【解決手段】実施形態の成膜装置は、成膜室と、成膜室の内部を減圧するポンプと、排液を貯留する貯留容器と、第1の端部と第2の端部を有し、第1の端部が成膜室に接続され、第2の端部の近傍において第1の方向に伸長し、第1の方向に対して垂直な面において第1の開口面積を有する第1の配管と、第3の端部と第4の端部を有し、第1の配管とポンプとの間に設けられ、第3の端部の近傍において第1の方向と異なる第2の方向に伸長し、第4の端部がポンプに接続された第2の配管と、第5の端部と第6の端部とを有し、第1の配管と貯留容器との間に設けられ、第5の端部の近傍において第2の方向と異なる第3の方向に伸長し、第5の端部は第2の端部の中心から第1の方向に仮想的に伸びる直線の上に位置し、第6の端部が貯留容器に接続された第3の配管と、を備える。
前記第1の配管の内部に設けられ、前記第1の方向に対して垂直な面において前記第1の開口面積よりも小さい第2の開口面積を有する狭窄部を、更に備える請求項1記載の成膜装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する場合がある。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の成膜装置は、成膜室と、成膜室の内部を減圧するポンプと、排液を貯留する貯留容器と、第1の端部と第2の端部を有し、第1の端部が成膜室に接続され、第2の端部の近傍において第1の方向に伸長し、第1の方向に対して垂直な面において第1の開口面積を有する第1の配管と、第3の端部と第4の端部を有し、第1の配管とポンプとの間に設けられ、第3の端部の近傍において第1の方向と異なる第2の方向に伸長し、第4の端部が前記ポンプに接続された第2の配管と、第5の端部と第6の端部とを有し、第1の配管と貯留容器との間に設けられ、第5の端部の近傍において第2の方向と異なる第3の方向に伸長し、第5の端部は第2の端部の中心から第1の方向に仮想的に伸びる直線の上に位置し、第6の端部が前記貯留容器に接続された第3の配管と、を備える。
【0011】
図1は、第1の実施形態の成膜装置の一例の模式図である。第1の実施形態の一例の成膜装置は、半導体装置の製造用の成膜装置100である。第1の実施形態の成膜装置100は、枚葉式のエピタキシャル膜の成膜装置100である。
【0012】
図2は、第1の実施形態の成膜装置100の一部の拡大図である。
図2は、
図1中、点線枠Aで囲まれる領域の拡大図である。
【0013】
成膜装置100は、成膜室10、ガス供給口11、ステージ12、ヒータ14、排出部16、圧力調整バルブ18、排気ポンプ20(ポンプ)、除害装置22、第1の排気管24(第1の配管)、オリフィス26(狭窄部)、第2の排気管28(第2の配管)、排液管30(第3の配管)、排液タンク32(貯留容器)を備える。
【0014】
成膜室10内には、ステージ12及びヒータ14が設けられる。ステージ12上にウェハWが載置される。ヒータ14はウェハWを加熱する。
【0015】
成膜室10の上部にガス供給口11が設けられる。ガス供給口11から、原料ガスが成膜室10内に供給される。
【0016】
成膜室10の内部は、成膜時には、所望の圧力に減圧される。成膜室10からは、成膜室10で消費されなかった原料ガスや反応により生じた反応副生成物を含む排出ガスが排出される。
【0017】
第1の排気管24は、成膜室10と排気ポンプ20との間に設けられる。第1の排気管24は、成膜室10と排液タンク32との間に設けられる。
【0018】
第1の排気管24は、第1の端部E1と第2の端部E2を有する。第1の端部E1は、成膜室10に接続される。
【0019】
第1の排気管24は、少なくとも第2の端部E2の近傍において、第1の方向D1に伸長する。第1の排気管24は、第1の方向D1に対して垂直な面において、第1の開口面積S1を有する。例えば、
図2に示すように、第2の端部E2の近傍の位置P1において、第1の開口面積S1を有する。
【0020】
成膜装置100では、第1の方向D1は重力方向と一致している。第1の排気管24内の排出ガスの移動方向は、第1の方向D1と一致する。
【0021】
成膜室10から排出された排出ガスは、第1の排気管24を通過する。排出ガス中には、反応副生成物が含まれる。排出ガス中の反応副生成物の一部は、第1の排気管24内で冷却されて液化し、液滴となる。
【0022】
