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特開2019-160122画像処理装置および画像処理用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-160122(P2019-160122A)
(43)【公開日】2019年9月19日
(54)【発明の名称】画像処理装置および画像処理用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/80 20060101AFI20190823BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20190823BHJP
   G06F 17/50 20060101ALI20190823BHJP
【FI】
   G06T11/80 B
   G06F3/14 310A
   G06F17/50 610A
   G06F17/50 606E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-48953(P2018-48953)
(22)【出願日】2018年3月16日
(71)【出願人】
【識別番号】518091679
【氏名又は名称】CONCORE’S株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】中島 貴春
【テーマコード(参考)】
5B046
5B050
5B069
【Fターム(参考)】
5B046AA03
5B046BA10
5B046FA02
5B046FA06
5B046FA09
5B046FA10
5B046FA13
5B046GA01
5B046HA05
5B046HA06
5B046HA08
5B046KA05
5B050AA03
5B050BA06
5B050BA07
5B050BA18
5B050BA20
5B050CA07
5B050DA09
5B050EA12
5B050EA19
5B050FA02
5B050FA05
5B050GA08
5B069AA01
5B069CA01
5B069DD01
5B069DD11
5B069DD15
(57)【要約】
【課題】別のレイヤに分けて作成されたメイン画像とオブジェクト画像とを連動してズーミングした場合に、ズーミングされたメイン画像およびオブジェクト画像を見やすく表示できるようにする。
【解決手段】メイン画像とその上に重畳させるオブジェクト画像とを別のレイヤに分けて作成するようになされた画像処理装置10において、第1レイヤ処理部11が表示中の領域のメイン画像を全体としてズーミングするとともに、第2レイヤ処理部が個々のオブジェクト画像を当該オブジェクト画像の種類に応じて異なる態様でズーミングすることにより、メイン画像のズームインに連動してオブジェクト画像を拡大する際に、オブジェクト画像の種類に応じて異なる態様でオブジェクト画像のズーミングが行われるようにして、オブジェクト画像が大きくなり過ぎて下側のメイン画像が見にくくならないようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン画像とその上に重畳させるオブジェクト画像とを別のレイヤに分けて作成するようになされた画像処理装置であって、
第1レイヤにおいて上記メイン画像の処理を行う第1レイヤ処理部と、
第2レイヤにおいて上記オブジェクト画像の処理を行う第2レイヤ処理部とを備え、
ズーミングの実行が指示された場合、上記第1レイヤ処理部は、表示中の領域の上記メイン画像を全体としてズーミングするとともに、上記第2レイヤ処理部は、個々の上記オブジェクト画像を当該オブジェクト画像の種類に応じて異なる態様でズーミングすることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
上記オブジェクト画像の種類が塗り潰しのない線画である場合、上記第2レイヤ処理部は、上記メイン画像のズーム倍率と同じズーム倍率で上記オブジェクト画像をズーミングした場合に得られる大きさで、上記メイン画像のズーム倍率と同じズーム倍率で上記オブジェクト画像をズーミングした場合に得られる線の太さとは異なる太さとなるような態様で、上記オブジェクト画像をズーミングすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記オブジェクト画像の種類が塗り潰しのある線画である場合、上記第2レイヤ処理部は、上記メイン画像のズーム倍率と同じズーム倍率で上記オブジェクト画像をズーミングした場合に得られる大きさとは異なる大きさとなるような態様で、上記オブジェクト画像をズーミングすