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特開2019-152119静翼セグメント、及びこれを備えている蒸気タービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-152119(P2019-152119A)
(43)【公開日】2019年9月12日
(54)【発明の名称】静翼セグメント、及びこれを備えている蒸気タービン
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20190816BHJP
【FI】
   F01D9/02 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-36496(P2018-36496)
(22)【出願日】2018年3月1日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】脇 勇一朗
(72)【発明者】
【氏名】檀野 将平
(72)【発明者】
【氏名】山本 勇輝
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202GA11
(57)【要約】
【課題】翼環に複数の静翼をしっかりと取り付ける。
【解決手段】静翼セグメント30は、翼環70と、複数の静翼33と、翼環70に対する複数の静翼33の移動を拘束するコーキング部材90と、を備える。翼環70は、複数の静翼33の外側シュラウド50が入り込む翼環溝73と、収納空間形成部81とを有する。翼環溝73は、翼環溝73の第二溝側面74dから軸線方向Daの第一側Dauに突出する凸部76を有する。収納空間形成部81は、外側シュラウド50と共同して、コーキング部材90が入り込む収納空間87を形成する。収納空間形成部81は、翼環溝73の第一溝側面74uとつながっている。コーキング部材90は、収納空間87内に収まり、翼環溝73及び外側シュラウド50に接している。コーキング部材90は、収納空間87の内側開口88iから露出している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線に対する周方向に延びる翼環と、
前記翼環の前記軸線に対する径方向内側に、前記周方向に並んで取り付けられている複数の静翼と、
前記翼環に対する複数の前記静翼の相対移動を拘束するコーキング部材と、
を備え、
複数の前記静翼は、翼形を成し、前記軸線に対する径方向に延びる翼体と、前記翼体の前記軸線に対する径方向外側に形成されている外側シュラウドと、を有し、
前記外側シュラウドは、第一端面と、第二端面と、外周面と、係合溝と、を有し、
前記第一端面は、前記軸線が延びる軸線方向の第一側を向き、
前記第二端面は、前記軸線方向の前記第一側とは反対側の第二側を向き、
前記外周面は、前記径方向外側を向き、前記第一端面の前記径方向外側の端と前記第二端面の前記径方向外側の端と接続し、
前記係合溝は、前記第二端面から前記第一側に凹み、前記周方向に延び、
前記翼環は、ガスパス面と、翼環溝と、収納空間形成部と、を有し、
前記ガスパス面は、前記径方向内側を向き、前記周方向に延び、
前記翼環溝は、前記ガスパス面から前記径方向外側に向かって凹み、前記周方向に延びて、複数の前記静翼の前記外側シュラウドのそれぞれが入り込み、
前記収納空間形成部は、複数の前記静翼における前記外側シュラウドと共同して、前記コーキング部材が入り込み、前記径方向内側が開口している収納空間を形成する面を有し、
前記翼環溝は、第一溝側面と、第二溝側面と、溝底面と、凸部と、を有し、
前記第一溝側面は、前記第二側を向き、前記周方向に延びて、複数の前記静翼における前記外側シュラウドの前記第一端面のそれぞれと対向し、
前記第二溝側面は、前記第一側を向き、前記周方向に延びて、複数の前記静翼における前記外側シュラウドの前記第二端面のそれぞれと対向し、
前記溝底面は、前記径方向内側を向き、前記周方向に延びて、前記第一溝側面と前記第二溝側面とを接続し、複数の前記静翼における前記外側シュラウドの前記外周面のそれぞれと対向し、
前記凸部は、前記第二溝側面から前記第一側に突出し、前記周方向に延びて、複数の前記静翼における前記外側シュラウドの前記係合溝のそれぞれに嵌り込み、
前記収納空間形成部は、前記第一溝側面の前記径方向内側の端に接続され、
前記コーキング部材は、前記周方向に延び、前記収納空間に収まり、前記収納空間形成部が有する前記面に接すると共に、複数の前記静翼における前記外側シュラウドのそれぞれに接し、前記収納空間の前記開口から露出している、
蒸気タービンの静翼セグメント。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気タービンの静翼セグメントにおいて、
前記外側シュラウドは、前記径方向内側を向き、前記第一端面の前記径方向内側の端から前記第二側に延びる接触内周面を有し、
前記収納空間形成部は、空間底面と、空間側面と、を有し、
前記空間底面は、前記径方向内側を向き、前記周方向に延び、且つ前記第一溝側面の前記径方向内側の端から前記第一側に延び、
前記空間側面は、前記空間底面よりも前記径方向内側に位置し、前記第二側を向き、前記径方向及び前記周方向に延び、
前記空間側面の前記径方向内側の端は、前記収納空間の前記開口の縁の一部を形成し、
前記コーキング部材は、前記空間底面及び前記空間側面に接すると共に、複数の前記静翼における前記外側シュラウドの前記接触内周面のそれぞれに接している、
蒸気タービンの静翼セグメント。
【請求項3】
