【解決手段】本発明によれば、容器であって、側壁と、上ヒンジ部材と、上壁を備え、前記上ヒンジ部材と前記側壁は、第1回転軸を中心に回転可能に連結され、前記上ヒンジ部材と前記上壁は、第2回転軸を中心に回転可能に連結され、第1及び第2回転軸は、平行である、容器が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
1.全体構成
図1に示すように、本実施形態の容器1は、組立式の保冷コンテナである。容器1は、底部材2と、互いに対向する一対の長側壁3と、互いに対向する一対の短側壁4と、第1及び第2上壁5,6を備える。これらの部材は、発泡体を樹脂シートでサンドイッチしたサンドイッチ構造であることが強度、断熱性、軽量性等の観点から好ましいが、別の構成であってもよく、中空の二重壁構造や、発泡体のみで構成される構造であってもよい。
【0012】
容器1は、略直方体形である。底部材2と、上壁5,6は、互いに対向する。一対の短側壁4は、一対の長側壁3の間に配置される。一対の長側壁3と一対の短側壁4によって、容器1の側壁が構成される。上壁5,6によって容器1の蓋が構成される。これらの部材は、容器1の密閉性が高まるように、部材間に隙間が設けられないように互いに連結される。
【0013】
以下の説明において、上・下・左・右・前・後は、
図1〜
図2に示すように定義する。すなわち、上壁5の主面に垂直な方向において、上壁5側を「上」、底部材2側を「下」とし、長側壁3の主面に垂直な方向において手前側を「前」、奥側を「後」とし、短側壁4の主面に垂直な方向において
図1の左側を「左」、右側を「右」とする。「上」・「下」に向かうことをそれぞれ「高くなる」・「低くなる」とも表現する。また、「対向」は、好ましくは、平行になるように対向する。
【0014】
図2に示すように、長側壁3は、下ヒンジ部材7を介して底部材2に回転可能に連結される。短側壁4は、直接、底部材2に回転可能に連結される。上壁5,6は、それぞれ、上ヒンジ部材8を介して長側壁3に回転可能に連結される。長側壁3と短側壁4は、連結機構9において、互いに連結される。底部材2は、底壁2qと、底壁2qの周囲から立ち上がる周囲壁2iを備える。
【0015】
短側壁4には、持ち手となる凹部4pが設けられている。容器1は、凹部4pに指を引っ掛けて持ち上げることができる。また、長側壁3には、持ち手となる凹部3pが設けられている。40L程度の大型の容器の場合、左右の短側壁4の凹部4pに指を引っ掛けて持ち上げるには、腕の長さが足りない場合がある。そのような場合、長側壁3の凹部3pに指を引っ掛けて容器1を持ち上げることができる。また、上壁5,6には、凹部5k,6kが設けられている。凹部3pに指を引っ掛ける際に、親指を凹部5k,6kに収めるようにすることによって、親指の滑りが抑制され、容器1を持ち上げやすくなる。
【0016】
上壁5,6の上面側には、凸部5r,6rが設けられている。凸部5r,6rは、
図6に示すように上壁5,6を開いたときに、凹部3pに対向する位置に設けられている。また、凸部5r,6rは、凹部3pに嵌合可能に構成されている。上壁5,6を開いたときに凸部5r,6rを凹部3pに嵌合させることによって、上壁5,6が長側壁3に対してスライド移動することが抑制される。例えば、
図8のように折り畳んだ状態においては、凸部5r,6rと凹部3pの嵌合によって、上壁5,6が長側壁3に対して前後方向中央に向かって相対移動することが抑制されている。なお、上壁5,6が長側壁3に対して前後方向外側に向かって相対移動することは、上ヒンジ部材8によって抑制されている(
図22Aを参照)。
【0017】
図4に示すように、底部材2の下面2aには、一対の凹部2rと一対の凹部2sが設けられている。凹部2rは、凹部2sよりも前後方向の外側に設けられている。凹部2rは、容器1を組み立てた状態で積み重ねたときに凸部5r,6rと嵌合する。これによって、容器1を安定して積み重ねることが可能になっている。
