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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-152413(P2019-152413A)
(43)【公開日】2019年9月12日
(54)【発明の名称】被処理物投入装置
(51)【国際特許分類】
   F27B 14/16 20060101AFI20190816BHJP
   F27D 3/10 20060101ALI20190816BHJP
   C30B 29/06 20060101ALI20190816BHJP
   C30B 15/02 20060101ALI20190816BHJP
【FI】
   F27B14/16
   F27D3/10
   C30B29/06 501A
   C30B15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-39975(P2018-39975)
(22)【出願日】2018年3月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】許 文強
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴哉
【テーマコード(参考)】
4G077
4K046
4K055
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BA04
4G077CF05
4G077EG30
4G077PB09
4G077PB11
4K046AA02
4K046BA05
4K046CC03
4K046CD03
4K046CE01
4K046DA00
4K055AA03
4K055FA01
(57)【要約】
【課題】融液内への被処理物の投入時に融液が飛び散ることを抑制することができる被処理物投入装置を提供する。
【解決手段】溶融るつぼ21を内部に有する処理装置2に対し、被処理物を外部から投入するための被処理物投入装置1であって、被処理物を一時的に収容可能な被処理物収容部11と、被処理物収容部11に収容された被処理物を処理装置側へ搬送する搬送部12と、搬送部12で搬送される被処理物を処理装置2へ導入する導入部13と、を備え、導入部13は、処理装置2に備える被処理物の投入口に接続されるジョイント部131と、接続された投入口から処理装置2の内部まで入り込んで搬送部12からの被処理物を下方に位置する溶融るつぼ21へ案内すべく上下動可能に構成された案内部132と、を備え、案内部132は、搬送部12からの被処理物を側方から受け取るために長手方向途中に形成した開口部を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を加熱溶融する溶融るつぼを内部に有する処理装置に対し、被処理物を外部から投入するための被処理物投入装置であって、
前記被処理物を一時的に収容可能な被処理物収容部と、
該被処理物収容部に収容された被処理物を前記処理装置側へ搬送する搬送部と、
該搬送部で搬送される被処理物を前記処理装置へ導入する導入部と、を備え、
該導入部は、前記処理装置に備える被処理物の投入口に接続されるジョイント部と、前記接続された投入口から前記処理装置の内部まで入り込んで前記搬送部からの被処理物を下方に位置する前記溶融るつぼへ案内すべく上下動可能に構成された案内部と、を備え、
該案内部は、前記搬送部からの被処理物を側方から受け取るために長手方向途中に形成した開口部を備えていることを特徴とする被処理物投入装置。
【請求項2】
前記搬送部で搬送される被処理物を前記案内部へ受け渡す受け渡し機構を備え、該受け渡し機構は、一端部が、前記搬送部から受け取り可能に配置され、かつ、他端部が、前記案内部において被処理物が通過する内部の空間に位置するように配置され、前記案内部の上下動に伴い前記搬送部との当接を回避すべく前記開口部を該案内部の長手方向に延びるように形成していることを特徴とする請求項1に記載の被処理物投入装置。
【請求項3】
被処理物が前記搬送部から前記溶融るつぼまで移動する移動経路中に、該被処理物と衝突する衝突面を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の被処理物投入装置。
【請求項4】
