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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-15180(P2019-15180A)
(43)【公開日】2019年1月31日
(54)【発明の名称】燃焼室の冷却機構
(51)【国際特許分類】
   F02K 9/64 20060101AFI20190104BHJP
   F02K 9/40 20060101ALI20190104BHJP
【FI】
   F02K9/64
   F02K9/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-130569(P2017-130569)
(22)【出願日】2017年7月3日
(71)【出願人】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(72)【発明者】
【氏名】川島 秀人
(72)【発明者】
【氏名】砂川 英生
(72)【発明者】
【氏名】根岸 秀世
(57)【要約】
【課題】第2方向の単位長さ当たりにより多くの流路を配置するとともに、燃焼室からの熱を冷媒に効果的に伝達させる燃焼室の冷却機構を提供する。
【解決手段】燃焼室の冷却機構12は、燃焼室に接する底壁21と、底壁に対して燃焼室とは反対側に配置された上壁22と、底壁及び上壁と接し、底壁に沿う第1方向Zに延び、第1方向に直交する第2方向Yに並べて配置された複数の側壁23と、を備え、底壁と上壁との間であって第2方向に隣り合う側壁の間に、略一定の幅の流路C1が形成されており、流路内を流れる冷媒R1に、底壁を介して伝達される燃焼室からの熱を、分散させて伝達させる熱分散構造26が流路内に設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室に接する底壁と、
前記底壁に対して前記燃焼室とは反対側に配置された上壁と、
前記底壁及び前記上壁と接し、前記底壁に沿う第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に並べて配置された複数の側壁と、
を備え、
前記底壁と前記上壁との間であって前記第2方向に隣り合う前記側壁の間に、略一定の幅の流路が形成されており、
前記流路内を流れる冷媒に、前記底壁を介して伝達される前記燃焼室からの熱を、分散させて伝達させる熱分散構造が前記流路内に設けられている、
燃焼室の冷却機構。
【請求項2】
前記熱分散構造は、前記流路内を前記流路の軸線方向に延びるとともに、前記軸線回りに周回する螺旋羽状に形成された仕切り部材を備える、
請求項1に記載の燃焼室の冷却機構。
【請求項3】
前記熱分散構造は、前記流路内に配置され、前記流路の軸線方向の一方側から他方側に向かうに従い、前記底壁に漸次近づく形状の案内部材を備える、
請求項1に記載の燃焼室の冷却機構。
【請求項4】
前記熱分散構造は、前記流路が、前記第2方向に蛇行しながら前記第1方向に延びる形状を備える、
請求項1に記載の燃焼室の冷却機構。
【請求項5】
前記熱分散構造は、前記流路の幅が、前記底壁側から前記上壁側に向かうに従い、漸次広くなる形状を備える、
請求項1に記載の燃焼室の冷却機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼室の冷却機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼室内を流れる燃焼ガスを冷却するために、例えば特許文献1に記載されているような燃焼室の冷却機構が用いられている。
【0003】
特許文献1に開示された燃焼室の冷却機構は、燃焼室に接する底壁と、上壁と、複数の側壁とを備えている。底壁と前記上壁との間であって隣り合う仕切壁の間には、流路が形成されている。各流路は、第1方向に沿って延びる第1流路及び第2流路と、第1流路と第2流路との間に配置される接続流路と、を備えている。第2流路は、第1流路に対して、底壁に沿い、かつ第1方向に直交する第2方向にオフセットして配置されている。
【0004】
