【解決手段】災害発生情報、災害に関する予測情報、発表された注意報・警報、及び/又はリアルタイムの交通情報を含む災害関連情報を受信した場合に、当該災害関連情報に基づいて、予約により提供されるサービス情報と、前記サービスを利用する利用者として予め登録された対象者に関する対象者情報と、前記サービスの予約を申し込むための申込情報とから、前記サービスへの予約が成立した旨の情報である予約成立情報を生成する手段を備える。
災害発生情報、災害に関する予測情報、発表された注意報・警報、及び/又はリアルタイムの交通情報を含む災害関連情報を受信した場合に、当該災害関連情報に基づいて、予約により提供されるサービス情報と、前記サービスを利用する利用者として予め登録された対象者に関する対象者情報と、前記サービスの予約を申し込むための申込情報とから、前記サービスへの予約が成立した旨の情報である予約成立情報を生成する手段を備えることを特徴とする支援装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0012】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る避難支援装置及び当該避難支援装置を用いた避難支援システムについて、
図1ないし
図7を用いて説明する。以下の実施形態においては、予約によりサービスを提供する資源として観光資源を一例に挙げて説明するが、本実施形態においては、観光資源に限らず、災害が発生した際には避難の役に立つことができる人、物等に適用することができる。例えば、イベントの警備員として仕事の予定が入っていたが、災害によりイベントが中止になったために仕事がなくなった人材やそのイベント会場、引っ越しを予定していたが災害により引っ越しが中止になったために時間が空いた作業員やその引っ越し作業車等についても資源に含まれるものである。また、移動体(例えば、鉄道、バス、タクシー、船舶、航空機、ヘリコプタ、乗用車等)も資源として含むものとする。例えば、航空機は通常運行しているにも関わらず、災害のために旅行をキャンセルしたような場合の空席等が資源に含まれる。
【0013】
また、以下の実施形態においては、災害が発生した際に資源を利用する人として、避難する人を例に挙げて説明するが、救助する側の人(例えば、自衛隊、ボランティア、救援団体等)であってもよい。また、資源を利用するのが人ではなく物であってもよく、例えば、空きがある倉庫や引っ越し作業員といった資源を利用して、自宅にある美術品などの貴重品を運搬して退避させるような場合にも適用することができるものである。
【0014】
図1は、本実施形態に係る避難支援システムのシステム構成図である。避難支援システム1は、システム全体を管理する避難支援装置10と、災害が発生した際に避難する人(以下、救援対象者という)が利用するパソコンや携帯端末等の救援対象者端末11とを備え、それぞれが例えばインターネット等の通信回線を利用して相互に情報の送受信が可能になっている。
【0015】
避難支援装置10は、予約により観光サービスを提供する施設を少なくとも含む観光資源(例えば、ホテル、民宿等の宿泊施設の他、観光バス、タクシー等の交通機関も含まれてよい)の予約情報を管理し、災害が発生した際には、それらの観光資源の予約情報を救援対象者に対して情報配信すると共に、予約の受付や管理を行う。一方、救援対象者端末11は、避難支援装置10から配信された情報を表示し、予約をする場合には、救援対象者の操作情報に基づいて予約申し込みの情報を避難支援装置10に対して送信し、予約の手続きを実行する。また、避難支援装置10から救援対象者端末11に予約情報を配信する際、又は、予約の申し込みが成立した際には、観光資源までの経路情報も併せて配信される場合がある。
【0016】
図2は、本実施形態に係る避難支援システムにおける避難支援装置10及び救援対象者端末11のハードウェア構成図である。避難支援装置10及び救援対象者端末11は、CPU21、RAM22、ROM23、ハードディスク(HDとする)24、通信I/F25、及び入出力I/F26を備える。ROM23やHD24には、オペレーティングシステム、プログラム及び各種情報等が格納されており、必要に応じてプログラムがRAM22に読み出され、CPU21により実行される。
【0017】
