【実施例】
【0030】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。
【0031】
[ムラサキバレンギクエキス末]
乾燥させたムラサキバレンギクの根30g細切し、600gの50容量%エタノール水溶液を用いて、常温で48時間浸漬した。ろ過後溶媒を留去してムラサキバレンギクエキス末約5gを得た。
【0032】
[ムラサキバレンギクエキス」
ムラサキバレンギクエキス末0.5gを50質量%1,3―ブチレングリコール水溶液99.5gに溶解し、ムラサキバレンギクエキスとした。
【0033】
[ラベンダーエキス]
ラベンダーの花を乾燥後細切し、50質量%1,3−ブチレングリコール溶液に浸漬後
ろ過したものをラベンダーエキスとした。
【0034】
[ABCA12遺伝子発現促進作用、SGMS1遺伝子発現促進作用、ELOVL4遺伝子発現促進作用、CYP4F22遺伝子発現促進作用、CERS3発現促進作用、PNPLA1遺伝子発現促進作用、ABHD5遺伝子発現促進作用]
ヒト表皮角化細胞を3*10
5個/ウェルとなるように6ウェルプレートに播種し、Humedia-KG2培地(クラボウ社製)にて一晩培養した。ムラサキバレンギクエキス末を0.5mg/mL、ラベンダーエキスを0.5体積%となるようにそれぞれ添加溶解した培地に交換し、37℃、5% CO
2インキュベーター内で24時間培養した。採取した細胞から、市販のRNA抽出キット(Quick Gene RNA Cultured Cell HC Kit S)を使用してRNAを抽出し、cDNA合成後に下記のプライマーを使用してサイバーグリーン法によるリアルタイムPCRにより遺伝子発現を確認した。なお、内部標準としてGAPDHを使用した。ムラサキバレンギクエキス末による各作用は表2に、ラベンダーエキスによる各作用は表3にそれぞれ示した。なおmRNA発現量は、各抽出物無添加の場合の発現量を1とした相対値で示した。さらに無添加の場合との有意差をt-検定で算出し、5%有意を*で、1%有意を**でそれぞれ示した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
表2に示した通り、ムラサキバレンギクエキス末は、表皮顆粒細胞内の層板顆粒の膜上に存在し、細胞間脂質の分泌において重要な役割を果たすABCA12遺伝子、セラミドからスフィンゴミエリンへの合成をつかさどるSGMS1遺伝子、表皮において炭素数28以上の脂肪酸の生合成に必須であるELOVL4遺伝子、超長鎖脂肪酸を基質としてω位を水酸化するCYP4F22遺伝子、超長鎖アシルCoAに特異的に反応し、セラミドを合成するCERS3遺伝子、セラミドとトリグリセリド由来のリノール酸がエステル結合を形成しアシルセラミドを生合成するPNPLA1遺伝子、トリグリセリドからのリノール酸の供給に関与するABHD5遺伝子の発現をそれぞれ促進し、セラミド合成促進作用、特にアシルセラミド生合成促進作用に優れていた。
【0039】
表3に示した通り、ラベンダーエキスは、表皮顆粒細胞内の層板顆粒の膜上に存在し、細胞間脂質の分泌において重要な役割を果たすABCA12遺伝子、グルコシルセラミダーゼに関与するGBA遺伝子、セラミドとトリグリセリド由来のリノール酸がエステル結合を形成しアシルセラミドを生合成するするPNPLA1遺伝子、トリグリセリドからのリノール酸の供給に関与するABHD5遺伝子の発現をそれぞれ促進し、セラミド合成促進作用、特にアシルセラミド生合成促進作用に優れていた。
【0040】
[ヒト3次元培養皮膚モデルにおけるセラミド産生促進作用]
ヒト3次元培養皮膚モデルLabCyte EPIMODEL24(J−TEC製)を、アッセイ培地(J−TEC製)中で、37℃、5%CO
2インキュベーター内で24時間培養した。
各ウェルより培地を除去した後、ムラサキバレンギクエキス末0.5mg/mLを含むアッセイ培地を0.5mL培養カップの外側に添加し、CO
2インキュベーター内で24時間培養した。
各ウェルから培地を除去した後、サンプルを含まないアッセイ培地J−TEC製)で48時間培養した。
皮膚モデルをPBSで3回洗浄し、Bligh−Dyer法による脂質の抽出を行った。なお、得られる固形物はクロロホルム:メタノール(体積比2:1)溶液50μLで溶解した。
脂質サンプルの定量はHPTLCを用いて行った。以下にHPTLCによる試験方法を示す。
TLC展開槽の壁面にろ紙を張り、HPTLCプレートのスポット位置に触れない程度の展開液(クロロホルム:メタノール:酢酸(体積比190:9:1)溶液)を加えた。
HPTLCプレートのガラス下から1.5cmの部分にマイクロシリンジを用いて各脂質サンプルを5μLずつスポットした。
また、標準品としてCeramide I(Matreya製)、Ceramide II(Avanti Polar Lipids製)、Ceramide III(SIGMA製)を15.625、31.25、62.5、125、250μg/mLの濃度となるようクロロホルム:メタノール(体積比2:1)溶液に溶解し、これらを5μLずつスポットした。
HPTLCCプレートを静かに展開槽に入れ、上端まで(スポットから8cm)展開した。展開溶媒を乾燥後、10質量%CuSo
4−8体積%H
3PO
4溶液をHPTLCプレートに満遍なく噴霧し、150℃で10分間加熱した。
HPTLCプレートを常温まで冷却した後、TLC撮影用のキャビネットに設置したデジタルカメラ(Canon製EOS5D Mark II)でプレートの写真を撮影した。
得られた画像データからJustTLC(SWEDAY製)を用いて、各バンドのシグナル強度に関する検量線を作成し、各バンドにおけるセラミド量を算出した。
セラミド量は、ムラサキバレンギクエキス無添加の場合のセラミド量を1とした相対値で表4に示した。
【0041】
【表4】
【0042】
表4に示した通り、ムラサキバレンギクエキス末は、同エキス未添加の場合と比較して、高いセラミド産生促進作用を示した。