【解決手段】薄膜トランジスタ基板100は、対向基板200と平面視で重畳する重畳部と、端子部を含み対向基板200と平面視で重畳しない非重畳部と、を含む液晶表示装置1の製造方法であって、平面視で端子部の外周を囲む環状の第1のシール部材を形成する工程と、平面視で重畳部の外縁に沿って配置された環状の第2のシール部材を形成する工程と、平面視で第1のシール部材、第2のシール部材が形成された領域を含む全体領域の外縁をウェットエッチングして、第1の基板と第2の基板から全体領域を分離させる工程と、エッチング工程後に、第1の基板と第2の基板とを非重畳部の外縁に沿って分断する工程と、分断工程後に、重畳部と非重畳部との境界に沿って第2の基板を切断して、第2の基板から対向基板200を分離させる工程と、を含む。
薄膜トランジスタアレイを含む薄膜トランジスタ基板と、前記薄膜トランジスタ基板と対向する対向基板と、を含み、前記薄膜トランジスタ基板は、前記対向基板と平面視で重畳する重畳部と、端子部を含み前記対向基板と平面視で重畳しない非重畳部と、を含む、液晶表示装置の製造方法であって、
前記薄膜トランジスタ基板を含む第1の基板を準備する第1の基板準備工程と、
前記対向基板を含む第2の基板を準備する第2の基板準備工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間において、平面視で、前記端子部の外周を囲む、環状の第1のシール部材を形成する第1シール部材形成工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間において、平面視で、前記重畳部の外縁に沿って配置された、環状の第2のシール部材を形成する第2のシール部材形成工程と、
平面視で、前記第1のシール部材が形成された領域と、前記第2のシール部材が形成された領域と、を含む全体領域の外縁をウェットエッチングして、前記第1の基板と前記第2の基板から、前記全体領域を分離させるエッチング工程と、
前記エッチング工程後に、前記第1の基板と前記第2の基板とを前記非重畳部の外縁の一部に沿って分断する分断工程と、
前記分断工程後に、前記重畳部と前記非重畳部との境界に沿って前記第2の基板を切断して、前記第2の基板から前記対向基板を分離させる端子出し工程と、
を含む、液晶表示装置の製造方法。
前記対向基板は、前記重畳部と前記非重畳部の境界である第1の辺と平面視で重畳する第3の辺と、前記第3の辺と対向する第4の辺と、前記第4の辺と交差する第5の辺と、を含み、
前記レーザー光照射工程において、
前記第5の辺が、平面視で外方に湾曲するよう、前記レーザー光を照射する、
請求項7に記載の液晶表示装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
[液晶表示装置]
本開示の第1の実施形態における液晶表示装置について、図面を用いて以下に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る液晶表示装置1の概略構成を示す模式的な平面図であり、
図2は、
図1のII‐II線における断面構造を示す模式的な断面図である。
【0012】
液晶表示装置1は、表示パネル10と、駆動ドライバ(例えば、ソースドライバIC20、ゲートドライバIC30)と、制御回路(図示せず)と、バックライト装置(図示せず)とを含んで構成されている。表示パネル10は、薄膜トランジスタアレイを含む薄膜トランジスタ基板100と、薄膜トランジスタ基板100と対向する対向基板200と、両基板間に配置された液晶層300と、を含んでいる。薄膜トランジスタ基板100の第1の主面(表示面側)と、対向基板200の第2の主面(背面側)の間には、液晶層300の外周を囲うシール部材310が配置され、シール部材310が、薄膜トランジスタ基板100と対向基板200とを接着固定している。液晶層300は、薄膜トランジスタ基板100と対向基板200とシール部材310とにより囲まれて配置されており、液晶層300に含まれる液晶が、シール部材310の内周側に封入されている。
【0013】
薄膜トランジスタ基板100は、対向基板200と平面視で重畳する重畳部140と、対向基板200と平面視で重畳しない非重畳部160と、を含む。非重畳部160における第1の主面(表示面側)には、駆動ドライバ20、30と電気的に接続される端子部40が配置されている。本実施形態に係る液晶表示装置1では、非重畳部160が表示パネル10の一辺(
