(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-151388(P2019-151388A)
(43)【公開日】2019年9月12日
(54)【発明の名称】プラスチックボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20190816BHJP
B65D 1/42 20060101ALI20190816BHJP
【FI】
B65D1/02 232
B65D1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-38928(P2018-38928)
(22)【出願日】2018年3月5日
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉良 剛
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊也
(72)【発明者】
【氏名】松竹 直斗
(72)【発明者】
【氏名】アリーシャ バゲット
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033CA02
3E033CA05
3E033DA03
3E033DB01
3E033DC10
3E033DD02
3E033DD20
3E033EA04
3E033EA05
3E033EA07
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】内部の圧力変化による変形に対する耐力を高めたプラスチックボトルを実現する。
【解決手段】底部4に凹部422を備えるプラスチックボトルであって、凹部422は、底部4からプラスチックボトルの内側に向けて突入し、凹部422の平面形状は、内角が鋭角である四つの凸頂点と、内角が180°を超え360°未満である二つの凹頂点と、を有する凹六角形であって、凸頂点に隣接する二つの頂点は一つの凸頂点および一つの凹頂点であり、かつ、凹頂点に隣接する二つの頂点は二つの凸頂点であるプラスチックボトル。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に凹部を備えるプラスチックボトルであって、
前記凹部は、前記底部から前記プラスチックボトルの内側に向けて突入し、
前記凹部の平面形状は、内角が鋭角である四つの凸頂点と、内角が180°を超え360°未満である二つの凹頂点と、を有する凹六角形であって、
前記凸頂点に隣接する二つの頂点は一つの前記凸頂点および一つの前記凹頂点であり、かつ、前記凹頂点に隣接する二つの頂点は二つの前記凸頂点であるプラスチックボトル。
【請求項2】
前記四つの凸頂点の内角は全て等しく、かつ、前記二つの凹頂点の内角は互いに等しい請求項1に記載のプラスチックボトル。
【請求項3】
前記底部において、複数の前記凹部が列状に配置されている請求項1または2に記載のプラスチックボトル。
【請求項4】
前記凹部列において、複数の前記凹部は、前記凹六角形の二つの前記凸頂点に挟まれる二つの辺の中心点どうしを結ぶ中心線の延長である中心軸に沿って、前記中心軸を一致させるように、互いに隣接して配置され、
少なくとも二つの前記凹部列が、前記中心軸が互いに平行に並ぶように設けられている請求項3に記載のプラスチックボトル
【請求項5】
少なくとも二つの前記凹部列は、互いに隣接する第一凹部列と第二凹部列とを含み、
前記第一凹部列と前記第二凹部列とは、前記中心軸に沿う方向に互いにオフセットされて配置されており、当該オフセットの幅は前記中心線の長さの40〜60%に相当し、
前記第一凹部列に属する隣接する二つの前記凹部の隣接する一つずつの前記凸頂点が、前記第二凹部列に属する前記凹部の前記凹頂点の平面視における外側に、平面視において嵌入するように配置されている請求項4に記載のプラスチックボトル。
【請求項6】
前記凸頂点の内角は60°を越え80°以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項7】
前記凹部は、前記底部から前記プラスチックボトルの内側に向けて、0.5〜2.5mm突入している請求項1〜6のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項8】
前記凹六角形の対角線のうち長さが最大の対角線の長さは3〜8mmである請求項1〜7のいずれか1項の記載のプラスチックボトル。
【請求項9】