通信I/F25は、装置間の通信を行うためのインタフェースである。入出力I/F26は、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力機器からの入力を受け付けたり、プリンタや画面等にデータを出力するためのインタフェースである。この入出力I/F26は、必要に応じて光磁気ディスク、フロッピーディスク(登録商標)、CD−R、DVD−R等のリムーバブルディスク等に対応したドライブを接続することができる。各処理部はバスを介して接続され、情報のやり取りを行う。なお、上記ハードウェアの構成はあくまで一例であり、必要に応じて変更可能である。
【0018】
図3は、本実施形態に係る避難支援装置の構成を示す機能ブロック図である。避難支援装置10は、災害が発生した際に配信される災害情報301を受信して入力する災害情報入力部31と、入力された災害情報301、過去に発生した災害の履歴情報を格納している災害履歴情報記憶部37に記憶されている情報、予約に関する情報を含む観光資源に関する観光予約情報(例えば、所在地、収容可能人数、災害への耐久性、設備等の観光資源に関する様々な基本情報)が格納されている予約情報記憶部35に記憶されている情報、及び、予め救援対象者に関する救援対象者情報が格納されている対象者情報記憶部34に記憶されている情報に基づいて、各救援対象者のそれぞれの避難に適した観光資源の観光予約情報を特定する予約情報特定部32と、予約情報記憶部35に記憶されている特定された観光予約情報を予約配信情報302として各救援対象者ごとの救援対象者端末11に配信する出力制御部36とを備える。
【0019】
また、避難支援装置10は必要に応じて、予約情報特定部32で特定された観光予約情報、対象者情報記憶部34に記憶されている救援対象者情報、及び、救援対象者端末11から送信された観光資源の予約を申し込むための申込情報303に基づいて、救援対象者の観光資源への予約が成立した旨の情報である予約成立情報を生成して予約情報記憶部35を更新する予約成立部33を備える。また同時に、出力制御部36は、予約が成立した旨を示す予約成立情報304を救援対象者端末11に送信する。
【0020】
さらに、避難支援装置10は必要に応じて、予約情報特定部32で特定された観光予約情報、災害履歴情報記憶部37に記憶された過去の災害履歴情報、及び、受信した災害情報に基づいて、救援対象者の現在地から特定された観光資源までの安全な経路を演算する経路演算部38を備える。演算された経路は、予約成立前であれば予約配信情報302として救援対象者端末11に送信され、予約成立後であれば予約成立情報304として救援対象者端末11に送信される。
【0021】
災害情報301は、例えば気象庁などが発表する災害情報であり、地域、規模、今後の予測等の情報が含まれる。また、台風の進路や津波警報・注意報のように時間を追うごとに詳細に発表されたり変更する場合などは、その都度災害情報301が入力されることが望ましい。
【0022】
予約情報特定部32は、気象庁などが発表する災害情報に基づいて、被災する可能性がある救援対象者が避難するのに適している観光資源を特定する。すなわち、災害の規模、被災するまでの時間などを考慮して、救援対象者が安全に移動可能で且つ空室となっているホテル等の観光資源を予約情報記憶部35の観光予約情報から特定する。このとき、災害の規模や移動時間と共に、例えば、家族構成に合致する空き部屋があるかどうかや、ペット同伴可能な空き部屋があるかどうかといった条件を考慮して観光資源が特定されるようにしてもよい。つまり、各救援対象者ごとに当該救援対象者が避難するのに適した観光資源が特定される。なお、気象庁などが発表する災害情報に加えて、災害履歴情報記憶部37に記憶されている過去の災害履歴情報に基づいて、災害の規模及び被災するまでの時間等を予測するようにしてもよい(過去の災害履歴情報に基づいて、今後の災害を予測する技術は広く一般に知られているため詳細な説明は省略する)。
【0023】
ここで、具体例を挙げて説明する。
