【解決手段】検査装置45は、容器フィルム3のポケット部2に収容された錠剤に対し近赤外光を照射可能な照明装置52と、該錠剤から反射される反射光を分光し撮像可能な撮像装置53とを備え、該撮像装置53により取得された分光画像データを基に、該錠剤について、分光分析を利用した異品種混入検査を行うよう構成されている。検査装置45は、検査を行う前段階において、照明装置52から所定の外乱要因に対し照射され生じる外乱光に起因した良品錠剤に係るスペクトルデータ又はこれに近似するスペクトルデータを外乱データとして把握する。そして、検査を行うにあたり、被検査錠剤を撮像し得られるスペクトルデータを、前記外乱データを基に補正する。
容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が収容され、該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTP包装機であって、
帯状に搬送される前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が収容された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状体から前記PTPシートを切離す切離手段と、
請求項1乃至4のいずれかに記載の検査装置とを備えたことを特徴とするPTP包装機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図21に示すように、PTPシート80(容器フィルム81)のポケット部82に収容された内容物83に対し照射される照射光L0には、光源からポケット部82を透過して内容物83に対し直接照射される主照射光L1の他に、外乱要因となるカバーフィルム84等に反射した後、ポケット部82内面に反射して内容物83の表面に照射される外乱光L2や、導光板のように機能するポケット部82(容器フィルム81)を通って内容物83の表面に照射される外乱光L3なども含まれる。
【0008】
カバーフィルム84等の外乱要因に反射することなく、内容物83に対し直接照射される主照射光L1と、カバーフィルム84等の外乱要因に一旦反射した後、内容物83に照射される外乱光L2,L3とでは、その光量や波長特性が異なる。
【0009】
例えば内容物83に対し直接照射される主照射光L1は、各PTPシート80及び各ポケット部82において、光量のばらつきも小さく安定し、各波長帯域のスペクトル強度が比較的均一な波長特性となる〔
図22(a)参照〕。
【0010】
これに対し、外乱光L2,L3は、カバーフィルム84等の外乱要因からの反射量や、各ポケット部82の形状や厚みの誤差等に起因して、その光量や波長特性が各PTPシート80及び各ポケット部82ごとに大きくばらつく〔
図22(b)参照〕。このため、主照射光L1及び外乱光L2,L3が合成されてなる照射光L0の光量や波長特性も各PTPシート80及び各ポケット部82ごとにばらつくこととなる〔
図22(c)参照〕。
【0011】
このように各PTPシート80及び各ポケット部82ごとに異なる照射光L0が内容物83に照射された場合、たとえ同一の内容物83であっても、各内容物83を撮像し得られる分光分析結果(スペクトルデータ)はばらつくこととなる。
【0012】
結果として、PTPシート80(容器フィルム81)のポケット部82に内容物83が収容された状態では、該内容物83の判定が困難となり、検査精度が低下するおそれがある。
【0013】
尚、特許文献1のように、内容物を重力に従ってポケット部の一部に接する位置に移動させ、ポケット部の一部に内容物が接している当接面側から、ポケット部を介して内容物に近赤外光を照射する構成であっても、上記外乱光L3のように、ポケット部(容器フィルム)の中をあたかも導光板の中を通るように通過した光が、内容物のポケット部との当接面側へ照射され、上記同様の不具合が生じ得る。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、分光分析を利用した検査に係る検査精度の低下抑制を図ることのできる検査装置、PTP包装機及び検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0016】
手段1.所定の対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、前記対象物に係るスペクトルデータを取得可能なスペクトルデータ取得手段と、
前記スペクトルデータを基に、所定の分析処理(例えば主成分分析)を実行可能な分析手段とを備え、
容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物(例えば錠剤)が収容され、該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されてなるPTPシートの製造に際し、分光分析を利用して所定の検査(例えば異品種混入検査)を行う検査装置であって、
少なくとも前記検査を行う前段階において、前記照射手段から所定の外乱要因(例えばカバーフィルム等)に対し照射され生じる外乱光に起因した前記内容物に係るスペクトルデータ又はこれに近似するスペクトルデータを外乱データとして把握可能な外乱データ把握手段と、
前記検査を行うにあたり、前記ポケット部に収容された被検査内容物を撮像し得られるスペクトルデータ、又は、該スペクトルデータを判定する際に用いる判定値を、前記外乱データを基に補正する補正手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
【0017】
上記手段1によれば、分光分析を利用した異品種混入検査等を行うにあたり、被検査内容物を撮像し得られるスペクトルデータについて、外乱光の影響を概ね排除した状態で良否判定を行うことができる。
【0018】
結果として、容器フィルムのポケット部に内容物が収容された状態であっても、該内容物に係る安定した分光分析が可能となり、検査精度の低下抑制を図ることができる。
【0019】
手段2.前記外乱データ把握手段は、
前記ポケット部に収容された状態で撮像された複数の良品内容物に係るスペクトルデータを取得する処理と、
前記複数の良品内容物に係るスペクトルデータを基に、前記外乱光の影響がない又は小さい第1スペクトルデータを特定する処理と、
前記複数の良品内容物に係るスペクトルデータを基に、前記外乱光の影響がある又は大きい第2スペクトルデータを特定する処理と、
前記第1スペクトルデータと前記第2スペクトルデータとの差から前記外乱データを特定する処理とを実行可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0020】
上記手段2によれば、実際にポケット部に収容された内容物を撮像し得られたスペクトルデータを基に外乱データを特定している。このため、例えば実際には内容物に照射されないような外乱光に起因したスペクトルデータなど、必要以上に余分な情報が外乱データに含まれないため、検査精度の向上を図ることができる。
【0021】
尚、複数の良品内容物に係るスペクトルデータのうち、スペクトル強度が比較的大きいデータは、外乱光に起因したスペクトルデータが多く含まれる上記第2スペクトルデータであると推定できる。
【0022】
