【課題】 リモートフォスファー構造を有するエッジ型バックライトユニットにおいて、蛍光体層における封止材である樹脂の熱劣化や熱変形等の不具合を防止しつつ、導光板面内の輝度の均一性にも優れる光変換導光ユニットなどの提供。
前記導光板の前記光が入射する側の前記1つの側面に、直接に前記導光板に接するように又は非気体の媒介層を介して前記導光板に接するように配された、蛍光体と封止樹脂とを含有する蛍光体層とを有し、
前記導光板において、前記1つの側面と前記正面との角部、及び前記1つの側面と前記正面とは反対側の裏面との角部の少なくともいずれかを面取りした面取り面が形成されている光変換導光ユニットである。
前記導光板の非面取り部の厚み(t)に対する、前記蛍光体層における前記導光板の厚み方向の長さ(L)の比(L/t)が、0.50以上0.90以下である請求項1から6のいずれかに記載の光変換導光ユニット。
前記導光板の非面取り部の厚み(t)に対する、前記蛍光体層における前記導光板の厚み方向の長さ(L)の比(R=L/t)が、下記式(B−1)を満たす請求項8に記載の光変換導光ユニット。
〔数3〕
Rc’−0.03≦R≦Rc’ ・・式(B−1)
ここで、Rc’は、下記式(8)から求められる値を表す。
〔数4〕
Rc’={1−tan(θc)×tan(θp)}/{1+tan(θc)×tan(θp)} ・・式(8)
【発明を実施するための形態】
【0019】
(光変換導光ユニット)
本発明の光変換導光ユニットは、導光板と、蛍光体層とを少なくとも有し、好ましくは媒介層を有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記導光板は、1つの側面の側から入射する光を正面の側に導光する。
前記蛍光体層は、前記導光板の前記光が入射する側の前記1つの側面に、直接に前記導光板に接するように又は非気体の前記媒介層を介して前記導光板に接するように配される。
前記導光板において、前記1つの側面と前記正面との角部、及び前記1つの側面と前記正面とは反対側の裏面との角部の少なくともいずれかを面取りした面取り面が形成されている。
【0020】
本発明者らは、上記課題を解決する方途について鋭意検討した。
図1Aに示した光源装置200においては、蛍光体層13のカバー部材15の近傍領域の熱は、矢印Hで示すように、カバー部材15を通して十分に放熱される。これに対して、蛍光体層13の中央部分の熱もカバー部材15を通して放熱されるが、放熱経路がカバー部材15近傍領域よりも長いため、符号Gで示した中央部分の熱は、カバー部材15に十分に伝えることができず、放熱が不十分となる。
【0021】
蛍光体層13の中央部分は、LED素子12から照射される励起光の強度が最も高く、熱を最も効率的に放熱すべき部分である。それにもかかわらず、放熱が不十分であるため、蛍光体層13の中央部分の封止材が熱劣化や熱変形してしまうのである。
【0022】
こうした不具合を解決する簡便な方法として、
図2に示した光源装置300のように、蛍光体層13と導光板14とを一体化して、蛍光体層13の中央部分の熱を導光板14に伝えて放熱することが考えられる。しかし、本発明者らによる検討の結果、
図2に示した光源装置300においては、蛍光体層13の放熱の問題は解決できるものの、導光板14の蛍光体層13近傍の表面において輝度が非常に高くなり、導光板14面内の輝度の均一性が低下する問題が新たに生じることが判明した。なお、
図2中の矢印は光の進行方向を示す。
【0023】
即ち、蛍光体層13は光の散乱体であり、ランバート則にほぼ従って光が出射される。一般に、封止材の屈折率は導光板14の屈折率と同程度であるため、蛍光体層13から導光板14に入射する際、光はほぼ屈折しない。そのため、蛍光体層13を出射した光は、導光板14の表面に対して全反射しないような小さな角度でも入射してしまう。
【0024】
この輝度の不均一性を改善するために、カバー部材15を導光板14の中心方向(図において右側)に伸ばしてカバー部材15により光を反射させたとしても、カバー部材15の端部の近傍において、光の多くが導光板から出てしまい、輝度の不均一性は改善されない。また、伸ばしたカバー部材15を光吸収性のものに変更すれば、輝度の均一性は確保できるものの、今度は輝度自体が非常に低くなってしまう。
【0025】
そこで、本発明者らは、蛍光体層13と導光板14とを一体化させて、蛍光体層13の熱を導光板14に伝えて放熱できるようにした上に、さらに、導光板14の面取りを行うことにより、輝度の均一性を低下させず優れたものとできることを見出し、本発明の完成に至った。
【0026】
<導光板>
前記導光板は、1つの側面の側から入射する光を正面の側に導光する。
前記導光板の前記光が入射する側の前記1つの側面には、直接に前記導光板に接するように又は非気体の媒介層を介して前記導光板に接するように、前記蛍光体層が配される。
前記導光板には、前記1つの側面と前記正面との角部、及び前記1つの側面と前記正面とは反対側の裏面との角部の少なくともいずれかを面取りした面取り面が形成されている。
【0027】
前記導光板の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、有機樹脂などが挙げられる。前記有機樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
【0028】
前記導光板の屈折率としては、例えば、1.45〜1.60などが挙げられる。
前記導光板の材質が前記アクリル樹脂の場合、その屈折率は、通常1.49〜1.53である。
前記導光板の材質が前記ポリカーボネート樹脂の場合、その屈折率は、通常1.59である。
前記導光板の屈折率は大きいほど好ましい。前記導光板の屈折率が大きいと、その分だけ面取りを小さくでき、前記蛍光体層のサイズを大きくできる。
もし、前記蛍光体層のサイズが小さいと、光の色変換が不十分になったり(目的の色度にならなかったり)、また、ある一定量の光が小さな蛍光体層に入射させねばならなくなり、すなわち蛍光体層に入射する光の密度が大きくなり蛍光体層の局所的な発熱が多くなってしまうので、好ましくないことは容易にわかる。もちろん、ここで言う蛍光体層のサイズとは、蛍光体層における導光板の厚み方向の長さのサイズを意味することは言うまでもない。
【0029】
前記導光板の形状は、通常、矩形である。
前記導光板の面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記導光板の平均厚みとしては、例えば、0.2mm〜3.0mmなどが挙げられる。
