(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-147544(P2019-147544A)
(43)【公開日】2019年9月5日
(54)【発明の名称】輸送施設の車両牽引ケーブルを支持および誘導する装置、このような装置の関節部、および装置を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B61B 12/02 20060101AFI20190809BHJP
【FI】
B61B12/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-31951(P2019-31951)
(22)【出願日】2019年2月25日
(31)【優先権主張番号】1851651
(32)【優先日】2018年2月26日
(33)【優先権主張国】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515238552
【氏名又は名称】ポマ
【氏名又は名称原語表記】POMA
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−フランソワ、ミュニエ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少ないメンテナンスを必要とし、堅牢であり、支持部に対する配置が容易である、支持部に対して可動要素を関節化する手段を提供する。
【解決手段】輸送施設の車両牽引ケーブルのための支持および誘導装置用の関節部であって、牽引ケーブルに接触するための回転ローラーを保持する支持部に、取り付けるように構成された、第1のフレーム(20)と、装置の保持構造内に形成された開口部に挿入されるように構成された、第2のフレーム(21)と、第1および第2のフレーム(20,21)の間に配置され、かつ、第1のフレーム(20)の、保持構造に対する旋回動作を可能にするように構成された、少なくとも1つの弾性要素(22,23)と、を備え、関節部は、関節部が開口部に挿入される際に、減少することが可能な可変外形を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送施設の車両牽引ケーブル(2)のための支持および誘導装置(1)用の関節部であって、前記車両牽引ケーブル(2)に接触するための回転ローラー(3)を保持する支持部(5〜11)に、取り付けるように構成された、第1のフレーム(20)を備えた、関節部において、
前記支持および誘導装置(1)の保持構造(4〜7)内に形成された開口部(24)に挿入されるように構成された、第2のフレーム(21)と、前記第1および第2のフレーム(20,21)の間に配置され、かつ、前記第1のフレーム(20)の、前記保持構造(4〜7)に対する旋回動作を可能にするように構成された、少なくとも1つの弾性要素(22,23)と、を備えること、および
前記関節部は、前記関節部が前記開口部(24)に挿入される際に、減少することが可能な、可変外形(D1)を有すること、を特徴とする関節部。
【請求項2】
前記関節部を前記開口部(24)に挿入する前、前記関節部の外径(D1)は、前記開口部(24)の内径(E)以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の関節部。
【請求項3】
前記第2のフレーム21は、隙間(28)により互いに離間された、少なくとも2つの部分(26,27)を備える、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の関節部。
【請求項4】
少なくとも1つの前記弾性要素(22,23)は、前記第2のフレーム(21)の少なくとも2つの前記部分(26,27)を離間する前記隙間(28)内に入る、ことを特徴とする請求項3に記載の関節部。
【請求項5】
前記第1のフレーム(20)は、追加の隙間(32)により互いに離間された、少なくとも2つの部分(30,31)を備える、ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の関節部。
【請求項6】
少なくとも1つの前記弾性要素(22,23)は、前記第1のフレーム(20)の少なくとも2つの前記部分(30,31)を離間する前記追加の隙間(32)内に入る、ことを特徴とする請求項5に記載の関節部。
