【解決手段】ガラクトース、マンノース、キシロース及びラムノースからなる群から選択される少なくとも一種の不凍多糖を含むセメント硬化体の凍害抑制剤、セメント、不凍多糖、及び水を含むセメント組成物、並びに不凍多糖を含むセメント硬化体。好ましくは、不凍多糖がキシロマンナンであることが望ましい。更に好ましくは、キシロマンナンを構成するマンノースとキシロースの構成比が、キシロース1モルに対してマンノース1.5〜2.5モルであり、キシロマンナンの分子量が、280000〜340000である凍害抑制剤。
前記キシロマンナンを構成するマンノースとキシロースの構成比がキシロース1モルに対してマンノース1.5〜2.5モルであり、前記キシロマンナンの分子量が280000〜340000である、請求項3に記載の凍害抑制剤。
【背景技術】
【0002】
積雪寒冷地にさらされるコンクリート構造物に生じる特有な劣化として、古くから凍害が知られている。コンクリートの凍害の特徴的劣化は、主に、内部組織の弛緩及びスケーリングの二つに大別される。内部組織の弛緩は、セメントの水和反応に寄与しない水分が凍結時に体積膨張し、その膨張圧の発生により組織が崩壊する。一方、スケーリングは1991年のスパイクタイヤ規制以来、路面の安全確保を起因とした凍結防止剤の散布により課題として取り上げられるようになった。
【0003】
前者の対策としては、古くからAE剤により連行する微細な空気泡をコンクリート中に混入し、圧力を緩和する方法が採用され、その効果は高いものとされている。それに対して、後者に関しては、特別に予防策は採られておらず、そのメカニズム等の詳細について不明点が多い。このような凍害を防ぐ方法が、例えば、特許文献1及び2において報告されている。
【0004】
特許文献1では、ナトリウム塩、カリウム塩及びカルシウム塩からなる群より選択される少なくとも1種類を含みマグネシウムを含まない凍結防止剤と、マグネシウム、鉄及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種類からなる金属を含みアルカリ水溶液と反応して前記金属の水酸化物となる水溶性金属塩と、を含有する凍結・ソルトスケーリング抑制剤が報告されている。しかしながら、特許文献1に記載の凍結・ソルトスケーリング抑制剤は塩を含むため、寒冷地の道路内部の鋼材等について塩類による腐食が生じる可能性がある。
【0005】
特許文献2では、酢酸カリウムを基剤とする水溶液にグリセリン又は/及びプロピレングリコールが配合され、有効成分を前記酢酸カリウムと前記グリセリン又は/及びプロピレングリコールとする、液状凍結防止剤が報告されている。しかしながら、実施例において、凍結融解試験における質量残存率は最大でも70%程度であり、十分な結果とは言えない。
【0006】
また、担子菌由来のキシロマンナンを氷結晶化阻害剤として使用することが特許文献3において報告されている。しかしながら、特許文献3には、当該氷結晶化阻害剤をコンクリート構造物の凍害防止に使用することは記載されていない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
なお、本明細書において「含む(comprise)」とは、「本質的にからなる(essentially consist of)」という意味と、「のみからなる(consist of)」という意味をも包含する。
【0017】
本発明のセメント硬化体の凍害抑制剤は、不凍多糖を含むことを特徴とする。また、本発明のセメント組成物は、セメント、不凍多糖、及び水を含むことを特徴とする。本発明のセメント硬化体は、不凍多糖を含むことを特徴とする。
【0018】
不凍多糖は、氷結晶の成長抑制機能を有する多糖類であり、エノキタケ等の真菌の細胞壁を構成する多糖類から見出された成分である(特許第5881118号公報参照)。なお、本明細書において、多糖類とは、通常、10個以上の単糖がグリコシド結合により直鎖状又は分枝鎖状に重合したものをいう。
【0019】
不凍多糖は、特に限定されず、例えば、ガラクトース、マンノース、キシロース、グルコース、及びラムノースからなる群より選択される少なくとも1種を含む多糖類が挙げられ、好ましくはこれらの単糖を2種以上含む多糖類、より好ましくはキシロース及びマンノースを含む多糖類、更に好ましくはキシロマンナンである。
【0020】
キシロマンナンは、α−1,3−マンノースで構成されるマンナン主鎖に、側鎖として1分子ずつのキシロースが1,4−結合を介して結合したヘテロ多糖類の総称である。ただし、キシロマンナンは、マンノースとキシロースのみから構成されるものに限られず、キシロース以外に他の糖を側鎖として有し得る。
【0021】
キシロマンナンを構成するマンノースとキシロースの構成比は特に限定されず、キシロース1モルに対して、例えば、マンノース1.5〜2.5モル、好ましくは1.7モル〜2.3モル、より好ましくは1.9モル〜2.1モル、更に好ましくは約2モルである。
【0022】
