【課題】シート体を取出位置から受渡位置に素早く移送しつつ、取出位置及び/又は受渡位置にシート体を配置する際にはシート体の移動を抑えることができる移送機構及び給袋装置を提供する。
【解決手段】移送機構10は、メイン回転部20、第1駆動部31、支持機構51、保持部52、第2駆動部32及び制御部を備え、取出位置から受渡位置にシート体Bを移動させる。支持機構51は、メイン回転部20及び保持部52に連結される。制御部は、第2駆動部32を制御し、取出位置及び受渡位置のうち少なくともいずれかにシート体Bが配置される場合に、メイン回転部20が回転軸線Aを中心に第1回転方向へ回転している状態で、保持部52の位置が実質的に変わらないように、支持機構51を駆動する。
前記制御部は、前記取出位置に配置されている前記シート体を前記保持部が保持する際に、一時的に前記保持部の位置が実質的に変わらないように、前記第2駆動部を制御する請求項1又は2に記載の移送機構。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。以下に説明する実施形態では、移送機構10が給袋装置100に適用されており、移送機構10によって取出位置P1から受渡位置P2に移動させられるシート体は空の袋体Bである。ただし移送機構10は給袋装置以外の装置に適用されてもよく、袋体B以外のシート体を移送機構10によって移送してもよい。
【0020】
[給袋装置]
図1は、給袋装置100の構成の概略を示す図である。給袋装置100は、移送機構10、配置部105及び受取装置110を備える。
【0021】
配置部105は、取出位置P1に1又は複数の袋体B(
図1に示す例では複数の袋体B)を配置して保持する。配置部105の構成は限定されないが、典型的には、積層された多数の袋体Bを収容するマガジンによって配置部105を構成することができる。配置部105が複数の袋体Bを保持する場合、その複数の袋体Bのうち次の取り出し対象となっている袋体Bを所定位置(すなわち取出位置P1)に配置する機構を配置部105は有する。例えば、配置部105において鉛直方向と平行な方向に複数の袋体Bが積層される場合、最上位置の袋体Bを常に同じ位置(高さ位置)に配置する機構を配置部105は有する。また配置部105において水平方向に複数の袋体Bが積層される場合、移送機構10に対して露出される袋体B(通常は端に配置される袋体B)を常に同じ位置(水平方向位置)に配置する機構を配置部105は有する。なお、配置部105は袋体Bを1枚のみ保持してもよい。その場合、その1枚の袋体Bが載せられる載置面を具備する保持体によって配置部105を構成することができ、その載置面に取り出し対象の袋体Bを配置する機構が用いられる。
【0022】
受取装置110は、受渡位置P2に対応する位置に設けられており、受渡位置P2に配置された袋体Bを移送機構10から受け取る。受取装置110の構成は限定されないが、図示の受取装置110はグリッパー111を有し、このグリッパー111により受渡位置P2に配置された袋体Bが把持される。グリッパー111により把持された袋体Bは後段に送られる。
【0023】
移送機構10は、袋体Bを配置部105から取り出し、取出位置P1から受渡位置P2に移送し、受取装置110に渡す。特に本実施形態の移送機構10は、配置部105から袋体Bを取り出す際及び受取装置110に袋体Bを受け渡す際に、保持部52の動きを実質的に停止させる。これにより、袋体Bの取り出し及び受け渡しを的確に行うことができる。
【0024】
[移送機構]
次に、移送機構10の具体的な構成例について説明する。
【0025】
図2は、移送機構10を側方から見た図であり、部分的に断面が示されている。
図3は、制御部90の機能ブロック図である。なお、
図2においてバツ印で示されている部材はベアリングであり、ベアリングを介して隣り合っている部材は、基本的に互いに影響を及ぼすことなく回転することが可能である。
【0026】
移送機構10は、メイン回転部20、第1駆動部31、支持機構51、保持部52、第2駆動部32及び制御部90を備える。
【0027】
メイン回転部20は、第1回転体37に対して固定的に取り付けられており、第1回転体37とともに回転軸線Aを中心に第1回転方向Dt1に回転する。メイン回転部20が回転することにより、メイン回転部20に連結されている保持部52も、回転軸線Aを中心に第1回転方向Dt1に回転し、
図1に示す取出位置P1、受渡位置P2及び待機位置P3を順次且つ繰り返し巡る。取出位置P1は、移送機構10により配置部105から取り出される袋体Bが配置される位置であり、受渡位置P2は、移送機構10から受取装置110に受け渡される袋体Bが配置される位置であり、待機位置P3は吸着部62が待機する位置である。本実施形態では、後述のように、メイン回転部20は回転軸線Aを中心に一定速度で回転するが、保持部52は回転軸線Aを中心に一定速度では回転しない。
【0028】
メイン回転部20の具体的な形状は限定されないが、保持部52と同じ数だけ設けられた第3支持軸38(第4連結体)を保持する形状を有する。図示の例では3つの保持部52が設けられており、メイン回転部20は、3つの第3支持軸38を保持する。特に、図示のメイン回転部20は、第1回転体37から回転軸線Aと垂直な外向き方向へ延びる3つのレバー形状体を含む。これらの3つのレバー形状体は、回転軸線Aの回りで等角度間隔に配置されており、3つの第3支持軸38がそれぞれのレバー形状体によって保持される。
【0029】
メイン回転部20は、回転軸線Aと平行に延びる第3支持軸38の中心軸線を基準に第3支持軸38が軸回転自在であるように第3支持軸38を保持しつつ、回転軸線Aを中心としたメイン回転部20の回転とともに、回転軸線Aを中心に各第3支持軸38を回転させる。
【0030】
第3支持軸38は、回転軸線Aと平行に延在し、一方側の端部(
図2の右側端部)が第3レバー43に固定され、他方側の端部(
図2の左側端部)が第4レバー39(第3連結体)に固定されている。したがって第4レバー39の他方側は、第3支持軸38によって固定的に支持されている。第3支持軸38は第3レバー43の揺動に応じて軸回転し、第3支持軸38の軸回転に応じて第4レバー39が揺動する。第4レバー39は回転軸線Aと垂直な方向に延在し、第4レバー39の一方側には第3支持軸38が固定され、他方側には第2回転軸40が軸回転自在に固定されている。第2回転軸40は第2レバー41(第2連結体)の他方側の端部に固定されているため、第4レバー39の一方側は、第2レバー41の他方側に対して回転自在に連結される。第2回転軸40は移動自在に設けられているが、第3支持軸38はメイン回転部20によって拘束され、メイン回転部20の回転位置に応じた位置に配置される。すなわち第3支持軸38の一方側はメイン回転部20によって回転自在に支持され、メイン回転部20とともに回転軸線Aを中心に回転する。したがって第4レバー39は、第3支持軸38の軸回転に応じて、第3支持軸38を基準に揺動する。