オリフィス26は、狭窄部の一例である。オリフィス26は、第1の排気管24の内部に設けられる。オリフィス26は、第1の方向D1に対して垂直な断面において第2の開口面積S2を有する。
図2に示すように、位置P2において、オリフィス26は第2の開口面積S2を有する。
【0023】
第2の開口面積S2は第1の開口面積S1よりも小さい。例えば、第2の開口面積S2は第1の開口面積S1の2.5%以上20%以下である。
【0024】
第1の排気管24の開口面積がオリフィス26部分で小さくなるため、成膜室10から排出された排出ガスはオリフィス26で加速される。加速された排出ガスは、オリフィス26から第1の方向D1に噴出される。
【0025】
第1の排気管24は、第2の排気管28と排液管30とに分岐する。
【0026】
第2の排気管28は、第1の排気管24と排気ポンプ20との間に設けられる。第2の排気管28は、第3の端部E3と第4の端部E4を有する。
【0027】
第2の排気管28は、少なくとも第3の端部E3の近傍において第1の方向D1と異なる第2の方向D2に伸長する。例えば、第1の方向D1と第2の方向D2とのなす角度は90度である。第4の端部E4は、排気ポンプ20に接続される。
【0028】
排気ポンプ20は、第2の排気管28と排出部16との間に設けられる。排気ポンプ20は、成膜室10の内部を減圧する機能を有する。排気ポンプ20は、例えば、真空ポンプである。
【0029】
圧力調整バルブ18は、第2の排気管28と排気ポンプ20との間に設けられる。圧力調整バルブ18により、成膜室10の内部を所望の圧力に調整することが可能である。
【0030】
除害装置22は、排気ポンプ20と排出部16との間に設けられる。除害装置22は、例えば、燃焼式の除害装置である。
【0031】
除害装置22は、成膜室10から排出された排出ガスを無害化する。無害化された排出ガスは、排出部16から成膜装置100の外部に排出される。
【0032】
排液管30は、第1の排気管24と排液タンク32との間に設けられる。排液管30は、第5の端部E5と第6の端部E6を有する。
【0033】
排液管30は、第5の端部E5の近傍において第2の方向D2と異なる第3の方向D3に伸長する。第3の方向D3は、例えば、第1の方向D1とも異なる。第6の端部E6は排液タンク32に接続される。
【0034】
第1の方向D1と第3の方向D3とのなす角度(
図2中のφ)は、例えば、5度以上85度以下である。
【0035】
第5の端部E5は第2の端部E2の中心(
図2中のG)から第1の方向D1に仮想的に伸びる直線(
図2中のL)の上に位置する。言い換えれば、排液管30の入り口である第5の端部E5は、第1の排気管24の延長線上に位置する。第2の端部E2の中心とは、第2の端部E2の第1の方向D1に垂直な断面の幾何学的重心である。例えば、断面が円形の場合は、円の中心である。
【0036】
第5の端部E5は、第3の開口面積S3を有する。
図2に示すように、位置P3において、第5の端部E5は第3の開口面積S3を有する。第3の開口面積S3は、第1の方向D1に対して垂直な面における排液管30の開口面積である。
【0037】
第5の端部E5の第3の開口面積S3は、例えば、オリフィス26の第2の開口面積S2よりも大きい。第5の端部E5の径(
図2中のc)は、例えば、オリフィス26の径(
図2中のa)よりも大きい。
【0038】
オリフィス26と第5の端部E5との距離をb(
図2参照)、オリフィス26から噴出される排出ガスの噴出角度をθ(
図2参照)とした場合、例えば、c≧a+2b・tanθである。また、例えば、第5の端部E5の径(
図2中のc)は、例えば、オリフィス26の径(
図2中のa)の2倍以上である。
【0039】
排液管30の少なくとも一部は、第1の方向D1に対して斜行する。排液管30は、第5の端部E5から第6の端部E6に至る全領域において、重力方向に対して水平である、又は、第5の端部E5から第6の端部E6に向かって重力方向に傾斜する。言い換えれば、第5の端部E5から第6の端部E6に向かって、重力方向に逆らう方向に傾斜することはない。
【0040】
排液管30の長さは、例えば、20cm以上10m以下である。言い換えれば、第5の端部E5から第6の端部E6までの距離は、例えば、20cm以上10m以下である。
【0041】
