソース(またはシンク)する電流を検出する。
【0057】
電流コピー回路230は、駆動回路210の出力段211のトランジスタとともにカレントミラー回路を形成するトランジスタを含む。出力段211はプッシュプル形式を有し、ハイサイドトランジスタMとローサイドトランジスタMを含む。電流コピー回路230は、ハイサイドトランジスタMとローサイドトランジスタMそれぞれに流れる電流のコピーを生成し、それらの差分をセンス電流ISNSとする。
【0058】
駆動回路210が、パネル電流Iをソース(吐き出す)する構成では、パネル電流Iの大部分がハイサイドトランジスタMに流れるが、ローサイドトランジスタMにも無視できないアイドル電流IIDLEが流れる場合がある。この構成によれば、出力段211のアイドル電流IIDLEの影響を除去して、パネル電流Iを正確に検出できる。
【0059】
I/V変換回路234は、トランスインピーダンスアンプを含む。トランスインピーダンスアンプの一方の入力には、駆動電圧VDRVが入力され、他方の入力には、センス電流ISNSが供給される。I/V変換回路234の出力(センス電圧)VSNSは、センス電流ISNSに対して線形に変化する。
【0060】
A/Dコンバータ236は、センス電圧VSNSをデジタルの電流検出値D1に変換する。
【0061】
図8は、電流検出回路220の別の構成例を示す回路図である。電流検出回路220は、TS端子から接地に流れる電流を検出するよう構成される。センス抵抗Rは、TS端子と接地の間に設けられる。センス抵抗Rは、検出対象の電流I,Iに比例した電圧降下Vが発生する。この電圧降下Vは、アンプ238によって増幅され、A/Dコンバータ239によってデジタル値に変換される。
【0062】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0063】
駆動回路210や電流検出回路220の構成はここに例示したものに限定されず、多くの変形例が存在しうる。
【0064】
実施の形態では1方向の座標検出(X座標)を行う場合を説明したが、本発明は2方向の座標検出にも利用可能である。この場合、5線式のタッチパネルを利用すればよい。図9は、5線式のタッチパネルの制御回路を示す図である。タッチパネル100には、YP端子、YN端子が追加されている。YP端子とYN端子は、XP端子、XN端子と直交して配置される。
【0065】
制御回路200は、YP端子、YN端子及びTS端子を利用して、Y座標を検出する。検出処理はX座標と同様であり、XP端子をYP端子、XN端子をYN端子と読みかえればよい。
【0066】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0067】
1…電子機器、2…ディスプレイパネル、4…タッチ式入力装置、6…指、100…タッチパネル、102…第1膜、104…第2膜、XP…第1端子、XN…第2端子、TS…第3端子、200…制御回路、210…駆動回路、220…電流検出回路、240…信号処理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9