前記衝突面は、前記案内部の開口部側に備えていることを特徴とする請求項3に記載の被処理物投入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物を加熱溶融する溶融るつぼを内部に有する処理装置に対し、被処理物を外部から投入するための被処理物投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記処理装置により、例えば半導体基板の材料である単結晶シリコンを製造するには、被処理物であるシリコン材料(シリコンナゲット)が、被処理物投入装置から処理装置に投入され、投入されたシリコンナゲットが処理装置に備える円筒状の導入管を通して溶融るつぼに投入される。投入されたシリコンナゲットは、加熱溶融され、溶融されたシリコンに種となる単結晶シリコンを漬けてから、回転しつつ持ち上げることによって結晶を成長させていき、最終的に略円柱状の単結晶シリコン(インゴット)が形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記被処理物投入装置では、シリコン材料を導入管の上端から投入する構成であるため、投入口が高い位置になってしまう。その分、導入管で案内されるシリコン材料の移動速度が速くなる。移動速度が速いシリコン材料が溶融された融液内に投入されると、融液が飛び散ってしまい、その融液が溶融るつぼの近辺に配置しているカーボンで形成されている保温材等に付着してしまう。付着後、加熱されてカーボン(不純物)を含んだシリコン融液となり、その融液が再度溶融るつぼ内に落下してしまい、形成される単結晶シリコンが不良品になってしまうという不都合を発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5682808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、融液内への被処理物の投入時に融液が飛び散ることを抑制することができる被処理物投入装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の被処理物投入装置は、被処理物を加熱溶融する溶融るつぼを内部に有する処理装置に対し、被処理物を外部から投入するための被処理物投入装置であって、前記被処理物を一時的に収容可能な被処理物収容部と、該被処理物収容部に収容された被処理物を前記処理装置側へ搬送する搬送部と、該搬送部で搬送される被処理物を前記処理装置へ導入する導入部と、を備え、該導入部は、前記処理装置に備える被処理物の投入口に接続されるジョイント部と、前記接続された投入口から前記処理装置の内部まで入り込んで前記搬送部からの被処理物を下方に位置する前記溶融るつぼへ案内すべく上下動可能に構成された案内部と、を備え、該案内部は、前記搬送部からの被処理物を側方から受け取るために長手方向途中に形成した開口部を備えていることを特徴としている。
【0007】
上記のように、処理装置の溶融るつぼに被処理物を投入する場合には、まず、処理装置に備える被処理物の投入口に被処理物投入装置のジョイント部を接続する。接続が完了すると、案内部を下降させて接続された投入口から処理装置の内部まで入り込ませる。この状態で、搬送部で搬送される被処理物を案内部の長手方向途中に形成した開口部で受け取り、案内部で案内されて溶融るつぼへ被処理物を投入することができる。この時、搬送部で搬送される被処理物を案内部の長手方向途中に形成した開口部の位置は、案内部の上端よりも低い位置になり、その分、溶融るつぼへ投入されるときの被処理物の移動速度を小さく抑えることができる。
【0008】
また、前記被処理物投入装置は、前記搬送部で搬送される被処理物を前記案内部へ受け渡す受け渡し機構を備え、該受け渡し機構は、一端部が、前記搬送部から受け取り可能に配置され、かつ、他端部が、前記案内部において被処理物が通過する内部の空間に位置するように配置され、前記案内部の上下動に伴い前記搬送部との当接を回避すべく前記開口部を該案内部の長手方向に延びるように形成していてもよい。
【0009】
上記のように、受け渡し機構の一端部が、搬送部から受け取り可能に配置され、かつ、受け渡し機構の他端部が、案内部において被処理物が通過する内部の空間に位置するように配置されることで、搬送部から搬送される被処理物を確実に受け取って案内部へ確実に受け渡すことができ、スムーズな受け渡しが行える。また、開口部を該案内部の長手方向に延びるように形成することで、案内部の上下動に伴い搬送部との当接を確実に回避することができる。
【0010】
また、前記被処理物投入装置は、被処理物が前記搬送部から前記溶融るつぼまで移動する移動経路中に、該被処理物と衝突する衝突面を備えていてもよい。
【0011】
上記のように、移動経路中に備えた衝突面に被処理物が衝突することで、被処理物を減速させることができる。
【0012】
また、前記被処理物投入装置は、前記衝突面が、前記案内部の開口部側に備えていてもよい。
【0013】
