【解決手段】短絡検出回路1は、短絡検出対象素子2の内部短絡の際に短絡検出対象素子2から出力される信号に基づいてオン状態またはオフ状態になる短絡検出用スイッチング素子22、及び、短絡検出用スイッチング素子22の動作に応じて放電または充電するコンデンサ21が、並列に接続された並列回路20と、並列回路20に定電流を供給する定電流源10と、並列回路20に所定電圧よりも大きい電圧を印加する電圧源40と、コンデンサ21の充電によって生じた電圧が前記所定電圧以上である場合に短絡検出対象素子2の内部短絡として検出する短絡検出部60と、を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示されているIGBT素子の場合には、コレクタ−エミッタ間の電圧を測定することにより、内部短絡を検出することができる。すなわち、IGBT素子のコレクタ−エミッタ間の電圧が、短絡電流によって、一定以上、上昇した場合に、IGBT素子の内部短絡発生を検出することができる。
【0006】
ところで、SiC素子のように内部短絡時の端子間の電圧上昇が小さい素子の場合、上述のIGBT素子のような短絡検出方法によって、素子の内部短絡を検出することは難しい。そのため、SiC素子のように内部短絡時の端子間の電圧上昇が小さい素子の場合には、電流を常に計測して短絡電流が発生した際に信号を出力する短絡検出回路を設ける必要がある。
【0007】
前記短絡検出回路の一例として、
図5に示すように、定電流源110と、定電流源110から電流が供給されるコンデンサ121と、短絡検出の対象である素子102(以下、短絡検出対象素子という)から出力される信号に応じてコンデンサ121の充電及び放電を制御する短絡検出用スイッチング素子122と、コンデンサ121の電圧が所定値(Vc)以上の場合に短絡検出対象素子102の内部短絡を検出する短絡検出部160とを備えた短絡検出回路100が考えられる。
【0008】
図5に示す短絡検出回路100では、コンデンサ121と短絡検出用スイッチング素子122とが並列に接続されるとともに、コンデンサ121及び短絡検出用スイッチング素子122に対して定電流源110が並列に接続されている。
【0009】
図5に示す短絡検出回路100では、短絡検出対象素子102から出力される信号が正常時の信号の場合、短絡検出用スイッチング素子122がオン状態になることにより、コンデンサ121に蓄えられている電荷が短絡検出用スイッチング素子122で放電される。一方、短絡検出対象素子102から出力される信号が内部短絡時の信号の場合、短絡検出用スイッチング素子122がオフ状態になることにより、定電流源110によってコンデンサ121に電荷が蓄えられる。これにより、短絡検出対象素子102が内部短絡している場合に、コンデンサ121の電圧が上昇して前記所定値以上になる。したがって、短絡検出部160によって、短絡検出対象素子102の内部短絡を検出することができる。
【0010】
ところで、上述の短絡検出回路100では、短絡検出対象素子102の内部短絡発生時に、定電流源110によってコンデンサ121に電荷を蓄えるため、コンデンサ121の電圧は時間の経過とともに増大する。
図6に、短絡検出対象素子102の内部短絡発生時におけるコンデンサ121の電圧の時間変化を示す。
【0011】
図6に示すように、定電流源110から供給される電流によって電荷が蓄えられるコンデンサ121の電圧は、時間に比例して増大する。そのため、短絡検出回路100では、短絡検出対象素子102が内部短絡発生時に信号を出力してから、短絡検出部160による内部短絡の検出までに、toの時間を要する。よって、短絡検出対象素子102が前記信号を出力してから、短絡検出対象素子102に対するゲート信号を遮断するまでに、tg(tg>to)の時間を要する。
【0012】
なお、
図6において、tfは、短絡検出対象素子102が内部短絡発生時に信号を出力してから、短絡検出用スイッチング素子122が動作するまでの時間である。tfは、tg及びtoよりも短い時間である。
【0013】
このように、
図5に示す短絡検出回路100の構成では、短絡検出対象素子102が内部短絡時に信号を出力してから、短絡検出対象素子102に対するゲート信号を遮断するまでに、或る程度の時間を要する。