前記底部は、前記プラスチックボトルの接地部から前記プラスチックボトルの径方向内側に向かうにつれて前記プラスチックボトルの内側に突入するドーム部を有し、前記凹部は前記ドーム部からさらに前記プラスチックボトルの内側に突入するように設けられている請求項1〜8のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の凹部が列状に配置された凹部列を少なくとも二つ有する底部を備えるプラスチックボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックボトルに充填された飲料の製造および流通の過程において、プラスチックボトル内部の圧力の変化に起因して、プラスチックボトルが変形する不具合が生じる場合がある。このような変形の原因となる圧力変化の例としては、温度変化による膨張および収縮に起因して内圧が変化することや、飲料を充填する際に大気圧より高い液圧が印可されること、などが挙げられる。これらの圧力の変化に起因する変形を未然に防ぐために、プラスチックボトルの底部の強度を向上するための種々の工夫が行われている。
【0003】
かかる工夫の例として、特許文献1には、プラスチックボトルの底面からプラスチックボトルの内側方向に凹入する凹入部を設け、かかる凹入部からさらにプラスチックボトルの内側方向に凹入する略球状のリブを複数放射状に配置するプラスチックボトルが開示されている。当該プラスチックボトルは、略球状のリブを備えることで、熱収縮や内容物の自重に起因する底部の変形に対する耐力を獲得している。
【0004】
また、特許文献2には、底部に、複数のリブを有する可動壁部を設けたプラスチックボトルが開示されている。当該プラスチックボトルは、可動壁部がプラスチックボトルの内圧変化に速やかに対応して変形することで、プラスチックボトルの他の部分の変形を防ぐ効果を実現している。当該プラスチックボトルにおいては、可動壁部が複数のリブを有することによって、可動壁部の圧力変化吸収性能を高めることに成功している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−112729号公報
【特許文献2】国際公開第2012/43362号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1、2のような技術では、温度変化や自重などの自然に生じる圧力変化による変形に対する耐力は十分に獲得するに至っているが、より大きな圧力変化、たとえば、飲料を充填する際に機械的に印加される液圧に起因する圧力変化、に対しては耐力が不足し、その底部が内圧によって下方向に押し出される態様でボトルが変形する場合があった。そのため、充填工程において飲料に印加する液圧を、プラスチックボトルが変形しない範囲に制限する必要が生じ、そのような制限は飲料製品の生産性を損なうおそれがあった。
【0007】
そこで、内部の圧力変化による変形に対する耐力を高めたプラスチックボトルの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るプラスチックボトルは、底部に凹部を備えるプラスチックボトルであって、前記凹部は、前記底部から前記プラスチックボトルの内側に向けて突入し、前記凹部の平面形状は、内角が鋭角である四つの凸頂点と、内角が180°を超え360°未満である二つの凹頂点と、を有する凹六角形であって、前記凸頂点に隣接する二つの頂点は一つの前記凸頂点および一つの前記凹頂点であり、かつ、前記凹頂点に隣接する二つの頂点は二つの前記凸頂点であることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、凹部が、中心軸に沿う方向の荷重にも、中心軸と直交する方向の荷重にも、追随して変形することができるため、良好な圧力変化吸収性能を実現することができる。
【0010】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0011】
本発明に係るプラスチックボトルは、一態様として、前記四つの凸頂点の内角は全て等しく、かつ、前記二つの凹頂点の内角は互いに等しいことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、凹部が対称性の高い平面形状を有することで、荷重に追随して変形する際に対称性良く変形することができ、圧力変化吸収性能が高まる。
【0013】
本発明に係るプラスチックボトルは、一態様として、前記底部において、複数の前記凹部が列状に配置されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、複数の凹部どうしが協同的に作用することで、圧力変化吸収性能が高まる。