図1では左辺)側に配置されている。言い換えると、非重畳部160は、平面的に見て、対向基板200から行方向(第1方向)にはみ出している。薄膜トランジスタ基板100は、平面的に見て、非重畳部160の分だけ対向基板200より面積が大きくなっている。
【0014】
ソースドライバIC20及びゲートドライバIC30は、非重畳部160において薄膜トランジスタ基板100を構成するガラス基板上に直接搭載されている。すなわち、
図1では、COG(Chip On Glass)方式の液晶表示装置1を例示している。ソースドライバIC20及びゲートドライバIC30は、表示パネル10の一辺に沿って一列(
図1では列方向)に並んで配置されている。尚、本実施形態では、ソースドライバIC20及びゲートドライバIC30を1個ずつ示しているが、それぞれの数は限定されない。また、本開示に係る液晶表示装置1は、COG方式に限定されず、例えばCOF(Chip On Film)方式又はTCP(Tape Carrier Package)方式の液晶表示装置1であってもよい。
【0015】
図1に示すように、非重畳部160の形状は平面視で非矩形状となっており、本実施形態においては、平面視で台形となっている。より具体的には、非重畳部160の外形における重畳部140と隣接する第1の辺151が、台形の二つの底辺の内、長い方の底辺となっている。非重畳部160の外縁を構成し、第1の辺151に対向する第2の辺152は、台形の二つの底辺の内、短い方の底辺となっている。この第1の辺151、第2の辺152に加え、この第1の辺151と第2の辺152とを結ぶ第1の脚153、第2の脚154と、により、台形状の非重畳部160の外形が構成されている。本第1の実施形態では、非重畳部160の形状が非矩形状である。特に、その一辺が、それに隣接する他辺(本実施形態では、底辺)に対して、90度より小さい角度を有する特徴を有する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態における対向基板200は、第1の辺151と平面視で重畳する第3の辺253と、第3の辺253と対向する第4の辺254と、第4の辺254と交差する第5の辺255と、を含む。
【0017】
図3は、
図2のIII部を拡大する模式図であり、対向基板200における第3の辺253の断面263と、対向基板200の表示面とが交差する端部を示す。また、
図4は、
図2のIV部を拡大する模式図であり、対向基板200における第4の辺254の断面264と、対向基板200の表示面とが交差する端部を示す。
【0018】
図3に示すように、対向基板200における第3の辺253の断面263と、対向基板200の表示面とは、ほぼ直角に交差している。一方、
図4に示すように、対向基板200における第4の辺254の断面264と、対向基板200の表示面とが交差する端部は丸みを帯びた形状となっている。即ち、第3の辺253の断面263と対向基板200の表示面とが交差する端部の曲率と比べて、第4の辺254の断面264と対向基板200の表示面とが交差する端部の曲率は小さくなっている。
【0019】
図5は、
図1のV部を拡大する模式図であり、第4の辺254と第5の辺255とが交差する端部を示す。
図5に示すように、第4の辺254と第5の辺255とが交差する端部は丸みを帯びた形状となっている。
【0020】
なお、
図1に示す例においては、第5の辺255を直線で示しているが、
図18に示すように、第5の辺が、平面視で外方に湾曲する構成とすることが望ましい。同様に、第5の辺255と対向する第6の辺256についても、平面視で外方に湾曲する構成とすることが望ましい。
【0021】
このように、第5の辺255、第6の辺256の少なくとも一方を、平面視で外方に湾曲する構成とすることにより、例えば、
図6に示すように、側面方向から見て、液晶表示装置1を湾曲させる構成とするような場合において、応力が集中しやすい中央部分における対向基板200、薄膜トランジスタ基板100の割れの発生を抑制することができる。
【0022】
図6は、液晶表示装置1を電子機器に搭載させた例を示す模式的な側面図である。本実施形態においては、
図6に示すように、電子機器が、重畳部140と平面視で重畳する位置において、対向基板200の表示面側と薄膜トランジスタ基板100の背面側とを挟持する第1の保持部材401、第2の保持部材402を有する構成としている。
【0023】
