(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-157499(P2019-157499A)
(43)【公開日】2019年9月19日
(54)【発明の名称】杭打機
(51)【国際特許分類】
E02D 13/04 20060101AFI20190823BHJP
E02D 7/20 20060101ALN20190823BHJP
【FI】
E02D13/04
E02D7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-45584(P2018-45584)
(22)【出願日】2018年3月13日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売日:平成29年9月19日 販売した場所:株式会社ファンテック(日本)
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】吉仲 智彦
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 隆明
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050CB22
2D050EE04
2D050EE10
(57)【要約】
【課題】簡単な構造でありながら、鋼管杭の振れを効果的に抑えて鉛直性を向上させることができる振止部材を備えた杭打機を提供する。
【解決手段】振止部材26は、第1回動アーム43及び第2回動アーム44の回動端部に第1回動アーム及び第2回動アームの回動端同士を連結する第1連結部43d及び第2連結部44dが設けられ、第1回動アーム及び第2回動アームは、第1連結部及び第2連結部とを連結ピン45で連結して鋼管杭38を抱持した閉じ状態と、連結ピンを外して第1回動アーム及び第2回動アームを開いた開き状態との間で開閉可能に構成され、閉じ状態で、第1回動アーム及び第2回動アームの基部側における第1内側円弧状凹部43b及び第2内側円弧状凹部44b間に形成される開口部46を閉塞するスペーサ部材47を、第1回動アーム及び第2回動アーム間に着脱可能に設けた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラを備えた下部走行体及び該下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体からなるベースマシンの前部に立設したリーダに沿って作業装置を昇降可能に配置するとともに、前記リーダの下部に、前記作業装置によって回転駆動される鋼管杭の外周面を抱持する振止部材を配置した杭打機において、前記振止部材は、前記鋼管杭の外周面に当接可能な円弧状凹部を有し、前記リーダの下部に設けられた一対の回動軸を中心として水平方向に回動可能に取り付けられた一対の回動アームを備え、前記一対の回動アームの回動端部に前記一対の回動アームの回動端同士を連結する第1連結部及び第2連結部が設けられ、前記一対の回動アームは、前記第1連結部及び前記第2連結部とを連結ピンで連結して前記鋼管杭を抱持した閉じ状態と、前記連結ピンを外して前記一対の回動アームを開いた開き状態との間で開閉可能に構成され、前記閉じ状態で、前記一対の回動アームの基部側における前記円弧状凹部間に形成される開口部を閉塞するスペーサ部材を、前記一対の回動アーム間に着脱可能に設けたことを特徴とする杭打機。
【請求項2】
前記一対の回動アームは、前記スペーサ部材の両端が前記鋼管杭の軸方向に挿入されて水平方向に係合可能な係合凹部又は係合凸部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の杭打機。
【請求項3】
前記スペーサ部材は、前記鋼管杭の外周面に当接可能な円弧状凹部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の杭打機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打機に関し、詳しくは、リーダの下部前方に、作業装置に装着した鋼管杭を回転可能かつ軸方向に移動可能に支持する振止部材を備えた杭打機に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管杭を埋設する杭打機では、施工中の鋼管杭が傾斜したり芯ズレしたりしないように、リーダの下部に鋼管杭の振れ止めを図る振止部材が設けられている。