【解決手段】中空糸膜モジュールは、一端部および他端部が開口した筒状容器2と、当該筒状容器2に装填された中空糸膜の束3と、中空糸膜の束3を、筒状容器2の両端部2aで包埋固定しているポッティング部4と、筒状容器2の両端部2aに設けられている、流体の出入口となるノズル部を有するヘッダー5と、ヘッダー5と筒状容器2が互いに固定された固定部70と、ヘッダー5の内側当接面40とポッティング部4とが当接してヘッダー5の内側空間を液密封止する当接部と、を備えている。ポッティング部4のうち、容器2の端部から突出したポッティング突出部4Pの表面外周部4rの側壁4Wの角度α2が90度より小さい。
前記ポッティング突出部の前記表面外周部の全周方向における高さの差が0.05mm以上0.5mm以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の中空糸膜モジュール。
前記ポッティング突出部の前記表面外周部の前記側壁の外周根元部が、前記ポッティング部と前記筒状容器の境に位置している、請求項1から4のいずれか一項に記載の中空糸膜モジュール。
前記ポッティング突出部の前記表面外周部の前記側壁の外周根元部が、前記筒状容器の前記端部の開口端面に接している、請求項1から4のいずれか一項に記載の中空糸膜モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ポッティング部とヘッダー内面の当接部とが完全に当接していない場合、液体の封止が不完全となり、例えば血液が封止部より外側に漏れて閉塞空間にとどまることが起こり得る。そうすると、残血し、返血時に患者の体内に固形物が移動する可能性がある。
【0007】
一方で、封止部において完全な封止性(封止能力)を得ようと、容器に対してより深くまでヘッダーを押し込むと、ポッティング部の樹脂が割れ、却って十分な封止性が得られなくなるおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、ポッティング部の樹脂割れを抑制し、中空糸膜モジュールの十分な封止性が確保された中空糸膜モジュールとその製造方法、および中空糸膜モジュールのポッティング部の成型用型を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールは、
一端部および他端部が開口した筒状容器と、
当該筒状容器に装填された中空糸膜の束と、
中空糸膜の束を、筒状容器の両端部で包埋固定しているポッティング部と、
筒状容器の両端部に設けられている、流体の出入口となるノズル部を有するヘッダーと、
ヘッダーと筒状容器が互いに固定された固定部と、
ヘッダーの内側当接面とポッティング部とが当接してヘッダーの内側空間を液密封止する当接部と、
を備え、
ポッティング部のうち、容器の端部から突出したポッティング突出部の表面外周部の側壁の角度が90度より小さいことを特徴とする。
【0010】
この態様によれば、ヘッダーを筒状容器のほうへ押し込みすぎたとしても、ポッティング部の樹脂割れを抑制し、中空糸膜モジュールの十分な封止性を確保しやすくする。
【0011】
上記態様の中空糸膜モジュールにおいて、ポッティング部の表面外周部の側壁の角度が45度以上85度以下であってもよい。
【0012】
上記態様の中空糸膜モジュールにおいて、ポッティング部の高さが、0.4mm以上3mm以下であってもよい。
【0013】
上記態様の中空糸膜モジュールにおいて、ポッティング部の表面外周部の全周方向における高さの差が0.05mm以上0.5mm以下であることが好ましい。
【0014】
上記態様の中空糸膜モジュールにおいて、ポッティング部の表面外壁部の側壁の外周根元部が、ポッティング部と筒状容器の境にあってもよい。
【0015】
上記態様の中空糸膜モジュールにおいて、ポッティング部の表面外壁部の側壁の外周根元部が、筒状容器の開口端面と接していてもよい。
【0016】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールの製造方法は、
一端部および他端部が開口した筒状容器と、
当該筒状容器に装填された中空糸膜の束と、
中空糸膜の束を、筒状容器の両端部で包埋固定しているポッティング部と、
筒状容器の両端部に設けられている、流体の出入口となるノズル部を有するヘッダーと、を備えた中空糸膜モジュールの製造方法であって、
ポッティング部のうち、容器の端部から突出したポッティング突出部の表面外周部の側壁の角度が、ヘッダーと当接した状態で90度より小さい当該ポッティング部を形成する工程と、
ヘッダーの内部空間が液密に封止されるようにヘッダーの内側当接面とポッティング突出部とを当接させる工程と、