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記オブジェクト画像の種類が文字である場合、上記第2レイヤ処理部は、上記メイン画像のズーム倍率と同じズーム倍率で上記オブジェクト画像をズーミングした場合に得られる文字の大きさおよび太さとなるような態様で、上記オブジェクト画像をズーミングすることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記メイン画像が建設用の設計図面画像であり、上記オブジェクト画像の種類が通り芯である場合、上記第2レイヤ処理部は、上記メイン画像のズーム倍率にかかわらず、上記通り芯が常に同じ大きさおよび同じ太さとなるような態様で、上記オブジェクト画像をズーミングすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
メイン画像とその上に重畳させるオブジェクト画像とを別のレイヤに分けて作成するように画像処理を実行する画像処理用プログラムであって、
第1レイヤにおいて上記メイン画像の処理を行う第1レイヤ処理手段、および
第2レイヤにおいて上記オブジェクト画像の処理を行う第2レイヤ処理手段を備え、
ズーミングの実行が指示された場合、上記第1レイヤ処理手段が表示中の領域の上記メイン画像を全体としてズーミングするとともに、上記第2レイヤ処理手段が個々の上記オブジェクト画像を当該オブジェクト画像の種類に応じて異なる態様でズーミングするようにコンピュータを機能させるための画像処理用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像処理用プログラムに関し、特に、メイン画像とその上に重畳させるオブジェクト画像とを別のレイヤに分けて作成するようになされた画像処理装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のレイヤを設定し、画像や線画、テキストなどの各パーツをそれぞれのレイヤに分けて作成する(加工や編集を含む)ことを可能にした画像処理装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の画像出力装置では、モニタに可視像として表示する画像データ(例えば、医用画像)と、ペンにより入力される付加情報(例えば、医師の所見である文字情報、医用画像において観察された病巣の位置を示すための矢印などの図形情報など)とをそれぞれ別個のレイヤとして記憶することにより、画像データのみあるいは付加情報のみを容易に出力できるとともに、付加情報を画像データに重畳させることができるようにしている。
【0004】
特許文献2に記載の情報重ね合わせ表示装置では、背景情報の上に重畳して表示する情報を取得して透明レイヤ上に配置し、背景情報の上に透明レイヤを重ね合わせることにより、重畳情報を背景情報に重ね合わせて表示する。背景情報を切り替えた場合には、切り替えられた背景情報の座標系に基づいて、重畳情報に付随する位置情報の座標値を変換し、透明レイヤ上での重畳情報の位置を修正する。
【0005】
このようなレイヤ構造を用いた画像処理装置は、建設関連業務への適用にも応用されている。例えば、間取りやレイアウト、配置設備などの情報を含む図面画像を処理するためのレイヤと、各種図形や文字などのオブジェクト画像を処理するためのレイヤとを分けて設定し、レイヤ毎に作成した画像を重ねて表示させるようにした画像処理装置が知られている。例えば、現場での作業記録や注意事項などの情報をオブジェクト画像により作成し、それを図面画像上の該当する位置に重ねて表示させるといったことが行われる。
【0006】
ところで、一般的に、建設業者が現場での工事用に使用する間取りなどの設計図面は、作業員が工事を正確かつ的確に行うことができるように、全体的なレイアウトから細部の構造や寸法に至るまで、多くの情報が含まれている。そのため、ズームアウトして設計図面の広範囲を表示させたり、ズームインして設計図面の狭範囲を拡大表示させたりすることが必要となる。
【0007】
ここで、上述のように、間取りなどの図面画像を処理するためのレイヤとは別に、各種図形や文字などのオブジェクト画像を処理するためのレイヤが設定されている場合、図面画像だけをズーミングすると、オブジェクト画像との位置や大きさの整合性が取れなくなり、不都合が生じる。すなわち、ズーミングされた図面画像上の正しい位置にオブジェクト画像が表示されなくなったり、ズーミングされた図面画像の粒度にオブジェクト画像のサイズが合わなくなったりするといった不都合が生じる。
【0008】
