(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-148574(P2019-148574A)
(43)【公開日】2019年9月5日
(54)【発明の名称】水位検出装置及び水位制御装置
(51)【国際特許分類】
G01F 23/292 20060101AFI20190809BHJP
【FI】
G01F23/292 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】書面
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-50166(P2018-50166)
(22)【出願日】2018年2月27日
(11)【特許番号】特許第6454838号(P6454838)
(45)【特許公報発行日】2019年1月23日
(71)【出願人】
【識別番号】516189246
【氏名又は名称】松栄電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松田 健次
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AA07
2F014AB02
2F014AC03
2F014FA01
(57)【要約】
【課題】 無接点で作動し、信頼性の高い水位検出装置を提供する。
【解決手段】水位検出装置は、平型反射式水面計6と、光学センサー1、2、3、を有している。平型反射式水面計6は水に接する裏側の表面がプリズム状の凹凸を有するガラス製である。光学センサー1、2、3は平型反射式水面計6に表面から光を照射して、その反射光を検知することにより水位を検出する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に接する裏側の表面がプリズム状の凹凸を有するガラス製の平型反射式水面計と、この平型反射式水面計に表側から光を照射して、その反射光を検知することにより水位を検出する光学センサーとを備える水位検出装置。
【請求項2】
前記光学センサーは、特定の色の光を照射し、反射光に対する感度が反射光の色によって異なるカラーマーク光学センサーである請求項1に記載の水位検出装置。
【請求項3】
前記光学センサーは、水位を維持すべき範囲の上限及び下限、並びに安全低水位の3水位を検出する請求項1又は2に記載の水位検出装置。
【請求項4】
前記光学センサーは、前記上限より高い水位と、前記安全低水位よりも低い水位をも検出する請求項3に記載の水位検出装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかの水位検出装置と、前記光学センサーが検出した結果に基づいて水位を制御する制御回路とを、備えた水位制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボイラーに好適な水位検出装置及び水位制御に関するものである
【背景技術】
【0002】
ボイラーには蒸気ボイラーと給湯用の温水ボイラーとがある。ボイラーは24時間休みなしに運転されていて点検のときだけ休止する。運転するためには複雑な操作手順を覚えて正しく操作する必要があり、それゆえボイラー技士の資格と習熟度が不可欠である。水位計の点検管理は毎日行うことになっている。ボイラー本体のタンクの水位は高すぎても低すぎてもいけない、常に一定のレベルを保持していなくてはいけないのである。高すぎると蒸気の中に水分が混入してしまうからウォーターハンマーが起こる。低すぎると空焚きの危険があるから低水位警報を鳴らして燃焼を自動的に停める仕組みになっている。そのためフロート式の水位センサーや電極式のセンサーを用いて水位を常に管理している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ボイラー技士は突発的に起こる故障に備えて、常に水位計を監視し日常的に点検整備する規則になっている。燃料とバーナーの燃焼、換気、蒸気圧力、点検項目が多いためボイラーの事故を如何にして防ぐかということになれば現時点では人の監視に頼るしかない。なかでも水位の管理は特に重要であり24時間休みなく監視する人に代わって監視する方法がないものか、あるいは異常の発生を遅滞なく人に知らせる方法がないかという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