【0030】
前記導光板の表面は、光学的に平滑にすることは言うまでもない。前記導光板の表面を光学的に平滑にするのは、導光板内を進行する光が全反射するようにするためであり、従来の導光板の基本機能そのものである。
前記導光板の裏面(前記正面と反対面)も、基本的には光学的に平滑にすることは言うまでもない。前記導光板の裏面(前記正面と反対面)には、輝度均一化や、輝度向上のためのプリズムを設けられていてもよい。また、白色ドットを印刷等で施していてもよい。導光板の内部で導光された光のうち、プリズムや白色ドット等で反射・散乱された光は導光板の正面の方向へ進行し、正面の全面から光が出る。このことも、従来の導光板の基本機能そのものである。
【0031】
導光板の端面のうち、前記蛍光体層あるいは媒介層が配置される側の面(導光板へ光が入る面)は、光学的に平滑であることが求められる。従来の導光板において、光が入射する端面が光学的に平滑であることが求められることと同様である。
導光板の端面のうちの他の3つの面は、従来の導光板に求められるように、やはり光学的に平滑であることが好ましい。導光板の前記蛍光体層側の端面以外の3つの端面には、後述する光反射層17のような光反射層により覆われていることが好ましい。
【0032】
<<面取り面>>
前記導光板には、前記1つの側面と前記正面との角部、及び前記1つの側面と前記正面とは反対側の裏面との角部の少なくともいずれかを面取りした面取り面が形成されている。
面取りにより形成される前記面取り面の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述するように、導光板の屈折率、及び導光板に接する媒介層又は蛍光体層の封止樹脂の屈折率を考慮して、より優れた輝度の均一性が得られるようにしてもよい。
【0033】
前記面取り面は、光学的に平滑であることが好ましい。
従来公知の導光板を機械加工によって面取りする場合、光学研磨により面取り面を平滑にすることが好ましい。
あるいは、前記導光板が樹脂材料でできている場合は、その面の仕上げとして樹脂を溶解できる溶剤を噴霧し、面取り面の表面の樹脂を溶解させ、面取り面を平滑にする方法でもよい。あるいは面取り面を加熱し、樹脂を熱融解させることで面取り面の表面を平滑にする方法でもよい。
本発明においては、面取りの面は実質的に平面であればよく、例えば、非常に大きな曲率半径である曲面であってもよい。
【0034】
<蛍光体層>
前記蛍光体層は、蛍光体と封止樹脂とを含有する。
前記蛍光体層は、前記蛍光体がLED素子からの光を吸収し、所定の波長の光を放射する。
前記蛍光体層においては、前記蛍光体は、前記封止樹脂によって封止され担持されている。
【0035】
<<蛍光体>>
前記蛍光体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、硫化物系蛍光体、酸化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、フッ化物系蛍光体等を用いることができる。
【0036】
本発明においては、広範な色域を得ることができる硫化物系蛍光体を用いることが好ましい。また、所望とする吸収帯域、発光帯域等に応じて、1種又は複数種の蛍光体を選択して組み合わせて使用することができる。
【0037】
硫化物系蛍光体の具体例としては、例えば、ユウロピウムで賦活した硫化カルシウム(CaS:Eu)、硫化ストロンチウム(SrS:Eu)、ストロンチウムチオガレート(SrGa
2S
4:Eu)、カルシウムチオガレート(CaGa
2S
4:Eu)等を挙げることができる。また、カルシウムやストロンチウムが互いに置換されていてもよく、例えば、ユウロピウムで賦活した硫化カルシウムストロンチウム((Ca,Sr)S:Eu)、ストロンチウムカルシウムチオガレート((Sr,Ca)Ga
2S
4:Eu)等を挙げることができる。更に、カルシウムやストロンチウムの一部がマグネシウムやバリウムに置換さてれていてもよく、例えば、ユウロピウムで賦活した硫化ストロンチウムカルシウムバリウム((Sr,Ca,Ba)S:Eu)、ストロンチウムバリウムチオガレート((Sr,Ba)Ga
2S
4:Eu)、ストロンチウムカルシウムバリウムマグネシウムチオガレート((Sr,Ca,Ba,Mg)Ga
2S
4:Eu)等を挙げることができる。更にまた、ガリウムの一部がアルミニウムやインジウムで置換されていてもよく、(Ca,Sr,Ba,Mg)(Al,Ga,In)
2S
4:Euで表されるチオガレート等を挙げることができる。また、硫黄の一部がセレンに置換されていてもよく、例えば、Ca(S,Se):Eu、(Ca,Sr)(S,Se):Eu等で表される蛍光体を挙げることができる。またあるいは、硫黄の全部がセレンに置換されたセレン化物蛍光体も硫化物蛍光体と同様に用いることができ、例えば、ユウロピウムで賦活したセレン化カルシウム(CaSe:Eu)、セレン化ストロンチウム(SrSe:Eu)、セレン化カルシウムストロンチウム((Ca,Sr)Se:Eu)等を挙げることができる。なお、ユウロピウム賦活硫化物蛍光体は、共賦活剤として、マンガン、リチウム、セリウム、ガドリニウム、塩素を含有していてもよい。
【0038】
その他の硫化物系蛍光体の具体例としては、例えば、酸硫化イットリウム(Y
2O
2S:Eu)、酸硫化ランタン(La
2O
2S:Eu)、酸硫化ガドリニウム(Gd
2O
2S:Eu)等を挙げることができる。
【0039】
また、青色LEDのLED素子を用いて白色光を得るために、硫化物系蛍光体は、緑色蛍光体及び赤色蛍光体のうちの少なくともいずれかを含むことがより好ましい。ここで、緑色蛍光体としては、チオガレート蛍光体を用いることが好ましく、赤色蛍光体としては、CaS蛍光体を用いることが好ましい。
【0040】
更に、マゼンダLEDのLED素子を用いて白色光を得るためには、硫化物系蛍光体は、緑色蛍光体を含むことがより好ましい。ここで、緑色蛍光体としては、チオガレート蛍光体を用いることが好ましい。
【0041】
マゼンダLEDは、青色LEDと、赤色蛍光体とを有する。より具体的には、マゼンダLEDは、青色LEDチップと赤色蛍光体を含む封止材とからなる。赤色蛍光体は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、フッ化物系蛍光体、酸化物系蛍光体、窒化物系蛍光体等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記フッ化物系蛍光体の具体例としては、K
