(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-156729(P2019-156729A)
(43)【公開日】2019年9月19日
(54)【発明の名称】洗浄料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20190823BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20190823BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20190823BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20190823BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20190823BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/34
A61K8/60
A61K8/44
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-41578(P2018-41578)
(22)【出願日】2018年3月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】丹後 弘隆
(72)【発明者】
【氏名】小田 泰裕
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC422
4C083AC661
4C083AC662
4C083AD201
4C083BB04
4C083CC23
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】
本発明は、高級脂肪酸塩を基剤とするにもかかわらず、洗浄力、洗い上がりのしっとり感、泡質な洗浄料組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
下記(A)〜(C)を含有する洗浄料組成物。
(A)高級脂肪酸塩
(B)炭素数4以上の単糖及び/又は2糖類、HLB値が12以上のノニオン界面活性剤から選択される1種又は2種以上
(C)アシルアミノ酸粉体
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(C)を含有する洗浄料組成物。
(A)高級脂肪酸塩
(B)炭素数4以上の単糖及び/又は2糖類、HLB値が12以上のノニオン界面活性剤から選択される1種又は2種以上
(C)アシルアミノ酸粉体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗浄料として、種々の商品が開発されており、高級脂肪酸塩を基剤とするものは、洗浄力に優れ、泡立ちが良く、さっぱりとした感触があるため、洗顔料や全身洗浄料等に用いられている。しかし、その強力な洗浄力により、皮膚に必要な皮脂等まで落としてしまい、洗浄後に、肌が、かさつき、つっぱるといった問題が生じている。また、通常高級脂肪酸塩の場合、脂肪酸の鎖長が短いほど、起泡性が良好だが泡質が劣る傾向に、脂肪酸の鎖長が長いと、泡質は良好であるが、経時安定性に問題を生じる傾向にある。
【0003】
また、洗浄後の肌のかさつきや、つっぱり感の改善のために、ジグリセリンのポリオキシプロピレン付加物と併用した例(特許文献1)、植物エキスと併用した例(特許文献2)がある。が、いずれも効果が不十分で、問題を解決するには、至っていない。
【0004】
洗浄料に過度の脱脂を防ぐ目的でソルビトールやマルチトール等の糖類、非イオン界面活性剤を配合することが知られている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「新化粧品学」第2版、光井武夫編、2001年、南山堂発行、第350頁
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−116135号公報
【特許文献2】特開平10−88193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の、高級脂肪酸塩と糖類などの保湿剤、非イオン性界面活性剤の併用により保湿効果は若干高まるが、高級脂肪酸石鹸特有の泡のキメの粗さや弾力性のなさといった泡質の改良には、至っていなかった。そこで、本発明は、高級脂肪酸塩を基剤とするにもかかわらず、洗浄力、洗い上がりのしっとり感、泡質な洗浄料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記(A)〜(C)を含有する洗浄料組成物を提供する。
(A)高級脂肪酸塩
(B)炭素数4以上の単糖及び/又は2糖類、HLB値が12以上のノニオン界面活性剤から選択される1種又は2種以上
(C)アシルアミノ酸粉体
【発明の効果】
【0009】
本発明の洗浄料組成物は、洗浄力、洗い上がりのしっとり感、泡質に優れるという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0011】
本発明で用いる高級脂肪酸塩を構成する高級脂肪酸としては、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよく、炭素数8〜24、特に10〜22のものが好ましい。これらの脂肪酸の中でも直鎖飽和脂肪酸を用いることが、好ましい。好ましいものの具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、還元ヤシ油脂肪酸、パーム核脂肪酸などが挙げられる。これらの脂肪酸の中でも、泡立ち、安全性、安定性の面から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸から選択される1種又は2種以上を含有することが好ましい。これらの高級脂肪酸と塩を形成するアルカリ剤としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパンジオールなどのアルカノールアミン塩、リジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。これらのうち、特にカリウム、アルギニンが好ましい。
【0012】
また、これらの高級脂肪酸塩は、必ずしも脂肪酸塩として洗浄料組成物に配合する必要はなく、上記高級脂肪酸と塩基とをそれぞれ別個に添加し、組成物中で脂肪酸塩を形成させてもよい。
【0013】
