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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-149660(P2019-149660A)
(43)【公開日】2019年9月5日
(54)【発明の名称】電話制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/25 20180101AFI20190809BHJP
   H04Q 3/58 20060101ALI20190809BHJP
   H04W 88/14 20090101ALI20190809BHJP
   H04W 76/19 20180101ALI20190809BHJP
【FI】
   H04W76/25
   H04Q3/58 101
   H04W88/14
   H04W76/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-32817(P2018-32817)
(22)【出願日】2018年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】蝦名 正一
(72)【発明者】
【氏名】横田 憲
(72)【発明者】
【氏名】伊橋 真吾
(72)【発明者】
【氏名】北谷 直人
【テーマコード(参考)】
5K049
5K067
【Fターム(参考)】
5K049BB04
5K049BB16
5K049FF01
5K067AA34
5K067DD11
5K067DD57
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】音声通話中の無線端末が動作停止後に動作を再開した場合でも、音声通話を再開させる。
【解決手段】端末管理部15が、無線端末20の動作状態を逐次取得して記憶部14の端末情報14Aに記録し、呼制御部16が、基地局21から端末接続確認が通知された場合、端末情報14Aを参照し、無線端末20の直近動作状態が通信網NWを介して相手端末30と通話中であったことを示す場合、基地局21を介して無線端末20にパス再形成指示を送信し、基地局21を介した無線端末20との内線側パスの再形成完了に応じて、通信網NWを介した相手端末30との網側パスと内線側パスとを接続することにより、無線端末20と相手端末30との通話を再開させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を介して内線収容した無線端末を通信網に交換接続する電話制御装置であって、
前記無線端末の動作状態を逐次取得して記憶部の端末情報に記録する端末管理部と、
前記基地局から前記無線端末が当該基地局に接続されたことを示す端末接続確認が通知された場合、前記記憶部に記録されている前記無線端末に関する端末情報を参照し、前記端末情報に記録されている前記端末接続確認の通知前に直近する直近動作状態に応じて、前記無線端末を制御する呼制御部とを備え、
前記呼制御部は、前記直近動作状態が前記通信網を介して相手端末と通話中であったことを示す場合、前記基地局を介して前記無線端末に内線側パス再形成指示を送信し、前記基地局を介した前記無線端末との内線側パスの再形成完了に応じて、前記通信網を介した前記相手端末との網側パスと前記内線側パスとを接続することにより、前記無線端末と前記相手端末との通話を再開させる
ことを特徴とする電話制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話制御装置において、
前記呼制御部は、前記直近動作状態が前記相手端末と通話中であったことを示す場合、前記網側パスの残存有無に応じて前記内線側パス再形成指示の送信要否を判断することを特徴とする電話制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電話制御装置において、
前記呼制御部は、前記直近動作状態が前記相手端末と通話中であったことを示す場合、前記直近動作状態が示す通話時に前記無線端末が接続していた元の基地局と、前記端末接続確認を通知した新たな基地局とを比較し、前記元の基地局と前記新たな基地局とが異なる場合には、前記元の基地局に対して前記無線端末が通話に使用していた内線側パスの切断を指示することを特徴とする電話制御装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電話制御装置において、
前記呼制御部は、前記直近動作状態から前記端末接続確認の通知までの経過時間が一定時間以内であるか否かに応じて前記内線側パス再形成指示の送信要否を判断することを特徴とする電話制御装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電話制御装置において、