水位管理の問題点を解決するには、自動化が必要であるがハードルは非常に高い。機械式接点を持つリミットスイッチ式ではなく、電極式でもないものつまり電気的には無接点で作用するものが望ましい。無接点であれば経年劣化がないから寿命は格段に優れている。
【0005】
これをどうして実現するかは今日の進化したエレクトロ技術と音波や光波という物理現象をうまく利用することを考える必要がある。そこでボイラーには従来から設置されている平型反射式水面計6という光学的作用を利用して読み取る水面計と、これに光学センサーとの組み合わせを考えることにした。
【0006】
平型反射式水面計6とエレクトロ技術との組み合わせで白黒を判別する光学センサーを取り付けて実験装置をつくったところ、実験では予想どおりの結果が得られた。
【発明の効果】
【0007】
ボイラーの管理は人手に頼る部分が多い。蒸気圧力や燃焼ガスの管理これらは水位の管理と一体化しており水位が異常低下したままオペレーターが気づかずに放置されていると、ボイラーが空焚きになるおそれがある。従来から取り付けられている平型反射式水面計6はボイラーに何か異常があったときに目で見ることの出来る重要な部分であるから、ボイラー技士は常に監視し点検整備が必要とされている。平型反射式水面計6に光学センサーを取り付けて無接点で水位の検出を行えば、信頼性の高い装置として利用できるので点検や整備を頻繁にしなくてよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】(a)は炉筒煙管ボイラーの全体略図を示す。(b)は断面図を示す
【
図4】(a)は平型反射式水面計の正面図(b)は側面図である。
【
図5】(a)は水面計プリズムの断面図で(b)は水面計に取り付けられた状態の光学センサーの反射光学作用の図
【
図7】は反射式水面計に取り付けられた5ケの光学センサーである
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は従来から使われている水位制御装置はフロート式の水位検出器を用いて水位を常に管理している。フロート式は支点を介して反対側にリミットスイッチがあり、水位により機械的にリミットスイッチをON、OFFさせる。構造が簡単であり、この信号を受信して制御盤から電磁弁へ水供給の指令を出す仕組みである。
【0011】
図2は従来から使われている電極式水位検出器である。電極式のものは4本の電極があって水中に微弱な電流を流してリレーをON、OFFさせる仕組みである。定期的に分解整備して部品を交換しなくてはいけない。給水経路に異常があれば低水位警報が知らせるがこれも電極式である。電極式のものは水柱管内の水が循環しないと凝縮した水が除々に純水に近づいて電気を通さなくなるという欠点がある。
【0012】
図3(a)は炉筒煙管ボイラー本体12の全体概略図である。(b)は断面図で平型反射式水面計6の上部配管は主蒸気管8につながり、下部はボイラー本体タンクの貯水部11に配管される。ボイラー本体タンク12の水位と水面計の水位はいつも同じレベルである。
図3(b)に示すのは安全低水面17と煙管(火焔道)18との水位差を示したものである。煙管が水面上に露出しないよう炉筒煙管ボイラーでは75mmの水位差を設けてある。ボイラーの種類によっては100mmの場合もある。そしてこれが安全低水面のセット位置である。ボイラー技士は水面計を見ながらフロート式や電極式の水位検出器が正しく動作しているかどうか判断するが、異常かどうかを判断するまでには時間がかかる。この発明では人の目視に代わって光学センサーが水面計を監視しているので、不具合があった場合はリアルタイムで制御盤に情報が伝えられる。
【0013】
図4(a)は平型反射式水面計6の正面図、(b)は側面図である。
図5(a)は平型反射式水面計を構成する部品でプリズムガラス19の断面斜視図である。
図5(b)は水面計の側面断面図で光学センサーが取り付けられている。
図6は好適な光学センサーの一例の品名及び仕様書とデータである。
【0014】
図5(a)に示すプリズムガラス19は透明なガラスであり、V形状の溝20が4列縦方向に成型されている構造である。この部分はガラスの裏面すなわち、V形状の溝20が形成されている側の面で水に接しており、鉄板とガスケットによりネジで水槽に圧接して固定されている。裏面V形状に対して表面は人が目視できるように平滑である。
【0015】
