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特開2019-148254ガスタービン燃焼器及びトランジションピース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-148254(P2019-148254A)
(43)【公開日】2019年9月5日
(54)【発明の名称】ガスタービン燃焼器及びトランジションピース
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/28 20060101AFI20190809BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20190809BHJP
   F01D 9/06 20060101ALI20190809BHJP
   F01D 11/00 20060101ALI20190809BHJP
   F23R 3/42 20060101ALI20190809BHJP
【FI】
   F02C7/28 C
   F01D25/00 M
   F01D9/06
   F01D11/00
   F23R3/42 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-34887(P2018-34887)
(22)【出願日】2018年2月28日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】萩田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】奥山 昇
(72)【発明者】
【氏名】和田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 泰行
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正平
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202GA19
3G202GB04
3G202GB05
3G202KK03
3G202KK20
3G202KK23
(57)【要約】
【課題】
燃焼ガスの燃焼や流動による振動があっても、シール部材の周方向及び軸方向への移動を抑制して、部材同士の接触部での摩耗の発生を防ぐこと。
【解決手段】
本発明のガスタービン燃焼器は、上記課題を解決するために、高温の燃焼ガスが内部に流れる燃焼器のトランジションピース4と、該トランジションピース4の下流側(出口部)に設置された額縁11とを備え、前記額縁11とタービン側の静翼部14との連結部に、該連結部から前記タービン側への圧縮機からの圧縮空気の流入を阻止するシール部材10が設置されているガスタービン燃焼器であって、前記額縁11の外周に突起部材12、17を設けると共に、前記突起部材12、17と合致し、前記シール部材10の可動を抑制する可動抑制手段13、18を前記シール部材10に設け、前記可動抑制手段13、18と前記突起部材12、17が嵌合して前記シール部材10が固定されていることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温の燃焼ガスが内部に流れる燃焼器のトランジションピースと、該トランジションピースの下流側(出口部)に設置された額縁とを備え、前記額縁とタービン側の静翼部との連結部に、該連結部から前記タービン側への圧縮機からの圧縮空気の流入を阻止するシール部材が設置されているガスタービン燃焼器であって、
前記額縁の外周に突起部材を設けると共に、前記突起部材と合致し、前記シール部材の可動を抑制する可動抑制手段を前記シール部材に設け、前記可動抑制手段と前記突起部材が嵌合して前記シール部材が固定されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項2】
請求項1に記載のガスタービン燃焼器において、
前記突起部材は前記トランジションピースの半径方向に延びており、かつ、前記可動抑制手段は前記突起部材と合致する貫通孔であり、前記貫通孔に前記突起部材が嵌合されて前記シール部材が固定されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項3】
請求項2に記載のガスタービン燃焼器において、
前記シール部材は、フローティングシール材とサイドシール材から成り、前記トランジションピースは、燃焼ガスの入口が円筒形状で出口が逆台形状に形成され、このトランジションピースの下流側には、前記トランジションピースの出口の逆台形状に合致した形状の額縁が設置され、逆台形状に形成された前記額縁の出口側がタービン側の静翼部に接続されると共に、前記額縁の上下側に前記フローティングシール材が、側方側に前記サイドシール材が装着されており、
前記フローティングシール材に前記貫通孔が形成され、この貫通孔に前記突起部材が嵌合されて前記フローティングシール材が固定され、
前記フローティングシール材は、前記額縁に固定される固定部と及び前記トランジションピースとタービンの連結部間をシールするシール部によって構成され、前記シール部が前記タービン側の静翼部に形成されたシール溝に嵌合されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項4】
請求項3に記載のガスタービン燃焼器において、
前記固定部の下流側には前記シール部が接続され、前記シール部は、前記固定部の下流側の終端部から直角に屈曲し、前記額縁の出口部の外表面に沿って下流側に延在する係合片であることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項に記載のガスタービン燃焼器において、