したがって、例えば複数の良品内容物に係るスペクトルデータの平均値を上記第1スペクトルデータとして特定すると共に、これを超えるデータを上記第2スペクトルデータとして特定することにより、これらのデータの差を上記外乱データとして特定することが可能となる。
【0023】
手段3.前記補正手段は、前記補正を行うにあたり、
前記外乱データに所定の係数を乗算する処理と、
前記被検査内容物を撮像し得られたスペクトルデータから、前記乗算して得られた値を減算する処理と、
前記減算して得られた値と、前記第1スペクトルデータとの差が最も小さくなる前記係数を補正係数として特定する処理と、
前記補正係数と前記外乱データとを基に、前記被検査内容物を撮像し得られたスペクトルデータを補正する処理とを実行可能に構成されていることを特徴とする手段2に記載の検査装置。
【0024】
上記手段3によれば、被検査内容物を撮像し得られたスペクトルデータに適した補正係数を特定して補正を行うため、検査精度の向上を図ることができる。
【0025】
手段4.前記照射手段は、前記ポケット部越しに前記内容物に対し近赤外光を照射可能な位置に配置され、
前記撮像手段は、前記ポケット部越しに前記内容物からの反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な位置に配置されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の検査装置。
【0026】
上記手段4に係る構成の下では、上記課題で述べたような不具合が発生しやすくなる。従って、上記手段4に係る構成において、上記手段1等の作用効果がより奏効することとなる。
【0027】
手段5.容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が収容され、該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTP包装機であって、
帯状に搬送される前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が収容された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状体(帯状のPTPフィルム)から前記PTPシートを切離す切離手段(シート単位に打抜く打抜手段を含む)と、
上記手段1乃至4のいずれかに記載の検査装置とを備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0028】
上記手段5のように、上記手段1等に係る検査装置をPTP包装機に備えることで、PTPシートの製造過程において異品種を含む不良品を精度よく除外できる等のメリットが生じる。また、PTP包装機は、上記検査装置によって不良と判定されたPTPシートを排出する排出手段を備える構成としてもよい。
【0029】
ここで、上記手段5において、上記検査装置を「充填手段によりポケット部に内容物が充填された後工程かつ取着手段によりカバーフィルムが取着される前工程」に配置した構成としてもよい。かかる場合、内容物を遮るものがない状態で検査を実行することができ、個々の内容物の検査精度の向上を図ることができる。
【0030】
尚、かかる場合であっても、例えば容器フィルムが遮光材料(例えばアルミニウムなどの金属材料や、不透明樹脂材料など)により形成されている場合には、ポケット部の内面で反射した光が外乱光となり、検査に影響を与えるおそれがある。
【0031】
一方、容器フィルムが透明樹脂材料等により形成されている場合であっても、その背景部分に存在する搬送機構などの外乱要因に反射した光が外乱光となり、検査に影響を与えるおそれがある。
【0032】
また、上記手段5において、上記検査装置を「取着手段によりカバーフィルムが取着された後工程かつ切離手段によりPTPシートが切離される前工程」に配置した構成としてもよい。かかる場合、内容物が入れ替わることがない状態で検査を実行することができ、検査精度の向上を図ることができる。また、かかる構成において、内容物がポケット部に接していない側から撮像し検査を行うようにしてもよい。
【0033】
また、上記手段5において、上記検査装置を「切離手段によりPTPシートが切離された後工程」に配置した構成としてもよい。かかる場合、不良品が混ざっていないかを最終段階で確認することができる。
【0034】
手段6.所定の対象物に対し近赤外光を照射可能な照射手段と、
前記近赤外光が照射された前記対象物から反射される反射光を分光可能な分光手段と、
前記分光手段にて分光された前記反射光に係る分光スペクトルを撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により取得された分光画像データを基に、前記対象物に係るスペクトルデータを取得可能なスペクトルデータ取得手段と、
前記スペクトルデータを基に、所定の分析処理(例えば主成分分析)を実行可能な分析手段とを備えた検査装置を用いて、
容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物(例えば錠剤)が収容され、該ポケット部を塞ぐようにカバーフィルムが取着されてなるPTPシートの製造に際し、分光分析を利用して所定の検査(例えば異品種混入検査)を行う検査方法であって、
少なくとも前記検査を行う前段階において、前記照射手段から所定の外乱要因(例えばカバーフィルム等)に対し照射され生じる外乱光に起因した前記内容物に係るスペクトルデータ又はこれに近似するスペクトルデータを外乱データとして把握可能な外乱データ把握工程と、
前記検査を行うにあたり、前記ポケット部に収容された被検査内容物を撮像し得られるスペクトルデータ、又は、該スペクトルデータを判定する際に用いる判定値を、前記外乱データを基に補正する補正工程とを備えたことを特徴とする検査方法。
【0035】
上記手段6によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まずPTPシートの構成について詳しく説明する。
【0038】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0039】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。
【0040】
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成されている。PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、内容物として錠剤5が1つずつ収容されている。
【0041】
PTPシート1〔
図1(a)参照〕は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6〔
図1(b)参照〕がシート状に打抜かれることにより製造される。
【0042】
次に、上記PTPシート1を製造するPTP包装機10の概略構成について
図3を参照して説明する。
【0043】