薄膜トランジスタ基板100の形状を保持する第1の保持部材401の位置を重畳部140としている。これにより、側面方向から見て、非重畳部160における平均曲率は、重畳部140における最小曲率に比べて、小さい構成となっている。このような構成とすることにより、薄膜トランジスタ基板100において、重畳部140と比較して、マイクロクラックが残存する可能性が高い非重畳部160において、当該マイクロクラックに起因する表示パネル10の割れの発生を抑制することができる。なお、薄膜トランジスタ基板100において、非重畳部160が、重畳部140と比較してマイクロクラックが残存する可能性が高い理由については、液晶表示装置1の製造方法にて後述する。
【0024】
薄膜トランジスタ基板100の第2の主面(背面側)、及び対向基板200の第1の主面(表示面側)には偏光板(図示せず)が形成されており、薄膜トランジスタ基板100の背面側に設けられた偏光板のさらに背面側にはバックライト装置が配置されている。
【0025】
図7は、表示パネル10における表示領域の概略構成を示す等価回路図である。表示パネル10には、第1方向(例えば行方向)に延在する複数のデータ線11と、第2方向(例えば列方向)に延在する複数のゲート線12とが設けられている。各データ線11と各ゲート線12との各交差部には、薄膜トランジスタ13(以下、TFTという。)が設けられている。各データ線11は対応するソースドライバIC20(
図1参照)に電気的に接続されており、各ゲート線12は対応するゲートドライバIC30(
図1参照)に電気的に接続されている。
【0026】
表示パネル10には、各データ線11と各ゲート線12との各交差部に対応して、複数の画素14がマトリクス状(行方向及び列方向)に配置されている。TFT基板100には、画素14ごとに配置される複数の画素電極15と、複数の画素14に共通する共通電極16と、が設けられている。
【0027】
各データ線11には、対応するソースドライバIC20からデータ信号(データ電圧)が供給される。各ゲート線12には、対応するゲートドライバIC30からゲート信号(ゲートオン電圧、ゲートオフ電圧)が供給される。共通電極16には、コモンドライバ(図示せず)から共通配線17を介して共通電圧Vcomが供給される。ゲート信号のオン電圧(ゲートオン電圧)がゲート線12に供給されると、ゲート線12に接続されたTFT13がオンし、TFT13に接続されたデータ線11を介して、データ電圧が画素電極15に供給される。画素電極15に供給されたデータ電圧と、共通電極16に供給された共通電圧Vcomとの差により電界が生じる。この電界により液晶を駆動してバックライトの光の透過率を制御することによって画像表示を行う。なお、カラー表示を行う場合は、ストライプ状のカラーフィルタで形成された赤色、緑色、青色に対応するそれぞれの画素14の画素電極15に接続されたそれぞれのデータ線11に、所望のデータ電圧を供給することにより実現される。
【0028】
図8は、表示パネル10の画素14の具体的な構成を示す平面図である。
図9は
図8のC−C断面図であり、
図10は
図8のD−D断面図である。
図8〜
図10を参照しつつ、画素14の具体的な構成について説明する。
【0029】
図8において、表示パネル10を平面的に見て、隣り合う2本のデータ線11と、隣り合う2本のゲート線12とで区画された領域が1つの画素14に相当する。各画素14には、TFT13が設けられている。TFT13は、絶縁膜102(
図9及び
図10参照)上に形成された半導体層21と、半導体層21上に形成されたドレイン電極22及びソース電極23とを含んで構成されている。ドレイン電極22はデータ線11に電気的に接続されており、ソース電極23はスルーホール24を介して画素電極15に電気的に接続されている。
【0030】
各画素14には、ITO等の透明導電材料からなる画素電極15が形成されている。画素電極15は、複数の開口部(スリット)を有しており、ストライプ状に形成されている。開口部の形状は限定されない。各画素14に共通して、表示領域の全体にITO等の透明導電材料からなる1つの共通電極16が形成されている。共通電極16における、スルーホール24及びTFT13のソース電極23に重なる領域には、画素電極15とソース電極23とを電気的に接続させるための開口部(
図8の点線囲みに相当)が形成されている。
【0031】
図9及び
図10に示すように、表示パネル10は、薄膜トランジスタ基板100と、対向基板200と、薄膜トランジスタ基板100及び対向基板200の間に挟持される液晶層300と、を含んで構成されている。
【0032】
薄膜トランジスタ基板100では、ガラス基板101上にゲート線12(
図5参照)が形成され、ゲート線12を覆うように絶縁膜102が形成されている。絶縁膜102上にはデータ線11(