前記内線側パス再形成指示は、前記無線端末との間で新規に内線側パスを形成する際に前記呼制御部が送信するパス形成指示からなることを特徴とする電話制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局を介して電話制御装置に内線収容されている無線端末が、基地局に再接続された際における端末制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビジネンホンシステムやPBXシステムなどの電話システムには、PHS(Personal Handy-phone System)やDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)などの無線方式の無線端末を、主装置やPBX装置などの電話制御装置に基地局を介して内線収容し、音声通話などの各種電話サービスを提供するものがある。
【0003】
また、このような電話システムには、無線端末が移動できるエリアを拡張するため、複数の基地局を電話制御装置に接続し、音声通話やデータ通信を継続しつつこれら基地局間を無線端末が移動できる、いわゆるハンドオーバー制御を行うものもある(例えば、非特許文献1など参照)。
【0004】
通常、このようなハンドオーバー制御では、隣接する2つの基地局の無線エリアを一部重複させて配置し、その重複エリアを無線端末が通過した際、移動元の基地局を経由した音声通話用の元の内線側パスを保持したまま、移動先の基地局を経由した新たな内線側パスを形成し、新たな内線側パスの形成が完了した時点で元の内線側パスを切断するという手順を踏んでいる。
また、ハンドオーバー制御には、いずれの基地局の無線エリアにも入らない圏外へ無線端末が移動した場合でも、すぐに音声通話を切断せずに、ある程度の時間だけ維持しておき、元の基地局の圏内に戻った際に音声通話を再開させるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−22188号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「Agrea(LT900)モバイルソリューション」、サクサ株式会社、http://www.saxa.co.jp/product/business/lt900/function/mobile.html、2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来技術では、無線端末が元の基地局の圏内に戻って元の音声通話を再開する場合、無線端末が保持している端末情報に基づいて無線端末が再接続を電話制御装置へ要求するものとなっているため、電源喪失により無線端末の端末情報が消えてしまった場合には、元の音声通話を再開することができないという問題点があった。
【0008】
なお、無線端末における電池の消耗や不具合による動作停止に対応する技術として、電池の電圧がしきい値電圧を下回った場合、無線電話機において揮発性メモリに記録されているデータを、不揮発性メモリに転送する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
したがって、このような従来技術を用いれば、動作停止前における動作状態を無線端末で保持しておくことができ、動作再開後、保持していた動作状態を電話制御装置に通知して、音声通話を再開する方法が考えられる。
【0009】
しかしながら、無線端末が元の基地局ではなく異なる基地局の圏内に戻った場合には、無線端末が保持している端末情報とは異なった接続形態となるとともに、電話システム側が保持している内線側パスの状態とは異なる接続形態となるため、元の音声通話を再開することができなくなる。
また、無線端末が元の基地局ではなく異なる基地局の圏内に戻ったケースは、ハンドオーバー制御にも相当するが、ハンドオーバー制御では、前述したような決められた手順を踏んでいることが条件となるため、異なる基地局の圏内に戻ったケースには適用できない。