(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-148279(P2019-148279A)
(43)【公開日】2019年9月5日
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20190809BHJP
H01F 7/16 20060101ALI20190809BHJP
【FI】
F16K31/06 305E
F16K31/06 305G
H01F7/16 R
F16K31/06 305D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-32096(P2018-32096)
(22)【出願日】2018年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】丸山 紀郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 秀剛
【テーマコード(参考)】
3H106
5E048
【Fターム(参考)】
3H106DA07
3H106DA13
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DD10
3H106EE16
3H106EE22
3H106EE48
3H106GA03
3H106GA13
3H106GA23
3H106GA25
3H106KK23
3H106KK31
5E048AA09
5E048AB01
5E048AD02
(57)【要約】
【課題】電磁コイル25の温度上昇を低減した電動弁を提供する。
【解決手段】電磁駆動部2におけるプランジャ22の下端のパイロット弁22aでピストン弁5のパイロットポート5aを開閉してピストン弁5を駆動する。電磁コイル25の周囲の外函26の底板外函26Bに、弾性を有する磁性体のコイルガイド3を設ける。コイルガイド3を、円筒部31とフランジ部32とで構成する。円筒部31の自然状態での内径をプランジャケース21の外径より僅かに小さくし、円筒部31をプランジャケース21の外周に圧入する。フランジ部32を底板外函26Bに当接させる。弾性部材4を円筒部31とケースホルダ部1Dとの間に設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャが内挿された筒状のケース体と、前記ケース体が挿入されて前記プランジャを駆動する電磁コイルと、前記電磁コイルに嵌合させた磁性体からなる外函とを有する電磁駆動部、を備えた電磁弁であって、
前記外函には前記ケース体を挿通させる挿通孔が形成され、
前記挿通孔近傍に前記外函と前記プランジャとを磁気的に接続するとともに前記ケース体を周囲から押圧しつつ密接する磁性体からなる接続部を備えることを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
前記接続部は前記ケース体に挿通される環状の部分を有することを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記接続部は、自然状態で前記ケース体の外径より小さな内径を有した環状に形成されるとともに、前記ケース体の軸線回りの一部で、該軸線方向の片方の端からもう片方の端までスリットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
【請求項4】
前記接続部は、前記ケース体に密接する筒部と、前記外函に接触するフランジ部と、を有することを特徴とする請求項2または3に記載の電磁弁。
【請求項5】
前記接続部は、弾性を有するとともに磁性体からなる線材を前記ケース体の径方向と軸線方向とにコイルばね状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電磁弁。
【請求項6】
前記接続部は、コイルばね状に形成されるとともに、前記ケース体に密接する同径部と、前記外函に接触する傾斜部と、を有することを特徴とする請求項5に記載の電磁弁。
【請求項7】
前記接続部を前記外函に対して押圧する弾性部材を備えたことを特徴とする請求項1乃至3に記載の電磁弁。
【請求項8】
