(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-160536(P2019-160536A)
(43)【公開日】2019年9月19日
(54)【発明の名称】保護構造体
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20190823BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20190823BHJP
B62D 21/00 20060101ALN20190823BHJP
【FI】
H01M2/10 K
B60K1/04 Z
B62D21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-44858(P2018-44858)
(22)【出願日】2018年3月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】五之治 巧
(72)【発明者】
【氏名】小林 武徳
(72)【発明者】
【氏名】小崎 秋弘
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
5H040
【Fターム(参考)】
3D203AA31
3D203BA16
3D203CA56
3D203CA57
3D203DB05
3D203DB10
3D235AA01
3D235BB23
3D235BB25
3D235EE63
3D235EE64
3D235HH42
3D235HH55
5H040AA07
5H040AA14
5H040AS07
5H040AT06
5H040CC59
(57)【要約】
【課題】車両に重量物を搭載するのに用いられるケース体やフレーム体等の構造体であって、荷重を分散し、また耐振動性に優れる保護構造体の提供を目的とする。
【解決手段】内リブと外リブとで中空部を形成した側壁部と、水平方向に形成した水平中空部を有する水平部とを備え、前記水平中空部が前記内リブを貫通するように前記水平部と側壁部とを一体的に形成してあることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内リブと外リブとで中空部を形成した側壁部と、
水平方向に形成した水平中空部を有する水平部とを備え、
前記水平中空部が前記内リブを貫通するように前記水平部と側壁部とを一体的に形成してあることを特徴とする保護構造体。
【請求項2】
前記水平中空部は上リブと下リブとで形成してあり、
前記上リブ及び下リブの一部にて、前記側壁部の中空部を上下に分断するように形成してあることを特徴とする請求項1記載の保護構造体。
【請求項3】
前記側壁部と前記水平部とは、押出材にて一体成形してあることを特徴とする請求項1又は2記載記載の保護構造体。
【請求項4】
車両に電池モジュールを搭載するためのものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の保護構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に電池モジュール等の重量物を搭載する際に用いられる保護構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、ハイブリッド自転車,プラグインハイブリッド自転車等は、駆動源に電池モジュール,電池パック等と称される二次電池が用いられている。
これらを車両に搭載する際には、衝撃等の外部の荷重から保護する必要があるとともに、走行時に発生する振動に対する耐振動性も要求される。
【0003】
特許文献1には、小型車両の衝突対応構造として、サイドシル前端とヒンジピラー下端との間に閉断面構造部材を設けるとともに、この閉断面構造部材から内向きに突出するリブを有する構造を開示する。
しかし、このような構造では振動等により発生する応力が内向きに突出するリブの根元に集中し、この部分が破損しやすい課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−001235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、車両に重量物を搭載するのに用いられるケース体やフレーム体等の構造体であって、荷重を分散し、また耐振動性に優れる保護構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る保護構造体は、内リブと外リブとで中空部を形成した側壁部と、水平方向に形成した水平中空部を有する水平部とを備え、前記水平中空部が前記内リブを貫通するように前記水平部と側壁部とを一体的に形成してあることを特徴とする。
ここで水平部とは、上下方向に延在する側壁部に対して、その内側に相対的に略直交する方向に形成した部分であることを表現したものであって、厳密に水平である必要はない。
【0007】
本発明において水平部は、電池モジュール等の重量物を取付支持するためのものである。
取付支持する構造としては、重量物を載置するように取り付けてもよく、この重量物を吊り下げ支持するように取り付けてもよく、その支持構造に制限はない。
【0008】
本発明において、水平部の水平中空部が側壁部の内リブを貫通させる構造として、前記水平中空部は上リブと下リブとで形成してあり、前記上リブ及び下リブの一部にて、前記側壁部の中空部を上下に分断するように形成する例が挙げられる。