前記突起部材は直方体状又は円柱状に形成され、前記直方体状の前記突起部材の側面の辺にはR加工が施されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項6】
請求項3に記載のガスタービン燃焼器において、
前記シール部材の前記貫通孔に、耐摩耗ピースを介して前記突起部材が嵌合されて前記シール部材が固定されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項7】
請求項6に記載のガスタービン燃焼器において、
前記トランジションピースの半径方向に延びる前記突起部材は、前記額縁側より半径方向の先端部が細くなって段差部が形成され、かつ、前記突起部材の先端部にはおねじが切られ、該おねじ部分にナットを係合して締め付けることにより、前記突起部材の先端部に挿入されている前記耐摩耗ピースを介して前記シール部材が前記突起部材の段差部に固定されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項8】
請求項7に記載のガスタービン燃焼器において、
前記ナットにより締め付けられる面とは反対側で、前記突起部材の段差部と接触する前記耐摩耗ピースの面に、前記フローティングシール材の落下を防止する面が形成されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項に記載のガスタービン燃焼器において、
前記突起部材の根元部は直方体状に形成され、前記直方体状の前記突起部材の側面の角にはR加工が施されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項10】
請求項1に記載のガスタービン燃焼器において、
前記突起部材は前記トランジションピースのガス流通方向の上流側に延びており、かつ、前記可動抑制手段は前記突起部材と合致する切欠きであり、前記切欠きに前記突起部材が嵌合されて前記シール部材が固定されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項11】
請求項10に記載のガスタービン燃焼器において、
前記突起部材の先端にはボルト用穴が形成されていると共に、一方側が前記シール部材の一部を覆うことで前記トランジションピースの半径方向への前記シール部材の落下を防止し、かつ、他端側の端部が前記ボルト用穴にボルトとナットにより前記突起部材と共に固定される落下防止ピースを備えていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のガスタービン燃焼器において、
前記トランジションピースのガス流通方向の上流側に延びる前記突起部材は、前記額縁と一体に形成されるか、若しくは前記額縁に溶接により固定されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか1項に記載のガスタービン燃焼器において、
前記シール部材は、フローティングシール材とサイドシール材から成り、前記トランジションピースは、燃焼ガスの入口が円筒形状で出口が逆台形状に形成され、このトランジションピースの下流側には、前記トランジションピースの出口の逆台形状に合致した形状の額縁が設置され、逆台形状に形成された前記額縁の出口側がタービン側の静翼部に接続されると共に、前記額縁の上下側に前記フローティングシール材が、側方側に前記サイドシール材が装着されており、
前記フローティングシール材に前記切欠きが形成され、この切欠きに前記突起部材が嵌合されて前記フローティングシール材が固定され
前記フローティングシール材は、前記額縁に固定される固定部と及び前記トランジションピースとタービンの連結部間をシールするシール部によって構成され、前記シール部が前記タービン側の静翼部に形成されたシール溝に嵌合されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項14】
高温の燃焼ガスが内部に流れる燃焼器のトランジションピースであって、
前記トランジションピースは、該トランジションピースの下流側(出口部)に設置された額縁を備え、前記額縁とタービン側の静翼部との連結部に、該連結部から前記タービン側への圧縮機からの圧縮空気の流入を阻止するシール部材が設置されており、
前記額縁の外周に突起部材を設けると共に、前記突起部材と合致し、前記シール部材の可動を抑制する可動抑制手段を前記シール部材に設け、前記可動抑制手段と前記突起部材が嵌合して前記シール部材が固定されていることを特徴とするトランジションピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスタービン燃焼器及びトランジションピースに係り、特に、ガスタービンのタービン静翼とトランジションピースの出口部に設置された額縁との連結部外周に、圧縮機からの圧縮空気が上記連結部からタービン側に流入しないようにシールするシール部材が設置されているものに好適なガスタービン燃焼器及びトランジションピースに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスタービンは、圧縮機と燃焼器及びタービンとを備えて構成されており、圧縮機で圧縮された空気が燃焼器に供給され、他から供給される燃料と共に燃焼ガスが生成され、燃焼ガスがガスタービンで膨張されるようになっている。
【0003】
燃焼器は、ガスタービンの周方向に複数配置され、それぞれの燃焼器では、トランジションピースの上流域で燃料と空気の混合流体が燃焼され、燃焼ガスはトランジションピースからガスタービン側の第1段静翼部に送られる。
【0004】
ところで、燃焼器車室内に格納された燃焼器には圧縮機からの圧縮空気が供給されるが、圧縮空気はトランジションピースを含む燃焼器の周囲に送られて冷却を行い、その後、燃焼器に供給される構造になっているため、トランジションピースとガスタービン側の第1段静翼部との連結部の隙間から圧縮機からの圧縮空気がタービン側に流入し、燃焼ガスの温度低下や燃焼に関与しない空気の無駄な消費などにより、ガスタービンの運転効率を悪くする恐れがあった。