【0014】
上述のSiC素子の場合、内部短絡時に流れる短絡電流がIGBT素子の場合よりも大きい。そのため、素子の保護の観点から、SiC素子のように短絡電流が大きい素子の場合には、内部短絡を検出してから前記素子に対するゲート信号を遮断するまでの時間をできるだけ短くしたいという要求がある。
【0015】
本発明の目的は、短絡検出対象素子の短絡を迅速に検出可能な短絡検出回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態に係る短絡検出対象素子の短絡検出回路は、前記短絡検出対象素子の内部短絡の際に前記短絡検出対象素子から出力される信号に基づいてオン状態またはオフ状態になる短絡検出用スイッチング素子、及び、前記短絡検出用スイッチング素子の動作に応じて放電または充電するコンデンサが、並列に接続された並列回路と、前記並列回路に定電流を供給する定電流源と、前記並列回路に所定電圧よりも大きい電圧を印加する電圧源と、前記コンデンサの電圧が前記所定電圧以上である場合に前記短絡検出対象素子の内部短絡として検出する短絡検出部と、を備える(第1の構成)。
【0017】
これにより、短絡検出対象素子に内部短絡が発生した際に、コンデンサには、定電流源から流れる電流だけでなく、前記コンデンサに所定電圧よりも大きい電圧を印加する電圧源からも電流が供給される。よって、前記短絡検出対象素子に内部短絡が発生した際に、前記コンデンサの電圧を迅速に前記所定電圧以上の電圧にすることができる。したがって、短絡検出部によって、前記短絡検出対象素子の内部短絡を迅速に検出することができる。
【0018】
前記第1の構成において、前記並列回路と前記電圧源との間に抵抗をさらに備える(第2の構成)。これにより、短絡検出用スイッチング素子がオン状態のときに、電圧源によって前記短絡検出用スイッチング素子が短絡することを防止できる。
【0019】
前記第1または第2の構成において、前記並列回路と前記定電流源との間に、前記コンデンサから前記定電流源に電流が流れることを防止するダイオードをさらに備える(第3の構成)。これにより、コンデンサから定電流側に電流が逆流することを防止できる。
【0020】
前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成において、前記定電流源及び前記短絡検出部は、前記短絡検出対象素子の駆動を制御する駆動素子に設けられている(第4の構成)。これにより、定電流源及び短絡検出部をコンパクトに配置できる。また、駆動素子が前記定電流源及び前記短絡検出部を有する構成において、上述の第1の構成を適用することにより、短絡検出対象素子の内部短絡を迅速に検出することができる。
【0021】
前記第1から第4の構成のうちいずれか一つの構成において、前記短絡検出対象素子は、内部短絡の際に、Low信号を出力する(第5の構成)。このように、短絡検出対象素子が内部短絡に応じてLow信号を出力した場合でも、上述の第1の構成を有する短絡検出回路によって、前記短絡検出対象素子の内部短絡を検出することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施形態に係る短絡検出対象素子の短絡検出回路は、前記短絡検出対象素子の内部短絡の際に前記短絡検出対象素子から出力される信号に基づいてオン状態またはオフ状態になる短絡検出用スイッチング素子、及び、前記短絡検出用スイッチング素子の動作に応じて放電または充電するコンデンサが、並列に接続された並列回路と、前記並列回路に定電流を供給する定電流源と、前記並列回路に所定電圧よりも大きい電圧を印加する電圧源と、前記コンデンサの電圧が前記所定電圧以上である場合に前記短絡検出対象素子の内部短絡として検出する短絡検出部と、を備える。これにより、前記短絡検出対象素子の内部短絡発生時に、前記コンデンサを迅速に充電して前記コンデンサの電圧を前記所定電圧以上にすることができる。したがって、前記短絡検出対象素子の内部短絡を迅速に検出することができる短絡検出回路が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0025】
<実施形態1>