図3に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0044】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が成形される(ポケット部形成工程)。加熱装置15及びポケット部形成装置16によって、本実施形態におけるポケット部形成手段が構成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0045】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の撓みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0046】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21が配設されている。錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される(充填工程)。
【0047】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。
【0048】
ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24に案内され、加熱ロール25の方へと案内されている。加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。
【0049】
そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる(取着工程)。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状体としてのPTPフィルム6が製造されるようになっている。加熱ロール25の表面には、シール用の網目状の微細な凸条が形成されており、これが強く圧接することで、強固なシールが実現されるようになっている。フィルム受けロール20及び加熱ロール25により本実施形態における取着手段が構成される。
【0050】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の撓みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0051】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の撓みを防止する。
【0052】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。また、刻印装置34はPTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。
【0053】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜くシート打抜手段(切離手段)としての機能を有する。
【0054】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される(切離工程)。尚、ここで、PTPシート1は、その長手方向がコンベア幅方向(X方向)に沿うように、かつ、その短手方向がシート搬送方向(Y方向)に沿うように、ポケット部2を上にした状態でコンベア39上に載置され搬送される(
図5参照)。
【0055】
コンベア39の上方位置には、検査装置45が配置されている。検査装置45は、分光分析を利用して検査を行う分光分析装置であって、異品種の混入を検査するためのものである。
【0056】
尚、ここで検査装置45によって不良品と判定された場合、その不良品と判定されたPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない排出手段としての不良シート排出機構によって別途排出されることとなる。
【0057】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。なお、前記連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、前記不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41では、不要フィルム部42を所定寸法に裁断しスクラップ処理する機能を有する。このスクラップはスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0058】
なお、上記各ロール14,20,28,31,32などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、間欠送りロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が間欠送りロール14等の各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0059】
PTP包装機10の概略は以上のとおりであるが、以下、上記検査装置45の構成について図面を参照して詳しく説明する。
図4は検査装置45の電気的構成を示すブロック図であり、
図5は検査装置45の配置構成を模式的に示す斜視図である。
【0060】
図4,5に示すように、検査装置45は、照明装置52と、撮像装置53と、照明装置52や撮像装置53の駆動制御など検査装置45内における各種制御や画像処理、演算処理等を実施する制御処理装置54とを備えている。
【0061】
照明装置52は、近赤外光を照射可能に構成された公知のものであり、本実施形態における照射手段を構成する。照明装置52は、コンベア39上の所定領域へ向け斜め上方から近赤外光を照射可能に配置されている。
【0062】
本実施形態に係る照明装置52では、連続スペクトルを持つ近赤外光(例えば波長700〜2500nmの近赤外領域)を出射可能な光源としてハロゲンランプを採用している。この他、光源としては、重水素放電管、タングステンランプ、キセノンランプなどを用いることができる。
【0063】
図5に示すように、撮像装置53は、コンベア39の鉛直上方に配置されており、ここからコンベア39上のPTPシート1を撮像可能に構成されている。
【0064】
図6に示すように、撮像装置53は、光学レンズ61と、分光手段としての二次元分光器62と、撮像手段としてのカメラ63とを備えている。
【0065】
光学レンズ61は、図示しない複数のレンズ等により構成され、入射光を平行光化可能に構成されている。光学レンズ61は、その光軸が鉛直方向(Z方向)に沿って設定されている。
【0066】
また、光学レンズ61は、入射光を後述する二次元分光器62のスリット62aの位置に結像可能なように設定されている。尚、ここでは便宜上、光学レンズ61として両側テレセントリックレンズを採用した例を示すが、当然、像側テレセントリックレンズであってもよい。
【0067】
二次元分光器62は、スリット62aと、入射側レンズ62bと、分光部62cと、出射側レンズ62dとから構成されている。分光部62cは、入射側プリズム62caと、透過型回折格子62cbと、出射側プリズム62ccとから構成されている。
【0068】
かかる構成の下、スリット62aを通過した光は、入射側レンズ62bにより平行光化された後、分光部62cにより分光され、出射側レンズ62dによって後述するカメラ63の撮像素子65に二次元分光画像(分光スペクトル像)として結像される。
【0069】
