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特開2019-151407ブリスターパックの内容物有無検知装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-151407(P2019-151407A)
(43)【公開日】2019年9月12日
(54)【発明の名称】ブリスターパックの内容物有無検知装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/10 20060101AFI20190816BHJP
   G01V 8/12 20060101ALI20190816BHJP
【FI】
   B65B57/10 A
   G01V8/12 G
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-47207(P2019-47207)
(22)【出願日】2019年3月14日
(62)【分割の表示】特願2016-82135(P2016-82135)の分割
【原出願日】2016年4月15日
(71)【出願人】
【識別番号】515349733
【氏名又は名称】株式会社日本未来医療研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(74)【代理人】
【識別番号】100198960
【弁理士】
【氏名又は名称】奥住 忍
(72)【発明者】
【氏名】平泉 一城
(72)【発明者】
【氏名】福井 準一
(72)【発明者】
【氏名】武蔵 国弘
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB16
2G105BB17
2G105BB18
2G105CC02
2G105DD02
2G105EE01
2G105EE02
2G105HH04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ブリスタ−パックからの内容物の取り出しを簡易に検出すること。
【解決手段】ブリスターパックにおける複数の収容部に対応する位置に貫通孔を備えた板状部材と、前記貫通孔の一方の開口を塞ぐ基板と、前記貫通孔の他方の開口に対し、前記ブリスターパックをセットした状態で、前記ブリスターパックを前記板状部材に向けて押圧しつつ、外部からの前記貫通孔への光を遮光するカバーと、前記カバーが閉じたことを検知する検知部と、を備え、前記基板は、光を射出する光源と前記光源から射出され前記樹脂を透過した光を受光する受光部とを、前記収容部の前記内容物を挟む位置に設けた複数の検知ユニットと、前記検知ユニットのそれぞれについて、前記受光部が受光した光の量に応じた電気信号の強度を閾値と比較して前記収容部における内容物の有無を検出し、外部機器に検出結果を送信する検出部とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な樹脂で形成された複数の窪み状の収容部に内容物が収容され、破れやすいシートで覆った上で収容部の周辺部と前記シートとが接着されたブリスターパックの内容物の有無を検知する内容物有無検知装置であって、
前記ブリスターパックにおける複数の収容部に対応する位置に貫通孔を備えた板状部材と、
前記貫通孔の一方の開口を塞ぐ基板と、
前記貫通孔の他方の開口に対し、前記ブリスターパックをセットした状態で、前記ブリスターパックを前記板状部材に向けて押圧しつつ、外部からの前記貫通孔への光を遮光するカバーと、
前記カバーが閉じたことを検知する検知部と、
を備え、
前記基板は、
光を射出する光源と前記光源から射出され前記樹脂を透過した光を受光する受光部とを、前記収容部の前記内容物を挟む位置に設けた複数の検知ユニットと、
前記検知ユニットのそれぞれについて、前記受光部が受光した光の量に応じた電気信号の強度を閾値と比較して前記収容部における内容物の有無を検出し、外部機器に検出結果を送信する検出部と、
を有し、
前記基板に設けられた前記光源は、前記カバーが閉じられたことを前記検知部が検知した場合に発光し、
前記検出部は、
前記光源が射出した光が前記内容物によって遮られ、前記受光部が受光した光の量が所定値よりも小さい場合に前記収容部に前記内容物が存在することを検出し、
前記光源が射出した光が前記貫通孔の内周面によって拡散されて、前記受光部が受光した光の量が所定値以上の場合に前記収容部に前記内容物が存在しないことを検出するブリスターパックの内容物有無検知装置。
【請求項2】
前記板状部材は、前記貫通孔のそれぞれにおいて、外側に凹状に設けられた、前記光源を配置する第一配置部と、前記受光部を配置するための第二配置部と、を備えた請求項1に記載のブリスターパックの内容物有無検知装置。
【請求項3】