この振止部材は、一般に、リーダの下部に固設されたブラケットに開閉可能に取り付けられた左右一対の回動アームで形成されており、両回動アームの先端部には、両先端部同士を連結する連結部がそれぞれ設けられ、アームを回動させて連結部同士を連結するとともに、該アームに備わる円弧状凹部で鋼管杭を抱持した状態とすることにより、鋼管杭を回転可能かつ軸方向に移動可能に支持した状態となる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−218538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、鋼管杭の継ぎ足しを行うために、振止部材を開いて上部旋回体をその場所のままで旋回させる操作が行われており、回動アームの形状は、鋼管杭を抱持した位置から回動アームを外側に回動させても、埋設した鋼管杭の杭頭と干渉しないように考慮されている。そのため、振止部材は、回動アームを閉じた状態で、円弧状凹部によって鋼管杭を平面視略C字状に、つまり開閉支点側の一部が開放された状態で包持することとなり、施工中に、埋設する鋼管杭が円弧状凹部のない方向に振れて鉛直性が低下するといった課題があった。
【0005】
そこで本発明は、簡単な構造でありながら、鋼管杭の振れを効果的に抑えて鉛直性を向上させることができる振止部材を備えた杭打機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の杭打機は、クローラを備えた下部走行体及び該下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体からなるベースマシンの前部に立設したリーダに沿って作業装置を昇降可能に配置するとともに、前記リーダの下部に、前記作業装置によって回転駆動される鋼管杭の外周面を抱持する振止部材を配置した杭打機において、前記振止部材は、前記鋼管杭の外周面に当接可能な円弧状凹部を有し、前記リーダの下部に設けられた一対の回動軸を中心として水平方向に回動可能に取り付けられた一対の回動アームを備え、前記一対の回動アームの回動端部に前記一対の回動アームの回動端同士を連結する第1連結部及び第2連結部が設けられ、前記一対の回動アームは、前記第1連結部及び前記第2連結部とを連結ピンで連結して前記鋼管杭を抱持した閉じ状態と、前記連結ピンを外して前記一対の回動アームを開いた開き状態との間で開閉可能に構成され、前記閉じ状態で、前記一対の回動アームの基部側における前記円弧状凹部間に形成される開口部を閉塞するスペーサ部材を、前記一対の回動アーム間に着脱可能に設けたことを特徴としている。
【0007】
また、前記一対の回動アームは、前記スペーサ部材の両端が前記鋼管杭の軸方向に挿入されて水平方向に係合可能な係合凹部又は係合凸部が設けられていることを特徴とし、前記スペーサ部材は、前記鋼管杭の外周面に当接可能な円弧状凹部を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、振止部材を閉じた状態で、両回動アーム相互間に介在して配置された着脱可能なスペーサ部材によって開口部が閉塞されているので、簡単な構造で鋼管杭の振れを効果的に抑えて鉛直性を向上させることができる。また、振止部材を開いた状態では、埋設した鋼管杭から両回動アームを充分に離間させておくことが可能となり、上部旋回体をその場所のままで旋回させたとしても、両回動アームが鋼管杭に接触することはなく、鋼管杭の継ぎ足しを効率よく行うことができる。
【0009】
さらに、両回動アームにスペーサ部材の両端部が鋼管杭の軸方向にそれぞれ挿入されて水平方向に係合可能な係合凹部又は係合凸部が設けられているので、スペーサ部材の着脱を簡単かつ迅速に行うことができる上に、鋼管杭が回転することに起因する振動によって係合部が解除されることもなく、鋼管杭の埋設を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一形態例を示す杭打機の側面図である。
【
図2】同じく、振止部材を閉じてスペーサ部材を装着した状態を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至
図5は、本発明の杭打機の一形態例を示す図である。この杭打機11は、