【請求項7】
前記第2のフレーム(21)の少なくとも2つの前記部分(26,27)は、スロット(28)を呈する、同一の片の2つの端を形成し、前記スロットは、同一の片の長手方向軸(A)に沿って延び、かつ、前記第2のフレーム(21)の少なくとも2つの前記部分(26,27)を離間する前記隙間(28)に対応する、ことを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の関節部。
【請求項8】
前記第1のフレーム(20)の少なくとも2つの前記部分(30,31)は、スロット(32)を呈する、前記同一の内側片の2つの端を形成し、前記スロットは、同一の内側片の長手方向軸(A)に沿って延び、かつ、前記第1のフレーム(20)の少なくとも2つの前記部分(30,31)を離間する前記追加の隙間(32)に対応する、ことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の関節部。
【請求項9】
少なくとも1つの前記弾性要素(22,23)は、ゴム材料を備える、ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の関節部。
【請求項10】
前記第1および第2のフレーム(20,21)の間に位置する中間要素(25)と、前記中間要素(25)の両側に配置される2つの弾性要素(22,23)と、を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の関節部。
【請求項11】
輸送施設の車両牽引ケーブル(2)を支持および誘導する装置であって、
開口部(24)が形成された保持構造(4〜7)と、
前記車両牽引ケーブル(2)と接触するための回転ローラー(3)を保持する少なくとも1つの支持部(5〜11)と、
前記開口部(24)に挿入され、かつ、少なくとも1つの前記支持部(5〜11)を、前記保持構造(4〜7)に対して接続する、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の関節部(12〜18)と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項12】
輸送施設の車両牽引ケーブル(2)を支持および誘導する装置(1)を、製造する方法であって、
第1および第2のフレーム(20,21)の間に、少なくとも1つの弾性要素(22,23)を配置して、可変外径(D1)を有する関節部(12〜18)を形成するステップと、
前記関節部(12〜18)の前記外径(D1)を減少させることにより、前記関節部(12〜18)を、前記装置(1)の保持構造(4〜7)内に形成された開口部(24)に挿入するステップと、
前記保持構造(4〜7)に対して旋回可能な、前記第1のフレーム(20)を、前記車両牽引ケーブル(2)と接触するための回転ローラー(3)を保持する支持部(5〜11)に対して固定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送施設の車両牽引ケーブルの支持および誘導に関し、特に、空中牽引ケーブルの支持および誘導に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両用の牽引ケーブル輸送施設には、乗客の乗降ステーションの間で移動する牽引ケーブルの維持および誘導のためのバランスアームなどの、支持および誘導装置が設けられている。通常、バランスアームは、塔によって保持され、牽引ケーブルが載る回転ローラーが設けられている。ローラーは、関節化されたビームに設置され、自由に回転して、車両の重量およびローラー上のそのクランプの通過により、ケーブルの撓みが変化する間、塔に保持される牽引ケーブルを維持する。
【0003】
本出願者の名前で出願された仏国特許出願第FR2920385号は、リフト施設の空中ケーブルを支持および誘導する、バランスアームを調整するための機械装置を開示している。バランスアームは、キャリアフレームに沿って離間された平行の回転軸に従って、キャリアフレームに回転可能に設置された、ケーブル誘導ローラーを備える。
【0004】
