【解決手段】表示装置用校正システム10は、表示装置20の表示特性を校正するためのシステムであって、画像を表示する表示装置20と、表示装置20に表示された画像を撮影する撮影装置30と、撮影装置30と通信路で接続され、撮影装置30で撮影された画像を、通信路を介して取得し、取得した画像に対して演算を行うことで、表示装置20の表示特性を補正するための補正データ12を生成し、生成した補正データ12を、通信路を介して、表示装置20又は表示装置20と接続された制御装置39に向けて送信するサーバ装置50とを備える。
前記サーバ装置は、前記撮影装置から取得した画像の少なくとも一つの代表点における輝度に対して、前記代表点における輝度の基準値を用いた演算を行うことで、前記補正データを生成する
請求項1又は2記載の表示装置用校正システム。
さらに、前記表示装置と接続され、前記通信路を介して前記サーバ装置から前記補正データを取得し、取得した前記補正データを用いて、入力された画像を補正して前記表示装置に出力する制御装置を備える
請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置用校正システム。
前記サーバ装置は、前記表示装置の表示特性を示す参照データを保持し、前記撮影装置から取得した画像に対して、前記参照データを用いた演算を行うことで、前記補正データを生成する
請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示装置用校正システム。
前記映像信号処理部は、さらに、前記映像信号生成部で生成された映像信号に対して、前記補正データ格納部に格納された補正データを用いた補正をすることなく、前記映像信号を出力し、
前記表示パネルは、さらに、前記映像信号処理部から前記補正がされないで出力された前記映像信号を表示する
請求項21記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、画像、データ、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0015】
図1は、実施の形態に係る表示装置用校正システム10の構成図である。本図に示されるように、表示装置用校正システム10は、表示装置20と、撮影装置30と、サーバ装置50とで構成される。
【0016】
表示装置20は、校正の対象となるディスプレイであり、LCD、有機EL(ElectroLiminescence)ディスプレイ等であり、モノクロ、グレースケール、カラー等の種類は問わない。
【0017】
撮影装置30は、表示装置20に表示された補正用画像を撮影してサーバ装置50に送信する装置であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末等のカメラを内蔵する携帯情報端末である。本実施の形態では、
図1に示されるように、撮影装置30は、無線LAN等の無線通信によって補正用画像11を表示装置20に送信することで表示装置20に補正用画像11を表示させ、表示された補正用画像11を撮影することで得られた撮影画像13を、インターネット又はLTE(Long Term Evolution)等の通信路を介してサーバ装置50に送信する。
【0018】
サーバ装置50は、撮影装置30から通信路を介して送信されてきた撮影画像13を取得し、取得した撮影画像13に対して演算を行うことで、表示装置20の表示特性を補正するためのLUTである補正データ12を生成し、生成した補正データ12を、通信路を介して、表示装置20又は表示装置20と接続された制御装置(図示せず)に向けて送信する装置であり、例えば、撮影装置30とインターネット等で接続されたコンピュータ装置である。これにより、表示装置20が有する補正データが更新される。
【0019】
図2は、
図1に示された表示装置20の構成を示すブロック図である。本図に示されるように、表示装置20は、通信部21、入力端子22、映像信号生成部23、映像信号処理部24、表示パネル28、及び、識別情報管理部29を備える。
【0020】
通信部21は、撮影装置30を含む外部機器と通信する通信アダプタであり、例えば、Bluetooth(登録商標)又は無線LAN用の通信アダプタである。
【0021】
入力端子22は、映像信号を受け取る端子であり、例えば、VGA端子、DVI端子、又は、HDMI(登録商標)端子等である。
【0022】
映像信号生成部23は、通信部21から入力された映像又は画像を映像信号に変換し、あるいは、入力端子22から入力された映像信号を中継することにより、映像信号を生成して映像信号処理部24に出力する回路であり、例えば、グラフィックスプロセッサ等である。
【0023】
映像信号処理部24は、撮影装置30から送信されてきたLUTである補正データ12等を、通信部21を介して取得して保持する記憶部25を有し、映像信号生成部23から入力された映像信号に対して、記憶部25に保持された補正データ12a及び12bを用いて補正を行い、補正後の映像信号を表示パネル28に出力する回路である。補正データ12a及び12bは、入力信号の各階調値に対して出力信号に変換するために乗じる係数の集まりであり、例えば、ガンマ曲線を示すデータである。補正データ12a及び12bは、表示パネルの画素位置(あるいは、画素ブロック)に依存しない代表的な入出力特性を示すデータであってもよいし、表示パネルの画素位置(あるいは、画素ブロック)に依存した空間的な輝度特性(つまり、「輝度ムラ」)を示すデータであってもよいし、それらの両方であってもよい。
【0024】
ここで、記憶部25は、例えば不揮発性メモリであり、異なる補正を示す少なくとも2つの補正データ12a及び12bを格納する記憶容量を有する。より詳しくは、記憶部25は、予め与えられた補正データ12a(つまり、工場出荷時の初期値)を格納している第1記憶部25aと、撮影装置30から送信されてきた補正データ12b(つまり、工場出荷以降の補正データ)を格納する第2記憶部25bとを有する。映像信号処理部24は、映像信号生成部23から入力された映像信号に対して、第1記憶部25aに保持された補正データ12aに第2記憶部25bに保持された補正データ12bを乗じることで得られた補正データを用いて補正を施し、補正後の映像信号を表示パネル28に出力する。
【0025】
なお、映像信号処理部24は、ユーザからの指示等に基づいて、映像信号生成部23から入力された映像信号に対して、記憶部25に格納された補正データ12a及び12bを用いた補正をすることなく、そのままの映像信号を表示パネル28に出力することもできる。
【0026】
表示パネル28は、映像信号処理部24から入力された映像信号を表示するディスプレイパネルであり、例えば、タイミング・コントローラ(Timing Controller:TCON)、データ信号線ドライバ、アドレス信号線ドライバ、及び、液晶パネル等で構成される。
【0027】
識別情報管理部29は、表示装置20を個体識別する識別情報29aを保持しており、提示の要求をうけたときに、保持している識別情報29aを通信部21又は表示パネル28を介して、外部に提示する処理部であり、例えば、識別情報29aを格納する不揮発性メモリを有するマイクロコンピュータ等によって実現される。具体的には、識別情報管理部29は、リモコン(図示せず)等によるユーザの指示によって識別情報29aの提示要求を受けると、その指示に応じて、(1)識別情報29aを、表示パネル28を用いた可視光通信で送信するように、映像信号生成部23に識別情報29aを通知して指示する、(2)識別情報29aを、表示パネル28にバーコードで表示するように、映像信号生成部23に識別情報29aを通知して指示する、又は、(3)識別情報29aを、通信部21を介して無線通信で送信するように、通信部21に識別情報29aを通知して指示する。
【0028】
図3は、