図6参照)が形成され、データ線11を覆うように絶縁膜103が形成されている。絶縁膜103上には共通電極16が形成され、共通電極16を覆うように絶縁膜104が形成されている。絶縁膜104上には画素電極15が形成され、画素電極15を覆うように配向膜105が形成されている。ガラス基板101における背面側には偏光板106が設けられている。
【0033】
対向基板200では、ガラス基板201上にブラックマトリクス203及び着色部202(例えば、赤色部、緑色部、青色部)が形成され、これらを覆うようにオーバコート層204が形成されている。オーバコート層204上には配向膜205が形成されている。ガラス基板201における表示面側(液晶層300側とは反対側)の面(表面)には導電層206が設けられており、導電層206における表示面側(液晶層300側とは反対側)の面(表面)には偏光板207が設けられている。
【0034】
液晶層300には、液晶301が封入されている。液晶301は、誘電率異方性が負のネガ型液晶であってもよいし、誘電率異方性が正のポジ型液晶であってもよい。配向膜105、205は、ラビング配向処理が施された配向膜であってもよいし、光配向処理が施された光配向膜であってもよい。
【0035】
[液晶表示装置の製造方法]
以下、本実施形態に係る液晶表示装置1の製造方法について説明する。
図11は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を示すフローチャート図である。
【0036】
図11に示すように、液晶表示装置1の製造方法は、第1の基板準備工程(S1)と、第2の基板準備工程(S2)と、シール部材形成工程(S3)と、液晶層形成工程(S4)と、基板貼り合わせ工程(S5)と、レーザー光照射工程(S6)と、エッチング工程(S7)と、分断工程(S8)と、端子出し工程(S9)を含む。
【0037】
第1の基板準備工程(S1)とは、薄膜トランジスタ基板100を含む第1の基板100Aを準備する工程である。第2の基板準備工程(S2)とは、対向基板200を含み、後述する基板貼り合わせ工程において第1の基板100Aの表示面側に配置され、第1の基板100Aと対向する第2の基板200Aを準備する工程である。第1の基板準備工程(S1)と第2の基板準備工程(S2)の前後関係は問わない。
【0038】
第1の基板準備工程(S1)と第2の基板準備工程(S2)を行った後に、シール部材形成工程(S3)を行う。
図12、13は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を示す模式的な平面図である。以下、
図12、13を用いて、シール部材形成工程(S3)について説明する。
【0039】
本実施形態においては、シール部材形成工程(S3)が、第1のシール部材形成工程と、第2のシール部材形成工程と、を含む。
【0040】
第1のシール部材形成工程では、第1の基板100Aと第2の基板200Aとの間に、端子部40の外周を囲む、環状の第1のシール部材310Aを形成する。第1のシール部材310Aは、上述した非重畳部160に対応する位置に配置されている。なお、この
図12、13に示す非重畳部160は、後述する分断工程(S8)の前の状態のため、
図1、2に示した非重畳部160よりも面積が大きい構成となっている。この第1のシール部材310Aは、
図1を用いて説明した液晶表示装置1においては、そのほとんどが存在しなくなるシール部材であり、後述するエッチング工程(S7)において、端子部40を保護するためのシール部材である。
【0041】
第2のシール部材形成工程では、平面視で、重畳部140の外縁に沿って配置された、環状の第2のシール部材310Bを形成する。この第2のシール部材310Bは、
図1を用いて説明した液晶表示装置1において存在するシール部材310の大部分を構成し、液晶層の周囲を囲うシール部材である。
【0042】
第1のシール部材310Aおよび第2シール部材310Bのそれぞれの一部は、重畳部140と非重畳部160の境界である第1の辺151に沿って形成されている。
【0043】
なお、
図13に示すように、第1のシール部材310Aと第2のシール部材310Bとを、第1の辺151に沿って統合して形成してもよい。本実施形態においては、この
図13に示すように、第1のシール部材310Aと第2のシール部材310Bとを、第1の辺151に沿って統合して形成した例を用いて、後の工程について説明していく。
【0044】