排液管30は、排出ガスに含まれる反応副生成物の液滴を捕捉する機能を有する。捕捉された反応副生成物の液滴(排液)は、排液管30を通って、排液タンク32に貯留される。排液管30は、例えば、排液が排液管30の中を重力で流れ、排液タンク32に貯留されるように設置されている。
【0042】
排液タンク32は、貯留容器の一例である。排液タンク32は、反応副生成物に由来する排液を貯留する機能を有する。
【0043】
排液タンク32には、排出ガスの一部を含む排液が貯留される。排液には、排出された排出ガスに由来する液滴が含まれる。排液タンク32に貯留された排液を除去することにより、成膜装置100から排出ガスの一部を含む排液が排出されることになる。
【0044】
排液タンク32には、例えば、排液管30以外に接続されるガス経路はない。この場合、反応副生成物の液滴が取り除かれた排出ガスは、排液管30を逆流して、第2の排気管28へと流れ、最終的に排出部16から成膜装置100の外へ排出される。また、排液タンク32には、例えば、排液管30以外に接続されるガス経路があっても構わない。具体的には、ガス経路は、圧力調整バルブ18の手前に接続される。この場合、排液管30、排液タンク32、ガス経路を経て、圧力調整バルブ18の手前に流れるガス流路が出来る。
【0045】
次に、第1の実施形態の成膜装置100の作用及び効果について説明する。
【0046】
一般的な成膜装置において、反応副生成物のガス、及び、成膜に用いられなかった原料ガスを含む排出ガスは、成膜室から排気管、排気ポンプ、除害装置などを通って成膜装置外に排出される。
【0047】
排出ガス中の反応副生成物は、成膜室から排気管を通過する際に冷却されることで凝縮して液滴になる。この液滴が、排気管の閉塞や、排気ポンプの故障の原因になるという問題がある。また、排出ガスを除害装置により無害化処理する場合に、生成物として固体粒子が生じ、排気管が閉塞するという問題がある。
【0048】
排気管が閉塞したり、排気ポンプが故障したりすると、成膜装置のメンテナンス作業が必要となり、成膜装置の稼働率が低下する。また、排出ガスに由来する液滴には、有害ガスを発生する物質や、発火性がある物質もあり、メンテナンス作業に危険が伴う場合もある。このため、排出ガスに由来する液滴に起因する、排気管の閉塞や、排気ポンプの故障を抑制することが望まれる。
【0049】
具体的には、例えば、シリコンのエピタキシャル膜を形成する際、反応副生成物として、トリクロロシラン(SiHCl
3)、テトラクロロシラン(SiCl
4)、テトラクロロジシラン(Si
2H
2Cl
4)、ヘキサクロロジシラン(Si
2Cl
6)、オクタクロロトリシラン(Si
3Cl
8)などのクロロシラン類やクロロシランポリマー類(SixHyClz:xは2以上)のガスが生成される。成膜室からの排出ガスの中に、上記の反応副生成物のガスが含まれる。
【0050】
排出ガスが成膜室の外に排出されると、排出ガスが冷却され、反応副生成物のガスが凝縮して液化し液滴を形成する。この液滴が排気管の閉塞や、排気ポンプの故障の原因になる。
【0051】
図3は、比較形態の成膜装置の模式図である。比較形態の成膜装置は、半導体装置の製造用の成膜装置900である。比較形態の成膜装置900は、枚葉式のエピタキシャル膜の成膜装置900である。
【0052】
比較形態の成膜装置900は、排液管30に代えて、捕捉部34を備える点で第1の実施形態の成膜装置100と異なっている。捕捉部34は傾斜面34fを備えている。
【0053】
比較形態の成膜装置900は、オリフィス26から噴射され加速された反応副生成物の液滴を、捕捉部34の傾斜面34fに衝突させる。これにより、液滴を集中的に捕捉し、反応副生成物の液滴を効率的に捕集することを狙っている。捕捉部34で捕捉された液滴は、傾斜面34fに沿って排液タンク32に流れ込み貯留される。
【0054】
しかし、液滴の速度が速く液滴の運動エネルギーが大きい場合、液滴が傾斜面34fで跳ね返ることにより、液滴の捕集効率が低下するおそれがある。また、成膜装置900では、傾斜面34fで反射した排出ガスにより、オリフィス26からの噴射方向と逆方向の気体の流れが生じる。この逆方向の気体の流れにより生ずる風圧で液滴が押し戻され、液滴の捕集効率が低下するおそれがある。
【0055】
図4、
図5は、液滴の運動エネルギーと風圧との関係の説明図である。
図4は模式図、
図5は液滴の運動エネルギーと風圧の関係を示すグラフである。
【0056】