【0031】
第3レバー43は、回転軸線Aと垂直を成す方向に延在し、一方の端部(
図2の下側端部)にはカム体34が固定され、他方の端部(
図2の上側端部)には第3支持軸38が固定されている。第3レバー43は、カム体34及び第3支持軸38の各々の位置に応じた揺動姿勢をとる。
【0032】
第1駆動部31は、メイン回転部20を、回転軸線Aを中心に第1回転方向Dt1へ回転させる。
図2に示す第1駆動部31は、第1駆動源21、第1ギア36及び第1回転体37を含む。第1駆動源21は、フレーム70に固定された支持板71に取り付けられ、制御部90の制御下で出力軸を軸回転させて回転動力を出力する。第1駆動源21は限定されないが、典型的にはサーボモータにより構成される。第1ギア36は、第1駆動源21の出力軸に固定的に設けられており、この出力軸の軸回転に応じて、この出力軸を中心に軸回転する。第1回転体37は、回転軸線Aと平行に延在する中空の筒形状を有し、第1回転体37の中心軸線は回転軸線Aと一致する。第1回転体37は、第1ギア36と噛み合っており、第1ギア36の回転に応じて、回転軸線Aを中心に軸回転する。
【0033】
第1回転体37の内側にはベアリングを介して第2回転体45が配置されており、また第1回転体37の外側にはベアリングを介して案内部35が配置されている。このように第1回転体37は、ベアリングを介して第2回転体45及び案内部35により回転自在に支持されており、第2回転体45及び案内部35の回転状態及び固定状態とは関係なく、回転軸線Aを中心に回転することが可能である。同様に、第2回転体45は、第1回転体37及び案内部35の回転状態及び固定状態とは関係なく、回転軸線Aを中心に回転することが可能である。また案内部35は、第2回転体45及び第1回転体37の回転状態及び固定状態とは関係なく、支持板73によって固定的に支持されている。フレーム70に固定されている支持板73には貫通孔が設けられており、この貫通孔を貫通するように第1回転体37及び第2回転体45が配置されている。
【0034】
第2駆動部32は、支持機構51を駆動する。図示の第2駆動部32は、第2駆動源22、第2ギア44、第2回転体45及び第3ギア46を含む。第2駆動源22は、制御部90の制御下で出力軸を軸回転させて回転動力を出力する。第2駆動源22は限定されないが、典型的にはサーボモータにより構成される。第2ギア44は、第2駆動源22の出力軸に固定的に設けられており、この出力軸とともにこの出力軸を基準に軸回転する。第2回転体45は、その中心軸線が回転軸線Aと一致し、第2ギア44と噛み合っており、第2ギア44の回転によって回転軸線Aを中心に軸回転する。
【0035】
図示の移送機構10において、第1駆動源21から出力される動力は、メイン回転部20を回転させるとともに、支持機構51の一部(特に後述の第1規制機構53)を駆動するためにも使われる。したがって機能的には、第1駆動源21は第1駆動部31及び第2駆動部32のいずれにも含まれる。一方、第2駆動源22は、フレーム70に固定された支持板72に取り付けられ、主として支持機構51(特に後述の第2規制機構54)を駆動するために使われるため、機能的には第2駆動部32に含まれる。
【0036】
支持機構51は、第2駆動部32によって駆動されるとともに、カム溝33におけるカム体34の配置位置に応じて駆動される。すなわち支持機構51は、メイン回転部20に連結されるとともに、保持部52に連結されており、メイン回転部20に対する保持部52の相対的な位置を調整する。ここでいう「位置」の概念には、「姿勢」の概念も含まれる。図示の移送機構10では複数の支持機構51(具体的には3つの支持機構51)が設けられており、複数の保持部52(具体的には3つの保持部52)は3つの支持機構51のそれぞれに連結されている。なお3つの支持機構51は、回転軸線Aを中心とした回転方向Dtに関し、互いに等角度間隔でメイン回転部20に連結されている。また3つの保持部52も、この回転方向Dtに関して互いに等角度間隔で配置されるように、3つの支持機構51を介してメイン回転部20に連結されている。
【0037】
保持部52は、支持機構51に連結され、袋体Bを保持可能な構成を有する。図示の保持部52は、取り付けプレート61及び吸着部62を含む。
【0038】
取り付けプレート61の一方側は、第1支持軸64を介して第1レバー63(第1連結体)に対して回転自在に連結されており、また取り付けプレート61の他方側は、第2支持軸42を介して第2レバー41に対して回転自在に連結されており、また吸着部62(保持部52)を固定的に支持する。第1支持軸64は、回転軸線Aと平行に延びる第1支持軸64の中心軸線を中心に軸回転自在であるように、取り付けプレート61によって支持されている。第2支持軸42の中心軸線は回転軸線Aと平行に延び、第2支持軸42は、その中心軸線を中心に軸回転自在であるように、取り付けプレート61により支持されている。取り付けプレート61及び吸着部62は、第1支持軸64及び第2支持軸42の位置に応じた揺動姿勢をとり、取り付けプレート61及び吸着部62の位置は第1支持軸64及び第2支持軸42の位置に応じて定まる。
【0039】
第1レバー63は保持部52毎に設けられており、図示の移送機構10では3つの第1レバー63が設けられている。各第1レバー63は回転軸線Aと垂直な方向に延在し、各第1レバー63の一方側の端部は第1支持軸64を介して取り付けプレート61の一方側に対して回転自在に連結され、各第1レバー63の他方側の端部は、回転軸線Aを中心に回転自在に設けられ、具体的には第2回転体45によって回転軸線Aを中心に回転自在に支持されている。したがって各第1レバー63は、回転軸線Aを中心に揺動自在に設けられ、第1支持軸64及び第2回転体45の位置に応じた揺動姿勢をとる。
【0040】
吸着部62の吸着面は、回転軸線Aと垂直を成す方向のうち回転軸線Aから遠ざかる方向に向けられている。図示の吸着部62は、吸盤によって構成され、袋体Bの面を吸着保持することができるように構成されている。
【0041】