【0018】
上壁5,6には、凸部5r,6rが設けられた面の反対側の面に、
図8に示すように、凸部5s,6sが設けられている。凸部5s,6sは、
図8に示すように、容器1を折り畳んだ状態で上壁5,6の上側に向けられる。凸部5s,6sは、容器1を折り畳んだ状態で積み重ねたときに凹部2sと嵌合する。これによって、容器1を安定して積み重ねることが可能になっている。
【0019】
2.上壁5,6の構成
図2〜
図3に示すように、上壁5,6は、互いに重なる重なり部5h,6hを備える。重なり部5h,6hでは、上壁5,6の合計厚さが、重なり部5h,6hに隣接した隣接部5i,6iでの上壁5,6の厚さと同じになっている。上壁5は、重なり部5hの先端に向かって低くなる傾斜面5bを有する。上壁6は、重なり部6hの先端に向かって高くなる傾斜面6bを有する。傾斜面5b,6bの傾斜角度は同一であることが好ましいが、異なっていてもよい。傾斜面5b,6bの傾斜角度が異なる場合、傾斜面5bの傾斜角度>傾斜面6bの傾斜角度であることが好ましい。傾斜面5b,6bが当接することによって、上壁5,6の間に隙間が形成されることが妨げられる。また、上壁5が上方から押圧されると、傾斜面5bが傾斜面6b上を滑ることによって上壁5が上壁6に近づく方向の力が加わる。このため、容器1を重ねることによって上壁5が上方から押圧されても上壁5,6の間に隙間が形成されることが抑制される。
【0020】
図3に示すように、傾斜面5bの傾斜角度αは、上面5c(容器1を水平面に載置したときは水平面)に対して1〜45度が好ましい。この角度が小さすぎると、上壁5,6の間に隙間が形成されやすくなる。この角度が大きすぎると、傾斜面5b,6bが噛み合って上壁5,6を開きにくくなる場合がある。傾斜角度αは、具体的には例えば、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0021】
上壁5,6を閉じた状態では、重なり部5hの先端面5aが隣接部6iの先端面6gに対向し、重なり部6hの先端面6aが隣接部5iの先端面5gに対向する。先端面5a,5g,6a,6gは、上壁5,6を閉じる際に干渉しにくいように傾斜するテーパー面になっている。傾斜面6bの基端には、溝6cが設けられている。溝6cを設けることによって、結露などで上壁5,6についた水が溝6cを伝って短側壁4に向かって流れやすくなっている。また、溝6cの底面は、左右方向の中央から端に向かって低くなるように傾斜しており、水がより一層流れやすくなっている。
【0022】
3.底部材2の下面2aの構成
図4〜
図5に示すように、底部材2の下面2aには、前後方向に中央において、左右方向の両端近傍に凹部2bが設けられている。凹部2bは、最深部2cから端に向かって浅くなっており、途中には段差2dが設けられている。容器1を持ち上げる際には、指の先端を最深部2cに置いて指が段差2dに引っかかるようにすると、指が滑って容器1を落下させてしまうことを防ぐことができる。また、両端近傍の凹部2bを繋ぐように溝2eが設けられている。溝2eは凹部2bよりも浅く形成されている。溝2eにベルトを引っ掛けて容器1を持ち上げることが可能になっている。
【0023】
4.容器1の畳み方
容器1の畳み方について説明する。
まず、
図1の状態から上壁5,6を開いて
図6の状態にする。
図1の状態では、短側壁4の上端に設けられた凸条4d(
図6に図示)が上壁5,6の下面5d,6dに設けられた溝6e(