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態1に係る短絡検出回路1の概略構成を示す図である。この短絡検出回路1は、例えばSiC素子を有する電力変換装置などにおいて、SiC素子などの半導体素子(短絡検出対象素子)の内部短絡を検出する。なお、短絡検出回路1は、SiC素子以外の素子の内部短絡を検出してもよい。本実施形態の短絡検出回路1は、端子間電圧を計測することにより内部短絡を検出可能なIGBT素子などの半導体素子の短絡検出よりも、端子間電圧の計測によって内部短絡の検出が難しいSiC素子などの半導体素子の短絡検出に用いることが好ましい。
【0026】
短絡検出回路1は、内部短絡を検出する対象である短絡検出対象素子2に接続されている。短絡検出対象素子2は、正常時と内部短絡の発生時とで異なる信号を出力する状態信号出力部2aを有する。短絡検出対象素子2の状態信号出力部2aは、例えば、短絡検出対象素子2の正常時にはHigh信号を出力する一方、短絡検出対象素子2で内部短絡が発生した際にはLow信号を出力する。短絡検出対象素子2の状態信号出力部2aから出力された信号は、短絡検出回路1の後述の短絡検出用スイッチング素子22に入力される。
【0027】
なお、
図1には、状態信号出力部2aの一例として、トランジスタの場合を示しているが、この限りではなく、状態信号出力部2aは、短絡検出対象素子2の内部状態を出力可能な構成であれば、どのような構成を有していてもよい。
【0028】
短絡検出回路1の一部は、短絡検出対象素子2を駆動する駆動素子3に設けられている。すなわち、駆動素子3は、短絡検出回路1の後述の定電流源10及び短絡検出部60を有する。なお、定電流源10及び短絡検出部60は、駆動素子3以外に設けられていてもよい。
図1において、一点鎖線は、駆動素子3から短絡検出対象素子2に対する駆動信号の入力を示す。
【0029】
短絡検出回路1は、定電流源10と、コンデンサ21及び短絡検出用スイッチング素子22を含む並列回路20と、ダイオード30と、電圧源40と、抵抗50,51と、短絡検出部60とを備える。
【0030】
定電流源10は、コンデンサ21に一定の電流を供給する電源である。定電流源10は、例えば、駆動素子3に設けられている。定電流源10は、並列回路20に対して電気的に並列に接続されている。本実施形態では、定電流源10は、駆動素子3の一対の故障検出端子3aを介して、並列回路20に電気的に接続されている。
【0031】
並列回路20は、コンデンサ21と短絡検出用スイッチング素子22とが電気的に並列に接続された回路である。並列回路20には、定電流源10から一定の電流が供給される。並列回路20と定電流源10との間には、並列回路20から定電流源10への電流の逆流を防止するためのダイオード30が設けられている。これにより、並列回路20のコンデンサ21から定電流源10に対して電流が逆流することを防止できる。なお、ダイオード30は、並列回路20と駆動素子3の一方の故障検出端子3aとの間に設けられている。
【0032】
短絡検出用スイッチング素子22は、例えばFET素子である。短絡検出用スイッチング素子22には、短絡検出対象素子2から正常時に出力される信号及び内部短絡時に出力される信号が、それぞれ入力される。短絡検出用スイッチング素子22は、短絡検出対象素子2から入力される信号に応じて、オン状態またはオフ状態に切り換える。
【0033】
具体的には、短絡検出用スイッチング素子22のソース端子は、短絡検出対象素子2の状態信号出力端子2bを介して、状態信号出力部2aの一方の端子(エミッタ側)に電気的に接続されている。短絡検出用スイッチング素子22のドレイン端子は、抵抗50を介して、電圧源40に電気的に接続されている。短絡検出用スイッチング素子22のゲート端子と、短絡検出対象素子2における状態信号出力部2aの他方の端子(コレクタ側)とは、抵抗51を介して、電圧源40に対して電気的に並列に接続されている。なお、状態信号出力部2aの他方の端子は、短絡検出対象素子2の状態信号出力端子2bを介して、抵抗51及び短絡検出用スイッチング素子22のゲート端子に電気的に接続されている。
【0034】