上記のように、案内部の開口部側に衝突面を備えることで、被処理物が案内部の開口部から飛び出してしまうことを抑制することができながらも、衝突面に衝突させて被処理物を確実に減速させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、案内部の長手方向途中に被処理物を受け取る開口部を形成することによって、案内部における被処理物の受け取り位置を低くして、被処理物の移動速度を小さく抑えることができるので、融液内への被処理物の投入時に融液が飛び散ることを抑制することができる被処理物投入装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】被処理物投入装置を処理装置に接続した状態を示す側面図である。
図2】被処理物投入装置を処理装置に接続した状態を示す平面図である。
図3】被処理物投入装置を処理装置に接続する直前の状態を示す平面図である。
図4】導入部の縦断面図である。
図5】トラフと案内部とを示す斜視図である。
図6図5とは違う角度で見たときのトラフと案内部とを示す斜視図である。
図7図5及び図6とは違う角度で見たときのトラフと案内部とを示す斜視図である。
図8】(a)は、被処理物がトラフから受け渡し機構を介して案内部へ移行して案内される状態を示す説明図であり、(b)は、被処理物がトラフから受け渡し機構を介して案内部へ移行して大きく跳ね上がった状態を示す説明図である。
図9】別の形態の案内部を備えた被処理物投入装置を処理装置に接続した状態を示す一部断面した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び図2に、本実施形態に係る被処理物投入装置1が処理装置2に接続された状態を示している。この接続状態において処理装置2に被処理物投入装置1からの被処理物が投入されて処理装置2が被処理物の処理を行う。図3は、被処理物投入装置1を処理装置2に接続する直前の状態を示している。
【0017】
処理装置2は、被処理物を加熱溶融する溶融るつぼ21をケーシング22内に備えている。このケーシング22は、内部を気密状態にすることができるように構成されている。処理装置2は、半導体基板の材料である単結晶シリコンを製造するために用いられる。具体的には、不活性ガス雰囲気中において被処理物としての多結晶シリコン(シリコンナゲット)を溶融るつぼ21に入れて例えばヒータ等の加熱手段(図示せず)を用いて加熱溶融する。溶融状態となったシリコンに種となる単結晶シリコンを漬けてから、回転しつつ持ち上げることによって結晶を成長させていき、最終的に略円柱状の単結晶シリコン(インゴット)が形成される。前記不活性ガス雰囲気とは、処理装置の内部空間を一度真空引きした上で、アルゴンや窒素等の不活性ガスで満たされた雰囲気を指す。そのため、図示していない脱気ポンプ(真空ポンプ)及び不活性ガス供給管が処理装置2に設けられている。なお、処理する被処理物の種類や処理内容によっては、ケーシング22の内部を真空雰囲気としてもよいし、また、ケーシング22の内部を気密状態にしないものとして実施してもよい。
【0018】
ケーシング22の上端には、後述する傾斜案内部132(図4参照)をケーシング22内に入り込ませるための開口部22A(図3参照)が形成され、その開口部22Aには、内部を外部から閉鎖するための開放可能な仕切弁(図示せず)を内部に備えるとともに後述するジョイント部131を接続するための被ジョイント部23(図3参照)が取り付けられている。なお、被ジョイント部23は、ジョイント部131との位置決めを容易に行うための位置決めピン(図示せず)を備えている。
【0019】
被処理物投入装置1は、処理装置2に対し、処理装置2の外部から被処理物を処理装置2の内部の溶融るつぼ21に投入することができるものである。この被処理物投入装置1は、内部を気密状態にできるように構成されているが、処理装置2と同様に、処理する被処理物の種類や処理内容によっては、内部を気密状態にしないものとして実施してもよい。
【0020】
また、被処理物投入装置1は、被処理物収容部11と、搬送部12と、導入部13とが連結一体化されて構成されている。これら被処理物収容部11、搬送部12、導入部13を構成する部分のうちの少なくとも被処理物が触れる部分が、石英ガラスで構成されている。
【0021】
被処理物収容部11は、図1に示すように、被処理物を一時的に収容するための収容部111と、被処理物を収容部111に収容する際に用いる収容部111の上端の収容口111Aを開閉可能な取っ手112A付きの蓋体112と、を備えている。収容部111は、平面視円形の2個のタンク111a,111bを上下に連結されて構成され、下側のタンク111bには、収容された被処理物の残量を確認するための覗き窓111Wを備えている。したがって、蓋体112を開放することによって、収容口111Aから被処理物を収容部111に供給することができ、収容口111Aを閉じることによって外気に対して気密状態を保持することができるように構成されている。