2TiF
6:Mn
4+、Ba
2TiF
6:Mn
4+、Na
2TiF
6:Mn
4+、K
3ZrF
7:Mn
4+、K
2SiF
7:Mn
4+、A
a(M
1−s,Mn
s)F
bで表される公知のフッ化物系蛍光体などが挙げられる[但し、Aは、K(カリウム)及びCs(セシウム)の少なくともいずれかの元素であり、Mは、Si(シリコン)及びTi(チタン)の少なくともいずれかの元素であり、a、b及びcは、それぞれ、1.7≦a≦2.1、0<b≦0.2、5.3≦c≦6.3を満たす数値である。]。前記酸化物系蛍光体の具体例としては、(Ba,Sr)
3SiO
5:Eu、などが挙げられる。前記窒化物系蛍光体の具体例としては、Ca
2Si
5N
8:Eu、Sr
2Si
5N
8:Eu、Ba
2Si
5N
8:Eu、(Ca,Sr,Ba)
2Si
5N
8:Eu、Ca
x(Al,Si)
12(O,N)
16:Eu(0<x≦1.5)、CaAl
2Si
4N
8:Eu、CaSiN
2:Eu、CaAlSiN
3:Eu、(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu、などが挙げられる。フッ化物系蛍光体は発光スペクトルのピーク波長がおよそ630nmであり、ピーク幅が狭いので輝度が高く好ましい。
【0043】
青色LEDを用いた場合と比べて、マゼンダLEDを用いた場合は、蛍光体層の発熱が少ないので好ましい。マゼンダLEDを用いた場合は、蛍光体層には赤色蛍光体が無くて緑色蛍光体だけで済むため、蛍光体層の発熱が少なくなるからである。
【0044】
前記蛍光体層における前記蛍光体の量としては、例えば、蛍光体がSrGa
2S
4:EuやCaS:Euの場合には、蛍光体層の厚さ方向(左右方向)の投影で、例えば1〜1000mg/cm
2とすることができる。蛍光体の量は、励起光及び蛍光とが合わさって目的の色度となるよう、調整すればよい。
【0045】
<<封止樹脂>>
前記封止樹脂としては、、LED素子から放射された光を良好に透過し、前記蛍光体を封止できるものであれば、特に制限されない。
【0046】
前記封止樹脂としては、第1に、蛍光体から発光された光を効率よく透過させるものであることが好ましい。第2に、蛍光体層の冷却を熱伝導によってより促進するよう、熱伝導性の高いものが好ましい。第3に、機械的耐熱性を有しているものが好ましい。第4に、耐黄変性を有することが好ましい。これらの特性を有する公知の材料を適宜選択して用いることができる。また、水分により劣化し易い硫化物系蛍光体(SrGa
2S
4:Eu、CaS:Eu等)を用いる場合には、封止樹脂が比較的水蒸気透過性の低い材料を用いるのが好ましい。
【0047】
樹脂は熱伝導性がガラスより劣るが、安価で加工がしやすい。中でも非晶性樹脂のアクリルは、光透過性に優れ、耐黄変性にも優れ、機械的耐熱性がPC等と比べれば劣るが、使用には十分な機械的耐熱性を有するため、好ましい。
【0048】
しかし、アクリルは水蒸気を透過しやすいため、硫化物系蛍光体の封止樹脂としては使用しにくい。また、シリコーン樹脂はアクリルと同等以上の特性を有しているが、やはり水蒸気を透過しやすいので、硫化物系蛍光体の封止樹脂としては使用しにくい。この点、COP(シクロオレフィン重合体)などのオレフィン系樹脂は光透過性、耐熱性に優れるが、耐黄変性はアクリルより劣るものの、水蒸気を透過させにくいため、硫化物系蛍光体を用いる場合には好ましい。そのため、オレフィン系樹脂を用いると、前記蛍光体層が前記導光板と接していることによる熱の拡散効果と相まって、LED素子からの熱や蛍光体の波長変換時の発熱等による封止樹脂の熱劣化や熱変形を更に抑制することができる。
【0049】
言い換えれば、蛍光体層としては通常耐熱性に優れるシリコーン樹脂等の封止材に蛍光体が分散されたもの等が用いられるが、広範な色域を得るために、水分により劣化し易い硫化物系蛍光体(SrGa
2S
4:Eu、CaS:Eu等)を用いることがある。この場合には、水蒸気透過性の高いシリコーン樹脂を封止材として使用できず、比較的水蒸気透過性の低いオレフィン系重合体等の熱可塑性樹脂を用いる場合がある。
しかし、オレフィン系重合体等の熱可塑性樹脂を蛍光体の封止材として用いる場合、シリコーン樹脂等に比べて耐熱性が低いことから、LED素子からの熱や蛍光体の波長変換時の発熱等により、蛍光体層における封止材としての樹脂が、黄変等の熱劣化や熱変形する等の不具合が生じる場合がある。
その点において、本発明の光変換導光ユニットおいては、オレフィン系重合体等の熱可塑性樹脂を蛍光体の封止材として用いも、黄変等の熱劣化や熱変形する等の不具合を防止することができる。
【0050】
前記封止樹脂の屈折率は概して1.50であり、ふつう1.40〜1.60である。前記導光板の屈折率も概して1.50程度である。封止樹脂を屈折率の低いもの(後述する媒介層に要求される屈折率のように低屈折率な材質)にすることで、後述する媒介層を設けなくても済む。しかしながら、低屈折率の材料で、封止材本来の機能、すなわち蛍光体を封止する(機械的強度などの要求)を満足するものはほとんど無い。
【0051】
前記蛍光体層の形状は、特に制限されないが、例えばシート状、短冊状やリボン状等である。前記蛍光体層の幅(前記導光板の厚み方向における長さであって、後述する
図4〜
図7における上下方向)は、通常、前記導光板の中央部の厚み(上下方向)よりも短い。その程度は、面取り面を形成する面取り角に応じて適宜設定される。また、前記蛍光体層の長さ(後述する
図4〜
図7における前後方向)は、前記導光板14の幅(前後方向)と同程度にする。更に、前記蛍光体層の厚み(後述する
図4〜
図7における左右方向)は、例えば、10μm〜1mmである。
【0052】
前記蛍光体層を製造する方法としては、いわゆる押出成形によるシート成形技術を用いることができる。具体的には、蛍光体と封止樹脂とを混合し、得られた蛍光体含有樹脂組成物を熱溶融させた後、熱溶融した組成物をTダイにて押出してシートを作製し、適切なサイズに切断することにより製造することができる。
【0053】
また、別の製造方法としては、塗工(塗布)を用いることができる。具体的には、封止樹脂を溶剤に溶解させ、更に蛍光体を添加して分散させて蛍光体塗料を作成し、この蛍光体塗料を、塗工機を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の基材に塗布し、溶媒を揮発させ乾燥して蛍光体層を作製することができる。
