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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-146105(P2019-146105A)
(43)【公開日】2019年8月29日
(54)【発明の名称】アンテナ装置および該アンテナ装置を用いた測定装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/10 20060101AFI20190802BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20190802BHJP
   G01R 29/10 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   H01Q13/10
   H01Q21/24
   G01R29/10 E
   G01R29/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-30880(P2018-30880)
(22)【出願日】2018年2月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 綾
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA02
5J021AA10
5J021AA11
5J021AB05
5J021DB06
5J021HA10
5J021JA02
5J021JA05
5J021JA10
5J045AA02
5J045AA12
5J045CA01
5J045DA03
5J045HA06
5J045MA04
5J045NA03
(57)【要約】
【課題】水平偏波と垂直偏波の両方を同時に送信または受信することができるアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置1は、第1のアンテナ素子2と第2のアンテナ素子3を備える。第1のアンテナ素子は、誘電体からなる第1の基板20と、その第1面に設けられた第1アンテナ導体21および第2面に設けられた第2アンテナ導体23と、第1の基板の第1端面20cに向かって開口している第1スロット25とを有する。第2のアンテナ素子3は、誘電体からなる第2の基板30と、その第3面に設けられた第3アンテナ導体31および第4面に設けられた第4アンテナ導体33とを有する。第2の基板は、第2端面に対向する第3端面30dと第4端面30eを有し、第4端面は第2端面と第3端面の間に位置している。第1の基板と第2の基板とが交差するように、第2の基板の第4端面が第1の基板の第1スロットに挿通されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体からなる第1の基板(20)と、前記第1の基板の一面(20a)に設けられた第1アンテナ導体(21)および他面(20b)に設けられた第2アンテナ導体(23)と、前記第1の基板の第1端面(20c)に向かって開口している第1スロット(25)と、を有する第1のアンテナ素子(2)と、
誘電体からなる第2の基板(30)と、前記第2の基板の一面(30a)に設けられた第3アンテナ導体(31)および他面(30b)に設けられた第4アンテナ導体(33)と、を有する第2のアンテナ素子(3)と、を備え、
前記第2の基板は、第2端面(30c)に対向する第3端面(30d)と第4端面(30e)を有し、前記第4端面は前記第2端面と前記第3端面の間に位置し、
前記第1の基板と前記第2の基板とが交差するように、少なくとも前記第2の基板の前記第4端面が前記第1の基板の前記第1スロットに挿通されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記第2の基板は、前記第3端面の端あるいは、前記第4端面の端のいずれかを含む第5端面(30f)を有することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第2の基板の前記第5端面は、前記第1の基板に当接していることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第2の基板の前記第4端面は、前記第5端面から離れるほど前記第2端面との距離が小さくなるよう傾斜していることを特徴とする請求項2または3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1アンテナ導体と前記第2アンテナ導体は、前記第1の基板に導体パターンにより形成され、前記第3アンテナ導体と前記第4アンテナ導体は、前記第2の基板に導体パターンにより形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1の基板の前記一面に、導体パターンにより形成され且つ前記第1アンテナ導体に接続された第1伝送路(22)が設けられ、前記第1の基板の前記他面に、導体パターンにより形成され且つ前記第2アンテナ導体に接続された第2伝送路(24)が設けられ、前記第1伝送路と前記第2伝送路とが前記第1の基板を挟んで対向しており、
前記第2の基板の前記一面に、導体パターンにより形成され且つ前記第3アンテナ導体に接続された第3伝送路(32)が設けられ、前記第2の基板の前記他面に、導体パターンにより形成され且つ前記第4アンテナ導体に接続された第4伝送路(34)が設けられ、前記第3伝送路と前記第4伝送路とが前記第2の基板を挟んで対向していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1スロットは、前記第1の基板の前記第1アンテナ導体と前記第2アンテナ導体との間隙に対応する部分が切り欠かれてなり、前記第1端面に向かって漸次拡大する部分を有し、
前記第2のアンテナ素子は、前記第2の基板の第2端面に向かって開口している第2スロット(35)を有し、
前記第2スロットは、前記第2の基板の前記第3アンテナ導体と前記第4アンテナ導体との間隙に対応する部分が切り欠かれてなり、前記第2の基板の前記第2端面に向かって漸次拡大する部分を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第1スロットは、前記第1スロットの前記第1端面に向かって漸次拡大する前記部分の先端部(25a)から前記第1端面に対向する第6端面(20d)に直交する方向に延びるスリット(26)をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
電波無響室(101)と、前記電波無響室の内壁に設けられた電波吸収体(102)と、前記電波無響室の内部に設けられた請求項1〜8のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)と、前記アンテナ装置に接続された信号分析器(103)と、を備え、
前記電波無響室の内部に設置された被測定装置(120)により放射された電波の水平偏波成分および垂直偏波成分が前記アンテナ装置により同時に受信されてそれぞれ第1の受信信号および第2の受信信号として前記信号分析器に送られ、前記第1の受信信号および前記第2の受信信号に基づいて前記信号分析器により前記被測定装置の電波送信特性が測定されることを特徴とする測定装置。
【請求項10】
電波無響室(101)と、前記電波無響室の内壁に設けられた電波吸収体(102)と、前記電波無響室の内部に設けられた請求項1〜8のいずれか1項に記載の第1のアンテナ装置(1a)および請求項1〜8のいずれか1項に記載の第2のアンテナ装置(1b)と、前記第1のアンテナ装置に接続された信号発生器(104)と、前記第2のアンテナ装置に接続された信号分析器(103)と、を備え、
