特開2019-149103(P2019-149103A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2019-149103データ処理装置、測定システムおよびデータ処理用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-149103(P2019-149103A)
(43)【公開日】2019年9月5日
(54)【発明の名称】データ処理装置、測定システムおよびデータ処理用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20190809BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20190809BHJP
【FI】
   G08C17/00 Z
   G08C15/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-34645(P2018-34645)
(22)【出願日】2018年2月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】竹村 大樹
(72)【発明者】
【氏名】神林 卓也
(72)【発明者】
【氏名】今泉 憲
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA02
2F073AA04
2F073AA09
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BB04
2F073BB07
2F073BC01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC07
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD07
2F073DE07
2F073DE13
2F073EE01
2F073EF09
2F073FF01
2F073FF12
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
(57)【要約】
【課題】非正規な利用者によるデータ処理装置の使用を確実かつ容易に制限し、かつ測定装置の動作条件を容易に設定可能とする。
【解決手段】SIMカード認証通信方式の通信端末2に装着されるSIMカードCのカード識別データDc、およびカードCが装着された端末2に接続される測定装置3a〜3cの測定装置識別データD3a〜D3cを記憶する記憶部と、データDcが記憶されているカードCが装着された端末2を介してのデータの送受信を許容し、データDcが記憶されていないカードCが装着された端末2を介してのデータの送受信を規制する処理部とを備え、処理部は、装置3の動作条件データDrを装置3から端末2を介して受信して装置3のデータD3に関連付けて記憶させる第1の処理と、対応するデータD3,Drが記憶されている装置3に対して端末2を介してデータDrを送信する第2の処理とを実行可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SIMカード認証通信方式の通信装置を使用した通信が可能な通信網を利用し、当該通信装置に接続された測定装置との間で任意のデータを送受信可能に構成されたデータ処理装置であって、
前記通信装置に装着されるSIMカードを識別可能な第1の識別データ、および前記第1の識別データに対応する前記SIMカードが装着された前記通信装置に接続される前記測定装置を識別可能な第2の識別データを記憶する記憶部と、
前記第1の識別データが前記記憶部に記憶されている前記SIMカードが装着された前記通信装置としての第1の通信装置を介しての前記測定装置との間の前記任意のデータの送受信を許容すると共に、前記第1の識別データが前記記憶部に記憶されていない前記SIMカードが装着された前記通信装置としての第2の通信装置を介しての前記測定装置との間の前記任意のデータの送受信を規制する処理部とを備え、
前記処理部は、前記第1の通信装置に接続された前記測定装置の動作条件を特定可能な動作条件データを前記任意のデータとして当該測定装置から当該第1の通信装置を介して受信して当該測定装置の前記第2の識別データに関連付けて前記記憶部に記憶させる第1の処理と、前記第1の通信装置に接続され、かつ対応する前記第2の識別データおよび前記動作条件データが前記記憶部に記憶されている前記測定装置に対して当該第1の通信装置を介して当該動作条件データを送信する第2の処理とを実行可能に構成されているデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のデータ処理装置と、前記通信装置と、前記測定装置とを備えて構成されている測定システム。
【請求項3】
SIMカード認証通信方式の通信装置を使用した通信が可能な通信網を利用し、当該通信装置に接続された測定装置との間で任意のデータを送受信可能に構成されたデータ処理装置に対して当該測定装置との間の当該任意のデータの送受信を制御させるデータ処理用プログラムであって、
前記通信装置に装着されるSIMカードを識別可能な第1の識別データ、および前記第1の識別データに対応する前記SIMカードが装着された前記通信装置に接続される前記測定装置を識別可能な第2の識別データを記憶する記憶部と、前記第1の識別データが前記記憶部に記憶されている前記SIMカードが装着された前記通信装置としての第1の通信装置を介しての前記測定装置との間の前記任意のデータの送受信を許容すると共に、前記第1の識別データが前記記憶部に記憶されていない前記SIMカードが装着された前記通信装置としての第2の通信装置を介しての前記測定装置との間の前記任意のデータの送受信を規制する処理部とを備えた前記データ処理装置の当該処理部に対して、