第1流路から接続流路に流れ込んだ冷媒は、接続流路内で衝突することで攪拌される。攪拌された冷媒は、接続流路から第2流路に流れ込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−166595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の燃焼室の冷却機構では、第1流路と第2流路とが第2方向に互いに離間しているため、流路の幅が第2方向に広くなる。このため、第2方向の単位長さ当たりに数多くの流路を配置しにくいという問題がある。
また、燃焼室内を流れる燃焼ガスを効率的に冷却することが望まれている。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、第2方向の単位長さ当たりにより多くの流路を配置するとともに、燃焼室からの熱を冷媒に効果的に伝達させる燃焼室の冷却機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の燃焼室の冷却機構は、燃焼室に接する底壁と、前記底壁に対して前記燃焼室とは反対側に配置された上壁と、前記底壁及び前記上壁と接し、前記底壁に沿う第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に並べて配置された複数の側壁と、を備え、前記底壁と前記上壁との間であって前記第2方向に隣り合う前記側壁の間に、略一定の幅の流路が形成されており、前記流路内を流れる冷媒に、前記底壁を介して伝達される前記燃焼室からの熱を、分散させて伝達させる熱分散構造が前記流路内に設けられている。
【0009】
また、上記の燃焼室の冷却機構において、前記熱分散構造は、前記流路内を前記流路の軸線方向に延びるとともに、前記軸線回りに周回する螺旋羽状に形成された仕切り部材を備えてもよい。
また、上記の燃焼室の冷却機構において、前記熱分散構造は、前記流路内に配置され、前記流路の軸線方向の一方側から他方側に向かうに従い、前記底壁に漸次近づく形状の案内部材を備えてもよい。
【0010】
また、上記の燃焼室の冷却機構において、前記熱分散構造は、前記流路が、前記第2方向に蛇行しながら前記第1方向に延びる形状を備えてもよい。
また、上記の燃焼室の冷却機構において、前記熱分散構造は、前記流路の幅が、前記底壁側から前記上壁側に向かうに従い、漸次広くなる形状を備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の燃焼室の冷却機構によれば、流路の幅が略一定であるため、第2方向の単位長さ当たりにより多くの流路を配置することができる。さらに、流路内に熱分散構造が設けられているため、流路内において燃焼室により加熱される底壁側の部分の冷媒の温度が、流路内のうちの他の部分の温度よりも高くなりすぎるのを抑えて、燃焼室からの熱を冷媒に効果的に伝達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態の冷却機構が用いられるロケットエンジンの斜視図である。
図2】同ロケットエンジンの燃焼器における軸線に直交する面A1による断面図である。
図3図1における上壁を透過した斜視図である。
図4】同冷却機構における要部の上壁を透過した斜視図である。
図5図4中の切断線V−Vの断面図である。
図6】同冷却機構の仕切り部材の斜視図である。
図7図4中の切断線VII−VIIの断面図である。
図8図4中の切断線VIII−VIIIの断面図である。
図9図4中の切断線IX−IXの断面図である。
図10】本発明の第2実施形態の冷却機構における要部の上壁を透過した斜視図である。
図11図10中におけるXI方向矢視図である。
図12】本発明の第3実施形態の冷却機構における要部の上壁を透過した斜視図である。
図13図12中の領域A3における、流路の軸線に直交する断面図である。
図14】本発明の第4実施形態の冷却機構における要部の上壁を透過した斜視図である。
図15】同冷却機構の流路における、流路の軸線に直交する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る燃焼室の冷却機構(以下、冷却機構と略して言う)の第1実施形態を、図1から図9を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の冷却機構が用いられるロケットエンジン1の斜視図である。ロケットエンジン1は、燃焼器11と、ノズル16と、を備えている。燃焼器11は円筒状に形成された冷却機構12を有している。冷却機構12の内側には、燃焼室13が形成されている。