請求項2に記載の蒸気タービンの静翼セグメントにおいて、
前記収納空間形成部は、空間奥面と、空間底対向面と、を有し、
前記空間奥面は、前記第二側を向き、前記周方向に延び、且つ前記空間底面の前記第一側の端から前記径方向内側に延び、
前記空間底対向面は、前記径方向外側を向き、前記周方向に延び、且つ前記空間奥面の前記径方向内側の端から前記第二側に延び、前記径方向で前記空間底面と対向し、
前記空間側面は、前記空間底対向面の前記第二側の端から前記径方向内側に延び、
前記収納空間の前記周方向に垂直な面での断面形状は、L型を成し、
前記コーキング部材の前記周方向に垂直な面での断面形状は、前記収納空間内に収まるよう、L型を成す、
蒸気タービンの静翼セグメント。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の蒸気タービンの静翼セグメントにおいて、
前記翼体は、前記軸線方向の両端のうち、一方の端が前縁を成し、他方の端が後縁を成し、
前記第一側は、前記軸線方向で、前記後縁に対して前記前縁が存在する軸線上流側であり、
前記第二側は、前記軸線方向で、前記前縁に対して前記後縁が存在する軸線下流側である、
蒸気タービンの静翼セグメント。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の蒸気タービンの静翼セグメントにおいて、
前記翼体は、前記軸線方向の両端のうち、一方の端が前縁を成し、他方の端が後縁を成し、
前記第一側は、前記軸線方向で、前記後縁に対して前記前縁が存在する軸線上流側であり、
前記第二側は、前記軸線方向で、前記前縁に対して前記後縁が存在する軸線下流側であり、
前記翼環の前記空間底面は、前記翼環の前記凸部より、前記径方向内側に位置している、
蒸気タービンの静翼セグメント。
【請求項6】
請求項2、3、5のいずれか一項に記載の蒸気タービンの静翼セグメントにおいて、
前記翼環の前記溝底面から前記空間底面までの前記径方向の距離は、前記外側シュラウドの前記外周面から前記外側シュラウドの前記接触内周面までの前記径方向の距離に一致する、
蒸気タービンの静翼セグメント。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の蒸気タービンの静翼セグメントにおいて、
前記周方向に並んでいる複数の前記静翼のうち、最も前記周方向の一方側に位置する静翼の前記外側シュラウドの前記翼環に対する前記周方向への相対移動を拘束する第一拘束部材と、
前記周方向に並んでいる複数の前記静翼のうち、最も前記周方向の他方側に位置する静翼の前記外側シュラウドの前記翼環に対する前記周方向への相対移動を拘束する第二拘束部材と、
を備える、
蒸気タービンの静翼セグメント。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の蒸気タービンの静翼セグメントと、
前記軸線を中心として回転するロータと、
前記静翼セグメント及び前記ロータを覆うケーシングと、
を備える蒸気タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の静翼を有する静翼セグメント、及びこれを備えている蒸気タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンは、回転軸線を中心として回転するロータと、このロータを覆うケーシングと、複数の静翼セグメントと、を備えている。ロータは、回転軸線と平行な軸線方向に延びるロータ軸と、このロータ軸の外周に固定され軸線方向に並んでいる複数の動翼列と、を有している。各動翼列は、回転軸線に対する周方向に並ぶ複数の動翼を有する。各動翼例の上流側の位置には、静翼列が配置されている。各静翼列は、周方向に並ぶ複数の静翼を有する。静翼セグメントは、周方向に延びる翼環と、翼環の径方向内側に配置されている複数の静翼と、を有する。翼環には、径方向内側から径方向外側に向かって凹み、周方向の延びる翼環溝が形成されている。複数の静翼の外側シュラウドは、この翼環の翼環溝に嵌り込んでいる。この翼環は、ケーシングの径方向内側の部分に固定されている。
【0003】
この静翼セグメントの具体的な構造に関しては、例えば、以下の特許文献1に開示されている。この静翼セグメントの翼環溝は、軸線方向で互い対向する一対の溝側面と、一対の溝側面の径方向外側の端相互を接続する溝底面と、一対の溝側面のそれぞれから突出している凸部と、を有する。静翼の外側シュラウドには、翼環溝の凸部に入り込む係合溝が形成されている。翼環溝の溝底面と、静翼における外側シュラウドの外周面との間には、板バネが配置されている。
【0004】
この静翼セグメントでは、翼環溝内の板バネより、翼環溝内の外側シュラウドを径方向内側に押すことで、翼環溝の凸部と外側シュラウドの係合溝との接触性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−107467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の静翼セグメントでは、翼環の翼環溝に、一つの静翼の外側シュラウドを入れる毎に、治具等を用いて板バネをつぶす必要ある。このため、この静翼セグメントでは、組立工数がかさむという問題点がある。また、この静翼セグメントでは、静翼を板バネで径方向内側に押している関係で、翼環に対して静翼がガタついてしまうという問題点もある。特に、板バネが劣化してくると、この傾向が強くなる。
【0007】