【0005】
このようなことから、ガスタービン燃焼器のトランジションピースとタービン側との連結部に、圧縮機からの圧縮空気が連結部からタービン側に流入しないように、タービン側の第1段静翼部とトランジションピースの出口側との隙間をシールするシール部材が採用され、このシール部材は、通常、トランジションピースの出口部に設置された額縁に装着されている。
【0006】
上記した圧縮機からの圧縮空気が連結部からタービン側に流入しないように、タービン側の第1段静翼部とトランジションピースの出口側との隙間をシールするシール部材(フローティングシール材とサイドシール材とから成る)が、トランジションピースの出口部に設置された額縁に装着されたものが特許文献1及び2に記載されている。
【0007】
この特許文献1及び2には、トランジションピースは、入口が円筒形状で出口が逆台形状に形成され、このトランジションピースの下流側には、トランジションピースの出口の逆台形状に合致した形状の額縁が設置され、逆台形状に形成された額縁の出口側がタービン側の静翼部に接続されると共に、前記額縁の出口側の外周には額縁シール溝が形成され、この額縁シール溝の上下には浮動するシール部材であるフローティングシール材が係合され、額縁シール溝の両側にはシール部材であるサイドシール材が装着されていることが開示され、フローティングシール材は、U字状に形成された一方の端部を額縁シール溝内に挿入されて係合し、他方の端部にはU字状先端部から外方に直角に延在する係合辺が形成され、この係合辺が、トランジションピースの下流側の額縁に対向して位置するガスタービンの第1段静翼部に形成された静翼シール溝に挿入されて係合していることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−214671号公報
【特許文献2】特開2003−193866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した特許文献1及び2のガスタービン燃焼器においては、燃焼ガスの燃焼や流動による振動によって、フローティングシール材が周方向及び軸方向に可動すると、フローティングシール材のU字状先端部と相手側部材である額縁との間が摺動し、特に、特許文献1及び2のように、シール溝に挿入されて係合により組み上げられた部材で振動が発生した場合には、部材同士の接触部で摩耗が発生し、高温下で摩耗損傷が生じる恐れがある。
【0010】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、燃焼ガスの燃焼や流動による振動があっても、シール部材の周方向及び軸方向への可動を抑制して、部材同士の接触部での摩耗の発生を防ぐことができるガスタービン燃焼器及びトランジションピースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のガスタービン燃焼器は、上記目的を達成するために、高温の燃焼ガスが内部に流れる燃焼器のトランジションピースと、該トランジションピースの下流側(出口部)に設置された額縁とを備え、前記額縁とタービン側の静翼部との連結部に、該連結部から前記タービン側への圧縮機からの圧縮空気の流入を阻止するシール部材が設置されているガスタービン燃焼器であって、前記額縁の外周に突起部材を設けると共に、前記突起部材と合致し、前記シール部材の可動を抑制する可動抑制手段を前記シール部材に設け、前記可動抑制手段と前記突起部材が嵌合して前記シール部材が固定されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のトランジションピースは、上記目的を達成するために、高温の燃焼ガスが内部に流れる燃焼器のトランジションピースであって、前記トランジションピースは、該トランジションピースの下流側(出口部)に設置された額縁を備え、前記額縁とタービン側の静翼部との連結部に、該連結部から前記タービン側への圧縮機からの圧縮空気の流入を阻止するシール部材が設置されており、前記額縁の外周に突起部材を設けると共に、前記突起部材と合致し、前記シール部材の可動を抑制する可動抑制手段を前記シール部材に設け、前記可動抑制手段と前記突起部材が嵌合して前記シール部材が固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、燃焼ガスの燃焼や流動による振動があっても、シール部材の周方向及び軸方向への可動を抑制して、部材同士の接触部での摩耗の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のガスタービン燃焼器の実施例1の全体構成を示す図である。
図2】本発明のガスタービン燃焼器の実施例1に採用されるトランジションピースの出口側を、シール部材を分解して示す斜視図である。
図3】本発明のガスタービン燃焼器の実施例1に採用されるトランジションピースの額縁とタービンの初段静翼との接合部を示す図である。
図4図3におけるトランジションピースの額縁とタービンの初段静翼との接合部の詳細を示す部分拡大図である。
図5図3におけるトランジションピースの額縁に設置された突起部材がシール材に形成された貫通孔に嵌合された状態を示す平面図である。
図6】本発明のガスタービン燃焼器の実施例1に採用されるシール材を示す図である。
図7図6の平面図である。
図8】本発明のガスタービン燃焼器の実施例2に採用されるトランジションピースの額縁とタービンの初段静翼との接合部の詳細を示す部分拡大図である。
図9図8におけるトランジションピースの額縁に設置された突起部材が耐摩耗ピースを介してシール材に形成された貫通孔に嵌合された状態を示す平面図である。
図10】本発明のガスタービン燃焼器の実施例3に採用されるトランジションピースの額縁とタービンの初段静翼との接合部の詳細を示す部分拡大図である