【0014】
図2及び図3に示すように、冷却機構12は、底壁21と、上壁22と、複数の側壁23と、を有している。なお、図2においては、側壁23等を見やすくするために、冷却機構12を燃焼器11の径方向Xに厚く示している。
底壁21は、円筒状に形成され、燃焼室13に接している。
上壁22は、底壁21に対して燃焼室13とは反対側に、底壁21に対向するように配置されている。上壁22は、円筒状に形成され、底壁21を径方向X外側から囲うとともに底壁21と同軸に配置されている。
【0015】
側壁23は、底壁21に沿う第1方向Zに延びている。本実施形態では、第1方向Zは、燃焼器11の中心軸に沿う方向である。側壁23は、底壁21及び上壁22とそれぞれ接している。複数の側壁23は、第1方向Zに直交する第2方向Yに並んで配置されている。本実施形態では、第2方向Yは、燃焼器11の周方向である。なお、径方向X、及び周方向である第2方向Yは、周方向の位置により変化するため、径方向X、第1方向Z、及び第2方向Yは、図2、及び図4以降に示す。
複数の側壁23は、底壁21と一体に形成されている。
底壁21と上壁22との間であって第2方向Yに隣り合う側壁23の間に、流路C1が形成されている。なお、図3及び後述する図4図10図12、及び図14においては、上壁22を透過して示している。また、図3においては、複数の流路C1の本数を減らして示している。
以下では、冷却機構12を構成する複数本の流路C1のうちの数本の流路C1、及びこれらの流路C1を構成する底壁21、上壁22、及び側壁23について説明する。
【0016】
図4は、冷却機構12のうちの3本の流路C1分の斜視図である。本実施形態では、側壁23は、第1方向Zに沿って直線状に延びている。流路C1の軸線は、第1方向Zに沿って延びている。流路C1は、第1方向Zの位置によらず略一定の幅である。ここで言う、第1方向Zの位置によらず流路C1の幅が略一定とは、例えば、第1方向Zの位置による最小の流路C1の幅に対する最大の流路C1の幅の比が、140%以内であることを意味する。この比は、120%以内であることがより好ましい。
図5に示すように、例えば、流路C1の第1方向Zに直交する平面による断面形状は、径方向Xに長い矩形状である。側壁23の第1方向Zに直交する平面による断面形状は、径方向Xに長い矩形状である。
【0017】
図4から図6に示すように、流路C1内には、仕切り部材(熱分散構造)26が配置されている。仕切り部材26は、流路C1内を第1方向Zに延びるとともに、流路C1の軸線回りに周回する螺旋羽状に形成されている。言い替えれば、仕切り部材26は、流路C1の軸線方向の各位置において、流路C1の軸線を通るとともに、両端部が底壁21、上壁22、及び側壁23の少なくとも1つにそれぞれ接触している。仕切り部材26は、流路C1の第1端部から第2端部に向かうに従い、流路C1の軸線周りに周回することで、流路C1を、第1分割流路C2と第2分割流路C3とに仕切っている。
図5に示すように、仕切り部材26の流路C1の軸線に直交する断面形状は、矩形状である。以下では、この仕切り部材26の矩形状の断面形状のうち、長さが長い方の寸法を幅と言い、長さが短い方の寸法を厚さと言う。
なお、分割流路C2、C3内を冷媒R1が流れる。冷媒R1の種類は特に限定されないが、例えば冷媒R1は液体水素である。例えば、冷媒R1は、図4に示すように、第1方向Zに沿って一方側から他方側に向かう矢印F1の向きに流れる。
【0018】
図4及び図6に示すように、仕切り部材26は、第1方向Zの基準長さL1ごとに流路C1の軸線周りに1回転している。より詳しく説明すると、図4中の切断線V−Vによる冷却機構12の断面図が、図5である。図5では、仕切り部材26は、第2方向Yに沿って延び、一対の側壁23にそれぞれ接している。なお、本実施形態では、第1方向Zの位置によらず、仕切り部材26の厚さが一定である。
図7は、図4中の切断線VII−VIIによる冷却機構12の断面図である。仕切り部材26は、第2方向Yの一方側(紙面左側)から他方側(紙面右側)に向かうに従い漸次、底壁21に近付くように傾斜している。仕切り部材26は、一対の側壁23にそれぞれ接している。
【0019】
図8は、図4中の切断線VIII−VIIIによる冷却機構12の断面図である。仕切り部材26は、径方向Xに沿って延び、底壁21及び上壁22にそれぞれ接している。