図1に示された撮影装置30の構成を示すブロック図である。本図に示されるように、撮影装置30は、撮像部31、入力部32、表示部33、通信部34、制御部35、及び、記憶部36を備える。撮影装置30は、上述したように、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の携帯情報端末である。よって、撮像部31、入力部32、表示部33、通信部34、制御部35、及び、記憶部36は、一体化され、一つの小型携帯用の筐体に収容されている。
【0029】
撮像部31は、カメラであり、本実施の形態では、表示装置20に表示された補正用画像を撮影するために用いられ、例えば、携帯情報端末に内蔵されたカラーのCCD又はCMOSイメージセンサ等である。なお、補正用画像とは、表示装置20を校正するための画像である。
【0030】
入力部32は、ユーザの指示を受け取る入力デバイスであり、例えば、タッチパネル、ボタン等である。
【0031】
表示部33は、ディスプレイであり、例えば、LCD等である。
【0032】
通信部34は、表示装置20及びサーバ装置50を含む外部機器と通信する通信アダプタであり、例えば、Bluetooth(登録商標)、有線/無線LAN、又は、インターネット用の通信アダプタであってもよいし、異なる種類の通信アダプタの集まりであってもよい。
【0033】
制御部35は、撮像部31、入力部32、表示部33、通信部34、及び、記憶部36を制御することで撮影装置30として各種機能を発揮する処理部である。具体的には、制御部35は、アプリ等のプログラムが格納されたメモリ、そのプログラムを実行するプロセッサ、各種入出力ポート等を有する制御回路であり、プロセッサがプログラムを実行することによって発揮される機能的な構成要素として、アップロード部35a、ダウンロード部35b、補正用画像指示部35c、及び、撮像制御部35dを有する。
【0034】
アップロード部35aは、撮像部31による撮影によって得られた撮影画像13を、通信部21を介してサーバ装置50に送信(つまり、アップロード)する。
【0035】
ダウンロード部35bは、サーバ装置50から通信部21を介して送られてきた補正データ12を表示装置20又は表示装置20と接続された制御装置(本実施の形態では、表示装置20)に転送(つまり、ダウンロード)する。
【0036】
補正用画像指示部35cは、記憶部36に記憶された補正用画像11を、通信部34を介して表示装置20に送信して表示装置20に表示させる。
【0037】
撮像制御部35dは、表示装置20に表示された画像を、複数の視点から撮影するように撮像部31を制御する。このとき、撮像制御部35dは、ユーザに、表示部33を介して、複数の視点からの撮影を支援するためのグラフィカルユーザインタフェースを提供する。
【0038】
なお、制御部35は、ユーザからの入力部32を介した指示に従って、(1)通信部34を介して表示装置20から受信することによって表示装置20の識別情報を取得する、(2)撮像部31を介して表示装置20からの可視光通信を受信することによって表示装置20の識別情報を取得する、又は、(3)表示装置20に表示されたバーコードを撮像部31で撮影した後にコード解析することによって表示装置20の識別情報を取得する。表示装置20の識別情報を取得した場合には、アップロード部35aは、サーバ装置50に撮影画像13を送信する際に、合わせて、表示装置20から取得した識別情報もサーバ装置50に送信する。
【0039】
記憶部36は、補正用画像11を記憶する補正用画像記憶部として機能するだけなく、各種画像及びデータを記憶するメモリであり、例えば、不揮発性メモリである。
【0040】
図4は、
図1に示されたサーバ装置50の構成を示すブロック図である。本図に示されるように、サーバ装置50は、通信部51、入力部52、制御部53、表示部54、及び、記憶部55を備える。サーバ装置50は、上述したように、例えば、撮影装置30とインターネット等で接続されたコンピュータ装置である。
【0041】
通信部51は、撮影装置30を含む外部機器と通信する通信アダプタであり、例えば、有線/無線LAN又はインターネット用の通信アダプタであってもよいし、異なる種類の通信アダプタの集まりであってもよい。
【0042】
入力部52は、ユーザの指示を受け取る入力デバイスであり、例えば、キーボード、マウス等である。
【0043】
表示部54は、ディスプレイであり、例えば、LCD等である。
【0044】
制御部53は、通信部51、入力部52、表示部54、及び、記憶部55を制御することで、表示装置20を校正するサーバとしての機能を発揮する処理部である。具体的には、制御部53は、プログラムが格納されたメモリ、そのプログラムを実行するプロセッサ、各種入出力ポート等を有する制御回路であり、プロセッサがプログラムを実行することによって発揮される機能的な構成要素として、演算部53a、及び、補正データ伝達部53bを有する。
【0045】
演算部53aは、撮影装置30での撮影によって得られた撮影画像13を、通信部51を介して取得し、取得した撮影画像13に対して演算を行うことで、表示装置20の表示特性を補正するためのLUTである補正データ12を生成する。このとき、演算部53aは、撮影装置30から識別情報29aを取得した場合には、取得した識別情報29aに対応づけて補正データ12を生成する。
【0046】
具体的には、演算部53aは、輝度校正として、撮影装置30から取得した撮影画像13の少なくとも一つの代表点における輝度に対して、代表点における輝度の基準値を用いた演算を行うことで、補正データ12を生成する。このとき、演算部53aは、撮影装置30から取得した撮影画像13に対して、記憶部55に保存された複数の参照データ14から、撮影装置30から取得した識別情報29aに対応した一部の参照データ14を選択し、選択した一部の参照データ14を用いた演算を行うことで、補正データ12を生成する。このときに用いられる参照データ14は、例えば、撮影装置30が表示装置20に送信して表示装置20に表示させた補正用画像11と同じ画像である。よって、演算部53aは、撮影装置30から取得した撮影画像13の少なくとも一つの代表点における輝度に対して、参照データ14である補正用画像の代表点に対応する輝度を基準値として用いた演算を行うことで、補正データを生成する。
【0047】
また、演算部53aは、輝度ムラの校正として、撮影装置30から取得した撮影画像13に対して、空間的な輝度ムラを算出する演算を行うことで、補正データ12を生成する。このとき、演算部53aは、撮影装置30から取得した画像に対して、記憶部55に保存された参照データ14を用いた演算を行うことで、補正データ12を生成する。このときに用いられる参照データ14は、例えば、表示装置20の輝度の空間分布を示す初期値である。よって、演算部53aは、撮影装置30から取得した画像に対して、参照データ14が示す初期値を基準とする空間的な輝度ムラを算出することで、補正データ12を生成する。
【0048】
また、演算部53aは、撮影装置30において複数の視点から撮影された複数の撮影画像13を撮影装置30から取得した場合には、取得した複数の撮影画像13を合成し、合成によって得られた画像を用いて、補正データ12を生成する。
【0049】
補正データ伝達部53bは、演算部53aが生成した補正データ12を、通信部51を介して、表示装置20又は表示装置20と接続された制御装置(本実施の形態では、表示装置20)に向けて送信(つまり、ダウンロード)する。
【0050】
なお、制御部53は、自動で、あるいは、ユーザからの入力部32もしくは入力部52を介した指示に従って、撮影装置30から取得した撮影画像13を、取得した日時を示す時間情報とともに、表示装置20に対応づけて、記憶部55に蓄積することを繰り返す。この場合には、制御部53は、蓄積した撮影画像13及び時間情報に基づいて、表示装置20の表示特性の経時変化を表示部54に表示したり、蓄積した撮影画像13及び時間情報に基づいて、表示装置20の表示特性の変化を予測したりする。
【0051】