前記第1の通信装置に接続された前記測定装置の動作条件を特定可能な動作条件データを前記任意のデータとして当該測定装置から当該第1の通信装置を介して受信して当該測定装置の前記第2の識別データに関連付けて前記記憶部に記憶させる第1の処理と、前記第1の通信装置に接続され、かつ対応する前記第2の識別データおよび前記動作条件データが前記記憶部に記憶されている前記測定装置に対して当該第1の通信装置を介して当該動作条件データを送信する第2の処理とを実行させるデータ処理用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に接続された測定装置との間で任意のデータを送受信可能に構成されたデータ処理装置、そのようなデータ処理装置と通信装置と測定装置とを備えた測定システム、およびデータ処理装置の処理部に各種の処理を実行させるデータ処理用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は、携帯電話回線網などの通信ネットワークに接続可能な携帯情報端末(通信装置)を利用して、各測定装置とデータサーバ(データ処理装置)との間で各種のデータを送受信することが可能な測定システムを下記の特許文献に開示している。
【0003】
この場合、出願人が開示している測定システムでは、測定装置および携帯情報端末がブルートゥース(Bluetooth :登録商標)等の近距離無線通信規格に準ずる無線通信によって各種データを送受信することが可能に構成されると共に、携帯情報端末およびデータサーバが携帯電話回線網などの通信ネットワークを介して各種データを送受信することが可能に構成されている。これにより、出願人が開示している測定システムでは、測定現場において、データサーバに記録されている測定作業用のデータを携帯情報端末によって通信ネットワークを介して受信したり、測定装置の測定結果を携帯情報端末によって通信ネットワークを介してデータサーバに送信したりすることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−166761号公報(第11−27頁、第1−15図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、出願人が開示している測定システムには、以下の改善すべき課題が存在する。具体的には、上記の測定システムでは、携帯情報端末を介して測定装置とデータサーバとの間で各種データを送受信することが可能な構成が採用されている。
【0006】
この場合、測定装置から送信した測定結果のデータ等が蓄積されるデータサーバにおいては、蓄積されているデータの漏洩や、第三者によって送信されたデータ(データサーバを使用する権限を有さない者が送信したデータ)の蓄積に起因する記録可能容量の減少を回避するために、データサーバへの使用を正規な利用者に限定する必要がある。そこで、測定装置をデータサーバに接続する際にIDおよびパスワードを入力させる認証処理の実施が検討されたが、測定装置における操作部の操作によるIDおよびパスワードの入力が煩雑であり、利用者に対して大きな負担を強いるおそれがある。
【0007】
また、出願人は、上記の測定システムの構成例における携帯情報端末(スマートフォン等)に固有の情報(例えば、携帯情報端末のシリアル番号)を認証情報として利用し、認証情報が合致する携帯情報端末を介してのデータサーバの使用を許容し、認証情報が合致しない携帯情報端末を介しての使用を規制する運用形態を検討した。
【0008】
しかしながら、そのような運用形態では、例えば、認証情報の登録を完了した携帯情報端末が故障して他の携帯情報端末を使用しようとしたときに、認証情報を再登録する煩雑な作業が必要となる。また、利用者が逐次変更される可能性がある携帯情報端末(例えば、レンタル業者より貸与される携帯情報端末)を使用した場合、その携帯情報端末の使用を終了したときに、登録済の認証情報の抹消を忘れた場合には、その携帯情報端末の次の利用者がデータサーバにアクセスすることが可能な状態が維持されてしまう。このように、出願人が開示している測定システムでは、データサーバの利用者を確実かつ容易に制限するのが困難となっている現状があり、これを改善するのが好ましい。
【0009】
また、上記の測定システムの利用形態としては、例えば、測定器および携帯情報端末を携行して複数箇所の測定現場で測定作業を順次実施するといった形態が存在する。この場合、複数箇所の測定現場における測定作業を連日繰り返して実施する際に、各測定現場毎の測定条件(測定装置の動作条件)が相違するときには、測定作業の開始に先立って測定装置を操作して測定現場に合致する測定条件を設定する操作を各測定現場毎に実施しなくてはならない。この測定条件の設定に関し、出願人が提供している測定装置のなかには、測定条件の設定の組み合わせを複数種類保存しておくことが可能な装置も存在するが、そのような機能を有さない測定装置や、保存できる測定条件の数が少数の測定装置を使用する場合には、上記のように測定現場毎の測定条件の設定作業が煩雑となっているため、この点を改善するのが好ましい。
【0010】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、非正規な利用者によるデータ処理装置および測定装置の間の各種データの送受信を確実かつ容易に制限すると共に、測定装置の動作条件の設定を容易に実施し得るデータ処理装置、測定システムおよびデータ処理用プログラムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく、請求項1記載のデータ処理装置は、SIMカード認証通信方式の通信装置を使用した通信が可能な通信網を利用し、当該通信装置に接続された測定装置との間で任意のデータを送受信可能に構成されたデータ処理装置であって、前記通信装置に装着されるSIMカードを識別可能な第1の識別データ、および前記第1の識別データに対応する前記SIMカードが装着された前記通信装置に接続される前記測定装置を識別可能な第2の識別データを記憶する記憶部と、前記第1の識別データが前記記憶部に記憶されている前記SIMカードが装着された前記通信装置としての第1の通信装置を介しての前記測定装置との間の前記任意のデータの送受信を許容すると共に、前記第1の識別データが前記記憶部に記憶されていない前記SIMカードが装着された前記通信装置としての第2の通信装置を介しての前記測定装置との間の前記任意のデータの送受信を規制する処理部とを備え、前記処理部は、前記第1の通信装置に接続された前記測定装置の動作条件を特定可能な動作条件データを前記任意のデータとして当該測定装置から当該第1の通信装置を介して受信して当該測定装置の前記第2の識別データに関連付けて前記記憶部に記憶させる第1の処理と、前記第1の通信装置に接続され、かつ対応する前記第2の識別データおよび前記動作条件データが前記記憶部に記憶されている前記測定装置に対して当該第1の通信装置を介して当該動作条件データを送信する第2の処理とを実行可能に構成されている。
【0012】
また、請求項2記載の測定システムは、請求項1記載のデータ処理装置と、前記通信装置と、前記測定装置とを備えて構成されている。