図4は、予約情報特定部32が特定した観光予約情報の一例を示すイメージ図である。ここでは、大型の台風が接近している場合において、熊本市内にいる救援対象者(対象者情報記憶部34に登録されている住所が熊本市内になっている救援対象者)が避難するのに適した観光資源を特定した場合の結果を示している。観光資源のグループ1のホテルは台風の進路上にあるものの、建物の耐久性が非常に高く外出しなければ安全性が確保できる(観光予約情報における基本情報に基づいて判断可能)。また、このグループ1のホテルは有名な観光地にあるが、台風の影響によりキャンセルが相次ぎ空室も十分残っている(観光予約情報における予約情報に基づいて判断可能)。さらに、熊本市内からは短時間で(台風による被害を受ける前に)移動可能である(経路演算部38の演算結果や、一般的に利用されている経路検索等により判断可能)。したがって、予約情報特定部32は、グループ1に表示されている観光資源が、熊本市内にいる救援対象者が避難する避難所として適したものであると判断し、グループ1に含まれる観光資源の観光予約情報を、予約配信情報302として配信される情報として特定する。
【0024】
観光資源のグループ2のホテルは台風の進路上にはないものの割と近い位置にあり、熊本市内からも割と近い位置にある。また、このグループ2のホテルは、中程度の耐久性を有しており大型の台風が直撃しない限りは安全性が確保できる。つまり、耐久性は中程度であっても、台風が直撃する進路上になく移動距離も短いため、予約情報特定部32は、グループ2に表示されている観光資源が、熊本市内にいる救援対象者が避難する避難所として適したものであると判断し、グループ2に含まれる観光資源の観光予約情報を、予約配信情報302として配信される情報として特定する。
【0025】
観光資源のグループ3のホテルは耐久性は低いものの台風の進路上とは十分離れており、被害の規模はかなり小さくなると予測される。また、熊本市内からは遠距離の位置にあるが、新幹線が開通しており交通の便がよく移動時間が非常に短い。さらに、過去の災害履歴から新幹線は不通になりにくいという実績があるとする。つまり、予約情報特定部32は、グループ3に表示されている観光資源が、熊本市内にいる救援対象者が避難する避難所として適したものであると判断し、グループ3に含まれる観光資源の観光予約情報を、予約配信情報302として配信される情報として特定する。
【0026】
このように、予約情報特定部32が特定した情報が予約配信情報302として救援対象者端末11に配信される。救援対象者は希望に沿う予約配信情報302があると、それの予約手続きを進める。なお、予約手続きの詳細については後述する。また、上記いずれの観光資源も災害の影響でキャンセルが相次ぎ十分に空室があるものとする。
【0027】
図3に戻って、出力制御部36は、特定された観光予約情報を予約配信情報302として該当する救援対象者端末11に配信する。
【0028】
予約成立部33は、配信された予約配信情報302に対して救援対象者端末11から申し込みがあった場合に、予約成立情報を作成し、予約情報記憶部35を更新する。すなわち、空き状態となっている観光資源を申込情報303に基づいて、予約済みの状態に更新する。また同時に、予約が成立した旨を示す予約成立情報304が出力制御部36により救援対象者端末11に送信される。併せて、既に配信済みの予約配信情報302の予約状態の表示が予約情報記憶部35の更新に合わせて更新される。
【0029】
経路演算部38は、予約情報特定部32において観光予約情報を特定する際に利用されたデータ(主に、対象者情報記憶部34や予約情報記憶部35の読み込まれたデータ)を用いて、救援対象者の登録されている住所から特定されている観光資源までの安全な移動経路を演算する。このとき、災害履歴情報記憶部37に記憶されている情報に基づいて経路演算を行う。例えば、台風などの進路を災害履歴情報記憶部37に記憶されている過去の情報から推定し、その進路を避ける移動経路を演算により求める。この場合、災害情報入力部31に入力された災害情報に含まれる交通規制等のリアルタイム情報に基づいて、最適な移動経路が演算される。
【0030】
なお、経路演算部38による経路の特定の際に、予約情報特定部32の処理と連携することで、予約情報記憶部35に記憶されている観光サービスを提供する交通機関の観光予約情報を特定し、その交通機関の予約配信情報302を救援対象者端末11に配信するようにしてもよい。すなわち、災害の発生によりキャンセルが相次ぎ、観光バスや観光タクシー等の資源が利用されない事態となった場合には、救援対象者が移動するための交通手段として予約情報記憶部35に観光予約情報を登録することで、余った資源を避難のために有効活用することができる。
【0031】
ここで、具体例を挙げて説明する。
図5は、経路が特定された場合の観光予約情報及び経路情報を示す図である。
