特開2019-151336(P2019-151336A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-151336(P2019-151336A)
(43)【公開日】2019年9月12日
(54)【発明の名称】容器及びラベル貼着方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20190816BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20190816BHJP
【FI】
   B65D1/02 221
   B65D1/02 250
   B65D25/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-35503(P2018-35503)
(22)【出願日】2018年2月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126398
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】青木 達郎
【テーマコード(参考)】
3E033
3E062
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA14
3E033BA17
3E033BA21
3E033BB08
3E033CA20
3E033DA03
3E033DB10
3E033DC10
3E033DD01
3E033FA03
3E062AA09
3E062AB20
3E062AC02
3E062AC08
3E062DA02
3E062DA07
3E062KA04
3E062KB03
3E062KB17
(57)【要約】
【課題】 ラベルを貼り付けた際に、貼り付け不良や剥がれが発生することがなく、外観不良の発生することのない容器を提供する。
【解決手段】 胴部の形状が偏平形状であり、略平坦なパネル部を有し、当該パネル部にラベルが貼着される容器である。パネル部の肉厚が他の部分の肉厚よりも小である。具体的な肉厚としては、パネル部の肉厚が0.40mm〜0.50mmである。パネルのない側面の最低肉厚が0.51mm以上である。ラベル貼着に際しては、容器に内容物を高温充填し、容器が膨張した状態でパネル部にラベルを貼着した後、冷却する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部の形状が偏平形状であり、略平坦なパネル部を有し、当該パネル部にラベルが貼着される容器であって、
前記パネル部の肉厚が他の部分の肉厚よりも小であることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記パネル部の肉厚が0.40mm〜0.50mmであることを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
パネルのない側面の最低肉厚が0.51mm以上であることを特徴とする請求項2記載の容器。
【請求項4】
前記胴部に凹部が設けられ、当該凹部の底面が平坦面とされ、前記パネル部とされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の容器。
【請求項5】
前記パネル部は、減圧吸収パネルとして機能することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の容器。
【請求項6】
ポリプロピレンを主体として成形された容器であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の容器。
【請求項7】
ポリプロピレン層を有する多層容器であることを特徴とする請求項6記載の容器。
【請求項8】
ブロー成形により成形された容器であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の容器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載の容器に内容物を高温充填し、容器が膨張した状態でパネル部にラベルを貼着した後、冷却することを特徴とするラベル貼着方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば粘稠な内容物が充填される容器に関するものであり、特に、パネル部にラベルが貼着される容器に関するものである。さらには、当該容器へのラベル貼着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マヨネーズやケチャップ、各種ソース等の粘稠な内容物が充填される容器としては、ある程度の柔軟性を有する樹脂製の容器が広く用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、流動性を有する粘稠物を収納する容器本体と、容器本体と一体に形成され、かつ、容器本体の上部から上方に向かって起立して形成され、少なくとも一部に直線を含む所定形状の輪郭を有する口部を形成する起立壁とを備える粘稠物収納容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−143130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の容器においては、胴部にラベルを貼着し、内容物の表示や出所表示を行うのが一般的である。この種の容器では、高温充填工程、密封工程、ラベル貼着工程が一連の流れで行われることが多い。この場合、容器の胴部に平坦面(パネル面)を形成しておき、ここにラベルを貼り付けるようにすれば、円滑にラベルの貼り付けを行うことができる。ラベルの貼り付けは、