図6に図示)に係合していて、短側壁4と上壁5,6の間に隙間ができないようになっている。このため、この状態では、短側壁4を回転させることはできないが、上壁5,6を開くことによって、凸条4dと溝6eに係合が解除されて、短側壁4を回転させることが可能になる。上壁5,6は、上ヒンジ部材8を介して長側壁3に連結されているので、上壁5,6が長側壁3に平行になるまで、上壁5,6を回転させることが可能になっている。
【0024】
次に、
図6の状態から短側壁4を転倒させて
図7の状態にする。短側壁4は、
図11に示す突出軸4cを底部材2の軸受孔2fに係合させることによって底部材2に対して回転可能に連結されているので、短側壁4を容器1の中央に向けて押すことによって、短側壁4が軸受孔2fを中心に回転して容器1の内側に転倒した状態となる。また、短側壁4を容器1の中央に向けて押すことによって、長側壁3と短側壁4の間の連結機構9による連結が解除される。
【0025】
次に、
図7の状態から長側壁3を転倒させて
図8の状態にする。長側壁3は、下ヒンジ部材7を介して底部材2に対して回転可能に連結されているので、長側壁3を容器1の中央に向けて押すことによって、長側壁3が下ヒンジ部材7を中心に回転して容器1の内側に転倒した状態となる。
【0026】
以上の工程によって、容器1をコンパクトに畳むことができる。容器1を展開するときは、
図8の状態から長側壁3を起立させて
図7の状態にし、その状態から短側壁4を起立させて
図6の状態にすればよい。短側壁4を起立させる動作に連動して長側壁3と短側壁4が連結機構9によって連結されて、長側壁3と短側壁4が起立した状態が維持される。
【0027】
5.容器1の組み立て方
容器1の組み立て方について説明する。
【0028】
<短側壁4にラッチ構造体11を装着>
まず、
図9〜
図10に示すように、短側壁4の本体部4aにラッチ構造体11を装着する。ラッチ構造体11は、本体金具11a、付勢部材11bと、突出部材11cを備える。付勢部材11bは、例えば樹脂製の板バネである。本体金具11aは、収容凹部11a1と、係合凹部11a2を備える。付勢部材11bを収容凹部11a1内に配置した状態で突出部材11cを収容凹部11a1内に押し込むと、突出部材11cが弾性変形しながら突出部材11cの側面の突起11c1が本体金具11aの係止壁11a3を乗り越えて、付勢部材11bと突出部材11cが収容凹部11a1内に保持されて、ラッチ構造体11が得られる。突出部材11cは、付勢部材11bによって、収容凹部11a1の開口端から突出する方向に付勢されているが、突起11c1が係止壁11a3によって係止されることによって、突出部材11cが収容凹部11a1内に保持される。ラッチ構造体11は、本体部4aの側面に圧入して固定する。これによって、
図10Aに示す構造が得られる。
【0029】
<短側壁4と底部材2の連結>
図9及び
図11に示すように、短側壁4の下端には、断面略円弧状の凸条4bが設けられている。凸条4bは、前後方向(短側壁4の幅方向)に沿って延びる。凸条4bの両端には、突出軸4cが設けられている。底部材2の周囲壁2iのうち短側壁4が取り付けられる部位に隣接した位置に、凸条4bを収容する凹条2gが設けられている。凹条2gの両端には、軸受孔2fが設けられている。軸受孔2fに繋がるように傾斜する傾斜溝2hが設けられている。突出軸4cの先端を傾斜溝2hに当接させながら移動させて突出軸4cを軸受孔2fに係合させる。この際に、凸条4bが凹条2g内に収容される。これによって、短側壁4が底部材2に連結される。一対の短側壁4を底部材2に取り付けて、これらを転倒させると、
図12に示す状態となる。このような構成では、短側壁4が底部材2に対して回転しても短側壁4と底部材2の間に密着が維持されるので、短側壁4と底部材2に隙間が形成されることが抑制される。
【0030】
<長側壁3と下ヒンジ部材7の連結>
次に、
図12〜