【0022】
搬送部12は、被処理物収容部11に収容された被処理物を処理装置2側へ搬送するように構成され、具体的には、収容部111の下方へ落下供給される被処理物を受け取って搬送する電磁振動フィーダから構成されている。この電磁振動フィーダは、駆動部(図示せず)と、駆動部の上方に配置されるトラフ121(図5図7参照)と、を備え、駆動部を駆動させることによりトラフ121を振動させて、トラフ121に被処理物収容部11から落下供給された被処理物を処理装置2側へ搬送する。トラフ121は、図5図7に示すように、上部及び搬送方向下流端が開放している樋状の部材からなり、下側タンク111b側の部分が幅広に構成された第1トラフ部121Aと、この第1トラフ部121Aの搬送終端部から後述する受け渡し機構14までの部分が幅狭に構成された第2トラフ部121Bと、を備えている。また、トラフ121の被処理物を受ける底板部の内面121Cに石英ガラスが張られている。また、トラフ121は、それの一端が下側のタンク111bの内部に配置され、他端が下側のタンク111bから径外方向に突出する突出部122(図1及び図2参照)の終端部に配置されている。突出部122は、下側のタンク111bの側部から径外方向外側に突出する断面形状が矩形状の第1突出部122Aと、第1突出部122Aの搬送方向終端(下側のタンク111bから離間する側端)に連結され、第1突出部122Aと略同一幅でかつ第1突出部122Aの上下寸法の半分以下の寸法に構成された断面形状が矩形状の第2突出部122Bと、を備えている。また、トラフ121の搬送方向終端部の幅方向一端に搬送される被処理物を幅方向中央側に寄せるガイド部121Hを備えて、被処理物を受け渡し機構14に確実に受け渡すことができるようにしている。
【0023】
導入部13は、搬送部12で搬送される被処理物を処理装置2へ導入するために設けられている。この導入部13は、図1及び図2に示すように、縦長状でかつ下方側ほど処理装置2側に位置する傾斜姿勢に構成され、その下端部が前記第2突出部122Bの搬送方向終端に固定されている。
【0024】
また、図1図4に示すように、導入部13は、処理装置2に備える被処理物の投入口23Aが形成される被ジョイント部23に接続されるジョイント部131と、接続された投入口23Aから処理装置2の内部まで入り込んで搬送部12からの被処理物を下方に位置する溶融るつぼ21へ案内すべく上下動可能に構成された案内部である傾斜案内部132と、傾斜案内部132を覆う断面形状円形のケーシング133と、を備えている。また、ケーシング133の下端部には、搬送部12からの被処理物を受け入れるための開口133A(図4参照)が形成されている。この開口133Aには、搬送部12からの被処理物を受け取って傾斜案内部132へ受け渡すための受け渡し機構14が配置されている。ここでは、前記案内部を、上下方向に対して所定角度斜めに傾けた傾斜案内部132としている。
【0025】
ジョイント部131は、板状で外形が円形状のジョイント部材131A(図4参照)を備え、そのジョイント部材131Aを被ジョイント部23(図3参照)に重ね合わせて両者を接続することができるように構成されている。このジョイント部材131Aの上端には、伸縮自在な成形ベローズ131Bが設けられている。この成形ベローズ131Bは、傾斜案内部132を保護するためのものである。そして、ジョイント部材131Aの下面が被ジョイント部23の上面に当接することによって、両者が接続状態になる。このとき、傾斜案内部132の下端部が被ジョイント部23の投入口23Aから被ジョイント部23の内部に入り込むとともに、成形ベローズ131Bが伸長して傾斜案内部132の外面を覆うようになっている。この接続状態で後述する駆動機構15により傾斜案内部132が下降することによって、処理装置2の内部に傾斜案内部132を入り込ませることができる。
【0026】
傾斜案内部132は、一側が下端から上端まで同一幅に開口された開口部132Aを有し、かつ、断面形状が半円よりも大きい円弧状(場合によっては半円状でもよい)に構成された樋状に構成されており、搬送部12からの被処理物を開口部132Aを通して傾斜案内部132の内部へ投入できる。この開口部132Aが、搬送部12からの被処理物を側方から受け取るために傾斜案内部132の長手方向途中に形成した開口部に相当する。また、傾斜案内部132を上下動させるための駆動機構15を備えている。
【0027】