記憶部55は、参照データ14を含む各種データを記憶するメモリであり、例えば、不揮発性メモリである。なお、参照データ14は、例えば、表示装置20の製造会社が提供するデータベースからサーバ装置50が取得して記憶部55に格納されたデータである。また、記憶部55は、必ずしもサーバ装置50のローカルの記憶装置である必要はなく、インターネット等の通信路を介してサーバ装置50からアクセスされるリモートの記憶装置であってもよい。
【0052】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る表示装置用校正システム10の動作について説明する。
【0053】
図5は、
図1に示された表示装置用校正システム10の基本動作(つまり、表示装置20の校正方法)を示すシーケンス図である。ここでは、表示装置20、撮影装置30及びサーバ装置50の動作手順及び通信のやりとりが示されている。
【0054】
まず、撮影装置30において、入力部32を介したユーザからの指示に従って、制御部35の補正用画像指示部35cは、記憶部36から補正用画像11を読み出し、読み出した補正用画像11を、通信部34を介して表示装置20に送信する(S10)。なお、記憶部36には、様々な目的又は精度に対応した複数の補正用画像11を格納しておき、補正用画像指示部35cは、入力部32からのユーザの指示に従って、複数の補正用画像11の中から選択された補正用画像11を記憶部36から読み出して表示装置20に送信してもよい。
【0055】
次に、表示装置20において、通信部21を介して受信された補正用画像11は、映像信号生成部23によって映像信号に変換され、変換後の映像信号は、映像信号処理部24に送られる。そして、映像信号処理部24において、入力された映像信号は、記憶部25に格納された補正データ12aで補正され、表示パネル28に送られて表示される(表示ステップS11)。なお、補正においては、典型的には、補正データ12a(つまり、工場出荷時の初期値)を用いて補正されるが、これに代えて、第1記憶部25aに保持された補正データ12aに第2記憶部25bに保持された補正データ12b(つまり、工場出荷後の補正データ)を乗じることで得られた補正データを用いてもよい。また、補正をすることなく、つまり、映像信号生成部23から入力された映像信号をそのまま、表示パネル28に出力してもよい。
【0056】
次に、撮影装置30において、撮像部31は、表示装置20に表示された補正用画像11を撮影する(撮影ステップS12)。なお、輝度校正を行う場合は、輝度が異なる複数の補正用画像11を撮影装置30から表示装置20に送信して表示装置20で表示し、表示装置20に表示された補正用画像11を撮影装置30が撮像して保持する(記憶部36に一時保存する)という処理(S10〜S12)を、複数の補正用画像11について繰り返す。
【0057】
続いて、撮影装置30のアップロード部35aは、撮像部31による撮影によって得られた撮影画像13を、通信部21を介してサーバ装置50に送信する(S13)。このとき、撮影装置30が無線通信、可視光通信、又は、
図6に示されるように表示装置20に表示されたバーコードの読み取りにより、表示装置20の識別情報を取得している場合には、アップロード部35aは、サーバ装置50に撮影画像13を送信する際に、合わせて、表示装置20から取得した識別情報もサーバ装置50に送信する。
【0058】
撮影装置30から送信されてきた撮影画像13を取得したサーバ装置50では、演算部53aは、取得した撮影画像13に対して演算を行うことで、表示装置20の表示特性を補正するためのLUTである補正データ12を生成する(S14)。このとき、演算部53aは、撮影装置30から識別情報29aを取得している場合には、取得した識別情報29aに対応づけて補正データ12を生成する。
【0059】
具体的には、演算部53aは、輝度校正として、撮影装置30から取得した撮影画像13の少なくとも一つの代表点における輝度に対して、代表点における輝度の基準値を用いた演算を行うことで、補正データ12を生成する。より詳しくは、演算部53aは、撮影装置30から取得した撮影画像13の少なくとも一つの代表点における輝度に対して、記憶部55に保存されている参照データ14である補正用画像の代表点に対応する輝度を基準値として用いた演算(例えば、除算)を行うことで、補正データを生成する。
【0060】
なお、撮影装置30から輝度の異なる複数の撮影画像13を取得している場合には、演算部53aは、それら複数の異なる輝度のそれぞれについて、補正係数を算出する。つまり、演算部53aは、撮影装置30から取得した一つの撮影画像13の代表点の輝度で基準値の輝度を除することで一つの輝度(つまり、階調値)に対する補正係数を算出する。そのような処理を、撮影装置30から取得した複数の撮影画像13(つまり、複数の階調値)について繰り返す。そして、演算部53aは、得られた複数の補正係数を補間することで、全ての輝度(つまり、階調値)のそれぞれに対する補正係数を算出し、算出した補正係数の集まりを、輝度を補正するための補正データ12として生成する。
【0061】
また、演算部53aは、輝度ムラの校正として、撮影装置30から取得した撮影画像13に対して、空間的な輝度ムラを算出する演算を行うことで、補正データ12を生成する。例えば、撮影画像13の各画素値(あるいは、画素ブロック)についての平均値を算出し、算出した平均値を各画素値(あるいは、画素ブロックの平均画素値)で除して得られる補正係数の集まりを、輝度ムラを補正するための補正データ12として算出する。また、参照データ14を用いた輝度ムラの校正では、演算部53aは、撮影装置30から取得した画像に対して、記憶部55に保存されている参照データ14が示す初期値を基準とする空間的な輝度ムラを算出することで、補正データ12を生成する。なお、輝度校正、輝度ムラの校正、及び、それら両方のいずれを実行するかは、例えば、入力部32を介した事前のユーザの設定による。
【0062】
続いて、サーバ装置50の補正データ伝達部53bは、演算部53aが生成した補正データ12を、通信部51を介して、表示装置20又は表示装置20と接続された制御装置(本実施の形態では、表示装置20)に向けて送信する(補正データ送信ステップS15)。
【0063】
サーバ装置50から送信されてきた補正データ12を受信した撮影装置30では、ダウンロード部35bは、サーバ装置50から受信した補正データ12を、通信部34を介して、表示装置20又は表示装置20と接続された制御装置(本実施の形態では、表示装置20)に転送する(S16)。
【0064】
表示装置20では、撮影装置30から送られてきた補正データ12は、通信部21で受信され、映像信号処理部24によって、第2記憶部25bに上書き保存される(S17)。これによって、第2記憶部25bの補正データ12bは更新される。
【0065】
なお、ステップS11において、映像信号生成部23から入力された映像信号を映像信号処理部24において補正することなくそのまま表示パネル28に出力することによって補正用画像11を表示した場合には、表示装置20では、撮影装置30から送られてきた補正データ12が、映像信号処理部24によって第1記憶部25aに上書き保存されてもよい。
【0066】
このような校正が完了した後は、表示装置20では、映像信号処理部24は、映像信号生成部23から入力された映像信号に対して、第1記憶部25aに保持された補正データ12aに第2記憶部25bに保持された補正データ12bを乗じることで得られた補正データを用いて補正を施し、補正後の映像信号を表示パネル28に出力する。このようにして、表示装置20では、撮影装置30による輝度校正、輝度ムラの校正、あるいは、それらの両方が反映された表示が行われる。
【0067】
