【解決手段】(A)塩素剤、並びに、(B)炭素数6〜10のアルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩及び/又はそのアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイドの平均付加モル数は1〜10)を含有し、上記(A)の含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする発泡洗浄剤組成物。
(A)塩素剤、並びに、(B)炭素数6〜10のアルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩及び/又はそのアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイドの平均付加モル数は1〜10)を含有し、
前記(A)の含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする発泡洗浄剤組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では節水・省エネルギーの観点から、洗浄性及び除菌性を維持しつつ、起泡性及びすすぎ性に優れることが求められている。さらに、洗浄には硬度の高い水が使用されることがあるため、洗浄剤組成物には耐硬水性も求められている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載された洗浄剤組成物は、炭素数が12を超える長鎖脂肪酸を含んでいるため、希釈時の水又はすすぎ水由来の硬度成分と反応して不溶性の石鹸カスを形成してしまい、硬水に対応していない(耐硬水性が低い)という課題があった。例えば、特許文献1〜3に記載された洗浄剤組成物を定置洗浄(以下、CIPともいう)に使用すると、形成された石鹸カスによって洗浄対象の配管や洗浄剤供給管が詰まることがあった。
また、特許文献1〜3のような耐硬水性の低い洗浄剤組成物を硬度の高い水で希釈して使用すると、起泡性が低下してしまうという問題もあった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、耐硬水性、洗浄性、除菌性、起泡性及びすすぎ性に優れる発泡洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の発泡洗浄剤組成物は、(A)塩素剤、並びに、(B)炭素数6〜10のアルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩及び/又はそのアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイドの平均付加モル数は1〜10)を含有し、上記(A)の含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする。
上記(A)は洗浄性及び除菌性に優れる。一方、上記(B)は、高濃度では起泡性を発揮するため、洗浄剤組成物を均一な泡状で吹き付けることができる。また、低濃度では破泡性を発揮するため、すすぎ水によって薄められるすすぎ時には速やかに消泡される。この働きによって、起泡性とすすぎ性とを両立することができる。
従って、本発明の発泡洗浄剤組成物では、上記(B)の起泡性によって発泡洗浄剤組成物と洗浄対象物との接触時間が充分に確保されるため、上記(A)の洗浄性及び除菌性が充分に発揮されると考えられる。
また、炭素数が14以上の脂肪酸及び/又はその塩を含まないため、耐硬水性に優れる。
【0009】
本発明の発泡洗浄剤組成物では、さらに、(C)有機ホスホン酸、縮合リン酸及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
(C)有機ホスホン酸、縮合リン酸及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種を含有すると、耐硬水性を向上させることができる。
【0010】
本発明の発泡洗浄剤組成物では、上記(C)の含有量が0.1〜10重量%であることが好ましい。
上記(C)の含有量が0.1〜10重量%であると、発泡洗浄剤組成物の耐硬水性を向上させることができる。
(C)の含有量が0.1重量%未満の場合、耐硬水性の向上が充分でないことがある。一方、(C)の含有量が10重量%を超える場合、外観の濁りや沈殿を生じさせてしまうことがある。
【0011】
本発明の発泡洗浄剤組成物では、さらに、(D)アルカリ金属水酸化物を含み、100倍希釈時のpHが9.0以上であることが好ましい。
(D)アルカリ金属水酸化物を含み、100倍希釈時のpHが9.0以上であると、本発明の発泡洗浄剤組成物を希釈して使用する場合であっても、充分な洗浄性を発揮することができる。
【0012】
本発明の発泡洗浄剤組成物では、さらに、(E)炭素数6〜12の脂肪酸又はその塩を含み、上記(E)の含有量が0.1〜6重量%であることが好ましい。
(E)炭素数6〜12の脂肪酸又はその塩を含み、(E)の含有量が0.1〜6重量%であると、破泡性が向上する。さらには、発泡洗浄剤組成物の外観の透明性を向上させることができる。
【0013】
本発明の発泡洗浄剤組成物では、上記(B)の含有量が1〜20重量%であることが好ましい。
上記(B)の含有量が1〜20重量%であると、起泡性と破泡性を両立させやすくなる。
