【解決手段】AC−AC変換装置100は、直流母線81,82と、コンバータ2と、インダクタ31と、コンデンサ32と、インバータ41,42とを備える。コンバータ2は交流電源1から入力される交流電圧V0を整流して得られる直流電圧Vdcを直流母線81,82の間に出力する。コンデンサ32は、直流母線81と直流母線82との間に接続される。インバータ41,42は、コンデンサ32の両端の電圧V32をそれ交流電圧V1,V2に変換して負荷51,52に印加し、脈動する電流I1,I2を負荷51,52へ出力する。インダクタ31は、コンデンサ32よりも交流電源1に近く設けられ、コンデンサ32と共にフィルタ3を構成する。フィルタ3は電流I1,I2の脈動成分の、交流電源1への伝搬を低減する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本実施の形態にかかるAC−AC変換装置100の構成を例示する回路図である。AC−AC変換装置100は、直流母線81,82と、コンバータ2と、インダクタ31と、コンデンサ32と、インバータ41,42とを備える。AC−AC変換装置100は交流電源1から入力される交流電圧V0を後述する交流電圧V1と交流電圧V2とに変換し、それぞれを負荷51,52に印加する。
【0016】
例えば負荷51,52は、いずれも電動機である。当該電動機は、後述のように、冷凍回路において冷媒を圧縮する圧縮機の駆動に利用してもよい。
【0017】
コンバータ2は、交流電圧V0を整流して得られる直流電圧Vdcを、直流母線81と直流母線82との間に出力する。コンデンサ32は、直流母線81と直流母線82との間に接続される。インダクタ31は、コンデンサ32よりも交流電源1に近く設けられ、コンデンサ32と共に後述するフィルタ3を構成する。ここではインダクタ31はコンバータ2とコンデンサ32との間において、直流母線81上に設けられる。コンデンサ32の両端には電圧V32が印加される(コンデンサ32は電圧V32を支えるということもできる)。
【0018】
インバータ41は電圧V32を交流電圧V1に変換して負荷51に印加し、脈動する電流I1を負荷51へ出力する。インバータ42は電圧V32を交流電圧V2に変換して負荷52に印加し、脈動する電流I2を負荷52へ出力する。
【0019】
ここでは電流I1が直流母線81からインバータ41に向かって流れる方向を正とし、電流I2が直流母線81からインバータ42に向かって流れる方向を正とする。そしてインバータ41から直流母線82に向かって流れる電流を、電流I1として検出する。またインバータ42から直流母線82に向かって流れる電流を、電流I2として検出する。
【0020】
電流I1,I2の測定は、例えば抵抗素子を用いて当該抵抗素子における電圧降下を測定して、行うことができる。
図1では抵抗素子を用いた電流I1,I2の測定を例示した。
【0021】
図2はインバータ41,42のいずれにも採用できるインバータ4kの構成を例示する回路図である。なお、符号中の文字”k”は符号中の文字”1”、”2”を代表する。たとえばインバータ4kは、インバータ41,42を代表する。以下では説明の簡単のため、インバータ4kが単相インバータである場合を例示する。
【0022】
インバータ4kは、接続点Pu,Pdの間でスイッチング素子Qxu,Qxdが直列に接続された枝Lxと、接続点Pu,Pdの間でスイッチング素子Qyu,Qydが直列に接続された枝Lyとを有する。枝Lxと枝Lyとは並列に接続される。
【0023】
枝Lxにおいてスイッチング素子Qxu,Qxd同士が接続される接続点Pxと、枝Lyにおいてスイッチング素子Qyu,Qyd同士が接続される接続点Pyとから交流電圧Vkが負荷5kに出力される。接続点Pu,Pdの間には電圧V32が印加される。接続点Puには電流Ikが流入し、接続点Pdからは電流Ikが流入する。
【0024】
スイッチング素子Qxu,Qxd,Qyu,Qydは制御回路6からの制御信号Gkに従ってスイッチングを行ない、電圧V32を交流電圧Vkに変換する。例えばインバータ4kはパルス幅変調を行なってかかる変換を行なう。制御信号Gkは、例えば搬送波比較方式を用いたパルス幅変調を実現するために、スイッチング素子Qxu,Qxd,Qyu,Qydの開閉を制御する。スイッチング素子Qxu,Qxd,Qyu,Qydは例えば絶縁ゲート型バイポーラトランジスタで実現することができる。