ヘッダーと筒状容器を互いに固定する固定工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0017】
上記態様の中空糸膜モジュールの製造方法は、
筒状容器内に中空糸膜の束を装填する工程と、
ポッティング部の成型用型を、筒状容器の開口端面に装着する工程と、
開口端面に遠心成型により樹脂をポッティングする工程と、
樹脂が硬化した後に成型用型を外し、ポッティング部を切断して中空糸膜の束の端面を開口させる工程と、
をさらに含むものであってもよい。
【0018】
上記態様の中空糸膜モジュールの製造方法では、固定工程において超音波溶着を行ってもよい。
【0019】
上記態様の中空糸膜モジュールの製造方法では、固定工程においてレーザー溶着を行ってもよい。
【0020】
上記態様の中空糸膜モジュールの製造方法では、固定工程においてねじ止めを行ってもよい。
【0021】
本発明の一態様に係る成型用型は、
一端部および他端部が開口した筒状容器と、
当該筒状容器に装填された中空糸膜の束と、
中空糸膜の束を、筒状容器の両端部で包埋固定しているポッティング部と、
筒状容器の両端部に設けられている、流体の出入口となるノズル部を有するヘッダーと、を備えた中空糸膜モジュールの製造に用いる、ポッティング部の成型用型であって、
ポッティング部の表面外周部の側壁の角度が、ヘッダーと当接した状態で90度より小さく維持される構造に当該ポッティング部を形成するための、90度より小さいテーパの構造を有する、というものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ポッティング部の樹脂割れを抑制し、中空糸膜モジュールの十分な封止性が確保された中空糸膜モジュールとその製造方法、および中空糸膜モジュールのポッティング部の成型用型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】中空糸膜モジュールの構成の一例を示す縦断面の模式図である。
【
図2】超音波ホーンによるヘッダーと筒状容器との溶着開始時点での接合部分およびその周辺を示す拡大断面図である。
【
図3】ヘッダーと筒状容器を超音波溶着した際の様子を示す断面図である。
【
図4】ヘッダーと筒状容器とが溶着された状態の接合部分およびその周辺を示す拡大断面図である。
【
図5】ポッティング突出部の側壁の角度αが90度未満で、ポッティング部の表面外壁部の側壁の外周根元部が、ポッティング部と筒状容器の境にある場合の、(A)ヘッダーを押し込む前の状態における当該ヘッダー、筒状容器、ポッティング部の一部を示す縦断面図と、(B)ヘッダーを押し込んだ後の状態における縦断面図である。
【
図6】ポッティング突出部の側壁の角度αが90度未満でポッティング部の表面外壁部の側壁の外周根元部が、筒状容器の開口端面と接している場合の、(A)ヘッダーを押し込む前の状態における当該ヘッダー、筒状容器、ポッティング部の一部を示す縦断面図と、(B)ヘッダーを押し込んだ後の状態における縦断面図である。
【
図7】ポッティング部の割れが抑制されることについて説明するための、押し込み前から押し込み後までを(A)〜(C)の時系列に沿って示す、ヘッダー、筒状容器、ポッティング部の部分縦断面図である。
【
図8】中空糸膜モジュールの製造方法を(A)〜(E)の順で示す概略図である。
【
図9】比較例2(ポッティング突出部の側壁の角度が90度の場合)におけるウレタン高さとウレタン高低差の値とその場合の結果(ウレタン割れ発生の有無)を示すグラフである。
【
図10】本発明の実施例1(ポッティング突出部の側壁の角度が70度の場合)におけるウレタン高さとウレタン高低差の値とその場合の結果(ウレタン割れ発生の有無)を示すグラフである。
【
図11】本発明の実施例2(ポッティング突出部の側壁の角度が80度の場合)におけるウレタン高さとウレタン高低差の値とその場合の結果(ウレタン割れ発生の有無)を示すグラフである。
【
図12】ポッティング部の切断面が左右非対称である場合の(A)ヘッダー押し込み前、(B)ヘッダー押し込み後 の状態を比較例として示す部分断面図である。
【
図13】ポッティング部の切断面が左右非対称である別例を示す部分断面図である。
【
図14】ポッティング部あるいは筒状容器に対してヘッダーが傾いた状態を比較例として示す部分断面図である。
【
図15】ヘッダーの形状が左右非対称である場合を比較例として示す部分断面図である。
【
図16】ヘッダーの中心と筒状容器の中心が互いにずれている場合を比較例として示す部分断面図である。
【
図17】ポッティング部の側壁の角度αが90である従前と同様の構造のポッティングを押し込む前から押し込んだ後までを(A)〜(C)の時系列に沿って比較例1として示す、ヘッダー、筒状容器、ポッティング部の部分縦断面図である。