【0013】
また、請求項3記載のデータ処理用プログラムは、SIMカード認証通信方式の通信装置を使用した通信が可能な通信網を利用し、当該通信装置に接続された測定装置との間で任意のデータを送受信可能に構成されたデータ処理装置に対して当該測定装置との間の当該任意のデータの送受信を制御させるデータ処理用プログラムであって、前記通信装置に装着されるSIMカードを識別可能な第1の識別データ、および前記第1の識別データに対応する前記SIMカードが装着された前記通信装置に接続される前記測定装置を識別可能な第2の識別データを記憶する記憶部と、前記第1の識別データが前記記憶部に記憶されている前記SIMカードが装着された前記通信装置としての第1の通信装置を介しての前記測定装置との間の前記任意のデータの送受信を許容すると共に、前記第1の識別データが前記記憶部に記憶されていない前記SIMカードが装着された前記通信装置としての第2の通信装置を介しての前記測定装置との間の前記任意のデータの送受信を規制する処理部とを備えた前記データ処理装置の当該処理部に対して、前記第1の通信装置に接続された前記測定装置の動作条件を特定可能な動作条件データを前記任意のデータとして当該測定装置から当該第1の通信装置を介して受信して当該測定装置の前記第2の識別データに関連付けて前記記憶部に記憶させる第1の処理と、前記第1の通信装置に接続され、かつ対応する前記第2の識別データおよび前記動作条件データが前記記憶部に記憶されている前記測定装置に対して当該第1の通信装置を介して当該動作条件データを送信する第2の処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のデータ処理装置では、SIMカード認証通信方式の通信装置に装着されるSIMカードを識別可能な第1の識別データ、および第1の識別データに対応するSIMカードが装着された通信装置に接続される測定装置を識別可能な第2の識別データを記憶する記憶部と、第1の識別データが記憶部に記憶されているSIMカードが装着された通信装置としての第1の通信装置を介しての測定装置との間の任意のデータの送受信を許容すると共に、第1の識別データが記憶部に記憶されていないSIMカードが装着された通信装置としての第2の通信装置を介しての測定装置との間の任意のデータの送受信を規制する処理部とを備え、処理部が、第1の通信装置に接続された測定装置の動作条件を特定可能な動作条件データを任意のデータとして測定装置から第1の通信装置を介して受信して測定装置の第2の識別データに関連付けて記憶部に記憶させる第1の処理と、第1の通信装置に接続され、かつ対応する第2の識別データおよび動作条件データが記憶部に記憶されている測定装置に対して第1の通信装置を介して動作条件データを送信する第2の処理とを実行可能に構成されている。また、請求項2記載の測定システムでは、請求項1記載のデータ処理装置と、通信装置と、測定装置とを備えて構成されている。さらに、請求項3記載のデータ処理用プログラムでは、上記の各処理をデータ処理装置の処理部に実行させる。
【0015】
したがって、請求項1記載のデータ処理装置、請求項2記載の測定システム、および請求項3記載のデータ処理用プログラムによれば、ユーザIDやパスワードの入力作業を行うことなく、データ処理装置の記憶部への第1の識別データの記憶が完了しているSIMカードを装着した通信装置を介して接続させるだけで、測定装置等からデータ処理装置に対する各種データの送受信を行わせることができると共に、第1の識別データが記憶部に記憶されていないSIMカードが装着された通信装置を介してのデータ処理装置の使用、すなわち、非正規な利用者によるデータ処理装置の使用を好適に制限することができる。また、故障等に起因して使用中の通信装置とは異なる通信装置を使用する場合にも、新規の登録作業や、新たな通信装置の使用についての登録事項の変更作業を行うことなく、記憶部への第1の識別データの記憶が完了しているSIMカードを新たな通信装置に装着するだけで、変更前の通信装置を使用したデータの送受信時と同様に各種のデータを送受信させることができる。さらに、通信装置を介して各測定装置の動作条件データをデータ処理装置に保存しておくことで、通信装置を介してその動作条件データを取得して測定条件を設定することができるため、操作部の操作等による煩雑な設定作業を不要とし、任意の測定条件に従って測定処理を確実かつ容易に実施させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】測定システム100の構成、および測定システム100の各構成要素とインターネットN1や移動体通信網N2等との接続態様の一例について説明するための説明図である。
図2】データサーバ1の構成について説明するための構成図である。
図3】通信端末2の構成について説明するための構成図である。
図4】測定装置3の構成について説明するための構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、「データ処理装置」、「測定システム」および「データ処理用プログラム」の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1に示す測定システム100は、「測定システム」の一例であって、「データ処理装置」の一例であるデータサーバ1と、「SIMカード認証通信方式の通信装置」の一例である通信端末2と、「測定装置」の一例である測定装置3a〜3cとを備えて構成されている。
【0019】
なお、本例では、測定装置3a〜3cの3台(以下、区別しないときには「測定装置3」ともいう)を備えた構成を例に挙げて説明するが、「測定装置」の台数についてはこれに限定されず、1台の「測定装置」、2台の「測定装置」、または、4台以上の「測定装置」を備えて「測定システム」を構成することができる。また、「通信装置」の台数についても本例の構成の例に限定されず、2台以上の複数台の「通信装置」およびその「通信装置」に接続された「測定装置」を備えて「測定システム」を構成することができる。
【0020】