そのため、画像のズーミングは、複数のレイヤ間で連動して行うように処理するのが一般的である。しかしながら、このようにすると、図面画像をズームアウト(縮小)して広範囲を表示させた場合、それに連動してオブジェクト画像も縮小され、オブジェクト画像が見にくくなってしまうという問題が生じる。縮小率が大きい場合には、何のオブジェクト画像であるのかすら判別できなくなってしまうこともある。
【0009】
逆に、図面画像をズームイン(拡大)して狭範囲を表示させた場合には、それに連動してオブジェクト画像も拡大され、拡大されたオブジェクト画像によって図面画像の一部が隠されて見にくくなってしまうという問題が生じる。最小倍率にズームアウトしたときでもオブジェクト画像を判別できる大きさに設定しておくと、それがズームインにより拡大されると、オブジェクト画像が大きくなり過ぎて、図面画像の多くの領域が隠れてしまう。特に、拡大表示された図面画像の領域内に複数のオブジェクト画像が存在すると、図面画像の見える領域がかなり狭くなってしまうこともある。
【0010】
なお、上記特許文献2に記載の装置では、背景情報を切り替えた場合に、その上に重ねた透明レイヤの重畳情報に付随する位置情報を変換することにより、重畳情報の位置を修正するように成されている。しかしながら、特許文献2に記載の技術を用いても、上述の問題を解消することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−39467号公報
【特許文献2】特開2002−23734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、メイン画像とその上に重畳させるオブジェクト画像とを別のレイヤに分けて作成するようになされた画像処理装置において、メイン画像とオブジェクト画像とを連動してズーミングした場合に、ズーミングされたメイン画像およびオブジェクト画像を見やすく表示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した課題を解決するために、本発明では、第1レイヤにおいてメイン画像の処理を行う第1レイヤ処理部と、第2レイヤにおいてオブジェクト画像の処理を行う第2レイヤ処理部とを備え、メイン画像とその上に重畳させるオブジェクト画像とを別のレイヤに分けて作成するようになされた画像処理装置において、ズーミングの実行が指示された場合、第1レイヤ処理部が表示中の領域のメイン画像を全体としてズーミングするとともに、第2レイヤ処理部が個々のオブジェクト画像を当該オブジェクト画像の種類に応じて異なる態様でズーミングするようにしている。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した本発明によれば、メイン画像をズームイン(拡大)して狭範囲を表示させた場合に、それに連動してオブジェクト画像も拡大されるが、その際に、オブジェクト画像の種類に応じて異なる態様でオブジェクト画像のズーミングが行われるので、オブジェクト画像が大きくなり過ぎてメイン画像が見にくくならないようにすることができる。また、メイン画像をズームアウト(縮小)して広範囲を表示させた場合に、それに連動してオブジェクト画像も縮小されるが、その際に、オブジェクト画像の種類に応じて異なる態様でオブジェクト画像のズーミングが行われるので、オブジェクト画像が小さくなり過ぎて見にくくならないようにすることができる。以上により、本発明によれば、メイン画像とオブジェクト画像とを連動してズーミングした場合に、ズーミングされたメイン画像およびオブジェクト画像を見やすく表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態による画像処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2】本実施形態において用いるレイヤ構成の一例を示す図である。
図3】第1レイヤで取り扱うオリジナル画像データの構造の一例を示す図である。
図4】塗り潰しのない線画の画像に対する第2レイヤ処理部の処理例を示す図である。
図5】塗り潰しのある線画の画像に対する第2レイヤ処理部の処理例を示す図である。
図6】文字の画像に対する第2レイヤ処理部の処理例を示す図である。
図7】通り芯の画像に対する第2レイヤ処理部の処理例を示す図である。
図8】ズーミング前後の画像の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による画像処理装置10の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の画像処理装置10は、その機能構成として、第1レイヤ処理部11、第2レイヤ処理部12、表示制御部13およびズーミング制御部14を備えている。また、本実施形態の画像処理装置10には、図面画像記憶部101、オブジェクト画像記憶部102およびディスプレイ103が接続されている。
