特開2019-154814(P2019-154814A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イルカカレッジの特許一覧

<>
  • 特開2019154814-消火装置及び消火方法 図000003
  • 特開2019154814-消火装置及び消火方法 図000004
  • 特開2019154814-消火装置及び消火方法 図000005
  • 特開2019154814-消火装置及び消火方法 図000006
  • 特開2019154814-消火装置及び消火方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-154814(P2019-154814A)
(43)【公開日】2019年9月19日
(54)【発明の名称】消火装置及び消火方法
(51)【国際特許分類】
   A62C 5/033 20060101AFI20190823BHJP
   A62C 35/02 20060101ALI20190823BHJP
【FI】
   A62C5/033
   A62C35/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-45909(P2018-45909)
(22)【出願日】2018年3月13日
(71)【出願人】
【識別番号】302036529
【氏名又は名称】株式会社イルカカレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】朝山 規子
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189BA03
2E189BA07
(57)【要約】
【課題】消火効率の高い消火方法及び消火装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ゲル化剤が収容される収容容器と、消火用水と前記ゲル化剤を混合する混合容器と、前記収容容器と前記混合容器を接続可能な接続手段と、前記ゲル化剤と前記消火用水を混合した消火剤を放出する放出手段と、を備えることを特徴とする構成となっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火用水が流通する流路と、
この流路にゲル化剤を供給するゲル化剤供給装置と、
前記ゲル化剤と前記消火用水を混合した消火剤を放出する放出手段と、を備え、
前記ゲル化剤供給装置は、ゲル化剤が収容される収容容器と、
前記消火用水と前記ゲル化剤を混合する混合容器と、
前記収容容器と前記混合容器を接続可能な接続手段と、を有することを特徴とする、消火装置。
【請求項2】
前記ゲル化剤供給装置は、前記収容容器を前記混合容器に固定可能な固定手段をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の消火装置。
【請求項3】
前記混合容器は、消火用水供給手段に接続される消火用水供給口と、
この消火用水供給口の下流側に設けられるノズル部と、
前記収容容器に接続され前記ゲル化剤が供給されるゲル化剤供給口と、
前記消火剤を排出する排出口と、を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の消火装置。
【請求項4】
前記ゲル化剤供給口は、前記流路の断面の中心寄りに配置されることを特徴とする、請求項3に記載の消火装置。
【請求項5】
前記収容容器は、前記混合容器の下方に配置されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の消火装置。
【請求項6】
前記請求項1〜5の何れかに記載の消火装置におけるゲル化剤供給装置であって、
前記流路に取り付け可能な取り付け手段を有することを特徴とする、ゲル化剤供給装置。
【請求項7】
消火用水が流通される流路と、この流路にゲル化剤を供給するゲル化剤供給装置と、を備え、前記消火用水中にゲル化剤を添加しながら放出することを特徴とする消火方法。
【請求項8】
消火用水を放出する放出口を有した放出手段と、前記放出口にゲル化剤を供給するゲル化剤供給装置と、を備え、前記消火用水中に前記ゲル化剤を添加しながら放出することを特徴とする消火方法。
【請求項9】