以上のように、本実施の形態に係る表示装置用校正システム10は、表示装置20の表示特性を校正するためのシステムであって、画像を表示する表示装置20と、表示装置20に表示された画像を撮影する撮影装置30と、撮影装置30と通信路で接続され、撮影装置30で撮影された画像を、通信路を介して取得し、取得した画像に対して演算を行うことで、表示装置20の表示特性を補正するための補正データ12を生成し、生成した補正データ12を、通信路を介して、表示装置20又は表示装置20と接続された制御装置に向けて送信するサーバ装置50とを備える。
【0068】
これにより、表示装置20が置かれた現場では、表示装置20に表示された画像を撮影装置30によって撮影してサーバ装置50に送信するだけで済むので、サーバ装置50と連携した簡易な操作で表示装置20の校正を行うことができる。また、サーバ装置50は、複数の表示装置20に対して共通した校正を行うことができるので、校正を行う現場ごとに複数の校正用専用機材を設置する場合に比べ、表示装置20ごとに要する校正用機材のコストは低くなる。よって、従来よりも低コストで、かつ、少ない工数で表示装置20の表示特性を校正することができる表示装置用校正システム10が実現される。さらに、サーバ装置50上のビッグデータ及び高い演算性能を活用した校正により、高精度で、かつ、高い付加価値をもつ校正サービスを実現することも可能になる。
【0069】
ここで、撮影装置30は、撮像部31を有する携帯情報端末であってもよい。
【0070】
これにより、広く普及したスマートフォン等の携帯情報端末によって撮影装置30が実現されるので、表示装置20が置かれた現場では、特別なハードウェアを必要とすることなく、アプリをインストールするだけで表示装置20を校正できる。
【0071】
また、サーバ装置50は、撮影装置30から取得した画像の少なくとも一つの代表点における輝度に対して、代表点における輝度の基準値を用いた演算を行うことで、補正データ12を生成する。
【0072】
これにより、表示装置20が置かれた現場では撮影装置30を操作するだけで、表示装置20に対して輝度校正が行われる。
【0073】
また、サーバ装置50は、撮影装置30から取得した画像に対して、空間的な輝度ムラを算出する演算を行うことで、補正データ12を生成する。
【0074】
これにより、表示装置20が置かれた現場では撮影装置30を操作するだけで、表示装置20に対して輝度ムラに対する校正が行われる。
【0075】
また、撮影装置30は、補正用画像11を表示装置20に送信し、表示装置20は、撮影装置30から送信されてきた補正用画像11を取得して表示し、撮影装置30は、表示装置20に表示された補正用画像11を撮影する。
【0076】
これにより、撮影装置30が保持する補正用画像11を表示装置20に表示させたうえで表示装置20を校正できるので、校正に用いる補正用画像として、撮影装置30側で任意に選択することが可能になる。
【0077】
また、表示装置20は、通信路を介してサーバ装置50から補正データ12を取得し、取得した補正データ12を用いて、入力された映像信号を補正して表示する。
【0078】
これにより、校正によって得られた補正データ12によって表示装置20が保持する補正データ12が更新され、表示装置20により、更新後の補正データ12が活用される。
【0079】
また、サーバ装置50は、表示装置20の表示特性を示す参照データ14を保持し、撮影装置30から取得した画像に対して、参照データ14を用いた演算を行うことで、補正データ12を生成する。
【0080】
これにより、撮影装置30によって得られた画像だけでなく、表示装置20の製造会社が保持する参照データ等の基準となる情報を用いた校正が可能になるので、高い精度での校正が実現される。
【0081】
また、表示装置20は、表示装置20を識別する識別情報29aを提示し、撮影装置30は、表示装置20が提示した識別情報29aを取得し、サーバ装置50は、撮影装置30から識別情報29aを取得し、取得した識別情報29aに対応づけて補正データ12を生成する。
【0082】
これにより、サーバ装置50において、個々の表示装置20に対応させて補正データ12を保持して管理できるので、個々の表示装置20に対する長期にわたる校正サービス等の高付加価値サービスが可能になる。
【0083】
また、表示装置20は、識別情報29aを、可視光通信で送信する、バーコードで表示する、又は、無線通信で送信することにより、識別情報29aを提示する。
【0084】
これにより、表示装置20の識別情報29aは、撮影又は通信によって読み取られるので、識別情報29aを人手で読み取って入力する手間がなくなる。
【0085】
また、サーバ装置50は、複数の参照データ14を保持し、撮影装置30から取得した識別情報29aに基づいて、複数の参照データ14のうちから一部の参照データ14を選択し、撮影装置30から取得した画像に対して、選択した一部の参照データ14を用いた演算を行うことで補正データ12を生成する。
【0086】
これにより、多数の表示装置に関する参照データ14から対象の表示装置に関連する参照データ14を抽出し利用することで、精度よく補正データを作成できる。
【0087】
また、表示装置用校正システム10を構成する表示装置20は、撮影装置30と通信する通信部21と、撮影装置30から送信されてきた画像を、通信部21を介して取得し、取得した画像を示す映像信号を生成する映像信号生成部23と、撮影装置30から送信されてきた補正データ12を、通信部21を介して取得して格納する補正データ格納部としての記憶部25を有し、補正データ格納部に格納された補正データ12を用いて、映像信号生成部23で生成された映像信号を補正する映像信号処理部24と、映像信号処理部24で補正された映像信号を表示する表示パネル28とを備える。
【0088】
これにより、スマートフォン等の携帯情報端末である撮影装置30を介した低コストで、かつ、少ない工数で表示特性が校正される表示装置20が実現される。
【0089】
ここで、補正データ格納部としての記憶部25は、異なる補正を示す少なくとも2つの補正データ12a及び12bを格納する記憶容量を有する。
【0090】
これにより、2つの補正データ12a及び12bの一方をバックアップ用途等に用いることで、校正が終了した後に、何らかの理由で校正前の状態に戻したい場合であっても、そのような復元が可能となり、高機能な表示装置20が実現される。
【0091】
また、補正データ格納部としての記憶部25は、予め与えられた補正データ12aを格納している第1記憶部25aと、撮影装置30から送信されてきた補正データ12bを格納する第2記憶部25bとを有する。
【0092】
これにより、第1記憶部25aを初期値の保存用とし、第2記憶部25bを更新用として用いることで、いつでも表示特性を初期状態に復元することが可能となり、利便性に優れた表示装置20が実現される。一例として、第1記憶部25aを、読み出し専用且つ書き換え不能なリードオンリーメモリ(ROM)で構成し、第2記憶部25bを、書き換え可能なランダムアクセスメモリ(RAM)で構成してもよい。
【0093】
また、映像信号処理部24は、さらに、映像信号生成部23で生成された映像信号に対して、補正データ格納部に格納された補正データ12a及び12bを用いた補正をすることなく、映像信号を出力し、表示パネル28は、さらに、映像信号処理部24から補正がされないで出力された映像信号を表示する。
【0094】
これにより、補正データを反映しない映像信号の表示が可能になるので、表示装置20が有する本来の表示特性で画像を表示させたうえで表示装置20を校正できる。よって、直前の補正データの影響を受けることなく、表示装置20が有する本来の表示特性を直接、補正できる補正データ12が生成される。
【0095】
また、本実施の形態に係る撮影装置30は、表示装置20に表示された画像を撮影する撮像部31と、表示装置20又は表示装置20と接続された制御装置、及び、サーバ装置50と通信する通信部34と、撮像部31及び通信部34を制御する制御部35とを備え、制御部35は、撮像部31によって撮影された画像を、通信部21を介してサーバ装置50に送信するアップロード部35aと、サーバ装置50から通信部21を介して送られてきた補正データ12を表示装置20又は制御装置に転送するダウンロード部35bとを有する。