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、音声通話中の無線端末が動作停止後に動作を再開した場合でも、音声通話を再開することができる端末制御技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話制御装置は、基地局を介して内線収容した無線端末を通信網に交換接続する電話制御装置であって、前記無線端末の動作状態を逐次取得して記憶部の端末情報に記録する端末管理部と、前記基地局から前記無線端末が当該基地局に接続されたことを示す端末接続確認が通知された場合、前記記憶部に記録されている前記無線端末に関する端末情報を参照し、前記端末情報に記録されている前記端末接続確認の通知前に直近する直近動作状態に応じて、前記無線端末を制御する呼制御部とを備え、前記呼制御部は、前記直近動作状態が前記通信網を介して相手端末と通話中であったことを示す場合、前記基地局を介して前記無線端末に内線側パス再形成指示を送信し、前記基地局を介した前記無線端末との内線側パスの再形成完了に応じて、前記通信網を介した前記相手端末との網側パスと前記内線側パスとを接続することにより、前記無線端末と前記相手端末との通話を再開させるようにしたものである。
【0012】
また、本発明にかかる上記電話制御装置の一構成例は、前記呼制御部が、前記直近動作状態が前記相手端末と通話中であったことを示す場合、前記網側パスの残存有無に応じて前記内線側パス再形成指示の送信要否を判断するようにしたものである。
【0013】
また、本発明にかかる上記電話制御装置の一構成例は、前記呼制御部が、前記直近動作状態が前記相手端末と通話中であったことを示す場合、前記直近動作状態が示す通話時に前記無線端末が接続していた元の基地局と、前記端末接続確認を通知した新たな基地局とを比較し、前記元の基地局と前記新たな基地局とが異なる場合には、前記元の基地局に対して前記無線端末が通話に使用していた内線側パスの切断を指示するようにしたものである。
【0014】
また、本発明にかかる上記電話制御装置の一構成例は、前記呼制御部が、前記直近動作状態から前記端末接続確認の通知までの経過時間が一定時間以内であるか否かに応じて前記内線側パス再形成指示の送信要否を判断するようにしたものである。
【0015】
また、本発明にかかる上記電話制御装置の一構成例は、前記内線側パス再形成指示が、前記無線端末との間で新規に内線側パスを形成する際に前記呼制御部が送信するパス形成指示からなるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電話制御装置側で無線端末の動作状態が保持されることになるため、音声通話中の無線端末が動作停止後に動作を再開した場合、さらには、電源喪失により無線端末の端末情報が消えてしまった場合でも、無線端末の動作再開に応じた基地局への接続に応じて、無線端末と相手端末との通話を自動的に再開させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】電話制御装置の構成を示すブロック図である。
図2】音声通話開始動作を示すシーケンス図である。
図3】第1の実施の形態にかかる音声通話再開動作を示すシーケンス図である。
図4】第2の実施の形態にかかる音声通話再開動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話制御装置10について説明する。図1は、電話制御装置の構成を示すブロック図である。
【0019】
この電話制御装置10は、ビジネンホンシステムやPBXシステムなどの電話システム1で用いられて、通信回線L1を介して通信網NWと接続されているとともに、通信回線L2に接続された基地局21,22を介して無線端末20を内線収容するとともに、通信回線L2を介して複数の内線端末(内線電話機)23を内線収容し、これら無線端末20や内線端末23を通信網NWに交換接続することにより音声通話サービスを提供する機能を有している。
【0020】
以下では、理解を容易とするため、電話システム1の構成として、基地局21,22が2つで無線端末20が1つの場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、基地局が3つ以上あってもよく、無線端末が複数あってもよい。
【0021】
電話制御装置10の具体例としては、ビジネンホンシステムやPBXシステムなどの電話システム1において、主装置やPBX装置として用いられる電話制御装置がある。通信網NWは、次世代網(NGN:Next Generation Network)やIP通信網のほか、ISDN(Integrated Services Digital Network)、PSTN(Public Switched Telephone Network)、携帯通信網などの既存の通信網である。
【0022】
[電話制御装置]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10の構成について詳細に説明する。