【0025】
インバータ41およびインバータ42は、電圧V32をそれぞれ交流電圧V1および交流電圧V2に変換すべく、その入力側はコンデンサ32に並列に接続される。よって直流母線81にはコンデンサ32からインバータ41,42に向かって、直流母線82にはインバータ41,42からコンデンサ32に向かって、いずれも電流(I1+I2)が流れる。
【0026】
フィルタ3は、電流I1,I2の脈動成分の、交流電源1への伝搬を低減する。ここにいう脈動成分とは、交流電圧V0の基本波成分、交流電圧V1の基本波成分、および交流電圧V2の基本波成分の、少なくともいずれか一つに対して高調波と把握される成分である。フィルタ3は、インバータ41,42が負荷51,52に流す電流I1,I2に起因した、交流電源1への高調波の伝搬を、低減する。
【0027】
例えば、電流I1の脈動成分はインバータ41におけるDC/AC変換のためのスイッチングに起因し、電流I2の脈動成分はインバータ42におけるDC/AC変換のためのスイッチング(
図2に即して言えばインバータ4kのスイッチング素子Qxu,Qxd,Qyu,Qydの開閉)に起因する。
【0028】
フィルタ3の遮断周波数が高いほど、インダクタ31やコンデンサ32に要求されるインダクタンスやキャパシタンスは小さく、それらが小型化される。特に電解コンデンサレスインバータと称される、電圧V32が交流電圧V0の整数倍(交流電圧V0が単相であれば2倍、三相であれば6倍)の周波数で大きく変動する方式では、コンデンサ32の容量が小さい利点がある。この利点を損なわない観点からも、インダクタ31の小型化は望ましい。
【0029】
フィルタ3の小型化という観点で、電流(I1+I2)は高い周波数成分を多く含むことが望ましい。インバータ41,42からそれぞれ負荷51,52へ供給する電力の合計が同じであれば、電流(I1+I2)が高い周波数成分を多く含むほど、フィルタ3の遮断周波数よりも低く従ってフィルタ3による減衰量が低い周波数成分であっても、当該電力において当該低い周波数成分は低いからである。
【0030】
例えば電流(I1+I2)に6kHzの周波数成分のみが重畳する場合と、15kHzの周波数成分のみが重畳する場合とを比較する。フィルタ3は、場合には6kHzの周波数成分を減衰させ、場合には15kHzの周波数成分を減衰させることが望ましい。
【0031】
図3はインダクタ31のインダクタンスを500μHに、コンデンサ32のキャパシタンスを30μFに、それぞれ選定した場合のフィルタ3の周波数−ゲイン特性を示すグラフである。
図3から、当該フィルタ3では6kHz近傍で25dB程度の減衰が得られることがわかる。
【0032】
図4はインダクタ31のインダクタンスを200μHに、コンデンサ32のキャパシタンスを20μFに、それぞれ選定した場合のフィルタ3の周波数−ゲイン特性を示すグラフである。
図4から、当該フィルタ3では15kHz近傍で25dB程度の減衰が得られることがわかる。
【0033】
このように、減衰させる対象となる、交流電源1に伝搬する脈動成分の周波数が高いことは、フィルタ3の小型化に寄与する。しかしながら、電流I1と、電流I2とが同じ周波数であって、同相であれば、電流(I1+I2)の脈動成分の周波数は、電流I1および電流I2の脈動成分と同じである。
【0034】
しかしながら、電流I1が極大値を採るタイミングと、電流I2が極大値を採るタイミングが一致しなければ、電流(I1+I2)の脈動成分の周波数は、電流I1および電流I2の脈動成分よりも高くなる。換言すれば、電流I1においてある極大値を採る時点が、電流I2において隣接する一対の極大値を採る一対の時点の間に存在することは、フィルタ3の小型化の観点で望ましい。上記「極大値」を「極小値」に読み替えても同様である。
【0035】
例えば電流I1の脈動成分の周波数と、電流I2の脈動成分の周波数とが異なる場合には、電流I1,I2とでは極大値が発生するタイミングにずれがある。電流I1の脈動成分の周波数と、電流I2の脈動成分の周波数とが同じであっても、電流I1と電流I2とが同相でなければ、電流I1,I2とでは極大値が発生するタイミングにずれがある。
【0036】