【0096】
これにより、従来よりも低コストで、かつ、少ない工数で表示装置20の表示特性を校正することができる表示装置用校正システム10に用いられる撮影装置30が実現される。
【0097】
また、本実施の形態に係るサーバ装置50は、撮影装置30と通信する通信部51と、通信部51を制御する制御部53とを備え、制御部53は、通信部51を介して撮影装置30から取得した画像に対して演算を行うことで、表示装置20の表示特性を補正するための補正データ12を生成する演算部53aと、演算部53aで生成された補正データ12を、表示装置20又は表示装置20と接続された制御装置に向けて送信する補正データ伝達部53bとを有する。
【0098】
これにより、従来よりも低コストで、かつ、少ない工数で表示装置20の表示特性を校正することができる表示装置用校正システム10に用いられるサーバ装置50が実現される。さらに、サーバ装置50上のビッグデータ及び高い演算性能を活用した校正により、高精度で、かつ、高い付加価値をもつ校正サービスを実現することも可能になる。
【0099】
また、本実施の形態に係る表示装置20の校正方法は、表示装置20が画像を表示する表示ステップと、表示装置20に表示された画像を撮影装置30が撮影する撮影ステップS12と、撮影装置30と通信路で接続されたサーバ装置50が、撮影装置30で撮影された画像を、通信路を介して取得し、取得した画像に対して演算を行うことで、表示装置20の表示特性を補正するための補正データ12を生成し、生成した補正データ12を、通信路を介して、表示装置20又は表示装置20と接続された制御装置に向けて送信する補正データ送信ステップS15とを含む。
【0100】
これにより、表示装置20が置かれた現場では、表示装置20に表示された画像を撮影装置30によって撮影してサーバ装置50に送信するだけで済むので、サーバ装置50と連携した簡易な操作で表示装置20の校正を行うことができる。また、サーバ装置50は、複数の表示装置20に対して共通した校正を行うことができるので、校正を行う現場ごとに校正用専用機材を設置する場合に比べ、表示装置20ごとに要する校正用機材のコストは低くなる。よって、従来よりも低コストで、かつ、少ない工数で表示装置20の表示特性を校正することができる。さらに、サーバ装置50上のビッグデータ及び高い演算性能を活用した校正により、高精度で、かつ、高い付加価値をもつ校正サービスを実現することも可能になる。
【0101】
次に、本実施の形態に係る表示装置用校正システム10による特徴的な校正の詳細について説明する。
【0102】
まず、表示装置用校正システム10による特徴的な校正の一つ目として、複数の視点から撮影された画像を用いた輝度ムラの校正について、説明する。
【0103】
図7A及び
図7Bは、複数の視点から撮影された画像を用いた輝度ムラの校正の手順を示すフローチャートである。具体的には、
図7Aは、
図1に示された表示装置20に表示された補正用画像11を撮影装置30が複数の視点から撮影する際の手順を示すフローチャートである。
図7Bは、
図1に示された撮影装置30によって得られた複数の撮影画像を用いてサーバ装置50が輝度ムラの校正を行う際の手順を示すフローチャートである。
図8Aは、
図1に示された表示装置20に表示された画像を複数の視点から見たときの表示例を示す図である。
図8Bは、
図1に示された撮影装置30の撮像制御部35dによるグラフィカルユーザインタフェースの例を示す図である。
【0104】
まず、表示装置20には、全ての画素が同じ画素値をもつような補正用画像11を表示させておく(
図7AのS20)。
【0105】
続いて、撮影装置30により、第1の視点からの撮影を行う(
図7AのS21、
図8Aの(a))。具体的には、撮像制御部35dは、
図8Bに示されるように、ユーザに対して、複数の視点のうちの第1の視点(例えば、表示装置20の前方左斜め)から、表示装置20に表示された補正用画像11を撮影することを促す画像を表示部33に表示する。より詳しくは、撮像制御部35dは、撮影装置30の表示部33に、第1の視点から表示装置20を見た場合の表示パネル28の枠を示すガイドと、撮像部31が撮影している対象物の動画と、誘導用のメッセージとを重畳させて表示する。ここで、誘導用のメッセージとは、例えば、「表示装置の画面の枠がガイドに一致するような方向から撮影してください」、「もう少し右から撮影してください」等である。これに対して、ユーザは、表示部33において表示装置20の画面の枠とガイドとを一致させた状態で、撮影を行う。その後、撮像制御部35dは、撮影で得られた撮影画像13を記憶部36に保存する。
【0106】
続いて、撮影装置30により、第2の視点からの撮影を行う(
図7AのS22、
図8Aの(b))。具体的には、撮像制御部35dは、複数の視点のうちの第2の視点(例えば、表示装置20の前方右斜め)から、表示装置20に表示された補正用画像11を撮影することを促す画像を表示部33に表示する。この場合には、撮像制御部35dは、撮影装置30の表示部33に表示するガイドとして、第2の視点から表示装置20を見た場合の表示パネル28の枠を示すガイドを表示する。これに対して、ユーザは、表示部33において表示装置20の画面の枠とガイドとを一致させた状態で、撮影を行う。その後、撮像制御部35dは、撮影で得られた撮影画像13を記憶部36に保存する。
【0107】
なお、このような異なる視点からの撮影は、2種類の方向からの撮影に限られず、3種類以上の方向から撮影されてもよい。
【0108】
このように、撮像制御部35dによるグラフィカルユーザインタフェースを用いた誘導の下で複数の視点からの撮影によって得られた複数の撮影画像13が記憶部36に保存されると、撮影装置30のアップロード部35aは、記憶部36から複数の撮影画像13を読み出し、通信部21を介してサーバ装置50に送信する(
図7AのS23)。
【0109】
サーバ装置50では、通信部51は、撮影装置30から送られてきた複数の撮影画像13を受信して記憶部55に保存する(
図7BのS25)。そして、サーバ装置50の演算部53aは、記憶部55から複数の撮影画像13を読み出し、読み出した複数の撮影画像13を用いて補正データを生成する(
図7BのS26〜S27、
図8Aの(c))。具体的には、演算部53aは、複数の撮影画像13に対して、同じ画素位置の画素値を加算(又は、平均化)することで、複数の撮影画像13を合成し(
図7BのS26)、合成によって得られた画像に対して、上述した演算によって輝度ムラを補正するための補正データ12を生成する(
図7BのS27、
図8Aの(c))。
【0110】
このように、複数の画像を用いた輝度ムラの校正では、撮影装置30は、表示装置20に表示された画像を、複数の視点から撮影し、サーバ装置50は、撮影装置30で複数の視点から撮影された複数の画像を取得し、取得した複数の画像を合成し、合成によって得られた画像を用いて、補正データ12を生成する。
【0111】
これにより、複数の視点から撮影された複数の画像を合成して用いることで補正データ12が生成されるので、モアレ、ビート、外光等のノイズによる影響が抑制され、高い精度で表示装置20の輝度ムラを校正することができる。
【0112】
次に、表示装置用校正システム10による特徴的な校正の二つ目として、表示装置20の輝度ムラを恒久的な成分と経時的な成分とに分けて校正する方法について、説明する。
【0113】
図9は、
図1に示されたサーバ装置50によって輝度ムラを恒久的な成分と経時的な成分とに分けて校正する方法の処理の流れを説明する図である。
【0114】