電話制御装置10は、主な機能部として、網I/F部11、内線I/F部12、スイッチ部13、記憶部14、端末管理部15、および呼制御部16を備えており、内部バスBを介して相互に接続されている。これら機能部のうち、端末管理部15および呼制御部16は、CPUとプログラムとが協働することにより実現されている。
【0023】
網I/F部11は、通信回線L1を介して通信網NWとの間で、呼制御メッセージ(呼制御信号)や音声データ(音声信号)を送受信する機能とを有している。
内線I/F部12は、通信回線L2を介して基地局21,22や内線端末23との間で、制御メッセージや音声データを送受信する機能を有している。
スイッチ部13は、網I/F部11から通信網NWを介して相手端末30との間で接続された網側パスと、基地局21,22を介して無線端末20との間で接続された内線側パスとを交換接続する機能を有している。
【0024】
記憶部14は、全体としてハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、電話制御装置10での呼制御や端末制御に用いる各種処理データや、CPUで実行するためのプログラムを記憶する機能を有している。
【0025】
記憶部14で記憶する主な処理データとして、端末情報14Aがある。端末情報14Aは、無線端末20の直近の動作状態を示すデータである。この端末情報14Aの例として、動作状態に関する日時、無線端末20が無線接続している基地局の基地局識別情報、その基地局との間で形成している内線側パスに関するパス情報、通信網NWを介して接続している通話・通信の相手端末30を示す相手識別情報、無線端末20で表示中の表示内容などがある。
【0026】
端末管理部15は、無線端末20の動作状態を逐次取得し、記憶部14の端末情報14Aに順次記録する機能を有している。
【0027】
呼制御部16は、通信網NWを用いた発信・着信などの呼制御、無線端末20や内線端末23での操作に基づく無線端末20や内線端末23の呼制御を行う機能と、基地局21(22)から無線端末20が当該基地局に接続されたことを示す端末接続確認が通知された場合、記憶部14に記録されている無線端末20に関する端末情報14Aを参照し、端末情報14Aに記録されている端末接続確認の通知前に直近する直近動作状態に応じて、無線端末20を制御する機能とを有している。
【0028】
具体的には、呼制御部16は、直近動作状態が通信網NWを介して相手端末30と通話中であったことを示す場合、基地局21(22)を介して無線端末20に内線側パス再形成指示を送信し、基地局21(22)を介した無線端末20との内線側パスの形成完了に応じて、通信網NWを介した相手端末30との網側パスと内線側パスとを接続することにより、無線端末20と相手端末30との通話を再開させる機能を備えている。
【0029】
また、呼制御部16は、直近動作状態が相手端末30と通話中であったことを示す場合、網側パスの残存有無に応じて内線側パス再形成指示の送信要否を判断する機能と、直近動作状態から端末接続確認の通知までの経過時間が一定時間以内であるか否かに応じて内線側パス再形成指示の送信要否を判断する機能とを有している。
【0030】
無線端末20は、PHSやDECTなどの無線方式に基づいて、無線回線L3を介して基地局21,22と接続される無線通信端末である。
内線端末23は、ビジネンホンシステムやPBXシステムなどの一般的な電話システムで用いられる内線電話端末である。
【0031】
[第1の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる電話制御装置10の動作について説明する。
まず、図2を参照して、無線端末20の音声通話開始時における電話制御装置10の動作について説明する。図2は、音声通話開始動作を示すシーケンス図である。
【0032】
図2に示すように、無線端末20は、電源投入時、基地局21,22からのビーコンに基づいて無線状況を確認し(ステップS100)、無線状況の最も良好な基地局、この例では基地局21を接続対象として選択し、その選択結果を示す基地局選択を基地局21に対して、無線回線L3を介して送信する(ステップS101)。
基地局21は、無線端末20から通知された基地局選択に応じて、自己に対する無線端末20の接続を確認したことを示す端末接続確認を電話制御装置10に、通信回線L2を介して通知する(ステップS102)。
【0033】
電話制御装置10の端末管理部15は、基地局21から通知された端末接続確認の内容を取得し、無線端末20が基地局21に接続されていることを記憶部14の端末情報14Aに記録する。なお、端末管理部15による端末情報14Aの記録は、例えば無線端末20の動作状態が変化するごとに行われるため、これら記録ステップに関する説明およびシーケンス図に対する個々の記載は省略する。