(B)の含有量が1重量%未満の場合、起泡性が充分でないことがある。一方、(B)の含有量が20重量%を超える場合、吐出性及び起泡性が低下したり、外観の濁りや沈殿を生じさせてしまうことがある。
【0014】
本発明の洗浄方法は、本発明の発泡洗浄剤組成物又はその希釈液を泡状にして洗浄対象物に接触させることを特徴とする。
本発明の発泡洗浄剤組成物は起泡性に優れるため、作業者の洗浄作業に係る負担を軽減したり、洗浄剤の使用量を低減することができる。さらに、本発明の発泡洗浄剤組成物はすすぎ性に優れるため、すすぎ水の使用量を低減させることができる。加えて、本発明の発泡洗浄剤組成物は高い耐硬水性を有しているため、希釈時の水やすすぎ水として井戸水等の硬度水を使用した場合であっても、配管や洗浄剤供給管の詰まり等を生じさせにくい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の発泡洗浄剤組成物は、耐硬水性、洗浄性、除菌性、起泡性及びすすぎ性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0017】
まず、本発明の発泡洗浄剤組成物について説明する。
本発明の発泡洗浄剤組成物は、(A)塩素剤、並びに、(B)炭素数6〜10のアルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩及び/又はそのアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイドの平均付加モル数は1〜10)を含有し、上記(A)の含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする。
【0018】
本発明の発泡洗浄剤組成物において、(A)は、塩素剤である。
塩素剤としては、塩素化イソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸、塩素化イソシアヌル酸ナトリウム、塩素化イソシアヌル酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸カルシウム等が挙げられる。
これらのなかでは、次亜塩素酸ナトリウム及び亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
塩素剤は、2種以上を併用してもよい。
【0019】
(A)の含有量は0.1〜10重量%であり、3〜6重量%であることが好ましい。
(A)の含有量が0.1重量%未満の場合、洗浄性及び除菌性が充分でないことがある。一方、(A)の含有量が10重量%を超える場合、(A)塩素剤の安定性を低下させてしまうことがある。
【0020】
本発明の発泡洗浄剤組成物において、(B)は、炭素数6〜10のアルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩及び/又はそのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する)付加物(AOの平均付加モル数は1〜10)である。
炭素数6〜10のアルキル基は、直鎖アルキル基であっても分岐アルキル基であってもよいが、分岐アルキル基であることが好ましい。
また、(B)を構成するアルキル基は、炭素鎖中に酸素原子を含んでいてもよい。
直鎖アルキル基としては、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、2−ブトキシエチル基等が挙げられる。
分岐アルキル基としては、2−エチルブチル基、2−エチルヘキシル基、2−エチルオクチル基等が挙げられる。
アルキレンオキサイド(AO)としては、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、ブチレンオキサイド(BO)等が挙げられ、2種以上が付加したものであってもよい。
アルキレンオキサイドの平均付加モル数としては、1〜5が好ましい。
【0021】
本発明の発泡洗浄剤組成物は、炭素数が12を超えるアルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩及び/又はそのAO付加物を含まないことが好ましい。
【0022】
本発明の発泡洗浄剤組成物において、(B)の含有量は特に限定されないが、1〜20重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましく、1〜7重量%であることがさらに好ましい。
上記(B)の含有量が1〜20重量%であると、起泡性と破泡性を両立させやすくなる。
(B)の含有量が1重量%未満の場合、起泡性が充分でないことがある。一方、(B)の含有量が20重量%を超える場合、吐出性及び起泡性が低下したり、外観の濁りや沈殿を生じさせてしまうことがある。
【0023】
本発明の発泡洗浄剤組成物においては、上記(A)及び(B)以外の成分を含んでいてもよい。
上記(A)及び(B)以外の成分としては、例えば、(C)有機ホスホン酸、縮合リン酸及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種、(D)アルカリ金属水酸化物、(E)炭素数6〜12の脂肪酸又はその塩、(F)界面活性剤及び(G)その他の成分が挙げられる。
【0024】
(C)は、有機ホスホン酸、縮合リン酸及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種である。