そこで、本発明は、翼環に静翼をしっかりと取り付けることができる上に、組立工数の削減を図ることができる静翼セグメント、及びこれを備えている蒸気タービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するための発明の一態様としての静翼セグメントは、
軸線に対する周方向に延びる翼環と、前記翼環の前記軸線に対する径方向内側に、前記周方向に並んで取り付けられている複数の静翼と、前記翼環に対する複数の前記静翼の相対移動を拘束するコーキング部材と、を備える。複数の前記静翼は、翼形を成し、前記軸線に対する径方向に延びる翼体と、前記翼体の前記軸線に対する径方向外側に形成されている外側シュラウドと、を有する。前記外側シュラウドは、第一端面と、第二端面と、外周面と、係合溝と、を有する。前記第一端面は、前記軸線が延びる軸線方向の第一側を向く。前記第二端面は、前記軸線方向の前記第一側とは反対側の第二側を向く。前記外周面は、前記径方向外側を向き、前記第一端面の前記径方向外側の端と前記第二端面の前記径方向外側の端と接続する。前記係合溝は、前記第二端面から前記第一側に凹み、前記周方向に延びる。前記翼環は、ガスパス面と、翼環溝と、収納空間形成部と、を有する。前記ガスパス面は、前記径方向内側を向き、前記周方向に延びる。前記翼環溝は、前記ガスパス面から前記径方向外側に向かって凹み、前記周方向に延びて、複数の前記静翼の前記外側シュラウドのそれぞれが入り込む。前記収納空間形成部は、複数の前記静翼における前記外側シュラウドと共同して、前記コーキング部材が入り込み、前記径方向内側が開口している収納空間を形成する面を有する。前記翼環溝は、第一溝側面と、第二溝側面と、溝底面と、凸部と、を有する。前記第一溝側面は、前記第二側を向き、前記周方向に延びて、複数の前記静翼における前記外側シュラウドの前記第一端面のそれぞれと対向する。前記第二溝側面は、前記第一側を向き、前記周方向に延びて、複数の前記静翼における前記外側シュラウドの前記第二端面のそれぞれと対向する。前記溝底面は、前記径方向内側を向き、前記周方向に延びて、前記第一溝側面と前記第二溝側面とを接続し、複数の前記静翼における前記外側シュラウドの前記外周面のそれぞれと対向する。前記凸部は、前記第二溝側面から前記第一側に突出し、前記周方向に延びて、複数の前記静翼における前記外側シュラウドの前記係合溝のそれぞれに嵌り込む。前記収納空間形成部は、前記第一溝側面の前記径方向内側の端に接続されている。前記コーキング部材は、前記周方向に延び、前記収納空間に収まり、前記収納空間形成部が有する前記面に接すると共に、複数の前記静翼における前記外側シュラウドのそれぞれに接し、前記収納空間の前記開口から露出している。
【0009】
本態様において、外側シュラウド中の第二側の部分では、外側シュラウドの係合溝に翼環溝の凸部が嵌り込み、外側シュラウドの翼環に対する径方向の相対移動が拘束される。また、外側シュラウド中の第一側の部分では、収納空間に収まっているコーキング部材が収納空間を形成する外側シュラウドの面及び翼環の面に接して、外側シュラウドの翼環に対する径方向の相対移動が拘束される。よって、本態様では、翼環に静翼をしっかりと取り付けることができる。
【0010】
本態様の静翼セグメントの組立では、まず、複数の外側シュラウドを翼環溝に収め、さらに、一つのコーキング部材を収納空間に収める。次に、収納空間の開口から露出しているコーキング部材が部分であって、周方向に並んでいる複数の静翼の外側シュラウドに隣接する部分をハンマー等の工具で叩く。このため、本態様では、一つの静翼の外側シュラウドを翼環溝に入れる毎に、例えば、コーキング部材を差し込んで、このコーキング部材を叩く作業や、前述の特許文献1に記載の技術のように、治具等を用いて板バネをつぶす作業を省くことができる。よって、本態様では、静翼セグメントの組立工数を少なくすることができる。
【0011】
ここで、前記静翼セグメントにおいて、前記外側シュラウドは、前記径方向内側を向き、前記第一端面の前記径方向内側の端から前記第二側に延びる接触内周面を有し、前記収納空間形成部は、空間底面と、空間側面と、を有し、前記空間底面は、前記径方向内側を向き、前記周方向に延び、且つ前記第一溝側面の前記径方向内側の端から前記第一側に延び、
前記空間側面は、前記空間底面よりも前記径方向内側に位置し、前記第二側を向き、前記径方向及び前記周方向に延び、前記空間側面の前記径方向内側の端は、前記収納空間の前記開口の縁の一部を形成し、前記コーキング部材は、前記空間底面及び前記空間側面に接すると共に、複数の前記静翼における前記外側シュラウドの前記接触内周面のそれぞれに接していてもよい。
【0012】
本態様において、外側シュラウド中の第一側の部分では、収納空間に収まっているコーキング部材が、翼環の空間底面及び空間側面に接すると共に、複数の静翼における外側シュラウドの接触内周面に接する。このため、本態様において、外側シュラウド中の第一側の部分では、外側シュラウドが翼環に対して径方向に相対移動不能になる。
【0013】
前記収納空間形成部が前記空間底面を有する前記静翼セグメントにおいて、前記収納空間形成部は、空間奥面と、空間底対向面と、を有し、前記空間奥面は、前記第二側を向き、前記周方向に延び、且つ前記空間底面の前記第一側の端から前記径方向内側に延び、前記空間底対向面は、前記径方向外側を向き、前記周方向に延び、且つ前記空間奥面の前記径方向内側の端から前記第二側に延び、前記径方向で前記空間底面と対向し、前記空間側面は、前記空間底対向面の前記第二側の端から前記径方向内側に延び、前記収納空間の前記周方向に垂直な面での断面形状は、L型を成し、前記コーキング部材の前記周方向に垂直な面での断面形状は、前記収納空間内に収まるよう、L型を成してもよい。