データサーバ1は、一例として、測定装置3の製造者や販売者などによって開設された設備(装置)であって、例えば、測定装置3の使用者(以下、「ユーザ」ともいう)と開設者(以下、「サーバ管理者」ともいう)との間で行う後述の契約手続きにより、そのユーザによるデータサーバ1の利用が許容される。なお、データサーバ1については、この測定システム100専用のサーバマシンを用意して運用する形態だけでなく、いわゆるレンタルサーバにおいて後述のシステム管理用プログラムDpを動作させて測定システム100用の「データサーバ」として機能させることもできる。このデータサーバ1は、図2に示すように、通信部11、記録媒体12、操作部13、表示部14、処理部15および記憶部16を備えて構成されている。
【0021】
通信部11は、データサーバ1をインターネットN1に接続するための通信モジュールで構成され、処理部15の制御下で各種のデータを送受信する。この場合、図1に示すように、インターネットN1には、移動体通信網N2(「SIMカード認証通信方式の通信装置を使用した通信が可能な通信網」の一例)が接続されており、後述するように、本例の測定システム100では、この移動体通信網N2(移動体通信網N2に接続可能な通信端末2)、およびインターネットN1を介して各測定装置3とデータサーバ1との間で任意のデータの送受信が行われる。
【0022】
記録媒体12は、「記憶部」の一例であって、HDDやSSDなどの大容量記録メディアで構成されている。この記録媒体12は、図2に示すように、「データ処理用プログラム」の一例であるシステム管理用プログラムDp(処理部15によって実行される管理用プログラム)や、後述の利用者管理データDl、動作条件データDr(「動作条件データ」の一例)および測定結果データDmなどを記録する。操作部13は、キーボード、およびマウス等のポインティングデバイスで構成され、後述するように、利用者登録に際して登録すべき各種の文字情報を入力したり、登録抹消に際して抹消すべき情報を選択したりすることができるように構成されている。表示部14は、処理部15の制御下で、データサーバ1の動作状態を示す画面などを表示する。
【0023】
処理部15は、システム管理用プログラムDpに従ってデータサーバ1を総括的に制御する。この処理部15は、「処理部」の一例であって、後述すように、利用者登録に際して操作部13の操作等によって入力される情報に基づき、「第1の識別データ」の一例であるカード識別データDcを生成して利用者管理データDlに追記する。また、処理部15は、インターネットN1を介してのデータサーバ1の利用の可否について、利用者管理データDlに基づく認証処理を実行し、アクセス可能と判別したときに、このデータサーバ1の利用を許容する。なお、カード識別データDcの生成や利用者管理データDlへの追記の具体的な内容や、認証処理の具体的な手順については、後に詳細に説明する。
【0024】
さらに、処理部15は、後述するように測定装置3から送信される動作条件データDrの記録媒体12への記録(「第1の処理」の一例)、および記録媒体12に記録されている動作条件データDrの測定装置3への送信(「第2の処理」の一例)を実行する。また、処理部15は、後述するように測定装置3から送信される測定結果データDmの記録媒体12への記録、および記録媒体12に記録されている測定結果データDmの情報処理端末4などへの送信を実行する。なお、動作条件データDrや測定結果データDmの記録および送信の処理については、後に詳細に説明する。記憶部16は、処理部15の演算結果を一時的に記憶する。
【0025】
通信端末2は、移動体通信網N2を介して測定装置3などをインターネットN1に接続させるための端末であって、本例では、測定装置3のユーザが測定装置3と共に購入した通信端末2や、サーバ管理者、またはサーバ管理者が許可したレンタル業者が測定装置3のユーザに対して貸与した通信端末2が使用されて測定システム100が構成されている。この通信端末2は、図3に示すように、通信部21,22、操作部23、表示部24、処理部25および記憶部26を備えて構成されている。
【0026】
通信部21は、一例として、ブルートゥース(Bluetooth :登録商標)規格などの近距離無線通信規格に準ずる無線通信が可能な通信アダプタで構成されている。この通信部21は、処理部25の制御に従い、後述するように測定装置3から送信される動作条件データDrや測定結果データDmなどの受信処理、および測定装置3に対する動作条件データDrなどの送信処理を実行する。
【0027】
通信部22は、測定装置3などを移動体通信網N2に接続させるための通信モジュールであって、SIMカードCを装着可能なSIMカードスロット22aを備えて構成されている。この場合、本例では、通信端末2を介してのデータサーバ1の使用を希望するユーザがサーバ管理者との間で契約手続きを行うことで、そのユーザに対して有効なSIMカードCが提供され、提供されたSIMカードCがSIMカードスロット22aに装着されることで、通信端末2を介してのデータサーバ1へのアクセスが許容される。なお、SIMカードCの発行手続きや通信端末2(SIMカードスロット22a)への装着およびデータサーバ1へのアクセスの許容等については、後に詳細に説明する。
【0028】
操作部23は、通信端末2の動作条件の設定操作や、測定装置3との通信部21を介しての通信を許容/規制する操作(ペアリング操作/解除操作)などを実行可能な操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部25に出力する。表示部24は、処理部25の制御下で通信端末2の動作状態などを表示する。
【0029】
処理部25は、通信端末2を総括的に制御する。具体的には、処理部25は、通信部21を介しての測定装置3との各種の通信、および通信部22(通信部22が接続する移動体通信網N2)等を介してのデータサーバ1等との間の各種の通信を制御する。なお、処理部25による通信制御の具体的な内容については、後に詳細に説明する。記憶部26は、処理部25の演算結果や、後述するように、測定装置3から送信される動作条件データDrおよび測定結果データDm、測定装置3に対して送信させる動作条件データDr、データサーバ1に対して送信する動作条件データDrおよび測定結果データDm、並びにデータサーバ1から送信される動作条件データDrなどを記憶する。
【0030】
測定装置3は、図4に示すように、測定部31、通信部32、操作部33、表示部34、処理部35および記憶部36を備えて構成されている。測定部31は、予め設定された動作条件(測定条件)に従い、図示しない測定対象についての予め規定された被測定量(電流値、電圧値、抵抗値、電力値、位相、温度、湿度、歪み、輝度(光度)、照度、雨量および流量など)を測定する測定処理を実行して測定値Dsを処理部35に出力する。
【0031】