図9は、図4中の切断線IX−IXによる冷却機構12の断面図である。仕切り部材26は、第2方向Yの一方側から他方側に向かうに従い漸次、上壁22に近付くように傾斜している。仕切り部材26は、一対の側壁23にそれぞれ接している。
【0020】
図5において流路C1の底壁21側の位置に配置された第1分割流路C2は、冷媒R1が矢印F1の向きに流れるに従い、図9に示すように流路C1の上壁22側の位置に配置される。同様に、図5において流路C1の上壁22側の位置に配置された第2分割流路C3は、冷媒R1が矢印F1の向きに流れるに従い、図9に示すように流路C1の底壁21側の位置に配置される。なお、分割流路C2、C3のうち、底壁21側の位置に配置された流路が燃焼室13により加熱されやすく、上壁22側の位置に配置された流路が燃焼室13により加熱されにくい。
すなわち、冷媒R1が矢印F1の向きに流れるに従い、第1分割流路C2の位置が底壁21側の位置、上壁22側の位置、底壁21側の位置、‥、と交互に入れ替わり、これに対応して、第2分割流路C3の位置が上壁22側の位置、底壁21側の位置、上壁22側の位置、‥、と交互に入れ替わる。
【0021】
第1方向Zの位置により、底壁21側の位置に配置される分割流路C2、C3が入れ替わることで、分割流路C2、C3内を流れる冷媒R1に、底壁21を介して伝達される燃焼室13からの熱を分散させて伝達させる。
第1方向Zにおいて、分割流路C2、C3内を流れる冷媒R1の燃焼室13からの距離が変化することで、分割流路C2、C3内を流れる一部の冷媒R1のみが燃焼室13により加熱され過ぎるのが防止される。
【0022】
なお、本実施形態では仕切り部材26の厚さが一定であるため、図8に示すように仕切り部材26が径方向Xに沿って延びて仕切り部材26の幅が比較的長いときに、分割流路C2、C3の軸線に直交する断面積が狭くなる。
一方で、図5に示すように仕切り部材26が第2方向Yに沿って延びて仕切り部材26の幅が比較的短いときに、分割流路C2、C3の軸線に直交する断面積が広くなる。
【0023】
なお、底壁21、上壁22、複数の側壁23、及び仕切り部材26は、銅等の金属で形成されている。また、冷却機構12を製造するには、立体的な形状が印刷可能な公知の3次元プリンタ等を用いることができる。
【0024】
次に、以上のように構成されたロケットエンジン1の作用について、冷却機構12に重点をおいて説明する。
燃焼室13内で燃料が燃焼されると、燃焼室13内を数千℃の燃焼ガスが流れる。燃焼ガスは、矢印F1の向きとは反対の向きに流れる。図示しないターボポンプ等の搬送手段により、各分割流路C2、C3内を矢印F1の向きに冷媒R1を流す。流路C1内に仕切り部材26が配置されて分割流路C2、C3が形成されているため、第1方向Zに向かうに従い、燃焼室13側の位置に配置された冷媒R1と、燃焼室13から離れた位置に配置された冷媒R1と、が交互に入れ替わる。比較的温度が低い冷媒R1が周期的に燃焼室13の近くに配置されると、燃焼ガスと冷媒R1との単位長さ当たりの温度勾配が大きくなり、燃焼ガスが効率的に冷却される。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の冷却機構12によれば、流路C1の幅が略一定であるため、第2方向Yの単位長さ当たりにより多くの流路C1を配置することができる。さらに、流路C1内に仕切り部材26が配置されているため、流路C1内において燃焼室13により加熱される底壁21側の部分の冷媒R1の温度が、流路C1内のうちの他の部分の温度よりも高くなりすぎるのを抑えて、燃焼室13からの熱を冷媒R1に効果的に分散させて伝達させることができる。したがって、冷媒R1により冷却機構12を効果的に冷却させることができる。
【0026】
熱分散構造が仕切り部材26を備えるため、冷媒R1が第1方向Zに沿って矢印F1の向きに流れるに従い、底壁21側の位置に配置される分割流路C2、C3が交互に入れ替わる。これにより、各分割流路C2、C3内を流れる冷媒R1の温度が互いに同等になり、燃焼室13からの熱を冷媒R1に効果的に伝達させることができる。
【0027】