【
図18】比較例2および実施例1,2におけるポッティング突出部、その高さ(ウレタン高さ)等について説明する図である。
【
図19】比較例2および実施例1,2におけるポッティング突出部の高低差(ウレタン高低差)について説明する図である。
【
図20】ウレタン高低差がある場合のウレタン高さを当該ウレタンの外周に渡って複数箇所を等間隔で測定する場合について説明する図である。
【
図21】(A)ポッティング突出部の側壁が円錐状である場、(B)ポッティング突出部の側壁が曲線状に外側に膨らんだ形状である場合のヘッダー、筒状容器、ポッティング部の部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0025】
<中空糸膜モジュールの構成>
先ず、本実施の形態にかかる中空糸膜モジュールの構成について説明する。
図1は、中空糸膜モジュール1の構成の一例を示す断面模式図(ただし断面のみを図示したもの)である。
【0026】
中空糸膜モジュール1は、筒状容器2、中空糸膜束3、ポッティング部4、ヘッダー5などを備えている。
【0027】
筒状容器2は、円筒状に形成され、長手方向(円筒の中心軸P方向)の両端部2aが開口している。筒状容器2の内部には、中空糸膜束3が収容されている。筒状容器2の側面には、流体の出入口となる例えば2つのポート10が形成されている。
【0028】
中空糸膜束3は、多数本の中空糸膜をまとめた束であり、筒状容器2内に長手方向に沿って収容されている。中空糸膜束3は、分離膜として機能し、各中空糸膜の内側領域と外側領域との間で分離対象である流体の成分を分離できる。
【0029】
ポッティング部4は、ポッティング樹脂により構成され、筒状容器2の両端部2aの内側において中空糸膜束3の両端部3aを包埋すると共に、中空糸膜束3を筒状容器2の両端部2aに固定している。ポッティング部4は、外周部がポッティング樹脂のみによって構成された部分4aとなり、その内側が、中空糸膜束3の中空糸膜同士の隙間にポッティング樹脂が入り込んだ部分4bとなる。ポッティング樹脂としては、例えばポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。
【0030】
ヘッダー5は、筒状容器2の両端部2aの開口に、これら両端部2aの蓋材として設けられている。ヘッダー5は、中心軸Pに流体の出入口となる管状のノズル部20と、ノズル部20から径方向に広がる板状の天板部21と、天板部21の外周縁から筒状容器2側に向けて突出する側壁部としてのヘッダー突出部22を有している。
【0031】
ノズル部20は、外部チューブを接続するためのねじ構造を有している。天板部21は、中空糸膜束3の端部3aに対面し、ノズル部20から筒状容器2の端部2aへ向かうにつれて次第に径が大きくなる内面21aを有している(
図4参照)。ヘッダー5の内面21aと中空糸膜束3の端部3aとの間には、ノズル部20から流入する流体、或いはノズル部20から流出する流体が通る空間23が形成されている。
【0032】
ヘッダー突出部22は、中心軸Pを軸心とする円筒形状を有している。ヘッダー突出部22は、例えば
図4に示すように基部30、中段部31及び先端部32を天板部21から筒状容器2側に向けてこの順で備えている。基部30、中段部31及び先端部32は、互いに径方向の厚みが異なり、基部30の厚みが最も大きく、次に中段部31の厚みが大きく、先端部32の厚みが最も小さくなっている。
【0033】
基部30は、天板部21から連続する部分である。天板部21の内面21aと基部30の第1の内周面30aとの間には、中心軸Pに対し垂直の環状の平坦面40が形成されている。
【0034】
中段部31は、第2の内周面31aを有している。先端部32は、第2の内周面31aと同じ内径を有する第3の内周面32aと、中段部31の外周面31bよりも外径が小さい一定の外径を有する外周面32bを有している。中段部31の外周面31bと先端部32の外周面32bとの間には、中心軸Pに対し垂直の環状の平坦面(段部)42が形成されている。
【0035】
筒状容器2の端部2aは、いわゆる二股構造を有している。端部2aは、ヘッダー5側に2重に円筒状に突出する内側突出部50と外側突出部51とを有している。内側突出部50と外側突出部51は、それぞれが中心軸Pを軸心とする円筒形状を有し、同心円状に配置されている。内側突出部50は、外側突出部51よりも長く、ヘッダー5側(中心軸P方向外側)に突出している。内側突出部50の内周面50aは、筒状容器2の内周面を構成している。
【0036】