【0054】
更に、必要に応じて、PET等のカバー部材を熱融着(ラミネート)して蛍光体層を製造してもよい。更にまた、封止樹脂としてポリビニルアルコール等の水溶性樹脂と水とを用いて水性の蛍光体塗料を作成し、例えばガラスからなる基材へ塗工して作製することもできる。
【0055】
なお、蛍光体層には、必要に応じて、蛍光体に加えて、光吸収が非常に少ない無機物等の粒子を添加してもよい。封止樹脂の屈折率と添加した粒子の屈折率とが違えば、この粒子によって、励起光を散乱させることにより、励起光の蛍光体への吸収を高めることができるため、蛍光体の添加量を低減することができる。また、添加した粒子が封止材より熱伝導性が高い場合には、蛍光体が発した熱を前記導光板により良好に伝導させて放熱させることができる。
【0056】
<媒介層>
前記媒介層は、非気体の層であれば、前記蛍光層の熱を前記導光板に十分に伝達できる。そのため、前記媒介層としては、気体でなければよく、固体であってもよいし、液体であってもよい。
前記媒介層としては、前記導光板の屈折率よりも小さい屈折率を有することが好ましい。そうすることにより、前記媒介層と前記導光板との界面で光が屈折し、前記媒介層から前記導光板へ出射する光の出射角が小さくなる。そのため、前記導光板の面取りを小さくすることができる。導光板の面取りをすると、蛍光体層の面積(特に、蛍光体層における導光板の厚み方向の長さ)が小さくなる。そのため、導光板の面取りを小さくできると、蛍光体層の面積(特に、蛍光体層における導光板の厚み方向の長さ)を小さくする程度を少なくできる。
前記媒介層の屈折率が、前記導光板の屈折率よりも、0.10以上小さいことが好ましく、0.10以上0.40以下小さいことがより好ましく、0.15以上0.30以下小さいことが特に好ましい。
【0057】
例えば、空気は屈折率がほぼ1であり、低屈折率である点では好ましいが、熱伝導性が低いので前記媒介層としては用いることができない。また前記媒介層を空気とすると、前記蛍光体層と前記導光板とを一体化することもできない。
なお、当然にLEDの光を十分に透過するだけの光学的透明は求められる。
【0058】
前記媒介層が液体の材料であると、前記蛍光体層と前記導光板とを一体化するためにその接合の周囲に液体を閉じ込めておくための構成部材を設ける必要がある。その点においては、固体の方が好ましい。水は屈折率が1.33であり、屈折率が低い点では媒介層の材質として好ましいが、水を閉じ込めておくための構成部材を設ける必要がある。
【0059】
高粘性の液体で屈折率が低いものは好適に用いることができる。例えばガラスは固体ではなく液体として分類されるが、流動性がほとんどないので、用いることができる。ただし、屈折率が低い必要がある。
【0060】
前記媒介層の具体的な材質としては、例えば、フッ化マグネシウム(MgF
2)、フッ素樹脂(PVDF、旭硝子製サイトップなど)、日本化成製低屈折率コーティング材「メソプラス」などが挙げられる。
【0061】
前記媒介層の屈折率は小さいほどよい。例えば、前記媒介層の屈折率としては、1.40以下が好ましく、1.38以下がより好ましく、1.34以下が特に好ましい。屈折率の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1.10、1.15などが挙げられる。屈折率が1.20未満の材料(固体か液体)はほとんど知られていないが、将来に低屈折率の固体又は液体が開発されれば、それを用いることもできる。
【0062】
固体の中に、ミクロな発泡状態を生成させ、その発泡サイズは光の波長よりも小さいサイズであるならば、そのような発泡材質の屈折率はバルクのその固体材料の屈折率よりも、発泡の屈折率と発泡体積との分だけ、小さくなる。このような発泡材質を前記媒介層に用いることもできる。このような、固体又は液体のマトリックス中にミクロな気体を内包する構成を有する媒介層も本発明においては、非気体の媒介層に属するものとする。しかし、発泡は気体(空気、窒素、二酸化炭素など)から成るため、発泡の存在によって、熱伝導性がその分だけ小さくなってしまうため、本発明の効果を奏する範囲において使用することが好ましい。
なお、前記媒介層を設ける代わりに、前記蛍光体層の封止樹脂を低屈折率なものにすることで、前記媒介層に代えることができる。
【0063】
前記媒介層の平均厚みとしては、前記媒介層と前記導光板との界面で、光が屈折するような厚みでなければならなず、その点において、0.001mm〜0.5mmが好ましく、0.01mm〜0.3mmがより好ましい。
前記媒介層の厚みとは、後述する
図6〜
図7において媒介層の左右方向の長さを指す。
【0064】
前記媒介層の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、上記の材料を任意の溶媒へ溶解させて塗料を作製し、その塗料を前記導光板の端面へ塗工し乾燥させて形成する方法などが挙げられる。また、前記導光板をガラス板とし、前記媒介層の材質をフッ化マグネシウムとする場合、前記媒介層をスパッタリングで形成することもできる。
【0065】
前述の蛍光体層は別途製造しておき、任意の接着剤や粘着剤を用いて、媒介層へ接着あるいは粘着して色変換導光ユニットを製造することができる。接着剤や粘着剤の屈折率は概して1.5である。もし、接着剤や粘着剤を屈折率の低いもの(前述した媒介層に要求される屈折率のように低屈折率な材質)にすれば、前述した媒介層を設けなくても済む。しかしながら、低屈折率の材料で、接着剤や粘着剤本来の機能(蛍光体層と導光板とを接着あるいは粘着させる)を満足するものはあまり無い。
予め媒介層を形成した導光板へ蛍光体層を形成するその他の方法としては、任意の溶媒へ溶解させた封止材と、その溶液へさらに蛍光体を分散させて蛍光体塗料を作り、その蛍光体塗料を媒介層へ塗工し、乾燥することを例示できる。
【0066】
<<面取り、及び面取り面>>
面取り、及び前記面取り面について、更に詳細に説明する。
面取り、及び前記面取り面の大きさは、導光板の屈折率、及び導光板に接する媒介層又は蛍光体層の封止樹脂の屈折率を考慮して、好適化することができる。そうすることにより、より優れた輝度の均一性が得られる。これは、導光板と、媒介層又は蛍光体層との界面における光の屈折に基づく。
【0067】
ここで、
図3を用いて面取り面の面取り角の好適な態様について説明する。