図1に示すように、クローラ12aを備えた下部走行体12と、該下部走行体12上に旋回可能に設けられた上部旋回体13とで構成されたベースマシン14と、上部旋回体13の前部に起伏可能に設けられたリーダ15と、該リーダ15を後方から支持するリーダ用の起伏シリンダ16とを備えている。また、上部旋回体13の前部には、リーダ15を起伏可能に支持するフロントブラケット17が設けられ、上部旋回体13の前部上方には、油圧配管を支持する配管支持部材18が設けられている。さらに、上部旋回体13の右側部には運転室19が、左側部にはエンジンや油圧ユニットを収納した機器室20がそれぞれ設けられている。
【0012】
リーダ15は、前記フロントブラケット17に設けられたベースマシン幅方向の支軸21に回動可能に取り付けられた下部リーダ22と、該下部リーダ22の上部に連結される中間リーダ23と、該中間リーダ23の上部に連結される上部リーダ24とに分割形成され、さらに、中間リーダ23は、中間第1部材23aと中間第2部材23bとに分割形成され、上部リーダ24は、上部第1部材24aと上部第2部材24bと上部第3部材24cとに分割形成されている。これらの各リーダ部材は、それぞれボルト・ナットを使用したフランジ部材によって着脱可能に連結されている。
【0013】
起伏シリンダ16のシリンダロッド16aの先端部と中間リーダ23とは、中間第2部材23bの後面に設けられたシリンダブラケット23cに接続ピンを介して回動可能に連結されている。また、上部リーダ24の上端部にはトップシーブブロック25が、下部リーダ22の下部前方には振止部材26がそれぞれ配置されており、リーダ15の前面には作業装置であるオーガ27が昇降可能に装着されるとともに、該オーガ27を昇降させるためのチェーン式の昇降装置28が設けられている。
【0014】
オーガ27は、リーダ15の両側に設けられた一対のガイドパイプ29をオーガ27の後部側に設けた左右一対の上部ガイドギブ30及び下部ガイドギブ31で把持した状態でリーダ15に沿って昇降するもので、オーガ27の上下には、下部リーダ22の下端部に設けられた駆動スプロケット32と、前記上部リーダ24の上端部に設けられた従動スプロケット33との間に架け渡された昇降チェーン34の両端がそれぞれ取り付けられている。チェーン式の昇降装置28は、駆動スプロケット32をオーガ昇降用油圧モータによって駆動し、該駆動スプロケット32と従動スプロケット33とに掛け回された昇降チェーン34を上下方向に移動させることにより、リーダ15に沿ってオーガ27を昇降させる。
【0015】
また、オーガ27は、ドライブロッド35を回転可能かつ軸方向に移動可能に挿通し、ドライブロッド35の凹溝部をオーガ27の下側に設けられたチャック装置36に係合させてドライブロッド35の軸方向の移動を規制するとともに、角軸部を出力機構37に係合させた状態で、出力機構37をオーガ駆動用油圧モータで駆動させることによってドライブロッド35を回転させる。この杭打機11を鋼管杭の埋設を目的として使用する場合には、施工部材として鋼管杭38が使用され、鋼管杭38の上端がドライブロッド35の下端に設けられたキャップロッド39を介して連結される。
【0016】
振止部材26は、
図2乃至
図4に示すように、リーダ15の下端部に設けられたブラケット40を介して取り付けられ、ブラケット40の両側部には、鉛直方向の第1回動軸41と第2回動軸42とが設けられるとともに、第1回動軸41には第1回動アーム43が回動可能に取り付けられ、第2回動軸42には第2回動アーム44が回動可能に取り付けられている。また、第1回動軸41と第2回動軸42とは、リーダ15の幅方向両側縁部前方に配置され、両回動軸41,42の間隔は、鋼管杭38の外径より大きくなっている。
【0017】
各回動アーム43,44は、前記第1回動軸41及び第2回動軸42にそれぞれ回動可能に連結される第1回動基部43a及び第2回動基部44aと、該回動基部43a,44aの先端側に形成され、鋼管杭38の外周面を包持する第1内側円弧状凹部43b及び第2内側円弧状凹部44bをそれぞれ内側に備えた第1杭抱持部43c及び第2杭抱持部44cと、該杭抱持部43c,44cの先端部、つまり各回動アーム43,44の回動端部に設けられ、両杭抱持部43c,44cの回動端同士を連結ピン45で連結して第1内側円弧状凹部43b及び第2内側円弧状凹部44bにより鋼管杭38を抱持した閉じ状態とする第1連結部43d及び第2連結部44dを備えている。
【0018】