外側突出部51は、筒状容器2の外側面から径方向外側に突出し、さらにその外縁から端部2a側(直近のヘッダー5側)に向けて曲折した形状の鍔部によって形成されている。また、これら内側突出部50と外側突出部51との間には、ヘッダー5の一部(先端部32)が嵌合する形でカップリング構造を構成する環状の凹部52が形成されている(
図4参照)。
【0037】
<ヘッダーと筒状容器の接合構造>
ヘッダー突出部22が筒状容器2の内側突出部50と外側突出部51の間に挿入された状態で、ヘッダー5と筒状容器2が超音波溶着により溶着されている。内側突出部50は、ヘッダー突出部22の中段部31及び先端部32に対向し、外側突出部51は、先端部32に対向している。
【0038】
なお、ヘッダー5と筒状容器2の固定方法については、超音波振動を与えて溶着を行う方法の他、レーザー光を与えて溶着を行う方法、ねじで螺合させる方法などがある(ねじで螺合させる方法については、例えば、特開昭52−138071号公報のコラム16、
図10等参照)。この後の説明は、超音波溶着を例にあげて行う。
【0039】
ヘッダー5と筒状容器2とは、内側突出部50の先端部付近とヘッダー突出部22の中段部31の間における1次溶着部71、および内側突出部50と先端部32との間の2次溶着部72からなる溶着部70で溶着されている。このように、溶着部を少なくとも2箇所に設けて二重溶着とすることで、液漏れ抑制効果と耐圧強度とをさらに向上させることができる。
【0040】
1次溶着部71は、例えば内側突出部50の端面(
図4における上端面)と外周面50bに亘り形成されている。なお、
図4では、便宜上、1次溶着部71を破線で表し、その境界線を明確に図示しているが、接触部分が溶融して接着する溶着では、その境界はあいまいであり、また溶着毎に変動するのが実際である。
【0041】
2次溶着部72は、例えばヘッダー突出部22の先端部32の先端付近(先端部32の長手方向の中央よりも先端に近い位置)に形成される等、上述の1次溶着部71よりも筒状容器2の径方向外側に配置されている(
図4等参照)。2次溶着部72は、1次溶着部71から離れており、2次溶着部72と1次溶着部71との間には、ヘッダー突出部22と内側突出部50が接触していない空間(
図4において符号75で示す)が形成されている。
【0042】
1次溶着部71および2次溶着部72の位置で溶着するために、1次溶着部71、2次溶着部72となる部分のヘッダー突出部22、又は内側突出部50の少なくともいずれかには、予め溶着用のジョイントが設けられている。
【0043】
また、1次溶着部71と2次溶着部72のうち少なくとも一方は、ヘッダー突出部22の周方向の全周に亘って連続的に形成されており、もう一方は例えば断続的に形成されている。さらに好ましいのは、1次溶着部71と2次溶着部72の両方が全周に亘って連続的に形成されていることである。
【0044】
また、本実施形態では、ヘッダー5と筒状容器2を溶着する1次溶着部71および2次溶着部72のジョイントデザインとしてシェアジョイントを採用している。
【0045】
1次溶着部71におけるヘッダー5のうち、筒状容器2の端部2aが接触する部分には斜面5cが形成されている(
図2参照)。中心軸Pに垂直な面に対する斜面5cの傾斜角は、好ましくは20〜45°であり、その範囲の中でもさらに好ましくは30〜45°である。なお、本明細書ではこの角度を「主溶着角度」と呼ぶ。斜面5cの主溶着角度がこの範囲に形成された場合、筒状容器2の端部2aの滑りが抑えられるようになる。
【0046】
<ポッティング部の配置>
図4に示すようにポッティング部4の端面には、ポッティング部の両端部を径方向に切断して形成されたポッティング部切断面4Sが形成されている。ポッティング部4は、筒状容器2の内側突出部50よりも中心軸P方向の外側(ヘッダー5側)に突出している。ポッティング部切断面4Sは、ヘッダー5の内面の平坦面(内側当接面)40に所定の圧力が付与された状態で当接している。これにより、流体が容易にヘッダー突出部22と筒状容器2の端部2aの隙間に入り込むことを抑制でき、ヘッダー5と筒状容器2との間の封止力を向上できる。なお、ヘッダー5の平坦面(内側当接面)40と、ポッティング部4の切断面4Sのうち該平坦面40に当接する部分とで、ヘッダー5の内側空間を液密封止する当接部Tが形成される(
図4参照)。なお、上記の「所定の圧力」には極めて僅かな圧力も含まれており、本明細書でいう「当接」には、圧力の作用でポッティング部4が変形している状態はもちろん、圧がごく僅かであり殆ど変形せずに接している状態も含まれる。
【0047】