特に、細長い片である軸を用いて、可動要素を関節化し、軸が固定設置される支持部に対して、回転または旋回させる。可動要素には、軸が挿入される貫通孔が設けられている。加えて、1つまたは複数の軸受が、軸と可動要素の間に配置され、支持部に対する、可動要素の旋回または回転動作を可能にする。一般的に、ローラーまたは玉軸受などの転がり軸受が、回転関節部に用いられ、すべり軸受、例えば弾性の中空円筒部が、旋回関節部に用いられる。しかし、玉軸受は、潤滑を必要とし、バランスアームが高所にあるか、またはアクセスが困難な場合、バランスアームにこのような潤滑を行うのは困難である。さらに、すべり軸受は、貫通孔内で誤った位置にある場合、または環境条件が厳しい場合、あるいは輸送施設の使用に応じて、摩耗することがある。
【0005】
より堅牢かつ摩耗しにくい旋回関節部を達成するために、鋼製軸と、軸を中心に接着により設置されるゴムとを、用いることができる。ゴムは、軸に対して機械的に接着し、よって、ゴムまたは軸を破壊しない限り、軸から取り除くことはできない。関節部は、次に、支持部内の開口部に挿入される。しかし、支持部の開口部は、事前定義されているため、挿入は困難であり、また、関節部の挿入を容易にするために、開口部を再び機械加工することも困難である。さらに、関節部の挿入は、連続する押し込みによって関節部を配置する、ユーザからのノウハウを必要とする。実際に、関節部の挿入は、第1の方向に行われるが、各押し込みにてゴムに及ぼされる弾性変形の制約のため、関節部は、各押し込みに対し、第1の方向とは反対の第2の方向に、開口部から外に出る傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、これらの欠点を克服することであり、特に、少ないメンテナンスを必要とし、堅牢であり、支持部に対する配置が容易である、支持部に対して可動要素を関節化する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、輸送施設の車両牽引ケーブルのための支持および誘導装置用の関節部が提供され、関節部は、牽引ケーブルに接触するための回転ローラーを保持する支持部に取り付けるように構成された、第1のフレームを備える。
【0008】
関節部は、装置の保持構造内に形成された開口部に挿入されるように構成された、第2のフレームと、第1および第2のフレームの間に配置され、かつ、第1のフレームの、保持構造に対する旋回動作を可能にするように構成された、少なくとも1つの弾性要素と、を備え、関節部は、関節部が開口部に挿入される際に、減少することが可能な、可変外形を有する。
【0009】
これにより、どのような潤滑も必要としない関節部が提供される。加えて、関節部は、その外径が変化可能であるため、より容易に挿入することができる。このような関節部は、特に、開口部の直径を変えずに、開口部内に挿入されるように構成されている。
【0010】
関節部を開口部に挿入する前、関節部の外径は、開口部の内径以上であってもよい。
【0011】
第2のフレームは、隙間により互いに離間された、少なくとも2つの部分を備えることができる。
【0012】
少なくとも1つの前記弾性要素は、第2のフレームの少なくとも2つの前記部分を離間する隙間内に入ることができる。
【0013】
第1のフレームは、追加の隙間により互いに離間された、少なくとも2つの部分を備えることができる。
【0014】
少なくとも1つの前記弾性要素は、第1のフレームの少なくとも2つの前記部分を離間する追加の隙間内に、さらに入ることができる。
【0015】
第2のフレームの少なくとも2つの前記部分は、スロットを呈する、同一の片の2つの端を形成することができ、スロットは、片の長手方向軸に沿って延び、かつ、第2のフレームの少なくとも2つの前記部分を離間する隙間に対応する。
【0016】
第1のフレームの少なくとも2つの前記部分は、スロットを呈する、同一の内側片の2つの端を形成することができ、スロットは、内側片の長手方向軸に沿って延び、かつ、第1のフレームの少なくとも2つの前記部分を離間する追加の隙間に対応する。
【0017】
少なくとも1つの前記弾性要素は、ゴム材料を備えることができる。
【0018】
関節部は、第1および第2のフレームの間に位置する中間要素と、中間要素の両側に配置される2つの弾性要素と、を備えることができる。
【0019】
もう1つの態様によれば、輸送施設の車両牽引ケーブルを支持および誘導する装置が提供され、装置は、開口部が形成された保持構造と、牽引ケーブルと接触するための回転ローラーを保持する少なくとも1つの支持部と、開口部に挿入され、かつ、支持部を、保持構造に対して接続する、上に定義した関節部と、を備える。