前記光源は、単波長の光を射出する請求項1または2に記載のブリスターパックの内容物有無検知装置。
【請求項4】
前記光源は、赤外光を射出する請求項1または2に記載のブリスターパックの内容物有無検知装置。
【請求項5】
前記光源は、パルス状に紫外光を射出する請求項1または2に記載のブリスターパックの内容物有無検知装置。
【請求項6】
前記貫通孔の内壁面は鏡面である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のブリスターパックの内容物有無検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスターパックの内容物有無検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光源から射出された光を受光部で受光することによって対象物をセンシングする装置として、例えば、包装品検査装置が知られている(特許文献1参照)。この包装品検査装置では、赤外線送信機(光源)と赤外線受信機(受光部)とが、ブリスターパックにおいて内容物が収容される透明なカップ(収容部)を挟んで対向する位置に配置され、赤外線送信機から赤外線受信機に向けて赤外光が射出される。このとき、赤外線送信機から射出された赤外光を赤外線受信機が受光しない、即ち、カップ内の内容物によって赤外光が遮られることで、カップ内に内容物があることが検知でき、赤外線送信機から射出された赤外光を赤外線受信機が受光した、即ち、赤外光がカップ内を通過することで、カップ内に内容物がないことが検知できる。このように、前記包装品検査装置では、ブリスターパックのカップ内における内容物の有無を非接触で検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−20628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の包装品検査装置では、光源から受光部に向かう光が遮られるか否かで判断しているため、検知対象物の有無しか検知できない。
【0005】
しかし、近年、光源から射出された光を受光部で受光することによって行われるセンシングにおいて、検知対象物の容積を検知することが求められている。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決し、要求に応えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るブリスターパックの内容物有無検知装置は、
透明な樹脂で形成された複数の窪み状の収容部に内容物が収容され、破れやすいシートで覆った上で収容部の周辺部と前記シートとが接着されたブリスターパックの内容物を検知する内容物有無検知装置であって、
前記ブリスターパックにおける複数の収容部に対応する位置に貫通孔を備えた板状部材と、
前記貫通孔の一方の開口を塞ぐ基板と、
前記貫通孔の他方の開口に対し、前記ブリスターパックをセットした状態で、前記ブリスターパックを前記板状部材に向けて押圧するカバーと、
前記カバーが閉じたことを検知する検知部と、
を備え、
前記基板は、
光を射出する光源と前記光源から射出され前記樹脂を透過した光を受光する受光部とを、前記収容部の前記内容物を挟む位置に設けた複数の検知ユニットと、
前記検知ユニットのそれぞれについて、前記受光部が受光した光の量に応じた電気信号の強度を閾値と比較して前記収容部における内容物の有無を検出し、外部機器に検出結果を送信する検出部と、
を有し、
前記基板に設けられた全ての前記光源は、前記カバーが閉じられたことを前記検知部が検知した場合に発光し、
前記検出部は、
前記光源が射出した光が前記内容物によって遮られ、前記受光部が受光した光の量が所定値よりも小さい場合に前記収容部に前記内容物が存在することを検出し、
前記光源が射出した光が前記貫通孔の内周面によって拡散されて、前記受光部が受光した光の量が所定値以上の場合に前記収容部に前記内容物が存在しないことを検出するブリスターパックの内容物有無検知装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブリスターパックに収容された収容物の取り出しを簡易に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第一実施形態に係るブリスターパックの内容物検知装置のカバーを閉じた状態の斜視図である。
図2図2は、前記ブリスターパックの内容物検知装置のカバーを開いた状態の斜視図である。
図3図3は、前記ブリスターパックの内容物検知装置の分解斜視図である。
図4図4は、前記ブリスターパックの内容物検知装置のカバーを外した状態の平面図である。
図5図5は、図4のV−V位置における拡大断面図である。