シール部材形成工程(S3)を行った後に、液晶層形成工程(S4)と、基板貼り合わせ工程(S5)とを行う。
【0045】
液晶層形成工程(S4)とは、環状の第2のシール部材310Bの内周側に液晶層300を形成する工程であり、基板貼り合わせ工程(S5)とは、第1の基板100Aの第1の主面(表示面側)と第2の基板の第2の主面(背面側)とを、第1のシール部材310A、第2のシール部材310Bを用いて貼り合わせる工程である。
図14は、本実施形態に係る液晶表示装置の製造方法を示す模式的な平面図である。
図15は、
図14のE−E線における断面を示す模式的な断面図である。以下、
図14、15を用いて、液晶層形成工程(S4)と、基板貼り合わせ工程(S5)について説明する。
【0046】
液晶層形成工程(S4)と、基板貼り合わせ工程(S5)を行う第1の例としては、上述したシール部材形成工程(S3)において、第1の基板100Aの第1の主面(表示面側)に第2のシール部材310Bを形成し、次に、その第2のシール部材310Bの内周側に液晶を滴下して液晶層300を形成し、その後、第1の基板100Aと第2の基板200Aとを貼り合わせ、その後、紫外線を照射して第2のシール部材310Bを硬化させる方法である。第2の例としては、上述したシール部材形成工程(S3)において、第2の基板200Aの第2の主面(背面側)に第2のシール部材310Bを形成し、次に、その第2のシール部材310Bの内周側に液晶を滴下して液晶層300を形成し、その後、第1の基板100Aと第2の基板200Aとを貼り合わせ、その後、紫外線を照射して第2のシール部材310Bを硬化させる方法である。第3の例としては、先に第1の基板100Aと第2の基板200Aとを貼り合わせた後、液晶を第2のシール部材310Bに囲われた領域内に注入して液晶層300を形成する方法である。従って、液晶層形成工程(S4)と、基板貼り合わせ工程(S5)の前後関係は問わない。
【0047】
液晶層形成工程(S4)と、基板貼り合わせ工程(S5)とを行った後に、レーザー光照射工程(S6)を行う。レーザー光照射工程(S6)とは、
図14に示した分断ラインC1において、第1の基板100A、第2の基板200Aにレーザー光を照射する工程である。分断ラインC1は、第1のシール部材310Aが形成された領域と、第2のシール部材310Bが形成された領域と、を含む全体領域170の外縁と平面視で重畳する。ここで、全体領域170とは、平面視で第1のシール部材310Aと第2のシール部材310Bとが形成された領域と、平面視で重畳する第1の基板100Aから第2の基板200Aまで全体を含む領域である。即ち、全体領域170は、分断ラインC1の内周側における第1の基板100Aから第2の基板200Aまでを含んでいる。
【0048】
この工程において、レーザー光が分断ラインC1を走査する。レーザー光は、第1の基板100A側と、第2の基板200A側の双方から照射してもよく、第1の基板100A側と、第2の基板200A側のいずれか一方側から照射してもよい。その際、レーザー光4の焦点が、第1の基板100A内、第2の基板200A内に位置するよう、レーザー光4の集光光学系を調整することにより、第1の基板100A内、第2の基板200A内に改質領域を形成することができる。
【0049】
このように、平面視で、全体領域170の外縁に重畳するようにレーザー光を照射するため、レーザー光は、全体領域170の内周側に配置された第1のシール部材310A、第2のシール部材310Bには照射されない。そのため、第1のシール部材310A、第2のシール部材310Bが、レーザー光照射工程(S6)においてダメージを受ける可能性は低い状態である。その結果、後述するエッチング工程(S7)において、端子部40が腐食されてしまうリスクを低減することができる。
【0050】
ここで、レーザー光を走査する分断ラインC1としては、直角部を有さないことが望ましい。例えば、第4の辺254と第5の辺255とが交差する端部が、丸みを帯びた形状となるよう、分断ラインC1を設定することが望ましい。このような工程とすることにより、後述するエッチング工程(S7)において、第4の辺254と第5の辺255とが交差する端部において応力が集中するのを抑制することができ、その結果として、第2の基板200A、第1の基板100Aにおいて割れが発生するのを抑制することができる。このように、本実施形態においては、第4の辺254と第5の辺255とが交差する端部が丸みを帯びた形状としているため、第4の辺254と第5の辺255とが交差する端部の曲率が
図5に示す通り、直角と比べて小さくなっている。
【0051】