高級脂肪酸塩の配合量は、洗浄料組成物の剤型によって異なり特に限定されない。固形洗浄料の場合その配合量は90質量%以下であることが好ましい。ペースト状洗浄料の場合、55質量%であることが好ましい。液状化粧料の場合25質量%であることが好ましい。
【0014】
本発明で用いる炭素数4以上の単糖及び/又は2糖類としては、洗浄料に用いられ得るものであれば特に限定されない。かかる単糖及び/又は2糖類としては、ソルビトール、グルコース、エリスリトール、マンニトール、フルクトース、キシリトール、ショ糖、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース等が例示される。かかる糖類の中でも、本発明の効果の点からソルビトールを用いることが好ましい。
【0015】
炭素数4以上の単糖及び/又は2糖類から選択される1種又は2種以上を配合する場合の配合量は特に限定されないが、洗浄料組成物全量に対し、1〜20質量%が好ましい。
【0016】
本発明で用いるHLB値が12以上の非イオン性界面活性剤としては、通常の洗浄剤組成物に用いられるものであればいずれでも良い。具体的にはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
【0017】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸POE(80)ソルビタン(HLB値19.0)、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(HLB値16.9)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(HLB値15.6)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(HLB値14.9)等が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸ヘキサグリセリル(HLB値14.5)、モノラウリン酸デカグリセリル(HLB値15.5)等が挙げられる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸POE(10)(HLB値12.5)、モノステアリン酸POE(25)(HLB値15.0)等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、POE(9)ラウリルエーテル(HLB値14.5)、POE(10)セチルエーテル(HLB値13.5)、POE(20)フィトステロールエーテル(HLB値15.5)、POE(30)フィトステロールエーテル(HLB値18.0)等が挙げられる。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、POE(40)硬化ヒマシ油(HLB値12.5)、POE(60)硬化ヒマシ油(HLB値14.0)等が挙げられる。
【0018】
本発明においてはこれらの非イオン性界面活性剤の中でも、モノラウリン酸POE(80)ソルビタン、モノラウリン酸デカグリセリルから選択される1種又は2種を用いることが好ましい。
【0019】
HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤を配合する場合の配合量は特に限定されないが、洗浄料組成物全量に対し、0.5〜5質量%、0.5〜2質量%とすることが好ましい。
【0020】
本発明で用いるアシルアミノ酸粉体としては、洗浄料組成物に配合し得るものであれば特に限定されない。具体的には、ラウロイルリジン、パルミトイルリジン、カプロイルリジン等のアシルリジン;ステアロイルオルニチン等のアシルオルニチン;ラウロイルアルギニン等のアシルアルギニン;ココイルヒスチジン等のアシルヒスチジン等のアシル塩基性アミノ酸等が挙げられる。市販品としては、ラウロイルリジンであるアミホープLL(味の素社製)等を用いることができる
【0021】
アシルアミノ酸の配合量は、洗浄料組成物の剤型、高級脂肪酸塩の含有量などにより変化するが、洗浄料組成物全量に対し0.001〜1質量%とすることが好ましい。
【0022】
本発明においては、親油型モノステアリン酸グリセリルを配合することができる。親油型モノステアリン酸グリセリルは通常の洗浄料に配合し得るものであれば特に限定されない。市販の親油型モノステアリン酸グリセリルとしてはNIKKOL(登録商標)MGSシリーズ(日光ケミカルズ社製)、モノグリMB(日油社製)等を挙げることができる。
【0023】
本発明においては、多価アルコールを配合することができる。多価アルコールとしては通常洗浄料に配合し得るものであれば特に限定されない。多価アルコールとしては、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール等が例示される。
【0024】
本発明の洗浄料には、上述の成分の他に、通常の洗浄料分野等に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、精製水、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【0025】
本発明の洗浄料は、常法により製造され、固形状、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、ジェル状、軟膏状等の剤型とすることができる。本発明の効果の点から、適度な粘性を有する液状若しくはペースト状の剤型をとることが好ましい。また本発明の洗浄料は、皮膚洗浄料、毛髪洗浄料として使用することができ、特に皮膚洗浄料として使用することが好ましい。
【実施例】
【0026】
以下に本発明について実施例を用いて説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。
【0027】
本発明の実施例及び比較例の評価方法は下記のとおりである。
【0028】
(使用感評価)洗浄力、洗い上がりのしっとり感、泡質
専門パネラー2名により、ボディでの使用テストを行い、表の洗浄料の泡立ち、泡質、について、それぞれ絶対評価を行った。評価結果を下記の基準を用いて合議により判定した。
<評価結果>
◎:非常に良い
○:良い
△:少し悪い
×:悪い
【0029】
表1、2に、本発明の実施例及び比較例にかかるボディ用洗浄料の処方を示す。洗浄料は定法に従い調製し、評価に供した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
本発明の実施例は、泡の弾力性、細かさといった泡質、洗い上がりのしっとり感に非常に優れた使用感であった。