前記ゲル化剤供給装置は、さらに消火剤を供給することを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の消火方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火効率の高い消火装置及び消火方法に関するものであり、特にゲル化剤を添加・混合した消火剤を用いた消火装置及び消火方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、災害時や山火事等のように、消防車が近づけない状況下では、ヘリコプター等の航空機を用いて、火元の上空から消火用水を散布する方法が採用されていた。上空から水を散布する場合、航空機の安全を確保するためにある程度高度を保つ必要がある。ところが、火元との距離が離れる程、航空機から散布される消火用水が広範囲に飛散しやすくなり、火元に到達する前に霧散して効果的な消火が行なえないという問題があった。
【0003】
このような問題に対し、消火剤をゲル状にして投下することにより、消火剤の飛散範囲を減少させるとともに、使用した消火剤の全量を消火に充てることができる技術が提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−167357号公報
【特許文献2】国際公開第WO2015/129767号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1や特許文献2の消火剤は航空機から投下して使用する。そのため、航空機の飛行が困難である天候(強風等)や時間帯(夜間等),地形(急斜面等)においては、消火活動を行うことが出来ない。このような航空機が飛行不可能な状況においては、陸上部隊の消火活動が不可欠である。
【0006】
陸上部隊の消火活動においては、放水時の消火用水の飛距離が消火範囲に直結する。そのため、消火用水の飛距離を伸ばすことが望まれるが、消火用水では空気中で霧散してしまい飛距離が稼げないという問題があった。
【0007】
そこで本発明者等は、陸上部隊においてもゲル状の消火剤を採用することにより、消火剤の飛距離を伸ばすことや、高い消火効果・再燃防止効果・延焼抑止効果を期待できると考え、陸上において消火活動を行う際の消火用水中に、ゲル化剤を供給可能な消火装置の開発に至った。
【0008】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、消火用水中にゲル化剤を供給して、消火効率の高い消火装置及び消火方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様の消火装置は、消火用水が流通する流路と、この流路にゲル化剤を供給するゲル化剤供給装置と、前記ゲル化剤と前記消火用水を混合した消火剤を放出する放出手段と、を備え、
前記ゲル化剤供給装置は、ゲル化剤が収容される収容容器と、前記消火用水と前記ゲル化剤を混合する混合容器と、前記収容容器と前記混合容器を接続可能な接続手段と、を有する。
【0010】
このように、ゲル化剤と前記消火用水を混合した消火剤を放出可能に構成することにより、消火用水よりも遠方に集中して散布・消火することができ、さらには、高い消火効果・再燃防止効果・延焼抑止効果を発揮することができるため、結果として消火効率を高めることができる。
【0011】
この態様において、前記ゲル化剤供給装置は、前記収容容器を前記混合容器に固定可能な固定手段をさらに有する。
このように、収容容器と混合容器を固定して一体化することにより、陸上部隊がゲル化剤供給装置を容易に持ち運べる構成とすることができる。
【0012】
この態様において、前記混合容器は、消火用水供給手段に接続される消火用水供給口と、この消火用水供給口の下流側に設けられるノズル部と、前記収容容器に接続され前記ゲル化剤が供給されるゲル化剤供給口と、前記消火剤を排出する排出口と、を有する。
このように、混合容器にノズル部を設けることにより、ベンチュリー作用を利用したエジェクター方式でゲル化剤を安定して供給することができる。
【0013】
この態様において、前記ゲル化剤供給口は、前記流路の断面の中心寄りに配置されている。
このように、ゲル化剤供給口を消火用水の流速が速い流路の断面の中心寄りに配置することによりゲル化剤Gをより安定して供給することができる。
【0014】
この態様において、前記収容容器は、前記混合容器の下方に配置されている。
【0015】
本発明の別の態様の消火方法は、消火用水が流通される流路と、この流路にゲル化剤を供給するゲル化剤供給装置と、を備え、前記消火用水中にゲル化剤を添加しながら放出することを特徴とする。
【0016】
本発明の別の態様の消火方法は、消火用水を放出する放出口を有した放出手段と、前記放出口にゲル化剤を供給するゲル化剤供給装置と、を備え、前記消火用水中に前記ゲル化剤を添加しながら放出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
開示した技術によれば、消火用水中にゲル化剤を供給して、消火効率の高い消火装置及び消火方法を提供することができる。
【0018】