図4で示したように、熊本市内にいる救援対象者にとって避難に適したホテルが複数候補として特定され、その情報は予約配信情報302として救援対象者端末11に配信される。その配信された観光予約情報が救援対象者端末11のディスプレイ上に
図4のように表示され、その中の一つのホテルを救援対象者が選択すると、
図5に示すように、そのホテルまでの経路、時間、交通手段等が表示される。ここでは、仮に、グループ3に含まれるホテルが選択され、そのホテルまでの経路が表示されている。複数の経路(移動手段を含む)がある場合は、リアルタイムの交通情報に基づいて実際に移動可能な経路情報のみが表示される。ここでは、仮に高速道路が速度規制されているとすると、高速道路を利用する高速バスや自家用車については、所要時間を演算することができない。
【0032】
なお、複数の経路が表示される場合はそのお勧め順を提示してもよい。例えば、高速道路は速度規制があるため、所要時間が長くなりあまりお勧めできないが、観光バスは一般道を通るため高速バスよりはお勧め度(
図5中の☆印)を高くして表示する。また、例えば、既に南部の方で新幹線の交通規制が始まっているとすると、本来新幹線の所要時間は極めて短いが、いつ交通規制になるかわからないため、在来線のお勧め度を高くして表示する。このようなリアルタイムな交通情報に基づいてお勧め度を演算することで、救援対象者はスムーズに移動手段を選択して観光資源の申込をすることが可能となる。
【0033】
次に、救援対象者端末11の構成について説明する。
図6は、本実施形態に係る救援対象者端末11の構成を示す機能ブロック図である。救援対象者端末11は、避難支援装置10から配信された予約配信情報302や予約成立情報304を入力する予約情報入力部61と、入力された予約情報302や予約成立情報304をディスプレイ66に表示する表示制御部62と、観光資源の選択や申し込みのために行われた操作情報を入力する操作情報入力部63と、入力された操作情報に基づいて観光資源の予約の申し込みを行うための申込情報を生成する申込情報生成部64と、生成された申込情報303を避難支援装置10に送信する申込情報送信部65とを備える。
【0034】
予約配信情報302には、例えば
図4に示したような救援対象者にとって避難所として適していると判断される観光資源の観光予約情報が含まれると共に、必要に応じて特定された観光資源までの経路及びそのお勧め度などが含まれている。また、予約成立情報304には、救援対象者が申し込んだ予約の成立情報が含まれており、救援対象者はこの予約成立情報304を受信することで予約が確定したことを確認することができる。
【0035】
救援対象者は、受信した予約配信情報302に含まれる1又は複数の観光予約情報から、マウス、キーボード、タッチパネル等を操作することで、利用したい観光資源を選択してその旨の情報を入力する。操作情報入力部63はその情報を入力し、申込情報生成部64により申込情報303が生成される。このとき、観光資源を利用した経路(例えば、
図5で上述したような観光バスを利用する経路)を選択して入力した場合は、当該選択した観光資源の予約を申し込むための申込情報303も併せて生成する。生成された申込情報303は、申込情報送信部65により避難支援装置10に送信される。避難支援装置10は、申込情報303を受信すると、予約成立部33が予約情報記憶部35を更新すると共に、予約成立情報304を救援対象者端末11に返信する。
【0036】
次に、本実施形態に係る避難支援装置の動作について説明する。
図7は、本実施形態に係る避難支援装置の動作を示すフローチャートである。まず、災害情報入力部31が災害情報301を受信して入力する(S1)。予約情報特定部32が予め登録されている所定の救援対象者が避難するのに適すると判断される観光資源の観光予約情報を特定する(S2)。経路演算部38が救援対象者の登録された住所から特定された観光資源までの経路を演算する(S3)。特定された観光予約情報と演算された経路情報を予約配信情報302として救援対象者端末11に送信する(S4)。
【0037】
予約成立部33が救援対象者端末11からの申込情報303を受信したかどうかを判定し(S5)、申込情報303を受信した場合は該当する観光予約情報を予約済みに更新する(S6)。申込情報303を受信していない場合は、待機状態で申込情報303の受信を待つ。なお、この場合、例えば所定時間経過したり、他の救援対象者からの申し込みがあれば、その旨を処理対象となっている救援対象者端末11に送信して処理を終了してもよい。観光予約情報が更新され、予約が成立するとその旨を予約成立情報304として救援対象者端末11に送信して(S7)、処理を終了する。