図6図6は、カバーを開いた状態の前記ブリスターパックの内容物検知装置にブリスターパックを配置した状態の斜視図である。
図7図7は、収容空間画定部材の内壁面によって画定される収容空間にブリスターパックの収容部が収容された状態を説明するための図である。
図8図8は、図7のVIII−VIII位置における断面図であって、内容物が収容部に収容されている状態の断面図である。
図9図9は、図7のVIII−VIII位置における断面図であって、内容物が収容部から押し出された状態の断面図である。
図10図10は、図7のVIII−VIII位置における断面図であって、内容物が収容部から押し出された他の状態の断面図である。
図11図11は、第二実施形態に係る容積検知装置を説明するための模式図である。
図12図12は、他実施形態に係る容積検知部(容積検知装置)を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第一実施形態について、図1図10を参照しつつ説明する。
【0011】
本発明に係るブリスターパックの内容物検知装置(以下、単に「内容物検知装置」と称する。)は、図6図8に示すような、複数の収容部91を有するブリスターパック9における収容部91毎の内容物92の有無を検知する。本実施形態のブリスターパック9は、いわゆるPTP(press through pack)シートであり、収容部91に収容されている内容物92は、錠剤である。このブリスターパック9は、透明な樹脂シート90に熱成形して作った複数の窪み(収容部)91のそれぞれに内容物(本実施形態の例では、中央部が外側に膨出した円盤状の錠剤)92を入れ、収容部91の開口をアルミ箔等の比較的破れやすいシート93で覆い、収容部91の周辺部を接着またはシール等で固定することにより形成されている。
【0012】
内容物検知装置は、図1図5に示すように、検知対象物であるブリスターパック9の収容部91の容積(体積)に応じた電気信号を出力する容積検知部(容積検知装置)と、容積検知部からの電気信号を受信してブリスターパック9の収容部91内の内容物92の有無を検出する第一検出部(検出部)25と、を備える。
【0013】
容積検知部は、ブリスターパック9の収容部91が収容される収容空間Sを画定する内壁面220を有する収容空間画定部材22と、収容空間Sに光を射出する光源23と、光源23から射出された光を拡散させる拡散部と、収容空間S内の拡散された光を受光すると共に受光強度に応じた強度の電気信号を出力する受光部24と、を備える。本実施形態の拡散部は、内壁面220を含む。
【0014】
具体的に、内容物検知装置1は、厚板状の装置本体2と、装置本体2の一方の面を覆うことができるカバー(押圧部)3と、を備える。
【0015】
装置本体2は、筐体21と、内壁面220を有する収容空間画定部材22と、光源23と、受光部24と、第一検出部25と、を有する。本実施形態の装置本体2には、複数(ブリスターパック9の収容部91の数に対応した数)の収容空間Sが形成されている。即ち、収容空間画定部材22は、複数の内壁面220を有する。複数の内壁面220のそれぞれは、ブリスターパック9の複数の収容部91と対応する位置に配置されている。
【0016】
収容空間画定部材22は、矩形の板状であり、かつ厚さ方向に貫通する複数(ブリスターパック9の収容部91の数に対応した数)の貫通孔261を有する画定部材本体26と、貫通孔261の一方の開口を塞ぐ基板27と、を有する。本実施形態の収容空間画定部材22では、貫通孔261を画定する筒状の周面部262と、基板27における貫通孔261の一方の開口を塞ぐ部位(閉塞部)271と、によって内壁面220が構成されている(図3参照)。即ち、複数の内壁面220のそれぞれは、周面部262と閉塞部271とを有する。本実施形態の内壁面220は、開口を有すると共に、ブリスターパック9の収容部91が開口から収容空間S内に挿入された状態で内壁面220の開口周縁部221がブリスターパック9の収容部91の周囲に当接することで該収容空間Sが閉じた空間となる形状を有する(図8参照)。
【0017】
また、収容空間画定部材22は、各内壁面220と隣接する位置における画定部材本体26と基板27との間に、光源23が配置される第一配置部28と、受光部24が配置される第二配置部29と、を有する(図5参照)。これら第一配置部28と第二配置部29とは、収容空間Sとそれぞれ連通し、周面部262を仮想軸260を中心軸とした円柱面とみなしたときの径方向に対向する位置にそれぞれ設けられている。光源23と受光部24とは、基板27に実装された状態で、第一配置部28と第二配置部29とに配置される。
【0018】