他の課題、特徴及び利点は、図面及び特許請求の範囲とともに取り上げられる際に、以下に記載される発明を実施するための形態を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1に係る消火装置の全体構成を示す図。
図2】実施形態1に係る消火装置の構成を説明するための部分断面図。
図3】実施形態2に係る消火装置の構成を説明するための部分断面図。
図4】実施形態3に係る消火装置の構成を説明するための部分断面図。
図5】実施形態4に係る消火装置の構成を説明するための部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を図面に示した好ましい実施形態1〜4について、図1ないし図5を用いて詳細に説明する。本発明の技術的範囲は、添付図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、適宜変更が可能である。
【0021】
<実施形態1>
実施形態1に係る消火装置は、図1及び図2に示すように、消火用水が流通する流路1と、この流路1にゲル化剤Gを供給するゲル化剤供給装置2と、を備えている。
この流路1の上流側には、加圧された消火用水を供給可能な消火用水供給手段11が配置されている。一方、流路1の下流側には、ゲル化剤Gと消火用水を混合した消火剤Eを放出する放出手段12が配置されている。
【0022】
消火用水供給手段11は、加圧された消火用水を供給可能な手段であれば良く、例えば、各地の消防団等が保有している消防ポンプや、背負式消火水のう等を例示することができる。この他にも加圧された消火用水を供給可能な慣用の手段であれば当然に採用することができる。
【0023】
放出手段12は、一般的な放水ノズルを例示することができるが、消火剤Eを放水可能な手段であれば当然に採用することができる。
【0024】
また、流路1は、消火用水供給手段11からゲル化剤供給装置2に消火用水を送液する消火用水送液管13と、ゲル化剤供給装置2から放出手段12に消火剤Eを送液する消火剤送液管14とを有している。
【0025】
消火用水送液管13は、図1に示すように、消火用水の流量を調節する流量調節手段131と、消火用水の流量を計測する流量計132と、消火用水の水圧を計測する圧力計133と、を有していても良い。
また、消火剤送液管14は、消火剤Eの流量を調節する流量調節手段141と、消火剤Eの流量を計測する流量計142と、消火剤Eの水圧を計測する圧力計143と、を有していても良い。
【0026】
ゲル化剤供給装置2は、ゲル化剤Gが収容される収容容器3と、消火用水とゲル化剤Gを混合する混合容器4と、収容容器3と混合容器4を接続可能な接続手段5と、収容容器3を混合容器4に着脱可能な固定手段6と、を有している。
【0027】
このゲル化剤供給装置2は、流路1の途中に配置され、消火用水にゲル化剤Gを連続的に供給可能なよう構成されており、ゲル化剤Gと消火用水を混合した消火剤Eを放出手段12に向けて排出することができる。
【0028】
収容容器3は、ゲル化剤Gが収容される収容室31と、この収容されたゲル化剤Gを吸引する吸引管32と、収容室31内の空気圧を調節する調節弁33と、を有している。
なお、図2には示していないが、収容室31にゲル化剤Gを収容するための収容口を別途設けても良い。
【0029】
ゲル化剤Gは、粉末状の食用増粘剤であり、例えば、グアガム,キサンタンガム,カラギーナン,コラーゲン,タピオカ,またはサゴヤシ,キャサバなどの澱粉,あるいは高分子吸収体等の材料を例示することができる。
【0030】
収容室31は、ゲル化剤Gを収容する空間である。図2においては、断面が方形状の空間を示しているが、すり鉢状等底面に傾斜を設ける等して、ゲル化剤Gが吸引管32に向けて移動しやすいよう構成しても良い。
【0031】
吸引管32は、ゲル化剤Gを吸引して混合容器4に供給する管であり、収容容器3と混合容器4の間に設けられる接続手段5に接続されている。また、この吸引管32は、吸引管32の直径よりも大径に形成された吸引口32aが設けられており、より広範囲からゲル化剤Gを吸引可能なよう構成されている。
また、図2においては、この吸引口32aが、重力方向(図2における下方)に向けて開口した様子が示したが、これに限られず、任意の方向に設定することが出来る。
【0032】
調節弁33は、収容室31内に外気を導入して収容室31内の空気圧を調整する弁であり、図1に示すように、流量調節手段33aが設けられていても良い。このような調節弁33を設けることにより、吸引管32から吸引されるゲル化剤Gの量を調整することができる。
【0033】
混合容器4は、消火用水とゲル化剤Gを混合する混合室41と、消火用水供給手段11に接続される消火用水供給口42と、この消火用水供給口42の下流側に設けられるノズル部43と、収容容器3に接続されゲル化剤Gが供給されるゲル化剤供給口44と、消火用水とゲル化剤Gを混合した消火剤Eを排出する排出口45と、を有している。