【0038】
なお、経路情報は予約配信情報302として予約成立前に演算して出力してもよいし、予約成立後に予約成立情報304として出力するようにしてもよい。また、必ずしも経路情報を演算する必要はなく、その場合は経路演算部38を備える必要はない。
【0039】
また、救援対象者から電話やFAXによる予約申し込みがあり、担当者が手入力で観光予約情報を予約が成立した状態に更新する場合は、予約成立部33の処理は必要なく、予約成立部33を備える必要はない。
【0040】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る避難支援装置及び当該避難支援装置を用いた避難支援システムについて、
図8及び
図9を用いて説明する。本実施形態に係る避難支援装置は、自治体等の公共組織が主導的に避難管理を行うような場合に利用される。自治体等が避難状況を管理する上で重要な情報の一つとして、避難所などに人が溢れて避難が不可能となるような住民が存在しないかといった情報や、旅行や出張などで遠方から来た人(自治体の管理外の人たち)がどれくらい被災しているかといった情報がある。本発明に係る避難支援装置や避難支援システムを用いることで、これらの情報をある程度把握することが可能となり、避難状況の管理に役立てることができる。なお、本実施形態において前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0041】
図8は、本実施形態に係る避難支援装置の構成を示す機能ブロック図である。第1の実施形態における
図3の場合の構成と異なるのは、対象者情報記憶部34に記憶されている情報が、自治体が管理している全ての住民の情報であることである。また、自治体が管理している全ての避難所に関する情報が記憶されている避難所情報記憶部81と、予約情報記憶部35に記憶されている予約観光情報、対象者情報記憶部34に記憶されている情報、及び、避難情報記憶部81に記憶されている避難所に関する情報に基づいて、避難者の数、避難が不可能な人の数、住民以外で被災地にいる人の数等を演算する避難者数演算部82とを備えることである。避難者数演算部82で演算された結果は、出力制御部36が避難者数情報801としてディスプレイに表示したり、紙に印刷して出力する。
【0042】
対象者情報記憶部34は、住民に関する情報が記憶されており、住所、氏名、年齢等の個人の基本情報以外に、必要に応じて、家族構成、病歴、勤務・通学地、通勤・通学手段、自宅の情報(例えば、新築マンションで耐震性が高い、老朽化しており災害の規模に応じて倒壊の可能性あり等の情報)等を管理していることが好ましい。予約情報特定部32は、これらの住民に関する情報に基づいて、予約情報記憶部35に記憶されている観光予約情報とマッチングして、救援対象者に適した観光予約情報を配信する。例えば、家族に小さい子供や高齢者が居て避難所での生活が難しく、且つ、家が老朽化しているような家族には、近くの旅館やホテル等の観光予約情報を優先的に配信する。
【0043】
また、避難者数演算部82は、対象者情報記憶部34に記憶されている住民の情報から、避難する可能性がある人の総数を取得し、避難所情報記憶部81に記憶されている避難所の情報から、避難所の数及び収容可能人数を取得して、避難所に避難可能な住民の数、避難所に避難不可能な住民の数等を演算して出力する。また、予約情報記憶部35の観光予約情報と避難不可能な住民の数から、避難所にも観光資源としてのホテル等にも避難することができない可能性がある人数を演算して出力する。さらに、観光予約情報から予約している人を住所を取得し、その人が住民かどうかを判定し、住民以外で避難を必要とするの人がどれくらいいるかを演算して出力する。なお、ホテル等の予約客の多くは、住民以外で遠方から来た人である可能性が高いため、事前に予約している人は住民以外の人であると見なしてもよい。
【0044】
このように、避難することができない可能性がある人数をある程度把握することで、避難の状況を把握しつつ、本システムを利用することで、そのような避難することができない可能性がある人数を少しでも減らすことができる。また、住民情報として対象者情報記憶部34で管理されていないような人(例えば、遠方から旅行や出張で来た人)についても、予約情報記憶部35に記憶された観光予約情報からある程度の数を把握することができ、避難の管理に役に立てることができる。