複数の周面部262のそれぞれは、画定部材本体26の厚さ方向(所定方向)に延びる仮想軸260を囲う筒状(円柱面状)であり、周方向の全域に凸部および凹部の少なくとも一方を複数有する。本実施形態の周面部262は、複数の凸部263を有する(図7参照)。
【0019】
複数の凸部263のそれぞれは、仮想軸260と同方向に延び、かつ周面部262の周方向に並んでいる。各凸部263の仮想軸260と直交する断面形状は、三角形状である。即ち、周面部262の仮想軸260と直交する断面形状では、鋸刃状に凹凸が交互に並んでいる(図7参照)。また、複数の周面部262のそれぞれは、鏡面である。本実施形態の周面部262は、銀蒸着によって鏡面となっている。
【0020】
なお、周面部262の形状である「円柱面状」とは、本実施形態のように仮想軸260と直交する断面が周方向に小さな凹凸を繰り返す形状以外に、扁平率の小さな楕円や、円に近い多角形等の大凡円形に見える形状を含む。
【0021】
このような形状の周面部262によって、光源23から射出された光が、収容空間S内において、種々の方向に反射を繰り返して拡散する。
【0022】
光源23は、第一配置部28から収容空間S内に光(赤外領域から紫外領域までの波長のうちの所定の波長の光)を射出する。この光源23は、単波長の光を射出する。このように、収容空間Sに射出される光の波長域を狭くすることで、受光部24で受光したときの外乱光の影響を除去し易くなる。本実施形態の光源23は、赤外領域の波長の光を射出する。この光源23は、周面部262の所定位置から、該周面部262を仮想軸260を中心軸とした円柱面とみなしたときの前記所定位置における法線方向と交差する方向に、光を射出する。具体的に、本実施形態の光源23は、発光面231が仮想軸260に対して周面部262の開口側(基板27と反対側)に傾斜した姿勢となるように配置されている(図5参照)。本実施形態の光源23は、LEDである。
【0023】
受光部24は、いわゆる受光素子であり、受光面で受光した光の強度に応じた強度の電気信号を出力する。本実施形態の受光部24は、光源23から収容空間S内に射出され、かつ、周面部262と、収容空間S内に収容された検知対象物(本実施形態の例では、ブリスターパック9の収容部91)と、の間で反射を繰り返して十分に拡散された光を受光する。この受光部24は、周面部262における光源23と対向する位置に配置されている。本実施形態の受光部24は、受光面241が仮想軸260に対して周面部262の開口部側に傾斜した姿勢となるように配置されている(図5参照)。
【0024】
第一検出部25は、基板27に実装されている。この第一検出部25は、受光部24から受信した電気信号の強度が所定の閾値を超えるか否かでブリスターパック9の収容部91内の内容物92の有無を検出する。本実施形態の第一検出部25は、一つの内壁面220と、この内壁面220に対応する光源23および受光部24とを一つの検知ユニットとしたときに、複数の検知ユニットのそれぞれから電気信号を受信すると共に、検知ユニット毎の収容部91内の内容物92の有無を検出する。
【0025】
第一検出部25は、検出結果を、スマートフォン等の外部機器に向けて電波により出力する。このスマートフォン等に所定の服薬管理用のソフトをインストールしておくことで、前記検出結果を受信したスマートフォンで、服薬管理を行うことができる。即ち、ブリスターパック9の複数の収容部91のうちのいずれの収容部91内の内容物92が無いかが検出できるため、例えば、毎日所定個数の錠剤を服薬したか否かや、所定時間ごとに錠剤を服薬したか否か等の管理を行うことができる。
【0026】
なお、内容物検知装置1からの出力情報を受信する前記の外部機器は、スマートフォンに限定されず、PDA等の携帯端末、PC、服薬管理専用端末等でもよい。また、外部機器は、内容物検知装置1の使用場所から離れた場所に設置されてLANやインターネット等を経由して接続されるサーバ等であってもよい。即ち、外部機器は、収容部91毎の内容物92の有無についての情報を利用する機器であればよい。また、本実施形態の内容物検知装置1は、無線接続によって、外部機器に収容部91毎の内容物92の有無についての情報を出力しているが、有線接続によって、外部機器に収容部91毎の内容物92の有無についての情報を出力する構成でもよい。
【0027】
カバー3は、板状の部材であり、矩形板状の装置本体2の長辺に、該長辺に沿った軸を回動軸として回動可能に取り付けられている。カバー3は、閉じた状態(図1参照)では、収容空間画定部材22の各収容空間S(内壁面220)の開口を塞ぎ、開いた状態(図2参照)では、各収容空間S(内壁面220)の開口が開放された状態となる。カバー3は、閉じた状態のときに、収容空間画定部材22の一方の面に沿って該面の略全体を覆う形状である。このため、本実施形態のカバー3は、閉じた状態のときに、ブリスターパック9を内壁面220の開口周縁部221に向けて、即ち、収容空間画定部材22に向けて押さえる機能に加え、外部から収容空間Sに向かう光を遮光する機能も有する。