有機ホスホン酸及びその塩としては、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸及びその塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びその塩等が挙げられ、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸ナトリウム及び2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸カリウムが好ましい。
縮合リン酸及びその塩としては、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の発泡洗浄剤組成物が(C)を含むと、耐硬水性を向上させることができる。
【0025】
本発明の発泡洗浄剤組成物において、(C)の含有量は特に限定されないが、0.1〜10重量%であることが好ましい。
(C)の含有量が0.1重量%未満の場合、耐硬水性が充分でないことがある。一方、(C)の含有量が10重量%を超える場合、外観の濁りや沈殿を生じさせてしまうことがある。
【0026】
(D)は、アルカリ金属水酸化物である。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0027】
本発明の発泡洗浄剤組成物において、(D)アルカリ金属水酸化物の含有量は、特に限定されないが、100倍希釈時のpHが9.0以上となるような含有量が好ましい。
上記条件を満たすためには、例えば、発泡洗浄剤組成物を製造する際に(D)を0.1〜5重量%配合することが好ましい。
【0028】
(E)は、炭素数6〜12の脂肪酸又はその塩である。
炭素数6〜12の脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、カプリン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
炭素数6〜12の脂肪酸塩としては、カプロン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、オクチル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプロン酸カリウム、カプリル酸カリウム、オクチル酸カリウム、カプリン酸カリウム、ラウリンカリウム酸等が挙げられる。
炭素数6〜12の脂肪酸又はその塩は、2種以上を併用してもよい。
本発明の発泡洗浄剤組成物が(E)を含むと、破泡性を向上させることができる。
【0029】
本発明の発泡洗浄剤組成物において、(E)炭素数6〜12の脂肪酸又はその塩の含有量は特に限定されないが、0.1〜6重量%であることが好ましい。
(E)の含有量が0.1重量%未満の場合、外観が濁ったり、充分な破泡性が得られないことがある。一方、(E)の含有量が6重量%を超える場合、起泡性が低下してしまうことがある。
【0030】
(F)は、界面活性剤である。ただし、(B)として記載した炭素数6〜10のアルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩及びそのAO付加物、並びに、(E)として記載した炭素数6〜12の脂肪酸及びその塩は除く。
界面活性剤としては、両性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルアミンオキシド(オクチルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド等)等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、アルカンスルホン酸及びその塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩等が挙げられる。
アルキルアミンオキシドを構成するアルキル基の炭素数は14未満であることが好ましい。アルキルアミンオキシドを構成するアルキル基の炭素数が14以上であると、破泡性を低下させてしまうことがある。
【0031】
本発明の発泡洗浄剤組成物において、(F)の含有量は特に限定されないが、0.1〜5重量%であることが好ましい。
【0032】
本発明の発泡洗浄剤組成物は、上述した(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)の他に、(G)その他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、カルシウム塩、ケイ酸塩、キレート剤、分散剤、安定化剤等が挙げられる。
カルシウム塩及びケイ酸塩は、破泡性を向上させ、さらにアルミニウムに対する腐食性を抑制することができる。
カルシウム塩としては、塩化カルシウム、塩素酸カルシウム、硝酸カルシウム等が挙げられる。
ケイ酸塩としては、メタケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム等が挙げられる。
キレート剤としては、ニトリロ三酢酸及びその塩等が挙げられる。
分散剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