通信部32は、一例として、前述した通信端末2の通信部21と同様にしてブルートゥース等の近距離無線通信規格に準ずる無線通信が可能な通信アダプタで構成され、通信端末2等の外部装置との間で、動作条件データDrや測定結果データDmなどの各種のデータを送受信する。操作部33は、測定装置3の動作条件(測定部31による測定処理の測定条件)などの設定が可能な操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部35に出力する。表示部34は、処理部35の制御下で、測定装置3の動作状態や測定部31による測定処理の結果(測定値)を表示する。
【0032】
処理部35は、測定装置3を総括的に制御する。具体的には、処理部35は、操作部33の操作によってユーザが設定した条件に従って生成した動作条件データDrや、後述するようにデータサーバ1から送信された動作条件データDrに基づいて測定部31を制御して測定処理を実行させる。また、処理部35は、測定部31から出力される測定値Dsを記憶部36に記憶させると共に、記憶させた測定値Dsに基づいて測定結果データDmを生成する。さらに、処理部35は、ユーザからの指示に従い、上記の動作条件データDrや測定結果データDmを通信部32からデータサーバ1に送信させる。記憶部36は、各測定装置3を識別可能な測定装置識別データD3(一例として、測定装置3の製造番号:「第2の識別データ」の一例)や、上記の動作条件データDr、測定値Dsおよび測定結果データDmなどを記憶する。
【0033】
次に、測定システム100の使用方法の一例について添付図面を参照して説明する。なお、データサーバ1の開設(システム管理用プログラムDpのインストールなど)は既に完了しているものとする。
【0034】
例えば、測定装置3のユーザが、通信端末2(移動体通信網N2)を介してのデータサーバ1の利用を希望するときには、前述したように、サーバ管理者との間で契約手続きを実施する。
【0035】
この場合、サーバ管理者は、ユーザに対して貸与するSIMカードCに格納されているIMSI(International Mobile Subscriber Identity)、またはSIMカードCの製造番号などの「SIMカードを識別可能なユニークな情報」で構成されたカード識別データDcを、データサーバ1の操作部13の操作、または、インターネットN1等を介してデータサーバ1に接続可能な図示しない操作端末の操作(遠隔操作)によってデータサーバ1に登録する。この際に、処理部15は、システム管理用プログラムDpに従い、記録媒体12に記録されている利用者管理データDlに、入力された利用者名等の利用者情報、カード識別データDcの情報、および契約有効期間(データサーバ1の使用を許容する期間の開始日および終了日等を特定可能な情報)を相互に関連付けて追記する。
【0036】
また、サーバ管理者は、上記の契約有効期間およびカード識別データDcを相互に関連付けた情報を、移動体通信網N2の管理者設備Afを管理する者(以下、「移動体通信管理者」ともいう)に提供すると共に、カード識別データDcの登録を完了したSIMカードCをユーザに貸与する。これにより、上記のカード識別データDcがデータサーバ1に登録されたSIMカードCを装着した「SIMカード認証通信方式の通信装置(通信端末2等)」による移動体通信網N2を介しての通信が許容される状態となる。
【0037】
なお、以下の例では、測定装置3のユーザが通信端末2を所有しているものとして説明するが、通信端末2をレンタル業者等からユーザに貸与する形態を採用することもできる。このような形態においては、カード識別データDcの登録を完了したSIMカードCをサーバ管理者がレンタル業者に提供し、レンタル業者が、提供されたSIMカードCと貸与品である通信端末2とをユーザに貸与する。また、前述の契約行為自体をレンタル業者が代行する場合には、レンタル業者がユーザに対して貸与するSIMカードCのカード識別データDcなどをサーバ管理者に伝達し、サーバ管理者が、伝達された情報に基づいて上記の一連の登録作業と同様の作業を実施する。
【0038】
一方、SIMカードCを貸与されたユーザは、入手したSIMカードCを通信端末2のSIMカードスロット22aに装着する。これにより、SIMカードCの装着を完了した通信端末2を介しての移動体通信網N2の利用が可能な状態となる。また、ユーザは、通信端末2(通信部21)と測定装置3(通信部11)との間の通信を行うためのペアリング作業を実施する。なお、ブルートゥースのペアリング作業の内容については公知のため、詳細な説明を省略する。これにより、通信端末2(移動体通信網N2)を介して測定装置3をインターネットN1に接続することが可能な状態となり、測定システム100を利用することが可能な状態となる。
【0039】
次いで、ユーザは、一例として、測定装置3の操作部33を操作して測定部31による測定処理の条件(測定条件)を設定する。この際に、処理部35は、設定された条件(測定対象のパラメータ、測定レンジ、サンプリングレート、および測定開始/終了を特定可能な情報等)や、測定部31に接続されている信号ケーブルおよび各種センサ等の種別(結線情報)などを特定可能な動作条件データDrを生成して記憶部36に記憶させる。この場合、本例の測定システム100では、設定した測定条件をデータサーバ1に保存しておくことが可能となっている。したがって、データサーバ1への測定条件の保存を希望するときに、ユーザは、操作部33を操作して測定条件の保存先としてデータサーバ1を選択する。これに応じて、処理部35は、通信部32を介して通信端末2に接続し、移動体通信網N2およびインターネットN1を介してのデータサーバ1へのアクセスを開始する。
【0040】
この際に、通信端末2では、処理部25が、SIMカードCから読み出したカード識別データDcを含む情報を移動体通信網N2の管理者設備Afに送信する。また、前述したようにサーバ管理者からのカード識別データDc等の提供を受けて、SIM認証通信に必要な情報が管理者設備Afに登録されているため、有効なカード識別データDcが含まれた情報が通信端末2から送信されることにより、その通信端末2による移動体通信網N2の使用(移動体通信網N2を介しての通信)が許容される(SIMカード認証通信の開始)。これにより、通信端末2(移動体通信網N2)を介して測定装置3がインターネットN1に接続される。
【0041】