【0015】
本発明に係るプラスチックボトルは、一態様として、前記凹部列において、複数の前記凹部は、前記凹六角形の二つの前記凸頂点に挟まれる二つの辺の中心点どうしを結ぶ中心線の延長である中心軸に沿って、前記中心軸を一致させるように、互いに隣接して配置され、少なくとも二つの前記凹部列が、前記中心軸が互いに平行に並ぶように設けられていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、複数の凹部列に属する複数の凹部どうしが協同的に作用することで、さらに圧力変化吸収性能が高まる。
【0017】
本発明に係るプラスチックボトルは、一態様として、少なくとも二つの前記凹部列は、互いに隣接する第一凹部列と第二凹部列とを含み、前記第一凹部列と前記第二凹部列とは、前記中心軸に沿う方向に互いにオフセットされて配置されており、当該オフセットの幅は前記中心線の長さの40〜60%に相当し、前記第一凹部列に属する隣接する二つの前記凹部の隣接する一つずつの前記凸頂点が、前記第二凹部列に属する前記凹部の前記凹頂点の平面視における外側に、平面視において嵌入するように配置されていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、隣接する凹部どうしが互いに嵌入する構造を有することによって、凹部の底面に沿う方向の運動が規制される。その結果、底部の変形が妨げられるので、プラスチックボトルは変形を起こしうる荷重に対する耐力を獲得し、プラスチックボトル全体の変形を防ぐ効果が得られる。
【0019】
本発明に係るプラスチックボトルは、一態様として、前記凸頂点の内角は60°を越え80°以下であることが好ましい。
【0020】
凹部の平面形状が上記の範囲を満たす場合は、圧力変化吸収性能をより高めることができる。
【0021】
本発明に係るプラスチックボトルは、一態様として、前記凹部は、前記底部から前記プラスチックボトルの内側に向けて、0.5〜2.5mm突入していることが好ましい。
【0022】
凹部の深さが上記の範囲を満たす場合は、圧力変化吸収性能をより高めることができる。
【0023】
本発明に係るプラスチックボトルは、一態様として、前記凹六角形の対角線のうち長さが最大の対角線の長さは3〜8mmであることが好ましい。
【0024】
凹部の平面形状が上記の範囲を満たす場合は、圧力変化吸収性能をより高めることができる。
【0025】
本発明に係るプラスチックボトルは、一態様として、前記底部は、前記プラスチックボトルの接地部から前記プラスチックボトルの径方向内側に向かうにつれて前記プラスチックボトルの内側に突入するドーム部を有し、前記凹部は前記ドーム部からさらに前記プラスチックボトルの内側に突入するように設けられていることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、ドーム部による耐圧力と、凹部による圧力変化吸収性能とを併せて利用できるので、プラスチックボトルの圧力に対する耐力をより高めることができる。
【0027】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図9】プラスチックボトルの底部に設けられた凹部底部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係るプラスチックボトルの実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係るプラスチックボトル100は、
図1に示すように、液体の注ぎ口としての口部1と、口部1と連続し底面方向に向かうにつれて徐々に拡径する肩部2と、肩部2と連続する円筒状の胴部3と、プラスチックボトル100の底となる底部4と、から構成されている。なお、以下の説明において、プラスチックボトル100の表面に設けられる各構造物の「深さ」を、プラスチックボトル100の表面から内部へと突入する深さであるものと定義する。
【0030】
なお、本実施形態に係るプラスチックボトル100は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を主材料として、二軸延伸ブロー成形などの延伸成形法によって一体的に成形することができる。プラスチックボトル100の容量は特に限定されず、一般的に流通している280mL、350mL、500mLなど、200mL〜2L程度とすることができる。また、プラスチックボトル100に充填させる液体は特に限定されず、たとえば、飲料水、茶、果汁、コーヒー、ココア、清涼飲料水、アルコール飲料、乳飲料、スープなどの飲料や、ソースや醤油などの液体調味料など、が挙げられる。