図3は、本発明の光変換導光ユニットの一例の側面概略図である。この図は、光が入射する側を拡大した図である。図面の上側が導光板の正面である。
図3では、導光板14のみを記載し、媒介層は省略している。
ここで、本発明において、前記面取り角θpとは、面取り面14aと、面取りされた導光板の表面14bとがなす角をいう。
図3は、導光板の下面または上面(正面)で光が全反射することによって、導光板14内で図の右側方向へ光が導かれることを表したものである。また、導光板の2つの端面であって図の紙面に平行な2つの端面(図の紙面の手前側の面、図の紙面の奥側の面)で光が全反射することによってでも、導光板内で図の右側方向へ光が導かれることもある。導光板内のそれら端面で、光が入射する側に近い側(蛍光体層が配置される側に近い側)の端面部分でも、全反射するように面取り部を設けることが、より好ましい。導光板の端面での面取り部については、導光板の下面及び上面(正面)に設ける面取り部と同様にして考えることができる。以下の説明では、導光板の下面及び上面(正面)に設ける面取り部についてを説明する。
【0068】
先ずは、光の進行の挙動について説明する。
図3では、媒介層を有する態様での挙動について説明する。
光は、
図3においてその図の面内を右方向に進行するものとする。図の2次元面においてのみ光の挙動を考えれば、導光板内での光の全反射の条件は充分に考察できる。なお、実際は、光の進行は3次元であり、図の2次元面(紙面)から外れて進行する光は、導光板への入射角度が、図の2次元面内で進行する光の入射角度よりも必ず大きくなるため、上記のように
図3の面内の2次元面で考えればよいのである。
【0069】
媒介層と導光板との界面における光の屈折について考える。屈折率がn
3である媒介層からの入射角度が最も大きいのはπ/2ラジアン(90度)であるので、そのような光が入射した場合、導光板へ最も大きな角度で射出する光の角度(出射角)θmは、次式(1)を満たす。
n
3×sin(π/2)=n
2×sin(θm) ・・式(1)
ここで、θmは、媒介層と導光板の界面、すなわち媒介層面の法線方向を基準とした、導光板への出射角の最大値を表す。n
2は、導光板の屈折率を表す。n
3は、導光板と接する媒介層の屈折率を表す。他の態様では、n
3は、導光板と接する蛍光体層の封止樹脂の屈折率である。
一方、導光板と空気との界面の任意の点において、導光板での臨界角θcは、空気の屈折率をn
1とすると、次式(2)となる。
n
2×sin(θc)=n
1×sin(π/2) ・・式(2)
【0070】
面取り面の表面である線分Qへ、点Oからの光が入射する際、その全ての光が全反射するようにするには、線分CAである線分Q上の点Bにおいて全反射となればよく(角OBK=Φ
Q≧θc)、ちょうどそのようになる(Φ
Q=θc)ための面取り角θp
cは、次式(3)で表される。
θp
c=θm+θc−(π/2) ・・式(3)
ここで、Φ
Qは、線分Qへ入射する任意の光のうち、全反射する光の入射角の最小値をあらわす。
【0071】
面取り角θpがθp
c以上であれば、面取り面へ入射した光が全反射する。点Oからの光が線分BAへ入射する場合、その入射角は必ずθcよりも大きくなる。点Oからの光は角度θmより大きくなることは無いので、点Oからの光が線分CBへ入射することは無い。線分OC上の任意の点からの光は、線分BCへ入射することもあるが、その入射角は必ずθcよりも大きくなる。なぜならば、そのような光の内、線分CBへ入射する光の最も大きな角度光は、線分OBと平行か、それよりも図で右方向に進むからである(線分BC上の任意の点からの光の角度はθm以下であるから)。
【0072】
図3においては、媒介層の屈折率n
3=1.3、導光板の屈折率n
2=1.5、空気の屈折率n
1=1、にしている。点Oから導光板の下面Pまでの距離を1として作図してあり、導光板の厚さtは1.188となり、導光板の厚さに対する媒介層及び蛍光体層サイズ(0.812)の割合は68.3%である。例えばもし、導光板の厚さを3mmにするならば、線分OCである蛍光体層のサイズは2.05mmとなる。面取りの位置である点Aと、導光板の端面OCとの距離Xを「面取りの範囲サイズ」と定義すると、その長さは2.26mmである。
【0073】
以上、媒介層から導光板に入射した光が面取り面において全反射となる条件について、まとめると、導光板の厚さをtとし、その屈折率がn
2、空気の屈折率がn
1のとき、媒介層の屈折率n
3を決めると、導光板への出射角θmが決まり、次いで面取り角度θp
cが決まる。
そして、面取りの範囲サイズ、すなわち面取りの位置である点Aと、導光板の端面OCとの距離Xは、面取り角度θpがちょうど全反射になるための面取り角θp
cの場合で、さらに点Oからの光が点Aでちょうど全反射になる場合は、Xcで表すことにすると、次式(4)で表される。前記距離Xは、面取りにより除去された前記導光板の面取り部14cにおける前記導光板の前記一つの側面に直交する方向の長さである。なお、
図3中、面取り部14cは、破線で囲まれた三角形の領域である。
Xc=t×tan(θc)/{1+tan(θc)×tan(θp
c)} ・・式(4)
【0074】
また、導光板の厚さtに対する、面取りの範囲サイズXの割合ZをZ=X/tと定義すると、面取り角度θpがちょうど全反射になるための面取り角θp
cの場合で、さらに点Oからの光が点Aでちょうど全反射になる場合は、Zcで表すことにすると、次式(5)で表される。
Zc=tan(θc)/{1+tan(θc)×tan(θp
c) ・・式(5)
【0075】
そして、導光板の厚さに対する、蛍光体層のサイズの割合Rは、面取り角度θpがちょうど全反射になるための面取り角θp
cの場合で、さらに点Oからの光が点Aでちょうど全反射になる場合はRcで表すことにすると、次式(6)で表される。
Rc={1−tan(θc)×tan(θp
c)}/{1+tan(θc)×tan(θp
c)} ・・式(6)
【0076】
そして、導光板の厚さがtのとき、蛍光体層のサイズLは、面取り角度θpがちょうど全反射になるための面取り角θp
cの場合で、さらに点Oからの光が点Aでちょうど全反射になる場合は、Lcで表すことにすると、次式(7)で表される。
Lc=t×{1−tan(θc)×tan(θp
c)}/{1+tan(θc)×tan(θp
c)} ・・式(7)
【0077】
なお、蛍光体層のサイズ(図で上下方向)は、導光板の端面のサイズを覆うサイズであればよく、大きくても構わない。すなわち、ここでいう蛍光体層のサイズとは、実際の蛍光体層のサイズを意味せず、導光板の端面のサイズを覆うサイズのことである。