駆動機構15は、図4に示すように、ケーシング133の一端部(上端部)に備えるモータ(ここでは、インダクションモータを用いているが、サーボモータでもよい)151と、モータ151の回転力が一対の傘歯車152,153を介して伝達されて回転される螺軸154と、螺軸154の回転により移動するスライダ155と、を備え、スライダ155に傾斜案内部132の一端(上端)をピン156を介して連結している。また、傾斜案内部132の一端(上端)には、ケーシング133の内面に長手方向に沿って取り付けられた直線状のレール157に沿って移動するベアリング158を回転自在に支持している。したがって、モータ151を例えば一方に駆動回転させることによって、スライダ155を螺軸154に沿って下方へ移動させることで傾斜案内部132を下降させることができ、また、モータ151を他方に駆動回転させることによって、スライダ155を螺軸154に沿って上方へ移動させることで傾斜案内部132を上昇させることができる。
【0028】
図5図7に示すように、被処理物を受け取る傾斜案内部132の開口部132Aが、搬送部12から搬送される被処理物の搬送方向に向いていないため、受け渡し機構14で搬送部12からの被処理物の排出方向を変更することによって、被処理物を確実に傾斜案内部132に受け渡しできるようにしている。
【0029】
受け渡し機構14は、搬送部12の搬送方向終端からの被処理物を受け取れるように前後一対の平行な2枚の板状の壁部141,142と、これら2枚の壁部141,142の傾斜案内部132の開口部132Aから離間する側の端部同士を連結する板状の連結壁部143と、これら3枚の壁部141,142,143の下端に形成される開口を閉じ、かつ、傾斜案内部132側へ案内するよう傾斜案内部側ほど下方向に位置する傾斜面を有する板状の底壁部144と、を備えている。そして、受け取り側の一端部である前側の壁部141が、搬送部12の搬送終端部の下方に上下方向で重複するように配置され、かつ、受け渡し側の他端部である底壁部144及び前後の壁部141,142における傾斜案内部132側の端部が、傾斜案内部132内に位置するように(入り込むように)配置されている。したがって、受け渡し機構14の受け取り側の一端部が、搬送部12の搬送終端部の下方に上下方向で重複するように配置され、かつ、受け渡し機構14の受け渡し側の他端部が、傾斜案内部132において被処理物が通過する内部の空間に位置するように配置されることで、搬送部12から搬送される被処理物を確実に受け取って傾斜案内部132へ確実に受け渡すことができ、スムーズな受け渡しが行える。また、開口部132Aが傾斜案内部132の長手方向全域に形成されていることで、傾斜案内部132の上下動に伴い搬送部12との当接を開口部132Aを介して確実に回避することができる。なお、図4に、受け渡し機構14を覆うケーシング17を示している。
【0030】
受け渡し機構14の真下、つまり受け渡し機構14の底壁部144の下面には、傾斜案内部132に当接して前方側へ跳ね返った被処理物と衝突する衝突面16Aを有する板部材16が設けられている。この板部材16は、傾斜案内部132の開口部132Aの長手方向の一部を塞ぐように配置している。また、板部材16は、受け渡し機構14の終端部の下面に傾斜案内部132と並行な状態で取り付けられている。このように被処理物の移動経路中に設けた衝突面16Aに被処理物が衝突することで、被処理物を減速させることができ、さらに被処理物の移動速度を小さく抑えることができる。また、板部材16を設けることによって、傾斜案内部132に当接して前方側へ跳ね返った被処理物が傾斜案内部132の開口部132Aから外側へ飛び出すことを回避する保護部材としても機能している。
【0031】
前記のように構成された被処理物投入装置1は、図1図3に示すように、パンタグラフ式のリフター31及び4つの車輪32を備えた自走式の移動装置3に載置されており、4つの車輪32の駆動を制御することによって、被処理物投入装置1を目標となる位置まで移動させることができ、移動後にリフター31を伸縮駆動することによって被処理物投入装置1を所定の高さに位置させることができる。
【0032】
また、前記被処理物投入装置1は、図1に示すように、移動装置3上に設置された旋回機構33に取り付けられており、旋回機構33の駆動により図1の縦軸X回りで被処理物投入装置1を回転させることで、被処理物投入装置1を処理装置2に接続できる位置に位置させることができる。旋回機構33は、図示していないが、回転台と回転台を回転させるモータと、を備えている。
【0033】