不凍多糖の分子量は、特に限定されるものではなく、ゲル濾過クロマトグラフィーにて測定した平均分子量で、例えば、100,000〜1,000,000である。当該平均分子量の下限は、好ましくは150,000、より好ましくは200,000、更に好ましくは240,000、特に好ましくは280,000である。当該平均分子量の上限は、好ましくは500,000、より好ましくは400,000、更に好ましくは370,000、特に好ましくは340,000である。
【0023】
不凍多糖としては、例えば、公知の方法に従って化学合成したものを用いることができ、また、真菌から公知の方法に従って不凍多糖を抽出して得られた抽出物も用いることができる。
【0024】
真菌の中でも好ましいものとして担子菌が挙げられる。担子菌としては、例えば、ハラタケ目に属するものを挙げることができる。ハラタケ目に属する担子菌としては、例えば、ヌメリガサ科(ヤギタケ等)、キシメジ科(キシメジ、ムラサキシメジ、オシロイシメジ、カクミノシメジ、シャカシメジ、ハルシメジ、ハタケシメジ、ブナシメジ、ホンシメジ、オオホウライタケ、スギヒラタケ、ハリガネオチバタケ、キツネタケ、ナラタケ、ムキタケ、マツタケ、シロマツタケモドキ、シイタケ、エノキタケ等)、テングタケ科(タマゴタケ、カバイロツルタケ等)、ハラタケ科(ハラタケ、シロオオハラタケ等)、ヒトヨタケ科(ヒトヨタケ等)、モエギタケ科(ナメコ等)、フウセンタケ科(ショウゲンジ等)、イグチ科(ヤマドリタケ等)、ベニタケ科(アイタケ等)、サルノコシカケ科(マイタケ等)、ヒラタケ科(エリンギ等)などに属するものが挙げられる。これらの中でも、好ましくはキシメジ科、ヒラタケ科、モエギタケ科等に属するもの、より好ましくはキシメジ科に属するもの、更に好ましくはエノキタケである。
【0025】
上記担子菌の類縁品種及び改良品種も適宜使用することができる。
【0026】
不凍多糖を含有する生物として担子菌を用いる場合、培養は低温下で行うことが好ましい。比較的低温で担子菌を培養(低温馴化)した担子菌を抽出源として用いることにより、不凍多糖をより効率的に得ることができる。培養温度としては、例えば、25℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。一方、氷点未満では液体培地が凍結するおそれがあるため、0℃以上とすることが好ましい。
【0027】
培養期間は特に制限されないが、3日以上行うことが好ましく、より好ましくは1週間以上、更に好ましくは2週間以上、特に好ましくは1ヶ月以上である。また、培養期間の上限も特に制限されず、担子菌がコンフルエントな状態となるまでや、培地中の氷結晶化阻害剤の濃度がそれ以上向上しなくなるまでとすることができ、例えば、6ヶ月以下、好ましくは5ヶ月以下、より好ましくは4ヶ月以下、更に好ましくは3ヶ月以下である。
【0028】
真菌からの不凍多糖の抽出は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、不凍多糖は、熱水ではほとんど抽出できないが、アルカリ水溶液中で加熱処理することにより抽出できることが知られている(特許第5881118号公報参照)。この知見に基づいて、不凍多糖として、例えば、真菌熱水抽出残渣、真菌熱アルカリ抽出物等を用いることができる。
【0029】
真菌熱水抽出残渣は、例えば、真菌を熱水抽出処理した後の残渣を回収することにより得ることができる。
【0030】
熱水抽出処理は、高温の水に真菌を浸漬し、必要に応じて撹拌することにより行うことができる。水の温度は、例えば、80℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上、更に好ましくは99℃以上である。処理時間は、特に限定されず、例えば、0.5〜8時間程度である。熱水抽出処理後は、遠心分離、ろ過等により上清を除去することにより、真菌熱水抽出残渣を得ることができる。
【0031】
真菌熱アルカリ抽出物は、例えば、真菌をアルカリ水溶液中で加熱抽出処理することにより得ることができる。
【0032】
アルカリ水溶液中での加熱抽出処理の前に、真菌を上記熱水抽出処理することができる。このようにすることにより、不凍多糖以外の熱水溶解性の成分を除去することができる。
【0033】
アルカリ水溶液の調製に供されるアルカリ物質としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、重炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、焼成カルシウム等を用いることができ、その使用に際しては単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0034】
アルカリ水溶液の濃度は、適宜調整することができる。下限は、より効率的に不凍多糖を抽出できるという観点から、例えば、0.1w/v%、好ましくは1.0w/v%、より好ましくは2.0w/v%、更に好ましくは5.0w/v%、より更に好ましくは10.0w/v%、より更に好ましくは15.0w/v%、特に好ましくは20.0w/v%である。また、上限は、コスト面や安全面の観点から、例えば、50w/v%、好ましくは30w/v%、より好ましくは25w/v%である。