上述の構成において、短絡検出対象素子2が正常時の場合、すなわち、状態信号出力部2aがHigh信号を出力している場合には、電圧源40によって短絡検出用スイッチング素子22のゲート端子に電圧が印加される。これにより、短絡検出用スイッチング素子22がオン状態になる。一方、短絡検出対象素子2で内部短絡が生じている場合、すなわち、状態信号出力部2aがLow信号を出力している場合には、短絡検出用スイッチング素子22のゲート端子に電圧が印加されない。これにより、短絡検出用スイッチング素子22がオフ状態になる。
【0035】
短絡検出用スイッチング素子22がオン状態になると、短絡検出用スイッチング素子22に電気的に並列に接続されたコンデンサ21に蓄えられた電荷が放電される。一方、短絡検出用スイッチング素子22がオフ状態になると、定電流源10及び電圧源40によって、コンデンサ21に電荷が蓄えられる(以下、コンデンサ21の充電ともいう)。
【0036】
このように、短絡検出対象素子2から出力される信号に応じて短絡検出用スイッチング素子22がオン状態またはオフ状態になるため、コンデンサ21の充放電が制御される。
【0037】
なお、短絡検出用スイッチング素子22は、FET素子以外のスイッチング素子であってもよい。また、コンデンサ21は、短絡検出回路1に形成された寄生容量であってもよい。コンデンサ21は、例えば、100pF以上の容量を有する。
【0038】
短絡検出部60は、コンデンサ21の充電によって生じる電圧が、基準電圧である所定値(本実施形態ではVc)以上の場合に、短絡検出信号を出力する。すなわち、短絡検出部60は、コンデンサ21の充電によって生じる電圧に応じて、短絡検出対象素子2における内部短絡の発生の有無を検出する。本実施形態では、短絡検出部60は、駆動素子3の一対の故障検出端子3a間の電圧Vdrが、所定値Vc以上であるかどうかを判定する。
【0039】
以上の構成により、短絡検出対象素子2が正常時の場合、短絡検出対象素子2の状態信号出力部2aはHigh信号を出力するため、短絡検出用スイッチング素子22はオン状態になる。これにより、コンデンサ21の電荷が放電されるため、コンデンサ21の電圧は増大しない。この場合、コンデンサ21の充電によって生じる電圧、すなわち、駆動素子3の一対の故障検出端子3a間の電圧Vdrが所定値Vc未満であるため、短絡検出部60は、短絡検出対象素子2の内部短絡が検出されていないと判定する。
【0040】
一方、短絡検出対象素子2で内部短絡が発生した場合、短絡検出対象素子2の状態信号出力部2aはLow信号を出力するため、短絡検出用スイッチング素子22はオフ状態になる。これにより、定電流源10及び電圧源40によって、コンデンサ21に充電される。短絡検出部60は、コンデンサ21の充電によって生じる電圧、すなわち、駆動素子3の一対の故障検出端子3a間の電圧Vdrが所定値Vc以上である場合に、短絡検出対象素子2で内部短絡が発生していると判定し、内部短絡信号を出力する。
【0041】
以上のように、短絡検出対象素子2で内部短絡が発生した場合、定電流源10及び電圧源40の両方によってコンデンサ21が充電される。
図2は、短絡検出対象素子2で内部短絡が発生した場合において、駆動素子3の一対の故障検出端子3a間の電圧Vdrの変化を示すグラフである。本実施形態の構成を有する短絡検出回路1では、短絡検出対象素子2で内部短絡が発生した場合、コンデンサ21の電圧上昇は、定電流源10による充電に伴う電圧上昇分(
図2における一点鎖線)と電圧源40による充電に伴う電圧上昇分(
図2における二点鎖線)との合計である。よって、本実施形態の短絡検出回路1では、コンデンサ21は急速に充電されるため、コンデンサ21の充電によって生じる電圧、すなわち駆動素子3の故障検出端子3a間の電圧Vdrの立ち上がりが急峻である。
【0042】
図5に示す従来の短絡検出回路では、短絡検出対象素子2で内部短絡が生じた場合、コンデンサ21は定電流源10のみで充電されるため、コンデンサ21の電圧は、時間に比例して増大する。そのため、
図6に示すように、短絡検出対象素子2で内部短絡が発生した際に短絡検出対象素子2から信号が出力されてから、短絡検出部60が短絡検出信号を出力するまでの時間(to)が比較的長い。
【0043】
これに対し、本実施形の短絡検出回路1を用いることによって、