また、データサーバ1では、通信端末2(移動体通信網N2)を介しての測定装置3からのアクセスを受け、送信された情報に含まれているカード識別データDcが利用者管理データDlに登録されているか否か、およびそのカード識別データDcのSIMカードCを有する者が契約有効期間内であるか否かを判別する。
【0042】
この際に、利用者管理データDlにカード識別データDcが登録されていないとき(利用者管理データDlに登録されているカード識別データDc以外のカード識別データDcであるとき)や、契約有効期間外であると判別したときに、処理部15は、そのカード識別データDcを含む情報を送信した通信端末2(「第2の通信装置」の一例)のデータサーバ1のアクセスを規制する。これにより、データサーバ1を使用する権利を有していない者によるデータサーバ1へのアクセス(データサーバ1に対する各種のデータの送受信)が回避される。
【0043】
また、利用者管理データDlにカード識別データDcが登録され、かつそのカード識別データDcのSIMカードCが契約有効期間内であると判別したときに、処理部15は、そのカード識別データDcを含む情報を送信した通信端末2(「第1の通信装置」の一例)のデータサーバ1へのアクセスを許容する。
【0044】
一方、通信部32が接続されている通信端末2の移動体通信網N2およびインターネットN1を介してのデータサーバ1へのアクセスが許容された測定装置3では、処理部35が、データサーバ1に保存すべき動作条件データDrを測定装置識別データD3に関連付けて通信部32から送信する。
【0045】
この際に、データサーバ1に対するアクセスが許容された通信端末2に接続されている測定装置3が測定装置3aの場合には、測定装置3aに対して設定されている測定条件を示す動作条件データDrが、測定装置3aを識別可能な測定装置識別データD3aに関連付けられて送信され、測定装置3bの場合には、測定装置3bに対して設定されている測定条件を示す動作条件データDrが、測定装置3bを識別可能な測定装置識別データD3bに関連付けられて送信され、測定装置3cの場合には、測定装置3cに対して設定されている測定条件を示す動作条件データDrが、測定装置3cを識別可能な測定装置識別データD3cに関連付けられて送信される。
【0046】
また、通信端末2では、処理部25が、測定装置3から送信されて通信部21によって受信された動作条件データDrおよび測定装置識別データD3を通信部22から移動体通信網N2およびインターネットN1を介してデータサーバ1に送信する。
【0047】
さらに、データサーバ1では、処理部15が、移動体通信網N2およびインターネットN1を介して送信されて動作条件データDrおよび測定装置識別データD3が通信部11によって受信されたときに、それらのデータを上記のアクセス時に提供されたカード識別データDcに関連付けて記録媒体12に記録する(「第1の処理」の一例)。これにより、例えば、測定装置3aの動作条件データDrが、測定装置3aの測定装置識別データD3a、および測定装置3aが接続されている通信端末2に装着されたSIMカードCのカード識別データDcに関連付けられてデータサーバ1に登録される。これにより動作条件データDrのデータサーバ1への保存が完了する。
【0048】
続いて、測定部31を図示しない測定対象に接続した後に、設定した測定条件に従って測定部31に測定処理を実行させる。この際に、処理部35は、測定部31から出力される測定値Dsに基づいて測定結果データDmを生成して記憶部36に記憶させる。また、一連の測定作業が完了したときには、生成された測定結果データDmをデータサーバ1に送信して保存させることができる。
【0049】
この際に、処理部35は、前述の動作条件データDrのデータサーバ1への保存時と同様にして、通信部32を介して通信端末2に接続し、移動体通信網N2およびインターネットN1を介してのデータサーバ1へのアクセスを開始する。なお、測定装置3によるデータサーバ1へのアクセス開始時に通信端末2やデータサーバ1によって実行される各種の処理は、動作条件データDrの送信に先立って実行された処理と同様のため、詳細な説明を省略する。これにより、測定結果データDmを送信しようとしている測定装置3が接続されている通信端末2のデータサーバ1へのアクセスが許容される。次いで、処理部35は、データサーバ1に保存すべき測定結果データDmを測定装置識別データD3に関連付けて通信部32から送信する。
【0050】
この際に、データサーバ1に対するアクセスが許容された通信端末2に接続されている測定装置3が測定装置3aの場合には、測定装置3aにおいて生成された測定結果データDmが、測定装置3aを識別可能な測定装置識別データD3aに関連付けられて送信され、測定装置3bの場合には、測定装置3bにおいて生成された測定結果データDmが、測定装置3bを識別可能な測定装置識別データD3bに関連付けられて送信され、測定装置3cの場合には、測定装置3cにおいて生成された測定結果データDmがが、測定装置3cを識別可能な測定装置識別データD3cに関連付けられて送信される。
【0051】
また、通信端末2では、処理部25が、測定装置3から送信されて通信部21によって受信された測定結果データDmおよび測定装置識別データD3を通信部22から移動体通信網N2およびインターネットN1を介してデータサーバ1に送信する。
【0052】
さらに、データサーバ1では、処理部15が、移動体通信網N2およびインターネットN1を介して送信されて測定結果データDmおよび測定装置識別データD3が通信部11によって受信されたときに、それらのデータを上記のアクセス時に提供されたカード識別データDcに関連付けて記録媒体12に記録する。これにより、例えば、測定装置3aによる測定処理の測定結果を特定可能な測定結果データDmが、測定装置3aの測定装置識別データD3a、および測定装置3aが接続されている通信端末2に装着されたSIMカードCのカード識別データDcに関連付けられてデータサーバ1に登録される。これにより測定結果データDmのデータサーバ1への保存が完了する。
【0053】
なお、本例の測定システム100では、上記のようにデータサーバ1に保存した測定結果データDmに関し、一例として、前述の契約手続き時に正規なユーザに対して発行されるIDおよびパスワードを使用して、インターネットN1に接続した各種の情報処理端末(例えば、図1に示す情報処理端末4)からデータサーバ1にアクセスしてダウンロードすることが可能となっている。また、データサーバ1に保存されている動作条件データDrについても、正規なユーザの情報処理端末4にダウンロードしたり、新たな動作条件データDrを情報処理端末4からデータサーバ1にアップロードしたりすることが可能となっている。