前記信号発生器により生成された第1の送信信号および第2の送信信号が前記第1のアンテナ装置に送られ該第1のアンテナ装置よりそれぞれ水平偏波および垂直偏波として同時に放射され、放射された前記水平偏波および前記垂直偏波が前記電波無響室の内部に設置された被測定装置(120)により受信され、受信した前記水平偏波および前記垂直偏波に応答して前記被測定装置により放射された応答電波が前記第2のアンテナ装置により水平偏波成分および垂直偏波成分として同時に受信されてそれぞれ第1の受信信号および第2の受信信号として前記信号分析器に送られ、前記第1の受信信号および前記第2の受信信号に基づいて前記信号分析器により前記被測定装置の電波送受信特性が測定されることを特徴とする測定装置。
【請求項11】
誘電体からなる第1の基板(20)と、前記第1の基板の一面(20a)に設けられた第1アンテナ導体(21)および他面(20b)に設けられた第2アンテナ導体(23)と、前記第1の基板の第1端面(20c)に向かって開口している第1スロット(25)と、を有する第1のアンテナ素子(2)と、
誘電体からなる第2の基板(30)と、前記第2の基板の一面(30a)に設けられた第3アンテナ導体(31)および他面(30b)に設けられた第4アンテナ導体(33)と、を有する第2のアンテナ素子(3)と、を備え、
前記第2の基板は、第2端面(30c)に対向する第3端面(30d)を有し、
前記第1の基板と第2の基板とが交差するように、少なくとも前記第2の基板が前記第1スロットに挿通され、前記第3端面の長手方向と前記第2端面の長手方向は前記第1スロットの長さに応じた所定の角度(φ)を有することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項12】
前記第3端面の中心(O)から前記第2端面までの距離(L)は、前記第1スロットの長さよりも短いことを特徴とする請求項11に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置および該アンテナ装置を用いた測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電波を送受信する機能を有する装置について、その研究開発や検査のために、電波の送受信特性が測定されている。測定の対象となる装置(被測定装置)としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末や各種アンテナが挙げられる。
【0003】
一般に、この種の測定装置では、電波無響室に設置された被測定装置から送信される電波をテスト用アンテナにより受信し、その受信信号を分析して被測定装置の電波送信特性を測定する。また、電波無響室内でテスト用アンテナから電波を送信して被測定装置に受信させ、その受信結果を分析して被測定装置の電波受信特性を測定する。
【0004】
電波の送受信特性の測定に用いられるテスト用アンテナは、各種被検査装置の電波送受信性能に応じる必要があるため、周波数特性は広帯域であることが望ましい。例えば、直線偏波を送受信する広帯域アンテナとして、テーパスロットアンテナ(TSA(Tapered Slot Antenna))は既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1には、誘電体基板と、該誘電体基板上に設けられた一対の金属膜と、該一対の金属膜間にテーパ状に広がるスロットラインとを有するテーパスロットアンテナが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−055414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のアンテナにあっては、誘電体基板に平行な方向に電場振動面を有する直線偏波しか測定することができなかった。誘電体基板に垂直な方向に電場振動面を有する直線偏波を測定するためには、テスト用アンテナを90°回転させるか、或いは、被測定装置を90°回転させる必要があった。
【0008】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、水平偏波と垂直偏波の両方を同時に送信または受信することができるアンテナ装置および該アンテナ装置を用いた測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係るアンテナ装置は、上記目的達成のため、誘電体からなる第1の基板(20)と、前記第1の基板の一面(20a)に設けられた第1アンテナ導体(21)および他面(20b)に設けられた第2アンテナ導体(23)と、前記第1の基板の第1端面(20c)に向かって開口している第1スロット(25)と、を有する第1のアンテナ素子(2)と、誘電体からなる第2の基板(30)と、前記第2の基板の一面(30a)に設けられた第3アンテナ導体(31)および他面(30b)に設けられた第4アンテナ導体(33)と、を有する第2のアンテナ素子(3)と、を備え、前記第2の基板は、第2端面(30c)に対向する第3端面(30d)と第4端面(30e)を有し、前記第4端面は前記第2端面と前記第3端面の間に位置し、前記第1の基板と前記第2の基板とが交差するように、少なくとも前記第2の基板の前記第4端面が前記第1の基板の前記第1スロットに挿通されていることを特徴とする。
【0010】
上述のように、本発明の請求項1に係るアンテナ装置において、第1のアンテナ素子の第1の基板は、第1端面に向かって開口している第1スロットを有している。また、第2のアンテナ素子の第2の基板は、第2端面に対向する第3端面と第4端面を有し、第4端面は第2端面と第3端面の間に位置している。そして、第1の基板と第2の基板とが交差するように、第2の基板の第4端面が第1の基板の第1スロットに挿通されている。
【0011】
この構成により、第1のアンテナ素子が、第1の基板に平行な方向に電場振動面を有する直線偏波(例えば、水平偏波)を送信または受信し、同時に、第2のアンテナ素子が、第2の基板に平行な方向に電場振動面を有する直線偏波(例えば、垂直偏波)を送信または受信することができる。
【0012】
また、本発明の請求項1に係るアンテナ装置では、第2の基板は、第2端面に対向する第3端面と第4端面を有し、第4端面は第2端面と第3端面の間に位置している。すなわち、第2の基板には、第3端面と第4端面とにより画定される切り欠き部が形成されている。この構成により、第1の基板の第1スロットに第2の基板を挿入して組み立てる際、第2の基板を第1の基板に対して横スライドさせることができ、組み立てが容易になる。
【0013】
本発明の請求項2に係るアンテナ装置では、前記第2の基板は、前記第3端面の端あるいは、前記第4端面の端のいずれかを含む第5端面(30f)を有している。
【0014】
この構成により、本発明の請求項2に係るアンテナ装置は、第1の基板に対して第2の基板を横スライドさせて組み立てる際、第2の基板の第5端面がストッパとして働き、横スライドの範囲を限定することができる。
【0015】
本発明の請求項3に係るアンテナ装置は、前記第2の基板の前記第5端面は、前記第1の基板に当接している。
【0016】
この構成により、本発明の請求項3に係るアンテナ装置は、第1の基板に対して第2の基板を横スライドさせて組み立てる際、第2の基板の第5端面が第1の基板に突き当るまで横スライドさせることで、第2の基板の横方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0017】
本発明の請求項4に係るアンテナ装置では、前記第2の基板の前記第4端面は、前記第5端面から離れるほど前記第2端面との距離が小さくなるよう傾斜している。
【0018】
この構成により、本発明の請求項4に係るアンテナ装置は、第1の基板に対して第2の基板を横スライドさせて組み立てる際、第2の基板の第4端面を、第1の基板の第1スロットに挿通させるのが容易になる。