なお、本実施形態では、第1方向Zの位置によらず、第1分割流路C2の軸線に直交する断面積が一定であるとともに、第1方向Zの位置によらず、第2分割流路C3の軸線に直交する断面積が一定になるように、仕切り部材26の厚さを調節してもよい。具体的には、仕切り部材26の幅と仕切り部材26の厚さとの積が一定になるように調節する。
このように構成することで、第1方向Zの位置によらず各分割流路C2、C3の断面積が一定になり、各分割流路C2、C3内を流れる冷媒R1の圧力損失を低減させることができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図10及び図11を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図10に示すように、本実施形態の冷却機構32は、第1実施形態の冷却機構12の仕切り部材26に代えて、流路C1内に配置された案内部材(熱分散構造)33を備えている。案内部材33は、第1方向Zの一方側から他方側に向かうに従い、底壁21に漸次近づくように形成されている。なお、冷媒R1は、流路C1内を第1方向Zの一方側から他方側に向かう矢印F1の向きに流れる。
【0029】
図10及び図11に示すように、本実施形態では、案内部材33は飛行機等の翼形状である。例えば、案内部材33は、NACA6415等の翼型である。案内部材33の外面は、角部の無い滑らかな形状であることが好ましい。案内部材33が滑らかな形状であることで、冷媒R1に圧力損失が生じるのを抑えることができる。
案内部材33の第1方向Zに対する仰角は、例えば15°である。図11に示すように、案内部材33と底壁21との距離L3と、案内部材33と上壁22との距離L4とは、互いに同等であることが好ましい。
図10に示すように、案内部材33は、第1方向Zに間隔を空けて複数配置されてもよい。
【0030】
次に、以上のように構成された冷却機構32の作用について説明する。
図11に示すように、矢印F1で示す第1方向Zに沿って他方側に向かって流れる冷媒R1のうち、矢印F3のように、流路C1内における底壁21から比較的離れた場所を、温度が比較的低い冷媒R1が流れる。この冷媒R1は、第1方向Zの他方側に向かうに従い、案内部材33に案内されて、矢印F4のように底壁21に比較的近い場所を流れる。温度が比較的低い冷媒R1が底壁21に比較的近い場所を流れることで、燃焼室13からの熱が、温度が比較的低い冷媒R1に効果的に伝達される。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の冷却機構32によれば、第2方向Yの単位長さ当たりにより多くの流路C1を配置することができる。
さらに、冷却機構32が案内部材33を備えるため、燃焼室13からの熱を温度が比較的高い冷媒R1だけでなく、案内部材33により案内された温度が比較的低い冷媒R1にも分散させて伝達させることができる。したがって、燃焼室13からの熱を、温度が比較的低い冷媒R1にも効果的に伝達させることができる。
【0032】
なお、本実施形態では案内部材33は翼形状であるとしたが、案内部材の形状はこの限りではない。案内部材は、平板状等でもよい。
【0033】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図12及び図13を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図12に示すように、本実施形態の冷却機構37は、第1実施形態の冷却機構12の仕切り部材26に代えて、流路C5が、第2方向Yに蛇行しながら第1方向Zに延びる形状の熱分散構造38を備えている。
流路C5が蛇行する場合においても、流路C5は第1方向Zの位置によらず略一定の幅である。このため、複数の流路C5を第2方向Yに並べて配置しても、第2方向Yに隣り合う流路C5同士が干渉せず、第2方向Yの単位長さ当たりにより多くの流路C5を配置することができる。
【0034】
次に、以上のように構成された冷却機構37の作用について説明する。
例えば、第2方向Yの一方側(図12における紙面左下側)に向かって突となるように湾曲した、流路C5における領域A3の冷媒R1の流れについて説明する。領域A3における流路C5の軸線に直交する断面では、図13に示すように、冷媒R1に作用する遠心力、及び底壁21と上壁22との温度差により、断面内に、矢印F6で示す二次流が生じる。すなわち、遠心力により冷媒R1は第2方向Yの一方側(図13における紙面左側)に流れる。底壁21側に配置された比較的温度が高い冷媒R1は、密度が低くなって径方向X外側に流れ、上壁22側に配置された比較的温度が低い冷媒R1は、密度が低くなって径方向X内側に流れる。