【0034】
この後、利用者により発信操作に応じて(ステップS110)、無線端末20は、操作入力された相手端末30のダイヤル番号を含む発信要求を電話制御装置10に対して送信する(ステップS111)。
電話制御装置10は、内線I/F部12を介して、基地局21を介して無線端末20からの発信要求を受信した場合、呼制御部16は、網I/F部11および通信回線L1を介して通信網NWへ、相手端末30に対する発信要求を送信する(ステップS112)。
【0035】
また、呼制御部16は、発信要求の受信に応じて、内線I/F部12から基地局21を介して無線端末20へパス形成指示を送信する(ステップS113)。
基地局21は、電話制御装置10からのパス形成指示を無線端末20へ無線回線L3を介して転送するとともに、当該パス形成指示に含まれるパスの種別などの情報に基づいて、電話制御装置10との間で基地局パス形成処理を実行し(ステップS114)、通信回線L2を介した電話制御装置10と基地局21とを結ぶ音声通話用の基地局パスを形成する(ステップS115)。
【0036】
また、無線端末20は、基地局21から転送されたパス形成指示を無線回線L3を介して受信し、当該パス形成指示に含まれるパスの種別などの情報に基づいて、基地局21との間で端末パス形成処理を実行し(ステップS116)、無線回線L3を介した電話制御装置10と基地局21とを結ぶ音声通話用の端末パスを形成する(ステップS117)。
【0037】
この後、呼制御部16は、網I/F部11および通信回線L1を介して通信網NWから、相手端末30からの応答を受信した場合(ステップS120)、通信網NWを介した相手端末30との網側パスに、前述のようにして形成された端末パスおよび基地局パスからなる無線端末20の内線側パスを接続する(ステップS121)。これにより、無線端末20と相手端末30との音声通話が開始される(ステップS122)。
【0038】
次に、図3を参照して、相手端末30との間で音声通話中の無線端末20が一端動作停止となった後、動作を再開した場合における電話制御装置10の通話再形成動作について説明する。図3は、第1の実施の形態にかかる音声通話再開動作を示すシーケンス図である。
【0039】
図3に示すように、無線端末20が、基地局21を介して相手端末30との間で音声通話中に(ステップS150)、電池の消耗や不具合により電源が喪失して動作を停止した場合(ステップS151)、基地局21との間の端末パスが切断される(ステップS152)。
【0040】
この後、電池パックなどの外部電池を無線端末20に接続したり、充電器で無線端末20を充電することにより、動作を再開した場合(ステップS160)、無線端末20は通常の電源起動時と同様に、基地局21,22からのビーコンに基づいて無線状況を確認し(ステップS161)、無線状況の最も良好な基地局、この例では元の基地局21を接続対象として選択し、その選択結果を示す基地局選択を基地局21に対して、無線回線L3を介して送信する(ステップS162)。
【0041】
基地局21は、無線端末20から通知された基地局選択に応じて、自己に対する無線端末20の接続を確認したことを示す端末接続確認を電話制御装置10に、通信回線L2を介して通知する(ステップS163)。
電話制御装置10の呼制御部16は、基地局21から通知された端末接続確認に応じて、記憶部14に記録されている無線端末20に関する端末情報14Aを参照し、端末情報14Aに記録されている端末接続確認の通知前に直近する直近動作状態を確認する(ステップS170)。
【0042】
ここで、無線端末20の直近動作状態が相手端末30と通話中であったことを示すことから(ステップS171)、呼制御部16は、まず、直近動作状態における無線端末20の元の基地局と、端末接続確認で通知された無線端末20の新たな基地局とを比較する。この場合、元の基地局21と新たな基地局21とが一致しているため(ステップS172)、基地局21との間の基地局パスが再利用できると判断し、基地局21との間の基地局パスの切断指示を送信せずにそのまま維持する。
【0043】
この後、呼制御部16は、通信網NWを介した相手端末30との網側パスが残存しているか確認することにより、パス再形成指示の送信要否を判断する。この例では、相手端末30から音声通話が終話されておらず、網側パスが残存していることから、パス再形成指示の送信要と判断し(ステップS173)、次のような、ステップS180〜S185までの音声通話再形成処理を実行する。
【0044】
まず、呼制御部16は、端末接続確認の送信元である基地局21を介して無線端末20へパス再形成指示を送信する(ステップS180)。