図11】本発明のガスタービン燃焼器の実施例3に採用されるシール材を示す図である。
図12図11におけるトランジションピースの額縁に設置された突起部材がシール材に形成された切欠きに嵌合された状態を示す平面図である
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示した実施例に基づいて本発明のガスタービン燃焼器及びトランジションピースを説明する。なお、以下で説明する各実施例において、同一構成部品には同符号を使用する。
【実施例1】
【0016】
図1に、本発明のガスタービン燃焼器の一例として、発電プラント向けガスタービン燃焼器の全体構成を示す。
【0017】
図1に示すように、ガスタービン燃焼器は、高温の燃焼ガス107が内部に流れる燃焼器のトランジションピース4と、このトランジションピース4の周囲にあって、トランジションピース4を内包するトランジションピースフロースリーブ5と、このトランジションピースフロースリーブ5とトランジションピース4の間に形成され、圧縮機300から吐出された高温高圧の圧縮空気100を流す流路9と、トランジションピース4に接続されるライナー6と、トランジションピースフロースリーブ5に接続され、ライナー6の外周に同心円上に配置されて圧縮空気100の流れ102が通る間隙を形成するライナーフロースリーブ7とから概略構成されている。
【0018】
そして、圧縮機300から導入された圧縮空気100は、ディフューザ1から車室2に導入され、トランジションピースフロースリーブ5とトランジションピース4とで形成される間隙(流路9)に流入する(矢印20で示す)。
【0019】
即ち、ディフューザ1から車室2に導入された圧縮空気100は、トランジションピースフロースリーブ5の下流側端部に形成された開口部から、トランジションピースフロースリーブ5とトランジションピース4とで形成される流路9に入る流れ20となる。
【0020】
その後、流路9に流入した圧縮空気100は、流れ101で示すように、ライナー6とライナー6の外周に同心円上に配置されたライナーフロースリーブ7との間隙を通る流れ102となる。そして、流れを反転させバーナ部に導入する流れ103、104となり、燃料系統200、201から供給される燃料と混合し、ライナー6内部の燃焼室8で火炎105、106を形成し高温高圧の燃焼ガス107となる。その後に、トランジションピース4からタービン301に導入する燃焼ガス108となるが、ガスタービンでは、高温高圧の燃焼ガス108が断熱膨張する際に発生する仕事量を、タービン301において軸回転力に転換することにより、発電機302から出力を得ている。なお、図示する燃焼器は、予混合燃焼バーナ(メインバーナ)と拡散燃焼バーナ(パイロットバーナ)によって構成しており、予混合バーナに供給される燃料を符号201、拡散燃焼バーナに供給される燃焼を符号200として表示している。
【0021】
ところで、燃焼器には圧縮機300からの圧縮空気100が供給されるが、圧縮空気100はトランジションピース4を含む燃焼器の周囲に送られて冷却を行い、その後、燃焼器に供給される構造になっている。そして、トランジションピース4とタービン側の第1段静翼部14(図3参照)との連結部の隙間から圧縮機300からの圧縮空気100がタービン側に漏れてしまうと、そのリーク分はトランジションピース4の冷却や燃焼ガス107の生成に寄与せず、ガスタービンの運転効率を低下させる要因となるこのため、ガスタービン燃焼器のトランジションピース4とタービン側との連結部に、圧縮機300からの圧縮空気100が連結部からタービン側に流出しないように、タービン側の第1段静翼部14とトランジションピース4の出口側との隙間をシールするシール部材10(図2及び図3参照)が採用され、このシール部材10は、通常、トランジションピース4の出口部に設置された額縁11(図2及び図3参照)に装着されている。
【0022】
図2を用いて、シール部材10と額縁11について説明する。図2は、トランジションピース4の出口側の詳細を示す。
【0023】
図2に示すように、シール部材10は、フローティングシール材10a、10bとサイドシール材10c、10dから成り、トランジションピース4は、燃焼ガスの入口(燃焼器ライナー側)が円筒形状で出口(タービン側)が逆台形状に形成され、このトランジションピース4の下流側(タービン側)には、トランジションピース4の出口の逆台形状に合致した形状の額縁11が設置され、逆台形状に形成された額縁11の出口側がタービン側の第1段静翼部14(タービン入口部)に接続される。そして、この額縁11の上下側(径方向内側と外側)にフローティングシール材10a、10bが、側方側にサイドシール材10c、10dが装着されている。
【0024】
次に、図3図4図5図6及び図7を用いて、本実施例におけるシール部材10の額縁11への固定構造について説明する。
【0025】
図3及び図4に示すように、本実施例では、額縁11の外周に、トランジションピース4の半径方向外側及び内側(図3及び図4の上下方向)に延びる突起部材12(図5参照)を設けると共に、この突起部材12と合致する貫通孔13(突起部材12の延伸方向から見た外形と対応した形状の開口部)をフローティングシール材10a、10bに設け、フローティングシール材10a、10bの貫通孔13に突起部材12が嵌合されてフローティングシール材10a、10bが固定されている。
【0026】
上記したフローティングシール材10a、10bは、額縁11に固定される固定部10a1、10b1と、トランジションピース4とタービンの連結部間をシールするシール部10a2、10b2によって構成される。固定部10a1、10b1は、額縁11の半径方向外側及び内側に設けられた凸部に沿って円弧状に湾曲した形状である、例えば、図3図4のようなU字状に形成されている。また、固定部10a1、10b1には、額縁11に装着したときに前述の突起部材12と対応する位置に貫通孔13が形成されている。図3図4の例では、U字状に湾曲する固定部10a1、10b1の頂部の位置に貫通孔13を形成している。