また、レーザー光を走査する分断ラインC1としては、第5の辺が、平面視で外方に湾曲する構成とすることが望ましい。同様に、第5の辺255と対向する第6の辺256についても、平面視で外方に湾曲する構成とすることが望ましい。
【0052】
このように、第5の辺255、第6の辺256の少なくとも一方を、平面視で外方に湾曲する構成とすることにより、
図6を用いて上述した通り、側面方向から見て、液晶表示装置1を湾曲させる構成とするような場合において、応力が集中しやすい中央部分における対向基板200、薄膜トランジスタ基板100の割れの発生を抑制することができる。
【0053】
レーザー光照射工程(S6)の後、エッチング工程(S7)を行う。エッチング工程(S7)とは、エッチング液を用いてエッチングすることにより、上述した分断ラインC1、即ち全体領域170の外縁に沿って第1の基板100Aと第2の基板200Aとを分断する工程である。例えば、互いに貼り合わされた第1の基板100Aと第2の基板200Aとを酸、又はアルカリのエッチング溶液に浸漬することにより、エッチングを行う。このエッチング工程においては、第1の基板100Aの第2の主面(背面側)、及び第2の基板200Aの第1の主面(表示面側)が薄くなる。その際、レーザー光照射工程(S7)において上述した改質領域は、他の部分よりもエッチングレートが速い。そのため、エッチング溶液によって、改質領域は他の部分より深くエッチングされ、
図14に示した分断ラインC1に溝が形成される。そして、更なるエッチングの進行により当該溝が深化され、溝が第1の基板100Aと第2の基板200Aとを貫通する。この工程により、
図16に示すように、第1の基板100A、第2の基板200Aから、全体領域170が分離される。
【0054】
このエッチング工程(S7)においても、第1のシール部材310Aが残存しており、第1のシール部材310Aが端子部40を保護している。また、上述した通り、第1のシール部材310Aは、レーザー光照射工程(S6)において、レーザー光の照射によるダメージを受けていないため、端子部40をエッチング液から保護する役割を適切に果たすことができ、端子部40が腐食されるリスクを低減することができる。
【0055】
なお、このエッチング工程(S7)において、分断ラインC1、及び第1の基板100A、第2の基板200Aの表面において生じていたマイクロクラックが除去される。そのため、後の端子出し工程(S8)や、搬送工程、その他、電子機器に搭載する工程等において、当該マイクロクラックに起因する表示パネル10の割れの発生を抑制することができる。
【0056】
また、このエッチング工程(S7)により、第1の基板100A、第2の基板200Aの端部が丸みを帯びた形状となる。そのため、
図2、4を用いて上述した通り、対向基板200における第4の辺254の断面264と、対向基板200の表示面とが交差する端部は丸みを帯びた形状となっている。
【0057】
エッチング工程(S7)の後、第1の基板100Aと第2の基板200Aとを非重畳部160の外縁に沿って分断する分断工程(S8)を行う。本実施形態においては、この分断工程(S8)において、非重畳部160の外縁を、第1のシール部材310Aの内周側に配置することによって、第1のシール部材310Aの一部を、全体領域170から除去する。
【0058】
より具体的には、
図16に示す分断ラインC3、C4、C5において、第1の基板100Aと第2の基板200Aの双方を切断する。分断ラインC3は、
図1を用いて上述した第2の辺152に対応し、分断ラインC4は、第1の脚153に対応し、分断ラインC5は、第2の脚154に対応する。この第1の基板100Aと第2の基板200Aの双方の切断工程により、非重畳部160は台形状となる。
【0059】
また、分断ラインC3、C4、C5を第1のシール部材310Aの内周側に設定している。具体的には、第2の辺152に対応する分断ラインC3が、平面視で、第1のシール部材310Aの内周側に配置され、第1の脚153に対応する分断ラインC4、及び第2の脚154に対応する分断ラインC5が、分断ラインC2の端部において第1のシール部材310Aと平面視で交差し、第1のシール部材310Aの内周側で分断ラインC3と交差するように設定している。その結果、剥離剤等を用いて第1のシール部材310Aの接着力を弱めたり、ピンセットで剥離する工程を経たりすることなく、第1のシール部材310Aを表示パネル10から除去することができる。したがって、分断ラインC4およびC5は、分断ラインC2に対して90度より小さい角度を有することになる。その結果、非重畳部160は非矩形状、本実施形態では台形状となる。