【0045】
次に、本実施形態に係る避難支援装置の動作について説明する。
図9は、本実施形態に係る避難支援装置の動作を示すフローチャートである。まず、S1〜S6の処理については、第1の実施形態における
図7と同様である。なお、S2の所定の救援対象者が避難するのに適すると判断される観光資源の観光予約情報を特定する処理について、本実施形態の場合は、救援対象者の対象となるのが住民であり数がかなり多くなるため、対象となる救援対象者を予め絞り込んでもよい。例えば、上述したように、家族に乳幼児や高齢者が居て避難所での生活が不便である人や、又は年収が高く生活に余裕がある人(ホテル代を支払うのに不都合がない人)等を優先的に救援対象者としてもよい。
【0046】
S6で観光予約情報が予約済みに更新されると、避難者数演算部82が上述したような避難者に関する情報を演算し(S7)、出力制御部36が演算結果を避難者数情報801として出力して(S8)、処理を終了する。自治体等の職員は、ここで出力された情報(避難者数、避難可能人数、避難不可能人数、避難所以外(ホテル等)に避難した人数、住民以外の避難が必要な人数等)を参照して避難状況を把握し、避難管理に利用する。
【0047】
なお、本実施形態において救援対象者が利用した観光資源の料金の全部又は一部は、自治体からの補助金により賄われるようにしてもよい。その場合、救援対象者が一旦支払いを行ってから後程自治体に請求してもよいし、観光資源の方から自治体に直接課金されてもよい。避難支援装置10が観光資源の利用に関する課金情報を受信した場合に、当該課金情報の成否が職員により確認され、課金情報の正当性が認められると当該課金情報に対して自治体の預金口座から充当されるようにしてもよい。
【0048】
(本発明の第3の実施形態)
本実施形態に係る避難支援装置及び当該避難支援装置を用いた避難支援システムについて、
図10及び
図11を用いて説明する。本実施形態に係る避難支援装置は、保険会社等が主導的に利用する。すなわち、保険商品として災害時にホテルや旅館等に避難することができるプランを設定し、その宿泊費用等は保険金で賄われることで、災害が発生した際の被害を抑えつつ保険の加入促進を促すことができる。
なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明は省略する。
【0049】
図10は、本実施形態に係る避難支援装置の構成を示す機能ブロック図である。第1の実施形態における
図3の場合の構成と異なるのは、対象者情報記憶部34の情報と連携し、当該対象者情報記憶部34に予め登録されている各救援対象者が支払っている保険料の情報を少なくとも含む保険情報が記憶されている保険情報記憶部101と、保険情報記憶部101に記憶されている保険情報、予約情報記憶部35に記憶されている観光予約情報、及び、救援対象者が観光資源を利用した際の請求情報110に基づいて、当該請求情報110の金額を保険金で充当する処理を行う充当処理部102と、保険金として支払いをした支払の情報を記憶する支払情報記憶部103とを備えることである。
【0050】
保険情報記憶部101は、対象者情報記憶部34と連携し、救援対象者が支払っている保険料の情報が記憶されており、保険金を支払う対象者であるかどうかを判断する際に利用することができる。充当処理部102は、観光資源を利用したことによる請求情報110をホテルや旅館等の施設提供者から受信した場合には、保険金の支払い対象者で避難所として観光資源を利用した救援対象者に代わって、受信した請求情報110に対する支払いを保険金から充当し、その実績を支払情報記憶部103に書き込む。また、救援対象者から観光資源を利用したことによる請求情報110を受信した場合も(救援対象者が立て替えて支払った分の請求であり、担当者により入力されたものであってもよい)、同様に保険金から充当されるが、支払先は救援対象者となる。
【0051】
なお、本実施形態においては、保険会社と観光資源との間で別段の取り決めを行い、災害発生時には特別価格にて観光資源を利用することができるようにしてもよい。その場合、保険会社は、災害時に観光資源を利用する顧客を契約者の中から確保して観光資源の利用が促進されるようにする。特別価格の取り決めは、保険会社と事前の取り決めを行っていてもよいが、演算により求めるようにしてもよい。例えば、災害によりキャンセルが多く出てしまったような場合は、その数に応じて価格の割引率を決めることで、価格を抑えて多くの集客が望める。また、災害の規模が小さいような場合には、通常に近い状態で観光資源を利用することができるため、割引率が小さくなるように価格を決めることで、適正な市場価格で観光資源を提供することができる。