スリット62aは、細長い略矩形状(線状)に開口形成され、その開口幅方向(短手方向)がシート搬送方向(Y方向)に沿って配設され、その長手方向がシート搬送方向と直交するコンベア幅方向(X方向)に沿って配設されている。これにより、二次元分光器62は、スリット62aの開口幅方向すなわちシート搬送方向(Y方向)に入射光を分光することとなる。つまり、シート搬送方向(Y方向)が本実施形態における波長分散方向となる。
【0070】
カメラ63は、複数の受光素子(受光部)64が行列状に二次元配列された受光面65aを有する撮像素子65を備えている。本実施形態では、撮像素子65として、近赤外領域のうち例えば波長1300〜2000nmの波長範囲に対して十分な感度を有した公知のCCDエリアセンサを採用している。
【0071】
CCDエリアセンサとしては、例えば行列状に2次元配置されかつ入射光をその光量に応じた電荷に変換して蓄積する光電変換素子(例えばフォトダイオード)からなる複数の受光素子と、該各受光素子に蓄積された電荷を垂直方向に順次転送する複数の垂直転送部と、該垂直転送部から転送される電荷を水平方向に順次転送する水平転送部と、該水平転送部から転送される電荷を電圧に変換し増幅して出力する出力アンプとを備えたものが一般に知られている。
【0072】
勿論、撮像素子は、これに限定されるものではなく、近赤外領域に感度を持つ他のセンサを採用してもよい。例えばCMOSセンサやMCT(HgCdTe)センサ等を採用してもよい。
【0073】
撮像装置53の視野領域(撮像領域)は、コンベア幅方向(X方向)に沿って延びる線状の領域であって、コンベア39の幅方向全域を含む領域となる(
図5の2点鎖線部参照)。一方、シート搬送方向(Y方向)における撮像装置53の視野領域は、スリット62aの開口幅に相当する領域となる。つまり、スリット62aを通過した光(スリット光)が撮像素子65の受光面65a上に像を結ぶ領域である。
【0074】
これにより、コンベア幅方向(X方向)の各位置で反射した反射光の分光スペクトルの各波長帯域(例えば10〜20nm帯域幅毎)を撮像素子65の各受光素子64がそれぞれ受光することとなる。そして、各受光素子64が受光した光の強度に応じた信号が、デジタル信号に変換された上でカメラ63から制御処理装置54に対し出力される。つまり、撮像素子65の受光面65a全体で撮像された1画面分の画像信号(分光画像データ)が制御処理装置54へ出力されることとなる。
【0075】
制御処理装置54は、検査装置45全体の制御を司るCPU及び入出力インターフェース71(以下、「CPU等71」という)、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される「入力手段」としての入力装置72、CRTや液晶などの表示画面を有する「表示手段」としての表示装置73、各種画像データ等を記憶するための画像データ記憶装置74、各種演算結果等を記憶するための演算結果記憶装置75、各種情報を予め記憶しておくための設定データ記憶装置76などを備えている。尚、これら各装置72〜76は、CPU等71に対し電気的に接続されている。
【0076】
CPU等71は、PTP包装機10と各種信号を送受信可能に接続されている。これにより、例えばPTP包装機10の不良シート排出機構などを制御することができる。
【0077】
画像データ記憶装置74は、撮像装置53により取得される分光画像データ、該分光画像データを基に取得されるスペクトル画像データ、二値化処理された後の二値化画像データなどを記憶するためのものである。
【0078】
演算結果記憶装置75は、検査結果データや、該検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。これらの検査結果データや統計データは、適宜表示装置73に表示させることができる。
【0079】
設定データ記憶装置76は、例えば主成分分析に用いるローディングベクトルや判定範囲、PTPシート1、ポケット部2及び錠剤5の形状及び寸法、後述するように検査開始前に予め生成した外乱基準テーブルなどを記憶するものである。
【0080】
次に検査装置45によって行われる異品種混入検査(検査工程)の手順について説明する。
【0081】
まず、検査装置45によってPTPシート1に係るスペクトルデータを取得する測定ルーチンについて、
図7のフローチャートを参照して説明する。尚、本ルーチンは、コンベア39によってPTPシート1が所定量搬送される毎に繰り返し実行される処理である。
【0082】
制御処理装置54は、まずステップS01において、コンベア39によって連続搬送されるPTPシート1に対し照明装置52から近赤外光を照射しつつ(照射工程)、撮像装置53による撮像処理(露光処理)を実行する。
【0083】
ここで、制御処理装置54は、コンベア39に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて撮像装置53を駆動制御し、該撮像装置53が撮像する分光画像データを画像データ記憶装置74に取り込む。
【0084】
これにより、照明装置52からPTPシート1に向け照射された近赤外光のうち、ステップS01の撮像処理の実行期間(露光期間)中において、搬送方向撮像範囲W(
図9参照)にて反射した反射光が撮像装置53に入射する。つまり、1回の撮像処理で搬送方向撮像範囲Wが撮像されることとなる。
【0085】
撮像装置53に入射した反射光は二次元分光器62により分光され(分光工程)、カメラ63の撮像素子65により分光画像(分光スペクトル)として撮像される(撮像工程)。尚、撮像処理の実行期間(露光期間)中、PTPシート1は連続搬送されているため、ここでは、搬送方向撮像範囲Wの平均化された分光スペクトルが撮像されることなる(
図8参照)。
【0086】
図8は、錠剤5上の所定位置にて反射した反射光の分光スペクトルL
Sが撮像素子65の受光面65aに投射された状態を示す模式図である。
図8においては、便宜上、錠剤5に係る分光スペクトルL
Sのみ図示し、カバーフィルム4など、その他の部位に係る分光スペクトルについては図示を省略している。
【0087】
撮像装置53により撮像された分光画像(分光スペクトル)データは、インターバル期間中に制御処理装置54へ出力され、画像データ記憶装置74に記憶される。尚、ここでいうインターバル期間とは、画像データの読出期間のことである。つまり、撮像装置53による撮像サイクルは、撮像処理の実行期間である露光期間と、インターバル期間の合計時間で表すことができる。
【0088】
制御処理装置54は、分光画像データが取得されると、ステップS02のデータ生成処理を開始する。
【0089】
データ生成処理では、ステップS01において取得した分光画像データを基にスペクトルデータを生成する。制御処理装置54は、スペクトルデータが生成されると、これを画像データ記憶装置74に記憶し、本ルーチンを一旦終了する。かかる工程が本実施形態におけるスペクトルデータ取得工程に相当し、これを実行する制御処理装置54の処理機能により、本実施形態におけるスペクトルデータ取得手段が構成されることとなる。
【0090】
そして、
図9に示すように、PTPシート1が所定量搬送される毎に、搬送方向撮像範囲Wが断続的に相対移動していき、上記測定ルーチンが繰り返されることにより、画像データ記憶装置74には、各搬送方向撮像範囲Wに対応するスペクトルデータがシート搬送方向(Y方向)及びコンベア幅方向(X方向)の位置情報と共に時系列に順次記憶されていく。これにより、画素毎にスペクトルデータを有した二次元的なスペクトル画像Qが生成されていくこととなる(