各支持機構51は第1規制機構53及び第2規制機構54を有する。第1規制機構53は、第1規制方向Dr1に関し、一時的に、メイン回転部20から支持機構51に伝達される力を少なくとも部分的に相殺することができる。第2規制機構54は、第1規制方向Dr1とは異なる方向である第2規制方向Dr2に関し、一時的に、メイン回転部20から支持機構51に伝達される力を少なくとも部分的に相殺することができる。これにより、取り付けプレート61及び吸着部62の速度を相殺することができ、吸着部62を停止させることが可能である。
【0042】
図4は、第1規制機構53の構成を示す平面図である。
【0043】
図2及び
図4に示す第1規制機構53は、カム溝33を有する案内部35と、第3レバー43及び第3支持軸38を介してメイン回転部20(
図2参照)に連結されるカム体34と、を有する。案内部35は支持板73に対して固定的に取り付けられている。カム体34は、カム溝33において移動自在に配置されている。カム溝33は、回転軸線Aと垂直を成す方向に関しての回転軸線Aからの距離が、回転方向Dtに関して変化する。カム体34は、第3レバー43に固定されている。上述のように第3レバー43は第3支持軸38を介してメイン回転部20に連結されているため、メイン回転部20が回転軸線Aを中心に回転することにより、カム体34は第1回転方向Dt1へ移動し、カム溝33に沿って案内される。その一方で、カム溝33の回転軸線Aからの距離は、回転軸線Aを基準とした角度位置に応じて可変的に定められている。そのため、カム体34の回転軸線Aからの距離は、回転方向Dtに関して一定ではなく、カム溝33と同様に変化する。このように回転軸線Aと垂直を成す面内におけるカム体34の位置(すなわち回転軸線Aからの距離及び回転軸線Aを基準とした角度位置)は、メイン回転部20の回転位置に応じて決められる。カム溝33におけるカム体34の配置位置に応じて、第1規制方向Dr1に関し、取り付けプレート61及び吸着部62の速度が相殺される。
【0044】
すなわちカム溝33におけるカム体34の位置に応じて、第3レバー43は第3支持軸38を基準に揺動する。この第3レバー43の揺動に応じて第3支持軸38はその中心軸線を基準に軸回転し、この第3支持軸38の軸回転に応じて第4レバー39は第3支持軸38を基準に揺動する。この第4レバー39の揺動に応じて第2回転軸40は第3支持軸38を基準に揺動し、この第2回転軸40の揺動に応じて第2レバー41は第2支持軸42を基準に揺動する。この第2レバー41の揺動に応じて、第2支持軸42は、その中心軸線を基準に軸回転したり、移動したりする。なお第2レバー41の一方側は、取り付けプレート61の他方側に対して回転自在に連結され、第2レバー41の他方側は、第2回転軸40に対して固定的に連結されている。
【0045】
上述のようにして第1規制機構53が動作することで、第1回転方向Dt1への取り付けプレート61及び吸着部62の速度が相殺され、第1規制方向Dr1に関する保持部52の位置が調整される。
【0046】
図5は、第2規制機構54の構成を示す平面図である。
図2及び
図5に示す第2規制機構54は、例えば、第4ギア47、第1プーリ48、第2プーリ49、第2回転軸40、第2レバー41及び第2支持軸42を含む。
【0047】
第2回転体45には第3ギア46が固定的に取り付けられており、第3ギア46の中心軸線は回転軸線Aに一致し、第3ギア46は第2回転体45と一体的に軸回転する。第3ギア46には第4ギア47が噛み合っている。第4ギア47の中心軸線は、回転軸線Aと平行であるとともに第3支持軸38の中心軸線と一致し、第4ギア47はその中心軸線を基準に軸回転する。第4ギア47は、第3支持軸38により軸回転自在に支持されている。第4ギア47には第1プーリ48が固定的に取り付けられており、第1プーリ48及び第4ギア47は同軸上に配置され、第4ギア47の中心軸線及び第1プーリ48の中心軸線は一致し、第1プーリ48は第4ギア47と一体的に軸回転する。第1プーリ48には無端状のベルト50を介して第2プーリ49が連結されている。第2プーリ49の中心軸線は回転軸線Aと平行に延び、第1プーリ48の軸回転に応じて、第2プーリ49はその中心軸線を基準に軸回転する。
【0048】
第2プーリ49には、回転軸線Aと平行な方向に延在する第2回転軸40の一端部が、固定的に取り付けられている。第2回転軸40の中心軸線は第2プーリ49の中心軸線と一致し、第2回転軸40は第2プーリ49と一体的に軸回転する。第2回転軸40の他端部は、回転軸線Aと垂直な方向に延在する第2レバー41の一端部に対し、固定的に取り付けられている。一方、第2レバー41の他端部には第2支持軸42が固定的に取り付けられている。したがって第2レバー41は、第2回転軸40及び第2支持軸42の位置に応じた揺動姿勢をとる。第2支持軸42は、第2レバー41の揺動状態に応じて、その中心軸線を基準に軸回転可能となっている。
【0049】
図6は、第2回転軸40、第2レバー41及び第2支持軸42の概略平面図であり、第1規制機構53による規制を説明するための図である。
図7は、第2回転軸40、第2レバー41及び第2支持軸42の概略平面図であり、第2規制機構54による規制を説明するための図である。
【0050】
第1規制機構53は、上述のように、カム溝33におけるカム体34の配置に応じて保持部52の位置を規制する。具体的には、カム溝33におけるカム体34の配置に応じて第3レバー43の位置が決められ、第3レバー43の位置に応じて第3支持軸38が軸回転し、第3支持軸38の軸回転に応じて第4レバー39が第3支持軸38を基準に揺動し、第4レバー39の揺動に応じて第2回転軸40も第3支持軸38を基準に揺動する。その結果、
図6に示すように、第2レバー41は、第2回転軸40の揺動に応じて、第2支持軸42を基準に第1規制方向Dr1へ揺動する。この第2レバー41の揺動に応じて決められる第2支持軸42の配置に応じて、保持部52の位置が規制される。
【0051】
一方、第2規制機構54は、第2駆動源22からの動力に応じて保持部52の位置を規制する。具体的には、第2駆動源22から出力される回転動力に応じて第2ギア44、第2回転体45、第3ギア46、第4ギア47、第1プーリ48及び第2プーリ49が回転し、第2プーリ49とともに第2回転軸40が軸回転する。その結果、
図7に示すように、第2回転軸40に固定されている第2レバー41は、第2回転軸40の軸回転に応じて、第2回転軸40を基準に第2規制方向Dr2へ揺動する。このような第2レバー41の揺動に応じて決められる第2支持軸42の配置に応じて、保持部52の位置が規制される。
【0052】