【0019】
本発明の請求項5に係るアンテナ装置では、前記第1アンテナ導体と前記第2アンテナ導体は、前記第1の基板に導体パターンにより形成され、前記第3アンテナ導体と前記第4アンテナ導体は、前記第2の基板に導体パターンにより形成されている。
【0020】
この構成により、本発明の請求項5に係るアンテナ装置は、フォトリソグラフィ技術により第1アンテナ導体、第2アンテナ導体、第3アンテナ導体および第4アンテナ導体を第1の基板または第2の基板に容易に形成することができる。
【0021】
本発明の請求項6に係るアンテナ装置は、前記第1の基板の前記一面に、導体パターンにより形成され且つ前記第1アンテナ導体に接続された第1伝送路が設けられ、前記第1の基板の前記他面に、導体パターンにより形成され且つ前記第2アンテナ導体に接続された第2伝送路が設けられ、前記第1伝送路と前記第2伝送路とが前記第1の基板を挟んで対向しており、前記第2の基板の前記一面に、導体パターンにより形成され且つ前記第3アンテナ導体に接続された第3伝送路が設けられ、前記第2の基板の前記他面に、導体パターンにより形成され且つ前記第4アンテナ導体に接続された第4伝送路が設けられ、前記第3伝送路と前記第4伝送路とが前記第2の基板を挟んで対向している。
【0022】
この構成により、本発明の請求項6に係るアンテナ装置は、第1伝送路と第2伝送路が第1の基板を挟んでペアストリップ線路を形成している。これにより、第1アンテナ導体と第2アンテナ導体への電力の供給、および第1アンテナ導体と第2アンテナ導体からの信号の伝送を効率的に行うことができる。同様に、第3伝送路と第4伝送路が第2の基板を挟んでペアストリップ線路を形成している。これにより、第3アンテナ導体と第4アンテナ導体への電力の供給、および第3アンテナ導体と第4アンテナ導体からの信号の伝送を効率的に行うことができる。また、アンテナ性能の狭帯域化をもたらすインピーダンス整合用スタブが不要なため、アンテナの広帯域化を実現することができる。
【0023】
本発明の請求項7に係るアンテナ装置では、前記第1スロットは、前記第1の基板の前記第1アンテナ導体と前記第2アンテナ導体との間隙に対応する部分が切り欠かれてなり、前記第1端面に向かって漸次拡大する部分を有し、前記第2のアンテナ素子は、前記第2の基板の第2端面に向かって開口している第2スロット(35)を有し、前記第2スロットは、前記第2の基板の前記第3アンテナ導体と前記第4アンテナ導体との間隙に対応する部分が切り欠かれてなり、前記第2の基板の前記第2端面に向かって漸次拡大する部分を有している。
【0024】
この構成により、本発明の請求項7に係るアンテナ装置は、第1アンテナ導体と第2アンテナ導体との間隙、および第3アンテナ導体と第4アンテナ導体との間隙に対応する基板部分が切り欠かれているので、送受信する電波の基板での減衰を低減することができる。
【0025】
本発明の請求項8に係るアンテナ装置では、前記第1スロットは、前記第1スロットの前記第1端面に向かって漸次拡大する前記部分の先端部(25a)から前記第1端面に対向する第6端面(20d)に直交する方向に延びるスリット(26)をさらに含んでいる。
【0026】
この構成により、本発明の請求項8に係るアンテナ装置では、第1スロットは、テーパ状の切り欠き部分の先端部から延びたスリットを有し、そのスリットに第2の基板が挿入されるようになっている。これにより、第2の基板の動きが規制されるので、アンテナ装置の組立てが容易になる。
【0027】
本発明の請求項9に係る測定装置は、電波無響室(101)と、前記電波無響室の内壁に設けられた電波吸収体(102)と、前記電波無響室の内部に設けられた請求項1〜8のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)と、前記アンテナ装置に接続された信号分析器(103)と、を備え、前記電波無響室の内部に設置された被測定装置(120)により放射された電波の水平偏波成分および垂直偏波成分が前記アンテナ装置により同時に受信されてそれぞれ第1の受信信号および第2の受信信号として前記信号分析器に送られ、前記第1の受信信号および前記第2の受信信号に基づいて前記信号分析器により前記被測定装置の電波送信特性が測定されることを特徴とする。
【0028】
この構成により、本発明の請求項9に係る測定装置は、被測定装置が放射する電波の水平偏波成分および垂直偏波成分を同時に受信し、各偏波成分に基づいて被測定装置の電波送信特性を効率的に測定することができる。
【0029】
本発明の請求項10に係る測定装置は、電波無響室(101)と、前記電波無響室の内壁に設けられた電波吸収体(102)と、前記電波無響室の内部に設けられた請求項1〜8のいずれか1項に記載の第1のアンテナ装置(1a)および請求項1〜8のいずれか1項に記載の第2のアンテナ装置(1b)と、前記第1のアンテナ装置に接続された信号発生器(104)と、前記第2のアンテナ装置に接続された信号分析器(103)と、を備え、前記信号発生器により生成された第1の送信信号および第2の送信信号が前記第1のアンテナ装置に送られ該第1のアンテナ装置よりそれぞれ水平偏波および垂直偏波として同時に放射され、放射された前記水平偏波および前記垂直偏波が前記電波無響室の内部に設置された被測定装置(120)により受信され、受信した前記水平偏波および前記垂直偏波に応答して前記被測定装置により放射された応答電波が前記第2のアンテナ装置により水平偏波成分および垂直偏波成分として同時に受信されてそれぞれ第1の受信信号および第2の受信信号として前記信号分析器に送られ、前記第1の受信信号および前記第2の受信信号に基づいて前記信号分析器により前記被測定装置の電波送受信特性が測定されることを特徴とする。
【0030】
この構成により、本発明の請求項10に係る測定装置は、第1のアンテナ装置から水平偏波と垂直偏波を同時に放射し、携帯端末などの被測定装置の応答電波の水平偏波成分と垂直偏波成分を第2のアンテナ装置で同時に受信し、受信した各偏波成分に基づいて被測定装置の電波送受信特性を効率的に測定することができる。
【0031】
本発明の請求項11に係るアンテナ装置は、誘電体からなる第1の基板(20)と、前記第1の基板の一面(20a)に設けられた第1アンテナ導体(21)および他面(20b)に設けられた第2アンテナ導体(23)と、前記第1の基板の第1端面(20c)に向かって開口している第1スロット(25)と、を有する第1のアンテナ素子(2)と、誘電体からなる第2の基板(30)と、前記第2の基板の一面(30a)に設けられた第3アンテナ導体(31)および他面(30b)に設けられた第4アンテナ導体(33)と、を有する第2のアンテナ素子(3)と、を備え、前記第2の基板は、第2端面(30c)に対向する第3端面(30d)を有し、前記第1の基板と第2の基板とが交差するように、少なくとも前記第2の基板が前記第1スロットに挿通され、前記第3端面の長手方向と前記第2端面の長手方向は前記第1スロットの長さに応じた所定の角度(φ)を有することを特徴とする。
【0032】
この構成により、本発明の請求項11に係るアンテナ装置は、水平偏波と垂直偏波の両方を同時に送信または受信することができる。また、第1の基板の第1スロットに第2の基板を挿入して組み立てる際、第2の基板を第1の基板に対して横スライドさせることができ、組み立てが容易になる。
【0033】
本発明の請求項12に係るアンテナ装置では、前記第3端面の中心(O)から前記第2端面までの距離(L)は、前記第1スロットの長さよりも短くなっている。
【0034】
この構成により、本発明の請求項12に係るアンテナ装置は、第1の基板に対して第2の基板を横スライドさせて組み立てる際、第2の基板を第1の基板の第1スロットに挿通させるのが容易になる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、水平偏波と垂直偏波の両方を同時に送信または受信することができるアンテナ装置および該アンテナ装置を用いた測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。