図17に示すように、長側壁3の本体部3aに下ヒンジ部材7を装着する。下ヒンジ部材7は、ケース7aと、側壁係止部材7bと、底部材係止部材7cを備える。ケース7aは、本体部7a1と、蓋部7a2を備える。本体部7a1は、側壁係止部材7bと底部材係止部材7cを収容可能になっている。側壁係止部材7bは、一対の突出軸7b1と、その間に付勢部7b2を備える。底部材係止部材7cは、一対の突出部7c1と、その間に付勢部7c2を備える。突出軸7b1と突出部7c1が突出する方向は平行となっている。
【0031】
ケース7aは、平行な一対の側面7a3と、下面7a4と、その間の傾斜面(ヒンジ傾斜面)7a5を備える。突出軸7b1は、側面7a3に設けられた開口部を通ってケース7aから突出する。突出部7c1は、傾斜面7a5に設けられた開口部を通ってケース7aから突出する。下面7a4には、下方に向かって突出する下側突出部7a6が設けられている。
【0032】
ケース7aには、ガイド壁7a7及び凸条7a8が設けられている。突出部7c1は、ガイド壁7a7に沿ってスライド移動するように構成されている。また、突出部7c1は、2本の平行な凸条7a8に当接しながらスライド移動するので、スライド移動の際のガタツキが抑制される。突出部7c1の先端面7c3は、傾斜面7a5と略平行であることが好ましい。また、突出部7c1の下面7c4の先端7c5は、側面7a3を延長した面Pよりも内側であることが好ましい。このような構成によれば、下ヒンジ部材7を底部材2の収容凹部2jに装着しやすい。
【0033】
突出軸7b1は、付勢部7b2によって、ケース7aから突出する方向に付勢されている。突出部7c1は、付勢部7c2によって、ケース7aから突出する方向に付勢されている。突出軸7b1と付勢部7b2は、一体成形されていてもよく、別々の部材であってもよい。突出部7c1と付勢部7c2は、一体成形されていてもよく、別々の部材であってもよい。
【0034】
図13及び
図17に示すように、長側壁3の下端の内面側には、下ヒンジ部材7を収容する収容凹部3dが設けられている。収容凹部3dの幅は、下ヒンジ部材7の幅とほぼ同一である。収容凹部3dの幅方向の両側には突出軸7b1を軸受する軸受孔3eが設けられている。突出軸7b1を押圧して後退させた状態で下ヒンジ部材7を収容凹部3dに挿入して突出軸7b1を軸受孔3eに係合させることによって下ヒンジ部材7が長側壁3に回転可能に連結される。収容凹部3dは、長側壁3を貫通しておらず、収容凹部3dの前後方向外側には壁面3fがある。また、下ヒンジ部材7の上側には、突出軸7b1を中心とする円弧面7dが設けられている。収容凹部3d内の、円弧面7dが当接する部位は、円弧面7dと同一の曲率半径の円弧面3gになっている。このため、長側壁3は、円弧面7d,3gの当接を維持しながら、下ヒンジ部材7に対して回転する。このような構成によれば、長側壁3と下ヒンジ部材7の間に隙間が形成されることが抑制される。
【0035】
突出軸7b1の突出量をAとし、突出部7c1の突出量をBとすると、A≧Bであることが好ましく、A>Bであることがさらに好ましい。このように、突出軸7b1の突出量が比較的大きいので、突出軸7b1が安定して軸受孔3e内に保持される。
【0036】
<下ヒンジ部材7と底部材2の連結>
次に、
図12及び
図16〜
図17に示すように、下ヒンジ部材7を底部材2に連結する。下ヒンジ部材7は、下ヒンジ部材7を長側壁3に連結させる前に底部材2に連結してもよい。また、下ヒンジ部材7は、長側壁3と上壁5,6を上ヒンジ部材8で連結した後に底部材2に連結してもよい。
【0037】
底部材2の周囲壁2iの上端の内面側には、下ヒンジ部材7を収容する収容凹部2jが設けられている。収容凹部2jは、下ヒンジ部材7の傾斜面7a5及び下面7a4によって構成される形状と同一の形状を有する。収容凹部2jは、傾斜面(凹部傾斜面)2kと下面2lを有する。傾斜面2kは、収容凹部2jの幅が下方に向かって狭まるように傾斜する。下面2lは、一対の傾斜面2kの間に設けられる。下ヒンジ部材7は、一対の傾斜面2kによって挟まれるように収容凹部2jに挿入される。