【0020】
さらに別の態様によると、輸送施設の車両牽引ケーブルを支持および誘導する装置を、製造する方法が提供される。
【0021】
方法は、第1および第2のフレームの間に、少なくとも1つの弾性要素を配置して、可変外径を有する関節部を形成するステップと、関節部の外径を減少させることにより、関節部を、装置の保持構造内に形成された開口部に挿入するステップと、保持構造に対して旋回可能な第1のフレームを、牽引ケーブルと接触するための回転ローラーを保持する支持部に対して固定するステップと、を含む。
【0022】
他の利点および特徴は、非限定の例として与えられ、付属する図面により表される、以下の本発明の特定の実施形態の説明から、より明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る支持および誘導装置の実施形態の斜視側面図を模式的に示す図。
【
図2】本発明に係る関節部の実施形態の断面図を模式的に示す図。
【
図3】関節部が保持構造の外部に位置する場合の、もう1つの関節部の実施形態の断面図を模式的に示す図。
【
図4】関節部が保持構造内に挿入されている場合の、
図3の関節部の断面図を模式的に示す図。
【
図5】支持および誘導装置のもう1つの実施形態の断面図を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および
図5において、車両牽引ケーブル2を支持および誘導する装置1を示している。支持および誘導する装置1は、バランスアームとしても示され、車両輸送施設の移動牽引ケーブル2の支持および誘導を提供する。牽引ケーブル2を用いる車両輸送施設は、好ましくは、チェアリフトまたはゴンドラリフト等の、索道型であり、牽引ケーブル2は、空中ケーブルである。施設は、ケーブルカー型とすることができ、牽引ケーブル2は、地面レベルに位置する。乗員輸送車両は、牽引ケーブル2に掛けられ、施設の1つのステーションから、もう1つのステーションまで、牽引される。特に、バランスアーム1は、牽引ケーブル2と接触するための回転ローラー3を保持する可動構造である。バランスアーム1は、通常、簡潔さのためにここでは不図示の塔の頂部に、可動設置される。
【0025】
バランスアーム1は、主ビーム4と、少なくとも1つの関節部12〜18を介して、保持構造4に対して旋回可能に設置された、少なくとも1つの可動要素5〜11と、を備える。可動要素5〜11は、また、二次ビームとも呼ばれる。主ビーム4は、塔に固定設置される。可動要素5〜11は、ローラー3を、主ビーム4に対して関節化して、牽引ケーブル2の動きに追従することを可能にする。例えば、
図1において、8つの回転ローラー3を備えたバランスアーム1を示している。バランスアーム1は、第1の関節部12を介して主ビーム4に可動設置された、主可動要素5を備える。2つの二次可動要素6,7は、それぞれ、第2および第3の関節部13,14を介して、主可動要素5に可動設置される。2つの三次可動要素8,9は、それぞれ、第4および第5の関節部15,16と示される2つの関節部を介して、第1の二次可動要素6に可動設置される。2つの他の三次可動要素10,11は、それぞれ、第6および第7の関節部17,18と示される2つの関節部を介して、第2の二次可動要素7に可動設置される。各ローラー3は、回転関節部19を介して、三次可動要素8〜11に回転可能に設置されている。回転関節部19は、ローラー3の自由な回転を可能にする。他の7つの関節部12〜18は、好ましくは、旋回関節部である。
【0026】
一般的に、第1の可動要素5〜11は、第2の可動要素5〜7か、または、固定要素4に、関節部12〜18を介して、関節化されて設置される。第1の可動要素5〜11は、また、回転ローラー3を保持する支持部としても示され、第2の可動要素5〜7または固定要素4は、保持構造とも呼ばれる。換言すると、主および二次可動要素5〜7は、ローラー支持部3と、保持構造と、の両方である。関節部12〜18は、よって、保持構造4〜7に対する、支持部5〜11の関節動作を可能にする。
【0027】