【0028】
以上のように構成される内容物検知装置1は、以下のように使用される。
【0029】
カバー3が開かれ(図2参照)、各収容部91が収容空間Sに収容されるようにブリスターパック9が収容空間画定部材22上に配置される(図6参照)。ブリスターパック9が配置されると、カバー3が閉じられる。このカバー3が閉じたことを装置本体2が検知することで、または、スイッチ等が操作されることで、複数の検知ユニットのそれぞれにおいて、光源23が光を射出すると共に、受光部24が収容空間S内で反射を繰り返して十分に拡散された光を受光する。複数の受光部24のそれぞれは、受光強度に応じた強度の電気信号を第一検出部25にそれぞれ出力する。第一検出部25は、各受光部24から受信した電気信号の強度が閾値を超えるか否かで、検知ユニット毎、即ち、ブリスターパック9の収容部91毎の内容物92の有無をそれぞれ検出し、検出結果を電波で出力する。
【0030】
以上の内容物検知装置1では、閉じた空間(本実施形態の例では収容空間S)において光源23から射出された光を種々の方向に反射させて十分に拡散された(反射を繰り返した)光を受光部24によって受光したときに、前記閉じた空間の容積に応じて受光強度が変化することを利用して、ブリスターパック9の収容部91の内容物92の有無を検知する。即ち、内容物検知装置1では、拡散光によって収容空間S内の検知対象物の容積をセンシングする容積検知部(本実施形態の例では、内壁面220、光源23、受光部24、第一検出部25)を用いることによって、光源23と受光部24との間にブリスターパック9の一部(例えば、図9に示すような内容物92を押し出した後の潰れた状態の収容部91や、図10に示すような収容部91の開口を塞いでいたシート93)があっても、収容部91内の内容物92の有無を検知することができる。
【0031】
具体的には、本実施形態の内容物検知装置1では、拡散光を用いて検出した収容空間S内の収容部91の容積、即ち、受光部24から出力される電気信号の強度に対する適切な閾値を設定し、第一検出部25において受光部24から受信した電気信号の強度がこの閾値を超えるか否かでブリスターパック9の収容部91内の内容物92の有無を検出する構成とすることで、光源23と、この光源23から射出された光を受光する受光部24との間、即ち、光源23から受光部24に直接向かう光の軌道上に物体(ブリスターパック9の一部)があったとしても、収容部91内の内容物92の有無を検知することができる。
【0032】
本実施形態の内容物検知装置1では、第一検出部25が複数の検知ユニット(一つの内壁面220と、この内壁面220に対応する光源23および受光部24)のそれぞれから電気信号を受信すると共に、検知ユニット毎の収容部91内の内容物92の有無を検出しているため、複数の収容部91を有するブリスターパック9の収容部91毎の内容物92の有無を検知することができる。
【0033】
本実施形態の内容物検知装置1では、内壁面220が、仮想軸260を囲う筒状の周面部262を含み、凸部263が、周面部262における周方向の全域に配置されている。このため、周面部262の周方向の全域において光が種々の方向に反射され(拡散し)、これにより、光源23から射出された光が収容空間S内で十分に拡散される。その結果、拡散された光を受光した受光部24から出力される電気信号の強度が隙間空間(内壁面220と収容部91の表面との間の空間)の大きさに対し、より精度よく対応するようになる。したがって、第一検出部25が受信する受光部24からの電気信号の強度が、収容空間S内の収容部91の容積により精度よく対応するため、内容物92の有無の判断(閾値との比較)がより精度よく行われる。
【0034】
また、内壁面220の凸部263は、仮想軸260と同方向に延びている。このように一方向(仮想軸方向)に延びる凸部263といった簡素な構成によって、周面部262の周方向の全域において光を種々の方向に反射することができる。
【0035】
また、本実施形態の内容物検知装置1では、光源23が、周面部262の所定位置から、該周面部262が仮想軸260を中心軸とする円柱面としたときの前記所定位置における法線方向と交差する方向に、光を射出する。かかる構成によれば、周面部262の前記所定位置の近傍に収容部(検知対象物)91がある場合に、光源23が光を前記所定位置の法線方向に射出する場合に比べ、収容部91で反射して光源23(発光面等)に戻る光の量が抑えられる。これにより、収容部91の容積の検知に必要な隙間空間での拡散光の減少が抑えられ、第一検出部25が受信する受光部24からの電気信号の強度が、収容空間S内の収容部91の容積により精度よく対応する。