安定化剤としては、メタキシレンスルホン酸ナトリウム、メタキシレンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム及びパラトルエンスルホン酸カリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸カリウム等の芳香族スルホン酸塩等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
【0033】
本発明の発泡洗浄剤組成物のpHは特に限定されないが、100倍希釈液のpHが9.0以上であることが好ましい。また、塩素安定性を向上させる観点から、上記pHは10.0以上であることがより好ましく、11.0以上であることがさらに好ましい。
なお上記pHは100倍希釈液のpHを25℃で測定したものである。
【0034】
本発明の発泡洗浄剤組成物は、洗浄性、除菌性、起泡性及びすすぎ性に優れるため、例えば、厨房機器や食品工場等における発泡洗浄に適している。
本発明の発泡洗浄剤組成物は、例えば、原液〜100倍に希釈した希釈液を、ハンドスプレーガン、加圧式スプレーガン、コンプレッサー式フォーマー及び水道圧式(水流式ともいう)フォーマー等の発泡機器を用いて洗浄対象物に泡状に噴霧して用いてもよい。
また、本発明の発泡洗浄剤組成物およびその希釈液は耐硬水性が高くすすぎ性が良好であるため、食品製造ライン中のCIPにも適している。
【0035】
本発明の洗浄方法は、本発明の発泡洗浄剤組成物又はその希釈液を泡状にして洗浄対象物に接触させることを特徴とする。
本発明の発泡洗浄剤組成物は洗浄性、除菌性、起泡性及びすすぎ性に優れるため、本発明の洗浄方法ではすすぎ水の使用量を低減させることができる。さらに、本発明の発泡洗浄剤組成物は高い耐硬水性を有しているため、希釈時の水やすすぎ水として井戸水等の硬度水を使用した場合であっても、配管の詰まり等を生じさせにくい。
希釈液の希釈倍率は特に限定されないが、100倍以下であることが好ましい。
【実施例】
【0036】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
【0037】
(発泡洗浄剤組成物の調製)
表1に示す処方で各種原料を混合し、全量が100部となるように残余の水を添加することにより、実施例1〜12及び比較例1〜4に係る発泡洗浄剤組成物を得た。
得られた発泡洗浄剤組成物の特性を以下の方法により評価した。結果を表1に示す。
なお、表中の数値は、各原料の純分を示している。また、表中の各化合物の商品名及び製造元は以下の通りである。
(A−1):(株)大阪ソーダ製、「メックロン12%」(次亜塩素酸ナトリウム)
(B−1):泰光油脂化学工業(株)製、「タイポール2H」(2−エチルヘキサノール硫酸エステルナトリウム塩(アルキル基の炭素数8))
(B−2):泰光油脂化学工業(株)製、「タイポールBX−CONC」(ブチルセロソルブ硫酸エステルナトリウム塩(アルキル基の炭素数6))
(B−3):泰光油脂化学工業(株)製、「タイポール22HS」(2−エチルヘキサノール硫酸エステルナトリウム塩EO2モル付加物(アルキル基の炭素数8))
(B−4):Sigma−Aldrich社製、「Sodium Octyl Sulfate」(直鎖オクチル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数8))
(B−5):東京化成工業(株)製、「Sodium Dodecyl Sulfate」(直鎖デシル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数10))
(B’−1):新日本理化(株)製、「シノリン 90TK−T」(ラウリル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数12))
(C−1):キレスト(株)製、「キレスト−PH430」(ホスホノブタントリカルボン酸)
(D−1):旭硝子(株)製、「液体苛性カリ(48%)」(水酸化カリウム48%水溶液)
(E−1):ミヨシ油脂(株)製、「MCFA−8S」(カプリル酸(炭素数8の直鎖脂肪酸))
(E−2):協和発酵工業(株)製、「オクチル酸」(オクチル酸(炭素数8の分岐脂肪酸))
(E−3):日油(株)製、「NAA−122」(ラウリン酸(炭素数12の直鎖脂肪酸))
(E’−1):日油(株)製、「NAA−142」(ミリスチン酸(炭素数14の直鎖脂肪酸))
(F−1):クラリアントジャパン(株)製、「GENAMINOX OC」(オクチルジメチルアミンオキシド)
(F−2):クラリアントジャパン(株)製、「GENAMINOX K12」(ラウリルジメチルアミンオキシド)
(F−3):WeylChem Wiesbaden GmbH社製、「HOSTAPUR SAS93」(第2級アルカンスルホン酸塩(アルカンの炭素数は14〜17))
(G−1):(株)トクヤマ製、「粒状塩化カルシウム」(塩化カルシウム)
(G−2):日本化学工業(株)製、「Aケイ酸カリ」(1号ケイ酸カリウム)
【0038】
[外観評価(原液及び30倍希釈液)]
各発泡洗浄剤組成物の原液及び30倍希釈液を目視で確認して、外観に濁りや沈殿がないかどうかを確認した。
【0039】
[耐硬水性評価]
硬度300ppm及び100ppm(CaCl
2:MgCl
2=2:1、重量比)の人工硬度水で作製した3重量%希釈液を45℃で24時間保存し、保存後の希釈液の外観を観察した。
◎:100ppm及び300ppmの人工硬度水で希釈した場合に、いずれも沈殿や濁りが発生しない。
○:100ppmの人工硬度水で希釈した場合には沈殿や濁りが発生しないが、300ppmの人工硬度水で希釈した場合には、わずかに濁りが発生する。