特に、ローラー3は、回転可能に設置され、可動要素5〜11は、旋回可能に設置される。用語“回転可能に設置される”とは、回転軸を中心として、1回または複数回の完全な回転を行うことができる要素を意味する。用語“旋回可能に設置される”とは、一方または他方の回転方向に、360°未満、特に20°未満の回転の一部を行うことができる要素を意味する。好ましくは、第1の関節部12は、一方または他方の回転方向に最大で5°の旋回動作を可能にする。例えば、第2および第3の関節部13,14は、一方または他方の回転方向に最大で10°の旋回動作を可能にする。別の例では、他の4つの関節部15〜18は、一方または他方の回転方向に最大で15°の旋回動作を可能にする。各関節部12〜18により可能となる、旋回動作は、バランスアーム1内のその位置および牽引ケーブル2により及ぼされる負荷に応じる。
【0028】
図2〜
図5は、関節部15〜18の実施形態を示している。概して、関節部15〜18は、第1のフレーム20と、第2のフレーム21と、第1および第2のフレーム20,21の間に配置された少なくとも1つの弾性要素22,23と、を備える。第1のフレーム20は、回転ローラー3を保持する支持部5〜11に固定されるように構成されている。第2のフレーム21は、バランスアーム1の保持構造4〜7内に形成された開口部24に挿入されるように構成されている。加えて、関節部12〜18は、関節部12〜18を、開口部24に挿入するために減少可能な、可変外形D1を有する。関節部12〜18が、保持構造4〜7内に配置されると、弾性要素22,23は、関節部12〜18が挿入される保持構造4〜7に対する、第1のフレーム20、よって支持部5〜11の、旋回動作を可能にする。
【0029】
第1および第2のフレーム20,21は、概ね円筒形である。用語“円筒”とは、準線として表される、閉じた平面曲線に基づく、母線として表される一組の平行直線と、母線に交差する2つの面と、により生成された円筒形表面により限定される固体を意味する。第1のフレーム20は、中空または中実の本体を有することができる。特に、第2のフレーム21は、中空の本体を備えて、第2のフレーム内に第1のフレーム20を挿入する。換言すると、第2のフレームは、少なくとも部分的には、第1のフレーム20を囲む。フレーム20,21は、好ましくは、金属、例えば鋼製である。フレーム20,21は、好ましくは、フレーム20,21に沿って延びる長手方向軸Aに対して、同軸である。
【0030】
関節部は、1つまたは複数の弾性要素22,23を備えることができる。
図3〜
図5に示すように、関節部は、弾性要素22を備える。
図2において、関節部12は、2つの弾性要素22,23を備える。弾性要素22,23は、例えば、弾性材料、好ましくはゴム製である。特に、ゴムは、フレーム20,21に対して、機械的に接着しており、これにより、ゴムまたはフレーム20,21を破壊することなしに、関節部12〜18から取り外すことはできない。弾性要素22,23は、第1および第2のフレーム20,21の間に設置される。弾性要素22,23は、第2のフレーム21に対する、第1のフレーム20の旋回動作を可能にする。関節部12〜18が、弾性要素22を備える場合、弾性要素22は、
図3および
図4に示すように、2つのフレーム20,21に接着する。よって、弾性要素22は、2つのフレーム20,21に強固に取り付けられ、その弾性特性のため、弾性要素22は、フレーム20,21の長手方向軸Aを中心とする、制限された角度旋回動作を可能にする。
【0031】
代替案として、関節部12〜18は、1つまたは複数の中間要素25と、いくつかの弾性要素22,23と、を備えることができる。中間要素25は、第1および第2のフレーム20,21の間に位置する、中空の円筒である。弾性要素22,23は、中間要素25の両側に位置し、中間要素に強固に接着する。
図2に示すように、少なくとも1つの第1の弾性要素22は、第1のフレーム20にも接着し、第2の弾性要素23は、第2のフレーム21にも接着する。中間要素25は、第2のフレーム21に対する、第1のフレーム20の角度旋回動作を促進する。
【0032】