冷媒R1の二次流の流速は、冷媒R1の第1方向Zの流速に比べて遅い。冷媒R1の二次流により、冷媒R1は、この断面内において、第2方向Yに沿う方向だけでなく径方向Xにも流れる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の冷却機構37によれば、第2方向Yの単位長さ当たりにより多くの流路C5を配置することができる。
さらに、冷媒R1の二次流により、流路C5内において冷媒R1が径方向Xにも流れるため、底壁21を介して伝達される燃焼室13からの熱を、流路C5内の冷媒R1に分散させて効果的に伝達させることができる。
【0036】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図14及び図15を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図14及び図15に示すように、本実施形態の冷却機構42は、第1実施形態の冷却機構12の仕切り部材26に代えて、流路C7の幅が、底壁21側から上壁22側に向かうに従い、漸次広くなる形状の熱分散構造43を備えている。
本実施形態では、流路C7は、第1方向Zに見たときに径方向X内側に向かって幅が狭くなる三角形状である。流路C7の軸線は、第1方向Zに沿って延びている。流路C7は、第2方向Yに隣り合う側壁44の間に形成されている。側壁44の第1方向Zに直交する平面による断面形状は、底壁21側の下底が長い等脚台形状である。すなわち、側壁44の幅は、底壁21側から上壁22側に向かうに従い、漸次狭くなる。
1つの側壁44は、側壁44を第2方向Yに挟む一対の流路C7により共用されている。
【0037】
ここで、図15に示すように、複数の流路C7のうち1つの流路C7Aに着目して説明する。流路C7Aを間に挟む一対の側壁44を、径方向Xに沿って延びる仮想線L11により第2方向Yに2等分する。2等分した側壁44のうち、流路C7A側の部分を第1部分壁44aとし、流路C7Aとは反対側の部分を第2部分壁44bとする。
第1部分壁44aの幅は、底壁21側から上壁22側に向かうに従い、漸次狭くなる。
【0038】
一般的に、冷媒の熱伝導率よりも側壁の熱伝導率の方が大きい。第1部分壁44aの幅は、底壁21側の部分の方が、上壁22側の部分よりも広い。このため、第1部分壁44aにおける底壁21側の部分は、熱が伝導されやすい。燃焼室13からの熱は、矢印F8で示すように、第1部分壁44aにおける底壁21側の部分を通して、流路C7A内における底壁21側の部分だけでなく、流路C7A内における上壁22側の部分まで効果的に分散させて伝達される。
【0039】
なお、流路C7Aに対して第2方向Yに隣り合う流路C7内の冷媒R1には、流路C7Aを第2方向Yに挟む側壁44の第2部分壁44b等により、流路C7Aと同様に効果的に熱が伝達される。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の冷却機構42によれば、第2方向Yの単位長さ当たりにより多くの流路C7を配置することができる。
さらに、熱伝導率が大きく幅の広い底壁21側の側壁44を通して、燃焼室13からの熱を、流路C7内における底壁21側の部分だけでなく、流路C7内における上壁22側の部分にも分散させて伝達させることができる。したがって、燃焼室13からの熱を冷媒R1に効果的に伝達させることができる。
【0041】
以上、本発明の第1実施形態から第4実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態から第4実施形態では、底壁及び上壁は、円筒状ではなく、平板状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
12、32、37、42 冷却機構
13 燃焼室
21 底壁
22 上壁
23、44 側壁
26 仕切り部材(熱分散構造)
33 案内部材(熱分散構造)
38、43 熱分散構造
C1、C5、C7 流路
Y 第2方向
Z 第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15