前記接続部が前記外函と一体に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁駆動部のプランジャケース等に内挿されるプランジャで弁体を駆動する電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電磁弁として、例えば特開2017−62044号公報(特許文献1)に開示されたものがある。この電磁弁は、電磁駆動部において、プランジャを内挿する円筒状部(プランジャケース)を電磁コイルの中央の挿通孔に挿入している。そして、この円筒状部の外周に、外函の一部であるロアプレート(底板外函)の円筒部を挿入するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−62044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電磁駆動部の外函は、電磁コイルが発生する磁気による磁気回路の効率を高めるものであり、プランジャケース内のプランジャの駆動力を左右するものである。しかし、特許文献1のものは、プランジャケース(円筒状部)の外周に、外函の一部を構成する底板外函(ロアプレート)の円筒を挿入するようにしている。このため、プランジャケースと円筒部との間に隙間が生じる可能性があり、磁気回路の磁気効率が低下する虞がある。磁気効率が低下するとその分だけ電磁コイルへの通電電流を大きくする必要があり、電磁コイルがより発熱するという問題がある。
【0005】
本発明は、電磁コイルの温度上昇を低減した電動弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の電磁弁は、プランジャが内挿された筒状のケース体と、前記ケース体が挿入されて前記プランジャを駆動する電磁コイルと、前記電磁コイルに嵌合させた磁性体からなる外函とを有する電磁駆動部、を備えた電磁弁であって、前記外函には前記ケース体を挿通させる挿通孔が形成され、前記挿通孔近傍に前記外函と前記プランジャとを磁気的に接続するとともに前記ケース体を周囲から押圧しつつ密接する磁性体からなる接続部を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2の電磁弁は、請求項1に記載の電磁弁であって、前記接続部は前記ケース体に挿通される環状の部分を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3の電磁弁は、請求項1に記載の電磁弁であって、前記接続部は、自然状態で前記ケース体の外径より小さな内径を有した環状に形成されるとともに、前記ケース体の軸線回りの一部で、該軸線方向の片方の端からもう片方の端までスリットが設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の電磁弁は、請求項2または3に記載の電磁弁であって、前記接続部は、前記ケース体に密接する筒部と、前記外函に接触するフランジ部と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項5の電磁弁は、請求項2に記載の電磁弁であって、前記接続部は、弾性を有するとともに磁性体からなる線材を前記ケース体の径方向と軸線方向とにコイルばね状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6の電磁弁は、請求項5に記載の電磁弁であって、前記接続部は、コイルばね状に形成されるとともに、前記ケース体に密接する同径部と、前記外函に接触する傾斜部と、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項7の電磁弁は、請求項1乃至3に記載の電磁弁であって、前記接続部を前記外函に対して押圧する弾性部材を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項8の電磁弁は、請求項1に記載の電磁弁であって、前記接続部が前記外函と一体に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1乃至8の電磁弁によれば、外函とプランジャとを磁気的に接続する磁性体からなる接続部が、プランジャを内挿するケース体に圧接されるため、この接続部がプランジャに対して極力接近して配置されるとともに、この接続部が外函に圧接されるため、磁性体からなる外函と磁性体からなる接続部を通る磁力線による磁気回路の効率が高くなり、電磁コイルの通電電流を小さくして電磁コイルの温度上昇を低減することができる。なお、接続部が外函とプランジャとを磁気的に接続するとは、接続部が外函に接触する場合と、接続部が外函と一体となっている場合とがあり、いずれの場合も、接続部は、外函からプランジャへの磁力線を通す部材である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態の電磁弁の弁閉状態の縦断面図である。