上述のように、第1規制機構53及び第2規制機構54の両者の規制動作の組み合わせの結果に応じて、保持部52の位置が規制される。すなわち保持部52に連結される支持機構51には、メイン回転部20が第1回転方向Dt1へ回転することによって第1回転方向Dt1に回転する力が作用する一方で、第1規制機構53及び第2規制機構54の規制動作の組み合わせによって第2回転方向Dt2(すなわち回転軸線Aを中心とした第1回転方向Dt1とは反対向きの回転方向)に回転する力が作用する。そのため支持機構51により取り付けプレート61及び吸着部62の速度が相殺される。その結果、取出位置P1、受渡位置P2及び待機位置P3の各々において、保持部52には第1回転方向Dt1への力が一時的に作用せず又は殆ど作用せず、保持部52の動きを停止又は抑えることができる。
【0053】
このような保持部52の挙動を実現するため、制御部90は、メイン回転部20の第1回転方向Dt1に関する回転状態(すなわち第1駆動源21の作動状態)に応じて、第2駆動源22を制御し、吸着部62が取出位置P1、受渡位置P2及び待機位置P3に対応する位置に配置されるタイミングに応じて保持部52の動きを停止又は抑えるようにする。
【0054】
すなわち制御部90は、第1駆動部31及び第2駆動部32のうち少なくとも第2駆動部32(少なくとも第2駆動源22)を制御する。本実施形態の制御部90は、第1駆動部31及び第2駆動部32の両方を制御し、具体的には第1駆動源21及び第2駆動源22を制御する。ただし制御部90は、第1駆動部31を制御することなく第2駆動部32のみを制御してもよく、例えば第2駆動源22のみを制御してもよい。その場合、第1駆動部31(特に第1駆動源21)は他の装置によって駆動制御されてもよい。
【0055】
制御部90は、取出位置P1及び受渡位置P2のうち少なくともいずれか(本実施形態では取出位置P1及び受渡位置P2の各々)に袋体Bが配置される場合に、メイン回転部20が回転軸線Aを中心に第1回転方向Dt1へ回転している状態で、メイン回転部20から支持機構51に伝達される力に起因する取り付けプレート61及び吸着部62の速度を相殺するように支持機構51を動作させるように、制御を行う。具体的には、第2回転方向Dt2の成分を含む第1調整方向Da1に作用する力を支持機構51において生じさせることで、メイン回転部20から支持機構51に伝達される力に起因する取り付けプレート61及び吸着部62の速度を相殺し、支持機構51から保持部52に伝達される第1調整方向Da1の力を低減する。この第1調整方向Da1は、上述の第1規制方向Dr1及び第2規制方向Dr2に関する規制に基づいて決められる方向である。したがって第2回転方向Dt2を構成する方向成分にも、上述の第1規制方向Dr1及び第2規制方向Dr2が含まれる。保持部52を完全に停止させるには、第1調整方向Da1は第2回転方向Dt2と一致することが求められるが、必ずしも保持部52を厳密に完全に停止させることは必要とされず、第1調整方向Da1が第2回転方向Dt2からずれていてもよい。
【0056】
このように制御部90は、第1駆動部31及び第2駆動部32のうち少なくとも第2駆動部32(少なくとも第2駆動源22)を制御し、取出位置P1及び受渡位置P2のうち少なくともいずれかに袋体Bが配置される場合に、メイン回転部20が回転軸線Aを中心に第1回転方向Dt1へ回転している状態で、第1規制機構53及び第2規制機構54を動作させる。これにより、保持部52の位置を実質的に停止させることができる。
【0057】
例えば、制御部90は、受渡位置P2に袋体Bが配置される場合に、少なくとも保持部52から受取装置110に袋体Bが受け渡される間、保持部52の位置が実質的に変わらないように、制御を行う。また制御部90は、取出位置P1に配置されている袋体Bを保持部52が保持する際に、一時的に保持部52の位置が実質的に変わらないように、制御を行う。なお、位置が実質的に変わらない状態の保持部52は、必ずしも厳密に完全停止していることは必要とされず、例えば保持部52の位置がごく僅かだけ(例えば数mm(ミリメートル)〜数cm(センチメートル)程度)変わってもよい。
【0058】
なお制御部90は、受渡位置P2に袋体Bが配置される場合に、少なくとも保持部52から受取装置110に袋体Bが受け渡される間、保持部52の位置が所望の状態で変わるように、制御を行ってもよい。また制御部90は、取出位置P1に配置されている袋体Bを保持部52が保持する際に、保持部52の位置が所望の状態で変わるように、制御を行ってもよい。これらの場合であっても、受取装置110に対する袋体Bの受け渡し及び配置部105からの袋体Bの取り出しを適切に行うことができるように、保持部52の位置の変化の程度が抑えられるように、制御部90は制御を行うことが好ましい。
【0059】
上述のように移送機構10は、動力を出力する第1駆動源21及び第2駆動源22を備える。そして第1駆動部31はメイン動力伝達系23(例えば、第1ギア36及び第1回転体37)を含み、このメイン動力伝達系23によって第1駆動源21から出力される動力がメイン回転部20に伝達され、メイン回転部20を第1回転方向Dt1へ回転させる。一方、第2駆動部32は、第1駆動源21から出力される動力を第1規制機構53に伝達する第1動力伝達系24(例えば、第1ギア36、第1回転体37、メイン回転部20及び第3レバー43)と、第2駆動源22から出力される動力を第2規制機構54に伝達する第2動力伝達系25(例えば、第2ギア44、第2回転体45及び第3ギア46)とを含む。これにより、第1規制機構53は、第1駆動源21から出力される動力に基づいて駆動され、第2規制機構54は、第2駆動源22から出力される動力に基づいて駆動される。
【0060】
[保持部の挙動]
次に、保持部52の全体的な動きについて説明する。
【0061】
図8A〜
図8Dは、移送機構10の作動状態を示す図である。具体的には、メイン回転部20が回転軸線Aを中心に第1回転方向Dt1へ30度ずつ回転した場合の、保持部52の旋回状態が、
図8A〜
図8Dに示されている。したがって
図8Bには、
図8Aに示す状態でのメイン回転部20の回転角度位置(0度)から第1回転方向Dt1へ30度だけメイン回転部20が回転した場合の、保持部52の旋回状態が示されている。同様に、
図8C及び
図8Dには、それぞれ、
図8B及び
図8Cに示す状態でのメイン回転部20の回転角度位置(30度及び60度)から第1回転方向Dt1へ30度だけメイン回転部20が回転した場合の、保持部52の旋回状態が示されている。
【0062】
図8A〜
図8Dにおいて、便宜上、3つの保持部52のうち第1の保持部52aに割り当てられた要素を表す符号の末尾には「a」が付され、第2の保持部52bに割り当てられた要素を表す符号の末尾には「b」が付され、第3の保持部52cに割り当てられた要素を表す符号の末尾には「c」が付されている。
【0063】