図4に示すように、反応副生成物の液滴の運動エネルギーを、液滴の運動方向と反対方向の気体の風圧(抗力)が上回ると、液滴が押し戻されることになる。例えば、代表として、圧力を10kPa、配管温度を300K、混合気体の密度(ρ)を0.03kg/m
3とした場合に、飛来してくる液滴径が1μm、10μm、20μm、100μmの各場合について、ガス流速に対する液滴の運動エネルギーと風圧(抗力)を計算した結果を
図5に示す。
【0057】
例えば、液滴径20μmを境としてこれ以下の場合に、液滴の運動方向と反対向きの抗力が液滴の運動エネルギーを超えることが分かる。例えば、シリコンのエピタキシャル成長の場合の排出ガス中の液滴径は、成膜条件や成膜室からの距離、あるいは環境温度によっても変化するが、大凡20μm以下と想定される。このため、傾斜面34fで反射した排出ガスにより、液滴の捕集効率が低下するおそれが十分あると言える。
【0058】
図6は、第1の実施形態の作用及び効果の説明図である。成膜装置100での排出ガスの流れを模式的に示す。
【0059】
第1の実施形態の成膜装置100では、オリフィス26から第1の方向D1に噴出された排出ガスは、オリフィス26の直下に存在する排液管30に直接流れ込む。排出ガス中の反応副生成物の液滴は、排液管30の壁面に衝突したり、液滴同士で衝突したりすることにより運動エネルギーを失う。運動エネルギーを失った液滴は、液滴同士が集合した液滴のサイズが大きくなり、排液管30の壁面に付着する。液滴は排液管30の壁面に沿って流れ、排液タンク32に排液として貯留される。
【0060】
第1の実施形態の成膜装置100では、仮に、排液管30の壁面で液滴が跳ね返っても、排液管30の壁面に再度衝突する確率が高くなる。したがって、液滴の跳ね返りによる液滴の捕集効率の低下が抑制される。
【0061】
また、所定の長さを有する排液管30の中を排出ガスが流れることにより、排液管30を逆流して戻る排出ガスの風圧が抑制される。したがって、排液管30を逆流して戻る排出ガスにより、液滴の捕集効率が低下することが抑制される。
【0062】
さらに、排出ガスの噴出方向である第1の方向D1に対して、排液管30の第3の方向D3を傾斜させることにより、排液管30の内部で旋回流が生じやすくなる。排液管30の内部で生じた旋回流により、排液管30の奥へと排出ガスが引き込まれやすくなる。よって、排液管30を逆流して戻る排出ガスの風圧が抑制され、液滴の捕集効率が低下することが抑制される。
【0063】
また、排液管30の内部の旋回流により、排出ガス中の液滴が遠心分離され、排液管30の内壁に付着しやすくなる。したがって、液滴の捕集効率が向上する。
【0064】
図7は、第1の実施形態の作用及び効果の説明図である。第1の実施形態の成膜装置100と、比較形態の成膜装置900との間の、副生成物捕集量の比較を示す。横軸は排出ガスの積算流量、縦軸は副生成物捕集量である。
【0065】
図7から明らかなように、第1の実施形態の成膜装置100では、副生成物捕集量が比較形態の成膜装置900よりも多い。特に、排出ガスの積算流量が増えると、副生成物捕集量が約2倍となる。成膜装置100では、液滴の跳ね返りや、排出ガスの逆流により液滴の捕集効率が低下することが抑制されると考えられる。
【0066】
成膜装置100では、第1の排気管24を流れる排出ガスを効率良く排液管30に導く観点から、オリフィス26を設けることが好ましい。しかし、例えば、第1の排気管24により排出ガスの直進性が十分得られるようであれば、オリフィス26を省略した構成とすることも可能である。
【0067】
オリフィス26を設ける場合、第5の端部E5の第3の開口面積S3は、オリフィス26の第2の開口面積S2よりも大きいことが好ましい。また、第5の端部E5の径(
図2中のc)は、オリフィス26の径(
図2中のa)よりも大きいことが好ましい。上記構成により、オリフィス26から噴出される排出ガスを効率良く排液管30に導くことが可能となる。
【0068】
排液管30の少なくとも一部は、第1の方向D1に対して斜行することが好ましい。特に、排液管30が第5の端部E5の近傍において第1の方向D1に対して斜行することが好ましい。すなわち、特に、第3の方向D3が第1の方向D1と異なることが好ましい。上記構成により、排液管30の内部で旋回流が生じやすくなる。
【0069】