基地局21は、電話制御装置10からのパス再形成指示を無線端末20へ無線回線L3を介して転送する(ステップS181)。この際、基地局21は、無線端末20が用いていた電話制御装置10との間の基地局パスが残存しているか確認し、この例では、該当する基地局パスが残存しているため、新たな基地局パスの形成は行わない。
【0045】
また、無線端末20は、基地局21から転送されたパス再形成指示を無線回線L3を介して受信し、当該パス再形成指示に含まれるパスの種別などの情報に基づいて、基地局21との間で端末パス形成処理を実行し(ステップS182)、無線回線L3を介した電話制御装置10と基地局21とを結ぶ音声通話用の新たな端末パスを形成する(ステップS183)。
【0046】
この後、呼制御部16は、残存している相手端末30との網側パスに、残存していた基地局パスと前述のようにして再形成された端末パスとからなる無線端末20の内線側パスを再接続する(ステップS184)。これにより、元の基地局21を介した、無線端末20と相手端末30との音声通話が再開される(ステップS185)。
【0047】
なお、図3のステップS170において、記憶部14の端末情報14Aに記録されている無線端末20の直近動作状態に関する時刻を確認し、直近動作状態から端末接続確認の通知までの経過時間が一定時間を超えている場合には、内線側パス再形成指示の送信不要と判断してもよい。これにより、動作停止から動作再開まである程度時間経過していて、元の音声通話が維持されていない可能性が高い場合には、パス再形成指示の送信が回避され、無駄なパス再形成処理の実行を抑止できる。
【0048】
また、図3のステップS180で送信するパス再形成指示については、図2のステップS113で説明した、電話制御装置10と無線端末20との間で新規に内線側パスを形成する際に、呼制御部16から送信されるパス形成指示を用いてもよい。これにより、基地局21,22や無線端末20の処理動作を変更することなく、既存処理動作を利用して内線側パスを再形成することができる。したがって、基地局21,22や無線端末20を新規に交換したり、ソフトウェアを更新することなく、既存の電話システムに対して本発明を適用することが可能となる。
【0049】
また、端末情報14Aに無線端末20での元の表示内容が含まれている場合、図3のステップS180で送信するパス再形成指示に、例えば通話時間、通話相手の名前や電話番号、通話回線に関する回線ランプ表示などの元の表示内容を含めて送信してもよい。これにより、無線端末20における動作停止直前の表示内容を迅速に復元することができる。
【0050】
また、図3のステップS171において、無線端末20の直近動作状態が相手端末30と通話中ではなかった場合、これ以降におけるステップの実行を取りやめることになる。この際、前述したような、端末情報14Aに含まれている無線端末20での元の表示内容、例えばアイドル状態に表示していた時計・カレンダー表示などの表示内容を無線端末20に送信するようにしてもよい。
なお、図3のステップS172において、元の基地局21と新たな基地局21とが一致していない場合については、図4を参照して、その詳細を後述する。
【0051】
また、図3のステップS173において、相手端末30で終話操作が行われたなどの理由により網側パスが切断されていて、網側パスが残存していない場合、パス再形成指示の送信不要と判断し、これ以降におけるステップの実行を取りやめることになる。この際、前述したような、端末情報14Aに含まれている無線端末20での元の表示内容、例えばアイドル状態に表示していた時計・カレンダー表示などの表示内容を無線端末20に送信するようにしてもよい。また、相手端末30が終話したことを示す表示内容を無線端末20に送信してもよく、さらには相手端末30への再発信を選択操作可能な画面データを送信してもよい。
【0052】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、端末管理部15が、無線端末20の動作状態を逐次取得して記憶部14の端末情報14Aに記録し、呼制御部16が、基地局21(22)から端末接続確認が通知された場合、端末情報14Aを参照し、無線端末20の直近動作状態が通信網NWを介して相手端末30と通話中であったことを示す場合、基地局21(22)を介して無線端末20に内線側パス再形成指示を送信し、基地局21(22)を介した無線端末20との内線側パスの再形成完了に応じて、通信網NWを介した相手端末30との網側パスと内線側パスとを接続することにより、無線端末20と相手端末30との通話を再開させるようにしたものである。
【0053】