筒状容器2及びヘッダー5の原材料は、特に限定されるものではなく各種の熱可塑性樹脂から選択される。例えば、結晶性樹脂ではエチレンとα―オレフィンとの共重合体や、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンといったポリエチレン系樹脂や、プロピレン単体の重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体あるいはプロピレンとエチレンと他のα―オレフィンとの共重合体といった、ポリプロピレン系樹脂が挙げられる。一方で非晶性樹脂では、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン‐ブタジエン共重合体(SBS)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体(ABS)等の樹脂が挙げられ、これらは単体で用いられても良くあるいは混合物として利用しても良い。本実施形態における好適な樹脂は、上記の中でもポリプロピレン系樹脂であり、中でもプロピレンとエチレンのランダム共重合体が剛性と耐熱性の観点で好ましく、エチレン含量が1〜8質量%に調整されたプロピレンとエチレンのランダム共重合体がより好ましい。
【0048】
<ポッティング部の表面外周部の構造>
ポッティング部4のうち、筒状容器2の端部(開口端の端面)2aから中心軸P方向の外側に突出した部分を、本明細書では「ポッティング突出部」と呼び、図中では符号4Pで示す。本実施形態において、ポッティング突出部4Pは断面が略台形状の薄い円環形状であり、中空糸膜束3の周囲の環状部分の表面がヘッダー5の平坦面40に当接するように構成されている。なお、本明細書では、ポッティング突出部4Pのうち表面が露出した状態となる部分、つまり、ヘッダー5の平坦面40に対向する環状の平坦面と、その周囲の側壁と、を合わせて「表面外周部」と呼び、符号4rで示す。
【0049】
ポッティング突出部4Pの表面外周部4rの側壁4Wの角度を、ヘッダー5が当接する前の状態のときは符号α1、ヘッダー5が当接した後の状態のときは符号α2で示す(
図4等参照)。図に示すように、角度α1、α2は、ポッティング部4の縦断面における、中心軸Pに垂直な平面に対する側壁4Wの角度であり、90度よりも小さければ、ポッティング突出部4Pは、その側壁4Wがヘッダー5のノズル部20に近づくほど細くなるようなテーパ状となる。本実施形態では、側壁4Wの角度α2が90度より小さくなるようにポッティング突出部4Pを形成している(
図4等参照)。ポッティング突出部4Pの表面外周部4rの側壁4Wの角度α2が90度未満である場合、ヘッダー5を押し込みすぎたとしてもポッティング部4に割れが生じるのを抑制することができる(
図5、
図6参照)。なお、
図5〜
図19においては、ポッティング部4の状態等をわかりやすく示すため、ヘッダー5の一部、筒状容器2の一部を簡単化した矩形等で概略表示している。また、
図12〜
図17においては、符号に「’」を付け(例えばポッティング部4’)、比較例であることを表している。
【0050】
側壁4Wの角度α2が90度未満である場合にポッティング部4の割れが抑制されることについては、以下のように説明することができると考えられる。すなわち、側壁4Wの角度が90度未満である場合にポッティング部4にヘッダー5の平坦面(段部)40を宛がい押し込むと(
図7(A)参照)、ポッティング突出部4Pの表面外周部4rのうち、ヘッダー5の近傍となる上面部4Puと、筒状容器2の端部2aの近傍となる外周根元部4Pdとの間に、互いを接近させながらポッティング突出部4Pを圧縮させる力(圧縮力)が作用し(
図7(B)参照)、ポッティング部4に亀裂を生じさせない(
図7(C)参照)。なお、側壁4Wの角度α2の好適な範囲は特に限定されるものではないが、ポッティング部4の割れを抑止する観点での好適な一例を挙げるならば、45度以上85度以下である。
【0051】
ポッティング突出部4Pの高さHもまた特に限定されるものではなく、種々の値を採りうるが、ポッティング部4の割れを抑止する観点での好適例を挙げるならば、0.4mm以上3mm以下の範囲が好適である。
【0052】
ポッティング突出部4Pの表面外周部4rの全周方向における高さH(
図18参照)の差(高低差)ΔHは、まったく無いことが最も好ましく、差があるとしても所定の範囲にあることが好ましい。差が所定範囲であると、ポッティング部4をヘッダー5で押し込んだ場合でも、部分的に応力が作用し難くポッティング部4に割れが生じ難くなり、ヘッダー5の内部空間を液密に封止するうえで好ましい。例として、表面外周部4rの最高地点の高さH1と最低地点の高さH2の差ΔHが生じているポッティング突出部4Pを図に示す(
図19参照)。ΔHが存在する場合、当該ΔHは、一例として0.05mm以上0.5mm以下の範囲内であることが好ましい(
図19参照)。
【0053】