上述のように第3支持軸38は、メイン回転部20とともに、回転軸線Aを中心に第1回転方向Dt1へ回転する。したがって
図8A〜
図8Dにおいて、第3支持軸38a〜38cに注目することによってメイン回転部20の回転状態を類推することができる。すなわち第3支持軸38a〜38cは、
図8A〜
図8D間において、回転軸線Aを基準とした角度位置が30度ずつずれた位置に配置されている。したがって、メイン回転部20及び第3支持軸38a〜38cが一定速度で連続的に、回転軸線Aを中心に第1回転方向Dt1へ回転していることが分かる。
【0064】
一方、保持部52a〜52cは、メイン回転部20及び第3支持軸38a〜38cが第1回転方向Dt1へ0度〜30度回転する間(
図8A及び
図8B参照)、その位置が実質的に変わっておらず、吸着部62a〜62cはそれぞれ取出位置P1、受渡位置P2及び待機位置P3にとどまっている。これは、第3支持軸38a〜38cの第1回転方向Dt1への移動による影響が、第2プーリ49a〜49c及び第2レバー41a〜41cの移動及び揺動により相殺され、保持部52a〜52cに実質的に及ばないことによるものである。この第2プーリ49a〜49c及び第2レバー41a〜41cの移動及び揺動は、制御部90の制御下で第1駆動源21及び第2駆動源22が支持機構51(すなわち第1規制機構53及び第2規制機構54)を駆動することによって行われる。
【0065】
図8Bに示す状態からメイン回転部20が更に回転することで、保持部52a〜52cは第1回転方向Dt1に関して移動する(
図8C及び
図8D参照)。すなわち第1の吸着部62aは、袋体Bを保持した状態で、受渡位置P2に向かって移動する。
【0066】
そして、メイン回転部20が
図8Aに示す状態から回転軸線Aを中心に第1回転方向Dt1へ120度回転するタイミングで、吸着部62a〜62cは取出位置P1、受渡位置P2及び待機位置P3に配置される。この場合、第1の吸着部62aは受渡位置P2に配置され、第2の吸着部62bは待機位置P3に配置され、第3の吸着部62cは取出位置P1に配置される。またこの場合、制御部90の制御下で第2駆動源22が駆動され、保持部52a〜52cに対する第1プーリ48a〜48c、第2プーリ49a〜49c及び第2レバー41a〜41cの相対位置も
図8Aに示すような状態に戻される。図示の例では、メイン回転部20及び第3支持軸38a〜38cが
図8Aに示す位置から第1回転方向Dt1へ60度ずれた位置(
図8C参照)から90度ずれた位置(
図8D)に回転する間に、保持部52a〜52cに対する第1プーリ48a〜48c、第2プーリ49a〜49c及び第2レバー41a〜41cの相対位置が、
図8Aに示すような状態に戻される。
【0067】
そして、上述の作動(
図8B〜
図8D参照)が繰り返される。このように、メイン回転部20及び第3支持軸38a〜38cは第1回転方向Dt1へ一定速度で回転するため、第1駆動源21から出力される回転動力も基本的には一定に保たれる。一方、第2駆動源22から出力される回転動力は、メイン回転部20及び第3支持軸38a〜38cの回転位置に応じて制御部90により制御され、保持部52a〜52cに対する第1プーリ48a〜48c、第2プーリ49a〜49c及び第2レバー41a〜41cの相対位置が調整される。
【0068】
次に、
図8A及び
図8Bに示す上述の挙動(すなわちメイン回転部20及び第3支持軸38a〜38cが0度〜30度回転する間の挙動)について詳述する。
【0069】
図9A〜
図9Dは、移送機構10の作動状態を示す図である。具体的には、メイン回転部20が回転軸線Aを中心に10度ずつ回転した場合の保持部52の旋回状態が
図9A〜
図9Dに示されている。
図9Bには、
図9Aに示す状態でのメイン回転部20の回転角度位置(0度)から第1回転方向Dt1へ10度だけメイン回転部20が回転した場合の、保持部52の旋回状態が示されている。同様に、
図9C及び
図9Dにも、それぞれ、
図9B及び
図9Cに示す状態でのメイン回転部20の回転角度位置(10度及び20度)から第1回転方向Dt1へ10度だけメイン回転部20が回転した場合の、保持部52の旋回状態が示されている。したがって
図9Aに示される状態は、上述の
図8Aに示される状態と一致し、
図9Dに示される状態は、上述の
図8Bに示される状態と一致する。
【0070】
図9A〜
図9Dにおいて、便宜上、3つの保持部52のうち第1の保持部52aに割り当てられた要素を表す符号の末尾には「a」が付され、第2の保持部52bに割り当てられた要素を表す符号の末尾には「b」が付され、第3の保持部52cに割り当てられた要素を表す符号の末尾には「c」が付されている。
【0071】
上述のように第3支持軸38a〜38cは、メイン回転部20とともに一定速度で連続的に、回転軸線Aを中心に第1回転方向Dt1へ回転し、回転軸線Aから等距離の移動軌跡(
図9A〜
図9Dの一点鎖線で描かれた円軌道参照)を描く。
【0072】
一方、第3支持軸38a〜38cの第1回転方向Dt1への移動に応じて、第1プーリ48a〜48cに対する第2プーリ49a〜49c及び第2レバー41a〜41cの位置が変えられ、保持部52a〜52cは停止され、保持部52a〜52c(すなわち吸着部62a〜62c)の位置は保持される。このようにして保持部52a〜52c(すなわち吸着部62a〜62c)の位置が保持されている間に、取出位置P1に配置された吸着部62aは、配置部105に保持されている袋体Bを保持する動作を行い、受渡位置P2に配置された吸着部62bは、受取装置110との間で袋体Bの受け渡しを行う。
【0073】
このように取出位置P1及び受渡位置P2において吸着部62a、62bを一時的に実質的に停止させることで、袋体Bの保持及び受け渡しの精度を向上させることができる。
特にグリッパー111の把持動作のように袋体Bに対する処理動作に多少の時間が必要な場合には、吸着部62a、62bが実質的に停止した状態でそのような処理動作を行うことで、処理動作の確実性が飛躍的に向上する。
図9A〜
図9Dに示す例では、メイン回転部20及び第3支持軸38a〜38cが0度から20度の角度位置に移動する間(
図9A〜
図9C参照)に、グリッパー111が開状態から閉状態になり、受渡位置P2に配置された袋体Bの両側部がグリッパー111によって把持される。
【0074】
以上説明したように本実施形態の移送機構10及び給袋装置100によれば、メイン回転部20を一定速度で回転させつつ、保持部52を取出位置P1及び受渡位置P2において停止させることができる。これにより、袋体Bを取出位置P1から受渡位置P2に素早く移送しつつ、取出位置P1及び受渡位置P2に袋体Bを配置する際には袋体Bの動きを抑えることができる。このように上述の移送機構10及び給袋装置100は、取出位置P1から受渡位置P2に多数の袋体Bを素早く連続的に移送しつつ、精度良く袋体Bの取り出し及び受け渡しを行うことができる。