インバータ4kが搬送波比較方式によるパルス幅変調を行なう場合を例にとって考察する。電流Ikの脈動成分の周波数は、搬送波比較方式に採用される搬送波の周波数にほぼ等しい。他方、制御信号G1を得るための搬送波の周波数と、制御信号G2を得るための搬送波の周波数とは、等しいことが望ましい。制御信号G1,G2を得る処理が簡単となるからである。以下、その典型的な場合として、インバータ41,42にほぼ等しいパルス幅変調を行なわせる場合を考える。
【0037】
図5は搬送波比較方式で制御信号G1,G2を得る方法を示すグラフである。ここでは搬送波として三角波C1,C2を用いて、三角波比較方式が採用される場合を例示する。搬送波としては三角波に限定されず、例えば正弦波を用いてもよい。
【0038】
三角波C1,C2は互いに周期が等しく、従ってその基本周波数も等しい。また、三角波C1,C2は互いに振幅も等しい。ここでは三角波C1,C2は互いに逆相の関係にある場合、つまり位相が180度ずれている場合が例示される。但し三角波C1,C2が同相でなければ、位相のずれは180度には限定されない。三角波C1,C2が同相である場合については後述する。
【0039】
図5において、搬送波比較方式に採用される信号波D1,D2は一致している場合が例示される。信号波D,D2の増減は、それぞれ交流電圧V1,V2の増減に対応する。信号波D1は三角波C1と比較され、その比較結果から制御信号G1が得られる。信号波D2は三角波C2と比較され、その比較結果から制御信号G2が得られる。
【0040】
インバータ41,42にほぼ等しいパルス幅変調を行なわせない場合はもちろん、これを行なわせる場合であっても、信号波D1,D2は必ずしも一致しない。後述するように特に三角波C1,C2の振幅が相違する場合には信号波D1,D2は相違する。
【0041】
図5では、時刻t11〜t12,t13〜t14,t15〜t16において三角波C1は信号波D1よりも大きく、時刻t21〜t22,t23〜t24において三角波C2は信号波D2よりも大きい場合が例示される。
図5では信号波D1が増加することを反映して、時刻t11〜t12の間の時間、時刻t13〜t14の間の時間、時刻t15〜t16の間の時間は、この順に減少してゆく。
図5では信号波D2が増加することを反映して、時刻t21〜t22の間の時間、時刻t23〜t24の間の時間は、この順に減少してゆく。
【0042】
例えば制御信号Gkは、三角波Ckが信号波Dkよりも大きいときに、スイッチング素子Qxu,Qydを導通させ、スイッチング素子Qyu,Qxdを非導通にする。また三角波Ckが信号波Dkよりも小さいときに、スイッチング素子Qxd,Qyuを導通させ、スイッチング素子Qyd,Qxuを非導通にする。
【0043】
図6は
図5に示された三角波比較方式で得られる電流I1,I2および電流(I1+I2)の波形を示すグラフである。信号波D1,D2の上昇を反映して、電流I1,I2はいずれも増加する傾向を示す。但し、三角波C1,C2の増減を反映して、電流I1,I2は脈動する。横軸に時間を採用し、縦軸に振幅を任意単位で採用した。
【0044】
具体的には、電流I1は時刻t12まで増加し、時刻t12〜t13において減少し、時刻t13〜t14において増加し、時刻t14から減少する。よって
図6において示される電流I1は、それぞれ時刻t12,t14において極大値P12,P14を採る。
【0045】
電流I2は時刻t21まで減少し、時刻t21〜t22において増加し、時刻t22〜t23において減少し、時刻t23〜t24において増加し、時刻t24から減少する。よって
図6において示される電流I2は、それぞれ時刻t2,t24において極大値P22,P24を採る。
【0046】
図5に示された関係から、時刻t11,t12,t21,t22,t13,t14,t23,t24,t15,t16の順に移行する。よって極大値P12,P22,P14,P24はこの順に発生する。上述の表現に即して言えば、電流I1における極大値P14を採る時点である時刻t14が、電流I2において隣接する一対の極大値P22,P24を採る一対の時点である時刻t22,t24の間に存在する。電流I2における極大値P22を採る時点である時刻t22が、電流I1において隣接する一対の極大値P12,P14を採る一対の時点である時刻t12,t14の間に存在する。なお、電流I2は時刻t21,t23において隣接する一対の極小値を採り、時刻t21,t23の間に存在する時刻t13において電流I1は極小値を採る、と言える。
【0047】