【0036】
また、本実施形態の内容物検知装置1では、周面部262が、円柱面状であり、光源23と受光部24とが、周面部262において、該周面部262の径方向に対向する位置に配置されている。このため、受光部24が周面部262の周方向において光源23から最も離れた位置に配置され、これにより、光源23の近くに配置される場合に比べ、十分に反射を繰り返して拡散された光を受光する。その結果、受光部24から出力される電気信号の強度が隙間空間の大きさに対し、より精度よく対応するようになる。
【0037】
また、本実施形態の内容物検知装置1では、周面部262が鏡面であるため、周面部262での周方向の全域において反射による光の減衰が抑えられる。これにより、受光部24での受光強度が増大し、その結果、受光部24から出力される電気信号の強度が隙間空間の大きさに対し、さらに精度よく対応するようになる。
【0038】
また、本実施形態の内容物検知装置1は、ブリスターパック9の収容部91が収容空間Sに収容された状態でブリスターパック9を内壁面220の開口周縁部221に向けて押さえることができるカバー3を備えている。このため、収容部91内の内容物92の有無の検知の際に、カバー3によってブリスターパック9が押さえられて内壁面220の開口周縁部221と、ブリスターパック9の収容部91の周囲とが密接する。即ち、開口周縁部221と収容部91の周囲とに隙間が生じ難くなる。このため、外部からの光(外乱光)の収容空間S内への侵入が好適に防がれる。
【0039】
次に、本発明の第二実施形態について図11を参照しつつ説明するが、上記第一実施形態と同様の構成には同一符号を用いると共に詳細な説明を省略し、異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0040】
本実施形態の容積検知装置20は、図11に示すように、検知対象物50が収容される収容空間Sを画定する内壁面220を有する収容空間画定部材22と、収容空間Sに光を射出する光源23と、光源23から射出された光を拡散させる拡散部と、収容空間S内の拡散された光を受光すると共に受光強度に応じた強度の電気信号を出力する受光部24と、を備える。また、本実施形態の容積検知装置20は、受光部24からの電気信号を受信して検知対象物の容量を検出する第二検出部30を備える。本実施形態の容積検知装置20では、拡散部は、内壁面220を含む。
【0041】
収容空間画定部材22は、閉じた収容空間Sを画定する内壁面220を有する。即ち、第一実施形態の収容空間画定部材22は、ブリスターパック9と共同して閉じた収容空間Sを形成しているが、本実施形態の収容空間画定部材22は、収容空間画定部材22の内壁面220のみで閉じた収容空間Sを形成(画定)する。この収容空間画定部材22では、蓋225が開閉されることで、検知対象物50の収容空間S内への出し入れが行われる。本実施形態の検知対象物50は、例えば、透明な容器51に入れられた粉体である。
【0042】
内壁面220は、複数の凹部226(図11に示す例では、ディンプル状の凹部)を有している。本実施形態の内壁面220は、検知対象物50(詳しくは、容器51)が配置される面を除いた全面に、複数の凹部226を有している。また、内壁面220の全域が鏡面である。即ち、本実施形態の収容空間Sは、全方向において鏡面に囲まれている。
【0043】
第二検出部30は、例えば、電気信号の強度と検知対象物50の容積とを対応させたテーブルを有し、該テーブルに基づいて受光部24から受信した電気信号の強度と対応する検知対象物50の容積を出力する。このテーブルは、閉じた空間(本実施形態の例では収容空間S)において光源23から射出された光を種々の方向に反射させて十分に拡散し、この拡散された光を受光部24が受光したときの受光強度が、前記閉じた空間の容積に応じて変化することに基づいて、計算や実測等によって作成されている。具体的に、前記テーブルは、検知対象物50が大きい(即ち、検知対象物50と内壁面220との間の隙間空間が小さい)程、光が反射する回数が増加するため減衰し、これにより、拡散光の受光強度が小さくなる一方、検知対象物50が小さい(即ち、隙間空間が大きい)程、光が反射する回数が抑えられることで拡散光の受光強度が大きくなることに基づいて作成されている。なお、第二検出部30は、前記テーブルを用いず、受信した電気信号の強度に基づいて、演算等によって検知対象物50の容積を求めてもよい。即ち、第二検出部30は、受光部24からの電気信号の強度に基づいて検知対象物50の容積を導出する構成であればよい。
【0044】
第二検出部30は、第一実施形態の第一検出部25と同様に、電波によって検出結果(検知対象物の容積)をスマートフォン等に出力する構成でもよく、容積検知装置20に設けられた画面等に出力する構成等でもよい。