【0031】
〔リブ構造〕
胴部3の上部領域3aには、凹状の主周リブ31が設けられている。また、胴部3の上部領域3aおよび下部領域3cには、凹状の副周リブ32が設けられている。
図2に示すように、主周リブ31は、副周リブ32に比べて、深さおよび上下方向の幅が大きくなるように形成されている。
【0032】
図3に示すように、主周リブ31は、プラスチックボトル100の周方向に沿って深さが連続的に変化する波状の水平断面形状を有し、その深さは、最大値が4.5mmであり、最小値が3.5mmである。主周リブ31には、深さが最大値を取る点31aと、深さが最小値を取る点31bと、が、それぞれ7箇所ずつあり、主周リブ31の水平断面形状は、深さが最大値を取る点31aと深さが最小値を取る点31bとを交互に滑らかに結んだ波状の形状である。すなわち、当該水平断面形状は、深さが最大値を取る点31aの周辺において前記プラスチックボトルの外側方向に凸であり、深さが最小値を取る点31bの周辺において前記プラスチックボトルの内側方向に凸であり、深さが最大値を取る点31aと深さが最小値を取る点31bとの間に変曲点を有する閉曲線である。
【0033】
主周リブ31の上下方向の幅は、深さが最大値を取る点31aにおいて8.0mmであり、深さが最小値を取る点31bにおいて7.2mmである。
【0034】
図1、2に示すように、副周リブ32は複数設けられてよく、本実施形態では副周リブ32が、上部領域3aに三つ、下部領域3cに二つ、それぞれ設けられている。また、本実施形態では、副周リブ32は円状の水平断面形状を有し、深さが1.5mmであり、上下方向の幅が4.9mmである。
【0035】
プラスチックボトル100に水平方向の荷重が加わると、当該荷重はプラスチックボトル100の水平断面形状が楕円形上に変形しうる。しかし、本実施形態に係るプラスチックボトル100は、主周リブ31が波状の水平断面形状を有することにより荷重が集中しにくい構造を実現しているので、プラスチックボトル100の変形が起こりにくい。
【0036】
また、プラスチックボトル100に上下方向の荷重が加わった場合も、プラスチックボトルが上下方向に変形しうる。しかし、本実施形態に係るプラスチックボトル100は、深さおよび幅が異なる主周リブ31と副周リブ32とを備えることで、これらのリブが共同してバネ状に働き、上下方向の荷重を緩和する作用を発現するので、プラスチックボトル100の変形が起こりにくい。
【0037】
〔パネル構造〕
胴部3の中部領域3bには、径方向に窪んだパネル33が、中部領域3bの周方向に並んで複数(本実施形態では六つ)等間隔で形成されている。
図5に示すように、パネル33は、中部領域3bの上下方向に延びる形状であって、プラスチックボトル100の中心軸を中心として周方向にねじれる形状で設けられている。また、パネル33の周囲には胴部基準面34が形成されている。
【0038】
図5〜7に示すように、パネル33は、パネル第一凹部33a、パネル第二凹部33b、および、パネル凸部33c、を有する。パネル第一凹部33aは平面状の形状を有し、胴部基準面34からプラスチックボトル100の内側に向けて陥没するように設けられている。パネル第二凹部33bは、パネル第一凹部33aの周方向の中央に、パネル第一凹部33aからさらにプラスチックボトル100の内側に向けて陥没するように設けられている。
【0039】
パネル凸部33cは、パネル第一凹部33aの上下方向の両端部が、パネル第一凹部33aの周方向の全幅にわたって、パネル第一凹部33aからプラスチックボトル100の外側に向かって凸となる湾曲面として形成されている。なお、パネル凸部33cの上下方向の幅は、パネル凸部33cの周方向の両端部において最も小さく、パネル凸部33cの周方向の中央部において最も大きい。
【0040】
二つのパネル第一凹部33aから延長する二つの胴部基準面34が会合する部分に、峰状部34aが形成される。胴部基準面34の、プラスチックボトル100の中心軸からの距離は、峰状部34aにおいて最大となる。
【0041】
従来のプラスチック製のボトルに設けられている減圧吸収部は、ボトルに飲料を充填するために加圧する際に径方向外側へ変形しやすい、ボトル成形時に収縮による凹み(いわゆるヒケ)を起こしやすい、などの強度上の課題を有していた。本実施形態に係るプラスチックボトル100は、パネル凸部33cを有することでパネル33の補強を実現しており、上記のような変形による不具合が起こりにくい。