【0052】
次に、本実施形態に係る避難支援装置の動作について説明する。
図11は、本実施形態に係る避難支援装置の動作を示すフローチャートである。本実施形態においては、上記各実施形態における処理が完了した後に、観光資源を利用したことによる請求があった時点から処理が動き始める。まず、充当処理部102が請求情報110を受け付け(S1)、保険料情報記憶部101及び対象者情報記憶部34に基づいて、観光資源を利用した救援対象者が保険金の支払い対象者かどうかを判断する(S2)。S3で保険金の支払い対象者ではない場合は、出力制御部36が支払不能である旨の通知を行って(S4)、処理を終了する。保険金の支払い対象者である場合は、保険金から支払う額を充当し、支払情報記憶部103に書き込む(S5)。出力制御部36は、支払いが完了した旨の通知を行って(S6)、処理を終了する。
【0053】
このように、救援対象者が支払っている保険に関する保険情報を記憶し、救援対象者が観光資源を利用した際の請求情報を受信した場合に、課金の金額を保険金で充当するため、避難所として利用した観光資源の費用を保険金で賄うことができると共に、保険会社としても保険商品として魅力的なオプションを提供することができ、観光資源であるホテル等の経営者も収入を得ることができ、災害における被害を減らしつつ経済活動を活性化することが可能になる。
【0054】
本発明に関して、以下の付記を示す。
【0055】
本発明に係る避難支援装置は、災害が発生した際の災害情報を受信する災害情報入力手段と、平常時に事業設備として運用され、予約によりサービスを提供する施設を少なくとも含む資源に関する情報、及び、当該資源の予約に関する情報を予約情報としてを記憶する予約情報記憶手段と、前記災害発生時に前記資源を利用する利用者として予め登録された対象者に関する対象者情報を記憶する対象者情報記憶手段と、受信した前記災害情報に基づいて、前記対象者情報と前記予約情報とをマッチングし、前記対象者の避難に適した前記資源の予約情報を特定する予約情報特定手段と、特定された予約情報を出力する出力制御手段とを備えるものである。このように、本発明に係る避難支援装置においては、災害が発生した際の災害情報を受信した場合に、災害発生時に資源を利用する利用者として登録された対象者に関する対象者情報と、平常時に事業設備として運用され、予約によりサービスを提供する施設等の資源の情報である予約情報とをマッチングし、対象者の避難に適した資源を特定して出力するため、災害が発生した場合に資源を有効活用することができると共に、より多くの避難所を確保して快適な避難生活を提供することができるという効果を奏する。
【0056】
本発明に係る避難支援装置は、前記災害情報、前記対象者情報、及び、特定された前記予約情報に基づいて、前記対象者が前記資源まで安全に移動するための経路を演算する経路演算手段を備え、前記出力手段が、前記予約情報と共に、演算された前記経路を出力するものである。このように、本発明に係る避難支援装置においては、災害情報、対象者情報、及び、特定された予約情報に基づいて、対象者が資源まで安全に移動するための経路を演算して出力するため、避難先となる資源までの安全で適切な経路を対象者に提示することができるという効果を奏する。
【0057】
本発明に係る避難支援装置は、前記対象者情報記憶手段に記憶される対象者情報が、自治体における住民の情報であり、災害発生時の避難所に関する避難所情報を記憶する避難所情報記憶手段と、前記災害情報及び前記対象者情報に基づいて、発生した災害により被災する可能性がある地域及び被災した地域の避難者人数を演算し、前記避難所情報及び前記予約情報に基づいて避難可能人数を演算し、前記避難者人数と前記避難可能人数とに基づいて避難不可能となる人数を演算する避難人数演算手段とを備え、前記出力制御手段が、前記避難人数演算手段が演算した結果を出力するものである。このように、本発明に係る避難支援装置においては、対象者情報が自治体における住民の情報であり、災害情報及び対象者情報に基づいて、発生した災害により被災する可能性がある地域及び被災した地域の避難者人数を演算し、避難所情報及び予約情報に基づいて避難可能人数を演算し、避難者人数と避難可能人数とに基づいて避難不可能となる人数を演算するため、自治体等が主導的に避難誘導を行うような場合に、避難所の確保や避難誘導の情報に役立てることができるという効果を奏する。また、資源の情報を利用することで、自治体が管理する地域以外の各地域から観光に来ている人の人数をある程度把握することが可能となり、避難所の確保や避難誘導の情報に役立てることができるという効果を奏する。