【
図3】第1実施形態の電磁弁におけるコイルガイドの縦断面図及び平面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態の電磁弁の弁閉状態の縦断面図である。
【
図6】第2実施形態の電磁弁におけるコイルガイドの側断面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態の電磁弁の弁閉状態の縦断面図である。
【
図9】第3実施形態の電磁弁における底板外函の3面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の電磁弁の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態の電磁弁はパイロット式電磁弁の例である。
図1は第1実施形態の電磁弁の非通電時の縦断面図、
図2は
図1のP−P矢視図、
図3は第1実施形態の電磁弁におけるコイルガイドの縦断面図及び平面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は
図1の図面における上下に対応する。この実施形態の電磁弁は、金属製の本体部1と、この本体部1の上部に設けられた電磁駆動部2と、後述の「接続部」としてのコイルガイド3と、弾性部材4とを有している。
【0017】
本体部1は、例えば冷媒等の流体が流入する高圧の一次側継手1Aと、流体が流出する二次側継手1Bと、一次側継手1A及び二次側継手1Bと直交する軸線Lを中心軸とするシリンダ部1Cと、シリンダ部1Cと同軸のケースホルダ部1Dとを一体に形成したものである。また、本体部1には、一次側継手1Aと二次側継手1Bとの間に隔壁11が形成され、隔壁11のシリンダ部1C側には主弁座12が形成されている。主弁座12には円形開口をなす主弁ポート12aが形成されるとともに、主弁座12の回りには薄型円形の弁室13が形成されている。また、シリンダ部1Cは、軸線Lを回転中心とする円筒形状に形成され、ケースホルダ部1Dはシリンダ部1Cから電磁駆動部2側に延在する円筒形状に形成されている。シリンダ部1Cの内部には主弁室13と同径のガイド孔14が形成され、このガイド孔14内には外形が略円柱形状のピストン弁5が内挿されている。
【0018】
ピストン弁5は、外側を覆う金属製(例えば真鍮製)のピストン部51とその内側に配設された樹脂製(例えばPTFE製)のシール部52とを相互に圧入することにより一体に形成したものである。ピストン弁5は主弁ポート12aに対向して配置され、弁室13の底部とピストン弁5との間には開弁ばね53が圧縮して配設されている。そして、この開弁ばね53のばね力によりピストン弁5は主弁ポート12aから離間する方向(開弁方向)に付勢されている。そして、シール部52はピストン弁5が主弁座12に着座したときに、主弁ポート12aを閉じる。また、シール部52には中心にパイロットポート5aと導通路5bとが形成されており、パイロットポート5aは導通路5b及び弁ポート12aを介して二次側継手1Bに導通される。また、パイロットポート5aの周囲はパイロット弁座5a1となっている。なお、ピストン弁5とシリンダ部1Cとの間にはクリアランスが設けられ、このクリアランスを介して一次側継手1A側の流体がピストン弁5の背空間に流入可能となっている。
【0019】
電磁駆動部2は、軸線Lを中心とする円筒形状の「ケース体」としてのプランジャケース21と、プランジャケース21内に内挿された磁性体からなるプランジャ22と、プランジャケース21の上端に固定された磁性体からなる吸引子23と、プランジャ22と吸引子23との間に配設されたプランジャばね24と、円筒状のコイルを樹脂材で封止(内包)した電磁コイル25と、電磁コイル25の外周に嵌合される磁性部材である鉄板製の外函26とを備えている。
【0020】
外函26は、磁性体からなり有底でカップの形状をしたカップ状外函26Aと、外周部がカップ状外函26Aの開口に整合する磁性体からなる底板外函26Bとで構成されている。カップ状外函26Aは筒状の側面部26aとカップの形状の底に対応する天板部26bとから構成されている。そして、電磁コイル25は、カップ状外函26A内に配置され、この電磁コイル25のリード線保持部25aを底板外函26Bの矩形切り欠き部26cに嵌め込んだ状態で、底板外函26Bがカップ状外函26Aの開口部に嵌合されている。これにより、電磁コイル25は、カップ状外函26Aと底板外函26Bとで覆われるとともに、天板部26bと底板外函26Bとで挟まれ、底板外函26Bが電磁コイル25の底面に当接されている。電磁コイル25は、その中央にプランジャケース21を挿入する中心孔25aを有している。底板外函26Bにはプランジャケース21を挿入する中心孔26dが形成され、天板部26bには吸引子23をネジNでネジ止めするためのネジ穴26eが形成されている。