【0034】
この混合容器4は、ノズル部43のベンチュリー作用を利用したエジェクター方式でゲル化剤Gを消火用水に供給している。すなわち、消火用水の流速をノズル部43にて高めることで混合室41内に負圧を生じさせ、混合容器4と連通した収容容器3からゲル化剤Gを吸引している。
【0035】
ゲル化剤供給口44は、流路1の中心に向かって延びる供給管44aを有している。この供給管44aにより、ゲル化剤供給口44は流路1の断面の中心寄りに配置されている。この供給管44aの端部は、流路1の下流方向に向かって屈曲させられており、ゲル化剤供給口44の開口部が流路1の下流側に向かって開口している。
【0036】
接続手段5は、収容容器3と混合容器4を連通するように接続する手段であり、供給管44aと吸引管32を接続する気密なカプラ等の継手を例示することができる。また、この接続手段としては、気密に接続する手段であれば既存の手段を当然に採用することができる。さらには、ワンタッチカプラのように容易に着脱可能な手段を採用することが望ましい。
【0037】
また、接続手段5は、図1に示すように、ゲル化剤Gの供給量を調節する供給量調節手段51と、ゲル化剤Gの流量を計測する流量計52と、を有していても良い。
【0038】
固定手段6は、図2に示すように、収容容器3と混合容器4との間に設けられ、収容容器3を混合容器4に固定する手段であり、本実施形態においては収容容器3が混合容器4の下方に固定(配置)されている。また、図4のように、上方に固定(配置)することも可能である。
この固定手段6は、容器同士を固定して一体化する手段であれば良く、例えば、ネジ式や鉤状の係止具等、慣用の手段を採用することができる。
【0039】
また、このゲル化剤供給装置2は、流路に取り付け可能な取り付け手段を有していても良い。この取り付け手段は、既存の流路に取り付け可能な気密・水密な接続手段であれば良く、例えば、流路とゲル化剤供給装置2にフランジ部を形成してネジ固定する等、慣用の手段を採用することができる。
【0040】
また、一実施の形態における消火方法は、消火用水が流通される流路1と、この流路1にゲル化剤Gを供給するゲル化剤供給装置2と、を備え、消火用水中にゲル化剤Gを添加しながら放出することを特徴とする。
【0041】
本発明に係る消火装置及び消火方法によれば、消火用水中にゲル化剤Gを添加した消火剤Eを放出することにより、消火用水を用いた場合と比較して、より遠距離に集中して消火剤Eを散布することができる。すなわち、消火剤Eをゲル状にすることにより、空気中に霧散することを抑制することができ、結果的に飛距離を伸ばすことができる。実際に消火用水と消火剤Eを、同一の消防ポンプを用いて放水した場合、2割以上飛距離が伸びることを確認している。これにより、人が入り込めないような環境(例えば、急こう配な斜面等)では、従来よりも広範囲に消火剤Eを散布することができる。
【0042】
また、ゲル状の消火剤Eを用いることにより、高い消火効果・再燃防止効果・延焼抑止効果を発揮することができる。すなわち、消火剤Eを散布したところには、ゲル溜まりが形成され、消火剤Eが長期間の間地面に滞在する。例えば、立木や壁面にゲル水溶液を長時間付着させることが出来るため、ウェットな状態を保持できる。そのため、消火剤Eを散布した所では、高い消火効果を維持して、再燃防止効果や延焼抑止効果を発揮することができる。
【0043】
また、本発明に係る消火装置は、収容容器3と混合容器4を接続する接続手段5に、着脱機構を設けることにより、収容容器3を交換可能に構成することができる。そのため、大量の消火剤Eを供給する場合には、適宜収容容器3を交換することで、ゲル化剤Gの補充を行うことができる。
【0044】
また、本発明に係る消火装置は、収容容器3と混合容器4の間に固定手段6を設けることにより、収容容器3と混合容器4を一体化することができる。これにより陸上部隊が消火活動を行う際に、容易に持ち運ぶことができる。
【0045】
また、本発明に係る消火装置のゲル化剤供給装置2は、ノズル部43のベンチュリー作用を利用したエジェクター方式でゲル化剤Gを消火用水に供給している。そのため、消火用水の流量に伴い吸引量が決まることにより、流量の変動に関わらず消火剤Eにおけるゲル化剤Gの濃度を一定に保つことができる。
【0046】
<実施形態2>
以下、本発明の実施形態2に係る消火装置について、図3を参照して詳細に説明する。この実施形態2に係る消火装置は、先の実施形態1に係る消火装置とは異なる収容容器7を有していることを特徴とする。なお、同実施形態において、先の実施形態と基本的に同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