図2】(a)は図1に示すアンテナ装置における第1のアンテナ素子の平面図であり、(b)はその底面図である。
図3】(a)は図1に示すアンテナ装置における第2のアンテナ素子の平面図であり、(b)はその底面図である。
図4】(a)は図2(a)のA−A線部分断面図であり、(b)は図2(a)のB−B線部分断面図であり、(c)は図2(a)のC−C線部分断面図である。
図5】(a)は図3(a)のE−E線部分断面図であり、(b)は図3(a)のF−F線部分断面図であり、(c)は図3(a)のG−G線部分断面図である。
図6図1に示すアンテナ装置の組立方法を示す説明図である。
図7】本発明の実施形態に係るアンテナ装置の変形例を示す断面図である。
図8図1に示すアンテナ装置がホルダーに取り付けられた状態を示す斜視図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。
図10】(a)は図9に示すアンテナ装置における第1のアンテナ素子の平面図であり、(b)はその底面図である。
図11】(a)は図9に示すアンテナ装置における第2のアンテナ素子の平面図であり、(b)はその底面図である。
図12】本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置の斜視図である。
図13】(a)は図12に示すアンテナ装置における第1のアンテナ素子の平面図であり、(b)はその底面図である。
図14】本発明の第4の実施形態に係るアンテナ装置が備える第2のアンテナ素子を示し、(a)はその平面図であり、(b)は底面図である。
図15】本発明の第5の実施形態に係るアンテナ装置が備える第2のアンテナ素子を示し、(a)はその平面図であり、(b)は底面図である。
図16】本発明の実施形態に係る測定装置の構成例を示す構成図である。
図17】本発明の実施形態に係る測定装置の構成例を示す構成図である。
図18】本発明の実施形態に係る測定装置の構成例を示す構成図である。
図19】第2の実施形態に係るアンテナ装置の第1のアンテナ素子および第2のアンテナ素子の周波数特性の実測値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0038】
[第1の実施形態]
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置1は、第1のアンテナ素子2と第2のアンテナ素子3とを有している。第1のアンテナ素子2は、X−Z平面に平行な方向に電場振動面を有する直線偏波(例えば、水平偏波)を送受信し、第2のアンテナ素子3は、Y−Z平面に平行な方向に電場振動面を有する直線偏波(例えば、垂直偏波)を送受信するようになっている。すなわち、アンテナ装置1は、いわゆる両偏波アンテナである。また、アンテナ装置1は、電波の送受信方向に指向性を有している(Z方向の指向性)。
【0039】
本実施形態に係るアンテナ装置1は、例えば、スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末、或いはアンテナの電波送受信特性を測定するために、電波無響室内でテスト用アンテナとして使用されるものである。アンテナ装置1が送受信可能な電波の周波数帯は、例えば、28GHz帯(23〜31GHz)または39GHz帯(35〜43GHz)である。
【0040】
[第1のアンテナ素子]
図2に示すように、第1のアンテナ素子2は、誘電体からなる第1の基板20と、第1の基板20の一方の面である第1面20aに設けられた第1アンテナ導体21と、第1の基板20の他方の面である第2面20bに設けられた第2アンテナ導体23とを有している。第1のアンテナ素子2は、さらに、第1の基板の第1端面20cに向かって開口している第1スロット25を有している。第1スロット25の幅は、第2の基板30を挿入できるように、第2の基板30の厚みより若干広くなっている。
【0041】
図2に示すように、第1アンテナ導体21と第2アンテナ導体23の間隔は、第1の基板20の第1端面20cに向かって漸次拡大している。すなわち、第1のアンテナ素子2は、所謂テーパスロットアンテナになっている。第1アンテナ導体21と第2アンテナ導体23のなす角度θ1は、第1のアンテナ素子2から放射される電波のビーム幅を定めるパラメータであり、被測定装置の位置およびその位置の変動範囲を考慮して決定されるものである。限定するものではないが、例えば、θ1=15°である。
【0042】
第1の基板20は、伝送損失を抑えて広帯域化を実現するために低誘電率・低誘電正接の誘電体製プリント基板である。このプリント基板は、両面基板であるが、任意の層数の多層基板を用いてもよいことは勿論である。図2に示すように、第1の基板20の形状は、幅W1、高さH1の矩形である。限定するものではないが、例えば、幅W1が60mm、高さH1が80mm、厚さが0.3mmである。
【0043】
第1アンテナ導体21と第2アンテナ導体23は、第1の基板20の第1面20aと第2面20bとにそれぞれ形成された銅箔の導体パターンである。図2(a)に示すように、第1アンテナ導体21は、平面視の外形が四角形である。該四角形の一辺は、第1端面20cに沿って延び、それに続く一辺は、第1端面20cに垂直な方向(Z方向)に所定長さ延び、それに続く一辺は、第1スロット25の先端部25aに向かって延びている。図2(b)に示すように、第2アンテナ導体23は、第1アンテナ導体21と同形である。
【0044】
本実施形態の第1アンテナ導体21と第2アンテナ導体23は、上述のように四角形であるが、形状はこれに限定されず、三角形、五角形など任意の多角形にしてもよい。また、多角形の何れかの辺あるいは全部の辺を湾曲させた形状にしてもよい。また、第1アンテナ導体21と第2アンテナ導体23は、アンテナ特性を調整するために、形状を異ならせてもよい。
【0045】
第1の基板20の第1面20aには、銅箔からなる導体パターンで形成された第1伝送路22が形成されている。第1伝送路22は、一端が第1アンテナ導体21に接続され、他端が同軸コネクタ27の中心導体に接続されている。また、第1の基板20の第2面20bには、銅箔からなる導体パターンで形成された第2伝送路24が形成されている。第2伝送路24は、一端が第2アンテナ導体23に接続され、他端が同軸コネクタ27の外部導体に接続されている。
【0046】
図2および図4(a)に示すように、第1伝送路22と第2伝送路24は、第1の基板20を挟んで対向し、ペアストリップ線路を形成している。また、図4(b)に示すように、第2伝送路24は、同軸コネクタ27に接続される側の端部が末広がり状に形成され、第1伝送路22と第2伝送路24とがマイクロストリップ線路を形成している。また、図4(c)に示すように、第1の基板20の第1面20aに形成された第1アンテナ導体21と、第2面20bに形成された第2アンテナ導体23は、第1スロット25を挟んで斜向かいに配置されている。
【0047】
同軸コネクタ27は、第1の基板20の第1端面20cの両端に隣接する第7端面20gおよび第8端面20hのいずれか一方に設けられる。同軸コネクタ27として、Kコネクタが用いられているが、種類はこれに限定されるものではない。
【0048】
[第2のアンテナ素子]
次に、第2のアンテナ素子3について説明する。
【0049】
図3に示すように、第2のアンテナ素子3は、誘電体からなる第2の基板30と、第2の基板30の一方の面である第3面30aに設けられた第3アンテナ導体31と、第2の基板30の他方の面である第4面30bに設けられた第4アンテナ導体33とを有している。
【0050】