【0017】
上記各機能ブロック11〜14は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11〜14は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶された画像処理用プログラムが動作することによって実現される。
【0018】
本実施形態の画像処理装置10は、図面画像(メイン画像)とその上に重畳させるオブジェクト画像とを別のレイヤに分けて作成するようになされたものである。図2は、本実施形態において用いるレイヤ構成の一例を示す図である。図2に示すように、図面画像を取り扱う第1レイヤLY1の上に、オブジェクト画像を取り扱う第2レイヤLY2が重ねられている。第2レイヤLY2は透明レイヤである。これにより、第1レイヤLY1上で作成される図面画像の上に、第2レイヤLY2上で作成されるオブジェクト画像を重ねて表示させることができるようになっている。
【0019】
第1レイヤ処理部11は、第1レイヤLY1において図面画像の処理を行う。第1レイヤ処理部11により処理された図面画像データは、図面画像記憶部101に記憶される。また、第1レイヤ処理部11は、図面画像記憶部101に記憶されている図面画像データを読み出して、編集を行うことも可能である。本実施形態では、図面画像の一例として、建設業者が現場での工事用に使用する間取りなどの設計図面の画像を処理するものとする。
【0020】
第2レイヤ処理部12は、第2レイヤLY2においてオブジェクト画像の処理を行う。第2レイヤ処理部12により処理されたオブジェクト画像データは、オブジェクト画像記憶部102に記憶される。また、第2レイヤ処理部12は、オブジェクト画像記憶部102に記憶されているオブジェクト画像データを読み出して、編集を行うことも可能である。
【0021】
本実施形態では、オブジェクト画像の一例として、塗り潰しのない線画(例えば、矢印、矩形や円形などの各種図形、フリーハンドにより描画される軌跡図形など)、塗り潰しのある線画(例えば、矩形や円形などの各種図形あるいはピンマークなどの図形で、中が特定色で塗り潰されたもの。斜線やハッチング等の特定パターンが図形内部に施されたものも含む)、文字(テキスト図形)、通り芯を処理するものとする。例えば、現場での作業記録や注意事項などの情報をオブジェクト画像により作成し、それを図面画像上の該当する位置に重ねて表示させるといったことが可能である。
【0022】
なお、通り芯とは、建物の設計上、また施工上の目安となる基準線のことであり、柱や壁の中心線を指すことが多い。柱と柱の中心を結ぶと直線になり、建物では柱を格子状に配置することが多いので、通り芯も格子状になることが多い。一般的に、縦横の通り芯には番号をつけて、それぞれの交点が分かるようにする。建築現場では通り芯から測り出して位置決めをすることが多い。
【0023】
表示制御部13は、第1レイヤ処理部11により処理された図面画像と、第2レイヤ処理部12により処理されたオブジェクト画像とをディスプレイ103に表示させる制御を行う。上述したように、表示制御部13は、第1レイヤ処理部11により処理された第1レイヤLY1の図面画像の上に、第2レイヤ処理部12により処理された第2レイヤLY2のオブジェクト画像を重ねて表示させる。
【0024】
ズーミング制御部14は、ユーザによるズーミングの実行に関する指示操作を受けて、図面画像およびオブジェクト画像のズーミングを行うように第1レイヤ処理部11および第2レイヤ処理部12を制御する。ズーミング制御部14によりズーミングの実行が指示された場合、第1レイヤ処理部11は、ディスプレイ103に表示中の領域の図面画像を全体としてズーミングする。また、第2レイヤ処理部12は、個々のオブジェクト画像を当該オブジェクト画像の種類に応じて異なる態様でズーミングする。
【0025】
ズーミングの実行が指示された場合に第1レイヤ処理部11が図面画像に対して行うズーミングは、表示中の領域の図面画像に対して実行する一般的なズーミング処理である。例えば、設計図面の全体を含む図面画像をオリジナルの画像データとして図面画像記憶部101に記憶しておき、図面画像を拡大するズームインの実行が指示された場合、第1レイヤ処理部11は、オリジナルの画像データの一部を切り取り、切り取った部分の画素値から別の画素値を補間することによって図面画像を拡大するデジタルズームの処理を実行する。ここでいうオリジナルの画像データとは、ズーミングが行われていない画像データを指す。
【0026】