中空糸膜モジュール1において、ヘッダー5の中心及び筒状容器2の中心がそれぞれ中心軸Pに一致していることがもっとも好ましく、また、これらヘッダー5の中心及び筒状容器2の中心が互いにずれているとしても、ずれ量が所定の範囲、一例として水平方向に0.1mm以上1.0mm以下の範囲内にあることが好ましい。例えば、ヘッダー5の形状が左右非対称であったり(
図15参照)、ヘッダー5の中心がずれた状態で取り付けられたりした場合(
図16参照)、ヘッダー5の中心及び筒状容器2の中心が互いにずれることが生じ得るが、これらの間にずれが生じているとしても、所定の範囲内にあればポッティング部4に割れが生じるのを抑止し、ヘッダー5の内部空間を液密に封止するうえで十分な封止力を確保することが可能である。
【0054】
ポッティング部4の表面外周部4rの側壁4Wの外周根元部4Pdは、ポッティング部4の形状、筒状容器2の構造等に応じて種々の位置をとることができ、その位置が特に限定されることはない。具体的な一例を挙げれば、例えば、ポッティング部4は、外周根元部4Pdがポッティング部4と筒状容器2の境に位置するよう形成されていてもよい(
図5参照)。こうした場合、ポッティング突出部4Pの上面部4Puに作用する外周方向(径方向外側)への応力が抑制され、ポッティング部4の割れが抑制される効果が発揮される。あるいは、ポッティング部4は、外周根元部4Pdが筒状容器2の開口端上に位置して端部2aと接するよう形成されていてもよい(
図6参照)。この場合、ポッティング突出部4Pの外周根元部4Pdに作用する、筒状容器2の端部2a付近の内周面から径方向中心向きかつ下方(図中における下方、つまり中空糸膜モジュール1の長手方向における中心部1cの方向を向く側)への応力が抑制され、ポッティング部4の割れが抑制される効果が発揮される。
【0055】
ポッティング部4の切断精度、成型精度が劣るとポッティング部4の当接部Tが非対称となり(
図12、
図13参照)、ヘッダー5が僅かに傾く(
図14参照)などすると、部分的に応力が作用しすぎてポッティング部4に割れが生じやすくなることがあり、ヘッダー5の内部空間を液密に封止するうえで好ましくない場合が生じうるが、側壁4Wの角度α2が90度未満である場合にはポッティング部4の割れが抑制される効果を発揮する。
【0056】
<中空糸膜モジュールの製造方法>
まず、最終的に必要な長さよりも長い中空糸膜束3を用意し、筒状容器2内に装填することによって収容する(
図8(A)参照)。次に、ポッティング部4の成型用型100を、筒状容器2の端部2aに装着する(
図8(B)参照)。
【0057】
本実施形態では、ポッティング部4のうち筒状容器2の端部2aから突出したポッティング突出部4Pの表面外周部4rの側壁4Wの角度α2が90度より小さくなるように当該ポッティング部4を成型する。これは、例えば、側壁4Wの角度α2を90度より小さく形成するための90度より小さいテーパ構造を有する成型用型100を利用することで実現することができる。成型時、この成型用型100を筒状容器2の端部2aの開口端面に装着し、当該筒状容器2に、遠心成型により樹脂をポッティングする(
図8(C)参照)。樹脂が硬化した後にこの成型用型100を外し(
図8(D)参照)、ポッティング部4(中空糸膜束3の両端部3a)の不要部分を、中心軸Pに対し垂直の断面で切断し、ポッティング部切断面4Sを形成するとともに、中空糸膜束3の端面を開口させる(
図8(E)参照)。
【0058】
次に、ヘッダー5が筒状容器2に溶着される。例えば
図3に示すようにヘッダー5のヘッダー突出部22が筒状容器2の内側突出部50と外側突出部51の間に挿入され、なおかつポッティング部切断面4Sがヘッダー5の内面の平坦面40に当接される。この状態で、超音波ホーン90がヘッダー5の天板部21に外側から接触する。そして、超音波ホーン90が、ヘッダー5を中心軸P方向の外側から筒状容器2側に押圧しながら、ヘッダー5に向けて超音波振動を発振すると、超音波溶着(電気エネルギーを機械的振動エネルギーに変換し、加圧を同時に加えることによって、溶着される2つのパーツの接合面に強力な摩擦熱を発生させ、プラスチックを溶融し、接合させる技術)により、2次溶着部72、1次溶着部71が溶着される。なお、上記の例では、ヘッダー5の内面の平坦面40がポッティング部切断面4Sに当接されているが、当接部Tにおけるポッティング突出部4Pの表面外周部4rは切断面である必要はなく、成型用型100で直接形成されても良い。
【0059】