第3アンテナ導体31と第4アンテナ導体33との間隔は、第2の基板30の第2端面30cに向かって漸次拡大している。第3アンテナ導体31と第4アンテナ導体33のなす角度θ2は、第2のアンテナ素子3から放射される電波のビーム幅を定めるパラメータである。この角度θ2は、第1アンテナ導体21と第2アンテナ導体23の角度θ1と等しくなっているが、互いに異なる角度にしてもよい。
【0051】
第2の基板30は、第1の基板20と同じ材質のプリント基板からなり、形状も第1の基板20と同様に幅W2、高さH3の矩形である。すなわち、W1=W2,H1=H3である。アンテナ特性を調整するために、第1の基板20と第2の基板30を互いに異なる形状にしてもよいし、異なる材質で構成してもよい。
【0052】
第3アンテナ導体31と第4アンテナ導体33は、第2の基板30の第3面30aと第4面30bとにそれぞれ形成された銅箔の導体パターンである。図3(a)に示すように、第3アンテナ導体31は、平面視が四角形である。該四角形の一辺は、第2端面30cに沿って延び、それに続く一辺は、第1端面20cに垂直な方向(Z方向)に所定長さ延びている。
【0053】
図3(b)に示すように、第4アンテナ導体33は第3アンテナ導体31と同形である。第3アンテナ導体31および第4アンテナ導体33は、第1アンテナ導体21および第2アンテナ導体23と同形にしてもよいし、第1のアンテナ素子2と第2のアンテナ素子3のアンテナ特性のずれを無くすよう調整するために、形状を異ならせてもよい。
【0054】
図3に示すように、第2の基板30は、第2端面30cに対向する第3端面30dと第4端面30eを有しており、第4端面30eは第2端面30cと第3端面30dの間に位置している。第4端面30eの幅W3は、第2の基板30の幅W2の半分に第1の基板20の板厚tの半分を加えた大きさにほぼ等しい。すなわち、W3≒W2/2+t/2である。
【0055】
第2の基板30は、第3端面30dの一端と第4端面30eの一端を含む(接続する)第5端面30fを有している。この第5端面30fは、第3端面30dと第4端面30eの段差部を形成しており、その高さH4は、第1の基板20の第1スロット25の先端部25aから第6端面20dまでの距離H2(図2参照)より若干大きくなっている。別言すれば、第2の基板30の第3端面30dの側に、幅W3、高さH4の矩形状の切り欠き部36が形成されている。この構成により、第1の基板20に対して第2の基板30を横スライドさせて組み立てるのが容易になる。
【0056】
第2の基板30の第3面30aには、銅箔からなる導体パターンで形成された第3伝送路32が形成されている。第3伝送路32は、一端が第3アンテナ導体31に接続され、他端が同軸コネクタ37の中心導体に接続されている。第2の基板30の第4面30bには、銅箔からなる導体パターンで形成された第4伝送路34が形成されている。第4伝送路34は、一端が第4アンテナ導体33に接続され、他端が同軸コネクタ37の外部導体に接続されている。
【0057】
図3および図5(a)に示すように、第3伝送路32と第4伝送路34は、第2の基板30を挟んで対向し、ペアストリップ線路を形成している。また、図5(b)に示すように、第4伝送路34は、同軸コネクタ37に接続される側の端部が末広がり状に形成され、第3伝送路32と第4伝送路34とがマイクロストリップ線路を形成している。また、図5(c)に示すように、第2の基板30の第3面30aに形成された第3アンテナ導体31と、第4面30bに形成された第4アンテナ導体33は、第2の基板30を挟んで斜向かいに配置されている。
【0058】
次に、本実施形態に係るアンテナ装置1の立体構造について説明する。
【0059】
図1に示すように、本実施形態に係るアンテナ装置1は、第1のアンテナ素子2と第2のアンテナ素子3とが直交するように、第1の基板20と第2の基板30とが組み立てられている。具体的には、第1の基板20と第2の基板30とが直交するように、少なくとも第2の基板30の第4端面30eが、第1の基板20の第1スロット25に挿通されている。
【0060】
より具体的には、アンテナ装置1は、第2の基板30の中心線T2に沿った部分が、第1の基板20の第1スロット25に挟まれている。すなわち、第1の基板20の中心線T1と第2の基板30の中心線T2とが一致するように、第1の基板20と第2の基板30とが直交している。
【0061】
組立時には、図6(a)に示すように、第2の基板30を第1の基板20に対して矢印Kの方向に横スライドさせて、第4端面30eより上側の部分を第1の基板20の第1スロット25に挿入していく。そして、図6(b)に示すように、第2の基板30の第5端面30fが第1の基板20に突き当たった状態で、第1の基板20と第2の基板30を後に説明するホルダー40で支持する。
【0062】
組み立てられたアンテナ装置1は、第2の基板30の第5端面30fが、第1の基板20の第2面20bに当接している。なお、組立時に、第1の基板20を第2の基板30に対して横スライドさせてもよいことは勿論である。
【0063】
図7は、図6(b)と同様の断面図であり、アンテナ装置1の変形例を示す。図7(a)に示す変形例では、第2の基板30Aの第4端面30eが、第5端面30fから離れるほど第2端面30cとの距離が小さくなるよう傾斜している。この構成により、第1の基板20に対して第2の基板30Aを横スライドさせて組み立てる際、第2の基板30Aの第4端面30eを、第1の基板20の第1スロット25に挿通させるのが容易になる。
【0064】
図7(b)に示す変形例では、第2の基板30Bは、第4端面30eが、第1の基板20の第1スロット25の先端部25aから離間している。また、第2の基板30Bの第5端面30fは、第1の基板20の第2面20bから離間している。この構成により、組立時に第1の基板20に対して第2の基板30Bを横スライドさせて組み付けるのが容易になる。
【0065】
図8は、本実施形態に係るアンテナ装置1をホルダー40に取り付けた状態を示す。ホルダー40は、台座45と4個の支持具41、42、43、44と固定具46とを有している。支持具41、42、43、44は固定具46により台座45に固定されている。各支持具41、42、43、44は、それぞれ2つの部材からなり、それらの部材間に第1の基板20または第2の基板30を挟んで支持するようになっている。
【0066】
第1の基板20は、ホルダー40の支持具41と支持具42とで支持されている。また、第2の基板30は、支持具43と支持具44とで支持されている。第1の基板20と第2の基板30は、ホルダー40のテーブル面46cの上に設置されている。アンテナ装置1が送受信する電波に影響を与えないように、ホルダー40は、固定用のネジ47を含めて全体が低誘電率のポリカーボネートで製造されている。
【0067】
次に、作用効果について説明する。
【0068】
本実施形態に係るアンテナ装置1は、第1のアンテナ素子2と第2のアンテナ素子3がそれぞれテーパスロットアンテナになっている。また、第1のアンテナ素子2の第1の基板20は、第1端面20cに向かって開口している第1スロット25を有している。第2のアンテナ素子3の第2の基板30は、第2端面30cに対向する第3端面30dと第4端面30eを有し、第4端面30eは第2端面30cと第3端面30dの間に位置している。そして、第1の基板20と第2の基板30とが交差するように、第2の基板30の第4端面30eが第1の基板20の第1スロット25に挿通されている。
【0069】
この構成により、第1のアンテナ素子2が、第1の基板20に平行な方向に電場振動面を有する直線偏波(例えば、水平偏波)を送信または受信し、同時に、第2のアンテナ素子3が、第2の基板30に平行な方向に電場振動面を有する直線偏波(例えば、垂直偏波)を送信または受信することができる。
【0070】