×:100ppm及び300ppmの人工硬度水で希釈した場合に、いずれも沈殿や濁りが発生する。
【0040】
[洗浄性評価]
ステンレス板(6cm×6cm)に複合汚れ(大豆白絞油:牛脂:薄力粉=85:5:10)0.2gを塗り、10分間放置し、モデル汚れとした。
汚れの付いたステンレス板を所定濃度(3重量%)となるように希釈した洗浄液中に浸漬し、10分間浸漬後の汚れの落ち具合を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
○:ほとんどの汚れが除去されている。
×:わずかな汚れしか除去されていない。
【0041】
[除菌性評価]
除菌性の評価を以下の手順で行った。
菌株として、大腸菌(Escherichia coli)NBRC3972、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)NBRC12732を準備した。各菌株を普通ブイヨン培地で35℃、24時間振とう培養し、10
7〜10
9CFU/mLの試験菌液をそれぞれ調製した。次に、各実施例及び各比較例で調製した発泡洗浄剤組成物の30倍希釈液及び300倍希釈液を調製した。続いて、上記30倍希釈液及び300倍希釈液10mLに対してそれぞれ上記試験菌液0.1mLを加え、混合後、室温で30秒間作用させた。その後、混合液をSCDLP培地に1白金耳移植し、35℃、48時間培養後、菌の有無を判定した。評価基準は以下の通りである。
なお、30倍希釈液が大腸菌及び黄色ブドウ球菌の両方に対して除菌効果を有していれば、発泡洗浄剤組成物として充分な除菌性を有しているといえる。
◎:30倍希釈液及び300倍希釈液の両方で、大腸菌及び黄色ブドウ球菌の両方に対し、除菌効果がある。
○:30倍希釈液は、大腸菌及び黄色ブドウ球菌の両方に対し除菌効果があるが、300倍希釈液は、大腸菌及び/又は黄色ブドウ球菌に対し、除菌効果がない。
×:30倍希釈液、300倍希釈液のいずれも、大腸菌及び/又は黄色ブドウ球菌に対し、除菌効果がない。
【0042】
[吐出性及び起泡性評価]
コンプレッサー式泡噴霧器で、垂直に立てかけたステンレス板に試験液を噴霧した。
評価基準は以下の通りである。
◎:噴霧時に液が飛び散らず、かつ均一な泡状に噴霧されるため、吐出性及び起泡性が良好である。
○:噴霧時にわずかに液が飛び散るが、泡状に噴霧されるため、吐出性及び起泡性に問題はない。
×:噴霧時に液が飛び散る、もしくは噴霧できても泡状にならないため、吐出性及び/又は起泡性に問題がある。
試験条件:
試験液濃度 30倍希釈液
泡噴霧器 サニプランフォーマーN((株)ニイタカ製)
コンプレッサーエアー圧力 0.6MPa
【0043】
[すすぎ性(破泡性)評価]
水流式泡噴霧器でユークリート塗装された床面1m四方に15秒間噴霧した。5分間放置した後に、泡を50秒間すすぎ、10秒後の泡の残り具合を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
なお、比較例2に係る発泡洗浄剤組成物は泡状に吐出することができなかったため、すすぎ性を評価していない(表1では、[−]で示している)
◎:残留した泡が排水口上に全く残っていない。
○:残留した泡が排水口上にわずかに残っている。
×:残留した泡が排水口上からあふれている。
試験条件:
泡噴霧器 水流式フォーマー((株)ニイタカ製。取扱説明書に従い、洗浄剤吸い上げホースに付属の緑色チップを取り付けることにより洗浄剤(原液)と水道水が混ざり、30倍希釈液が泡状に吐出される)
試験液濃度 原液
水道圧 0.12MPa
吐出量 7.5L/分
【0044】
[塩素安定性評価]
各実施例及び各比較例で調製した発泡洗浄剤組成物1gに対して、ヨウ化カリウム水溶液(濃度約2重量%)50mL及び酢酸10mLを添加して充分に混合することにより混合液を作製した。次に、0.1Mのチオ硫酸ナトリウム水溶液で混合液を滴定し、褐色が消えて無色になった点を終点とした。その時のチオ硫酸ナトリウム水溶液の滴下量に基づき、次式(1)によって有効塩素濃度を算出した。
有効塩素濃度[%]=チオ硫酸ナトリウム水溶液の滴下量[mL]×0.3546/発泡洗浄剤組成物の量[g]・・・(1)
上記方法による有効塩素濃度の測定を、洗浄剤組成物の調製直後(0日)及び3日経過後にそれぞれ実施した。洗浄剤組成物は、45℃のインキュベータ内で所定日数保管した。評価基準は以下の通りである。
○:3日経過後の有効塩素濃度が50%以上である。
×:3日経過後の有効塩素濃度が50%未満である。
【0045】
【表1】
【0046】
表1の結果より、本発明の発泡洗浄剤組成物は、耐硬水性、洗浄性、除菌性、起泡性及びすすぎ性に優れることがわかる。
比較例1の結果より、炭素数が12以上のアルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩を含むと、耐硬水性及びすすぎ性が低下することがわかる。比較例2の結果より、(B)を含まないと吐出性及び起泡性が低下することがわかる。比較例3の結果より、(A)を含まないと洗浄性及び除菌性が低下することがわかる。比較例4の結果より、炭素数14以上の脂肪酸を含むと耐硬水性が低下することがわかる。
また、(C)を添加することによって耐硬水性が向上することが確認できた。さらに、100倍希釈時のpHを10.0以上とすることによって、塩素安定性が向上することが確認できた。