【0075】
また、保持部52を一時的に停止させる支持機構51の一部(すなわち第1規制機構53)にカム溝33及びカム体34を使ったカム機構を利用することで、サーボモータ等の電気的な制御を必要とする高価な駆動手段を別個に設ける必要がない。したがって移送機構10(特に支持機構51)の構造を簡素化して、安価に支持機構51(特に第1規制機構53)を実現することができる。
【0076】
また共通の第1駆動部31及び第2駆動部32によって、複数の保持部52及び複数の支持機構51が駆動される。そのため、移送機構10を簡便に制御することができ、また移送機構10をコンパクトに構成することができる。
【0077】
[第1変形例]
上述の実施形態の保持部52は吸着によって袋体Bを保持するが、保持部52は他の方式によって袋体Bを保持してもよい。本変形例では、保持部52が把持によって袋体Bを保持する場合について例示する。
【0078】
図10は、第1変形例に係る給袋装置100の構成の概略を示す図である。
図11は、
図10に示す給袋装置100の構成の概略を示す図であり、
図10に示す状態の後の状態を示す。
図12は、
図10及び
図11に示す移送機構10を側方から見た図であり、部分的に断面が示されている。なお上述の実施形態に係る給袋装置100及び移送機構10と同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。また
図12では、回転軸線Aよりも上側に設けられる要素の一部の図示が省略されている。
【0079】
本変形例に係る移送機構10は、保持部52を駆動する第3駆動部57(
図12参照)を更に備える。保持部52は、開閉可能に設けられる把持部76を有する。第3駆動部57は、把持部76を開閉する。保持部52によって袋体Bを保持する際には、把持部76が閉じられ、当該把持部76により袋体Bを把持する。保持部52から袋体Bを解放する際には、把持部76が開かれ、当該把持部76から袋体Bが解放される。
【0080】
図示の第3駆動部57は、回転カム(回転案内部)66、第3駆動源(案内動力部)67、案内中継部92及び開閉ユニット93を有する。
【0081】
回転カム66は、
図10及び
図11に示すように、回転軸線Aと垂直を成す方向に関する回転軸線Aからの距離が回転方向Dtに関して変化する外周面(すなわち案内面66a)を有する。回転カム66は、メイン回転部20の回転とは無関係に回転軸線Aを中心に回転可能に設けられている。第3駆動源67は、回転軸線Aを中心に回転カム66を回転させる。図示の第3駆動源67は、支持板71に対して固定され、第3駆動源67から回転軸線A上に案内回転軸68が延びており、案内回転軸68の先端部(
図11の左側端部)に回転カム66が固定されている。案内回転軸68は、第2回転体45を貫通し且つ第2回転体45と接触しないように設けられている。そのため案内回転軸68は、第2回転体45及び第1回転体37の回転とは無関係に、回転軸線Aを中心に回転可能である。
【0082】
案内中継部92は、回転カム66の案内面66a上を移動する。図示の案内中継部92は、案内レバー89及び案内ローラ88を有する。案内レバー89の一方側の端部には第2レバー支持軸86が固定され、他方側の端部には第1レバー支持軸85が固定されている。案内レバー89は、第3レバー支持軸87を介してチャックプレート75に対して回転自在に連結されている。第3レバー支持軸87は、第1レバー支持軸85と第2レバー支持軸86との間に配置され、案内レバー89に固定されている。案内ローラ88は、案内レバー89の一方側の端部に対して第2レバー支持軸86を介して取り付けられ、案内面66aと向かい合う位置において、第2レバー支持軸86を中心に回転自在に設けられている。案内レバー89は、開閉ユニット93に対して第1レバー支持軸85を介して取り付けられ、第1レバー支持軸85を中心に回転自在に設けられている。
【0083】
開閉ユニット93は、案内中継部92(特に案内レバー89)及び把持部76に連結されている。開閉ユニット93は、案内面66a上における案内中継部92(特に案内ローラ88)の回転軸線Aからの距離に応じて、把持部76を開閉させる。図示の開閉ユニット93は、連結部材79と、連結部材79に固定された第1連結ブロック81と、チャックプレート75に固定され且つ連結部材79が貫通する第2連結ブロック82と、第1連結ブロック81と第2連結ブロック82との間に設けられた圧縮ばね78と、を有する。
【0084】
連結部材79は、一方の端部(第2連結ブロック82側の端部)において第1レバー支持軸85を介して案内レバー89に対して回転自在に連結され、他方の端部(第1連結ブロック81側の端部)において第1チャック支持軸83を介してチャック支持部80に対して回転自在に連結されている。第1チャック支持軸83はチャック支持部80に固定されている。また連結部材79は、圧縮ばね78及び第2連結ブロック82を貫通するように設けられており、基本的に圧縮ばね78及び第2連結ブロック82と接触しない。
【0085】
チャック支持部80は、一方の端部において第1チャック支持軸83を介して連結部材79が連結され、他方の端部において把持部76(特にチャック可動部76b)が取り付けられている。またチャック支持部80は、第2チャック支持軸84を介してチャックプレート75に対して回転自在に連結されている。第2チャック支持軸84は、第1チャック支持軸83とチャック可動部76bとの間に設けられており、チャックプレート75に固定されている。
【0086】
チャックプレート75は、連結軸77を介して取り付けプレート61に固定されている。またチャックプレート75は、第2支持軸42を回転自在に支持し、第2支持軸42によって補強されている。ただし、第2支持軸42はチャックプレート75によって支持されていなくてもよい。
【0087】