【0014】
本態様では、収納空間の断面形状がL型で、この収納空間に収まるコーキング部材の断面形状もL型であるため、コーキング部材の緩みや収納空間からのコーキング部材の抜けを防ぐことができる。
【0015】
以上のいずれかの前記静翼セグメントにおいて、前記翼体は、前記軸線方向の両端のうち、一方の端が前縁を成し、他方の端が後縁を成し、前記第一側は、前記軸線方向で、前記後縁に対して前記前縁が存在する軸線上流側であり、前記第二側は、前記軸線方向で、前記前縁に対して前記後縁が存在する軸線下流側であってもよい。
【0016】
静翼の翼体には、蒸気により、軸線下流側に向う力が作用する。本態様では、コーキング部材が、静翼の外側シュラウドよりも軸線上流側に配置されている。このため、本態様では、コーキング部材が、軸線下流側に向う力が作用する静翼により、変形することを最小限に抑えることができる。
【0017】
また、前記収納空間形成部が前記空間底面を有する、以上のいずれかの前記静翼セグメントにおいて、前記翼体は、前記軸線方向の両端のうち、一方の端が前縁を成し、他方の端が後縁を成し、前記第一側は、前記軸線方向で、前記後縁に対して前記前縁が存在する軸線上流側であり、前記第二側は、前記軸線方向で、前記前縁に対して前記後縁が存在する軸線下流側であり、前記翼環の前記空間底面は、前記翼環の前記凸部より、前記径方向内側に位置していてもよい。
【0018】
静翼は、径方向外側の部分が翼環に支持され、径方向内側の部分は自由端である。このため、蒸気により、静翼の翼体に軸線下流側に向う力が作用すると、静翼には、静翼の径方向外側の部分を基点として、静翼の径方向内側の部分が回ろうとするモーメントが作用する。言い換えると、静翼には、外側シュラウドの軸線上流側の部分が径方向内側に移動し、外側シュラウドの軸線下流側の部分が径方向外側に移動しようとするモーメントが作用する。本態様では、外側シュラウドの軸線上流側の部分の径方向への移動を規制するコーキング部材が、外側シュラウドの軸線下流側の部分の径方向への移動を規制する翼環溝の凸部より、径方向内側に配置されている。このため、本態様では、静翼に作用するモーメントに対して、効果的に対抗することができる。
【0019】
前記収納空間形成部が前記空間底面を有する、以上のいずれかの前記静翼セグメントにおいて、前記翼環の前記溝底面から前記空間底面までの前記径方向の距離は、前記外側シュラウドの前記外周面から前記外側シュラウドの前記接触内周面までの前記径方向の距離に一致してもよい。
【0020】
本態様では、外側シュラウドが翼環溝に収まっている状態では、翼環の空間底面と外側シュラウドの接触内周面とが実質的に面一になる。このため、翼環の空間底面と外側シュラウドの接触内周面とに接するコーキング部材の面を一つにすることができ、コーキング部材の形状を単純化することができる。
【0021】
以上のいずれかの前記静翼セグメントにおいて、前記周方向に並んでいる複数の前記静翼のうち、最も前記周方向の一方側に位置する静翼の前記外側シュラウドの前記翼環に対する前記周方向への相対移動を拘束する第一拘束部材と、前記周方向に並んでいる複数の前記静翼のうち、最も前記周方向の他方側に位置する静翼の前記外側シュラウドの前記翼環に対する前記周方向への相対移動を拘束する第二拘束部材と、を備えてもよい。
【0022】
上記問題点を解決するための発明の一態様としての蒸気タービンは、
以上のいずれかの静翼セグメントと、前記軸線を中心として回転するロータと、前記静翼セグメント及び前記ロータを覆うケーシングと、を備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様としての静翼セグメントでは、翼環に静翼をしっかりと取り付けることができる上に、組立工数の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る実施形態における蒸気タービンの模式的断面図である。
図2】本発明に係る実施形態における静翼セグメントの斜視図である。
図3図2におけるIII矢視図である。
図4図2におけるIV−IV線断面図である。
図5】本発明に係る実施形態における止めネジ周りの静翼セグメントの断面図である。
図6】本発明に係る実施形態における静翼セグメントの分解斜視図である。
図7】本発明に係る実施形態におけるコーキング部材が塑性変形する前の静翼セグメントの要部断面図である。
図8】本発明に係る実施形態におけるコーキング部材が塑性変形した後の静翼セグメントの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る蒸気タービンの実施形態について、図1図8を参照して詳細に説明する。
【0026】
本実施形態の蒸気タービンは、図1に示すように、軸線Arを中心として回転するロータ10と、ロータ10の外周側を覆うケーシング20と、静翼アッセンブリBAと、軸シール装置25と、軸受26と、を備える。なお、以下では、軸線Arが延びている方向を軸線方向Daとし、この軸線Arを中心とした周方向を単に周方向Dcとし、軸線Arに対して垂直な方向を径方向Drとする。さらに、軸線方向Daの一方側を軸線上流側(第一側)Dauとし、軸線方向Daの他方側を軸線下流側(第二側)Dadとする。また、この径方向Drで軸線Arに近づく側を径方向内側Dri、その反対側を径方向外側Droとする。
【0027】