まず、表示装置20の初期状態(例えば、工場出荷時等)における輝度の空間分布(つまり、輝度ムラ)を示す参照データ14をサーバ装置50の記憶部55に保存しておく(S30)。例えば、表示装置20の工場出荷前に、高精度な校正装置を用いて輝度の空間分布を測定し、参照データ14として記憶部55に保存しておく。あるいは例えば、表示装置20を購入したユーザが、表示装置20の使用開始時に、輝度ムラの校正用の補正用画像11を表示装置20に表示させ、表示された補正用画像11を撮影装置30の撮像部31で撮影し、サーバ装置50にアップロードしておくことで、初期値としての参照データ14を記憶部55に保存しておく。この参照データ14は、表示装置20の輝度ムラに関する恒久的な成分(いわゆる、DC成分)を示す情報となる。
【0115】
表示装置20の輝度ムラを校正する時期が到来すると、参照データ14を取得したときに用いたものと同じ補正用画像11を表示装置20に表示させ、表示された補正用画像11を撮影装置30の撮像部31で撮影し、得られた撮影画像13をアップロード部35aによってサーバ装置50に送信する(S31)。
【0116】
そして、撮影画像13を受信したサーバ装置50では、演算部53aは、いま受信した撮影画像13に対して、記憶部55に記憶された参照データ14を基準とする空間的な輝度ムラを算出することで(S32)、補正データ12を生成し、生成した時期と対応づけて記憶部55に保存する。具体的には、画素(あるいは、画素ブロック)単位で、同じ位置における、撮影画像13の画素値を参照データ14の画素値で除して得られる補正係数(あるいは、この逆数)の集まりを、補正データ12として生成し、生成した時期と対応づけて記憶部55に保存する。この補正データは、表示装置20の輝度ムラに関する経時的な成分(いわゆる、AC成分)を示す情報となる。
【0117】
このような輝度ムラの校正(S31、S32)については、例えば、一定期間おきに、繰り返す(S33)。これにより、表示装置20の経時的な表示特性の変化(ここでは、輝度低下)を、表示部54に表示させる等することで、確認することができる。
【0118】
輝度ムラの校正によって得られた補正データは、サーバ装置50の補正データ伝達部53bによって、通信部51を介して表示装置20に転送され、表示装置20の記憶部25に書き込まれる(S34)。
【0119】
このように、参照データ14を用いた輝度ムラの校正では、参照データ14は、表示装置20の輝度の空間分布を示す初期値であり、サーバ装置50は、撮影装置30から取得した画像に対して、初期値を基準とする空間的な輝度ムラを算出することで、補正データ12を生成する。
【0120】
これにより、輝度ムラを恒久的な成分と経時的な成分とに分離し、恒久的な成分については表示装置20の工場出荷時データで高精度に校正しておき、経時的な成分についてはスマートフォン等の撮影装置30を介して簡易に校正することが可能となり、トータルとして、細かい輝度ムラを補正できる高精度な校正が実現される。
【0121】
次に、表示装置用校正システム10において、撮影装置30から送られてきた撮影画像13をサーバ装置50に蓄積することによる付加的なサービスについて、説明する。
【0122】
まず、付加的なサービスの一つ目として、ユーザが表示装置20を交換した場合に、表示装置20の表示特性(例えば、輝度)が急激に変化し得るが、その変化を緩和するサービスについて説明する。
【0123】
図10は、
図1に示された表示装置用校正システム10による付加的なサービスであって、表示装置20を交換した場合に表示装置20の表示特性が急激に変化することを緩和するサービスを説明する図である。
【0124】
表示装置用校正システム10では、サーバ装置50は、撮影装置30から取得した撮影画像13及び識別情報29aを、取得した日時を示す時間情報及び校正によって得られた補正データとともに、識別情報29aで識別される表示装置20に対応づけて記憶部55に蓄積することを繰り返す。サーバ装置50は、表示装置20ごとに、蓄積した撮影画像13及び時間情報に基づいて、表示装置20の表示特性の経時変化を管理(例えば、表示部54に表示)することができる。
【0125】
このとき、サーバ装置50は、撮影画像13を送信してくる撮影装置30のユーザを識別し、ユーザごとに、ユーザが使用している表示装置20の表示特性を蓄積して管理することができる。
図10の(a)は、一人のユーザが使用している表示装置20が交換された場合の表示特性(ここでは、輝度)の経時変化の一例を示す。表示装置20が交換された時点で、大きく表示特性が変化していることが分かる。
【0126】
このような表示装置20の交換があった場合に、サーバ装置50は、表示装置20の表示特性が急激に変化することを緩和するサービスを提供することができる。具体的には、サーバ装置50は、交換前の表示装置20の表示特性を記憶部55に蓄積しているので、交換後の表示装置20の表示特性が、交換前の表示装置20の表示特性から徐々に変化するように、表示特性の校正を行う。より詳しくは、サーバ装置50の演算部53aは、同一のユーザが所有する表示装置20について、撮影画像13がアップロードされる度に表示特性を校正して補正データ12を生成するが、その際に、蓄積している過去の表示特性について、直近ほど大きな重みづけを与え、過去の表示特性の影響を受けるような計算方式で、新たな補正データ12を生成する。そして、サーバ装置50の補正データ伝達部53bは、生成された補正データ12を表示装置20に向けて送信する。これによって、表示装置20の補正データが更新される。
図10の(b)は、このようなサーバ装置50の付加的なサービスによる校正を受けた場合の、一人のユーザが使用している表示装置20が交換された場合の表示特性(ここでは、輝度)の経時変化の一例を示す。表示装置20が交換された後、徐々に表示特性が変化していることが分かる。これにより、ユーザが表示装置20を交換した場合に、大きく表示特性が変わるときであっても、徐々に見た目を変えることで、目を慣らすことができる。
【0127】
このように、サーバ装置50は、撮影装置30から取得した画像を、取得した日時を示す時間情報とともに、画像を表示した表示装置20に対応づけて蓄積することを繰り返す。
【0128】
これにより、サーバ装置50において表示装置20の表示特性を示す画像が日時と対応づけて蓄積されるので、蓄積された画像を用いた高付加価値サービスが可能になる。
【0129】
また、サーバ装置50は、蓄積した画像及び時間情報に基づいて、表示装置20の表示特性の経時変化を表示する。
【0130】
これにより、サーバ装置50において表示装置20の表示特性の経時変化が表示されるので、表示装置20の性能劣化を一目で把握できる。
【0131】
次に、付加的なサービスの二つ目として、ユーザが表示装置20を交換する場合に、交換前の表示装置20の表示特性と近い表示装置と交換できることを支援するサービスについて説明する。
【0132】
サーバ装置50は、ユーザごと、及び、表示装置20ごとに、撮影装置30からアップロードされてきた撮影画像13、アップロードの時間情報及び校正によって得られた補正データ等を記憶部55に蓄積することで、表示装置20の表示特性の経時変化を管理している。よって、ユーザの通信装置からアクセスを受けた場合に、サーバ装置50は、ユーザが現在所有している表示装置20の表示特性に近い別の表示装置の製品名、製造ロット、個体等を提示することができる。具体的には、サーバ装置50は、各種製造会社の表示装置の製品名、製造ロット、個体ごとの表示特性を示すデータベースを記憶部55に保持しており、そのデータベースを参照することにより、あるいは、そのようなデータベースを保持する別のサーバ装置を、通信部51を介して参照することにより、ユーザが現在所有している表示装置20の表示特性に近い別の表示装置の製品名、製造ロット、個体等を検索し、検索の結果をユーザに提示する。これにより、ユーザは、表示装置20を交換するときに、交換前の表示装置20の表示特性と近い表示装置を知ることができ、そのような新しい表示装置を購入して交換することができる。
【0133】