【0021】
プランジャケース21はケースホルダ部1D内に嵌合され、このプランジャケース21とケースホルダ部1Dの端部の周囲がろう付け等により固着されている。また、プランジャ22は、プランジャケース21内で軸線L方向(上下方向)に摺動可能に配設されている。プランジャ22の下端部には、ボールからなるパイロット弁22aがカシメ固定されており、このパイロット弁22aは、ピストン弁5のパイロットポート5aを開閉する。
【0022】
以上の構成により、実施形態の電磁弁は冷凍サイクルシステムに設けられ、一次側継手1Aの高圧の冷媒が流入し、二次側継手1Bから冷媒が流出する。電磁コイル25に通電がなされていないとき(非通電持)は
図1の状態となり、プランジャばね24の付勢力及びプランジャ22の自重により、プランジャ22が吸引子23から離間した位置となる。このときパイロット弁22aがパイロットポート5aを弁閉状態とする。また、パイロット弁22aと共にピストン弁5が下降して主弁ポート12aを閉状態とし、冷媒の通路は遮断される。このとき、ピストン弁5の背空間が高圧となり、ピストン弁5による弁閉状態が確実に保持される。
【0023】
電磁コイル25に通電がなされると、吸引子23とプランジャ22との間に吸引力が発生してプランジャ22が上昇し、パイロット弁22aがパイロットポート5aから離間する。これにより、ピストン弁5の背空間が二次側継手1Bに導通して低圧となる。これにより、ピストン弁5の背空間と一次側継手1A内の圧力差によって生じる上昇力と、開弁ばね53のばね力によりピストン弁5は主弁ポート12aから離間して弁開状態となり、冷媒が一次側継手1Aから二次側継手1Bに流れる。
【0024】
図3に示すように、コイルガイド3は、弾性を有する磁性体からなる金属板をプレス加工等により形成したものであり、軸線Lを中心とする円筒部31と、円筒部31の端部に連結されて軸線Lを中心とする略円環状のフランジ部32とが一体に形成されている。また、円筒部31とフランジ部32との一箇所にはスリット31a,32aがそれぞれ形成されている。さらに、コイルガイド3は、電磁弁に組み付ける前の自然状態で、円筒部31とフランジ部32との内径は同径であり、この内径はプランジャケース21の外径より僅かに小さくなっている。そして、このコイルガイド3は、フランジ部32を電磁コイル25側にしてプランジャケース21の外周に圧入され、フランジ部32が外函26の底板外函26Bと平行に配置されて、この底板外函26Bに当接されている。さらに、プランジャケース21の外周には弾性部材4が嵌め込まれている。この弾性部材4は、ゴム等のリング状の弾性部材であり、コイルガイド3の円筒部31の下端面とケースホルダ部1Dの上端面との間に軸線L方向に圧縮された状態で配置されている。そして、この弾性部材4は、その弾性力により、ケースホルダ部1D側を固定端としてコイルガイド3と共に底板外函26bを電磁コイル25側に付勢する。これにより、コイルガイド3のフランジ部32が外函26の底板外函26Bに圧接される。
【0025】
以上のように、コイルガイド3は、円筒部31とフランジ部32との弾性力によりプランジャケース21に圧接されるため、このコイルガイド3はプランジャ22に対して極力接近して配置される。また、外函26とプランジャ22とを磁気的に接続するコイルガイド3のフランジ部32が弾性部材4の弾性力により外函26の底板外函26Bに圧接されるため、コイルガイド3と底板外函26Bとの間に隙間が生じることもない。したがって、磁性体からなる外函26と磁性体からなるコイルガイド3を通る磁力線による磁気回路の効率が高くなり、電磁コイル25の通電電流を小さくして電磁コイル25の温度上昇を低減することができる。
【0026】
図4は第2実施形態の電磁弁の弁閉状態の縦断面図、
図6は第2実施形態の電磁弁におけるコイルガイドの側断面図である。以下の第2実施形態及び第3実施形態において、第1実施形態と同様な要素は同様な作用効果を奏するものであり、第2実施形態及び第3実施形態の図面における同様な部材には、
図1と同符号を付記して重複する説明は適宜省略する。
【0027】