ロータ10は、軸線Arを中心として軸線方向Daに延びるロータ軸11と、このロータ軸11に取り付けられている複数の動翼列12と、を有する。複数の動翼列12は、軸線方向Daに並んでいる。各動翼列12は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の動翼13を有する。
【0028】
静翼アッセンブリBAは、軸線Arを中心として環状である。この静翼アッセンブリBAは、複数の静翼列32を備える。複数の静翼列32のそれぞれは、複数の動翼列12のうちのいずれか一の動翼列12の軸線上流側Dauに配置されている。各静翼列32は、いずれも、周方向Dcに並んでいる複数の静翼33を有する。環状の静翼アッセンブリBAは、複数の静翼セグメント30が周方向Dcに並ぶことで構成される。言い換えると、環状の静翼アッセンブリBAは、組立等の都合上、複数の静翼セグメント30に分割することができる。
【0029】
静翼セグメント30は、周方向Dcに延びる翼環70と、翼環70の径方向内側Driに周方向Dcに並んで取り付けられている複数の静翼33と、複数の静翼33の径方向内側Driに配置されるシールリング60と、を有する。翼環70の径方向内側Driとロータ軸11の径方向外側Droとの間の環状の空間は、蒸気Sが流れる蒸気流路19を形成する。
【0030】
ケーシング20は、ロータ10及び静翼セグメント30を覆う。このケーシング20には、内部に蒸気Sを導く入口21と、蒸気Sを外部に排気する出口22とが形成されている。入口21は、出口22よりも軸線上流側Dauに位置している。ロータ軸11の一部は、このケーシング20を貫通している。軸シール装置25は、ケーシング20中でロータ軸11が貫通している部分に配置されている。軸受26は、ロータ軸11の両端を回転可能に支持する。静翼セグメント30の翼環70は、ケーシング20の径方向内側Driの部分に取り付けられている。
【0031】
静翼セグメント30は、図2及び図3に示すように、さらに、翼環70に対する複数の静翼33の移動を拘束するコーキング部材90と、二つの止めネジ95a,95bと、を備える。
【0032】
静翼セグメント30の一部を構成する静翼33は、例えば、Cr基合金やNi基合金で形成されている。この静翼33は、翼体35と、内側シュラウド40と、外側シュラウド50と、を有する。翼体35は、翼形を成し、径方向Drに延びる。翼体35中で軸線上流側Dauの縁は、前縁36である。また、この翼体35中で軸線下流側Dadの縁は、後縁37である。内側シュラウド40は、翼体35の径方向内側Driに形成されている。外側シュラウド50は、翼体35の径方向外側Droに形成されている。
【0033】
内側シュラウド40は、上流端面41uと、下流端面41dと、一対の周方向端面42と、ガスパス面43と、内周面44と、リング係合溝45と、を有する。上流端面41uは、軸線上流側Dauを向く。下流端面41dは、軸線下流側Dadを向く。この下流端面41dは、上流端面41uと背合わせの関係である。一対の周方向端面42のうち、一方の周方向端面42は、周方向Dcの一方側Dc1を向き、他方の周方向端面42は、周方向Dcの他方側Dc2を向く。ガスパス面43は、径方向外側Droを向き、上流端面41uの径方向外側Droの端と下流端面41dの径方向外側Droの端とを接続する。翼体35は、このガスパス面43から径方向外側Droに向って延びている。内周面44は、径方向内側Driを向き、ガスパス面43と背合わせの関係である。リング係合溝45は、内周面44から径方向外側Droに凹み、周方向Dcに延びている。
【0034】
外側シュラウド50は、上流端面51uと、下流端面51dと、一対の周方向端面52と、外周面53と、ガスパス面54と、接触内周面55と、係合溝56と、を有する。上流端面51uは、軸線上流側(第一側)Dauを向く。この上流端面51uは、上流外側端面(第一端面)51uoと上流内側端面51uiとを有する。上流外側端面51uoは、上流端面51u中の径方向外側Droの部分を形成する。上流内側端面51uiは、上流端面51u中の径方向内側Driの部分を形成する。上流内側端面51uiは、上流外側端面51uoよりも軸線下流側Dadに位置している。下流端面(第二端面)51dは、軸線下流側(第二側)Dadを向く。この下流端面51dは、上流端面51uと背合わせの関係である。一対の周方向端面52のうち、一方の周方向端面52は、周方向Dcの一方側Dc1を向き、他方の周方向端面52は、周方向Dcの他方側Dc2を向く。外周面53は、径方向外側Droを向き、上流端面51uの径方向外側Droの端と下流端面51dの径方向外側Droの端とを接続する。ガスパス面54は、径方向内側Driを向き、上流内側端面51uiの径方向内側Driの端と下流端面51dの径方向内側Driの端とを接続する。このガスパス面54は、外周面53と背合わせの関係である。翼体35は、このガスパス面54から径方向内側Driに向って延びている。接触内周面55は、径方向内側Driを向き、上流外側端面(第一端面)51uoの径方向内側Driの端から軸線下流側(第二側)Dadに延びて、上流内側端面51uiの径方向外側Droの端につながる。係合溝56は、下流端面51dから軸線上流側Dauに凹み、周方向Dcに延びている。この係合溝56は、接触内周面55よりも径方向外側Droに位置している。
【0035】
外側シュラウド50のガスパス面54は、蒸気流路19の径方向外側Droの縁の一部を画定する。また、外側シュラウド50のガスパス面54に対して径方向Drで対向する内側シュラウド40のガスパス面43は、蒸気流路19の径方向内側Driの縁の一部を画定する。
【0036】