次に、付加的なサービスの三つ目として、ユーザがある時、ある場所で見た表示装置20の見栄えを、他の時、他の場所で再現することを支援するサービスについて説明する。
【0134】
図11は、
図1に示された表示装置用校正システム10による付加的なサービスであって、ユーザがある時、ある場所で見た表示装置20の見栄えを、他の時、他の場所で再現することを支援するサービスを説明する図である。ここには、一つの表示装置20の表示特性(ここでは、輝度)について、複数の時点(A年、B年、今)を含む経時変化の一例が示されている。
【0135】
サーバ装置50は、ユーザごと、及び、表示装置20ごとに、撮影装置30からアップロードされてきた撮影画像13、アップロードの時間情報及び校正によって得られた補正データ12等を記憶部55に蓄積することで、表示装置20の表示特性の経時変化を管理している。よって、ユーザから過去のある時点が指定されると、サーバ装置50は、その時点での表示特性を示す補正データ12を記憶部55から読み出し、補正データ伝達部53bによって表示装置20に向けて送信する。これによって、表示装置20の補正データが過去のある時点でのものに更新され、表示装置20の表示特性が過去のある時点のものに再現される。
【0136】
これにより、ユーザがある時、ある場所で見た表示装置20の見栄えを、他の時、他の場所で再現すること(つまり、あたかも映像を過去の状態に巻き戻すようなこと)ができ、例えば、医療向けモニタの診断記録の保存及びトレーサビリティに役立てることができる。
【0137】
次に、付加的なサービスの四つ目として、表示装置20の表示特性の変化を予測するサービスについて説明する。
【0138】
図12は、
図1に示された表示装置用校正システム10による付加的なサービスであって、表示装置20の表示特性の変化を予測するサービスを説明する図である。
【0139】
サーバ装置50は、多数のユーザ(つまり、多数の表示装置20)について、撮影装置30からアップロードされてきた撮影画像13、アップロードの時間情報及び校正によって得られた補正データ12等を記憶部55に蓄積することで、多数の表示装置20について、表示特性の経時変化を管理している。
図12の(a)は、多数の表示装置20の表示特性(ここでは、輝度)の経時変化を示す図である。
図12の(a)において、表示特性を示す曲線において急激に下降している箇所は、表示装置20の故障の直前等に生じる現象である。
【0140】
サーバ装置50は、蓄積した多数の表示装置20の表示特性を統計分析することで、個々の表示装置20の表示特性の変化を予測する。
図12の(b)は、サーバ装置50によって予測された表示装置20の表示特性の変化の一例を示す図である。具体的には、サーバ装置50は、製造会社、製品名、ロット等が共通する表示装置20の表示特性だけを対象として、使用され始めてから、表示特性が急激に悪化するまでの平均期間を算出することで、そのような種類の表示装置20の寿命を予測したり、故障の時期を予知したり、交換時期を予告したりすることができる。
【0141】
このように、サーバ装置50は、蓄積した撮影画像及び時間情報に基づいて、表示装置20の表示特性の変化を予測する。
【0142】
これにより、表示装置20の寿命の予測、故障の予知、交換時期の予告等の付加価値サービスが可能になる。
【0143】
次に、付加的なサービスの五つ目として、異物検出に関するサービスについて説明する。
【0144】
図13は、
図1に示された表示装置用校正システム10による付加的なサービスであって、異物検出を説明する図である。
【0145】
図13は、
図4に示されたサーバ装置50の異物検出に関する機能を説明するための図である。ここでは、異物検出のための手順((a)1回目の撮影、(b)2回目の撮影、(c)サーバ装置50での表示)が図示されている。
【0146】
まず、「1回目の撮影」ステップとして、表示装置20に第1画像(ここでは、白の画像)を表示させた状態で、表示された第1画像を撮影装置30の撮像部31が撮影し、得られた第1画像を撮影装置30からサーバ装置50にアップロードし、サーバ装置50の記憶部55に保存する(
図5の(a))。
【0147】
次に、「2回目の撮影」ステップとして、表示装置20に第2画像(ここでは、グレーの画像)を表示させた状態で、表示された第2画像を撮影装置30の撮像部31が撮影し、得られた第2画像を撮影装置30からサーバ装置50にアップロードし、サーバ装置50の記憶部55に保存する(
図5の(b))。
【0148】
なお、上記のような異なる画像の撮影は、2回に限られず、3回以上の任意の回数であってもよい。
【0149】
最後に、「サーバ装置50での表示」ステップとして、サーバ装置50は、撮像部31によって撮影された複数の画像(ここでは、記憶部55に保存された第1画像及び第2画像)から、それらの画像において共通する位置に同じ表示オブジェクトがあるか否かを判断することで、表示装置20の画面又は撮像部31に異物が付着していることを検知してユーザに提示する(
図5の(c))。
【0150】
具体的には、サーバ装置50は、記憶部55から読み出した複数の画像のそれぞれについて、空間的にみて輝度の異なる領域を抽出する輪郭抽出等の画像処理を行った後、抽出した領域の輝度が複数の画像において相対的に変わるか否かを判断する。その結果、相対的に輝度が変わる領域については、「輝度ムラ」が生じていると判断し、一方、相対的に輝度が変わらない領域については、「異物」が付着していると判断し、その判断結果を、表示部54に提示する。なお、この判断結果は、サーバ装置50から撮影装置30にダウンロードすることで、撮影装置30において表示してもよい。これにより、サーバ装置50の表示部54又は撮影装置30の表示部33を見たユーザは、表示装置20の画面又は撮像部31に異物が付着している場合には、そのことを知ることができる。
【0151】
このように、異物検出においては、表示装置20は、異なる複数の画像を切り替えて表示し、撮影装置30は、表示装置20に表示された複数の画像を撮影する。そして、サーバ装置50は、撮像部31によって撮影された複数の画像を取得し、取得した複数の画像から、複数の画像において共通する位置に同じ表示オブジェクトがあるか否かを判断することで、表示装置20の画面又は撮像部31に異物が付着していることを検知してユーザに提示する。
【0152】
これにより、表示装置20の画面又は撮像部31に異物が付着していることが検知されるので、検知された場合に異物を除去することで、精度の高い輝度ムラの校正が確保される。
【0153】
次に、表示装置用校正システム10の付属品として、撮影装置30の撮像部31自体の輝度校正をするための校正用冶具について、説明する。
【0154】
図14Aは、
図3に示された撮影装置30の撮像部31を輝度校正するための校正用冶具の一例(校正用冶具40a)を示す外観図である。
【0155】
校正用冶具40aは、既知の輝度を有する光源41と、光源41に対して撮像部31を位置決めする構造物である位置決め部42aと、それら光源41及び位置決め部42aを収容する筐体43とで構成される。
【0156】
筐体43は、外部から光が入らないように密閉されたダンボール等で構成される箱体である。
【0157】
光源41は、筐体43の一つの面の内側面に取り付けられ、対向する内側面に向けて既知(つまり、一定)の輝度の光を出射する光源であり、例えば、電池、及び、電池からの電力を入力として一定電流を出力する定電流回路、定電流回路からの電流が印可されるLED等で構成される。
【0158】
位置決め部42aは、光源41が発する光が、撮影装置30が備える撮像部31の入射口に入射するように撮影装置30を筐体43内(光源41と対向する内側面)に固定する位置決めガイドである。
【0159】
このような校正用冶具40aにより、既知の輝度を有する光源41を用いて、撮影装置30の撮像部31に対する撮像特性の校正が可能になり、撮影装置30による高い精度での校正が確保される。
【0160】