【0078】
面取り角度は、なるべく小さい方が、蛍光体層のサイズをなるべく大きくできるので好ましい。但し、面取り部(線分Qを含む面、及び線分Q’を含む面)において全反射を確実なものとするには、面取り角θpはその最小値θp
cよりも若干大きくするほうがよい。具体的には、面取り角θpは、以下の式(A−1)を満たすことが好ましく、式(A−2)を満たすことがより好ましい。
θp
c≦θp≦θp
c+0.111 (ラジアン) ・・式(A−1)
θp
c+0.0556≦θp≦θp
c+0.111 (ラジアン) ・・式(A−2)
【0079】
参考までに、0.111ラジアンは、度単位では6.38度である。
ここで、θp=θp
c+0.111であれば、面取り部における光の全反射の状態が、従来の典型的な導光板において、導光板内で光が全反射して導光されるときの状態と同様となる。従来の典型的な導光板とは、屈折率が1.5であり、形状が矩形、すなわち直方体である。つまり、光が入射する端面と、下面および上面とが、垂直(π/2)になっている。
【0080】
導光板の厚さに対する蛍光体層のサイズの割合Rはなるべく大きい方が好ましい。但し、導光板内(線分Pを含む下面、および線分P’を含む上面)において全反射を確実なものとするには、導光板の厚さに対して蛍光体層のサイズを若干小さくするほうがよい。具体的には、面取り角θpをある値に決めたとき、導光板の厚さに対する蛍光体層のサイズの割合Rは、以下の式(B−1)を満たすことが好ましく、式(B−2)を満たすことがより好ましい。
Rc’−0.03≦R≦Rc’ ・・式(B−1)
Rc’−0.03≦R≦Rc’−0.015 ・・式(B−2)
ここで、Rc’は、下記式(8)から求められる値を表す。
Rc’={1−tan(θc)×tan(θp)}/{1+tan(θc)×tan(θp)} ・・式(8)
ここで、θpは、先に決めた角度であって、すなわち、下記式(1)〜式(3)から求められ、そして式(A−1)を満たす角度を表す。
n
3×sin(π/2)=n
2×sin(θm) ・・式(1)
n
2×sin(θc)=n
1×sin(π/2) ・・式(2)
θp
c=θm+θc−(π/2) ・・式(3)
θp
c≦θp≦θp
c+0.111 (ラジアン) ・・式(A−1)
なお、θpを前記式(A−1)の範囲で変えて、そしてRを前記式(B−1)の範囲で変えて、数値計算した所、RはおおむねRc〜Rc−0.191の範囲となることがわかった。
【0081】
ここで、R=Rc’−0.03であれば、導光板内(線分Pを含む下面、及び線分P’を含む上面)での光の全反射の状態が、従来の典型的な導光板において、導光板内で光が全反射して導光されるときの状態と同様となる。従来の典型的な導光板とは、屈折率が1.5であり、形状が矩形、すなわち直方体である。つまり、光が入射する端面と、下面及び上面とが、垂直(π/2)になっている。
【0082】
なお、導光板の厚さtに対する面取りの範囲サイズXの割合Zは、面取り角θpをある値に決め、そして導光板の厚さに対する蛍光体層のサイズの割合Rをある値に決めると、求まる。すなわち、Zは下記式(9)によって求められる。
Z=tan(Φ
P)/{1+tan(Φ
P)×tan(θp)} ・・式(9)
但し、Φ
Pは、次式(10)を満たすものである。
R={1−tan(Φ
P)×tan(θp)}/{1+tan(Φ
P)×tan(θp)} ・・式(10)
θp及びRの決め方によって、ZはZcよりも大きくなったり、小さくなったりする。θpを前記式(A−1)の範囲で変えて、そしてRを前記式(B−1)の範囲で変えて、数値計算した所、Zは、おおむねZc±0.1の範囲となることがわかった。
面取りの範囲サイズXについても、導光板の厚さtに対する面取りの範囲サイズXの割合Zと同様である。すなわち、Xは下記式(11)によって求められる。
X=t×tan(Φ
P)/{1+tan(Φ
P)×tan(θp)} ・・式(11)
【0083】
なお、前記導光板の非面取り部の厚み(t)に対する、前記蛍光体層における前記導光板の厚み方向の長さ(蛍光体のサイズ)(L)の比(R=L/t)としては、その絶対値としては、0.30以上0.95以下が好ましく、0.50以上0.90以下がより好ましい。前記非面取り部とは、面取り面以外の導光板の部位であり、例えば、導光板の中央部などが挙げられる。
前記比(L/t)を、1.00に近づけようとすると、導光板の屈折率と、それに接する媒介層又は蛍光体層の屈折率との差を大きくする必要があり、導光板等の材料の選択性が狭くなる。
他方、前記比(R=L/t)を小さくすると、導光板等の材料の選択性は広がる。しかし、蛍光体層が小さくなる結果、導光板へ入射する光が少なくなることがある。または、導光板の厚さが厚くなり、そして面取りの範囲サイズも大きくなる結果、バックライトユニットが大型化してしまうことがある。
面取りの範囲サイズはより小さい方がバックライトユニットのより小型化になることは言うまでもない。すでに述べたような考え方の要件内で、適宜小さくすることが好ましい。
【0084】
ここで、図を用いて、本発明の光変換導光ユニットを説明する。
図4は、本発明の光変換導光ユニットの一例の側面概略図である。この図は、光が入射する側を拡大した図である。図面の上側が導光板の正面である。
図4の光変換導光ユニットは、導光板14と、導光板14の光が入射する側の側面に直接に接するように配された蛍光体層13とを有する。導光板14において、前記側面と正面との角部、及び前記側面と前記正面とは反対側の裏面との角部は面取りされ、面取り面14aが形成されている。
【0085】
図5は、本発明の光変換導光ユニットの他の一例の側面概略図である。この図は、光が入射する側を拡大した図である。図面の上側が導光板の正面である。
図5の光変換導光ユニットは、導光板14と、導光板14の光が入射する側の側面に直接に接するように配された蛍光体層13とを有する。導光板14において、前記側面と正面との角部は面取りされ、面取り面14aが形成されている。
蛍光体層13の側の導光板の端面は、導光板の片面(
図5では下面)に対して適切に傾ける必要がある。導光板の両面を面取りする場合の角度に相当する角度だけ傾けるのである。導光板の面取りした面の面取りの角度は、導光板の両面を面取りする場合の角度の2倍に相当する角度にする。こうすることで面取り部を導光板の片面だけにすることができる。
【0086】