静翼セグメント30の一部を構成するシールリング60は、リング本体61と、係合凸部62と、複数のシールフィン63と、を有する。リング本体61は、周方向Dcに延びている。係合凸部62は、リング本体61の径方向外側Droから径方向外側Droに向かって突出し、周方向Dcに延びている。この係合凸部62は、複数の静翼33の内側シュラウド40におけるリング係合溝45のそれぞれに嵌り込む。複数のシールフィン63は、リング本体61の径方向内側Driから径方向内側Driに向って突出している。シールフィン63は、径方向Drにおける静翼33とロータ軸11との間の隙間をシールする。
【0037】
静翼セグメント30の一部を構成する翼環70は、一対の周方向端面71と、ガスパス面72と、翼環溝73と、収納空間形成部81と、を有する。一対の周方向端面71のうち、一方の周方向端面71は、周方向Dcの一方側Dc1を向き、他方の周方向端面71は、周方向Dcの他方側Dc2を向く。ガスパス面72は、径方向内側Driを向き、周方向Dcに延びて、一方の周方向端面71と他方の周方向端面71とを接続する。翼環溝73は、ガスパス面72から径方向外側Dro向かって凹み、周方向Dcに延びている。この翼環溝73は、一対の周方向端面71のそれぞれで開口している。この翼環溝73には、複数の静翼33の外側シュラウド50のそれぞれが入り込む。収納空間形成部81は、複数の静翼33における外側シュラウド50と共同して、コーキング部材90が入り込み、径方向内側Driが開口している収納空間87を形成する。この収納空間87は、一対の周方向端面71のそれぞれでも開口している。なお、以下では、収納空間87の径方向内側Driの開口を内側開口88iとし、収納空間87の周方向端面71の開口を周方向開口88cとする。
【0038】
翼環溝73は、上流溝側面(第一溝側面)74uと、下流溝側面(第二溝側面)74dと、溝底面75と、凸部76と、を有する。上流溝側面74uは、軸線下流側(第二側)Dadを向き、周方向Dcに延びている。この上流溝側面74uは、複数の静翼33の外側シュラウド50における上流外側端面(第一端面)51uoのそれぞれと対向する。下流溝側面74dは、軸線上流側(第一側)Dauを向き、周方向Dcに延びている。この下流溝側面74dは、複数の静翼33の外側シュラウド50における下流端面(第二端面)51dのそれぞれと対向する。溝底面75は、径方向内側Driを向き、周方向Dcに延びて、上流溝側面(第一溝側面)74uと下流溝側面(第二溝側面)74dとを接続する。この溝底面75は、複数の静翼33の外側シュラウド50における外周面53のそれぞれと対向する。凸部76は、下流溝側面(第二溝側面)74dから軸線上流側(第一側)Dauに突出し、周方向Dcに延びている。この凸部76は、複数の静翼33の外側シュラウド50における係合溝56のそれぞれに嵌り込む。
【0039】
収納空間形成部81は、空間底面82と、空間奥面83と、空間底対向面84と、空間側面85と、を有する。空間底面82は、径方向内側Driを向き、周方向Dcに延び、且つ上流溝側面(第一溝側面)74uの径方向外側Droの端から軸線上流側(第一側)Dauに延びている。溝底面75から空間底面82までの径方向Drの距離は、外側シュラウド50の外周面53から接触内周面55までの径方向Drの距離と実質的に等しい。空間奥面83は、軸線下流側Dadを向き、周方向Dcに延び、且つ空間底面82の軸線上流側Dauの端から径方向内側Driに延びている。空間底対向面84は、径方向外側Droを向き、周方向Dcに延び、且つ空間奥面83の径方向内側Driの端から軸線下流側Dadに延びている。この空間底対向面84は、径方向Drで空間底面82と対向している。空間側面85は、軸線下流側Dadを向き、周方向Dcに延び、且つ空間底対向面84の軸線下流側Dadの端から径方向内側Driに延びている。この空間側面85の径方向内側Driの端は、収納空間87の内側開口88iの縁の一部を形成する。
【0040】
コーキング部材90が入り込む収納空間87は、収納空間形成部81の各面82〜85と、翼環溝73に入り込んだ外側シュラウド50の接触内周面55と、この外側シュラウド50の上流内側端面51uiとで画定される。この収納空間87の周方向Dcに垂直な断面形状は、L型を成す。
【0041】
静翼セグメント30の一部を構成するコーキング部材90は、静翼33より柔らかい金属、例えば、ステンレスで形成されている。このコーキング部材90は、第一片部91と、第二片部92と、を有する。第一片部91は、軸線方向Daに延び、且つ周方向Dcに延びている。第二片部92は、第一片部91の軸線下流側Dadの端から径方向内側Driに延び、且つ周方向Dcに延びている。すなわち、コーキング部材90の周方向Dcに垂直な断面形状は、L型の収納空間87に収まるよう、L型を成している。
【0042】
図2図4に示すように、複数の静翼33のうち、周方向Dcで最も一方側Dc1の静翼33における外側シュラウド50である第一外側シュラウド50aと翼環70とには、この第一外側シュラウド50aと翼環70とに跨る第一ネジ穴96aが形成されている。第一ネジ穴96aは、図5に示すように、翼環70における一対の周方向端面71のうちの一方側Dc1の周方向端面71、及び第一外側シュラウド50aにおける一対の周方向端面52のうちの一方側Dc1の周方向端面52から、周方向Dcの他方側Dc2に向かって凹んでいる。この第一ネジ穴96aで、翼環70により形成される部分には、雌ネジが形成されている。一方、この第一ネジ穴96aで、第一外側シュラウド50aで形成される部分には、雌ネジが形成されていない。
【0043】