【0042】
〔底部構造〕
図5、8、9に示すように、底部4には、机などの設置面に対して接地する接地部41と、接地部41から径方向内側に向かうにつれてプラスチックボトル100の内側(
図5における上方)に突入するドーム部42と、が形成されている。ドーム部42の中央部には平坦な形状を有するドーム中央部421が設けられ、ドーム中央部421の外側から接地部41の内側にわたって複数の底部凹部422(凹部の例)が設けられている。底部凹部422はドーム部42からさらにプラスチックボトル100の内側に突入する。
【0043】
図9に示すように、底部凹部422は、平面視において、内角が70°である四つの凸頂点422aと、内角が220°である二つの凹頂点422bと、を有する凹六角形状(いわゆるボウタイ状)の形状を有する。ここで、凸頂点422aに隣接する二つの頂点は凸頂点422aおよび凹頂点422bであり、凹頂点422bに隣接する二つの頂点は二つの凸頂点422aである。なお、当該凹六角形の各辺はいずれも3mmであり、当該凹六角形の対角線のうち長さが最大の対角線の長さは6mmである。また、底部凹部422の深さは1.2mmである。
【0044】
図8、9に示すように、底部凹部422は、複数の底部凹部422が列状に配置された底部凹部列423(凹部列の例)を形成する。底部凹部列423において、複数の底部凹部422は、二つの凸頂点422aに挟まれる二つの辺の中心点どうしを結ぶ中心線C
Lの延長である中心軸C
Aに沿って、中心軸C
Aを一致させるように、互いに隣接して配置されている。
【0045】
図8、9に示すように、複数の底部凹部列423は、それぞれの中心軸C
Aが互いに平行に並ぶように配置されている。また、互いに隣接する二つの底部凹部列423a、423b(第一凹部列および第二凹部列の例)は、中心軸C
Aに沿って互いにオフセットされて配置されており、そのオフセットの幅は中心線C
Lの長さ(5.2mm)の半分に相当する2.6mmである。なお、ここで「オフセット」の用語は、一方の底部凹部列423aに属する底部凹部422の2つの凹頂点422bどうしを結ぶ直線が隣接する他方の底部凹部列423bに属する底部凹部422の2つの凹頂点422bどうしを結ぶ直線と一致しないように、複数の底部凹部列423を配置することを表し、「オフセットの幅」の用語は、当該直線どうしの離間距離を表す。
【0046】
さらに、互いに隣接する三つの底部凹部422が、二つの凸頂点422aと、一つの凹頂点422bと、を近接させる態様で配置されている。換言すれば、底部凹部列423aに属する隣接する二つの底部凹部422の隣接する一つずつの凸頂点422aが、底部凹部列423bに属する底部凹部422の凹頂点422bの平面視における外側に、平面視において嵌入するように配置されている(
図9のA部)。かかる嵌入構造は、三つの底部凹部422が隣接する全ての場所に形成されている。
【0047】
本実施形態に係るプラスチックボトル100は、底部凹部422が上述のごとく互いに嵌入する構造を有することによって、底部凹部422の底面に沿う方向の運動が規制され、その結果、底部4の変形が妨げられる。これによってプラスチックボトル100は変形を起こしうる荷重に対する耐力を獲得し、プラスチックボトル100の全体が変形しにくくなる効果が得られる。
【0048】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係るプラスチックボトルのその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0049】
上記の実施形態では、主周リブ31が一つ設けられている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係るプラスチックボトルは複数の周リブを備えていてもよい。ただし、上下方向の荷重を緩和する作用を有効に発現する観点から、上記の実施形態のように、主周リブを一つ有することが好ましく、主周リブに加えて少なくとも一つの副周リブを有することが好ましく、主周リブに加えて少なくとも五つの副周リブを有することがさらに好ましい。
【0050】
上記の実施形態では、主周リブ31が、深さが最大値を取る点31aと、深さが最小値を取る点31bと、を、それぞれ7箇所ずつ有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、主周リブの深さが最大値を取る点と最小値を取る点とは、同数かつ複数であれば任意の数であってよい。ただし、水平方向の荷重の集中を避ける作用を良好に発言できることから、主周リブの深さが最大値を取る点と最小値を取る点とを、それぞれ6〜9箇所ずつ有することが好ましい。