【0006】
しかしながら、例えば高温充填を行う自動ラインにてパネル面に粘着性のラベルを貼り付けると、ラベルの貼り付け不良が発生するという問題がある。パネル面では、高温充填による膨張や減圧変形による凹みが発生するため、貼り付け不良や冷却後の剥がれの懸念があり、ラベルを貼着するのが困難な場所である。
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ラベルを貼り付けた際に、貼り付け不良や剥がれが発生することがなく、外観不良の発生することのない容器を提供することを目的とし、さらには、ラベル貼着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達成するために、本発明の容器は、胴部の形状が偏平形状であり、略平坦なパネル部を有し、当該パネル部にラベルが貼着される容器であって、前記パネル部の肉厚が他の部分の肉厚よりも小であることを特徴とする。具体的には、前記パネル部の肉厚が0.40mm〜0.50mmである。
【0009】
また、本発明のラベル貼着方法は、前記容器に内容物を高温充填し、容器が膨張した状態でパネル部にラベルを貼着した後、冷却することを特徴とする。
【0010】
前記の通り、高温充填を行う自動ラインにてパネル面に粘着性のラベルを貼り付けると、高温充填による膨張や減圧変形による凹みが発生するため、貼り付け不良や冷却後の剥がれの懸念がある。その対策として、例えばパネル面を肉厚にすることが考えられるが、パネル面を肉厚にして変形を抑制すると、剛性が過剰に大きくなることで、スクイズ性が悪化したり、凹部となっているパネル面が膨張しないことによるライン上でのラベル貼り付け不良が発生しやすい。
【0011】
本発明では、パネル部の肉厚を他の部分の肉厚よりも小とし、適正な厚さに設定しているので、スクイズ性の悪化やラベルの貼り付け不良の発生が確実に抑えられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ラベルを貼り付けた際に、貼り付け不良や剥がれが発生することがなく、外観不良が発生することがない。また、良好なスクイズ性が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態にかかる容器の概略正面図である。
図2図1のA−A線における断面図である。
図3】容器の断面形態を示すものであり、(A)は通常時、(B)は高温充填時、(C)は容器冷却時の断面形態をそれぞれ示す。
図4】ラベルの貼り付け工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した容器及びラベル貼着方法の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、容器1の正面図であり、本実施形態で例に挙げる容器1は、マヨネーズやケチャップ、各種ソース等の粘稠な内容物が充填される容器である。その形態としては、胴部2、口部3、肩部4を備え、胴部2の上方には肩部4を介して円筒形状の口部3が位置しており、口部3の上端開口はキャップを取り付けることで密封される。
【0016】
容器1の製造方法は任意であるが、ブロー成形が好適である。また、容器1を構成する材料について説明すると、本発明の容器1はスクイズ性を有することが必要であり、ある程度柔軟な樹脂により形成されている。具体的には、例えばポリプロピレンが好適であり、ポリプロピレンを主体とする容器1である。
【0017】
容器1は多層構成を有していてもよく、この場合、ポリプロピレン層を有することが好ましい。例えば、容器1の内側から順に、内層、バリア層、リプロ層、外層の4層が積層されるとともに、各層間に接着のための接着層が設けられ、全部で6層構成とされている容器の場合、外層や内層がポリプロピレン層であることが好ましい。これにより、容器1におけるスクイズ性が良好なものとなる。
【0018】
前記バリア層は、高いガスバリア性を有する樹脂で形成される。ガスバリア性樹脂としては、例えばエチレン− ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂等が挙げられるが、中でも、エチレン− ビニルアルコール共重合体樹脂を用いることが好ましい。
【0019】
容器1は、いわゆる偏平形状を有しており、本実施形態の容器1の場合、図2に示すように、その断面形状は矩形状である。すなわち、容器1の幅方向の寸法が厚み方向の寸法に比べて大である。偏平形状としては、矩形状に限らず、例えば断面楕円形状や断面長円形状等、互いに直交する方向の寸法が異なるものを言うものとする。
【0020】
本実施形態の容器1は、胴部2の幅広の面にパネル部5が平坦面として形成されており、ここにラベル6を貼着するようになっている。パネル部5は、胴部2に設けた凹部7の底面を構成する形で形成されており、減圧吸収パネルとしても機能する。
【0021】
ここで、本実施形態の容器1では、前記パネル部5の肉厚を適正なものとすることで、ラベルの貼り付け不良や剥がれを解消し、スクイズ性も維持し得るようにしている。具体的には、前記パネル部5の肉厚t1を、0.45±0.05mm、すなわち0.40mm〜0.50mmに設定し、パネル部5が減圧変形特性、スクイズ性、復元性、ラベル貼り付け性を兼ね備えるようにしている。