【0038】
傾斜面2kには、突出部7c1に係合する係合孔(傾斜面係合孔)2mが設けられている。下面2lには、下側突出部7a6に係合する係合孔(下面係合孔)2nが設けられている。下ヒンジ部材7を収容凹部2jに挿入すると、突出部7c1が係合孔2mの位置に到達するまでは突出部7c1が傾斜面2kによって押されることによって後退し、突出部7c1が係合孔2mの位置に到達すると付勢部7c2による付勢力によって突出部7c1が突出することによって突出部7c1が係合孔2mに係合される。この際、下側突出部7a6が係合孔2nに係合する。このような構成によれば、下ヒンジ部材7を収容凹部2jに対して上方から押し付けるだけで、下ヒンジ部材7を収容凹部2jに対して連結させることができるので、組み立て効率が非常に優れている。また、収容凹部2jは、周囲壁2iを貫通しておらず、収容凹部2jの前後方向外側には壁面2oがある。このため、下ヒンジ部材7と底部材2の間に隙間が形成されることが抑制される。
【0039】
図14及び
図17に示すように、下ヒンジ部材7の外側面は、底部材2に当接する部位に凹部7eが設けられている。この部位に凹部7eを設けることによって、壁面2oの厚さを厚くすることが可能になっている。底部材2が発泡体を一対の樹脂シートで挟んだサンドイッチ構造である場合、底部材2は、上下方向に開閉する分割金型を用いて製造可能である。この場合、壁面2oが薄すぎると、壁面2oに発泡体を配置することが困難になる。そこで、下ヒンジ部材7に凹部7eを設けることによって、壁面2oの厚さを厚くすることを可能にしている。また、凹部7eを設けるために、突出部7c1の位置は、突出軸7b1よりも容器1の中央側に寄っている。
【0040】
図17に示すように、底部材2の周囲壁2iの上端には凸条2pが設けられており、長側壁3の下端には凸条3hが設けられている。凸条3hは、凸条2pよりも外側に配置され、凸条3hと凸条2pの側面同士が当接している。このような構成によれば、底部材2と長側壁3の間に隙間が形成されることが抑制される。
【0041】
<長側壁3と短側壁4の連結>
次に、
図12及び
図18〜
図19に示すように、長側壁3の本体部3aに係合金具3bを装着する。係合金具3bは、圧入によって装着可能である。係合金具3bは、本体部3aの内面から突出する係合凸部3cに隣接した位置に装着される。ラッチ構造体11と、係合金具3bと、係合凸部3cによって連結機構9が構成される。
図7に示す状態から短側壁4を起立させると、
図10に示す突出部材11cが係合凸部3cに当接し、突出部材11cが係合凸部3cに押されて後退しながら係合凸部3cを乗り越える。
【0042】
突出部材11cが係合凸部3cを乗り越えると、
図19に示すように、突出部材11cが再度突出して、長側壁3と短側壁4が連結機構9によって連結される。このような方法で連結させると、容器の組み立てズレが生じにくい。また、この状態では、短側壁4が転倒しようとすると、突出部材11cが係合凸部3cに当接するので、短側壁4の転倒が抑止される。また、この際に、係合金具3bの係合突部3b1が本体金具11aの係合凹部11a2に入り込み、係合突部3b1が本体金具11aに当接することによって短側壁4がさらに開かないようになっている。このような作用によって、短側壁4の起立状態が維持可能になっている。また、この状態では、長側壁3の凸条3i(
図18に図示)が短側壁4の凸条4e(
図19に図示)よりも外側に配置され、凸条3iと凸条4eの側面同士が当接している。このような構成によれば、長側壁3と短側壁4の間に隙間が形成されることが抑制される。
【0043】