上述の構成を有する移送機構10において、保持部52(すなわち把持部76)の開閉状態は、対応の案内ローラ88の回転軸線Aからの距離に応じて決められる。案内ローラ88が回転軸線Aから比較的遠い位置に配置されている場合、圧縮ばね78は第1連結ブロック81と第2連結ブロック82との間で弾性的に圧縮され、連結部材79は、第1連結ブロック81及び第2連結ブロック82を介して圧縮ばね78から受ける力に抗して移動し、相対的に把持部76から遠ざかる側(すなわち第1レバー支持軸85側)に配置される。この場合、連結部材79に連結されているチャック支持部80は、第2チャック支持軸84を中心に揺動し、チャック可動部76bがチャック固定部76aから離れ、把持部76は開かれる。一方、案内ローラ88が回転軸線Aに比較的近い位置に配置される場合、連結部材79は、圧縮状態の圧縮ばね78から第1連結ブロック81及び第2連結ブロック82を介して受ける力によって、相対的に把持部76に近づく側(すなわち第1チャック支持軸83側)に配置される。この場合、チャック支持部80は第2チャック支持軸84を中心に揺動し、チャック可動部76bがチャック固定部76aに近づいて接触し、最終的には把持部76は閉じられる。
【0088】
このように図示の移送機構10では、案内ローラ88が案内面66aに接触して回転カム66により押圧されることによって、連結部材79が把持部76から遠ざかる方向に移動し、把持部76は開く。一方、案内ローラ88が回転カム66により押圧されない状態では、圧縮ばね78の反発力の影響を受けて連結部材79は把持部76に近づく方向に移動し、把持部76は閉じる。したがって、案内ローラ88が回転カム66から押圧力を受けている間は、把持部76は開かれており、案内ローラ88が回転カム66から押圧力を受けていない間(例えば案内ローラ88が回転カム66から離間して接触していない間)は、把持部76は閉じられている。
【0089】
本変形例に係る移送機構10及び給袋装置100の他の構成は、上述の実施形態に係る移送機構10及び給袋装置100の構成と同様である。
【0090】
次に、本変形例に係る移送機構10及び給袋装置100での、取出位置P1及び受渡位置P2における保持部52(特に把持部76)の保持動作について説明する。
【0091】
本変形例の移送機構10及び給袋装置100においても上述のように、第1規制機構53及び第2規制機構54の両者の規制動作の組み合わせの結果、取出位置P1、受渡位置P2及び待機位置P3の各々において、保持部52の動きが停止され又は抑えられる。そして保持部52が取出位置P1に留まっている間に、当該保持部52は新たな袋体Bを保持する。また保持部52が受渡位置P2に留まっている間に、当該保持部52は受取装置110に袋体Bを受け渡す。
【0092】
したがって保持部52が取出位置P1及び受渡位置P2の各々に留まっている間の初期の段階は、
図10に示すように、取出位置P1に配置されている保持部52は袋体Bを保持しておらず、受渡位置P2に配置されている保持部52は袋体Bを保持している。具体的には、取出位置P1に配置されている保持部52に連結されて案内ローラ88が案内面66aと接触して回転カム66により押圧され、把持部76が開かれている。一方、受渡位置P2に配置されている保持部52に連結されている案内ローラ88は回転カム66によって押圧されず(より詳細には、当該案内ローラ88は案内面66aから離間し)、把持部76は閉じられている。
【0093】
そして保持部52が取出位置P1及び受渡位置P2の各々に留まっている間の中期の段階は、
図10に示すように、取出位置P1に配置されている保持部52の開かれた状態の把持部76のチャック固定部76aとチャック可動部76bとの間に、新たな袋体Bが配置される。また、受渡位置P2に配置されている保持部52の把持部76が袋体Bを把持している状態を維持しつつ、受取装置110のグリッパー111が当該袋体Bを把持する。なお保持部52が取出位置P1及び受渡位置P2の各々に留まっている間の初期の段階から中期の段階では、回転カム66は回転せず、
図10に示す状態で固定されている。
【0094】
そして保持部52が取出位置P1及び受渡位置P2の各々に留まっている間の後半は、制御部90の制御下で、第3駆動部57(第3駆動源67)によって回転カム66が回転させられ、回転カム66は
図11に示す回転状態に移行する。
図11に示す回転カム66は、
図10に示す状態から反時計回り方向に約70度軸回転させられている。これにより、取出位置P1に配置されている保持部52に連結されている案内ローラ88は回転カム66から押圧力を受けず(より詳細には当該案内ローラ88は案内面66aから離間し)、把持部76は閉じられて新たな袋体Bを把持する。これにより、取出位置P1に配置されている保持部52は新たな袋体Bを保持する。一方、受渡位置P2に配置されている保持部52に連結されている案内ローラ88は回転カム66によって押圧され、把持部76は開かれる。これにより受渡位置P2に配置される保持部52は袋体Bを解放する。
【0095】
そして、新たな袋体Bを保持している保持部52は、取出位置P1から受渡位置P2に向かって移動する。また袋体Bを解放した保持部52は、受渡位置P2から待機位置P3に向かって移動する。
【0096】
上述の動作を繰り返すことによって、本変形例の移送機構10及び給袋装置100も、上述の実施形態と同様に、袋体Bを取出位置P1から受渡位置P2に素早く移送しつつ、取出位置P1及び受渡位置P2に袋体Bを配置する際には袋体Bの動きを抑えることができる。特に本変形例では、把持によって袋体Bが保持されるため、保持部52は、適度な力によって袋体Bを所望状態で保持することができる。
【0097】
例えば上述の実施形態のように吸着によって袋体Bを保持する場合、袋体B(シート体)によっては、袋体Bを保持するために吸着力を大きくすることが求められる場合がある。その場合、吸着力が過大になって、袋体Bに不要な皺が生じる懸念がある。また上述の実施形態のように吸着によって袋体Bを保持する場合、袋体Bが比較的柔らかい素材で作られていると、袋体Bを取出位置P1から受渡位置P2に移送する間に袋体Bの口部が開いてしまうことがある。この場合、受渡位置P2において給袋装置100のグリッパー111が当該袋体Bを把持する際に、皺が生じる懸念がある。袋体Bに生じるこのような皺は、美観を損なうだけでなく、後段の処理において不具合をもたらしうる。例えば、後段において真空処理を行う場合、皺によって袋体Bの真空状態を適切に確保できなかったり、吸盤等によって袋体Bを適切に保持できなかったりする。
【0098】
一方、本変形例の保持部52は把持によって袋体Bを保持するため、上述のような皺の発生の懸念がほとんどない。特に、袋体Bのうち口部が形成される端部を保持部52(把持部76)が把持することによって、取出位置P1から受渡位置P2に袋体Bを移送する間に口部が開いてしまうことを防ぐことができ、一層効果的に袋体Bにおける皺の発生を防ぐことができる。
【0099】