【0060】
分断工程(S8)の後、端子出し工程(S9)を行う。端子出し工程(S9)とは、重畳部140と非重畳部160との境界に沿って第2の基板200Aを切断して、第2の基板200Aから、
図1に示した対向基板200を分離させる工程である。具体的には、
図16に示す分断ラインC2に沿って、第2の基板200Aのみを切断する。切断方法としては、例えばスクライビング工程とブレイク工程とを組み合わせることができる。
【0061】
そして、重畳部140と非重畳部160との境界(
図16に示す分断ラインC2)に沿って第2の基板200Aを切断して、第2の基板200Aから、対向基板200を分離させる。これにより、
図17に示すように、薄膜トランジスタ基板100の表示面側に配置された端子部40を、対向基板200から露出させることができる。なお、上述した分断工程(S8)において、既に非重畳部160の外縁よりも外側に配置された第1のシール部材310Aの一部を除去しているため、非重畳部160と平面視で重畳する第2の基板200Aの一部を、容易に除去することが可能となっている。
【0062】
上述した製造方法により、端子部40が腐食されているリスクが低減された液晶表示装置1を製造することができる。
【0063】
更に、当該液晶表示装置1を湾曲させた状態で、電子機器に搭載する例について説明する。
図6は、液晶表示装置1を電子機器に内蔵させた例を示す模式的な側面図である。本実施形態においては、
図6に示すように、電子機器が、
図1に示した第3の辺253に平面視で重畳する位置において、対向基板200の表示面側と薄膜トランジスタ基板100の背面側とを挟持する第1の保持部材401と、
図1に示した第4の辺254に平面視で重畳する位置において、対向基板200の表示面側と薄膜トランジスタ基板100の背面側とを挟持する第2の保持部材402と、を有する構成としている。
【0064】
エッチング工程(S7)において上述した通り、分断ラインC1、及び第1の基板100A、第2の基板200Aの表面において生じていたマイクロクラックが除去されている。しかし、当該エッチング工程(S7)後の端子出し工程において切断された薄膜トランジスタ基板100の非重畳部160の各端辺は、マイクロクラックが残存する可能性がある。そのため、本実施形態においては、第1の保持部材401、第2の保持部材402の配置位置を、重畳部140と平面視で重畳する位置とすることにより、側面方向から見て、非重畳部160における平均曲率は、重畳部140における最小曲率に比べて、小さい構成としている。このような構成とすることにより、重畳部140と比較して、マイクロクラックが残存する可能性が高い非重畳部160において、当該マイクロクラックに起因する表示パネル10の割れの発生を抑制することができる。
【0065】
上述の通り、第1の実施形態で説明した製造方法により製造された当該液晶表示装置1は、対向基板200と、薄膜トランジスタ基板100とを有する。対向基板200または薄膜トランジスタ基板100の少なくとも一方は、その外形の一部分の断面はエッチング工程S7において化学的にエッチングされて形成され、その外形の他の部分の断面は、分断工程S8または端子出し工程S8において化学的な分断ではなく、物理的な分断方法、例えば、スクラブ分断やレーザー分断などにより形成される。その結果、対向基板200または薄膜トランジスタ基板100の外形の断面のうち、化学的な分断により形成された部分は、マイクロクラックが少なく、外部からの圧力に対して相対的に強い構造になる。一方、対向基板200または薄膜トランジスタ基板100の外形の断面のうち、物理的な分断により形成された部分は、化学的な分断により形成された部分と比べて、マイクロクラックが多くなり、外部からの圧力に対して相対的に弱い構造になる。したがって、対向基板200または薄膜トランジスタ基板100の外形のうち、化学的な分断により形成された部分をなるべく多くし、物理的な分断により形成された部分をなるべく少なくすることが好ましい。
【0066】
以上、第1の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で上記実施形態から当業者が適宜変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。また、上述した製造工程は、特に条件を設定した場合は除いて、適宜その順序を変えてもよく、本実施形態において説明した順序に限定される必要はない。