ラッチ構造体11が設けられていない容器では、短側壁4が完全に起立していない状態で上壁5,6を閉じてしまう虞がある。そのような状態で上壁5,6を閉じると、短側壁4の凸条4dと上壁5,6の溝6eが干渉して削れてしまって密閉性が低下してしまう虞がある。一方、本実施形態では、ラッチ構造体11が設けられているので、短側壁4が完全に起立した状態で上壁5,6を閉じることができ、凸条4dと溝6eの干渉を抑制することができる。本実施形態の容器1は、繰り返し開閉及び折り畳み動作を行うことが想定されていて、このような場合に、凸条4dと溝6eの干渉による削れが顕著になりやすいので、ラッチ構造体11を設けることの技術的意義が特に大きい。
【0044】
短側壁4を転倒させたいときには、短側壁4を転倒させる方法に強い力を加えると、突出部材11cが後退しながら係合凸部3cを乗り越えることによって連結機構9による連結が解除されて、短側壁4が転倒可能になる。
【0045】
<長側壁3と上壁5,6の連結>
次に、
図12及び
図20〜
図22に示すように、長側壁3と上壁5,6を連結する。一方の長側壁3と上壁5を連結し、他方の長側壁3と上壁6を連結する。長側壁3と上壁6の連結構造は、長側壁3と上壁5の連結構造と同じなので、以下、長側壁3と上壁5の連結を例に挙げて説明する。
【0046】
長側壁3と上壁5は、上ヒンジ部材8を介して連結される。上ヒンジ部材8は、ケース8aと、上壁係止部材8bと、側壁係止部材8cを備える。ケース8aは、本体部8a1と、蓋部8a2を備える。本体部8a1は、上壁係止部材8bと側壁係止部材8cを収容可能になっている。上壁係止部材8bは、一対の突出軸8b1と、その間に付勢部8b2を備える。側壁係止部材8cは、一対の突出軸8c1と、その間に付勢部8c2を備える。突出軸8b1,8c1は、ケース8aの側面に設けられた開口部を通ってケース8aから突出する。突出軸8b1,8c1は、平行に延びる。突出軸8b1,8c1は、付勢部8b2,8c2によって、ケース8aから突出する方向に付勢されている。突出軸8b1と付勢部8b2は、一体成形されていてもよく、別々の部材であってもよい。突出軸8c1と付勢部8c2は、一体成形されていてもよく、別々の部材であってもよい。ケース8aには、上ヒンジ部材8の回転を規制する回転規制部8a3が設けられている。
【0047】
図20B及び
図22に示すように、長側壁3の上端の外面側には、上ヒンジ部材8を収容する収容凹部3jが設けられている。収容凹部3jの幅は、上ヒンジ部材8の幅とほぼ同一である。収容凹部3jの幅方向の両側には突出軸8c1を軸受する軸受孔3kが設けられている。突出軸8c1を押圧して後退させた状態で上ヒンジ部材8を収容凹部3jに挿入して突出軸8c1を軸受孔3kに係合させることによって上ヒンジ部材8が長側壁3に回転可能に連結される。収容凹部3jは、長側壁3を貫通しておらず、収容凹部3jの前後方向内側には壁面3lがある。また、上ヒンジ部材8には、突出軸8c1を中心とする円弧面8dが設けられている。収容凹部3j内の、円弧面8dが当接する部位は、円弧面8dと同一の曲率半径の円弧面3mになっている。このため、上ヒンジ部材8は、円弧面8d,3mの当接を維持しながら、長側壁3に対して回転する。このような構成によれば、上ヒンジ部材8と長側壁3の間に隙間が形成されることが抑制される。
【0048】
図20B及び
図22に示すように、上壁5の基端には、上ヒンジ部材8を収容する収容凹部5fが設けられている。収容凹部5fの幅は、上ヒンジ部材8の幅とほぼ同一である。収容凹部5fの幅方向の両側には突出軸8b1を軸受する軸受孔5jが設けられている。突出軸8b1を押圧して後退させた状態で上ヒンジ部材8を収容凹部5fに挿入して突出軸8b1を軸受孔5jに係合させることによって上ヒンジ部材8が上壁5に回転可能に連結される。
【0049】