この第2実施形態において第1実施形態と異なるところは、「接続部」としてのコイルガイド6の構成と弾性部材4を備えていない点である。
図5に示すように、コイルガイド6は、弾性を有するとともに磁性体からなる線材を径方向と軸線L方向とにコイルばね状に形成したものである。このコイルガイド6は、電磁弁に組み付ける前の自然状態で、プランジャケース21の外径より小さな内径を有する同径部61と、同径部61に連結された円錐台形状の傾斜部62とを有している。そして、このコイルガイド6は、傾斜部62を電磁コイル25側にして同径部61がプランジャケース21の外周に圧入され、傾斜部62が外函26の底板外函26Bと平行になるように圧縮して配置されて、この底板外函26Bに当接されている。この傾斜部62は、組み付け状態で自身の軸線L方向の弾性力により外函26の底板外函26Bに圧接される。すなわち、電磁弁に組み付けた状態では、同径部61がプランジャケース21に密接し、傾斜部62が底板外函26Bに接触する。
【0028】
以上のように、コイルガイド6は、同径部61と傾斜部62との弾性力によりプランジャケース21に圧接されるため、外函26とプランジャ22とを磁気的に接続するこのコイルガイド6はプランジャ22に対して極力接近して配置される。また、コイルガイド6の傾斜部62が外函26の底板外函26Bに圧接されるため、コイルガイド6と底板外函26Bとの間に隙間が生じることもない。したがって、磁性体からなる外函26と磁性体からなるコイルガイド6を通る磁力線による磁気回路の効率が高くなり、電磁コイル25の通電電流を小さくして電磁コイル25の温度上昇を低減することができる。
【0029】
図7は第3実施形態の電磁弁の弁閉状態の縦断面図、
図9は第3実施形態の電磁弁における底板外函の3面図である。この第3実施形態において第1実施形態と異なるところは、「接続部」としてのコイルガイド7の構成であり、この第3実施形態におけるコイルガイド7は外函26の底板外函26B′の一部として構成した点である。底板外函26B′は径方向の弾性を有する磁性体からなるもので、第1実施形態と同様にカップ状外函26Aの開口部の内側で電磁コイル25の底面に当接するものである。また、底板外函26B′はその中央にコイルガイド7を一体に形成したものである。そして、コイルガイド7はその中央に軸線Lを中心とする円筒部からなり、このコイルガイド7と底板外函26B′の一箇所にはスリット7a,26fが形成されている。そして、コイルガイド7には、スリット26fと反対側のもう一箇所にスリット7bが形成されている。さらに、底板外函26B′及びコイルガイド7は、電磁弁に組み付ける前の自然状態で、円筒部の内径がプランジャケース21の外径より僅かに小さくなっている。そして、このコイルガイド7は、底板外函26B′が電磁コイル25に組み付けられた状態で、プランジャケース21の外周に圧入されている。さらに、プランジャケース21の外周には第1実施形態と同様な弾性部材4が嵌め込まれ、電磁コイル25とケースホルダ部1Dの上端面との間に配置される。そして、この弾性部材4は、その弾性力により、ケースホルダ部1D側を固定端として底板外函26B′及びコイルガイド7を電磁コイル25側に付勢する。
【0030】
以上のように、コイルガイド7は、その円筒部の弾性力によりプランジャケース21に圧接されるため、外函26とプランジャ22とを磁気的に接続するこのコイルガイド7はプランジャ22に対して極力接近して配置される。また、底板外函26B′及びコイルガイド7が弾性部材4の弾性力により電磁コイル25に圧接される。したがって、磁性体からなる外函26と磁性体からなるコイルガイド7を通る磁力線による磁気回路の効率が高くなり、電磁コイル25の通電電流を小さくして電磁コイル25の温度上昇を低減することができる。
【0031】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1 本体部
1A 一次側継手
1B 二次側継手
1C シリンダ部
1D ケースホルダ部
12 主弁座
12a 主弁ポート
13 弁室
2 電磁駆動部
21 プランジャケース(ケース体)
22 プランジャ
22a パイロット弁
23 吸引子
24 プランジャばね
25 電磁コイル
26 外函
26A カップ状外函
26B 底板外函
26a 側面部
26b 天板部
3 コイルガイド(接続部)
31 円筒部
32 フランジ部
31a スリット
32a スリット
4 弾性部材
5 ピストン弁
6 コイルガイド(接続部)
7 コイルガイド(接続部)
26B′ 底板外函