【0058】
本発明に係る避難支援システムは、前記避難支援装置を用いた避難支援システムであって、前記出力制御手段が出力した情報を受信して表示する手段と、表示された前記予約情報に基づいて、前記資源を予約するための情報を入力し、前記避難支援装置に予約申込情報として送信する手段と、を有する救援対象者端末と、受信した前記予約申込情報と前記予約情報とをマッチングして、当該予約情報を予約が成立した状態に更新する予約成立手段を有する前記避難支援装置とを備えるものである。このように、本発明に係る避難支援システムにおいては、出力制御手段が出力した情報を受信して表示し、表示された予約情報に基づいて、資源を予約するための情報を入力して避難支援装置に予約申込情報として送信する救援対象者端末と、受信した予約申込情報と予約情報とをマッチングして、当該予約情報を予約が成立した状態に更新する予約成立手段を有する避難支援装置とを備えるため、予約を自動化して災害発生時であっても混乱を招くことなく管理することができるという効果を奏する。
【0059】
本発明に係る避難支援システムは、前記避難支援装置が、前記対象者が前記資源を利用した際の課金情報を受信した場合に、当該課金情報の金額を充当する処理を行う充当処理手段を備えるものである。このように、本発明に係る避難支援システムにおいては、対象者が資源を利用した際の課金情報を受信した場合に、当該課金情報の金額を充当する処理を行うため、資源の利用料の支払いを自動化することができると共に、管理者からの金銭的な支援を得て資源を避難所として活用することができるという効果を奏する。
【0060】
本発明に係る避難支援システムは、前記避難支援装置が、前記対象者が支払っている保険料の情報を少なくとも含む保険情報を記憶する保険情報記憶手段を備え、前記充当手段が、前記対象者が前記資源を利用した際の課金情報を受信した場合に、前記対象者情報及び前記保険情報に基づいて、前記課金情報の金額を保険金で充当する処理を行うものである。このように、本発明に係る避難支援システムにおいては、対象者が支払っている保険に関する保険情報を記憶し、対象者が資源を利用した際の課金情報を受信した場合に、前記対象者情報及び前記保険情報に基づいて、前記課金の金額を保険金で充当するため、避難所として利用した観光資源の費用を保険金で賄うことができると共に、保険会社としても保険商品として魅力的なオプションを提供することができ、資源を提供する例えばホテル等の経営者も収入を得ることができ、災害における被害を減らしつつ経済活動を活性化することが可能になるという効果を奏する。
【0061】
本発明に係る避難支援方法は、コンピュータが、災害が発生した際の災害情報を受信する災害情報入力ステップと、受信した前記災害情報に基づいて、災害発生時に資源を利用する利用者として予め登録された対象者に関する対象者情報と、平常時に事業設備として運用され予約により観光サービスを提供する施設を少なくとも含む前記資源に関する情報、及び、当該資源の予約に関する情報を含む予約情報と、をマッチングし、前記対象者の避難に適した前記資源の予約情報を特定する予約情報特定ステップと、特定された予約情報を出力する出力制御ステップとを実行するものである。
【0062】
本発明に係る避難支援プログラムは、災害が発生した際の災害情報を受信する災害情報入力手段、平常時に事業設備として運用され、予約によりサービスを提供する施設を少なくとも含む資源に関する情報、及び、当該資源の予約に関する情報を予約情報としてを記憶する予約情報記憶手段、災害発生時に資源を利用する利用者として予め登録された対象者に関する対象者情報を記憶する対象者情報記憶手段、受信した前記災害情報に基づいて、前記対象者情報と前記予約情報とをマッチングし、前記対象者の避難に適した前記資源の予約情報を特定する予約情報特定手段、特定された予約情報を出力する出力制御手段としてコンピュータを機能させるものである。