図2に示すように、従来の短絡検出回路の場合に比べて、短絡検出対象素子2が内部短絡時に信号を出力してから、短絡検出回路1で短絡故障検出を出力するまでの時間(to1<t0)を短縮することができる。よって、短絡検出対象素子2が内部短絡時に信号を出力してから、短絡検出対象素子2に対するゲート信号を遮断するまでの時間(tg1<tg)も短縮することができる。したがって、短絡検出対象素子2で内部短絡が発生した際に、短絡検出対象素子2に対するゲート信号をより迅速に遮断することができる。なお、
図2において、tf1は、短絡検出対象素子2が内部短絡発生時に信号を出力してから、短絡検出用スイッチング素子22が動作するまでの時間である。
【0044】
また、短絡検出回路1において、抵抗50の抵抗値またはコンデンサ21の容量を変えることにより、電圧源40によるコンデンサ21への充電量を調整できる。これにより、短絡検出対象素子2で内部短絡が発生してから短絡検出回路1で短絡を検出するまでの時間を調整できる。よって、短絡検出対象素子及び駆動素子の構成が異なる場合でも、抵抗50の抵抗値またはコンデンサ21の容量を変えることにより、短絡検出対象素子の内部短絡を迅速に検出可能な短絡検出回路を容易に得ることができる。
【0045】
<実施形態2>
図3に、実施形態2に係る短絡検出回路70の概略構成を示す。
図3に示す短絡検出回路70は、定電流源10と並列回路20との間に抵抗52を有する点で、実施形態1の構成とは異なる。なお、以下では、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0046】
図3に示すように、短絡検出回路70において、定電流源10と並列回路20との間に、抵抗52及びダイオード30が直列に設けられている。このように、短絡検出回路70に抵抗52を設けることにより、並列回路20のコンデンサ21に生じる電圧を、抵抗52によって生じる電圧分だけ増大させることができる。
【0047】
図4は、短絡検出回路70において、短絡検出対象素子2で短絡が生じた場合における駆動素子3の故障検出端子3a間の電圧変化を示すグラフである。
図4に示すように、短絡検出回路70に抵抗52を設けることにより、抵抗52を設けない場合(
図4における一点鎖線)に比べて、駆動素子3の故障検出端子3a間における初期(短絡検出対象素子2の正常時)の電圧を増大させることができる。すなわち、短絡検出対象素子2の正常時において、抵抗52を設けない場合に比べて、コンデンサ21の電圧を増大させることができる。
【0048】
これにより、短絡検出対象素子2で内部短絡が生じた場合に、コンデンサ21の充電によって、駆動素子3の故障検出端子3a間の電圧Vdrをより迅速に所定値Vc以上にすることができる。したがって、短絡検出対象素子2で内部短絡が発生してから、短絡検出回路70による短絡検出までの時間to2(to2<to1<to)をより短縮することができる。よって、短絡検出対象素子2が内部短絡時に信号を出力してから、短絡検出対象素子2に対するゲート信号を遮断するまでの時間(tg2<tg1<tg)も短縮することができる。したがって、短絡検出対象素子2で内部短絡が発生した際に、短絡検出対象素子2に対するゲート信号をより迅速に遮断することができる。
【0049】
なお、
図4において、tf2は、短絡検出対象素子2が内部短絡発生時に信号を出力してから、短絡検出用スイッチング素子22が動作するまでの時間である。
【0050】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0051】
前記各実施形態では、短絡検出回路1,70の一部である定電流源10及び短絡検出部60は、駆動素子3内に設けられている。しかしながら、定電流源及び短絡検出部の少なくとも一方が駆動素子以外に設けられていてもよい。
【0052】
前記各実施形態では、短絡検出回路1,70は、並列回路20と定電流源10との間にダイオード30を有する。しかしながら、短絡検出回路は、ダイオードを有していなくてもよい。
【0053】
前記各実施形態では、短絡検出対象素子2は、内部短絡の際に、Low信号を出力する。しかしながら、短絡検出対象素子2は、内部短絡の際に、Low信号以外の信号を出力してもよい。