以上の工程によって、長側壁3と上壁5,6が連結され、
図6に示すように組み立てられた容器1が得られる。
【0050】
6.上壁5,6の閉じ方
図22に示すように、上壁5は、突出軸8b1を中心に上壁5を回転させながら、突出軸8c1を中心に上ヒンジ部材8を回転させることによって閉じることができる。突出軸8b1,8c1が回転軸となる。上壁6も同様である。
【0051】
本実施形態では、上ヒンジ部材8には、突出軸8c1の下側に回転規制部8a3が設けられており、回転規制部8a3が収容凹部3jの下面3j1に当接することによって上ヒンジ部材8がさらに回転しないようになっている。このため、突出軸8b1の位置は、常に、突出軸8c1よりも高くなる。このため、
図22B〜
図22Cに示すように、上壁5を把持して回転させる際に、突出軸8c1を中心に上ヒンジ部材8が回転されやすいので、上ヒンジ部材8がスムーズに回転して、上壁5をスムーズに閉じることができる。
【0052】
突出軸8b1,8c1を通る面は、長側壁3の外面3oに対する角度βが91〜135度であることが好ましく、100〜120度であることがさらに好ましく、具体的には例えば、91、95、100、105、110、115、120、125、130、135度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0053】
仮に、
図23に示すように、上ヒンジ部材8に回転規制部がない場合、突出軸8b1が突出軸8c1と同じか、突出軸8c1よりも低い位置になった時点で、上ヒンジ部材8が下面3j1に当接してそれ以上の回転が阻止される。この状態では、上壁5を把持して回転させる際に、突出軸8c1を中心に上ヒンジ部材8が回転されにくく、
図23Cに示すような状態になってしまう場合がある。このような状態になってしまうと、上ヒンジ部材8に力を直接加えて上ヒンジ部材8を回転させないと上壁5を閉じることができないので、煩わしい。
【符号の説明】
【0054】
1:容器、
2:底部材、2a:下面、2b:凹部、2c:最深部、2d:段差、2e:溝、2f:軸受孔、2g:凹条、2h:傾斜溝、2i:周囲壁、2j:収容凹部、2k:傾斜面、2l:下面、2m:係合孔、2n:係合孔、2o:壁面、2p:凸条、2r:凹部、2s:凹部、
3:長側壁、3a:本体部、3b:係合金具、3b1:係合突部、3c:係合凸部、3d:収容凹部、3e:軸受孔、3f:壁面、3g:円弧面、3h:凸条、3i:凸条、3j:収容凹部、3j1:下面、3k:軸受孔、3l:壁面、3m:円弧面、3o:外面、3p:凹部、
4:短側壁、4a:本体部、4b:凸条、4c:突出軸、4d:凸条、4e:凸条、4p:凹部、
5:第1上壁、5a:先端面、5b:傾斜面、5c:上面、5d:下面、5f:収容凹部、5g:先端面、5h:重なり部、5i:隣接部、5j:軸受孔、5k:凹部、5r:凸部、5s:凸部
6:第2上壁、6a:先端面、6b:傾斜面、6c:溝、6d:下面、6e:溝、6g:先端面、6h:重なり部、6i:隣接部、6k:凹部、6r:凸部、6s:凸部
7:下ヒンジ部材、7a:ケース、7a1:本体部、7a2:蓋部、7a3:側面、7a4:下面、7a5:傾斜面、7a6:下側突出部、7a7:ガイド壁、7a8:凸条、7b:側壁係止部材、7b1:突出軸、7b2:付勢部、7c:底部材係止部材、7c1:突出部、7c2:付勢部、7c3:先端面、7c4:下面、7c5:先端、7d:円弧面、7e:凹部、
8:上ヒンジ部材、8a:ケース、8a1:本体部、8a2:蓋部、8a3:回転規制部、8b:上壁係止部材、8b1:突出軸、8b2:付勢部、8c:側壁係止部材、8c1:突出軸、8c2:付勢部、8d:円弧面、
9:連結機構、
11:ラッチ構造体、11a:本体金具、11a1:収容凹部、11a2:係合凹部、11a3:係止壁、11b:付勢部材、11c:突出部材、11c1:突起