図6は、本発明の光変換導光ユニットの他の一例の側面概略図である。この図は、光が入射する側を拡大した図である。図面の上側が導光板の正面である。
図6の光変換導光ユニットは、蛍光体層13と、導光板14と、媒介層16とを有する。導光板14の光が入射する側の側面に、媒介層16を介して蛍光体層13が配されている。導光板14において、前記側面と正面との角部、及び前記側面と前記正面とは反対側の裏面との角部は面取りされ、面取り面14aが形成されている。
前述のとおり、媒介層16を配することにより、面取り面14aの面取り角を小さくでき、蛍光体層13の幅を広くすることができる。
【0087】
図7は、本発明の光変換導光ユニットの他の一例の側面概略図である。この図は、光が入射する側を拡大した図である。図面の上側が導光板の正面である。
図7の光変換導光ユニットは、蛍光体層13と、導光板14と、媒介層16とを有する。導光板14の光が入射する側の側面に、媒介層16を介して蛍光体層13が配されている。導光板14において、前記側面と正面との角部、及び前記側面と前記正面とは反対側の裏面との角部は面取りされ、面取り面14aが形成されている。
前述のとおり、媒介層16を配することにより、面取り面14aの面取り角を小さくでき、蛍光体層13の幅を広くすることができる。
また、面取り面14aは、光反射層17により覆われている。そうすることにより、面取り面14aから導光板14に光が入射することを防ぐことができる。なお、面取り面14aから導光板14に入射した光は、導光板内で必ずしも全反射にならない。そのため、光反射層17を設けることにより、導光板面内の輝度の均一性がより優れる。
また、光反射層17で反射された光は、LED素子と蛍光体層13との間の空間部分や内壁で反射され、多少は損失するが、多くの光は蛍光体層へ再入射することとなり、輝度がより高くなることにつながる。
さらに、光反射層17と面取り面14aとは一体化していないことが必要である。つまり、それらの間には空間、すなわち、空気層が存在することが必要である。あるいは、屈折率がごく小さい物質が充填されていてもよい。屈折率がごく小さいとは、概して1.1以下であり、固体や液体ではそのように小さな屈折率の物質は無いと言える。よって、気体はそのように小さな屈折率であるので、簡易的には空気である。もちろん、アルゴンなどの気体を充填するようにしてもよい。
【0088】
光反射層17の材質としては、光を反射するものであればよく、公知のものを用いることができる。また、反射は、拡散反射でもよいし、鏡面反射でもよく、鏡面反射が好ましい。更に、光反射層17の反射率は高いことが好ましく、具体的には、全光線反射率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。加えて、反射率は、励起光及び蛍光の波長領域の全域に亘って高いことが好ましい。
光反射層17は、少なくても片面(面取り部の反対側の面)だけが光反射すればよい。もう片面(面取り部の側の面)は、光を反射してもよいし、光を吸収してもよい。
【0089】
これらの特徴を有する光反射層17としては、プラスチックフィルム、ガラス球、接着材等で構成された反射シートを挙げることができる。また、硫酸バリウム等の白色粉体あるいは酸化チタン等の白色顔料を樹脂塗料に分散し、面取り面14aに塗布して形成された白色塗膜を用いることもできる。また、面取り面14aに塗布する代わりに、別途基材を用意してその基材に塗布し、白色塗膜の光反射層付きの基材を面取り面14a上に配置することもできる。
【0090】
(光源装置)
本発明の光源装置は、本発明の光変換導光ユニットを少なくとも有し、更に必要に応じて、LED素子などのその他の部材を有する。
【0091】
図8は、本発明の前記光源装置の一例を示している。この図に示す光源装置100は、保持部材11上に配されたLED素子12と、
図6で示した本発明の前記光変換導光ユニットとを備える。
LED素子12と、光変換導光ユニットとは、保持部材19により一体化されている。
また、
図8の光源装置には、LED素子12からの光が面取り面14aから導光板14に入射することを防ぐ、光反射部材18が設けられている。光反射部材18は、保持部材19と、蛍光体層13との間に配されている。
光反射部材18の材質としては、光を反射するものであればよく、例えば、光反射層17の説明で例示した材質などが挙げられる。
また、保持部材11及び保持部材19は、例えば、光反射性を有している。そうすることにより、LED素子12からの光を外部に漏らさず、効率よく、蛍光体層13に入射させることができる。
【0092】
図9は、本発明の前記光源装置の他の一例を示している。この図に示す光源装置100は、保持部材11上に配されたLED素子12と、
図7で示した本発明の前記光変換導光ユニットとを備える。
LED素子12と、光変換導光ユニットとは、保持部材19により一体化されている。
また、保持部材11及び保持部材19は、光反射性を有している。そうすることにより、LED素子12からの光を外部に漏らさず、効率よく、蛍光体層13に入射させることができる。
保持部材11及び保持部材19の材質としては、光を反射するものであればよく、例えば、光反射層17の説明で例示した材質などが挙げられる。
さらに、
図8で示したような光反射部材18も設けると、より好ましい。
【0093】
(表示装置)
本発明の表示装置は、本発明の前記光源装置を少なくとも有し、更に必要に応じて、液晶ディスプレイパネルなどを有する。
【実施例】
【0094】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0095】
(製造例1)
<蛍光体層の作製>
蛍光体としては、ユウロピウム賦活ストロンチウムチオガレート(SrGa
2S
3:Eu、SGS)及びユウロピウム賦活硫化カルシウム(CaS:Eu、CS)を用いた。正珪酸四エチル(TEOS)を用いて、ゾルゲル反応によって、これら蛍光体の粒子の表面をSiO
2によって被覆した。
また、封止樹脂としては、熱可塑性樹脂であるシクロオレフィン共重合体(ポリプラスチック社製、型番:TOPAS 6013)を用いた。屈折率は1.53である。
蛍光体層は、上記蛍光体及び封止樹脂を用いて以下のように作製した。即ちまず、二軸混練機を用いて、混練温度240℃にて、シクロオレフィン共重合体樹脂に蛍光体SGS及び蛍光体CSを熱溶融混練してペレットにした(以下、「蛍光体ペレット」と称する)。その際、SGSが5質量%、CSが5質量%となるようにした。