なお、図3に示すように、設計図面の全体を含む図面画像(以下、全体画像31という)を第1層のオリジナル画像データとして図面画像記憶部101に記憶するとともに、全体画像31を複数(図3の例では9個)の領域に分割した個々の領域の図面画像で、第1層のオリジナル画像データと同じサイズおよび同じ解像度で表した図面画像(以下、分割領域画像32-1〜32-9という)を第2層のオリジナル画像データとして図面画像記憶部101に記憶しておき、ズーム倍率が所定値を超える場合には第1層のオリジナル画像データ(全体画像31)から第2層のオリジナル画像データ(分割領域画像32-1〜32-9の何れか)に切り替えて、第2層のオリジナル画像データを用いてデジタルズームの処理を行うようにしてもよい。同様の原理で、3層以上のオリジナル画像データをそれぞれ図面画像記憶部101に記憶しておいて、指示されたズーム倍率に応じて何れかの階層のオリジナル画像データを用いてデジタルズームの処理を行うようにしてもよい。
【0027】
一方、ズーミングの実行が指示された場合に第2レイヤ処理部12がオブジェクト画像に対して行うズーミングの処理内容は、上述の通り、オブジェクト画像の種類に応じて異なる。
【0028】
例えば、オブジェクト画像の種類が塗り潰しのない線画である場合、第2レイヤ処理部12は、図面画像のズーム倍率と同じズーム倍率でオブジェクト画像をズーミングした場合に得られる大きさで、図面画像のズーム倍率と同じズーム倍率でオブジェクト画像をズーミングした場合に得られる線の太さとは異なる太さとなるような態様で、オブジェクト画像をズーミングする。
【0029】
例えば、図面画像を2倍に拡大する場合、塗り潰しのない線画も2倍の大きさに拡大されるが、線の太さは2倍とは異なる太さとなるようにする。具体的には、図面画像のズーム倍率よりも小さいズーム倍率で拡大されたときの太さとなるようにする。なお、図面画像のズーム倍率とオブジェクト画像の線の太さとの関係をあらかじめ設定した情報を記憶しておき、第2レイヤ処理部12はこの情報を参照してオブジェクト画像の線の太さを決定する。
【0030】
図4は、塗り潰しのない線画の画像に対する第2レイヤ処理部12の処理例を示す図である。ここでは一例として、矢印の画像を拡大した場合の例を示している。図4(a)は、拡大されていないオリジナルの画像データによるオブジェクト画像(矢印画像)を示しており、ズーム倍率は“1”である。以下では、オリジナルの画像データによるオブジェクト画像のことを「オリジナルのオブジェクト画像」と略記することがある。
【0031】
なお、オリジナル画像データ(図3のように階層データとした場合は、第1層のオリジナル画像データ)によるオブジェクト画像は、設計図面の全体を含む図面画像をズーム倍率“1”でディスプレイ103に表示させる際に重ねて表示させる画像である。すなわち、オリジナルのオブジェクト画像は、ディスプレイ103に表示されるサイズとして最も小さいものとなる。本実施形態では、ズーム倍率“1”として最も小さいサイズで表示される場合でも、ユーザが肉眼で判別し得るサイズとしてオリジナルのオブジェクト画像(ただし、文字画像の場合は必ずしも肉眼で判別し得るとは限らない)が作成される。
【0032】
図4(b)は、通常のデジタルズームで拡大した場合に得られる矢印画像を示している。例えば、図面画像を2倍に拡大する場合において、それに合わせて、図4(a)に示すオリジナルの矢印画像を通常のデジタルズームで2倍に拡大すると、図4(b)に示すように、矢印の大きさが2倍になるとともに、線画の太さも2倍になる。
【0033】
これに対し、図4(c)は、本実施形態の第2レイヤ処理部12によって生成される矢印画像を示している。すなわち、図4(a)に示すオリジナルの矢印画像を2倍に拡大した場合、図4(c)のように、矢印の大きさは2倍に拡大されるが、線画の太さは2倍より小さい太さとなっている。これにより、第1レイヤLY1の図面画像の一部が切り出されてデジタルズームにより拡大された場合に、第2レイヤLY2の矢印画像もそれに連動して拡大されるが、通常のデジタルズームを行った場合よりも線画の太さが細くなるので、矢印画像が大きく(太く)なり過ぎて下側の図面画像が見にくくならないようにすることができる。
【0034】
また、オブジェクト画像の種類が塗り潰しのある線画である場合、第2レイヤ処理部12は、図面画像のズーム倍率と同じズーム倍率でオブジェクト画像をズーミングした場合に得られる大きさとは異なる大きさとなるような態様で、オブジェクト画像をズーミングする。具体的には、第2レイヤ処理部12は、図面画像のズーム倍率よりも小さいズーム倍率でオブジェクト画像をズーミングする。なお、図面画像のズーム倍率とオブジェクト画像のズーム倍率との関係をあらかじめ設定した情報を記憶しておき、第2レイヤ処理部12はこの情報を参照してオブジェクト画像のズーム倍率を決定する。