また本変形例では、回転軸線Aから案内面66aまでの距離が一定しない回転カム66を使う簡単な構造により、保持部52(すなわち把持部76)は取出位置P1及び受渡位置P2において適切な挙動をとることができる。なお取出位置P1及び受渡位置P2における把持部76の開き度は、相互に同じであってもよいし、異なっていてもよい。一般的には、取出位置P1では新たな袋体Bをチャック固定部76aとチャック可動部76bとの間に受け入れる必要があるため、取出位置P1における把持部76の開き度は大きい方が好ましい。一方、取出位置P1では把持部76から袋体Bが解放されればよいので、把持部76の開き度は小さくてもよく、取出位置P1における把持部76の開き度よりも小さくてもよい。
【0100】
なお本変形例に係る保持部52は、上述のように袋体Bの端部領域を把持する把持部76を採用している。そのため袋体Bは、把持部76によって把持可能な領域(以下「把持領域」とも称する)が露出された状態で、取出位置P1に配置される。取出位置P1におけるそのような袋体Bの配置態様は限定されない。例えば、取出位置P1に1つの袋体Bのみが載せられる載置部(図示省略)が設けられ、当該載置部に切り欠きを形成し、当該切り欠きを介して外方に露出される袋体Bの領域を把持領域としてもよい。配置部105(
図1参照)に配置された多数の袋体Bは、図示しないピックアップ装置によって1枚ずつ配置部105から取り出されて、そのような載置部に載せられてもよい。また図示しない位置合わせユニットによって袋体Bの位置合わせを行って、袋体Bを所望位置及び所望姿勢で載置部上に配置してもよい。
【0101】
[他の変形例]
例えば、上述の実施形態では、取出位置P1、受渡位置P2及び待機位置P3の全ての位置において、一時的に保持部52を実質的に停止させているが、取出位置P1、受渡位置P2及び待機位置P3のうちの一部(好ましくは受渡位置P2を含む一部)のみにおいて、一時的に保持部52を実質的に停止させてもよい。この場合、保持部52毎及び支持機構51毎に第1駆動部31及び第2駆動部32を設けることによって、複数の保持部52及び複数の支持機構51を個別的に駆動することが可能である。
【0102】
また上述の実施形態では、第1駆動源21が第1駆動部31及び第2駆動部32(特に第1規制機構53)の動力源として使用されているが、第1駆動源21を第1駆動部31の動力源としてのみ使用し、第1規制機構53の動力源(すなわち第4駆動源28(
図3参照;例えばサーボモータ))を別個に設けてもよい。この場合、移送機構10は、動力を出力する第1駆動源21、第2駆動源22及び第3駆動源を備える。第1駆動部31はメイン動力伝達系23を含み、このメイン動力伝達系23によって、第1駆動源21から出力される動力をメイン回転部20に伝達し、メイン回転部20を第1回転方向Dt1へ回転させる。一方、第2駆動部32は、第4駆動源28から出力される動力を第1規制機構53に伝達する第1動力伝達系24と、第2駆動源22から出力される動力を第2規制機構54に伝達する第2動力伝達系25と、を含む。したがって、メイン回転部20は第1駆動源21から出力される動力に基づいて駆動され、第1規制機構53は、第4駆動源28から出力される動力に基づいて駆動され、第2規制機構54は、第2駆動源22から出力される動力に基づいて駆動される。
【0103】
また、保持部52(すなわち支持機構51及び保持部52)の数は限定されず、1つの保持部52のみがメイン回転部20に連結されてもよいし、2又は4以上の保持部52がメイン回転部20に連結されてもよい。
【0104】
また第1規制方向Dr1及び第2規制方向Dr2の具体的な方向は限定されない。例えば、第1規制方向Dr1及び第2規制方向Dr2のうち、一方の規制方向を、回転軸線Aを中心とする放射方向(すなわち径方向)又はその放射方向に近い方向とし、他方の規制方向を、その放射方向と垂直を成す方向(すなわち接線方向)又はその接線方向に近い方向としてもよい。
【0105】
また吸着部62は吸盤に限定されず、また吸着以外の方法を使って袋体Bを保持してもよい。
【0106】
なお上述の実施形態では、メイン回転部20の回転角度位置が0度(
図8A参照)から30度(
図8B参照)を含む角度範囲にある場合に保持部52(すなわち吸着部62)の動きが実質的に停止されているが、保持部52の動きを実質的に停止させることができるメイン回転部20の回転角度位置の範囲は、移送機構10を構成する要素の形態に応じて変わり、特に限定されない。保持部52の動きを実質的に停止させることができるメイン回転部20の回転角度位置の範囲は、取出位置P1及び受渡位置P2における袋体Bの保持及び受け渡しに要する時間を適切にカバーすることができるように、適応的に決められることが好ましい。
【0107】
本発明は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また、本発明によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本発明の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書、要約書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
また本変形例では、回転軸線Aから案内面66aまでの距離が一定しない回転カム66を使う簡単な構造により、保持部52(すなわち把持部76)は取出位置P1及び受渡位置P2において適切な挙動をとることができる。なお取出位置P1及び受渡位置P2における把持部76の開き度は、相互に同じであってもよいし、異なっていてもよい。一般的には、取出位置P1では新たな袋体Bをチャック固定部76aとチャック可動部76bとの間に受け入れる必要があるため、取出位置P1における把持部76の開き度は大きい方が好ましい。一方、
また上述の実施形態では、第1駆動源21が第1駆動部31及び第2駆動部32(特に第1規制機構53)の動力源として使用されているが、第1駆動源21を第1駆動部31の動力源としてのみ使用し、第1規制機構53の動力源(すなわち第4駆動源28(
駆動源を備える。第1駆動部31はメイン動力伝達系23を含み、このメイン動力伝達系23によって、第1駆動源21から出力される動力をメイン回転部20に伝達し、メイン回転部20を第1回転方向Dt1へ回転させる。一方、第2駆動部32は、第4駆動源28から出力される動力を第1規制機構53に伝達する第1動力伝達系24と、第2駆動源22から出力される動力を第2規制機構54に伝達する第2動力伝達系25と、を含む。したがって、メイン回転部20は第1駆動源21から出力される動力に基づいて駆動され、第1規制機構53は、第4駆動源28から出力される動力に基づいて駆動され、第2規制機構54は、第2駆動源22から出力される動力に基づいて駆動される。