第1回動アーム43における第1内側円弧状凹部43b及び第2回動アーム44における第2内側円弧状凹部44bの円弧開き角は、第1内側円弧状凹部43b及び第2内側円弧状凹部44bをリーダ幅方向における第1回動軸41及び第2回動軸42の外側にそれぞれ位置する角度に設定されており、第1回動アーム43及び第2回動アーム44の形状は、実質的に左右対称であって、第1回動アーム43及び第2回動アーム44を第1回動軸41及び第2回動軸42を中心としてそれぞれ回動させて両回動アーム43,44を
図2に想像線で示す開き状態としたときに、上部旋回体13をその場所のままで旋回させる操作が行われても、埋設した鋼管杭38の外周面に接触しない幅狭の平面視円弧板状に形成されている。
【0019】
また、第1連結部43d及び第2連結部44dを連結して各回動アーム43,44を閉じた状態にしたときの両連結部43d,44dの位置は、鋼管杭38の中心C1を挟んでブラケット40に対向する位置に配置されている。さらに、各回動アーム43,44を閉じた状態では、第1内側円弧状凹部43b及び第2内側円弧状凹部44bの一端43e,44eは互いに接近した状態になるが、第1内側円弧状凹部43b及び第2内側円弧状凹部44bの他端43f,44fは、各回動アーム43,44を開閉する際に鋼管杭38と干渉しないように互いに離間して開口部46が形成された状態になる。この開口部46は、両回動アーム43,44の第1回動基部43a及び第2回動基部44a相互間に介在して配置された着脱可能なスペーサ部材47によって閉塞されている。
【0020】
第1杭抱持部43cは、
図3及び
図4に示すように、前記第1内側円弧状凹部43bの外側に一定の間隔をあけて配置されるとともに第1回動基部43aに設けられた第1壁部43gに対応する曲面を有した第1外側円弧状凹部43hを備えており、この第1外側円弧状凹部43hと第1壁部43gとが近接した状態で、第1回動基部43aに複数のボルト48で螺着されている。また、第2杭抱持部44cは、前記第2内側円弧状凹部44bの外側に一定の間隔をあけて配置されるとともに第2回動基部44aに設けられた第2壁部44gに対応する曲面を有した第2外側円弧状凹部44hを備えており、この第2外側円弧状凹部44hと第2壁部44gとが近接した状態で、第2回動基部44aに複数のボルト48で螺着されている。さらに、第1杭抱持部43c及び第2杭抱持部44cの基端側上面には、スペーサ部材47の両端部が鋼管杭38の軸方向にそれぞれ挿入される第1係合凹部である第1切欠き部43i及び第2係合凹部である第2切欠き部44iが設けられている。
【0021】
スペーサ部材47は、
図5に示すように、鋼管杭38の外周面に当接可能な円弧状凹部である内側閉塞板47aと、該内側閉塞板47aの上部外側面及び下部外側面に互いの板面同士を対向し、かつ、内側閉塞板47aの両側に段差部47bを設けて配置された上側板47c及び下側板47dと、該上側板47c及び下側板47dに挟持されるとともに、内側閉塞板47aの外側に一定の間隔をあけて配置された円弧状の外側閉塞板47eとを組み合わせて溶接したものである。また、上側板47cの両側には、第1杭抱持部43c及び第2杭抱持部44cの上面に当接可能な張出部47f,47fが設けられている。さらに、張出部47fには、ボルト48の頭部を逃がすための丸孔47gが設けられ、外側閉塞板47eには、スペーサ部材47を装着する際に手指を掛けるための開口47hが設けられている。
【0022】
このように構成された杭打機11を使用して鋼管杭38の埋設を行う場合には、まず、
キャップロッド39に鋼管杭38の上端を連結させ、振止部材26の両回動アーム43,44を閉じるとともに、両杭抱持部43c,44cの回動端同士を連結ピン45で連結して両杭抱持部43c,44cにより鋼管杭38の下部を抱持する。次に、スペーサ部材47を開口部46の真上に位置させ、外側閉塞板47eの両板端部47i,47iを第1切欠き部43i及び第2切欠き部44iに鋼管杭38の軸方向にそれぞれ挿入してゆくと、両張出部47f,47fが第1杭抱持部43c及び第2杭抱持部44cの上面にそれぞれ当接して保持されるとともに、内側閉塞板47aによって第1内側円弧状凹部43bと第2内側円弧状凹部44bとの間の開口部46が閉塞される。
【0023】