図10参照)。
【0091】
ここで、本実施形態におけるスペクトル画像Qについて説明する。
図10に示すように、スペクトル画像Qは、複数の画素Qaが二次元配列された画像データである。各画素Qaには、それぞれスペクトルデータ〔所定数n個(例えばn=100バンド)の波長帯域におけるスペクトル強度(輝度値)を示すデータ〕が含まれている。
【0092】
そして、1つ分のPTPシート1に相当する範囲(
図10の二点鎖線部参照)のスペクトル画像Qが取得されると、制御処理装置54は分析対象特定ルーチンを実行する。
【0093】
ここで、分析対象特定ルーチンについて
図11のフローチャートを参照して説明する。尚、本ルーチンは、1つ分のPTPシート1に相当する範囲のスペクトル画像Qが取得される毎に繰り返し行われるものである。
【0094】
制御処理装置54は、まずステップS11において錠剤画素抽出処理を実行する。本処理においては、スペクトル画像Qの各画素Qaのうち、分析対象となる錠剤5に対応する画素(以下、「錠剤画素」という)Qbを抽出する。
【0095】
本実施形態では、例えば各画素Qaのスペクトルデータ中の所定波長のスペクトル強度(輝度値)が予め定めた閾値以上であるか否かを判定し、スペクトル画像Qに対し二値化処理を行う。そして、得られた二値化画像データを基に錠剤画素Qbを抽出する(
図10,12参照)。
【0096】
図12に示すように、本実施形態では、カバーフィルム4などの背景部分を撮像したデータを含まない画素Qa、すなわち錠剤5の範囲のみを撮像したデータを含んだ画素Qaが錠剤画素Qbとして抽出される。
図12は、搬送方向撮像範囲Wとスペクトル画像Qとの関係を説明するための説明図である。
図10,12では、錠剤画素Qbとして抽出された画素を斜線で示している。
【0097】
尚、錠剤画素Qbの抽出方法は、これに限られるものではなく、他の方法を採用してもよい。例えば、各画素Qa毎にスペクトルデータ(各波長帯域のスペクトル強度)の積算値を算出し、かかる値が予め定めた閾値以上であるか否かを判定することにより、錠剤画素Qbを抽出する構成としてもよい。
【0098】
続いて、制御処理装置54は、ステップS12において錠剤領域特定処理を実行する。本処理によって、PTPシート1の各ポケット部2に収容された10個の錠剤5の領域を特定する。
【0099】
本実施形態では、例えば上記ステップS11で得られた錠剤画素Qbについてラベリング処理を行い、隣接する全ての錠剤画素Qbを同一の錠剤5に属する錠剤画素Qbの連結成分とみなす。
【0100】
これにより、1つの連結成分の範囲を所定のポケット部2内に収容された1つの錠剤5に係る錠剤領域として特定することができる(
図10,12参照)。
図10,12では、各錠剤5に属する複数の錠剤画素Qbの連結成分(錠剤領域)をそれぞれ太枠により囲んでいる。
【0101】
尚、錠剤5の領域特定方法は、これに限られるものではなく、他の方法を採用してもよい。例えば特定の画素を中心とした所定の範囲に含まれる画素を該特定の画素と同一の錠剤5に属する画素と判断するようにしてもよい。
【0102】
続いて、制御処理装置54は、ステップS13において平均スペクトル算出処理を実行する。本処理では、上記ステップS12において特定された各錠剤5の錠剤領域それぞれについて、そこに含まれる複数の錠剤画素Qbのスペクトルデータを用いて、該錠剤5に係る平均スペクトルデータを算出する。
【0103】
本実施形態では、1つの錠剤5の錠剤領域に属する複数の錠剤画素Qb全てのスペクトルデータを平均化し、これを該錠剤5に係る平均スペクトルデータとして算出する。これに限らず、1つの錠剤5の錠剤領域に属する複数の錠剤画素Qbのうちの一部を抽出し、該錠剤画素Qbのスペクトルデータを用いて、該錠剤5に係る平均スペクトルデータを算出する構成としてもよい。
【0104】
このように、1枚のPTPシート1の各ポケット部2に収容された10個の錠剤5それぞれに係る平均スペクトルデータ(以下、「スペクトル測定データ」という)が算出されると、制御処理装置54は、これらを該PTPシート1に係る測定データとして演算結果記憶装置75に記憶し、本ルーチンを一旦終了する。
【0105】
次に、PTPシート1の製造開始前(異品種混入検査の開始前)に行われる外乱基準テーブル生成ルーチンについて、
図13のフローチャートを参照して説明する。
【0106】
尚、本ルーチンは、異品種混入検査において取得される上記測定データ(1枚のPTPシート1の各ポケット部2に収容された10個の錠剤5それぞれのスペクトル測定データ)を補正するための外乱基準テーブルを予め設定しておくための処理である。
【0107】
従って、本ルーチンが本実施形態における外乱データ把握工程に相当し、本ルーチンを実行する制御処理装置54の機能により、主として外乱データ把握手段が構成されることとなる。
【0108】
制御処理装置54は、まずステップS21において良品データ取得処理を実行する。本処理においては、予め用意した所定数m個(例えばm=200個)の良品のPTPシート1に対し、上記測定ルーチン及び分析対象特定ルーチンを実行し、前記m個の良品のPTPシート1に係る測定データを取得して、これらを演算結果記憶装置75に記憶する。
【0109】
その後、ステップS22において、制御処理装置54は、演算結果記憶装置75に設定されたポケット番号カウンタの値Pに初期値である「1」を設定する。
【0110】
尚、「ポケット番号」とは、1枚のPTPシート1上の10個のポケット部2にそれぞれ対応して設定された通し番号であり、前記ポケット番号カウンタの値P(以下、単に「ポケット番号P」という)によりポケット部2の位置を特定することができる(
図10参照)。
【0111】
図10に示す例では、例えば左側列の最上部のポケット部2がポケット番号[1]に対応するポケット部2として設定され、右側列の最下部のポケット部2がポケット番号[10]に対応するポケット部2として設定されている。
【0112】
次に、制御処理装置54は、ステップS23において測定基準テーブル生成処理を実行する。本処理においては、まず上記ステップS21において取得したm個の良品のPTPシート1に係る測定データそれぞれから、現在のポケット番号P(例えばP=1)に対応するポケット部2に収容された良品内容物としての錠剤5のスペクトル測定データを抽出する。
【0113】
続いて、抽出されたm個の錠剤5のスペクトル測定データ(測定番号j=1〜m)を基に、各波長帯域(バンド番号i=1〜n)ごとのスペクトル強度V(i,j)の平均値である平均スペクトル強度B(i)を算出すると共に、全波長帯域の平均スペクトル強度B(i)の平均値である平均値Baveを算出する(
図16参照)。
【0114】
ここで、測定番号j(1≦j≦m、jは自然数)は、上記ステップS21において取得した所定数m個(例えばm=200個)の良品のPTPシート1に係る測定データに付された通し番号である。
【0115】
また、バンド番号i(1≦i≦n、iは自然数)は、スペクトル測定データに含まれる所定数n個(例えばn=100バンド)の波長帯域に付された通し番号である。
【0116】
尚、