ここで、前記側壁部と前記水平部とは、押出材にて一体成形することもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る保護構造体は、車両に電池モジュールやその制御部品等を搭載するのに適している。
【0010】
本発明に係る保護構造体にあっては、水平部に電池モジュール等の重量物を取り付けた場合にその荷重、あるいは外部からの加えられた衝撃等の荷重は、側壁部の内リブと外リブとに分散されるので外部からの荷重に対して重量物の保護効果が高く、耐振動性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)は本発明に係る保護構造体の例を示し、(b)に側壁部と水平部との連結構造の部分拡大図を示す。
【
図3】側壁部と水平部との連結の比較説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る保護構造体は、重量物を車両に搭載するためのものであり、例えば電池パック、電池モジュール等と称されている二次電池及びそれらを制御する制御部品等を搭載するのに適している。
構造そのものは、複数のパネル体からなるケース体,複数のフレームからなるフレーム体,それらを組み合せた構造体等,構成部材に制限はない。
本発明に係る保護構造体の特徴は、ケース体やフレーム体を構成する上下方向の側壁部と横方向の水平部との連結構造にある。
【0013】
図1(a)には、底板15からなる第1の搭載部を有し、その上方に設けた水平部12及びこの水平部に必要に応じて連結した中間パネル16からなる第2の搭載部を有する2段構造の保護構造体の例を示す。
第1の搭載部を構成する底板15からは、側壁として垂直パネル(11,13,14)を立設し、その途中側壁部11に、第2の搭載部を構成する水平部12を連結してあり、その拡大図を
図1(b)に示す。
側壁は一枚のパネル状の側壁部11で構成してもよいが、本実施例は
図1,2に示すように中間に位置する側壁部11の上部に形成した嵌合フランジ状の連結部11fに上部側壁パネル14を嵌合連結し、側壁部11の下部に形成した連結フランジ11gに底板15から立設した下部側壁パネル13を連結固定した3分割構造になっている。
側壁の分割構造や連結構造に制限はない。
【0014】
上記側壁は、第1及び第2搭載部の両側に対向して立設してもよいが、本実施例では底板15と中間パネル16とを中空断面形状からなる複数の側パネル17(17a,17b,17c)にて連結した例になっている。
また、図示を省略したが、第2の搭載部の上方はカバー部材で覆う構造例になっていて、このカバー部材は上部側壁パネル14の上端フランジ部14aにて固定することができる。
また、底板15の側壁と直交する両側端部には必要に応じてサブフランジ19a,19bを有し、第2の搭載部の両側端部にもサブフランジ18a,18bを有する側になっているが、これらのサブフランジは無くてもよい。
【0015】
図1(b)にサブフランジ18bを取り外した状態の水平部12と側壁部11との部分拡大図を示す。
側壁部11は、上下方向に配設した複数の中空部11c,11d,11eを有するパネル形状になっている。
中空部は内リブ11bと外リブ11aとの途中を連結リブ11hでつなぐ形状になっているが、保護構造体の内側に向けて形成した中空断面形状からなる水平部12との連結部は次のようになっている。
水平部12は一対の上リブ12bと下リブ12cとの途中を垂直方向のつなぎリブ12dにて複数の水平中空部12aを形成してある。
上リブ12bと下リブ12cの先端側の一部が側壁部11の内リブ11bを貫通している状態になっている。
言い換えれば、この貫通した上リブ12bと下リブ12cの部分で側壁部の中空部を分断し、中空部11cと中空部11dを形成した状態になり、上リブ12bと下リブ12cとの先端側は外リブ11aとなって水平中空部12aを形成した状態になっている。
これにより、第2の搭載部を形成した水平部12に図示を省略した固定ピン等にて二次電池(電池モジュール)Vを取り付けた場合に、その荷重は上リブ12bと外リブ11aとの連結コーナー部を介して伝達される荷重f
1と下リブ12cと内リブ11bとの連結コーナー部を介して伝達される荷重f
2とに分散される。
【0016】
この作用を
図3に示した連結構造と比較する。
図3は、中空断面形状の水平部112と上下方向の中空部を有する側壁部111とを略直角に連結した場合を示す。
このような連結構造にあっては、水平部112に加わる荷重はコーナー部f
0に応力集中しやすく、この部分への局部的負荷が大きくなってしまう。
これに対して本発明に係る連結構造にあっては、応力がf
1とf
2に分散されるので、衝撃等の外部からの負荷に対しても分散効果があるので、搭載物の保護効果が高い。
また、走行中に発生する振動もf
1とf
2に分散されて側壁部11に伝達されるので振動耐久性にも優れる。
このような連結構造は、アルミニウム合金等の押出材にて容易に製作できる。
【符号の説明】
【0017】
11 側壁部
11a 外リブ
11b 内リブ
11c 中空部
11d 中空部
11e 中空部
11f 連結部
11g 連結フランジ
11h 連結リブ
12 水平部
12a 水平中空部
12b 上リブ
12c 下リブ
12d つなぎリブ