このような電流I1,I2の振る舞いから、電流(I1+I2)は、
図6に示されるように、極大値と極小値を交互に採りながら増加する傾向を示す。具体的には電流(I1+I2)は時刻t12,t22,t14,t24においてそれぞれ極大値P12,P22,P14,P24を反映した極大値を採る。また電流(I1+I2)は時刻t21,t23において電流I2の極小値を反映した極小値を採り、時刻t13において電流I1の極小値を反映した極小値を採る。
【0048】
図6では電流(I1+I2)との比較の対象となる、電流I1の二倍の値2・I1の波形も併記した。値2・I1は、電流I1,I2が互いに等しいと仮定した場合の電流(I1+I2)である。換言すれば、三角波C2が三角波C1と同じ波形を呈すると仮定した場合の電流(I1+I2)である。
【0049】
当然ながら電流2・I1は電流I1と同相で極大値、極小値を採る。即ち、電流2・I1は時刻t12で極大値を採り、時刻t12〜t13の間で減少し、時刻t13で極小値を採り、時刻t13〜t14の間で増加し、時刻t14から減少する。よって電流2・II1の脈動成分の周期は、三角波C1,C2の周期とほぼ一致する。
【0050】
これに対し、電流(I1+I2)の脈動成分の周期は、三角波C1,C2の周期のほぼ半分(周波数に換算して考えればほぼ二倍)となる。このように、電流(I1+I2)は電流I1,I2のいずれよりも高い周波数成分を多く含むこととなり、上述の様にフィルタ3の小型化に資する。
【0051】
ここでは三角波C1,C2が互いに逆相となる場合を例示したので、電流(I1+I2)の脈動成分の周波数は、電流2・I1の脈動成分の周波数のほぼ二倍であった。三角波C1,C2同士の位相のずれが60度であれば、電流(I1+I2)の脈動成分の周波数は、電流2・I1の脈動成分の周波数のほぼ三倍となる。よって電流(I1+I2)の脈動成分の周波数を高めるという観点では位相のずれは小さいほど望ましい。
【0052】
しかしながら、脈動成分のうち、搬送波の基本周波数(ここでは三角波C1,C2の周期の逆数)が低減される量は、位相のずれが大きいほど望ましい。位相のずれが大きいほど、位相のずれに起因した高調波成分が有する電力が大きくなるからである。かかる観点からは、インバータ41,42においてそれぞれパルス幅変調を行なわせるための搬送波比較方式においては、互いに周期が等しくかつ位相が半周期ずれる搬送波を採用することが望ましい。
【0053】
図7は冷凍回路9の構成を例示するブロック図である。冷凍回路9は圧縮機911、912、熱交換器92,94、膨張弁93を備える。不図示の冷媒が圧縮機911,912によって圧縮され、熱交換器92によって蒸発し、膨張弁93によって膨張し、熱交換器94によって凝縮する。図中の白矢印は冷媒が循環する方向を示す。
【0054】
この構成では、圧縮機911、912が熱交換器92,94の間で並列に接続される。熱交換器94によって凝縮した冷媒は圧縮機911、912へと分かれて移動する。圧縮機911、912によって圧縮された冷媒はいずれも熱交換器92によって蒸発する。負荷51,52(
図1も参照)は、それぞれ圧縮機911,912を駆動するモータである。
【0055】
このように一つの冷凍回路9のなかを循環する冷媒を二つの圧縮機911、912で圧縮することは、下記二点の観点で望ましい。即ち(a)圧縮機911、912のいずれか一方が故障しても他方で冷媒の圧縮を継続できる点、及び(b)冷凍回路9全体として見たときの圧縮能力の下限を、圧縮機を一つだけ設けた場合と比較して小さくできる点である。
【0056】
圧縮機911、912による冷媒の圧縮が、それぞれ異なる圧縮能力で行なわれる場合、負荷51,52が駆動される態様は異なり、よってインバータ41,42が行なうパルス幅変調も相互に異なり得る。このような場合、信号波D1,D2は相違し得る。
【0057】
信号波D1,D2が相違しても、電流I1においてある極大値が得られる時点(上述の例では時刻t14)が、電流I2において隣接する一対の極大値が得られる一対の時点(上述の例では時刻t22,t24)の間に存在すれば、あるいは電流I2においてある極大値が得られる時点(上述の例では時刻t22)が、電流I1において隣接する一対の極大値が得られる一対の時点(上述の例では時刻t12,t14)の間に存在すれば、電流(I1+I2)は電流2・I1よりも高い周波数成分を多く含み、上述の様にフィルタ3の小型化に資する。