【0051】
上記の実施形態では、主周リブ31の深さの最大値が4.5mmであり、最小値が3.5mmである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、周リブの深さの最大値は4.0〜5.5mmであってよく、最小値は最大値より0.5〜1.5mm小さくてよい。なお、周リブの深さの最大値は4.1〜5.2mmであることが好ましく、4.2〜5.0mmであることがさらに好ましい。また、周リブの深さの最小値は最大値より0.6〜1.4mm小さいことが好ましく、0.7〜1.3mm小さいことがさらに好ましい。
【0052】
上記の実施形態では、主周リブ31の上下方向の幅が、深さが最大値を取る点31aにおいて8.0mmであり、深さが最小値を取る点31bにおいて7.2mmである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、周リブの上下方向の幅は、6〜9mmであってよい。なお、周リブの上下方向の幅は、6.2〜8.8mmであることが好ましく、6.5〜8.5mmであることがさらに好ましい。
【0053】
上記の実施形態では、二つのパネル第一凹部33aから延長する二つの胴部基準面34が会合する部分に、峰状部34aが形成される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、たとえば、二つの胴部基準面が会合する領域に平面状の接続部を設けてもよい。
【0054】
上記の実施形態では、パネル第一凹部33aが平面状の形状を有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、たとえば、パネル第一凹部は減圧吸収のためのリブを有していてもよい。
【0055】
上記の実施形態では、凸頂点422aの内角が70°であり、凹頂点422bの内角が220°である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、凸頂点の内角は60°を越え80°以下であってよい。なお、凸頂点の内角は63°以上87°以下であることが好ましく、65°以上75°以下であることがさらに好ましい。
【0056】
上記の実施形態では、凹六角形の対角線のうち長さが最大の対角線の長さが6mmである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、当該対角線の長さは3〜8mmであってよい。なお、当該対角線の長さは4〜7mmであることが好ましく、5〜7mmであることがさらに好ましい。
【0057】
上記の実施形態では、底部凹部422の深さが1.2mmである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、底部凹部の深さは0.6〜2.4mmであってよい。なお、底部凹部の深さは0.5〜2.5mmであることが好ましく、0.7〜2.3mmであることがより好ましい。
【0058】
上記の実施形態では、互いに隣接する二つの底部凹部列423a、423bのオフセット幅が2.6mmであり、中心線C
Lの長さ(5.2mm)の半分である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、オフセットの幅は中心線の長さの40〜60%であってよい。なお、オフセットの幅は中心線の長さの45〜55%であることが好ましく、48〜52%であることがより好ましく、50%であることが特に好ましい。
【0059】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、たとえば清涼飲料水の容器に利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
100 :プラスチックボトル
1 :口部
2 :肩部
3 :胴部
3a :胴部の上部領域
3b :胴部の中部領域
3c :胴部の下部領域
31 :主周リブ
32 :副周リブ
33 :パネル
33a :パネル第一凹部
33b :パネル第二凹部
33c :パネル凸部
34 :胴部基準面
34a :峰状部
4 :底部
41 :接地部
42 :ドーム部
421 :ドーム中央部
422 :底部凹部
422a :底部凹部の凸頂点
422b :底部凹部の凹頂点
423(423a、423b) :底部凹部列
C
A :中心軸
C
L :中心線
A :底部凹部の相互嵌入部