保持構造4〜7の開口部24内への、関節部12〜18の挿入を容易にするために、関節部12〜18の外径D1は、可変である。すなわち、関節部12〜18の外径D1は、保持構造4〜7の開口部24内に、関節部12〜18が挿入される際に、減少することが可能である。よって、関節部12〜18を、開口部24に挿入する際、第2のフレーム21は、弾性要素22,23に押し付けられ、弾性要素22,23は、変形して、関節部12〜18の外径D1を減少させる。従って、開口部24の内径Eを修正することなしに、関節部12〜18を、開口部24内に挿入することが可能である。次いで、関節部12〜18の挿入後に、弾性要素22,23は、第2のフレーム21を、保持構造4〜7の開口部24の内面29に対して押し付ける回復力を発揮し、これにより、関節部12〜18を、保持構造4〜7に対して強固に固定する。関節部12〜18の外径D1は、第2のフレーム21の外径に対応する。第2のフレーム21は、連続する押し込みにより、関節部12〜18を挿入する間、関節部12〜18が、開口部24から出ることを防止する。好ましくは、第2のフレーム21は、弾性でない材料、例えば金属、特に鋼製である。よって、第2のフレーム21は、関節部12〜18の、開口部24内への挿入を容易にする。
【0033】
好ましくは、関節部12〜18が、開口部24に挿入されていない場合、関節部12〜18の外径D1は、保持構造4〜7の開口部24の内径E以上である。よって、関節部12〜18を、開口部24に挿入した後、弾性要素22,23により、第2のフレーム21に対して発揮される回復力は、関節部12〜18の保持構造4〜7への取り付けを助ける。よって、保持構造4〜7により、関節部12〜18の十分な機械的強度を、保証することが可能であり、よって、関節部は、保持構造4〜7に対して、固定して設置される。
【0034】
例えば、第2のフレーム21は、隙間28により互いに離間されている、少なくとも2つの部分26,27を備える。2つの部分26,27は、互いに対向している。好ましくは、隙間28は、第2のフレーム21に沿って延びる。よって、関節部12〜18が、保持構造4〜7の外部に位置する場合、
図3に示すように、外径D1は、ゼロでない初期値を有し、ゼロでない初期距離D2が、第2のフレーム21の2つの部分26,27を離間する。2つの部分26,27の間に位置する隙間28は、2つの部分26,27を、互いに接近可能にする。関節部12〜18が、開口部24に挿入される際、
図4に示すように、第2のフレーム21の部分26,27は、互いに接近し、これら部分を離間する距離D2は、減少し、また、外径D1も、減少する。関節部12〜18を、開口部24に挿入した後、外径D1は、開口部24の内径Eと一致する。換言すると、関節部12〜18の外径D1は、減少している。
【0035】
好適には、弾性要素22,23は、第2のフレーム21の2つの部分26,27を離間する隙間28内に、入ることができる。
【0036】
開口部24に対する関節部12〜18の挿入を、さらに助けるために、第2のフレーム20は、追加の隙間32により互いに離間される、少なくとも2つの部分30,31を備えることができる。第1のフレーム20の2つの部分30,31は、互いに対向している。好ましくは、追加の隙間32は、第1のフレーム20に沿って延びる。ゼロでない初期距離D3が、第1のフレーム20の2つの部分30,31を離間する。追加の隙間32は、関節部12〜18が、開口部24に挿入される際、第1のフレーム20に接着する弾性要素22が、この隙間に入ることを可能にする。よって、追加の隙間32は、弾性要素22,23の圧縮を助け、関節部12〜18の外径D1の減少を促進する。
【0037】
図2に示される実施形態によれば、開口部24に挿入する前の関節部12を示している。例えば、第1の弾性要素22は、追加の隙間32に入るようにして、配置されている。加えて、第2の弾性要素23は、第2のフレーム21の2つの部分26,27を離間する隙間28に入る。第2の弾性要素23の一部は、関節部12〜18を開口部24に挿入する間、圧縮することができ、挿入の間、第2のフレーム21の2つの部分26,27が、互いに接近することを可能にし、一方で、関節部12〜18の挿入後、部分26,27を互いに離れさせる回復力を発揮する。第1の弾性要素22の一部は、関節部12〜18を開口部24に挿入する間、圧縮することができ、挿入の間、第1のフレーム20の2つの部分30,31が、互いに接近することを可能にし、一方で、関節部12〜18の挿入後、部分30,31を互いに離れさせる回復力を発揮し、かつ、第2のフレーム21に対して、回復力を発揮し、第2のフレームを、開口部24の内面29に押し付ける。
【0038】