図16では、測定番号[1]〜[5]の測定データにおける、バンド番号[1]〜[3]の波長帯域に係るスペクトル強度V(i,j)を抜粋して例示すると共に、これらを用いて算出した平均スペクトル強度B(i)及びこれらの平均値Baveを例示している。
【0117】
そして、制御処理装置54は、上記のように算出した各波長帯域ごとの平均スペクトル強度B(i)を測定基準テーブルとして演算結果記憶装置75に記憶すると共に、これらの平均値である平均値Baveを測定基準テーブル全体の平均値として演算結果記憶装置75に記憶する。
【0118】
ここで、「測定基準テーブル(各波長帯域の平均スペクトル強度B)」が本実施形態における「外乱光の影響が小さい第1スペクトルデータ」に相当する。
【0119】
次に、制御処理装置54は、ステップS24において外乱テーブル生成処理を実行する。本処理においては、まず上記ステップS21において取得したm個の良品のPTPシート1に係る測定データそれぞれから、現在のポケット番号P(例えばP=1)に対応するポケット部2に収容された錠剤5のスペクトル測定データを抽出する。
【0120】
続いて、制御処理装置54は、抽出されたm個の錠剤5のスペクトル測定データ(測定番号j=1〜m)を基に、各測定データごとに、全波長帯域(バンド番号i=1〜n)のスペクトル強度V(i,j)の平均値である平均スペクトル強度Vave(j)を算出する(
図16参照)。
【0121】
図16に示す抜粋例では、測定番号[1]〜[5]の測定データそれぞれについて、バンド番号[1]〜[3]の波長帯域に係るスペクトル強度V(i,j)の平均値である平均スペクトル強度Vave(1)〜Vave(5)が示されている。
【0122】
次に、制御処理装置54は、Vave(j)>Baveの関係式を満たす測定データ、すなわち平均スペクトル強度Vave(j)が平均スペクトル強度B(i)の平均値Baveを超える測定データを抽出する。
【0123】
ここで、平均スペクトル強度Vave(j)が平均スペクトル強度B(i)の平均値Baveを超える測定データが本実施形態における「外乱光の影響が大きい第2スペクトルデータ」に相当する。
【0124】
例えば、
図16に示す抜粋例では、測定番号[1],[3]の測定データに係る平均スペクトル強度Vave(1),Vave(3)の値がそれぞれ「200」であり、平均値Baveの「280」を下回っている。従って、かかる例では、
図17に示すように、測定番号[2],[4],[5]の測定データが抽出されることとなる。
【0125】
続いて、制御処理装置54は、上記のように抽出した測定データを基に、各波長帯域ごとに、スペクトル強度V(i,j)と平均スペクトル強度B(i)との差分V´(i,j)を算出すると共に、これらの平均値である平均差分D(i)を算出する(
図18参照)。
【0126】
これら平均差分D(i)は、照明装置52からカバーフィルム4などの所定の外乱要因に対し照射され生じる外乱光に起因したスペクトルデータに近似するスペクトルデータと考えることができる。
【0127】
従って、これら平均差分D(i)を、現在のポケット番号Pに対応するポケット部2の位置における外乱データD(i)とみなす。
【0128】
図18に示す抜粋例においては、例えば
図17に示した測定番号[2]の測定データに係るスペクトル強度V(1,2)と、バンド番号[1]の波長帯域の平均スペクトル強度B(1)との差分V´(1,2)として「20(=200−180)」が例示されている。
【0129】
同様に、測定番号[4]の測定データに係るスペクトル強度V(1,4)と、バンド番号[1]の波長帯域の平均スペクトル強度B(1)との差分V´(1,4)として「120(=300−180)」が例示され、測定番号[5]の測定データに係るスペクトル強度V(1,5)と、バンド番号[1]の波長帯域の平均スペクトル強度B(1)との差分V´(1,5)として「20(=200−180)」が例示されている。
【0130】
そして、
図18には、これらの平均値である、バンド番号[1]の波長帯域に係る平均差分D(1)として「53」が例示されている。
【0131】
続いて、制御処理装置54は、全波長帯域の平均差分D(i)の平均値である平均値Daveを算出する。その後、制御処理装置54は、各波長帯域の平均差分D(i)を平均値Daveで割り、正規化する(
図19参照)。そして、得られた各波長帯域の差分正規化値DS(i)を、現在のポケット番号Pに対応するポケット部2に係る外乱テーブルとして演算結果記憶装置75に記憶する。
【0132】
その後、制御処理装置54は、ステップS25において現在のポケット番号Pに1を加えた後、ステップS26へ移行し、新たに設定したポケット番号Pが1シートあたりのポケット数の最大値Max(本実施形態では「10」)を超えているか否かを判定する。
【0133】
ここで否定判定された場合には、再度、ステップS23へ戻り、上記一連の処理を実行する。一方、肯定判定された場合には、すべてのポケット部2に係る外乱テーブルを取得したとみなし、ステップS27へ移行する。
【0134】
ステップS27において、制御処理装置54は、外乱基準テーブル生成処理を実行する。本処理においては、ポケット番号[1]〜[10]すべてのポケット部2に係る外乱テーブルの各差分正規化値DS(i)を集計して、各波長帯域ごとに平均処理を行う(
図20参照)。
【0135】
これにより、バンド番号[1]〜[n]の各波長帯域の差分正規化値DS(i)の平均値が外乱基準データC(i)として算出される。尚、
図20では、バンド番号[1]〜[3]の波長帯域に係る差分正規化値DS(1)〜DS(3)及びこれらの平均値である外乱基準データC(1)〜C(3)を抜粋して例示している。
【0136】
そして、制御処理装置54は、バンド番号[1]〜[n]の各波長帯域の外乱基準データC(i)を外乱基準テーブルとして設定データ記憶装置76に記憶し、本ルーチンを終了する。
【0137】
次にPTPシート1の異品種混入検査に係る検査ルーチンについて
図14のフローチャートを参照して説明する。
【0138】
制御処理装置54は、まずステップS31において検査データ取得処理を実行する。本処理においては、検査対象となるPTPシート1に対し、上記測定ルーチン及び分析対象特定ルーチンを実行し、該PTPシート1に係る測定データを取得する。
【0139】
その後、制御処理装置54は、ステップS32において、ポケット番号Pに初期値である「1」を設定する。
【0140】
次に、制御処理装置54は、ステップS33において錠剤データ抽出処理を実行する。本処理においては、上記ステップS31において取得した検査対象のPTPシート1に係る測定データから、現在のポケット番号P(例えばP=1)に対応するポケット部2に収容された被検査内容物としての錠剤5のスペクトル測定データを抽出する。
【0141】
次に、制御処理装置54は、ステップS34において補正前処理を実行する。ここで、補正前処理の流れについて
図15のフローチャートを参照して詳しく説明する。
【0142】
まず制御処理装置54は、ステップS41において初期化処理を実行する。本処理においては、演算結果記憶装置75に後述する差分合計Fの最小値Fminの初期値を設定すると共に、演算係数Gの初期値を設定する。
【0143】