また、本実施形態に係るアンテナ装置1では、第2の基板30は、第2端面30cに対向する第3端面30dと第4端面30eを有し、第4端面30eは第2端面30cと第3端面30dの間に位置している。すなわち、第2の基板30には、第3端面30dと第4端面30eとにより画定される切り欠き部36が形成されている。
【0071】
この構成により、第1の基板20の第1スロット25に第2の基板30を挿入して組み立てる際、第2の基板30を第1の基板20に対して所定の位置まで横スライドさせることができ、組み立てが容易になる。
【0072】
また、本実施形態に係るアンテナ装置1では、第2の基板30は、第3端面30dあるいは第4端面30eの端のいずれかを含む第5端面30fを有している。この構成により、第1の基板20に対して第2の基板30を横スライドさせて組み立てる際、第2の基板30の第5端面30fがストッパとして働き、横スライドの範囲を限定することができる。
【0073】
また、本実施形態に係るアンテナ装置1は、第2の基板30の第5端面30fが第1の基板20に当接している。この構成により、第1の基板20に対して第2の基板30を横スライドさせて組み立てる際、第2の基板30の第5端面30fが第1の基板20に突き当るまで横スライドさせることで、第2の基板30の横方向(Y軸方向)の位置決めを容易に行うことができる。
【0074】
また、本実施形態に係るアンテナ装置1は、第1アンテナ導体21と第2アンテナ導体23が、第1の基板20に導体パターンにより形成され、第3アンテナ導体31と第4アンテナ導体33が、第2の基板30に導体パターンにより形成されている。この構成により、フォトリソグラフィ技術により第1アンテナ導体21、第2アンテナ導体23、第3アンテナ導体31および第4アンテナ導体33を第1の基板20または第2の基板30に容易に形成することができる。
【0075】
また、本実施形態に係るアンテナ装置1は、第1の基板20の第1面20aに、導体パターンで形成され且つ第1アンテナ導体21に接続された第1伝送路22が形成されている。また、第1の基板20の第2面20bに、導体パターンで形成され且つ第2アンテナ導体23に接続された第2伝送路24が形成されている。そして、第1伝送路22と第2伝送路24とが第1の基板20を挟んで対向して配置され、いわゆるペアストリップ線路を形成している。第2の基板30も同様に、第3伝送路32と第4伝送路34とが第2の基板30を挟んで対向して配置され、ペアストリップ線路を形成している。
【0076】
この構成により、第1アンテナ導体21と第2アンテナ導体23への電力の供給、および第1アンテナ導体21と第2アンテナ導体23からの信号の伝送を効率的に行うことができる。同様に、第3アンテナ導体31と第4アンテナ導体33への電力の供給、および第3アンテナ導体31と第4アンテナ導体33からの信号の伝送を効率的に行うことができる。また、本実施形態に係るアンテナ装置1は、アンテナ性能の狭帯域化をもたらすインピーダンス整合用スタブが不要なため、アンテナの広帯域化を実現することができる。
【0077】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置を説明する。
【0078】
図9は、本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置1Aの斜視図である。本実施形態に係るアンテナ装置1Aは、第1のアンテナ素子2Aがテーパ状の第1スロット25を有し、第2のアンテナ素子3Aがテーパ状の第2スロット35を有している点で、第1の実施形態と異なっている。その他の構成は第1の実施形態と同一であり、同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0079】
図10(a)は、アンテナ装置1Aにおける第1のアンテナ素子2Aの平面図であり、図10(b)はその底面図である。第1のアンテナ素子2Aは、第1の基板20の第1端面20cに向かって開口している第1スロット25を有している。第1スロット25は、第1の基板20の第1アンテナ導体21と第2アンテナ導体23との間隙に対応する部分が切り欠かれて構成されており、第1端面20cに向かって漸次拡大する部分を有している。
【0080】
図11(a)は、アンテナ装置1Aにおける第2のアンテナ素子3Aの平面図であり、図11(b)はその底面図である。第2のアンテナ素子3Aは、第2の基板30の第2端面30cに向かって開口している第2スロット35を有している。第2スロット35は、第2の基板30の第3アンテナ導体31と第4アンテナ導体33との間隙に対応する部分が切り欠かれて構成されており、第2端面30cに向かって漸次拡大している。
【0081】
本実施形態では、第1アンテナ導体21と第2アンテナ導体23との間隙、および第3アンテナ導体31と第4アンテナ導体33との間隙に対応する基板部分が切り欠かれているので、送受信する電波の基板での減衰を低減することができる。
【0082】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置を説明する。
【0083】
図12は、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置1Bの斜視図である。本実施形態に係るアンテナ装置1Bは、第1のアンテナ素子2Bの第1スロット25に、さらにスリット26が含まれている点で、第2の実施形態と異なっている。その他の構成は第2の実施形態と同一であり、同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0084】
図13(a)は、アンテナ装置1Bにおける第1のアンテナ素子2Bの平面図であり、図13(b)はその底面図である。第1のアンテナ素子2Bは、第1の基板20の第1端面20cに向かって開口している第1スロット25を有している。第1スロット25は、第1の基板20の第1アンテナ導体21と第2アンテナ導体23との間隙に対応する部分が切り欠かれて構成されており、第1端面20cに向かって漸次拡大している。
【0085】
この第1スロット25は、第1スロット25の第1端面20cに向かって漸次拡大する部分における先端部25aから第1端面20cに対向する第6端面20dに直交する方向(Z方向)に延びるスリット26をさらに含んでいる。スリット26の幅は、第2の基板30を挿入できるように、第2の基板30の厚みより若干広くなっている。
【0086】
第2のアンテナ素子3Bは、図11に示す第2の実施形態に係る第2のアンテナ素子3Aと同じである。或いは、第2のアンテナ素子3Bとして、図3に示す第1の実施形態に係る第2のアンテナ素子3を採用してもよい。
【0087】
本実施形態では、第1スロット25は、テーパ状の切り欠き部分の先端部25aから延びたスリット26を有し、そのスリット26に第2の基板30が挿入される。これにより、第2の基板30の横方向(X方向)への動きが規制されるので、アンテナ装置の組立てが容易になる。
【0088】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係るアンテナ装置を説明する。
【0089】
本実施形態に係るアンテナ装置は、第2のアンテナ素子3Cの第2端面30cに対向する第4端面30eが傾斜している点で、傾斜していない第2の実施形態と異なっている。その他の構成は第2の実施形態と同一であり、同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0090】
第1のアンテナ素子は、図10に示す第2の実施形態に係る第1のアンテナ素子2Aと同じであるが、図2に示す第1の実施形態に係る第1のアンテナ素子2、或いは図13に示す第3の実施形態に係る第1のアンテナ素子2Bを採用してもよい。
【0091】