また、複数の静翼33のうち、周方向Dcで最も他方側Dc2の静翼33における外側シュラウド50である第二外側シュラウド50bと翼環70とには、この第二外側シュラウド50bと翼環70とに跨る第二ネジ穴96bが形成されている。この第二ネジ穴96bは、翼環70における一対の周方向端面71のうちの他方側Dc2の周方向端面71及び第二外側シュラウド50bにおける一対の周方向端面52のうちの他方側Dc2の周方向端面52から、周方向Dcの一方側Dc1に向かって凹んでいる。この第二ネジ穴96bで、翼環70により形成される部分には、雌ネジが形成されている。一方、この第二ネジ穴96bで、第二外側シュラウド50bで形成される部分には、雌ネジが形成されていない。
【0044】
静翼セグメント30の一部を構成する二つの止めネジ95a,95bのうちの第一止めネジ(第一拘束部材)95aは、第一ネジ穴96aに捩じ込み可能である。また、二つの止めネジ95a,95bのうちの第二止めネジ(第二拘束部材)95bは、第二ネジ穴96bに捩じ込み可能である。なお、第一ネジ穴96aと第二ネジ穴96bとは、同一形状で且つ同一サイズである。また、第一止めネジ95aと第二止めネジ95bとも、同一形状で且つ同一サイズである。
【0045】
次に、以上で説明した静翼セグメント30の組み立て方について説明する。
【0046】
静翼セグメント30の組立では、複数の静翼33の内側シュラウド40のそれぞれをシールリング60に取り付ける工程と、複数の静翼33の外側シュラウド50のそれぞれを翼環70に取り付ける工程と、を実行する。
【0047】
複数の静翼33の外側シュラウド50のそれぞれを翼環70に取り付ける工程では、まず、図6に示すように、翼環70の翼環溝73に、複数の静翼33の外側シュラウド50を順次入れる。この際、翼環溝73の周方向端面71の開口から、外側シュラウド50を翼環溝73内に入れる。外側シュラウド50が翼環溝73内に入ると、翼環溝73の凸部76が外側シュラウド50の係合溝56に嵌り込む。
【0048】
次に、翼環70の収納空間形成部81と複数の静翼33の外側シュラウド50との間の隙間である収納空間87に、コーキング部材90を入れる。この際、コーキング部材90を周方向Dcに移動させて、このコーキング部材90を収納空間87の周方向開口88cからこの収納空間87に差し込む。
【0049】
コーキング部材90は、図7に示すように、収納空間87に収まった時点でも、コーキング部材90における第二片部92の径方向内側Driの端は、収納空間87の内側開口88iから露出している。本実施形態では、この内側開口88iから露出しているコーキング部材90の部分を径方向内側Driから径方向外側Droに向かって、ハンマー等の工具を用いて叩く。この際、コーキング部材90中で、周方向Dcに並んでいる複数の静翼33の外側シュラウド50に隣接する部分のほとんどを工具で叩く。この結果、コーキング部材90が塑性変形して、コーキング部材90の第一片部91が、複数の外側シュラウド50の接触内周面55、翼環70の空間底面82、翼環70の空間底対向面84に密着する。さらに、コーキング部材90の第二片部92が、複数の外側シュラウド50の上流内側端面51ui、翼環70の空間側面85に密着する。言い換えると、複数の外側シュラウド50は、コーキング部材90により、翼環70に対してかしめられる。このため、複数の静翼33の外側シュラウド50は、翼環70に対して、径方向Dr及び軸線方向Daに相対移動不能に拘束される。
【0050】
次に、図4図6に示すように、第一止めネジ95aを第一ネジ穴96aに捩じ込み、第二止めネジ95bを第二ネジ穴96bに捩じ込む。第一止めネジ95aが第一ネジ穴96aに捩じ込まれると、周方向Dcに並ぶ複数の外側シュラウド50のうち、周方向Dcで最も一方側Dc1の第一外側シュラウド50aは、翼環70に対して周方向Dcの一方側Dc1に移動できなくなる。また、第二止めネジ95bが第二ネジ穴96bに捩じ込まれると、周方向Dcに並ぶ複数の外側シュラウド50のうち、周方向Dcで最も他方側Dc2の第二外側シュラウド50bは、翼環70に対して周方向Dcの他方側Dc2に移動できなくなる。このため、翼環溝73内に収まっている複数の静翼33の外側シュラウド50は、翼環70に対して周方向Dcに相対移動不能に拘束される。
【0051】
ここでは、複数の外側シュラウド50が、コーキング部材90により、翼環70に対してかしめられた後に、二つの止めネジ95a,95bをネジ穴96a,96bに捩じ込んでいる。しかしながら、複数の外側シュラウド50が翼環溝73に入れられた後であって、複数の外側シュラウド50が、コーキング部材90により翼環70に対してかしめられる前に、二つの止めネジ95a,95bをネジ穴96a,96bに捩じ込んでもよい。
【0052】
以上で静翼セグメント30の組立が完了する。
【0053】
本実施形態において、外側シュラウド50中の軸線下流側Dadの部分では、外側シュラウド50の係合溝56に翼環溝73の凸部76が嵌り込み、外側シュラウド50の翼環70に対する径方向Drの相対移動が拘束される。また、外側シュラウド50中の軸線上流側Dauの部分では、収納空間87に収まっているコーキング部材90が収納空間87を形成する外側シュラウド50の面及び翼環70の面に接して、外側シュラウド50の翼環70に対する径方向Drの相対移動が拘束される。より具体的には、外側シュラウド50中の軸線上流側Dauの部分では、コーキング部材90の第一片部91が、複数の外側シュラウド50の接触内周面55、翼環70の空間底面82、翼環70の空間底対向面84に密着し、外側シュラウド50が翼環70に対して径方向Drに相対移動不能になる。さらに、外側シュラウド50中の軸線上流側Dauの部分では、コーキング部材90の第二片部92が、複数の外側シュラウド50の上流内側端面51ui、翼環70の空間側面85に密着し、外側シュラウド50が翼環70に対して軸線方向Daに相対移動不能になる。よって、本実施形態では、翼環70に静翼33をしっかりと取り付けることができる。