【0027】
また、固定部10a1、10b1の下流側(図3図4に向かって右側)には、トランジションピース4とタービン入口の連結部をシールするシール部10a2、10b2が接続されている。このシール部10a2、10b2は、U字状の固定部10a1、10b1の下流側の終端部から直角に屈曲し、額縁11の出口部の外表面に沿って下流側に延在する係合片である。
【0028】
そして、タービン側には、額縁11と対向する面に、燃焼ガス流れ方向の上流側に開口部が形成されたシール溝14aを備えている。このシール溝14aは、額縁11と対向する面に周方向に延伸して形成されている。シール溝14aには、フローティングシール材10a、10bのシール部10a2、10b2の下流側が挿入されている。このシール溝14aにシール部10a2、10b2が嵌合されることで、周方向に沿って形成される結合部の間隙がシールされる。また、突起部材12を貫通孔13に嵌合させているため、フローティングシール材10a、10bの周方向に対する動きを拘束することができる。
【0029】
これにより、トランジションピース4の下流側の額縁11とガスタービン側の第1段静翼部14(図3参照)との連結部の軸方向間隙からタービン流路内部に、圧縮空気100が流れるのを防止すると共に、フローティングシール材10a、10bが脱落しないような構造になっている。
【0030】
上述した突起部材12の形状は、例えば直方体状で、側面の辺にはR加工が施されたものである。また、突起部材12の形状が円柱状であったり、突起部材12の個数が2個以上であっても本実施例の効果は妨げない。
【0031】
なお、図2に示す額縁11の周方向の内周側(腹側)及び外周側(背側)は、タービン側の第1段静翼14を設置した流路に合致するように円弧上に湾曲した形状となっている。
【0032】
このような本実施例の構成、即ち、額縁11に設けられた突起部材12とフローティングシール材10a、10bに形成された貫通孔13の嵌合により、フローティングシール材10a、10bのタービン周方向及び軸方向への可動が抑制される。
【0033】
また、貫通孔13と突起部材12の嵌合面のみにより、フローティングシール材10a、10bの周方向の可動が決まるため、貫通孔13と突起部材12の嵌合面の精度の管理のみにより、フローティングシール材10a、10bの周方向の可動範囲、即ち、位置精度を管理できる。
【0034】
このため、本実施例の構成によれば、フローティングシール材10a、10bの周方向の可動量抑制が容易であり、位置精度を高く保つことに有利である。
【0035】
また、ガスタービンの車室2へトランジションピース4を組込む際、予めフローティングシール材10a、10b及びサイドシール10c、10dを額縁11に装着しておくことで、車室2内のスペースが小さくてもフローティングシール材10a、10b及びサイドシール材10c、10dを組込むことができる。
【0036】
この時、隣接する燃焼器缶のフローティングシール材10a、10b同士が接触しないようにするため、隣接するフローティングシール材10a、10bの間には、タービン周方向に組込み用の裕度を考慮した間隙が必要である。
【0037】
本実施例では、突起部材12と貫通孔13の嵌合によりフローティングシール材10a、10bを保持することで、フローティングシール材10a、10bのタービン周方向の位置精度を高く保つことができるため、隣接するフローティングシール材10a、10b間の周方向の間隙を小さくすることができる。この結果、シール性を高く保つことができ、低NOxや逆火防止を実現できる。
【0038】
更に、フローティングシール材10a、10bの可動量を小さくしていることにより、フローティングシール材10a、10bの額縁11に対する摺動距離が小さくなる。このため、フローティングシール材10a、10bと額縁11の接触面における摩耗量を減らすことができ、フローティングシール材10a、10bと額縁11の長寿命化を実現できる。
【0039】
このような本実施例によれば、燃焼ガスの燃焼や流動による振動があっても、フローティングシール材10a、10bのタービン周方向及び軸方向への可動を抑制して、部材同士の接触部での摩耗の発生を防ぐことができることは勿論、フローティングシール材10a、10bのタービン周方向の位置精度を高く保つことができ、容易な組立と高いシール性能による低NOx化や逆火を防止する効果があり、更に、長寿命化を達成するガスタービン燃焼器のトランジションピースを実現することができる。
【実施例2】
【0040】
次に、本発明のガスタービン燃焼器の実施例2について、図8及び図9を用いて説明する。
【0041】
該図に示す本実施例では、フローティングシール材10a(10b)の貫通孔13に、耐摩耗ピース15を介して突起部材12が挿入されてフローティングシール材10a(10b)が固定されていることを特徴とする。
【0042】
具体的には、トランジションピース4の半径方向(図8の上下方向)に延びる突起部材12を有し、この突起部材12には、額縁11側より半径方向の先端部が細くなって段差部12cが形成されると共に、突起部材12の先端部にはおねじ12aが切られ、このおねじ12a部分にナット16を係合して締め付けることにより、突起部材12の先端部に挿入されている耐摩耗ピース15を介して、フローティングシール材10a(10b)が突起部材12の段差部12cに固定されている。
【0043】
更に、ナット16により締め付けられる面とは反対側で、突起部材12の段差部12cと接触する耐摩耗ピース15の面に、フローティングシール材10a(10b)の落下を防止する面15aが形成されている。
【0044】