排液管30は、第5の端部E5から第6の端部E6に至る全領域において、重力方向に対して水平である、又は、第5の端部E5から第6の端部E6に向かって重力方向に傾斜することが好ましい。上記構成により、排液管30の内部に付着した液滴が、排液タンク32に流れ込みやすくなる。
【0070】
排液管30の長さは、例えば、20cm以上10m以下であることが好ましく、50cm以上2m以下であることがより好ましい。上記範囲を下回ると、排液管30を逆流して戻る排出ガスの風圧が大きくなるおそれがある。また、上記範囲を上回ると、メンテナンスが困難になるおそれがある。
【0071】
以上、第1の実施形態によれば、排出ガスに含まれる反応副生成物の液滴の捕集効率が向上する。したがって、排気管の閉塞や、排気ポンプの故障の抑制を可能とする成膜装置を提供することが可能となる。
【0072】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の成膜装置は、第1の方向と第3の方向とが同一である点で、第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する場合がある。
【0073】
図8は、第2の実施形態の成膜装置の一例の模式図である。第2の実施形態の一例の成膜装置は、半導体装置の製造用の成膜装置200である。第2の実施形態の成膜装置200は、枚葉式のエピタキシャル膜の成膜装置200である。
【0074】
図9は、第2の実施形態の成膜装置200の一部の拡大図である。
図9は、
図8中、点線枠Aで囲まれる領域の拡大図である。
【0075】
第1の排気管24は、少なくとも第2の端部E2の近傍において、第1の方向D1に伸長する。排液管30は、第5の端部E5の近傍において第3の方向D3に伸長する。
【0076】
第1の方向D1と第3の方向D3は同一である。言い換えれば、第1の排気管24と排液管30は、同一直線上にある。
【0077】
第2の実施形態の成膜装置200では、第1の実施形態の成膜装置100同様、オリフィス26から第1の方向D1に噴出された排出ガスは、オリフィス26の直下に存在する排液管30に直接流れ込む。排出ガス中の反応副生成物の液滴は、排液管30の壁面に衝突したり、液滴同士で衝突したりすることにより運動エネルギーを失う。運動エネルギーを失った液滴は、液滴同士が集合した液滴のサイズが大きくなり、排液管30の壁面に沿って流れ、排液タンク32に排液として貯留される。
【0078】
第2の実施形態の成膜装置200では、第1の方向D1と第3の方向D3は同一であるため、排液管30の壁面での液滴の跳ね返り、第2の排気管28の方に戻ることが、更に抑制される。
【0079】
以上、第2の実施形態によれば、排出ガスに含まれる反応副生成物の液滴の捕集効率が向上する。したがって、排気管の閉塞や、排気ポンプの故障の抑制を可能とする成膜装置を提供することが可能となる。
【0080】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の成膜装置は、第3の配管を冷却する冷却部を、更に備える点で、第2の実施形態と異なっている。以下、第2の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する場合がある。
【0081】
図10は、第3の実施形態の成膜装置の一部の拡大図である。
図10は、第2の実施形態の
図9に相当する図である。
【0082】
第3の実施形態の成膜装置は、排液管30を冷却する冷却部40を備える。冷却部40は、例えば、水冷管である。冷却部40は、排液管30の中の排出ガスを冷却する機能を有する。
【0083】
第3の実施形態の成膜装置では、排出ガスを冷却することにより、排出ガス中の副反応生成物の液化、及び、液滴の成長が促進される。したがって、排出ガスに含まれる反応副生成物の液滴の捕集効率が更に向上する。
【0084】
以上、第3の実施形態によれば、第2の実施形態と比較して排出ガスに含まれる反応副生成物の液滴の捕集効率が更に向上する。したがって、排気管の閉塞や、排気ポンプの故障の抑制を可能とする成膜装置を提供することが可能となる。
【0085】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の成膜装置は、第3の配管の内部に、第3の配管の伸長方向に伸びる螺旋状の形状物を有する点で、第2の実施形態と異なっている。以下、第2の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する場合がある。