【0058】
インバータ41,42にほぼ等しいパルス幅変調を行なわせる場合であっても、三角波C1,C2の振幅が相違する場合は信号波D1,D2は一致しない。例えば三角波C1の振幅が三角波C2の振幅の二倍であれば(但し三角波C1,C2同士の間での直流ドリフト成分を排除する)、信号波D1は信号波D2の二倍に設定される。つまり三角波C1と比較される信号波D1の三角波C1の振幅に対する比と、三角波C2と比較される信号波D2の三角波C2の振幅に対する比とが等しく設定されることで、インバータ41,42はほぼ等しいパルス幅変調を行う。
【0059】
上記の説明では簡単のためにインバータ41,42に単相インバータを採用した場合を例示したが、多相インバータを採用してもよい。この場合も電流I1においてある極大値が得られる時点が、電流I2において隣接する一対の極大値が得られる一対の時点の間に存在すれば、電流(I1+I2)が電流2・I1よりも高い周波数成分を多く含み、上述の様にフィルタ3の小型化に資することは明白である。
【0060】
また、負荷51,52は兼用されてもよい。例えばインバータ41,42にほぼ等しいパルス幅変調を行なわせることは、かかる兼用を容易にする。
【0061】
図8は本実施の形態にかかるAC−AC変換装置100の他の構成を例示する回路図である。当該構成においては、インバータ41,42のいずれにも三相インバータが採用され、負荷51,52を兼用した負荷50がインバータ41,42の負荷となる。
【0062】
図9は冷凍回路9の他の構成を例示するブロック図である。冷凍回路9は圧縮機91、熱交換器92,94、膨張弁93を備える。不図示の冷媒が圧縮機91によって圧縮され、熱交換器92によって蒸発し、膨張弁93によって膨張し、熱交換器94によって凝縮する。図中の白矢印は冷媒が循環する方向を示す。負荷50(
図8も参照)は冷凍回路9に採用される圧縮機91を駆動するモータである。
【0063】
インダクタ31は、コンデンサ32よりも交流電源1に近く設けられるのであれば、コンバータ2と交流電源1との間に設けられても良い。
図1や
図8に例示されるように、コンバータ2と交流電源1との間にノイズフィルタ(図中でNFと表記)7を設けてもよい。
【0064】
図10は制御回路6の構成を例示するブロック図である。制御回路6は、信号波生成器61と、制御信号生成器62と、搬送波生成器63とを有する。
【0065】
信号波生成器61は信号波D1,D2を生成して出力する機能を有する。例えば信号波生成器61は、電圧V32、電流I1,I2の値を入力し、あるいは更に
図1の例示に即して言えば、負荷51,52のそれぞれの動作速度の指令値ω1*,ω2*を入力し(
図8の例示に即して言えば、負荷50の動作速度の指令値ω0*を入力し)、これらに基づいて信号波D1,D2を生成する。例えば負荷50,51,52がモータであれば、指令値ω0*,ω1*,ω2*には、それぞれのモータの回転角速度の指令値が採用される。
【0066】
搬送波生成器63は搬送波を生成して出力する機能を有する。ここでは上述の例示に従い、三角波C1,C2が生成される場合が例示される。
【0067】
制御信号生成器62は制御信号G1,G2を生成して出力する機能を有する。具体的には例えば、
図5を用いて説明されたように、三角波C1と信号波D1とを比較することによって制御信号G1が、三角波C2と信号波D2とを比較することによって制御信号G2が、それぞれ生成される。
【0068】
制御回路6は、マイクロコンピュータと記憶装置を含んで構成することができる。マイクロコンピュータは、プログラムに記述された各処理のステップ(換言すれば手順)を実行する。例えば
図10で例示された、信号波生成器61、制御信号生成器62、搬送波生成器63のそれぞれの機能が、当該マイクロコンピュータで実行される。この例示に鑑み、
図1、
図8では制御回路6をCPUと表記した。
【0069】