【0045】
以上のように構成される容積検知装置20は、以下のように使用される。
【0046】
収容空間画定部材22の蓋225が開かれ、検知対象物50の入った容器51が収容空間Sに入れられ、その後、蓋225が閉じられる。この蓋225が閉じたことを容積検知装置20が検知することで、または、スイッチ等が操作されることで、光源23が光を射出すると共に、受光部24が収容空間S内で反射を繰り返して十分に拡散された光を受光する。受光部24は、受光強度に応じた強度の電気信号を第二検出部30に出力する。第二検出部30は、受光部24から受信した電気信号の強度とテーブルとに基づいて検知対象物50の容積を求め(検出し)、検出結果を電波で出力する。
【0047】
以上の容積検知装置20では、収容空間S内に射出された光が収容空間S内で拡散されると、収容空間Sにおける検知対象物50を除いた空間(内壁面220と検知対象物50の表面との間の隙間空間)の容積に応じて受光部24での受光強度(光量)が変化する。このため、本実施形態の容積検知装置20によれば、光源23から収容空間S内に光が射出されることで、検知対象物50と内壁面220とによって反射が繰り返されて十分に拡散された光を受光した受光部24から検知対象物50の容積に応じた強度の電気信号が出力され、この電気信号に基づくことで、第二検出部30が検知対象物50の容積を導出する。
【0048】
本実施形態の容積検知装置20では、鏡面加工された内壁面220が、複数の凹部226を有し、拡散部を構成している。かかる構成によれば、光源23からの光や、検知対象物50等で反射した光が内壁面220の複数の凹部226によって、さらに種々の方向に反射される(拡散する)。このため、光源23から収容空間S内に射出された光が隙間空間(内壁面220と検知対象物50の表面との間の空間)においてより拡散され、これにより、受光部24から出力される電気信号の強度が、隙間空間の大きさに対して精度よく対応するようになる。その結果、受光部24から出力される電気信号に基づくことで、検知対象物50の容積が精度よく導出される。
【0049】
なお、本発明の容積検知装置、容積検知部(容積検知装置)を備えたブリスターパックの内容物検知装置、および容積検知装置用の収容空間画定部材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0050】
第一および第二実施形態の内壁面220の凸部263または凹部226の具体的な形状は、限定されない。例えば、第一実施形態の内壁面220は、仮想軸260の方向に延びる凸部(いわゆる突条)263を有し、第二実施形態の内壁面220は、ディンプル状の凹部226を有するが、一つ内壁面220が凸部と凹部との両方を有してもよい。また、凸部および凹部は、円錐状、柱状等でもよい。即ち、凸部および凹部は、収容空間S内で、光を種々の方向に乱反射させる形状であればよい。
【0051】
第一および第二実施形態の内壁面220の具体的形状は、限定されない。例えば、第一実施形態の内壁面220は、ブリスターパック9の収容部91の形状に対応する形状であればよい。また、第二実施形態の内壁面220は、容積を検知する対象物が収容できる形状であればよい。
【0052】
内壁面220の全面が鏡面で無くてもよい。即ち、内壁面220の一部が鏡面でもよい。また、光が効率よく反射される構成(壁面)であれば、内壁面220は鏡面でなくてもよい。
【0053】
光源23が光を射出する具体的な方向は、限定されない。第一実施形態の光源23は、周面部262の所定位置から、該周面部262を仮想軸260を中心軸とした円柱面とみなしたときの前記所定位置における法線方向と交差する方向に光を射出するが、前記法線方向に光を射出してもよい。即ち、光源23は、内壁面220と、検知対象物(第一実施形態では収容部91、第二実施形態では検知対象物50)との間で反射を繰り返すような向きに光を射出できればよい。
【0054】
また、光源23が射出する光は、赤外領域の波長に限定されない。紫外領域の波長でもよく、可視光領域の波長でもよい。即ち、光源23が射出する光は、赤外光と可視光と紫外光とを含む波長領域のうちのいずれかの波長の光であればよい。
【0055】
なお、赤外光(赤外領域の波長の光)の場合、連続して射出することによって検知対象物の容積の検出や、内容物の有無の検出が精度よく行われるが、紫外光(紫外領域の波長の光)の場合、パルス状に射出することが好ましい。これは、外乱光とし収容空間S内に侵入する可能性のある外部の光に、紫外光(紫外領域の波長の光)が多く含まれるため、受光部24から出力される電気信号からこの外乱光の影響を除去し易くするためである。即ち、強度が一定のパルス光(パルス状の紫外光)を光源23が射出することで、光源23が発光しているときの受光部24での受光強度(受光部24から出力される電気信号の強度)と、光源23が発光していないときの受光部24での受光強度(受光部24から出力される電気信号の強度)とから、外乱光(詳しくは、外乱光に含まれる紫外光)の強度が得られるため、受光部24から出力される電気信号から外乱光の影響を容易に除去することができる。