これにより、電話制御装置10側で無線端末20の動作状態が保持されることになるため、音声通話中の無線端末20が動作停止後に動作を再開した場合、さらには、電源喪失により無線端末20の端末情報が消えてしまった場合でも、無線端末20の動作再開に応じた基地局21への接続に応じて、無線端末20と相手端末30との通話を自動的に再開させることが可能となる。
【0054】
[第2の実施の形態]
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる電話制御装置10について説明する。図4は、第2の実施の形態にかかる音声通話再開動作を示すシーケンス図である。
前述した図3では、無線端末20の動作停止前後における、元の基地局と新たな基地局とが一致している場合について説明したが、無線端末20の動作停止後、元の基地局とは異なる他の基地局の無線エリアへ利用者が移動する場合も考えられる。この場合には、無線端末20の動作再開に応じて、元の基地局とは異なる他の基地局と接続することになる。本実施の形態では、元の基地局と新たな基地局とが一致していない場合について説明する。
【0055】
図4に示すように、無線端末20が、電池の消耗や不具合により電源が喪失して動作を停止した後、電池パックなどの外部電池を無線端末20に接続したり、充電器で無線端末20を充電することにより、動作を再開した場合(ステップS200)、通常の電源起動時と同様に、基地局21,22からのビーコンに基づいて無線状況を確認し(ステップS201)、無線状況の最も良好な基地局、この例では元の基地局21とは異なる基地局22を接続対象として選択し、その選択結果を示す基地局選択を基地局22に対して、無線回線L3を介して送信する(ステップS202)。
【0056】
基地局22は、無線端末20から通知された基地局選択に応じて、自己に対する無線端末20の接続を確認したことを示す端末接続確認を電話制御装置10に、通信回線L2を介して通知する(ステップS203)。
電話制御装置10の呼制御部16は、基地局22から通知された端末接続確認に応じて、記憶部14に記録されている無線端末20に関する端末情報14Aを参照し、端末情報14Aに記録されている端末接続確認の通知前に直近する直近動作状態を確認する(ステップS210)。
【0057】
ここで、無線端末20の直近動作状態が相手端末30と通話中であったことを示すことから(ステップS211)、呼制御部16は、まず、直近動作状態における無線端末20の元の接続基地局と、端末接続確認で通知された無線端末20の新たな接続基地局とを比較する。この場合、元の基地局21と新たな基地局22とが不一致であるため(ステップS212)、呼制御部16は、元の基地局21に対して無線端末20が通話に使用していた基地局パスの切断を指示する(ステップS213)。これに応じて、基地局21は、無線端末20が通話に使用していた電話制御装置10との基地局パスを切断する(ステップS214)。
【0058】
この後、呼制御部16は、通信網NWを介した相手端末30との網側パスが残存しているか確認することにより、パス再形成指示の送信要否を判断する。この例では、相手端末30から音声通話が終話されておらず、網側パスが残存していることから(ステップS215)、次のような、ステップS220〜S227までの音声通話再形成処理を実行する。
【0059】
まず、呼制御部16は、端末接続確認の送信元である基地局22を介して無線端末20へパス再形成指示を送信する(ステップS220)。
基地局22は、電話制御装置10からのパス再形成指示を無線端末20へ無線回線L3を介して転送する(ステップS221)。
【0060】
この際、基地局22は、無線端末20が用いていた電話制御装置10との間の基地局パスが残存しているか確認する。この例では、該当する基地局パスが残存していないため、基地局22は、電話制御装置10との間で基地局パス形成処理を実行し(ステップS222)、通信回線L2を介した電話制御装置10と基地局22とを結ぶ音声通話用の新たな基地局パスを形成する(ステップS223)。
【0061】
また、無線端末20は、基地局22から転送されたパス再形成指示を無線回線L3を介して受信し、当該パス再形成指示に含まれるパスの種別などの情報に基づいて、基地局21との間で端末パス形成処理を実行し(ステップS224)、無線回線L3を介した電話制御装置10と基地局21とを結ぶ音声通話用の新たな端末パスを形成する(ステップS225)。
【0062】
この後、呼制御部16は、残存している相手端末30との網側パスに、前述のようにして再形成された端末パスおよび基地局パスからなる無線端末20の内線側パスを接続する(ステップS226)。これにより、元の基地局21とは異なる基地局22を介した、無線端末20と相手端末30との音声通話が再開される(ステップS227)。