図5(b)は水面計の光学センサーが発光して反射している状態を表している。水があればプリズムで光が屈折し水の中を透過して無反射の状態となる。平型反射式水面計6は光学的な作用により水の無いときに光が入ると乱反射して白く輝き、水のあるときに光が入るとプリズムにより光は屈折して透明に見える作用を利用したものである。ここに光学センサーを取りつけて発光させ、反射光を受光させ、この物理的光学作用を利用して無接点で電気回路を開閉し、信号を取り出すようにした。また光学センサーは特別な色にだけ反応するもので、好ましくはカラーマークセンサーがよい。その一例としてメーカーはキーエンス製で品番とデータを
図6に記載した。この製品は緑色で発光し、色ごとの受光感度が帯グラフに表されている。グラフの通り緑色の反射光の受光感度が高いので発光した光がプリズムで反射される場合とプリズムを透過する場合との識別が容易であり、水の有無が感度よく検知できる。
【0016】
図5に戻ってこの平型反射式水面計6に高水位1、常用水位2、安全低水位3の無接点の光学センサーが取り付けられている。無接点であるから機械的損耗や経年劣化が少ない。ボイラー本体タンク12(
図3参照)の水位が下がると、配管でつながる平型反射式水面計6の水位も下がる。そして平型反射式水面計6に取り付いた常用水位センサー2はONする。制御盤に送られた信号で給水電磁弁9がONし、ボイラー本体タンク12に水が供給されボイラー本体タンク12の水位が上昇する。すると平型反射式水面計6の水位も上昇する。水位が高水位センサー1に届くと制御盤に送られた信号で給水電磁弁は閉じられて給水は止まる。こうして水位は一定に保たれる。
【0017】
例えば機械的な故障で給水回路の一部に異常が発生したと仮定する。電磁弁が故障して給水できない場合を想定する。水位は下がり続けてついに安全低水位センサー3まで水位は下がる。このときのために安全低水位センサー3があるので異常を感知したことになる。異常信号はただちに制御盤に送られて、制御盤からの指令によりバーナーの給油弁が閉じられる。同時にオペレーターに警報を報知する。あとは制御シーケンスによりボイラーの運転は安全に停止するようにプログラムされている。
【0018】
ここでもし安全低水位センサー3が故障していたらどうなるかという最悪の状態を考えることにする。この場合警報は報知されずバーナーの給油弁も閉じられないのでオペレーターが気付かなければさらに水位は下がり続けることになる。これを防ぐために
図7に示すように2重の安全装置として異常低水位センサー5を設置した。これで安全低水位センサー3のバックアップをする。同じことが高水位センサーについても考えられる。そのために高水位センサーのバックアップとして異常高水位センサー4を設置した。いずれもオペレーターに警報を報知して異常信号を制御盤に伝達する。ボイラーの制御盤はその信号を受信して制御シーケンスにより安全にボイラーの運転を停止させる。
【0019】
図8は水位制御を行う制御部7を示している。5ヶのセンサー1〜5がすべてこの制御部7に配線されている。制御部7には制御回路(図示略)が設置されており、センサー1〜5の検知信号にもとずいてフィードバック制御を行う。制御信号は、例えば給水弁の開閉信号及び警報信号であり、ボイラーの制御盤(図示略)に送られる。
【符号の説明】
【00020】
1 高水位センサー
2 常用水位センサー
3 安全低水位センサー
4 異常高水位センサー
5 異常低水位センサー
6 平型反射式水面計
7 水位制御装置の制御部
8 ボイラー主蒸気管
9 給水電磁弁
10 ボイラータンク内蒸気室
11 ボイラータンク内貯水部
12 炉筒煙管ボイラー本体胴
13 炉筒煙管ボイラー本体煙道
14 バーナー
15 リミットスイッチ
16 フロート
17 ボイラーの安全低水面
18 ボイラーの煙管上面
19 水面計プリズム成形ガラス
20 プリズム成形状の縦溝
21 水面計蒸気室部分
22 水面計水室部分
【手続補正書】
【提出日】2018年7月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
ボイラーに使用され、ボイラー本体タンクの水位を検出する水位検出装置であって、水に接する裏側の表面がプリズム状の凹凸を有するガラス製の平型反射式水面計と、この平型反射式水面計に表側から光を照射して、その反射光を検知することにより水位を検出する光学センサーとを備え、前記プリズム状の凹凸は、縦方向に延びるV形状の溝が横方向に並んだものである水位検出装置。