【0022】
高温充填を行う自動ラインにてパネル面に粘着性ラベルを貼りつける場合、肉厚が設定より厚い容器では、スクイズ性の悪化やラベルの貼り付け不良が発生し、設定より薄い容器では、スクイズ後の復元性悪化や減圧変形による外観不良・ラベル剥がれが発生する。胴部パネル面を厚肉にして、変形を抑制した場合は、剛性が過剰に大きくなることでのスクイズ性悪化や、凹部となっているパネル部が膨張しないことによるライン上でのラベル貼付不良が発生しやすい。一方でパネル面の肉厚を薄肉にすると、スクイズ後の復元性悪化や容器冷却後の過剰な減圧変形による外観不良・ラベル剥がれが発生する。
【0023】
図3は、容器1の形状の変化を示すものであり、通常時は図3(A)に示すようにパネル部5が平坦面であるが、高温充填時には図3(B)に示すように、膨張によりパネル部5が膨出する。図4は、自動ラインでのラベル貼り付け工程を説明する図であり、高温充填により膨出したパネル部5に対して、一対のローラ11,12により供給されるラベル6を貼着する。
【0024】
この時、パネル部5を肉厚にしすぎると、膨張が小さく、ラベル6の貼り付け後、容器を冷却すると、パネル部5が凹となり、貼り付け不良が発生しやすい。
【0025】
これに対して、パネル部5の肉厚t1を0.40mm〜0.50mmとすれば、このような不都合が生ずることがない。すなわち、スクイズ性の悪化やラベルの貼り付け不良が発生することがなく、スクイズ後の復元性悪化や減圧変形による外観不良・ラベル剥がれが発生することがない。
【0026】
胴部2のパネル部5以外の部分の肉厚t2については任意であるが、厚肉であればスクイズ性が悪化し、薄肉であれば落下耐性が低下してしまう。したがって、胴部2のパネル部5のない側面の最低肉厚t2は、0.51mm以上とすることが好ましい。より好ましくは0.70mm〜0.80mmである。これにより、良好なスクイズ性が維持され、落下耐性も良好なものとなり、落下試験で割れが発生することもない。
【0027】
以上の通り、本発明は、減圧変形特性、スクイズ性、復元性、ラベル貼付性等を兼ね備えた容器を得るため、最適な肉厚条件を見出したものである。前記肉厚設定とすることで、ラベルを貼り付けた際に、貼り付け不良や剥がれが発生することがなく、外観不良の発生することのない容器を提供することが可能である。
【0028】
以上、本発明を適用した実施形態について説明してきたが、本発明が前述の実施形態に限られるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【実施例】
【0029】
次に、具体的な実験結果に基づいて、本発明の実施例について説明する。
【0030】
実施例1〜4、比較例1〜4
パネル部や胴部の厚さが異なる容器をブロー成形により成形した。成形した各容器の重量は略同一であり、パネル深さは、上端(1.4mm)の深さの方が下端(0.6mm)の深さより大きく、上端から下端に向かって浅くなっている。各容器の肉厚の計測値は表1〜表8に示す通りである。なお、表1は実施例1の計測値、表2は実施例2の計測値、表3は実施例3の計測値、表4は実施例4の計測値、表5は比較例1の計測値、表6は比較例2の計測値、表7は比較例3の計測値、表8は比較例4の計測値である。
【0031】
容器の肉厚の計測位置は、口部を除きパネル部より上の肩部近傍までを下から等間隔で区切ることにより設定される14箇所(1〜14)であり、パネルの上部(軸方向でパネル上端からパネル中央より上の領域)にラベルを貼着した。位置7〜11がラベルが貼着されるパネル部に対応する。また、各表において、PL90−1,PL90−2がパネル部に対応する成形面であり、PL−1,PL−2は側面に対応する成形面の計測値である。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】
評価
各実施例、比較例の容器について、次のような評価を行った。なお、ラベルに関して、ラベル貼付位置は表裏ランダムとした。
1.ラベル剥がれの評価について
・試験方法
容量282ccの容器に85℃の水(ソースでも可)を270cc充填後、アルミシールで密閉し、ラベルを貼着。貼着後常温まで放冷した。放冷後におけるラベル剥がれ具合を確認した。
・評価基準
10本確認し、
剥がれ、浮きなし:○
浮き(3×3mm未満)あり:△
浮き(3×3mm以上)あり:×
剥がれあり:×
【0041】
2.耐衝撃性の評価について
・常温落下試験
容量282ccの容器に85℃の液体ソースを300g(約270cc)充填後、アルミシールをしてキャッピングした。常温で一日保管後、1m高さから縦方向、横方向の順に合計10回落下し、容器割れ発生を確認した。
・評価基準N=10本
割れなし:○
割れあり:×
・低温(過酷)落下試験
容量282ccの容器に85℃の液体ソースを300g(約270cc)充填後、アルミシールをしてキャッピング。−5℃で一日保管後、1.5m高さから縦方向、横方向の順に合計20回落下し、容器割れ発生を確認。
・評価基準N=10本
割れなし:◎
【0042】
結果を表9に示す。パネル部の肉厚を0.40mm〜0.50mmの範囲内とすることで、ラベル剥がれがなく、耐衝撃性についても良好な結果となっている。
【0043】
【表9】
【符号の説明】
【0044】
1 容器
2 胴部
3 口部
4 肩部
5 パネル部
6 ラベル
7 凹部

図1
図2
図3
図4