【0086】
図11は、第4の実施形態の成膜装置の一部の拡大図である。
図11は、第2の実施形態の
図9に相当する図である。
【0087】
第4の実施形態の成膜装置は、排液管30の内部に螺旋状の形状物42を有する。螺旋状の形状物42は、排液管30の伸長方向に伸びる。
【0088】
第4の実施形態の成膜装置では、螺旋状の形状物42を設けることにより、排液管30の内部で旋回流が生じやすくなる。このため、排液管30の内部で生じた旋回流により、排液管30の奥へと排出ガスが引き込まれやすくなる。したがって、排液管30を逆流して戻る排出ガスの風圧が抑制される。よって、排出ガスの逆流により液滴の捕集効率が低下することが抑制される。また、旋回流により、排出ガス中の液滴が遠心分離され、排液管30の内壁に付着しやすくなる。したがって、液滴の捕集効率が向上する。
【0089】
以上、第4の実施形態によれば、第2の実施形態と比較して排出ガスに含まれる反応副生成物の液滴の捕集効率が更に向上する。したがって、排気管の閉塞や、排気ポンプの故障の抑制を可能とする成膜装置を提供することが可能となる。また、第4の実施形態は、例えば、螺旋状の形状を有するフレキシブル配管を代用しても同様の効果が得られる。
【0090】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の成膜装置は、第3の配管の内部に、漏斗状の部材を有する点で、第2の実施形態と異なっている。以下、第2の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する場合がある。
【0091】
図12は、第5の実施形態の成膜装置の一部の拡大図である。
図12は、第2の実施形態の
図9に相当する図である。
【0092】
第5の実施形態の成膜装置は、排液管30の内部に、漏斗状の部材44を有する。複数の漏斗状の部材44は、排液管30の内壁に排液管30の伸長方向に並べて配置される。
【0093】
第5の実施形態の成膜装置では、複数の漏斗状の部材44を有することにより、排液管30の内部で液滴が接触する部分の面積が増大する。したがって、液滴の捕集効率が向上する。
【0094】
また、排液管30を逆流して戻る排出ガスの風圧が抑制され、風圧により液滴の捕集効率が低下することが抑制される。
【0095】
以上、第5の実施形態によれば、第2の実施形態と比較して排出ガスに含まれる反応副生成物の液滴の捕集効率が更に向上する。したがって、排気管の閉塞や、排気ポンプの故障の抑制を可能とする成膜装置を提供することが可能となる。
【0096】
(第6の実施形態)
第6の実施形態の成膜装置は、第3の配管の内部に、第3の配管の伸長方向に対して略垂直な面を有するメッシュ状の部材を有する点で、第2の実施形態と異なっている。以下、第2の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する場合がある。
【0097】
図13は、第6の実施形態の成膜装置の一部の拡大図である。
図13は、第2の実施形態の
図8に相当する図である。
【0098】
第6の実施形態の成膜装置は、排液管30の内部に、排液管30伸長方向に対して略垂直な面を有する複数のメッシュ状の部材46を有する。
【0099】
第6の実施形態の成膜装置では、複数のメッシュ状の部材46を有することにより、排液管30の内部で液滴が接触する部分の面積が増大する。したがって、液滴の捕集効率が向上する。
【0100】
以上、第6の実施形態によれば、第2の実施形態と比較して排出ガスに含まれる反応副生成物の液滴の捕集効率が更に向上する。したがって、排気管の閉塞や、排気ポンプの故障の抑制を可能とする成膜装置を提供することが可能となる。
【0101】
(第7の実施形態)
第7の実施形態の成膜装置は、第3の配管の内部に、第3の配管の伸長方向に対して略平行な板状の部材を有する点で、第2の実施形態と異なっている。以下、第2の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する場合がある。
【0102】
図14は、第7の実施形態の成膜装置の一部の拡大図である。
図14は、第2の実施形態の
図9に相当する図である。
【0103】