これにより、外側閉塞板47eの両板端部47i,47iが第1切欠き部43i及び第2切欠き部44iに水平方向にそれぞれ係合するとともに、段差部47bが第1内側円弧状凹部43bの他端43f及び第2内側円弧状凹部44bの他端44fに水平方向にそれぞれ係合することにより、鋼管杭38に対して近づく方向や周方向への移動が規制される。また、鋼管杭38の外周面が内側閉塞板47aに押し付けられた場合には、両板端部47i,47iが第1外側円弧状凹部43h及び第2外側円弧状凹部44hにそれぞれ当接することにより、スペーサ部材47の外方向への移動が規制される。この状態で、オーガ27の回転操作及び昇降操作を行って鋼管杭38を地盤に埋設してゆく。また、複数の鋼管杭38を継ぎ足す場合には、埋設した鋼管杭38の上端とキャップロッド39とを分離させ、上述の逆の手順で振止部材26を開き状態にするとともに、上部旋回体13をその場所のままで旋回させる操作を行い、用意した継ぎ足す鋼管杭38の上端をキャップロッド39に連結することによって段取りが進められる。
【0024】
このように、振止部材26を閉じた状態で、両回動アーム43,44の第1回動基部43a及び第2回動基部44a相互間に介在して配置された着脱可能なスペーサ部材47によって開口部46が閉塞されているので、簡単な構造で鋼管杭38の振れを効果的に抑えて鉛直性を向上させることができる。また、振止部材26を開いた状態では、埋設した鋼管杭38から両回動アーム43,44を充分に離間させておくことが可能となり、上部旋回体13をその場所のままで旋回させたとしても、両回動アーム43,44が鋼管杭38に接触することはなく、鋼管杭38の継ぎ足しを効率よく行うことができる。
【0025】
さらに、第1杭抱持部43c及び第2杭抱持部44cの基端側上面にスペーサ部材47における外側閉塞板47eの両板端部47i,47iが鋼管杭38の軸方向にそれぞれ挿入されて水平方向に係合可能な第1切欠き部43i及び第2切欠き部44iが設けられているので、スペーサ部材47の着脱を簡単かつ迅速に行うことができる上に、鋼管杭38が回転することに起因する振動によって係合部が解除されることもなく、鋼管杭38の埋設を安定して行うことができる。
【0026】
また、スペーサ部材47が鋼管杭38の外周面に当接可能な円弧状の内側閉塞板47aを備えているので、第1内側円弧状凹部43bと第2内側円弧状凹部44bと内側閉塞板47aとで円筒形状を構成して鋼管杭38の外周面を均一に抱持することが可能となり、鋼管杭38の振れをより効果的に抑えることができる。
【0027】
なお、本実施例では、両回動アームに設けられた係合凹部にスペーサ部材の両端部が抜き差し可能な差込構造としたが、両回動アームに設けられた係合凸部に、スペーサ部材の両端部にそれぞれ設けられた係合凹部が抜き差し可能な差込構造としてもよく、鋼管杭の寸法や形状に応じてスペーサ部材の形状や取り付け位置を適宜に変更することができる。
【符号の説明】
【0028】
11…杭打機、12…下部走行体、12a…クローラ、13…上部旋回体、14…ベースマシン、15…リーダ、16…起伏シリンダ、16a…シリンダロッド、17…フロントブラケット、18…配管支持部材、19…運転室、20…機器室、21…支軸、22…下部リーダ、23…中間リーダ、23a…中間第1部材、23b…中間第2部材、23c…シリンダブラケット、24…上部リーダ、24a…上部第1部材、24b…上部第2部材、24c…上部第3部材、25…トップシーブブロック、26…振止部材、27…オーガ、28…昇降装置、29…ガイドパイプ、30…上部ガイドギブ、31…下部ガイドギブ、32…駆動スプロケット、33…従動スプロケット、34…昇降チェーン、35…ドライブロッド、36…チャック装置、37…出力機構、38…鋼管杭、39…キャップロッド、40…ブラケット、41…第1回動軸、42…第2回動軸、43…第1回動アーム、43a…第1回動基部、43b…第1内側円弧状凹部、43c…第1杭抱持部、43d…第1連結部、43e…一端、43f…他端、43g…第1壁部、43h…第1外側円弧状凹部、43i…第1切欠き部、44…第2回動アーム、44a…第2回動基部、44b…第2内側円弧状凹部、44c…第2杭抱持部、44d…第2連結部、44e…一端、44f…他端、44g…第2壁部、44h…第2外側円弧状凹部、44i…第2切欠き部、45…連結ピン、46…開口部、47…スペーサ部材、47a…内側閉塞板、47b…段差部、47c…上側板、47d…下側板、47e…外側閉塞板、47f…張出部、47g…丸孔、47h…開口、47i…板端部、48…ボルト