【0035】
加熱抽出処理の温度としては、70℃以上が好ましく、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上、最も好ましくは約100℃である。加熱抽出処理の方法としては、例えば、アルカリ水溶液を加えた後にこれを所定の温度まで加熱しながら抽出することもできるし、予め所定の温度に加温したアルカリ水溶液を加えてこれを保温した状態で抽出することもできる。
【0036】
加熱抽出処理の時間は、温度、アルカリ物質の濃度等に応じて適宜調整し得る。加熱抽出処理の時間は、例えば、0.5〜8時間、好ましくは1〜5時間、より好ましくは2〜3時間程度である。
【0037】
抽出は、1回でもよく、より多くの不凍多糖を得るという観点からは、1回抽出した後に得られた残渣に対して同様の抽出処理を1回又は複数回繰り返して行うこともできる。
【0038】
上記により得られた抽出液は、そのまま用いることもでき、又は中和や透析などの周知の方法によりアルカリ物質を除去してから用いることもできる。また、必要に応じて更に精製を行うことができる。例えば、デカンテーション、濾過、遠心分離などを好適に組み合わせて夾雑成分を除去することもできる。また、例えば、塩析や有機溶媒による沈殿や、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換カラムクロマトグラフィー、ゲル濾過、低速冷却装置を用いた氷への結合などによる精製、透析や限外濾過などによる濃縮などを好適に組み合わせて行うこともできる。
【0039】
不凍多糖は1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
本発明のセメント硬化体の凍害抑制剤中の不凍多糖の含有量としては、特に限定されず、例えば、0.001〜100質量%、0.01〜99.9質量%、0.1〜99質量%などが挙げられる。
【0041】
本発明におけるセメント硬化体は、セメントを接着成分として硬化させたものを意味する。セメント硬化体の具体例としては、コンクリート、モルタルなどが挙げられる。
【0042】
セメント硬化体に使用される材料としては、セメント、骨材(細骨材(砂)、粗骨材(砂利))、及び水が挙げられ、これら以外にも必要に応じて公知の混和剤を添加することができる。
【0043】
セメント組成物は、セメントを含む硬化していない状態のものを意味し、セメント組成物としては、セメントペースト(セメント+水)、モルタル(セメント+細骨材+水)、コンクリート(セメント+細骨材+粗骨材+水)が挙げられる。また、これら以外にも必要に応じて公知の混和剤を添加することができる。
【0044】
セメントとしては、特に制限されず、目的に応じて各種セメントの中から適宜選択することができる。セメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントなどのポルトランドセメント、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ、石灰石微粉などを混合した混合セメント、廃棄物利用型セメントなどが挙げられる。
【0045】
細骨材としては、特に制限されず、天然砂、砕砂、加工砂などを使用することができる。細骨材の種類は、製造するセメント硬化体の強度などに応じて適宜選択することができる。
【0046】
粗骨材としては、特に制限されず、公知のものから目標とする強度に応じて適宜選択することができる。粗骨材の岩種としては、例えば、硬質砂岩、安山岩、流紋岩などの一般的な岩種などが挙げられる。
【0047】
セメント組成物中の不凍多糖の配合量は、凍害を抑制できる限り特に制限されない。水(練混ぜ水)中の配合量で表すと、例えば、1〜150μg/ml、好ましくは10〜100μg/ml、より好ましくは15〜55μg/ml、特に好ましくは20〜50μg/mlである。
【0048】
セメント組成物中の水(練混ぜ水)の量は、特に制限されず、水/セメントの組成物質量比で、例えば、25〜65%である。
【0049】
セメント組成物中のセメント、骨材、水等の配合割合は、製造するセメント硬化体の強度などに応じて適宜設定することができる。
【0050】
各成分を配合し混合(練混ぜ)したセメント組成物を用いて、打込み(打設)、養生などの公知の工程を行うことでセメント硬化体を製造することができる。
【0051】
セメント硬化体が適用される構造物としては、一般道路、高速道路、橋梁、駅舎、線路、港湾、空港の滑走路、エプロン、誘導路などを挙げることができる。
【0052】
本発明のセメント硬化体の凍害抑制剤は、塩を使用せずセメント硬化体の凍害(特にスケーリング及び内部組織の弛緩)を顕著に抑制することが可能である。塩を使用しないことから、セメント硬化体内部の鋼材等の塩類による腐食の可能性を低減させることが可能である。また、本発明のセメント組成物及びセメント硬化体は、塩を使用せずに優れた耐凍害性を有している。