【0054】
一方、本例の測定システム100では、例えば、他の測定現場において他の測定条件で測定処理等を行った後に、前述の設定操作によって設定した測定条件での測定処理を再び実行するときには、操作部33を操作して測定条件を新たに入力する使用方法に代えて、データサーバ1に保存されている動作条件データDrを取得して測定装置3に設定することが可能となっている。
【0055】
具体的には、操作部33の操作によってデータサーバ1からの動作条件データDrの取得を指示されたときに、処理部35は、まず、通信部32を介して通信端末2に接続し、移動体通信網N2およびインターネットN1を介してのデータサーバ1へのアクセスを開始する。なお、測定装置3によるデータサーバ1へのアクセス開始時に通信端末2やデータサーバ1によって実行される各種の処理は、動作条件データDrや測定結果データDmの送信に先立って実行された処理と同様のため、詳細な説明を省略する。これにより、測定装置3が接続されている通信端末2のデータサーバ1へのアクセスが許容される。
【0056】
次いで、処理部35は、データサーバ1から取得可能な動作条件データDrの一覧の送信をデータサーバ1に対して要求する。この際に、データサーバ1では、処理部15が、測定装置3からの要求の情報に含まれている測定装置識別データD3に基づき、その測定装置識別データD3に関連付けられて記録媒体12に記録されている動作条件データDrの有無を判別する。また、測定装置識別データD3に関連付けられた動作条件データDrが記録されていないときには、一例として「保存されている測定条件が存在しません。」とのメッセージを測定装置3に対して送信し、測定装置識別データD3に関連付けられた動作条件データDrが記録されているときには、その一覧を測定装置3に対して送信する。
【0057】
また、データサーバ1に保存されている動作条件データDrの一覧についての情報を送信された測定装置3では、処理部35が、その一覧を表示部34に表示させる。これに応じて、操作部13の操作によっていずれかの動作条件データDrが選択されたときに、処理部35は、データサーバ1に対して、選択された動作条件データDrの送信を要求する。
【0058】
また、データサーバ1では、処理部15が、測定装置3から送信を要求された動作条件データDrを記録媒体12から読み出し、通信部11からインターネットN1および移動体通信網N2(通信端末2)を介して測定装置3に送信させる(「第2の処理」の一例)。これに応じて、測定装置3では、処理部35が、送信された動作条件データDrを記憶部36に記憶させると共に、測定部31による測定処理の条件(測定条件)として設定する。以上により、データサーバ1に保存されている動作条件データDrを使用した測定条件の設定作業が完了する。
【0059】
一方、本例の測定システム100では、上記のように使用している通信端末2が故障したときや、レンタル業者から貸与されている通信端末2を返却したときに、それらの通信端末2に装着されているSIMカードCを取り外して、新たに用意した通信端末2に装着するだけで、測定装置3によってデータサーバ1を継続して使用することが可能となっている。
【0060】
例えば、使用中の通信端末2が故障して移動体通信網N2への接続ができない状態となったときには、まず、その通信端末2からSIMカードCを取り外す。次いで、新たに用意した通信端末2に、故障した通信端末2から取り外したSIMカードCを装着すると共に、SIMカードCを装着した通信端末2と各測定装置3との間の通信を行うためのペアリング作業を実施する。これにより、新たな通信端末2を介しての測定装置3とデータサーバ1との間の通信が可能な状態となる。
【0061】
具体的には、新たな通信端末2を介して測定装置3からデータサーバ1に動作条件データDrや測定結果データDmなどを送信するときや、新たな通信端末2を介してデータサーバ1から測定装置3に動作条件データDrなどを送信するときには、測定装置3がデータサーバ1に対してアクセスする際に通信端末2によってSIMカードCから読み出されたカード識別データDcがデータサーバ1に送信される。このカード識別データDcは、故障した通信端末2のSIMカードスロット22aに装着されていたSIMカードCと同じSIMカードCから読み出されたカード識別データDcである。
【0062】
したがって、このカード識別データDcが利用者や測定装置3の測定装置識別データD3に関連付けられてデータサーバ1に登録され、かつ移動体通信網N2の管理者設備Afに正規なユーザのカード識別データDcとして登録された状態となっている。このため、データサーバ1や管理者設備Afにおいて、新たな通信端末2の使用に対応する新規登録処理や登録事項の変更処理を行うことなく、移動体通信網N2への新たな通信端末2の接続が許容され、かつ新たな通信端末2を介してのデータサーバ1へのアクセスが許容されて、測定装置3とデータサーバ1との間で各種のデータを送受信させることができる。
【0063】
また、本例の測定システム100では、一例として、ユーザとサーバ管理者との前述の契約期間が満了し、更新手続きが実施されなかったときに、サーバ管理者から移動体通信管理者に、契約期間が満了したSIMカードCについてのカード識別データDcを特定可能な情報が提供される。この場合、SIMカードCは、サーバ管理者(または、移動体通信管理者)の所有物であり、ユーザは、サーバ管理者等から貸与されたSIMカードCを使用しているため、一般的には、契約期間の満了に合わせてSIMカードCをサーバ管理者等に返却する。
【0064】
この際に、基本的には、返却されたSIMカードCは再利用されることがない。したがって、一例として、契約満了を迎えたユーザ(以下、「前ユーザ」ともいう)が使用していた通信端末2がレンタル業者からの貸与品であり、その通信端末2を他のユーザ(以下、「新ユーザ」ともいう)が使用したとしても、新ユーザに貸与されるSIMカードCには他のカード識別データDcが記録されているため、利用者管理データDlに登録されているカード識別データDc(前ユーザに貸与されたSIMカードCに記録されているカード識別データDc)と同じカード識別データDcが貸与品の通信端末2から送信されることはない。これにより、前ユーザがデータサーバ1に保存した動作条件データDrや測定結果データDmが新ユーザによって使用される事態が回避される。
【0065】