上記記憶装置は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、書き換え可能な不揮発性メモリ(EPROM(Erasable Programmable ROM)等)などの各種記憶装置の1つ又は複数で構成可能である。当該記憶装置は、各種の情報やデータ等を格納し、またマイクロコンピュータが実行するプログラムを格納し、また、プログラムを実行するための作業領域を提供する。なお、マイクロコンピュータは、プログラムに記述された各処理ステップに対応する各種手段として機能するとも把握でき、あるいは、各処理ステップに対応する各種機能を実現するとも把握できる。また、制御回路6はこれに限らず、制御回路6によって実行される各種手順、あるいは実現される各種手段又は各種機能の一部又は全部をハードウェアで実現しても構わない。
【0070】
上述のように、本実施の形態ではAC−AC変換装置100を提案した。AC−AC変換装置100は、直流母線81,82と、コンバータ2と、インダクタ31と、コンデンサ32と、インバータ41,42とを備える。
【0071】
コンバータ2は交流電源1から入力される交流電圧V0を整流して得られる直流電圧Vdcを直流母線81,82の間に出力する。コンデンサ32は、直流母線81と直流母線82との間に接続される。
【0072】
インバータ41は、コンデンサ32の両端の電圧V32を交流電圧V1に変換して負荷51に印加し、脈動する電流I1を負荷51へ出力する。インバータ42は、電圧V32を交流電圧V2に変換して負荷52に印加し、脈動する電流I2を負荷52へ出力する。
【0073】
インダクタ31は、コンデンサ32よりも交流電源1に近く設けられ、コンデンサ32と共にフィルタ3を構成する。フィルタ3は電流I1,I2の脈動成分の、交流電源1への伝搬を低減する。
【0074】
そして電流I1において極大値P14を採る時点である時刻t14が、電流I2において隣接する一対の極大値P22,P24を採る一対の時点である時刻t22,t24の間に存在する。および/または、電流I2における極大値P22を採る時点である時刻t22が、電流I1において隣接する一対の極大値P12,P14を採る一対の時点である時刻t12,t14の間に存在する。
【0075】
フィルタ3は、インバータ41,42が負荷51,52に流す電流I1,I2に起因した、交流電源1への高調波の伝搬を、低減する。電流(I1+I2)の脈動成分の周期は、電流I1,I2のいずれよりも高い周波数成分を多く含むこととなる。これはフィルタ3に要求される遮断周波数を高め、フィルタ3の小型化に資する。
【0076】
例えばインバータ41,42は、搬送波比較方式を用いたパルス幅変調によって、電圧V32をそれぞれ交流電圧V1,V2に変換する。インバータ41におけるパルス幅変調のための搬送波比較方式に採用される搬送波と、インバータ42におけるパルス幅変調のための搬送波比較方式に採用される搬送波とは、少なくとも位相及び周期のいずれかが異なる。これらの搬送波は例えば三角波C1,C2である。
【0077】
例えばこれら二つの搬送波は、互いに周期が等しくかつ位相が半周期ずれる。これは両者の位相のずれが小さいほど電流(I1+I2)の脈動成分の周波数を高められ、位相のずれが大きいほど搬送波の基本周波数が低減される量が大きい観点で、望ましい。
【0078】
例えばインバータ41のパルス幅変調に採用される搬送波比較方式において搬送波と比較される信号波D1の当該搬送波の振幅に対する比と、インバータ42のパルス幅変調に採用される搬送波比較方式において当該搬送波と比較される信号波D2の当該搬送波の振幅に対する比とは等しい。これはインバータ41,42がほぼ等しいパルス幅変調を行う観点で望ましい。
【0079】
負荷51,52には、冷凍回路9の圧縮機911,912をそれぞれ駆動するモータを採用してもよい。負荷51、52は兼用されてもよい。例えば一つの負荷50を負荷51,52が兼用されたものとして採用することができ、負荷50が圧縮機91を駆動するモータとして採用してもよい。交流電圧V1,V2は単相であっても多相であってもよい。
【0080】
AC−AC変換装置100と、制御回路6とを含めて電力変換装置として捉えることができる。制御回路6はインバータ41,42を制御する。例えば制御回路6は、信号波D1,D2を生成して出力する機能を有する信号波生成器61、搬送波(例えば三角波C1,C2)を生成して出力する機能を有する搬送波生成器63、制御信号G1,G2を生成して出力する機能を有する制御信号生成器62で実現することができる。
【0081】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。上述の各種の実施形態および変形例は相互に組み合わせることができる。