なお、超音波ホーン90が発振する超音波振動については、周波数、圧力、振幅及び時間が重要である。例えば、周波数は15kHz、20kHz、30kHz、40kHz、50kHz、70kHz、振幅は20から125μm、圧力は50N〜3000N、時間は0.1から1秒など溶着するに足りるものであれば特に限定されることはないが、状況に応じて比較的低い周波数(例えば、一般的に周波数20kHz程度の超音波が利用される場合における15kHz程度の低周波数)の超音波振動としてもよい。こうした場合は、超音波ホーン90から離れた位置にまで超音波振動が届きやすくなる。振幅、圧力、時間は溶着を強固にしたい場合は、それらの値の一部、もしくは全てを大きくする場合がある。超音波振動が強すぎて筒状容器2やヘッダー5が損傷する場合は、それらの値の一部、もしくは全てを小さくしたり、周波数の大きなものを採用する場合がある。
【0060】
超音波溶着におけるヘッダー5と筒状容器2が押し込まれていく速度は、0.5から10mm/秒、好ましくは、1〜3mm/秒である。速度は遅いほど、溶着部での摩擦熱による溶融量が増加して接合強度が増すが、遅すぎると摩擦熱が過剰となって炭化が生じることがある。
【0061】
上述のようにしてヘッダー5と筒状容器2が少なくとも2箇所で溶着された中空糸膜モジュール1が完成する(
図1参照)。本実施形態によれば、ヘッダー5と筒状容器2とが、2次溶着部72、1次溶着部71の2箇所の領域にて溶着されているため接合強度が増しており、中空糸膜モジュール1の全体の耐圧強度が向上している。このため、耐圧強度不足になり難く、また、液漏れが生じ難い。
【0062】
例えば中空糸膜モジュール1の使用時には、血液などの流体がノズル部20からヘッダー5内に流入し、中空糸膜束3の各中空糸膜を通過し、反対のヘッダー5のノズル部20から排出され、その際に流体の所定成分が中空糸膜の側壁を通じて外部に分離される。そして、中空糸膜モジュール1の継続的な使用により、中空糸膜の目詰まりが進行し、中空糸膜モジュール1の内圧が上昇する。ヘッダー5内の流体の圧力がある程度以上上昇すると、流体がポッティング部4とヘッダー5の内面との間から外側に浸入する可能性がある。この点、本実施形態の中空糸膜モジュール1によれば、(1)1次溶着部71の一部が破損しても、2次溶着部72があるので流体の漏れは生じにくく、また、(2)一般に、耐圧強度は溶着面積が大きいほど大きいといえるが、本実施形態では1次溶着部71と2次溶着部72の2箇所の溶着部の構成とすることで溶着面積を増大させ、耐圧強度を向上することを可能としている。以上の結果、ヘッダー5が筒状容器2から外れ難くなり、中空糸膜モジュール1の耐圧強度を向上できる。
【0063】
本実施形態の中空糸膜モジュール1によれば、ポッティング部4のポッティング突出部4Pにおける表面外周部4rの側壁4Wの角度α2を90度未満としたことで、ヘッダー5を押し込んだ際あるいは押し込みすぎた際、ポッティング部4に樹脂割れが生じるのを抑制することができる。これによれば、中空糸膜モジュール1の十分な封止性(封止能力)を確保しやすい。
【0064】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、ポッティング部4のポッティング突出部4Pにおける表面外周部4rの側壁4Wの角度α2を90度未満とした形態を示しながら説明したが、ここでいう90度未満は、側壁4Wが円錐台状に一律に傾斜した状態だけとは限らない。この他、例えば、ポッティング工程で形状を形成した結果、または、ヘッダー5を押し込んだ結果、ポッティング突出部4Pの側壁4Wが曲線状に外側に膨らんだ形状である場合もあり、その場合にはヘッダー5と接する最外周ヘッダー接点4Pupと、外周根元部にある最外周根元点4Pdpとを結んだ線を引き、当該線の傾きで角度を判断することができる(
図21参照)。要は、側壁4Wの表面が外側に膨らんだ形状となっているか、そうでないかにかかわらず、角度α2が90度未満であり、ポッティング部4の樹脂割れが生じにくい構造であれば、中空糸膜モジュール1の十分な封止性を確保しやすくなる点で有利である。
【0065】
また、上述した実施形態で示した中空糸膜モジュール1の構造は好適な一例にすぎず、例えばヘッダー5のヘッダー突出部22の構造、筒状容器2の内側突出部50と外側突出部51の構造などは上述したものに限られない。また、筒状容器2、ヘッダー5の全体構造も上述したものに限られない。また、中空糸膜モジュール1の用途は、血液などの液体処理に限られず、気体の処理であってもよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、ヘッダー5と筒状容器2とが超音波溶着により溶着された中空糸膜モジュール1を例に説明したが、これは、これらヘッダー5と筒状容器2とを固定する形態の好適な一例にすぎない。先述したとおり、超音波溶着の他にも、レーザー光、ねじ止め等を固定手段として、あるいは固定工程において採用し、これらヘッダー5と筒状容器2の固定部を形成することが可能である。
【0067】
[比較例1]