また、校正用冶具40aには、筐体43内に撮像部31を固定する位置決めガイドが備えられているので、光源41と撮像部31との位置関係が容易に、かつ、確実に固定され、撮影装置30の撮像部31に対する校正作業が容易で正確なものとなる。
【0161】
図14Bは、
図3に示された撮影装置30の撮像部31を輝度校正するための校正用冶具の他の一例(校正用冶具40b)を示す外観図である。
【0162】
校正用冶具40bは、既知の輝度を有する光源41と、光源41に対して撮像部31を位置決めする構造物である位置決め部42bとで構成される。
【0163】
光源41は、校正用冶具40aの光源41と同様のものであり、既知(つまり、一定)の輝度の光を出射する光源であり、例えば、電池、及び、電池から電力を入力として一定電流を出力する定電流回路、定電流回路からの電流が印可されるLED等で構成される。
【0164】
位置決め部42bは、光源41が取り付けられ、撮像部31に対して着脱可能なアタッチメントである。より詳しくは、位置決め部42bは、光源41が取り付けられた箱体であり、撮像部31を含む撮影装置30の角部分を嵌め込むことが可能な凹部44を有する。このような位置決め部42bの凹部44に、撮影装置30の撮像部31を含む角部分を嵌め込むことで、光源41から出射される光を撮像部31の入射口に安定して入射させることができる。
【0165】
このように、校正用冶具40bは、既知の輝度を有する光源41と、光源41に対して撮像部31を位置決めする構造物である位置決め部42bとを有する。位置決め部42bは、撮像部31に対して着脱可能なアタッチメントである。
【0166】
これにより、校正用冶具40bには撮像部31に対して着脱可能なアタッチメントが備えられるので、校正用冶具40bを撮像部31に取り付けるだけで、光源41と撮像部31との位置関係を、容易に、かつ、確実に固定でき、撮影装置30の撮像部31に対する校正作業を簡易に行うことができる。よって、従来のように、暗室等の高価な環境が不要となる。
【0167】
図14Cは、
図3に示された撮影装置30の撮像部31を輝度校正又は輝度ムラの校正をするための校正用冶具として校正済みのカメラ又は校正済みの輝度計(ここでは、校正済み輝度計46)を用いたシステム構成を示す図である。
【0168】
輝度計46は、表示装置用校正システム10の付属品であって、表示装置20に表示された校正用画像の輝度を計測する校正済みの測定器であり、撮影装置30と通信する機能も有する。なお、輝度計46は、専用の測定器に限られず、校正済みのカメラであってもよい。また、表示装置20に表示させる校正用画像は、表示装置20の校正に用いられた補正用画像11と同一であってもよいし、撮像部31を校正するための専用のものであってもよい。校正用画像は、例えば、全ての画素が同じ画素値をもつような画像である。
【0169】
撮影装置30では、撮像部31は、輝度計46と同様に、表示装置20に表示された校正用画像を撮影する。そして、制御部35は、通信部34を介して輝度計46から、輝度計46で計測された輝度を示すデータを取得し、取得したデータを用いて、撮像部31を校正する。具体的には、制御部35は、撮像部31が撮影した校正用画像の少なくとも一つの代表点を用いて平均輝度を算出し、算出した平均輝度が輝度計46から取得したデータが示す輝度となるように、輝度校正又は色校正を行う。
【0170】
このように、表示装置用校正システム10は、表示装置20に表示された画像に対して、撮影を行う校正済みのカメラ、又は、輝度を計測する校正済みの輝度計を付属品として備える。そして、撮影装置30の制御部35は、通信部34を介して付属品からデータを取得し、取得したデータを用いて、撮像部31を輝度校正する。
【0171】
これにより、校正済みの輝度計46を用いて、撮影装置30の撮像部31に対する輝度校正が可能になり、撮影装置30による高い精度での表示装置20に対する輝度校正が確保される。
【0172】
以上、本発明に係る表示装置用校正システム10及び10a、表示装置20、撮影装置30、サーバ装置50、及び、表示装置20の校正方法について、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態又は変形例に施したものや、実施の形態及び変形例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0173】
例えば、上記実施の形態では、サーバ装置50で生成された補正データ12は、撮影装置30を介して表示装置20にダウンロードされたが、このような経路に限定されず、サーバ装置50から撮影装置30を介さずに表示装置20にダウンロードされてもよいし、表示装置20に接続された制御装置にダウンロードされてもよい。
【0174】
図15は、実施の形態の変形例に係る表示装置用校正システム10aの構成図である。ここでは、サーバ装置50で生成された補正データ12が、表示装置20に接続された制御装置39にダウンロードされる例が示されている。
【0175】
制御装置39は、サーバ装置50とインターネット等の通信路で接続され、表示装置20を画像の出力デバイスとして用いる装置であり、例えば、コンピュータ本体、TVチューナ装置、医療用画像処理装置等である。制御装置39は、表示装置20と接続され、通信路を介してサーバ装置50から補正データ12を取得し、取得した補正データ12を用いて、入力された画像を補正して表示装置20に出力する。
【0176】
これにより、サーバ装置50による校正で得られた補正データ12によって、表示装置20を画像の出力デバイスとして用いる制御装置39が保持する補正データ12が更新される。よって、制御装置39において更新後の補正データ12を用いて補正された画像が表示装置20に表示され、制御装置39によって更新後の補正データ12が活用される。
【0177】
また、上記実施の形態では、撮影装置30は、スマートフォン、タブレット端末等のカメラを内蔵する携帯情報端末であったが、これに限られず、表示装置20に表示された画像を撮影してサーバ装置50に送信する装置であれば、カメラとコンピュータ装置から構成される据置型の装置セットであってもよい。サーバ装置50との連携を行うことで、従来よりも低コストで、かつ、少ない工数で表示装置20の表示特性を校正できる。
【0178】
また、上記実施の形態では、サーバ装置50によって輝度校正及び輝度ムラの校正が行われたが、必ずしも、これらの両方が行われる必要はない。輝度校正及び輝度ムラの校正のいずれか一方だけが行われてもよい。
【0179】
また、上記実施の形態では、撮影装置30が表示装置20に表示させる補正用画像11を表示装置20に送信したが、必ずしも、この送信は必要ではない。例えば、表示装置20が、予め内部に保持している補正用画像、あるいは、USBメモリ等の補助記憶装置から読み込んだ補正用画像、あるいは、インターネット等を介して外部装置から取得した補正用画像を表示してもよい。
【0180】
また、上記実施の形態では、撮影装置30の制御部35は、アップロード部35a、ダウンロード部35b、補正用画像指示部35c、及び、撮像制御部35dを有したが、これら全ての構成要素を有する必要はない。ダウンロード部35b、補正用画像指示部35c、及び、撮像制御部35dは、必要に応じて、オプションとして追加されるアプリで実現されてもよい。
【0181】
また、上記実施の形態では、サーバ装置50の記憶部55は、参照データ14を保持していたが、必ずしも参照データ14を保持する必要はない。輝度ムラ等の校正であれば、サーバ装置50は、参照データ14を用いることなく、撮影装置30から送信されてきた撮影画像13に対して行うことができる。
【0182】
また、上記実施の形態では、表示装置20の記憶部25は、予め与えられた補正データ12aを格納している第1記憶部25aと、撮影装置30から送信されてきた補正データ12bを格納する第2記憶部25bとを有したが、これらに限られず、さらに、バックアップ専用の記憶部、補正用画像を保持する記憶部等を有してもよい。