また、本実施例でも実施例1と同様に、トランジションピース4は、燃焼ガスの入口(燃焼器ライナー側)が円筒形状で出口(タービン側)が逆台形状に形成され、このトランジションピース4の下流側(タービン側)に、トランジションピース4の出口の逆台形状に合致した形状の額縁11が設置され、逆台形状に形成された額縁11の出口側がタービン側の第1段静翼部14(タービン入口部)に接続される。そして、この額縁11の上下側(径方向内側と外側)にフローティングシール材10a(10b)が、側方側にサイドシール材10c、10dが装着されている。
【0045】
また、本実施例のフローティングシール材10a(10b)は、実施例1と同様に、額縁11に固定される固定部10a1(10b1)と、トランジションピース4とタービンの連結部間をシールするシール部10a2(10b2)によって構成される。固定部10a1(10b1)は、額縁11の半径方向外側及び内側に設けられた凸部に沿って円弧状に湾曲した形状である、例えば、図8のようなU字状に形成されている。また、固定部10a1(10b1)には、額縁11に装着したときに前述の突起部材12と対応する位置に貫通孔13が形成されている。図8の例では、U字状に湾曲する固定部10a1(10b1)の頂部の位置に貫通孔13を形成している。
【0046】
また、固定部10a1(10b1)の下流側(図8に向かって右側)には、トランジションピース4とタービン入口の連結部をシールするシール部10a2(10b2)が接続されている。このシール部10a2(10b2)は、U字状の固定部10a1(10b1)の下流側の終端部から直角に屈曲し、額縁11の出口部の外表面に沿って下流側に延在する係合片である。
【0047】
そして、タービン側には、額縁11と対向する面に、燃焼ガス流れ方向の上流側に開口部が形成されたシール溝14aを備えている。このシール溝14aは、額縁11と対向する面に周方向に延伸して形成されている。シール溝14aには、フローティングシール材10a(10b)のシール部10a2(10b2)の下流側が挿入されている。このシール溝14aにシール部10a2(10b2)が嵌合されることで、周方向に沿って形成される結合部の間隙がシールされる。また、突起部材12を貫通孔13に嵌合させているため、フローティングシール材10a(10b)の周方向に対する動きを拘束することができる。
【0048】
これにより、トランジションピース4の下流側の額縁11とガスタービン側の第1段静翼部14(図8参照)との連結部の軸方向間隙からタービン流路内部に、圧縮空気100が流れるのを防止すると共に、フローティングシール材10a(10b)が脱落しないような構造になっている。
【0049】
更に、本実施例での突起部材12の根元部12bは直方体状に形成され、この直方体状の突起部材12の側面の角にはR加工が施されている。
【0050】
上述したフローティングシール材10a(10b)に形成された貫通孔13と耐摩耗ピース15の嵌合面及び耐摩耗ピース15と突起部材12の嵌合面のみにより、フローティングシール材10a(10b)のタービン周方向及び軸方向の可動が決まる。
【0051】
このため、前記3つの部材(耐摩耗ピース15、突起部材12、フローティングシール材10a(10b))の嵌合面の精度の管理のみにより、フローティングシール材10a(10b)のタービン周方向の可動範囲、即ち、位置精度を管理できるので、本実施例の構造とすることにより、フローティングシール材10a(10b)のタービン周方向の可動量抑制が容易であり、位置精度を高く保つことに有利である。
【0052】
また、ガスタービンの車室2へトランジションピース4を組込む際、予めフローティングシール材10a、10b及びサイドシール10c、10dを額縁11に装着しておくことで、車室2内のスペースが小さくてもフローティングシール材10a、10b及びサイドシール材10c、10dを組込むことができる。
【0053】
この時、隣接する燃焼器缶のフローティングシール材10a、10b同士が接触しないようにするため、隣接するフローティングシール材10a、10bの間には、タービン周方向に組込み用の裕度を考慮した間隙が必要である。
【0054】
本実施例では、突起部材12及び耐摩耗ピース15と貫通孔13の嵌合により、フローティングシール材10a(10b)を保持することで、フローティングシール材10a(10b)のタービン周方向の位置精度を高く保つことができ、隣接するフローティングシール材10a(10b)間の周方向の間隙を小さくすることができる。この結果、シール性を高く保つことができ、低NOxや逆火防止を実現できる。
【0055】
更に、フローティングシール材10a(10b)と耐摩耗ピース15の間隙及び耐摩耗ピース15と突起部材12との間隙を小さくし可動量を小さくしていることにより、フローティングシール材10a(10b)の額縁11に対する摺動距離が小さくなる。
【0056】
このため、フローティングシール材10a(10b)と額縁11の接触面における摩耗量を減らすことができ、フローティングシール材10a(10b)と額縁11の長寿命化を実現できる。
【0057】
また、耐摩耗ピース11に、フローティングシール材10a(10b)の落下を防止するための面15aを形成することにより、トランジションピース4の組込時に、フローティングシール材10a(10b)の落下を防止でき、トランジションピース4の組込がより容易になる。
【0058】
また、耐摩耗ピース15がおねじ12aとナット16による固定であることにより、溶接固定に比較してフローティングシール材10a(10b)及び耐摩耗ピース15の取り外しが容易である。特に、ガスタービンのサイトにおいて、溶接技術を必要とせず、フローティングシール材10a(10b)及び耐摩耗ピース15を交換することができ、短時間、かつ、低コストでのメンテナンスを実現できる。
【0059】