【0063】
なお、図4のステップS210において、記憶部14の端末情報14Aに記録されている無線端末20の直近動作状態に関する時刻を確認し、直近動作状態から端末接続確認の通知までの経過時間が一定時間を超えている場合には、内線側パス再形成指示の送信不要と判断してもよい。これにより、動作停止から動作再開まである程度時間経過していて、元の音声通話が維持されていない可能性が高い場合には、パス再形成指示の送信が回避され、無駄なパス再形成処理の実行を抑止できる。
【0064】
また、図4のステップS220で送信するパス再形成指示については、図2のステップS113で説明した、電話制御装置10と無線端末20との間で新規に内線側パスを形成する際に、呼制御部16から送信されるパス形成指示を用いてもよい。これにより、基地局21,22や無線端末20の処理動作を変更することなく、既存処理動作で内線側パスを再形成することができる。したがって、基地局21,22や無線端末20を新規に交換したり、ソフトウェアを更新することなく、既存の電話システムに対して本発明を適用することが可能となる。
【0065】
また、端末情報14Aに無線端末20での元の表示内容が含まれている場合、図4のステップS220で送信するパス再形成指示に、例えば通話時間、通話相手の名前や電話番号、通話回線に関する回線ランプ表示などの元の表示内容を含めて送信してもよい。これにより、無線端末20における動作停止直前の表示内容を迅速に復元することができる。
【0066】
また、図4のステップS211において、無線端末20の直近動作状態が相手端末30と通話中ではなかった場合、これ以降におけるステップの実行を取りやめることになる。この際、前述したような、端末情報14Aに含まれている無線端末20での元の表示内容、例えばアイドル状態に表示していた時計・カレンダー表示などの表示内容を無線端末20に送信するようにしてもよい。
【0067】
また、図4のステップS215において、相手端末30で終話操作が行われたなどの理由により網側パスが切断されていて、網側パスが残存していない場合、パス再形成指示の送信不要と判断し、これ以降におけるステップの実行を取りやめることになる。この際、前述したような、端末情報14Aに含まれている無線端末20での元の表示内容、例えばアイドル状態に表示していた時計・カレンダー表示などの表示内容を無線端末20に送信するようにしてもよい。また、相手端末30が終話したことを示す表示内容を無線端末20に送信してもよく、さらには相手端末30への再発信を選択操作可能な画面データを送信してもよい。
【0068】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、呼制御部16が、直近動作状態が相手端末30と通話中であったことを示す場合、直近動作状態が示す通話時に無線端末20が接続していた元の基地局21と、端末接続確認を通知した新たな基地局22とを比較し、元の基地局21と新たな基地局22とが異なる場合には、元の基地局21に対して無線端末20が通話に使用していた内線側パスの切断を指示するようにしたものである。
これにより、使われなくなった元の基地局21と電話制御装置10との間の基地局パスを直ちに切断することができ、通信回線L2の通信帯域を効率よく使用することができる。
【0069】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【0070】
前述した各実施の形態では、無線端末20が、動作停止前に音声通話を行っていて、動作再開後に中断した音声通話を再形成する場合を例として説明したが、音声通話に限定されるものではなく、中断したデータ通信を再形成することができる。
例えば、無線端末20が通信網NWに接続されているサーバとデータ通信している状態で、動作停止した場合、前述と同様にして、基地局からの端末接続確認の通知に応じて、無線端末20との内線側パスを再形成し、網側パスと接続すればよい。
【0071】
この場合、内線側パスは、音声通話用の通話パスではなく、データ通信用の通信パスが再形成する必要がある。このような内線側パスの種別は、記憶部14の端末情報14Aに記録されている無線端末20直近動作状態に基づいて、内線側パス再形成指示で指示すればよい。これにより、中断したデータ通信を再形成することができる。
【符号の説明】
【0072】
1…電話システム、10…電話制御装置、11…網I/F部、12…内線I/F部、13…スイッチ部、14…記憶部、15…端末管理部、16…呼制御部、B…内部バス、20…無線端末、21,22…基地局、23…内線端末、30…相手端末、L1,L2…通信回線、NW…通信網。
図1
図2
図3
図4