具体的には、差分合計Fの最小値Fminとして、該差分合計Fが取り得る最大値Fmaxを設定する。また、演算係数Gとして、該演算係数Gが取り得る最小値Gminを設定する。ここで、最小値Gminは、下記[数1]の関係式で表すことができる。
【0145】
次に制御処理装置54は、ステップS42において差分算出処理を実行する。本処理においては、下記[数2]に示す関係式を基に、外乱基準テーブルに設定された各波長帯域の外乱基準データC(i)に対し、現在設定されている演算係数Gを乗算した値をそれぞれ、上記ステップS33において取得した錠剤5のスペクトル測定データにおける各波長帯域(バンド番号i=1〜n)ごとのスペクトル強度V(i)から減算し、各波長帯域ごとの差分E(i)を算出する。
【0147】
次に制御処理装置54は、ステップS43において差分平均処理を実行する。本処理においては、下記[数3]に示す関係式を基に、上記ステップS42で算出した全波長帯域の差分E(i)の平均値である差分平均値Eaveを算出する。
【0150】
次に制御処理装置54は、ステップS44においてスケール合わせ処理を実行する。本処理においては、下記[数4]に示す関係式を基に、上記測定基準テーブル全体の平均値Baveを、上記ステップS43で算出した差分平均値Eaveで除算した値をそれぞれ、上記ステップS42で算出した各波長帯域ごとの差分E(i)に乗算することで、該差分E(i)をスケール合わせした差分E´(i)を算出する。
【0152】
次に制御処理装置54は、ステップS45において差分合計処理を実行する。本処理においては、下記[数5]に示す関係式を基に、各波長帯域ごとに、上記ステップS44で算出した各波長帯域ごとのスケール合わせ後の差分E´(i)と、上記測定基準テーブルの各波長帯域ごとの平均スペクトル強度B(i)との差分を、該平均スペクトル強度B(i)で割った値を二乗し、全波長帯域に係るこれらの値の合計を差分合計Fとして算出する。
【0154】
次に、制御処理装置54は、ステップS46において、上記ステップS45で算出した差分合計Fの値が、現在設定されている差分合計Fの最小値Fminよりも小さいか否かを判定する。ここで、否定判定された場合には、そのままステップS48へ移行する。
【0155】
一方、肯定判定された場合には、ステップS47へ移行し、演算結果記憶装置75に現在設定されている差分合計Fの最小値Fminを、上記ステップS45で算出した差分合計Fの値(新たな最小値Fmin)に置き換える処理を行う。併せて、演算結果記憶装置75に現在設定されている演算係数Gを補正係数Gaとして設定する処理を行う。その後、ステップS48へ移行する。
【0156】
そして、制御処理装置54は、ステップS48において、演算結果記憶装置75に現在設定されている演算係数Gに「1」を加算した後、ステップS49において、新たに設定した演算係数Gの値が、該演算係数Gが取り得る最大値Gmaxよりも大きいか否かを判定する。ここで、最大値Gmaxは、下記[数6]の関係式で表すことができる。
【0158】
ここで否定判定された場合には、再度、ステップS42へ戻り、上記一連の処理を実行する。一方、肯定判定された場合には、差分合計Fの最小値Fmin及び補正係数Gaが確定されたとみなし、補正前処理を終了する。
【0159】
図14のフローチャートに示す検査ルーチンの説明に戻り、制御処理装置54は、ステップS35において補正処理を実行する。
【0160】
かかるステップS35の補正処理、及び、ステップS34の補正前処理等により、本実施形態における補正工程が構成され、これらの処理を実行する制御処理装置54の機能により、主として本実施形態における補正手段が構成されることとなる。
【0161】
本処理においては、下記[数7]に示す関係式を基に、上記ステップS33において取得した錠剤5のスペクトル測定データにおける各波長帯域(バンド番号i=1〜n)ごとのスペクトル強度V(i)をそれぞれ補正し、該補正後の各波長帯域のスペクトル強度V´(i)を、該錠剤5のスペクトル補正データとして演算結果記憶装置75に記憶する。
【0163】
次に、制御処理装置54は、ステップS36において偏差算出処理を実行する。本処理においては、下記[数8]に示す関係式を基に偏差Rを算出し、演算結果記憶装置75に記憶する。
【0165】
その後、制御処理装置54は、ステップS37において現在のポケット番号Pに1を加えた後、ステップS38へ移行し、新たに設定したポケット番号Pが1シートあたりのポケット数の最大値Max(本実施形態では「10」)を超えているか否かを判定する。
【0166】
ここで否定判定された場合には、再度、ステップS33へ戻り、上記一連の処理を実行する。一方、肯定判定された場合には、すべてのポケット部2に係る錠剤5のスペクトル補正データが取得されたとみなし、ステップS39へ移行する。
【0167】
ステップS39において、制御処理装置54は判定処理を実行する。本処理においては、まず各錠剤5に係る分析処理を実行する。かかる処理が本実施形態における分析工程に相当し、かかる処理を実行する制御処理装置54の機能により、本実施形態における分析手段が構成されることとなる。
【0168】
例えば本実施形態では、予め取得したローディングベクトルを用いて、上記ステップS35で求めた錠剤5のスペクトル補正データに対し主成分分析(PCA)を行う。より詳しくは、前記ローディングベクトルと、錠剤5のスペクトル補正データとを演算することによって主成分得点を算出する。
【0169】
続いて、各錠剤5が良品(同品種)であるか、不良(異品種)であるか判定する。より詳しくは、上記主成分得点をPCA図にプロットし、該プロットされたデータが上記偏差R等を基に設定された良品範囲内にあれば良品(同品種)、良品範囲外なら不良(異品種)として判定する。
【0170】
そして、上記一連の処理を、PTPシート1上の全ての錠剤5についてそれぞれ実行し、ここで「不良」となる錠剤5が1つも存在しない場合には、該PTPシート1を良品と判定し、検査ルーチンを終了する。一方、「不良」となる錠剤5が1つでもある場合には、該PTPシート1を不良と判定し、検査ルーチンを終了する。そして、これらの検査結果は、表示装置73やPTP包装機10(不良シート排出機構を含む)に出力される。
【0171】
以上詳述したように、本実施形態によれば、分光分析を利用した異品種混入検査を行うにあたり、錠剤5を撮像し得られるスペクトルデータについて、外乱光の影響を概ね排除した状態で良否判定を行うことができる。
【0172】
結果として、容器フィルム3のポケット部2に錠剤5が収容された状態であっても、該錠剤5に係る安定した分光分析が可能となり、検査精度の低下抑制を図ることができる。
【0173】
特に本実施形態では、実際にポケット部2に収容された良品の錠剤5を撮像し得られたスペクトルデータを基に外乱データ(外乱光に起因したスペクトルデータ)を特定している。
【0174】
これにより、例えば実際には錠剤5に照射されないような外乱光に起因したスペクトルデータなど、必要以上に余分な情報が外乱データに含まれないため、検査精度の向上を図ることができる。
【0175】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0176】
(a)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えばカプセル剤やサプリメント、食品等であってもよい。また、錠剤には素錠や糖衣錠などの固形製剤が含まれる。