また、耐摩耗ピース15により、突起部材12とフローティングシール材10a(10b)の接触を防ぎ、かつ、突起部材12に接触する部材の接触面積をフローティングシール材10a(10b)の場合に比べ大きくできることから、突起部材12の嵌合面の面圧を小さくすることができ、突起部材12の摩耗損傷量が低減され、長寿命化することができる。
【0060】
更に、耐摩耗ピース15、フローティングシール材10a(10b)の材料は、耐摩耗に有利な組み合わせを選ぶことが望ましく、例えばHS25同士の組み合わせが挙げられる。また、耐摩耗ピース15と突起部材12の材料の組み合わせも耐摩耗に有利な組み合わせを選ぶことが望ましく、例えばHS25同士が挙げられる。
【0061】
このような本実施例によれば、燃焼ガスの燃焼や流動による振動があっても、フローティングシール材10a、10bのタービン周方向及び軸方向への可動を抑制して、部材同士の接触部での摩耗の発生を防ぐことができることは勿論、フローティングシール材10a、10bのタービン周方向の位置精度を高く保つことができ、容易な組立と高いシール性能による低NOx化や逆火を防止する効果があり、更に、長寿命化を達成するガスタービン燃焼器のトランジションピースを実現することができる。
【実施例3】
【0062】
次に、本発明のガスタービン燃焼器の実施例3について、図10図11及び図12を用いて説明する。
【0063】
該図に示す本実施例では、額縁11の外周に、トランジションピース4のガス流通方向の上流側である燃焼器ライナー側(図10の左方向)に延びる突起部材17を設けると共に、この突起部材17と合致する切欠き18をフローティングシール材10a(10b)に設け、フローティングシール材10a(10b)の切欠き18に突起部材17が嵌合されてフローティングシール材10a(10b)が固定されていることを特徴とする。
【0064】
また、本実施例では、突起部材17の先端には、ボルト用穴が形成されており、更に、一方側がフローティングシール材10a(10b)の一部を覆うことでトランジションピース4の半径方向(図10の上方向)へのフローティングシール材10a(10b)の落下を防止し、かつ、他端側の端部がボルト用穴にボルト22とナット21により、突起部材17と共に固定される落下防止ピース19を備えている。
【0065】
なお、トランジションピース4の燃焼器ライナー側に延びる突起部材17は、額縁11と一体に形成されるか若しくは額縁11に溶接により固定されている。
【0066】
また、本実施例でも実施例1及び2と同様に、トランジションピース4は、燃焼ガスの入口(燃焼器ライナー側)が円筒形状で出口(タービン側)が逆台形状に形成され、このトランジションピース4の下流側(タービン側)には、トランジションピース4の出口の逆台形状に合致した形状の額縁11が設置され、逆台形状に形成された額縁11の出口側がタービン側の第1段静翼部14(タービン入口部)に接続される。そして、この額縁11の上下側(径方向内側と外側)にフローティングシール材10a(10b)が、側方側にサイドシール材10c、10dが装着されている。
【0067】
また、上記したフローティングシール材10a(10b)は、実施例1及び2と同様に、額縁11に固定される固定部10a1(10b1)と、トランジションピース4とタービンの連結部間をシールするシール部10a2(10b2)によって構成される。固定部10a1(10b1)は、額縁11の半径方向外側及び内側に設けられた凸部に沿って円弧状に湾曲した形状である、例えば、図10のようなU字状に形成されている。また、固定部10a1(10b1)には、額縁11に装着したときに前述の突起部材12と対応する位置に切欠き18が形成されている。図10の例では、U字状に湾曲する固定部10a1(10b1)の側方の位置に切欠き18を形成している。
【0068】
また、固定部10a1(10b1)の下流側(図10に向かって右側)には、トランジションピース4とタービン入口の連結部をシールするシール部10a2(10b2)が接続されている。このシール部10a2(10b2)は、U字状の固定部10a1(10b1)の下流側の終端部から直角に屈曲し、額縁11の出口部の外表面に沿って下流側に延在する係合片である。
【0069】
そして、タービン側には、額縁11と対向する面に、燃焼ガス流れ方向の上流側に開口部が形成されたシール溝14aを備えている。このシール溝14aは、額縁11と対向する面に周方向に延伸して形成されている。シール溝14aには、フローティングシール材10a(10b)のシール部10a2(10b2)の下流側が挿入されている。このシール溝14aにシール部10a2(10b2)が嵌合されることで、周方向に沿って形成される結合部の間隙がシールされる。また、突起部材12を貫通孔13に嵌合させているため、フローティングシール材10a(10b)の周方向に対する動きを拘束することができる。
【0070】
これにより、トランジションピース4の下流側の額縁11とガスタービン側の第1段静翼部14(図10参照)との連結部の軸方向間隙からタービン流路内部に、圧縮空気100が流れるのを防止すると共に、フローティングシール材10a(10b)が脱落しないような構造になっている。
【0071】
上述したように、突起部材17の先端には、落下防止ピース19を取り付けるためのボルト用穴が設けられており、落下防止ピース17をボルト22とナット21により、ボルト用穴を介して落下防止ピース19を突起部材17と共に固定しており、落下防止ピース19により、フローティングシール材10a(10b)の径方向への落下が防止される。
【0072】
なお、落下防止ピース15により、フローティングシール材10a(10b)を軸方向のタービン側の第1段静翼部14側へ押し付け、フローティングシール材10a(10b)が額縁11の軸方向燃焼器側側面11bに接触するようにしてもよい。
【0073】
本実施例では、突起部材17とフローティングシール材10a(10b)に形成された切欠き18の嵌合により、フローティングシール材10a(10b)のタービン周方向の可動が抑制される。