次いで、蛍光体ペレットを単軸押出し機にて熱溶融し、Tダイを用いて押出成形し、幅約200mm、厚さ200μm程度、長さ数10mのシートを得た。このシートを機械加工して、蛍光体層を得た。
この蛍光体シート(蛍光体層)を、必要に応じ切断して用いた。
【0096】
(製造例2)
<導光板(面取り前)の作製>
市販の樹脂板(A4サイズ大)を必要なに切断して用いた。樹脂板の表面及び裏面は光沢があり、つまり光学的に平滑である。材質は、アクリル(屈折率1.50)あるいはポリカーボネート(屈折率1.59)である。機械加工によって切断した端面は荒れているので、サンドペーパーを用いて平滑化し、更に研磨剤を用いて研磨して光沢面にした。
導光板の裏面には、白色塗料でいわゆるドットを印刷した。このドットは従来の導光板で使うように設計した(すなわちホワイトLEDで使うように設計した)ドットパターンとした。ホワイトLEDの光の放出の角度分布と、B−LEDと蛍光体層とによる光の放出の角度分布とが異なるので、それぞれで必要なドットパターンが異なる。本来ならば、本発明の光変換導光ユニットによるバックライトの輝度分布を測定し、その輝度がより均一になるようにドットパターンを変更することが好ましいが、今回の評価ではそれ(設計見直し)は省略した。
【0097】
(実施例1)
<光変換導光ユニットの作製>
導光板の材質はアクリルとした。
媒介層として屈折率が1.20の材料を選んだ。屈折率が1.20の材料として、日本化成製低屈折率コーティング材「メソプラス」(商品名)を用いた。
面取り角が面取り部で全反射に必要なθp
cとなるように、そして導光板の厚さに対する蛍光体層のサイズの割合が導光板の下面/上面(正面)で全反射に必要なRcとなるように、導光板の面取り範囲のサイズ(X)、面取り角(θp)、導光板の厚さに対する蛍光体層のサイズの割合、蛍光体層サイズ(L)を求めた。それらの値を下記の表1に示す。計算は有効数字3桁にて行った。
導光板の、LED側の表面及び裏面について、面取り範囲のサイズ及び面取り角度にて、その両面を面取りした。面取り面はサンドペーパーを用いて平滑化し、更に研磨剤を用いて研磨して光沢面にした。
導光板の、LED側の端面に前記コーティング材を塗布して、媒介層を設けた。蛍光体層を必要な大きさに切断し、屈折率が1.53の粘着剤を用いて、導光板の、LED側の端面に貼り付けた。このようにして、光変換導光ユニットを作製した。
この光変換導光ユニットと、B−LEDと、市販の反射シート(東レ製、商品名ルミラー、型番E60)とを用い、
図9で示したような配置で、バックライトユニットを作製した。
【0098】
(実施例2)
媒介層として屈折率が1.30の材料を選択した以外は、実施例1と同様にして、バックライトユニットを作製した。
屈折率が1.30の材料としては、日本化成製低屈折率コーティング材「メソプラス」(商品名)がある。
【0099】
(実施例3)
媒介層として屈折率が1.34の材料を選択した以外は、実施例1と同様にして、バックライトユニットを作製した。
屈折率が1.34の材料としては、アモルファスフッ素樹脂の旭硝子製「サイトップ」(商品名)がある。
【0100】
(実施例4)
媒介層として屈折率が1.38の材料を選択した以外は、実施例1と同様にして、バックライトユニットを作製した。
屈折率が1.38の材料としては、フッ化マグネシウムがある。導光板の、LED側の端面に、フッ化マグネシウムをスパッタリングにて形成した。
【0101】
(実施例5)
媒介層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、バックライトユニットを作製した。
【0102】
(実施例6)
導光板の材質をポリカーボネートとした以外は、実施例4と同様にして、バックライトユニットを作製した。
【0103】
(実施例7)
導光板の材質をポリカーボネートとした以外は、実施例5と同様にして、バックライトユニットを作製した。
【0104】
【表1】
【0105】
媒介層を設けることで、蛍光体層のサイズを小さくする割合を抑えてバックライトユニットを作製することができた。
【0106】
(比較例1)
面取りを行わなかった以外は、実施例1と同様にして、バックライトユニットを作製した。
【0107】
(比較例2)
比較例1において、媒介層を設けず、替わりに、蛍光体層と導光板との間に空気層を設けた以外は、比較例1と同様にして、バックライトユニットを作製した。
【0108】
<輝度の均一性の評価>
LED素子を電力1W(20mA)で点灯し、カメラ輝度・色度計(Radientimaging社製:PROMETRIC)を用いて、画面の輝度を測定し、輝度画像を得た。また、画面の上下方向の中央にて、画面の左右方向の輝度分布を得た。得られた輝度分布を
図10示す。
図10において、横軸は、端部からの距離(mm)、縦軸は輝度を表す。
比較例1は、、LED素子側の画面の端面近傍領域の輝度がとても高かったのに対して、LED素子の反対側の端面近傍領域の輝度は低く、輝度の均一性は低かった。
それに対して、実施例及び比較例2は、輝度の均一性が高かった。
なお、実施例1〜7のバックライトユニットは、
図10の実施例及び比較例2と同程度に、輝度の均一性が高かった。
【0109】
<信頼性の評価>
各バックライトユニットについて、LED素子を点灯し、その後、蛍光体層の励起光が照射された部分における変形等の有無を目視で評価した。その際、発光素子は、電力6.5Wの条件で行った。
【0110】
まず、実施例1〜7、及び比較例1については、蛍光体層の熱変形等は生じていなかった。これに対して、比較例2については、励起光が照射された部分がスポット状に溶けていた。これは、蛍光体の発熱の放冷が不十分であったために、励起光が照射された部分の封止材である樹脂が熱溶融するまで温度上昇したためと考えられる。
【0111】
比較例2は、励起光が照射された部分の温度は、実施例1〜7、及び比較例1よりも高いと考えられ、LED素子を長時間点灯させる場合、比較例2では、封止材である樹脂の劣化即ち黄変が、実施例1〜7、及び比較例1よりも進行が早いと考えられる。
このように、比較例2は信頼性が乏しく、実施例1〜7、及び比較例1については高い信頼性を示した。
【0112】
<総合評価>
実施例1〜7については、高い輝度の均一性、並びに弱条件及び強条件での高い信頼性を有していた。
これに対して、比較例1については、信頼性は高かったものの、輝度の均一性が低かった。また、比較例2については、輝度の均一性は高かったものの、信頼性については低かった。