このように、このデータサーバ1では、SIMカード認証通信方式の通信端末2に装着されるSIMカードCを識別可能なカード識別データDc、およびカード識別データDcに対応するSIMカードCが装着された通信端末2に接続される測定装置3を識別可能な測定装置識別データD3を記憶する記録媒体12と、カード識別データDcが記録媒体12に記憶されているSIMカードCが装着された通信端末2を介しての測定装置3との間の任意のデータの送受信を許容すると共に、カード識別データDcが記録媒体12に記憶されていないSIMカードCが装着された「通信端末としての第2の通信端末」を介しての測定装置3との間の任意のデータの送受信を規制する処理部15とを備え、処理部15が、通信端末2に接続された測定装置3の動作条件を特定可能な動作条件データDrを任意のデータとして測定装置3から通信端末2を介して受信して測定装置3の測定装置識別データD3に関連付けて記録媒体12に記憶させる「第1の処理」と、通信端末2に接続され、かつ対応する測定装置識別データD3および動作条件データDrが記録媒体12に記憶されている測定装置3に対して通信端末2を介して動作条件データDrを送信する「第2の処理」とを実行可能に構成されている。また、この測定システム100では、上記のデータサーバ1、通信端末2、および測定装置3を備えて構成されている。さらに、このシステム管理用プログラムDpでは、上記の各処理をデータサーバ1の処理部15に実行させる。
【0066】
したがって、このデータサーバ1、測定システム100およびシステム管理用プログラムDpによれば、ユーザIDやパスワードの入力作業を行うことなく、記録媒体12へのカード識別データDcの記憶が完了しているSIMカードCを装着した通信端末2を介して接続させるだけで、測定装置3等からデータサーバ1に対する各種データの送受信を行わせることができると共に、カード識別データDcが記録媒体12に記憶されていないSIMカードCが装着された「通信装置」を介してのデータサーバ1の使用、すなわち、非正規な利用者によるデータサーバ1の使用を好適に制限することができる。また、故障等に起因して使用中の通信端末2とは異なる通信端末2を使用する場合にも、新規の登録作業や、新たな通信端末2の使用についての登録事項の変更作業を行うことなく、記録媒体12へのカード識別データDcの記憶が完了しているSIMカードCを新たな通信端末2に装着するだけで、変更前の通信端末2を使用したデータの送受信時と同様に各種のデータを送受信させることができる。さらに、通信端末2を介して各測定装置3の動作条件データDrをデータサーバ1に保存しておくことで、通信端末2を介してその動作条件データDrを取得して測定条件を設定することができるため、操作部33の操作等による煩雑な設定作業を不要とし、任意の測定条件に従って測定処理を確実かつ容易に実施させることができる。
【0067】
なお、「データ処理装置」および「測定システム」の構成や、「データ処理用プログラム」の処理内容については、上記の例に限定されない。例えば、ユーザが任意のタイミングで測定装置3からデータサーバ1に動作条件データDrを送信して保存させる例について説明したが、予め規定されたタイミングで測定装置3からデータサーバ1に動作条件データDrを自動的に送信させて保存させる構成を採用することもできる。具体的には、一例として、測定装置3からデータサーバ1への測定結果データDmの送信に連動して、その測定結果データDmの測定処理についての動作条件データDrを測定装置3からデータサーバ1に送信して測定結果データDmと共に保存させる構成を採用することができる。
【0068】
また、ユーザが任意のタイミングでデータサーバ1から測定装置3に動作条件データDrを送信させて測定条件を設定する例について説明したが、予め規定されたタイミングでデータサーバ1から測定装置3に動作条件データDrを自動的に送信させて測定条件を設定する構成を採用することもできる。
【0069】
具体的には、一例として、測定装置3を通信端末2に接続したときに通信端末2が移動体通信網N2に接続している基地局の位置情報を通信端末2から取得し、その位置情報の測定現場において前回行った測定処理の動作条件データDrの送信をデータサーバ1に対して要求することで、データサーバ1から送信される動作条件データDrを測定条件として自動的に設定する構成を採用することができる(測定装置3からの要求に応じてデータサーバ1が動作条件データDrを送信する構成の一例)。このような構成を採用する場合には、通信端末2から取得される位置情報を動作条件データDrに関連付けてデータサーバ1に登録する必要がある。また、測定装置3からデータサーバ1に送信した測定結果データDmが予め規定された条件を満たしているとき(例えば、予め規定された異常値を示す測定結果データDmであったとき)に、その測定結果データDmを送信した測定装置3に対してデータサーバ1に保存されている動作条件データDr(正常な測定結果データDmを生成し得る測定処理を実行可能な測定条件)を自動的に送信し、測定装置3において、送信された動作条件データDrを測定条件として自動的に設定する構成を採用することもできる(予め規定された条件を満たす測定装置3に対してデータサーバ1が条件データDrを自動送信する構成の一例))。
【0070】
さらに、「データ処理装置」としてのデータサーバ1の管理者(サーバ管理者)と、測定装置3のユーザとが異なる運用形態について説明したが、「測定装置」のユーザが「データ処理装置」の管理者となって「データ処理装置」へのカード識別データDcの登録作業を実施する運用形態を採用することもできる。加えて、「通信装置」は、前述の測定システム100における通信端末2のように「測定装置」とは別体に構成された装置に限定されず、「測定装置」と「通信装置」とを一体化した構成(「測定装置」に「通信装置」としての機能を備えた構成)を採用することもできる。
【符号の説明】
【0071】
100 測定システム
1 データサーバ
2 通信端末
3a〜3c 測定装置
4 情報処理端末
11,21,22,32 通信部
12 記録媒体
15,25,35 処理部
16,26,36 記憶部
22a SIMカードスロット
31 測定部
Af 管理者設備
C SIMカード
N1 インターネット
N2 移動体通信網
D3a〜D3c 測定装置識別データ
Dc カード識別データ
Dl 利用者管理データ
Dm 測定結果データ
Dr 動作条件データ
Dp システム管理用プログラム
Ds 測定値
図1
図2
図3
図4