以上のように構成された被処理物投入装置1により処理装置2に被処理物を投入するまでの過程を説明する。まず、被処理物収容部1に被処理物を収容したのち、移動装置3により処理装置2の所定位置まで移動させる(図2の仮想線及び図3参照)。被処理物投入装置1の高さをリフター31の伸縮駆動により調整したのち、被処理物投入装置1のジョイント部131が処理装置2の被ジョイント部23に一致するように旋回機構33を駆動させて被処理物投入装置1を所定角度回転させる(図2の実線参照)。被処理物投入装置1のジョイント部131を処理装置2の被ジョイント部23に一致させて両者の接続が完了すると、モータ151を駆動させて傾斜案内部132を下降させて処理装置2内の所定位置(溶融るつぼ21の融液面21Aに対する所定位置)まで入り込ませる(図1の破線参照)。
【0034】
上記状態から、搬送部12を駆動させて被処理物を搬送し、搬送される被処理物が受け渡し機構14を介して傾斜案内部132に受け渡される。このとき、図8(a)に示すように、受け渡し機構14の底壁部144の上面144Aに当接した被処理物Sは、傾斜案内部132の開口部132Aと対向する上面132Bに当接しながら落下していき、処理装置2の溶融るつぼ21に投入される。ところで、受け渡し機構14の底壁部144の上面144Aに当接した被処理物Sが、傾斜案内部132の開口部132Aと対向する上面132Bに当接したときに、図8(b)に示すように、大きく飛び跳ねてしまった場合でも、受け渡し機構14の真下に備えた板部材16の衝突面(内面)16Aに衝突することによって、被処理物Sが傾斜案内部132から外側へ飛び出すことを回避できるようにしている。
【0035】
なお、実際の使用に当たっては、一台の被処理物投入装置1に対して2台以上(例えば6台)の処理装置2を設けて、被処理物の処理を行うことが多い。つまり、一台の被処理物投入装置1を複数台の処理装置2に順次接続して被処理物を投入していく方法で処理している。本発明では、搬送部12で搬送される被処理物を処理装置2へ導入する導入部13を処理装置2に設けるのではなく、被処理物投入装置1に設けているので、導入部13を全ての処理装置2に設ける場合に比べてコスト面において有利になる。
【0036】
尚、本発明に係る被処理物投入装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0037】
例えば、傾斜案内部132を長手方向全域に開口する開口部132Aを形成したが、長手方向途中に形成してもよい。この場合、傾斜案内部132を上下動させたときに、搬送部12と当接することがないように開口部を形成することになる。
【0038】
前記実施形態では、受け渡し機構14を設けたが、搬送部12及び傾斜案内部132の形状や方向等を工夫することにより、受け渡し機構14を省略してもよい。
【0039】
また、前記実施形態では、被処理物を下方に位置する溶融るつぼ21へ案内する案内部を、傾斜案内部132としたが、図9に示すように、上下方向に対して傾けることなく上下方向に沿った垂直な姿勢の案内部159であってもよい。この案内部159は、図示していない駆動機構により上下動可能に構成されている。また、案内部159の長手方向途中に、搬送部12からの被処理物を側方から受け取るための開口部159Aが形成され、この開口部159Aに搬送部12の搬送方向終端に設けられたシュート160の先端が臨んでいる。従って、シュート160からの被処理物が、開口部159Aを通して案内部159内に投入され、案内部159により溶融るつぼ21に投入される。図9に示す他の部分は、前述したものと同一であるため、説明を省略し、同一の符号を付している。
【符号の説明】
【0040】
1…被処理物投入装置、2…処理装置、3…移動装置、11…被処理物収容部、12…搬送部、13…導入部、14…受け渡し機構、15…駆動機構、16…板部材、16A…衝突面、17,22…ケーシング、21…溶融るつぼ、21A…融液面、22A…開口部、23…被ジョイント部、23A…投入口、31…リフター、32…車輪、33…旋回機構、111…収容部、111A…収容口、111W…窓、111a,111b…上下タンク、112…蓋体、112A…取っ手、121…トラフ、121A…第1トラフ部、121B…第2トラフ部、121C…内面、121H…ガイド部、122…突出部、122A…第1突出部、122B…第2突出部、131…ジョイント部、131A…ジョイント部材、131B…成形ベローズ、132…傾斜案内部、132A…開口部、132B…上面、133…ケーシング、133A…開口、141,142…前後の壁部、143…連結壁部、144…底壁部、144A…上面、151…モータ、152,153…傘歯車、154…螺軸、155…スライダ、156…ピン、157…レール、158…ベアリング、159…案内部、159A…開口部、160…シュート、S…被処理物、X…縦軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9