図14(a)は、第2のアンテナ素子3Cの平面図であり、図14(b)はその底面図である。第2のアンテナ素子3Cは、第2の基板30の第2端面30cに向かって開口している第2スロット35を有している。第2スロット35は、第2の基板30の第3アンテナ導体31と第4アンテナ導体33との間隙に対応する部分が切り欠かれて構成されており、第2端面30cに向かって漸次拡大している。
【0092】
図14に示すように、第2の基板30は、第2端面30cに対向する第3端面30dと第4端面30eを有している。第3端面30dは第2端面30cに平行であり、第4端面30eは第2端面30cに対して傾斜している。第4端面30eの長手方向と第2端面30cの長手方向は、角度ψを有しており、この角度ψは、第1スロット25(図10参照)および第3端面30dの長さに応じた値に設定されている。
【0093】
具体的には、第4端面30eと中心線T2との交点Pと、第2端面30cとの距離Mが、第1スロット25の長さよりも短くなっている。この構成により、第1の基板20に対して第2の基板30を横スライドさせて組み立てる際、所定の位置に到達するまで第1スロット25の先端部25aに第2の基板30が当たらないので、組み立てが容易になる。
【0094】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態に係るアンテナ装置を説明する。
【0095】
本実施形態に係るアンテナ装置は、第2のアンテナ素子3Dの第2端面30cに対向する第3端面30dが傾斜している点で、傾斜していない第2の実施形態と異なっている。その他の構成は第2の実施形態と同一であり、同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0096】
第1のアンテナ素子は、図10に示す第2の実施形態に係る第1のアンテナ素子2Aと同じであるが、図2に示す第1の実施形態に係る第1のアンテナ素子2、或いは図13に示す第3の実施形態に係る第1のアンテナ素子2Bを採用してもよい。
【0097】
図15(a)は、第2のアンテナ素子3Dの平面図であり、図15(b)はその底面図である。第2のアンテナ素子3Dは、第2の基板30の第2端面30cに向かって開口している第2スロット35を有している。第2スロット35は、第2の基板30の第3アンテナ導体31と第4アンテナ導体33との間隙に対応する部分が切り欠かれて構成されており、第2端面30cに向かって漸次拡大している。
【0098】
図15に示すように、第2の基板30は、第2端面30cに対向する第3端面30dを有している。第3端面30dの長手方向と第2端面30cの長手方向は、角度φを有しており、この角度φは、第1スロット25の長さに応じた値に設定されている。
【0099】
具体的には、第3端面30dの中心Oから第2端面30cまでの距離Lは、第1スロット25の長さよりも短くなっている。この構成により、第1の基板20に対して第2の基板30を横スライドさせて組み立てる際、所定の位置に到達するまで第1スロット25の先端部25aに第2の基板30が当たらないので、組み立てが容易になる。
【0100】
次に、本実施形態に係る測定装置について説明する。
【0101】
[測定装置の構成例1]
図16(a)は、本実施形態に係る測定装置100Aの構成例1を示す。この測定装置100Aは、電波無響室101と、電波無響室101の内壁に設けられた電波吸収体102と、電波無響室101の内部に設けられたアンテナ装置1と、アンテナ装置1に接続された信号分析器103と、を備えている。アンテナ装置1の代わりに、第2〜第5の実施形態のアンテナ装置のいずれを用いてもよく、下記の構成例2〜7についても同様である。
【0102】
信号分析器103は、例えば、スペクトラムアナライザである。アンテナ装置1はホルダー40により保持されている。アンテナ装置1の第1のアンテナ素子2の同軸コネクタ27と信号分析器103とは同軸ケーブル110aにより接続され、第2のアンテナ素子3の同軸コネクタ37と信号分析器103とは同軸ケーブル110bにより接続されている。携帯端末などの被測定装置120は、電波無響室101の内部に設置されたテーブル106の上に配置されている。
【0103】
電波無響室101の内部に配置された被測定装置120により放射された電波の水平偏波成分および垂直偏波成分が、それぞれアンテナ装置1の第1のアンテナ素子2および第2のアンテナ素子3により同時に受信される。アンテナ装置1で受信した水平偏波成分および垂直偏波成分は、それぞれ第1の受信信号および第2の受信信号として同軸ケーブル110aおよび110bにより信号分析器103に送られる。信号分析器103では、信号分析器103で受信した第1の受信信号および第2の受信信号に基づいて、被測定装置120の電波送信特性(例えば、周波数スペクトル(周波数に対する電力または電圧))が測定される。この構成により、被測定装置120が放射する電波の水平偏波成分および垂直偏波成分を同時に受信し、各偏波成分に基づいて被測定装置120の電波送信特性を効率的に測定することができる。
【0104】
[測定装置の構成例2]
図16(b)は、本実施形態に係る測定装置100Bの構成例2を示す。この測定装置100Bは、電波無響室101と、電波無響室101の内壁に設けられた電波吸収体102と、電波無響室101の内部に設けられた第1のアンテナ装置1aおよび第2のアンテナ装置1bと、第1のアンテナ装置1aに接続された信号発生器104と、第2のアンテナ装置1bに接続された信号分析器103と、を備えている。
【0105】
第1のアンテナ装置1aはホルダー40aにより保持され、第2のアンテナ装置1bはホルダー40bにより保持されている。第1のアンテナ装置1aは、第1の送信信号用の同軸ケーブル111aおよび第2の送信信号用の同軸ケーブル111bにより信号発生器104に接続されている。第2のアンテナ装置1bは、第1の受信信号用の同軸ケーブル110aと第2の受信信号用の同軸ケーブル110bにより信号分析器103に接続されている。
【0106】
信号発生器104により生成された第1の送信信号および第2の送信信号が、第1のアンテナ装置1aに送られ、第1のアンテナ装置1aよりそれぞれ水平偏波および垂直偏波として同時に放射される。放射された水平偏波および垂直偏波は、電波無響室101の内部に設置された携帯端末などの被測定装置120により受信される。被測定装置120は、受信した水平偏波および垂直偏波に応答して、応答電波を放射する。次いで、第2のアンテナ装置1bにより、応答電波の水平偏波成分と垂直偏波成分が同時に受信され、各々が第1の受信信号および第2の受信信号として信号分析器103に送られる。信号分析器103では、信号分析器103で受信した第1の受信信号および第2の受信信号に基づいて、被測定装置120の電波送受信特性が測定される。この構成により、被測定装置120の電波送受信特性を効率的に測定することができる。
【0107】
[測定装置の構成例3]
図16(c)は、本実施形態に係る測定装置100Cの構成例3を示す。この測定装置100Cは、電波無響室101と、電波無響室101の内壁に設けられた電波吸収体102と、電波無響室101の内部に設けられたアンテナ装置1と、アンテナ装置1に接続されたサーキュレータなどの信号切替器105と、信号切替器105に接続された信号発生器104および信号分析器103と、を備えている。
【0108】
信号発生器104は、第1の送信信号用の同軸ケーブル111aと第2の送信信号用の同軸ケーブル111bにより信号切替器105に接続されている。また、信号分析器103は、第1の受信信号用の同軸ケーブル110aと第2の受信信号用の同軸ケーブル110bにより信号切替器105に接続されている。また、アンテナ装置1は、同軸ケーブル112aおよび同軸ケーブル112bにより信号切替器105に接続されている。信号切替器105により信号を切換えることにより、1個のアンテナ装置1を用いて送受信が可能になる。
【0109】