第7の実施形態の成膜装置は、排液管30の内部に、排液管30の伸長方向に対して略平行な複数の板状の部材48を有する。
【0104】
第7の実施形態の成膜装置では、複数の板状の部材48を有することにより、排液管30の内部で液滴が接触する部分の面積が増大する。したがって、液滴の捕集効率が向上する。
【0105】
以上、第7の実施形態によれば、第2の実施形態と比較して排出ガスに含まれる反応副生成物の液滴の捕集効率が更に向上する。したがって、排気管の閉塞や、排気ポンプの故障の抑制を可能とする成膜装置を提供することが可能となる。
【0106】
(第8の実施形態)
第8の実施形態の成膜装置は、狭窄部の先端が第3の配管の中にある点で、第2の実施形態と異なっている。以下、第2の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する場合がある。
【0107】
図15は、第8の実施形態の成膜装置の一部の拡大図である。
図15は、第2の実施形態の
図9に相当する図である。
【0108】
第8の実施形態の成膜装置は、オリフィス26の先端が排液管30の中に位置する。
【0109】
第8の実施形態の成膜装置では、オリフィス26の先端が排液管30の中に位置することにより、排出ガスの排液管30への導入効率が向上する。したがって、液滴の捕集効率が向上する。
【0110】
以上、第8の実施形態によれば、第2の実施形態と比較して排出ガスに含まれる反応副生成物の液滴の捕集効率が更に向上する。したがって、排気管の閉塞や、排気ポンプの故障の抑制を可能とする成膜装置を提供することが可能となる。
【0111】
(第9の実施形態)
第9の実施形態の成膜装置は、狭窄部が管状である点で、第2の実施形態と異なっている。以下、第2の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する場合がある。
【0112】
図16は、第9の実施形態の成膜装置の一部の拡大図である。
図16は、第2の実施形態の
図9に相当する図である。
【0113】
第9の実施形態の成膜装置は、配管50を有する。配管50は狭窄部の一例である。配管50の形状は、管状である。
【0114】
以上、第9の実施形態によれば、第2の実施形態と同様、排出ガスに含まれる反応副生成物の液滴の捕集効率が向上する。したがって、排気管の閉塞や、排気ポンプの故障の抑制を可能とする成膜装置を提供することが可能となる。
【0115】
(第10の実施形態)
第10の実施形態の成膜装置は、第3の配管の一部が第1の方向に対して斜行する点で、第2の実施形態と異なっている。以下、第2の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する場合がある。
【0116】
図17は、第10の実施形態の成膜装置の一例の模式図である。第10の実施形態の一例の成膜装置は、半導体装置の製造用の成膜装置1000である。第10の実施形態の成膜装置1000は、枚葉式のエピタキシャル膜の成膜装置1000である。
【0117】
第10の実施形態の成膜装置は、排液管30の一部が第1の方向D1に対して斜行する。排液管30の途中に屈曲部30aが設けられる。
【0118】
第10の実施形態の成膜装置では、排液管30の一部が第1の方向D1に対して斜行することにより、排液管30の内部で旋回流が生じやすくなる。このため、排液管30の内部で生じた旋回流により、排液管30の奥へと排出ガスが引き込まれやすくなる。したがって、排液管30を逆流して戻る排出ガスの風圧が抑制される。よって、排出ガスの逆流により液滴の捕集効率が低下することが抑制される。
【0119】
また、排液管30の内部の旋回流により、排出ガス中の液滴が遠心分離され、排液管30の内壁に付着しやすくなる。したがって、液滴の捕集効率が向上する。
【0120】
以上、第10の実施形態によれば、第2の実施形態と比較して排出ガスに含まれる反応副生成物の液滴の捕集効率が更に向上する。したがって、排気管の閉塞や、排気ポンプの故障の抑制を可能とする成膜装置を提供することが可能となる。
【0121】
第1ないし第10の実施形態においては、半導体装置を製造する成膜装置を例に説明したが、本発明は、例えば、液晶装置を製造する成膜装置にも適用することが可能である。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。