【0074】
つまり、フローティングシール材10a(10b)に形成された切欠き18と突起部材17の嵌合面のみにより、フローティングシール材10a(10b)のタービン周方向の可動が決まるため、切欠き18と突起部材17の嵌合面の精度の管理のみにより、フローティングシール材10a(10b)のタービン周方向の可動範囲、即ち、位置精度を管理できる。
【0075】
このため、本実施例の構造とすることにより、フローティングシール材10a(10b)のタービン周方向の可動量抑制が容易であり、位置精度を高く保つことに有利である。
【0076】
また、ガスタービンの車室2へトランジションピース4を組込む際、予めフローティングシール材10a、10b及びサイドシール材10c、10dを額縁11に装着しておくことで、車室2内のスペースが小さくてもフローティングシール材10a、10b及びサイドシール材10c、10dを組込むことができる。
【0077】
この時、隣接する燃焼器缶のフローティングシール材10a、10b同士が接触しないようにするため、隣接するフローティングシール材10a、10bの間には、タービン周方向に組込み用の裕度を考慮した間隙が必要である。
【0078】
本実施例では、突起部材17と切欠き18の嵌合により、フローティングシール材10a(10b)を保持しているため、フローティングシール材10a(10b)のタービン周方向の位置精度を高く保つことができ、隣接するフローティングシール材10a(10b)間の周方向の間隙を小さくすることができる。この結果、シール性を高く保つことができ、低NOxや逆火防止を実現できる。
【0079】
更に、フローティングシール材10a(10b)の可動量を小さくしていることにより、フローティングシール材10a(10b)の額縁11に対する摺動距離が小さくなる。このため、フローティングシール材10a(10b)と額縁11の接触面における摩耗量を減らすことができ、フローティングシール材10a(10b)と額縁11の長寿命化を実現できる。
【0080】
また、落下防止ピース19により、トランジションピース4の組込時に、フローティングシール材10a(10b)が落下しないため、トランジションピース4の組込がより容易になる。
【0081】
また、落下防止ピース19が、突起部材17の先端にボルト22とナット21により突起部材17と共に固定されているため、溶接固定に比較して落下防止ピース19及びフローティングシール材10a(10b)の取り外しが容易である。特に、ガスタービンのサイトにおいて、溶接技術を必要とせず、フローティングシール材10a(10b)及び落下防止ピース19を交換することができ、短時間、かつ、低コストでのメンテナンスを実現できる。
【0082】
また、落下防止ピース19により、フローティングシール材10a(10b)を軸方向のタービン側の第1段静翼部14側へ押し付け、フローティングシール材10a(10b)が額縁11に接触するようにすると、フローティングシール材10a(10b)の額縁11に対する軸方向の可動が抑制される。
【0083】
これにより、フローティングシール材10a(10b)の額縁11に対する摺動距離が小さくなるため、フローティングシール材10a(10b)及び額縁11の摩耗量が小さくなり、フローティングシール材10a(10b)と額縁11の長寿命化を実現できる。
【0084】
また、落下防止ピース19により、フローティングシール材10a(10b)を軸方向のタービン側の第1段静翼部14側へ押し付け、フローティングシール材10a(10b)が額縁11に接触するようにした場合、額縁11とフローティングシール材10a(10b)のギャップうち、軸方向の燃焼器ライナー側の間隙が閉止されるため、圧縮空気100のリークパスが小さくなる。これにより、シール性が向上し、低NOxや逆火防止を実現できる。
【0085】
更に、突起部材17とシール材フローティングシール材10a(10b)の材料は、耐摩耗性に有利な組み合わせを選ぶことが望ましく、例えばHS25同士の組み合わせが挙げられる。
【0086】
このような本実施例によれば、燃焼ガスの燃焼や流動による振動があっても、フローティングシール材10a、10bのタービン周方向及び軸方向への可動を抑制して、部材同士の接触部での摩耗の発生を防ぐことができることは勿論、フローティングシール材10a、10bの周方向の位置精度を高く保つことができ、容易な組立と高いシール性能による低NOx化や逆火を防止する効果があり、更に、長寿命化を達成するガスタービン燃焼器のトランジションピースを実現することができる。
【0087】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1…ディフューザ、2…車室、4…トランジションピース、5…トランジションピースフロースリーブ、6…ライナー、7…ライナーフロースリーブ、8…燃焼室、9…トランジションピースとトランジションピースフロースリーブで形成される流路、10…シール部材、10a、10b…フローティングシール材、10c、10d…サイドシール材、10a1、10b1…フローティングシール材の固定部、10a2、10b2…フローティングシール材のシール部、11…額縁、12、17…突起部材、12a…突起部材のおねじ、12b…突起部材の根元部、12c…突起部材の段差部、13…貫通孔、14…タービン側の第1段静翼部、14a…シール溝、15…耐摩耗ピース、15a…耐摩耗ピースのフローティングシール材の落下を防止する面、16、21…ナット、18…切欠き、19…落下防止ピース、22…ボルト、100…圧縮空気、105、106…火炎、107、108…燃焼ガス、200、201…燃料系統、300…圧縮機、301…タービン、302…発電機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12