信号発生器104により生成された第1の送信信号および第2の送信信号が、信号切替器105を介してアンテナ装置1に送られ、アンテナ装置1より水平偏波および垂直偏波として同時に放射される。放射された水平偏波および垂直偏波は、電波無響室101の内部に設置された被測定装置120により受信され、受信した水平偏波および垂直偏波に応答して被測定装置120により応答電波が放射される。次いで、放射された応答電波の水平偏波成分および垂直偏波成分がアンテナ装置1により受信され、第1の受信信号および第2の受信信号として信号切替器105を介して信号分析器103に送られる。信号分析器103では、受信した第1の受信信号および第2の受信信号に基づいて、被測定装置120の電波送受信特性が測定される。
【0110】
[測定装置の構成例4]
図17(a)は、本実施形態に係る測定装置100Dの構成例4を示す。この測定装置100Dは、電波無響室101と、電波無響室101の内壁に設けられた電波吸収体102と、電波無響室101の内部に設けられたアンテナ装置1と、第1の送信信号用の同軸ケーブル111aおよび第2の送信信号用の同軸ケーブル111bによりアンテナ装置1に接続された信号発生器104と、同軸ケーブル113を介して電波無響室101の内部に設置された被測定装置120に接続された信号分析器103と、を備えている。
【0111】
信号発生器104により生成された第1の送信信号および第2の送信信号が、アンテナ装置1に送られ、アンテナ装置1よりそれぞれ水平偏波および垂直偏波として同時に放射される。放射された水平偏波および垂直偏波は、電波無響室101の内部に設置されたアンテナなどの被測定装置120により受信される。被測定装置120により受信された信号は、スペクトラムアナライザなどの信号分析器103に送られ、信号分析器103により被測定装置120の電波受信特性が測定される。
【0112】
[測定装置の構成例5]
図17(b)は、本実施形態に係る測定装置100Eの構成例5を示す。この測定装置100Eは、電波無響室101と、電波無響室101の内壁に設けられた電波吸収体102と、電波無響室101の内部に設けられたアンテナ装置1と、第1の受信信号用の同軸ケーブル110aおよび第2の受信信号用の同軸ケーブル110bによりアンテナ装置1に接続された信号分析器103と、同軸ケーブル114を介して電波無響室101の内部に設置された被測定装置120に接続された信号発生器104と、を備えている。
【0113】
信号発生器104により生成された送信信号が、アンテナなどの被測定装置120から電波として放射され、放射された電波の水平偏波成分および垂直偏波成分がアンテナ装置1により同時に受信される。アンテナ装置1により受信された水平偏波成分および垂直偏波成分は、それぞれ第1の受信信号および第2の受信信号としてスペクトラムアナライザなどの信号分析器103に送られ、信号分析器103により被測定装置120の電波送信特性が測定される。
【0114】
[測定装置の構成例6]
図17(c)は、本実施形態に係る測定装置100Fの構成例6を示す。この測定装置100Fは、電波無響室101と、電波無響室101の内壁に設けられた電波吸収体102と、電波無響室101の内部に設けられたアンテナ装置1と、第1の受信信号用の同軸ケーブル110aおよび第2の受信信号用の同軸ケーブル110bによりアンテナ装置1に接続された信号分析器103と、電波無響室101の内部に設けられた位置決め装置107と、信号線115を介して位置決め装置107の駆動を制御するコントローラ108と、を備えている。
【0115】
被測定装置120は、位置決め装置107の上に載置され、コントローラ108により位置決め装置107の駆動を制御することにより、被測定装置120の位置および方向を自在に設定できるようになっている。被測定装置120により放射された電波の水平偏波成分および垂直偏波成分が、アンテナ装置1により同時に受信される。アンテナ装置1で受信した水平偏波成分および垂直偏波成分は、それぞれ第1の受信信号および第2の受信信号としてスペクトラムアナライザなどの信号分析器103に送られ、信号分析器103により被測定装置120の各配置(位置と方向)に対して電波送信特性が測定される。
【0116】
[測定装置の構成例7]
図18は、本実施形態に係る測定装置100Gの構成例7を示す。この測定装置100Gは、構成例3のテーブル106の代わりに、位置決め装置107とそのコントローラ108を備えている点で異なっており、その他の構成は構成例3と同じである。コントローラ108は、信号線115を介して位置決め装置107の駆動を制御するようになっている。
【0117】
被測定装置120は、位置決め装置107の上に載置され、コントローラ108により位置決め装置107の駆動を制御することにより、被測定装置120の位置および方向を自在に設定できるようになっている。
【0118】
信号発生器104により生成された第1の送信信号および第2の送信信号が、信号切替器105を介してアンテナ装置1に送られ、アンテナ装置1より水平偏波および垂直偏波として同時に放射される。放射された水平偏波および垂直偏波は、電波無響室101の内部で位置決め装置107上に設置された被測定装置120により受信され、受信した水平偏波および垂直偏波に応答して被測定装置120により応答電波が放射される。次いで、放射された応答電波の水平偏波成分および垂直偏波成分がアンテナ装置1により受信され、第1の受信信号および第2の受信信号として信号切替器105を介して信号分析器103に送られる。信号分析器103では、受信した第1の受信信号および第2の受信信号に基づいて、被測定装置120の各配置(位置と方向)に対して電波送受信特性が測定される。
【0119】
図19は第2の実施形態にかかるアンテナ装置の第1のアンテナ素子および第2のアンテナ素子の周波数特性の実測値を示す。図19に示されるように、ともに第2の実施形態にかかるアンテナ装置は、第1アンテナ導体21と第2アンテナ導体23のなす角度θ1と第3アンテナ導体31と第4アンテナ導体33のなす角度θ2を最適化することで水平偏波と垂直偏波の両方を広帯域で同程度の利得にて送受信することができることがわかる。
【0120】
以上述べたように、本発明は、水平偏波と垂直偏波の両方を同時に送信または受信することができるという効果を有し、アンテナ装置および該アンテナ装置を用いた測定装置の全般に有用である。
【符号の説明】
【0121】
1、1A、1B アンテナ装置
2、2A、2B 第1のアンテナ素子
3、3A、3B、3C、3D 第2のアンテナ素子
20 第1の基板
20a 第1面(第1の基板の一面)
20b 第2面(第1の基板の他面)
20c 第1端面
20d 第6端面
21 第1アンテナ導体
22 第1伝送路
23 第2アンテナ導体
24 第2伝送路
25 第1スロット
26 スリット
27 同軸コネクタ
30 第2の基板
30a 第3面(第2の基板の一面)
30b 第4面(第2の基板の一面)
30c 第2端面
30d 第3端面
30e 第4端面
30f 第5端面
31 第3アンテナ導体
32 第3伝送路
33 第4アンテナ導体
34 第4伝送路
35 第2スロット
36 切り欠き部
37 同軸コネクタ
40、40a、40b ホルダー
41、42、43、44 支持具
45 台座
100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G 測定装置
101 電波無響室
102 電波吸収体
103 信号分析器
104 信号発生器
105 信号切替器
106 テーブル
107 位置決め装置
108 位置決め装置用のコントローラ
120 被測定装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15
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図17
図18
図19