側壁4Wの角度が90度である従前と同様の構造のポッティング部4をヘッダー5で押し込んだ場合(
図17(A)参照)、(i)ポッティング突出部4Pの外周根元部4Pdには、筒状容器2の端部2a付近の内周面から径方向中心向きかつ下方(図中における下方、つまり中空糸膜モジュール1の長手方向における中心部1cの方向を向く側)への応力が作用し、(ii)ポッティング突出部4Pの上面部4Puには外周方向(径方向外側)への応力が作用することが確認された(
図17(B)参照)。また、ポッティング突出部4Pの上面部4Puは圧縮されながら径方向外側へはみ出るように変形し、その結果、(iii)ポッティング突出部4Pの上面部4Puから外周根元部4Pdに向かうよう応力が作用し、ポッティング部4に樹脂割れが生じる場合のあることが確認された(
図17(C)参照)。
【0068】
[比較例2]
側壁4Wの角度が90度の場合に、ポリウレタン樹脂製のポッティング突出部4Pの「ウレタン高さ」と「ウレタン高低差」が種々の値をとったときのポッティング部4の割れ発生の有無を調べた。ここで、「ウレタン高さ」とは、筒状容器2の端部2aの端面から、ヘッダー5が当接するポッティング突出部4Pまでの、中心軸Pに平行な距離Hをいう(
図18参照)。
図18に示すようにウレタン高さHは、ヘッダー5が当接して圧縮した後の高さのことではなく、ヘッダー5が当接する前の状態での高さのことである。「ウレタン高低差」とは、ヘッダー5が当接するウレタン高さの最大高さH1から最小高さH2を引いた差(ウレタン高低差ΔH=H1−H2)をいう(
図19参照)。
【0069】
ウレタン高さH、ウレタン高低差ΔHが種々の値である場合に、ポッティング部4の割れ(ウレタン割れ)が生じたかどうかの結果を表1に示し、この結果をグラフに表したものを
図9に示す。ヘッダー5をポッティング部4に当接させた後、ウレタン割れが生じた場合には「割れあり」、生じなかった場合には「OK」と、表1中の結果欄に示している。以上からは、側壁4Wの角度が90度の場合、ウレタン高さが高いほど、また、ウレタン高低差が大きいほど、ウレタン割れが生じやすいとの結果が得られた。ここで、ウレタン高さの測定には、キーエンス社製:2次元高速寸法測定器 TM-3000シリーズ(コントローラ部TM−3000、ヘッド部TM−065R)を用いた。
【0071】
なお、ウレタン高低差がある場合のウレタン高さHは、外周に渡って等間隔で248点の高さを測定し、それらを平均した値である(
図20参照)。ここで、等間隔で測定する際の最初の点は、ポッティング部切断面4Sを垂直上方より見下ろした際に、ポート10の長手方向の中心線と重なる位置である。
【0072】
[実施例1]
側壁4Wの角度α2が70度の場合に、ポリウレタン樹脂製のポッティング突出部4Pの「ウレタン高さ」と「ウレタン高低差」が種々の値をとったときのポッティング部4の割れ発生の有無を調べた。
【0073】
ウレタン高さ、ウレタン高低差が種々の値である場合に、ポッティング部4の割れ(ウレタン割れ)が生じたかどうかの結果を表2に示し、この結果をグラフに表したものを
図10に示す。以上からは、側壁4Wの角度が70度の場合であって、ウレタン高さ、ウレタン高低差がそれぞれ表2に示した値であるときは、ウレタン割れが生じないという結果が得られた。
【0075】
[実施例2]
側壁4Wの角度α2が80度の場合に、ポリウレタン樹脂製のポッティング突出部4Pの「ウレタン高さ」と「ウレタン高低差」が種々の値をとったときのポッティング部4の割れ発生の有無を調べた。
【0076】
ウレタン高さ、ウレタン高低差が種々の値である場合に、ポッティング部4の割れ(ウレタン割れ)が生じたかどうかの結果を表3に示し、この結果をグラフに表したものを
図11に示す。以上からは、側壁4Wの角度が80度の場合であって、ウレタン高さ、ウレタン高低差がそれぞれ表3に示した値であるときは、ウレタン割れが生じないという結果が得られた。
に示すようにポッティング部4の端面には、ポッティング部の両端部を径方向に切断して形成されたポッティング部切断面4Sが形成されている。ポッティング部4は、筒状容器2の内側突出部50よりも中心軸P方向の外側(ヘッダー5側)に突出している。ポッティング部切断面4Sは、ヘッダー5の内面の平坦面(内側当接面)40に所定の圧力が付与された状態で当接している。これにより、流体が容易にヘッダー突出部22と筒状容器2の端部2aの隙間に入り込むことを抑制でき、ヘッダー5と筒状容器2との間の封止力を向上できる。なお、ヘッダー5の
参照)。なお、上記の「所定の圧力」には極めて僅かな圧力も含まれており、本明細書でいう「当接」には、圧力の作用でポッティング部4が変形している状態はもちろん、圧がごく僅かであり殆ど変形せずに接している状態も含まれる。