【0056】
第一および第二実施形態の容積検知部および容積検知装置20では、一つの検知ユニットに一つの光源23と一つの受光部24とが配置されているが、この構成に限定されない。一つの検知ユニットに少なくとも一つの光源23と、少なくとも一つの受光部24とが配置されていればよい。この場合、例えば、図12に示す例において、異なる位置に配置された二つの光源23のうちの一方の光源23が光を射出し、この一方の光源23と収容空間Sを挟んで対向する受光部24が散乱光を受光した後、一方の光源23が光の射出を止めた状態で他方の光源23が光を射出し、この他方の光源23と収容空間Sを挟んで対向する受光部24が散乱光を受光する構成でもよい。即ち、一つの光源23と、この光源23から射出されて散乱された光を受光する一つの受光部24と、を一組とし、この組が複数配置される構成でもよい。また、複数の光源23が同時に光を射出し、一つの受光部24が散乱光を受光してもよく、一つの光源23が光を射出し、複数の受光部24が同時に散乱光を受光する構成でもよい。また、複数の光源23が同時に光を射出し、複数の受光部24が同時に散乱光を受光する構成でもよい。これらの場合、全ての光源23が同じ波長域の光を射出する構成でなくてもよい。
【0057】
第一および第二実施形態の内壁面220には、凸部および凹部の少なくとも一方が複数配置されているが、この構成に限定されない。内壁面220は、局所的な凹凸のない、例えば、球面や、円柱面等であってもよい(図12参照)。また、内壁面220は、正多面体等であってもよい。これらの場合、内壁面220が、鏡面によって構成され、光源23が内壁面220の所定位置から径方向(球の中心や、円柱の中心軸、正多面体の中心に向かう方向)と交差する方向に射出する構成であれば、射出された光が乱反射し易く(種々の方向に反射を繰り返し易く)、これにより、十分に拡散する。
【0058】
第一および第二実施形態の拡散部は、内壁面220を含むが、この構成に限定されない。拡散部は、収容空間S内に配置された複数の反射板等によって構成され、光源23から射出された光を種々の方向に反射して拡散する構成でもよい。また、拡散部は、内壁面220と、収容空間S内に配置された反射板等とによって構成されてもよい。
【0059】
光源23の発光面は、平面に限定されない。例えば、光源23は、発光面を凸面等にすることで、光源23から種々の方向に光が射出される構成でもよい。かかる構成によれば、光源23から射出された光が収容空間S内においてより拡散され易くなる。
【0060】
また、受光部24の受光面も、平面に限定されない。例えば、受光部24は、受光面をパラボラ状にした構成でもよい。かかる構成によれば、収容空間S内の拡散光(種々の方向に進む光)を受光し易くなり、これにより、受光面での受光強度を確保し易くなる。
【0061】
第一実施形態の内容物検知装置1は、収容部91毎の内容物92の有無につていの情報を、外部機器に出力しているが、この構成に限定されない。内容物検知装置1は、CRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示部を備え、この表示部に、前記内容物92の有無についての情報、または前記情報に基づいた画像等が表示される構成でもよい。また、内容物検知装置1は、前記内容物92の有無についての情報を、文字や画像等として紙面等に出力(プリントアウト)する構成でもよい。
【0062】
第一実施形態のブリスターパックの内容物検知装置1では、ブリスターパック9の収容部91が透明であるが、この構成に限定されない。収容部91は不透明でもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…内容物検知装置、2…装置本体、3…カバー、9…ブリスターパック、20…容積検知装置、21…筐体、22…収容空間画定部材、220…内壁面、221…開口周縁部、225…蓋、226…凹部、23…光源、231…発光面、24…受光部、241…受光面、25…第一検出部、26…画定部材本体、260…仮想軸、261…貫通孔、262…周面部、263…凸部、27…基板、271…閉塞部、28…第一配置部、29…第二配置部、30…第二検出部、50…検知対象物、51…容器、90…樹脂シート、91…収容部、92…内容物、93…シート、S…収容空間
図1
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