【0053】
このように、凍結多糖を使用することで、寒冷地域のセメント硬化体の構造物を凍害の被害から守り、長寿命化できることが期待される。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例等になんら限定されるものではない。
【0055】
<使用材料及び配合>
使用した材料を表1に、配合を表2に示す。試験の差異を明確にするため、いずれの配合においてもAE剤を用いないものとした。また、各不凍多糖は、打設前日に常温で解凍しておくものとした。不凍多糖の表記方法及び添加方法については、糖濃度を考慮した方法を提案し、採用した。糖濃度を考慮した表記方法とは、コンクリート若しくはモルタル作製時に使用する練混ぜ水1 mlに対して不凍多糖が何マイクログラム入っているかを示す。
【0056】
使用した不凍多糖は、特許第5881118号公報の記載に従ってエノキタケより抽出したキシロマンナンを含むものである。熱水抽出後の不凍多糖エキスは、ダイアライシスメンブラン サイズ36(分画分子量14,000)を用いて、脱イオンに対して3日間(1日毎に外液交換)透析して、低分子化合物を除いた。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
<実験方法>
1.小片凍結融解試験法
小片凍結融解試験は、羽原ら
1)の文献に基づいて実施した。試験に用いた凍結防止剤は、国内での使用頻度が高い塩化ナトリウム溶液と塩化カルシウム溶液とし、劣化が最も著しいと報告されている
1)3mass%に調整した。表2に示したケース1の配合を用いて、4×4×16 cmのモルタル角柱供試体を作製し、材齢28日まで水中養生を施した。コンクリートカッター及びダイヤモンドカッターで1辺が約0.8 cmになるように切断し、これを試験供試体として用いた。
【0060】
試験片1組3粒(約4〜5 g)を容量100 mlのポリプロピレン容器に投入し、溶液と試料の質量比を10:1として、フタをして実施した。-20℃の冷凍庫で12時間、20℃の恒温恒湿室で12時間を1サイクルとし、1、3、5、7、10回の凍結融解繰り返しを与えた。所定のサイクルの後、ろ紙上で試料を精製水で洗浄しながら分離した。分離した試料は55℃の炉乾燥機にて、約24時間乾燥させた後、2.5 mmのふるいで分級した。
【0061】
スケーリング抑制効果の評価方法としては、試験前質量より得られるふるい上に残った試料の質量の残存率により評価した。また、質量残存率より得られたスケーリング耐久性指標(SDI)を求め、定量的な評価を行った。文献
1)によると、SDIが40以上を示せば、スケーリング抑制効果を有するとされている。
【0062】
SDIの算出式
・質量残存率が40%以上の場合
SDI=10サイクル時の質量残存率(%)
・質量残存率が40%未満の場合
SDI=P×N/M(%)
P=40%
N:質量残存率が40%に達した時のサイクル数(回)
M:試験終了を予定しているサイクル数(回)(本試験の場合にはM=10(回))
【0063】
実験に供した試験体を一覧にして表3に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
2.凍結融解試験法(A法)
凍結融解試験は、表2に示したケース2の配合を使用し、JIS A 1148 A法に基づいて実施した。実験に供した試験体を一覧にして表4に示す。評価方法に関しては、JIS A 1127に基づいた共鳴振動によるコンクリートの動弾性係数及び質量減少率で行うものとした。300サイクル完了若しくは相対動弾性係数が60%未満で、試験終了とされているが、表面劣化の考察に伴い、本研究の質量減少率については、300サイクル完了まで測定することとした。
【0066】
【表4】
【0067】
<結果>
1.小片凍結融解試験法
硬化体の小片凍結融解試験法による試験結果を
図1〜6に示す。
【0068】
図1及び2から、全ての実施例が比較例より高いスケーリング抑制効果を示した。実施例の中では、実施例2のSDI最大値をピークにして、実施例2及び3が優れたスケーリング抵抗性を示した。塩化ナトリウムと塩化カルシウムで同様の結果が得られた。
図3及び4は、不凍多糖の濃度とSDIの値の関係を示したものである。
図5及び6の外観観察の結果から、比較例1は劣化が深刻であったが、実施例2は形状を維持していた。
【0069】
2.凍結融解試験法(A法)
凍結融解試験(A法)による試験結果を
図7〜9に示す。
【0070】
図7及び8から、実施例8は比較例2及び実施例7と比べて内部劣化及び表面劣化に対して高い抵抗性を有した。
図9の外観観察の結果から、比較例2は劣化が深刻であったが、実施例8は形状を維持していた。
【0071】
<参考文献>
1)羽原俊祐ら:コンクリートのスケーリング劣化に及ぼす凍結防止剤の影響、セメント・コンクリート論文集、Vol.67、pp.95-101、2013