【0035】
図5は、塗り潰しのある線画の画像に対する第2レイヤ処理部12の処理例を示す図である。ここでは一例として、ピンマークの画像を拡大した場合の例を示している。図5(a)は、オリジナルのオブジェクト画像(ピンマーク画像)を示しており、ズーム倍率は“1”である。このオリジナルのオブジェクト画像は、設計図面の全体を含む図面画像をズーム倍率“1”でディスプレイ103に表示させる際に重ねて表示させる画像である。
【0036】
図5(b)は、通常のデジタルズームで拡大した場合に得られるピンマーク画像を示している。例えば、図面画像を2倍に拡大する場合において、それに合わせて、図5(a)に示すオリジナルのピンマーク画像を通常のデジタルズームで2倍に拡大すると、図5(b)に示すように、ピンマークの大きさも2倍に拡大される。
【0037】
これに対し、図5(c)は、本実施形態の第2レイヤ処理部12によって生成されるピンマーク画像を示している。すなわち、図5(c)のように、ピンマークの大きさは2倍より小さい大きさに拡大されている。これにより、第1レイヤLY1の図面画像の一部が切り出されてデジタルズームにより拡大された場合に、第2レイヤLY2のピンマーク画像もそれに連動して拡大されるが、通常のデジタルズームを行った場合よりもサイズが小さくなるので、ピンマーク画像が大きくなり過ぎて下側の図面画像が見にくくならないようにすることができる。
【0038】
また、オブジェクト画像の種類が文字である場合、第2レイヤ処理部12は、図面画像のズーム倍率と同じズーム倍率でオブジェクト画像をズーミングした場合に得られる文字の大きさおよび太さとなるような態様で、オブジェクト画像をズーミングする。すなわち、オブジェクト画像が文字の場合、第2レイヤ処理部12は、第1レイヤ処理部11と同様のデジタルズーム処理を実行する。
【0039】
図6は、文字の画像に対する第2レイヤ処理部12の処理例を示す図である。図6(a)は、オリジナルのオブジェクト画像(文字画像)を示しており、ズーム倍率は“1”である。このオリジナルのオブジェクト画像は、設計図面の全体を含む図面画像をズーム倍率“1”でディスプレイ103に表示させる際に重ねて表示させる画像である。
【0040】
図6(b)は、本実施形態の第2レイヤ処理部12によって生成される文字画像を示している。図6(b)に示す文字画像は、図6(a)に示すオリジナルの文字画像を通常のデジタルズームで拡大した場合に得られる画像と同じである。すなわち、図面画像を2倍に拡大する場合、それに合わせて、図6(a)に示すオリジナルの文字画像も通常のデジタルズームで2倍に拡大することにより、図6(b)に示すように、文字の大きさも太さも2倍になる。
【0041】
また、オブジェクト画像の種類が通り芯である場合、第2レイヤ処理部12は、図面画像のズーム倍率にかかわらず、通り芯が常に同じ大きさおよび同じ太さとなるような態様で、オブジェクト画像をズーミングする。すなわち、第1レイヤ処理部11が図面画像をn倍に拡大する場合でも、第2レイヤ処理部12は通り芯の画像をズーム倍率“1”のままで拡大せず、拡大後の図面画像上にある柱や壁の位置に合わせて、通り芯の位置を変更するのみとする。
【0042】
図7は、通り芯の画像に対する第2レイヤ処理部12の処理例を示す図である。図7(a)は、オリジナルのオブジェクト画像(通り芯画像)を示しており、ズーム倍率は“1”である。このオリジナルのオブジェクト画像は、設計図面の全体を含む図面画像をズーム倍率“1”でディスプレイ103に表示させる際に重ねて表示させる画像である。
【0043】
図7(b)は、図面画像をn倍に拡大した場合に得られる通り芯画像を示している。例えば、図面画像を2倍に拡大する場合において、それに合わせて、図7(a)に示すオリジナルの通り芯画像を通常のデジタルズームで2倍に拡大すると、図7(b)に示すように、通り芯の一端にある円形部分の大きさも太さも2倍になるとともに、直線部分の太さも2倍になる。なお、直線部分の長さは、ズーミングされた図面画像の大きさに応じて適宜決められる。
【0044】
これに対し、図7(c)は、本実施形態の第2レイヤ処理部12によって生成される通り芯画像を示している。すなわち、図7(c)に示す通り芯画像は、図7(a)に示すオリジナルの通り芯画像と等倍の同じ画像となっている。すなわち、第1レイヤLY1の図面画像の一部が切り出されてデジタルズームにより拡大された場合に、拡大された図面画像上の柱や壁の位置に合わせて通り芯の位置が変更されるだけで、通り芯画像の大きさも太さも変更されない。これにより、どのズーム倍率で図面画像を表示させているときも、通り芯画像を常に同じ大きさと同じ太さで表示させることができ、通り芯自体を見やすくすることができるとともに、通り芯画像が太くなり過ぎて下側の図面画像が見にくくならないようにすることができる。