【0047】
この実施形態2に係る消火装置の収容容器7は、ゲル化剤Gが収容されるカートリッジ71と、カートリッジ71の上側に配置される上側容器72と、カートリッジ71の下側に配置される下側容器73と、を有している。
【0048】
カートリッジ71は、ゲル化剤Gが収容される収容室711と、開口部712と、を有している。このカートリッジ71は、交換可能に構成されており、使用前のカートリッジ71の開口部712は、キャップやシール等で閉塞されていることが望ましい(図示せず)。
【0049】
上側容器72は、カートリッジ71よりも大径に形成されており、下側容器73と接続することで、カートリッジ71を収納可能な大きさに形成されている。この上側容器72は、下側開口721と、カートリッジ71の開口部712から挿入されてゲル化剤Gを吸引する吸引管722と、を有している。また、この吸引管722は、吸引管722の直径よりも大径に形成された吸引口722aが設けられており、より広範囲からゲル化剤Gを吸引可能なよう構成されている。
【0050】
下側容器73は、カートリッジ71が導入される上側開口731と、下端に設けられる移動手段732と、上端に設けられる接続部分733と、を有している。
移動手段732は、地面と接触して回転することで持ち運びが容易なタイヤ等を採用することができる。
【0051】
接続部分733は、上側容器72と下側容器73を密閉して接続可能な構成となっており、気密性をあげるためにパッキン等を設けても良い。
さらに、図示はしていないが、外気を導入して空気圧を調整する調整弁が設けられていても良い。このような調節弁を設けることにより、吸引管722から吸引されるゲル化剤Gの量を調整することができる。
【0052】
このように、カートリッジ71を収納可能な収容容器7を採用することにより、カートリッジ71を任意の材料で形成することができる。例えば、紙袋やビニール袋等、より安価な材料を採用することができる。
【0053】
<実施形態3>
以下、本発明の実施形態3に係る消火装置について、図4を参照して詳細に説明する。この実施形態3に係る消火装置は、先の実施形態1,2に係る消火装置とは異なる収容容器8を有していることを特徴とする。なお、同実施形態において、先の実施形態と基本的に同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
【0054】
収容容器8は、ゲル化剤Gが収容される収容室81と、この収容されたゲル化剤Gを誘導するガイド部82と、収容室81内の空気圧を調節する調節弁83と、を有している。
このガイド部82は、接続手段5に向けてゲル化剤Gを誘導可能なよう、すり鉢状に形成されている。
【0055】
この収容容器8は、混合容器4の上部に設置されており、ノズル部43のベンチュリー作用に加え、ゲル化剤Gにかかる重力を利用してゲル化剤Gを混合容器4へ供給する構成となっている。
【0056】
<実施形態4>
以下、本発明の実施形態4に係る消火装置について、図5を参照して詳細に説明する。この実施形態4に係る消火装置は、先の実施の形態とは異なるゲル化剤供給装置9を有している。なお、同実施形態において、先の実施形態と基本的に同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
【0057】
この実施形態4に係る消火装置は、消火用水を放出する放出口X1を有した放出手段12と、前記放出口X1にゲル化剤Gを供給するゲル化剤供給装置9と、を備えている。
【0058】
ゲル化剤供給装置9は、ゲル化剤Gが収容される収容室91と、この収容されたゲル化剤Gを空気と共に噴出する噴出部92と、収容室91内の空気を導入する空気供給手段93と、を有している。
【0059】
噴出部92は、放出口X1に向かってゲル化剤Gを供給可能なよう構成されている。図5においては、放出手段12に並ぶように噴出部92を配置したが、放出口X1から噴出する消火用水に向かってゲル化剤Gを添加出来れば良く、例えば、放出口X1の真上や真横、対向位置からゲル化剤Gを添加することも可能である。
【0060】
空気供給手段93は、収容室91内に空気を送り込み、噴出部92からゲル化剤Gを噴出させるブロア等を例示することができる。空気を供給してゲル化剤Gを噴出可能な手段であれば当然に採用することができる。
【0061】
また、実施形態1〜実施形態4のゲル化剤供給装置はゲル化剤Gに加えて、さらに消火剤を供給することを特徴とすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 流路
11 消火用水供給手段
12 放出手段
2,9 ゲル化剤供給装置
3,7,8 収容容器
4 混合容器
5 接続手段
6 固定手段
G ゲル化剤
E 消火剤
図1
図2
図3
図4
図5