図2に示される一実施形態によれば、第2のフレーム21の2つの部分26および27は、外側片として示される同一の片の2つの端を形成する。両端26,27は、隙間28により離間される。換言すると、外側片は、外側片の長手方向軸Aに沿って延びるスロット28を呈する。スロット28は、第2のフレーム21の2つの部分26,27を離間する、隙間28に対応する。スロット28は、直線形とすることができる。スロット28は、長手方向軸Aに平行とすることができる。スロットは、また、長手方向軸Aに沿って、斜め、ジグザグ、または湾曲して延びることもできる。第2のフレーム21の2つの部分26,27を離間する、隙間28の形状が何であろうと、隙間28は、部分26,27が、互いに接近することを可能にする。加えて、
図2に示すように、第1のフレーム20の2つの部分30および31も、内側片として示される同一の片の、2つの端を形成することができる。両端30,31は、追加の隙間32により離間される。換言すると、内側片も、内側片の長手方向軸Aに沿って延びるスロット32を呈する。スロット32は、第1のフレーム20の2つの部分30,31を離間する、追加の隙間32に対応する。スロット32は、長手方向軸Aに平行の、直線形とすることができる。スロットは、また、長手方向軸Aに沿って、斜め、ジグザグ、または湾曲して延びることができる。
【0039】
変形例において、第2のフレーム21は、
図3および
図4に示すように、いくつかの個別の外側部分26,27および50,51を備えることができる。外側部分26,27および50,51は、関節部12〜18の外周に位置する。外側部分26,27および50,51は、弾性要素22に対して、接着により強固に取り付けられている。外側部分26,27および50,51は、2つの隣接する外側部分26,27および50,51を離間する隙間28,54,55,56が存在するように、互いに離れて位置している。隙間28,54,55,56の数は、関節部12〜18の外形D1の変化を助ける。
【0040】
もう1つの変形例によれば、第1のフレーム20は、いくつかの個別の内側部分30,31を備えることができる。
図3は、第2のフレーム21が、4つの外側部分26,27および50,51を備え、第1のフレーム20が、2つの内側部分30,31を備える、例示的な実施形態を示す。2つの内側部分30,31は、2つの隙間32,62によって互いに離間されている。内側部分30,31は、弾性要素22に対して、接着により強固に固定される。
【0041】
図3は、主ビーム4の開口部24内に挿入された関節部12を示す。関節部12の外形D1は、開口部24の内径と一致することに、留意することができる。また、弾性要素22の一部が、外側部分26,27および50,51を離間する隙間内に入っており、弾性要素22の別の一部が、内側部分30,31を離間する隙間内に入っていることに、留意することができる。
【0042】
図5は、第1の関節部12が、主可動要素5を、主ビーム4に接続する例を示す。主可動要素5は、例えば、U字形の断面を有し、かつ、主可動要素5を、主ビーム4に対して設置するための空いた隙間を形成する、2つの側方フランジ40,41を備える。主ビーム4は、内面29と内径Eとを有する、開口部24を備える。例えば、第1のフレーム20を、主可動要素5に固定するために、ナット43に螺合されるねじ42が用いられる。ねじ42は、第1のフレーム20のキャビティを通して延び、2つのフランジ40,41を、第1のフレーム20の2つのそれぞれの端に対して、締め付ける。
【0043】
また、上に定義された支持および誘導装置1を製造する方法が、提供される。方法は、第1および第2のフレーム20,21の間に、少なくとも1つの弾性要素22,23を配置して、可変外形D1を有する関節部12〜18を形成するステップと、次いで、第2のフレーム21の外形D1を減少させることにより、関節部12〜18を、装置1の保持構造4〜7内に形成された開口部24に挿入するステップと、次いで、第1のフレーム20を、施設の牽引ケーブル2と接触するための回転ローラー3を保持する支持部5〜11に対して固定するステップと、を含む。第1のフレーム20は、保持構造4〜7に対して旋回することが可能である。
【0044】
上述した本発明によって、車両牽引ケーブル用の支持および誘導装置の保持構造の開口部に、容易に挿入されるように構成された、旋回する関節部が提供される。
【外国語明細書】