【0177】
(b)容器フィルム3やカバーフィルム4の材料は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。例えば容器フィルム3がアルミラミネートフィルムなど、アルミニウムを主材料とした金属材料により形成された構成としてもよい。
【0178】
尚、このように容器フィルム3が遮光材料(不透明材料)により形成されている場合には、後述するように容器フィルム3に対しカバーフィルム4が取着される前工程において、ポケット部2の開口側から錠剤5を照明及び撮像し検査を行うこととなる。
【0179】
容器フィルム3が遮光材料により形成されている場合であっても、ポケット部2の内面で反射した光が外乱光となり、検査に影響を与えるおそれがある。
【0180】
(c)PTPシート1におけるポケット部2の配列や個数に関しては、上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば3列12個のポケット部を有するタイプをはじめ、様々な配列、個数からなるPTPシートを採用することができる。
【0181】
(d)上記実施形態では、PTPフィルム6からPTPシート1が打抜かれた後工程において、コンベア39によって搬送されているPTPシート1のポケット部2(容器フィルム3)越しに検査装置45による異品種混入検査が行われる構成となっている。
【0182】
これに限らず、容器フィルム3に対しカバーフィルム4が取着された後工程かつPTPフィルム6からPTPシート1が打抜かれる前工程において、PTPフィルム6のポケット部2(容器フィルム3)越しに検査装置45による異品種混入検査が行われる構成としてもよい。
【0183】
かかる場合でも、上記実施形態と同様、錠剤5が入れ替わることがない状態で検査を実行することができ、検査精度の向上を図ることができる。
【0184】
(e)ポケット部2に錠剤5が充填された後工程かつ容器フィルム3に対しカバーフィルム4が取着される前工程において、検査装置45による異品種混入検査が行われる構成としてもよい。
【0185】
ここで、容器フィルム3が透明材料により形成されている場合には、ポケット部2(容器フィルム3)越しに錠剤5を照明及び撮像し検査を行う構成としてもよいし、ポケット部2の開口側から錠剤5を照明及び撮像し検査を行う構成としてもよい。
【0186】
ポケット部2の開口側から検査を行う方が、ポケット部2(容器フィルム3)を介さず、遮るものがない状態で直接、錠剤5を照明及び撮像することができるため、個々の錠剤5の検査精度に関しては向上する一方、錠剤5が入れ替わるおそれがあるため、全体として良品錯誤率や不良品錯誤率が増加するおそれがある。
【0187】
尚、カバーフィルム4が取着される前工程において、容器フィルム3が透明材料により形成されている場合には、その背景部分に存在する搬送機構など、カバーフィルム4とは異なる外乱要因に反射した光が外乱光となり、検査に影響を与えるおそれがある。
【0188】
(f)上記実施形態では、検査装置45がPTP包装機10内に設けられた構成(インライン)となっている。これに代えて、PTP包装機10とは別に、オフラインでPTPシート1を検査する装置として検査装置45を備えた構成としてもよい。かかる場合、PTPシート1を搬送可能な搬送手段を検査装置45に備えた構成としてもよい。
【0189】
尚、オフラインで検査を行う場合には、PTPシート1を連続搬送せず、停止した状態で検査を行う構成としてもよい。但し、PTPシート1、又は、PTPフィルム6若しくは容器フィルム3を連続搬送しつつ、インラインで検査を実行した方が生産性の向上を図る上では好ましい。
【0190】
近年、PTPシート1の製造分野などにおいては、生産速度の高速化に伴い、異品種混入検査など各種検査の高速化が求められている。例えばPTP包装機10上で検査を行う場合には、1秒当たり100個以上の錠剤5を検査することが求められる場合もある。
【0191】
(g)照明装置52及び撮像装置53の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば二次元分光器62に代えて、分光手段として反射型回折格子やプリズム等を採用した構成としてもよい。
【0192】
(h)上記実施形態では、スペクトルデータを主成分分析(PCA)により分析する構成となっているが、これに限らず、PLS回帰分析など、他の公知の方法を用いて分析する構成としてもよい。
【0193】
(i)外乱データ(外乱光に起因した錠剤5に係るスペクトルデータ又はこれに近似するスペクトルデータ)を把握する方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の方法を採用してもよい。
【0194】
上記実施形態では、実際にポケット部2に収容された良品の錠剤5を撮像し得られたスペクトルデータを基に外乱データを特定している。
【0195】
これに限らず、例えばポケット部2に錠剤5が収容されておらず、ポケット部2が空となったPTPシート1(又は、PTPフィルム6若しくは容器フィルム3)を撮像し、カバーフィルム4などの外乱要因に係るスペクトルデータを取得することにより、これを外乱データとして把握する構成としてもよい。
【0196】
又は、容器フィルム3に取着される前のカバーフィルム4そのものを撮像し、該カバーフィルム4に係るスペクトルデータを取得することにより、これを外乱データとして把握する構成としてもよい。
【0197】
(j)また、良品錠剤5を撮像し得られたスペクトルデータを基に外乱データを特定する方法に関しても、上記実施形態に限定されるものではなく、他の方法を採用してもよい。
【0198】
上記実施形態では、事前に取得した複数の良品錠剤5に係るスペクトルデータを基に、これらの平均である測定基準テーブル〔各波長帯域の平均スペクトル強度B(i)〕を求め、これを「外乱光の影響が小さい第1スペクトルデータ」として特定すると共に、これを超える測定データを「外乱光の影響が大きい第2スペクトルデータ」として特定し、これら第1及び第2スペクトルデータの差から外乱データを特定する構成となっている。
【0199】
これに限らず、例えば測定基準テーブル(第1スペクトルデータ)を超える測定データのうち、例えば上位50%の測定データを第2スペクトルデータとして抽出する構成としてもよい。
【0200】
また、事前に取得した複数の良品錠剤5に係るスペクトルデータのうち、下位30%の測定データの平均値を「外乱光の影響が小さい第1スペクトルデータ」として特定すると共に、上位30%の測定データの平均値を「外乱光の影響が大きい第2スペクトルデータ」として特定し、第1及び第2スペクトルデータの差から外乱データを特定する構成としてもよい。
【0201】
(k)補正工程(ステップS35の補正処理やステップS34の補正前処理)の内容は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0202】
例えば上記実施形態では、事前に把握した外乱データを基に、被検査錠剤5を撮像し得られるスペクトルデータを補正する構成となっている。これに限らず、外乱データを基に、被検査錠剤5に係るスペクトルデータを良否判定する際に用いる判定値(閾値)としての良品範囲を補正する構成としてもよい。