【0045】
図8は、ズーミング前後の画像の表示例を示す図である。図8(a)は、設計図面の全体を含む図面画像をズーム倍率“1”で表示させるとともに、いくつかのオブジェクト画像をズーム倍率“1”で図面画像に重ねて表示させた状態を示している。図8(a)に示す例では、オブジェクト画像として、塗り潰しのない線画である矢印画像81、塗り潰しのある線画であるピンマーク画像82、文字画像83、通り芯画像84が含まれている。
【0046】
図8(b)は、設計図面の一部を切り出してデジタルズームにより拡大した状態を示している。図8(b)に示すように、矢印画像81は、図面画像のズーム倍率と同じズーム倍率でオブジェクト画像をズーミングした場合に得られる大きさで、図面画像のズーム倍率よりも小さいズーム倍率で拡大されたときの太さとなるような態様でズーミングされている。ピンマーク画像82は、図面画像のズーム倍率よりも小さいズーム倍率でズーミングされている。文字画像83は、図面画像と同じ態様でズーミングされている。通り芯画像84は、拡大された図面画像上の柱や壁の位置に合わせて通り芯の位置が変更されるだけで、図8(a)に示すオリジナルの通り芯画像と等倍の同じ画像となっている。
【0047】
上記のように構成した本実施形態によれば、図面画像をズームイン(拡大)して狭範囲を表示させた場合に、それに連動してオブジェクト画像も拡大されるが、その際に、オブジェクト画像の種類に応じて異なる態様でオブジェクト画像のズーミングが行われるので、オブジェクト画像が大きくなり過ぎて下側の図面画像が見にくくならないようにすることができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、図面画像をズームアウト(縮小)して広範囲を表示させた場合に、それに連動してオブジェクト画像も縮小されるが、その際に、オブジェクト画像の種類に応じて異なる態様でオブジェクト画像のズーミングが行われるので、オブジェクト画像が小さくなり過ぎて見にくくならないようにすることができる。最も縮小した場合(ズーム倍率“1”の場合)でも、ユーザが肉眼で判別し得るサイズとしてオリジナルのオブジェクト画像が作成されているので、オブジェクト画像が小さくなり過ぎて見にくくなることはない。
【0049】
以上により、本実施形態によれば、図面画像とオブジェクト画像とを連動してズーミングした場合に、ズーミングされた図面画像およびオブジェクト画像を見やすく表示することができる。
【0050】
なお、上記実施形態では、第1レイヤLY1で取り扱う図面画像の一例として、建設業者が現場での工事用に使用する間取りなどの設計図面を用いる例について説明したが、これに限定されるものではなく、他の図面画像であってもよい。また、第1レイヤLY1で取り扱うメイン画像は、図面画像に限定されるものではなく、例えば地図画像や医用画像など、他の画像であってもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、第1レイヤLY1の図面画像がn倍にズーミングされたときに、第2レイヤLY2における塗り潰しのない線画をn倍よりも小さいズーム倍率で拡大されたときの太さとなるようにズーミングする例について説明したが、図面画像のズーム倍率によっては、塗り潰しのない線画をn倍またはそれよりも大きいズーム倍率で拡大されたときの太さとなるようにするときがあってもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、第1レイヤLY1の図面画像がn倍にズーミングされたときに、第2レイヤLY2における塗り潰しのある線画をn倍よりも小さいズーム倍率でズーミングする例について説明したが、図面画像のズーム倍率によっては、塗り潰しのある線画をn倍またはそれよりも大きいズーム倍率でズーミングするときがあってもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、第1レイヤLY1の図面画像がn倍にズーミングされたときに、第2レイヤLY2における文字もn倍にズーミングする例について説明したが、図面画像のズーム倍率によっては、文字をn倍とは異なるズーム倍率でズーミングするときがあってもよい。
【0054】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 画像処理装置
11 第1レイヤ処理部
12 第2レイヤ処理部
13 表示制御部
14 ズーミング制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8