【0054】
また、本実施形態では、収納空間87の断面形状がL型で、この収納空間87に収まるコーキング部材90の断面形状もL型であるため、コーキング部材90の緩みや収納空間87からのコーキング部材90の抜けを防ぐことができる。
【0055】
静翼33の翼体35には、蒸気Sにより、軸線下流側Dadに向う力が作用する。本実施形態では、コーキング部材90が、静翼33の外側シュラウド50よりも軸線上流側Dauに配置されている。このため、本実施形態では、静翼33より柔らかい材料で形成されたコーキング部材90が、軸線下流側Dadに向う力が作用する静翼33により、変形することを最小限に抑えることができる。
【0056】
静翼33は、径方向外側Droの部分が翼環70で支持され、径方向内側Driの部分が自由端である。このため、静翼33の翼体35に軸線下流側Dadに向う力が作用すると、静翼33には、静翼33の径方向外側Droの部分を基点として、静翼33の径方向内側Driの部分が回ろうとするモーメントが作用する。言い換えると、静翼33には、外側シュラウド50の軸線上流側Dauの部分が径方向内側Driに移動し、外側シュラウド50の軸線下流側Dadの部分が径方向外側Droに移動しようとするモーメントが作用する。本実施形態では、外側シュラウド50の軸線上流側Dauの部分の径方向Drへの移動を規制するコーキング部材90が、外側シュラウド50の軸線下流側Dadの部分の径方向Drへの移動を規制する翼環溝73の凸部76より、径方向内側Driに配置されている。このため、本実施形態では、静翼33に作用するモーメントに対して、効果的に対抗することができる。
【0057】
本実施形態では、複数の外側シュラウド50が翼環溝73に収まり且つ一つのコーキング部材90が収納空間87に収まった後、前述したように、コーキング部材90中で、周方向Dcに並んでいる複数の静翼33の外側シュラウド50に隣接する部分をハマー等の工具で叩く。このため、本実施形態では、一つの静翼33の外側シュラウド50を翼環溝73に入れる毎に、例えば、コーキング部材を差し込んで、このコーキング部材を叩く作業や、前述の特許文献1に記載の技術のように、治具等を用いて板バネをつぶす作業を省くことができる。よって、本実施形態では、静翼セグメント30の組立工数を少なくすることができる。
【0058】
本実施形態では、外側シュラウド50の軸線下流側Dadに翼環溝73の凸部76が配置され、外側シュラウド50の軸線上流側Dauにコーキング部材90が配置されている。しかしながら、外側シュラウド50の軸線下流側Dadにコーキング部材90が配置され、外側シュラウド50の軸線上流側Dauに翼環溝73の凸部76が配置されてもよい。但し、この場合、軸線下流側Dadに向う力が作用する静翼33により、コーキング部材90が変形する量は、本実施形態よりも大きくなる。
【0059】
また、本実施形態では、収納空間87の断面形状がL型で、この収納空間87に収まるコーキング部材90の断面形状もL型である。しかしながら、収納空間87の断面形状やコーキング部材90の断面形状は、L型に限定されない。例えば、収納空間の断面形状やコーキング部材の断面形状がL型よりも複雑な形状であってもよい。また、収納空間の断面形状が棒状で、コーキング部材の断面形状も棒状であってもよい。但し、収納空間の断面形状及びコーキング部材の断面形状がともに棒状である場合、コーキング部材の緩みや翼環からのコーキング部材の抜けが発生するおそれがある。
【符号の説明】
【0060】
10:ロータ
11:ロータ軸
12:動翼列
13:動翼
19:蒸気流路
20:ケーシング
21:入口
22:出口
25:軸シール装置
26:軸受
30:静翼セグメント
32:静翼列
33:静翼
35:翼体
36:前縁
37:後縁
40:内側シュラウド
41u:上流端面
41d:下流端面
42:周方向端面
43:ガスパス面
44:内周面
45:リング係合溝
50:外側シュラウド
50a:第一外側シュラウド
50b:第二外側シュラウド
51u:上流端面
51uo:上流外側端面(第一端面)
51ui:上流内側端面
51d:下流端面(第二端面)
52:周方向端面
53:外周面
54:ガスパス面
55:接触内周面
56:係合溝
60:シールリング
61:リング本体
62:係合凸部
63:シールフィン
70:翼環
71:周方向端面
72:ガスパス面
73:翼環溝
74u:上流溝側面(第一溝側面)
74d:下流溝側面(第二溝側面)
75:溝底面
76:凸部
81:収納空間形成部
82:空間底面
83:空間奥面
84:空間底対向面
85:空間側面
87:収納空間
88c:周方向開口
88i:内側開口
90:コーキング部材
91:第一片部
92:第二片部
95a:第一止めネジ(第一拘束部材)
95b:第二止めネジ(第二拘束部材)
96a:第一ネジ穴
96b:第二ネジ穴
Ar:軸線
BA:静翼アッセンブリ
S:蒸気
Da:軸線方向
Dau:軸線上流側(第一側)
Dad:軸線下流側(第二側)
Dc:周方向
Dc1:周方向の一方側
Dc2:周方向の他方側
Dr:径方向
Dri:径方向内側
Dro:径方向外側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8