【0012】
本発明の新規な環式ジオール化合物は、下記一般式(1)
【化4】
[式中、R
1〜R
12は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子若しくは置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基を示す。また、R
1〜R
12のうち、2つの基が互いに結合して2価の基を形成していてもよい。]
で表される、環式ジオール化合物である。
【0016】
本発明の新規な環式ジオール化合物は、例えば、下記反応式に示すようにして製造される。
(反応式)
【化5】
上記式(1)〜式(3)において、R
1〜R
12は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子若しくは置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基を示す。また、R
1〜R
12のうち、2つの基が互いに結合して2価の基を形成していてもよい。
【実施例】
【0020】
以下に実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、環式ジオール化合物の各種測定は以下の方法により測定した。また、特に言及していない化合物は試薬を使用した。
【0021】
<使用化合物>
1,1’−ビ−2−ナフトール:東京化成工業株式会社製
【0022】
<ガスクロマトグラフィー(GC)による分析>
脂環式ジオール化合物の純度(GC面積%)はガスクロマトグラフィー(GC)により測定した。
【0023】
[測定条件]
機器:島津製作所製 GC−2014
カラム:アジレント・テクノロジー株式会社製DB−1 30mx0.25mm×0.25μm
カラム温度:100〜320℃(昇温速度15℃/min)
インジェクション温度/検出器温度:300℃/325℃
検出器:FID
キャリアガス:ヘリウム
ガス流量:1.13ml/min
試料:1質量%のアセトン溶液
注入量:1μl
【0024】
<赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)>
脂環式ジオール化合物のIRスペクトルは、赤外分光分析装置(株式会社パーキンエルマージャパン製Spectrum400)を用い、ATR法(減衰全反射法)で行った。
【0025】
<プロトン核磁気共鳴スペクトル(
1H−NMR)>
脂環式ジオール化合物の
1H−NMRは、重クロロホルムに溶かした後、核磁気共鳴装置(Bruker社製DRX−500)を用い、
1H−NMR(500MHz)測定で行った。
【0026】
<カーボン核磁気共鳴スペクトル(
13C−NMR)>
脂環式ジオール化合物の
13C−NMRは、重クロロホルムに溶かした後、核磁気共鳴装置(Bruker社製DRX−500)を用い、
13C−NMR(125.8MHz)測定で行った。
【0027】
[実施例1]
500mLの電磁撹拌機付きオートクレーブに、1,1’−ビ−2−ナフトール45.0g(0.16mol)、5%Pd/Al
2O
33.00g及びエタノール105gを仕込み、撹拌しながら、水素圧力5MPa、反応温度130℃で5時間反応を行った。反応混合物を室温に冷却した後、触媒を濾過除去した。得られた濾液を常圧で室温から徐々に温度を上げてエタノールを留去し、その後、シリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン/ジエチルエーテル=2/1)にて精製し、純度99.6GC面積%の5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチルを得た。
【0028】
攪拌器、窒素吹込管、温度計及び冷却管を備えた300mlのガラス製反応器に、5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチルを40.0g(0.14mol)、トルエン10.0g(0.109mol)、エチレンカーボネート18.6g(0.211mol)及びトリフェニルホスフィン2.0g(0.008mol)を仕込み、115℃で11時間撹拌し、反応を完結した。反応終了後、反応粗物にトルエン、15質量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、85℃で1時間撹拌洗浄後、静置し、下層(水層)を分離した。同様に洗浄操作を2度行い、その後、さらに有機層を3回水洗した。得られた有機層を減圧留去し、粗5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−2,2’−ビス(2−ヒドロキシエチルオキシ)−1,1’−ビナフチルを得た。酢酸エチルを用いて得られた粗物を再結晶精製することにより、純度99.4GC面積%の5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−2,2’−ビス(2−ヒドロキシエチルオキシ)−1,1’−ビナフチルを得た。
【0029】
得られた5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒドロ−2,2’−ビス(2−ヒドロキシエチルオキシ)−1,1’−ビナフチルについて、IRスペクトル、
1H−NMRスペクトル及び
13C−NMRスペクトルを測定した。
図1〜3に示した。なお、
1H−NMRスペクトルの7.25ppm付近のピーク及び
13C−NMRスペクトルの77ppm付近のピークは溶媒の重クロロホルムに由来するピークである。
【0030】
IR(cm
-1):3393,2923,2855,1591,1474,1450,1255,1236,1076,1036,953,797
【0031】
1H−NMR(500MHz,ppm):1.70(m,8H),2.16(m,4H),2.32(s,2H),2.76(t,4H),3.61(m,2H),3.67(m,2H),3.93(m,2H),4.08(m,2H),6.79(d,2H),7.04(d,2H)
【0032】
13C−NMR(125.8MHz,ppm):23.0,23.1,27.3,29.3,61.2,70.8,111.4,126.7,128.9,130.9,136.8,152.9