【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。1は、本発明の冷却補助容器である。この冷却補助容器1は、飲食物を入れる容器2と、この容器2の側面と底面が嵌合される外容器3と、を備える。
【0018】
容器2は、熱伝導率の高いステンレスやアルマイトなどの金属が用いられると好適であるが、必須というわけではなく、電子レンジで使用できる樹脂を材質としたものであっても構わない。
【0019】
また、容器2は、底面部の面積が広く確保され、若干の深さがあるいわゆるスープ皿のような形状とされ、その開口上面縁部(リム)には底面部に対して平行に外径側に突出した係合部2Aが形成されている。さらに、容器2の係合部2Aの直径対向位置には該係合部2Aからさらに外径方向に延出された取手2a,2aが形成されている。また、容器2の内底面には例えば食材の磨りつぶし用の突起2bが形成されている。
【0020】
なお、容器2は、開口上面縁部に係合部2Aが形成され、かつ外容器3の後述の注ぎ口3Bと水収納部3Aの連通部において該注ぎ口3Bで氷が該水収納部3Aに流入しないように遮る(水は水収納部3Aに流入可能)ことができれば、形状は限定しない。
【0021】
外容器3は、内側に容器2が嵌まるように構成されている。また、外容器3は、倒れにくいように下面(設置面)の方が上面(容器2を挿入する側の面)より面積が大きく、側面視では略台形状とされている。
【0022】
さらに、外容器3は、該外容器3の内側と、嵌合した容器2の外周部と底部と、において水が浸入する隙間が形成され、ここを水収納部3Aとしている。また、外容器3は、例えば容器2が嵌る側部の一部に、外径方向に突出して形成された氷水の注ぎ口3Bが形成されている。つまり、本例では、注ぎ口3Bは、外容器3の内側に嵌合した容器2の側部に面する一部が平面視で該容器2の外側方向に膨出した状態に形成されている。
【0023】
注ぎ口3Bと水収納部3Aとは連通した状態とされ、容器2を外容器3に嵌入することで注ぎ口3Bにおける水収納部3A側への連通部が部分的に遮られる。部分的にとは、本実施例では、具体的には、前記連通部のうち、外容器3の内底近くを除いた部位を意味する。つまり、本発明の冷却補助容器1は、容器2を外容器3に嵌入することで、氷が注ぎ口3Bに滞留して水収納部3Aへ流入しないように構成されている。
【0024】
飲食物を冷却するため、注ぎ口3Bから、例えば立方体形状の氷の入った氷水を注入すると、氷は容器2に遮られて、また、水収納部3Aは、容器2の外面と外容器3の内面によって形成される空間であるが、そもそも水収納部3Aと注ぎ口3Bとの連通部は氷が沈む深さ位置にはなく、また、ブロック状の氷が浸入可能な広さとなっていないので、氷は水収納部3Aへは浸入せず、注ぎ口3Bに滞留し、氷水における水だけが水収納部3Aへ流入することとなる。なお、溶けたり割れた小粒の氷は氷水を注いだいきおいで水収納部3Aへ流入することはある。
【0025】
このように、本発明の冷却補助容器1は、氷を注ぎ口3Bにおいて滞留させ、水収納部3Aでは水だけを流入させる構成とすることで、氷を流入させる空間を確保する必要がない分だけ大型化を抑制できる。
【0026】
また、
図3に示すように、本実施例における冷却補助容器1は、水収納部3Aにおいて、注ぎ口3B側から、離反する方向へ下り勾配の傾斜3Aaが設けられている。この傾斜3Aaを設けることにより、水の温度差による対流を傾斜3Aaによって促進することができる。
【0027】
すなわち、注ぎ口3Bにおいて滞留する氷で冷えた水は水収納部3Aの傾斜3Aaに促されて該水収納部3Aの深い(底)部分へ移動し、水収納部3Aにおいて容器2により温められた水は水収納部3Aの上方へ移動する。
【0028】
このとき、傾斜部3Aaを形成しておけば、注ぎ口3Bで冷えた水の傾斜部3Aaに促された移動により、水収納部3Aにおける全体の水が対流することとなり、容器2を速やかに冷やすことができる。
【0029】
さらに、外容器3は、容器2が嵌入する開口上端における直径対向位置に、該容器2を固定する固定機構3C,3Cを設けている。この固定機構3C,3Cは、容器2の係合部2A(開口上端縁部)をフック状の部材で係合しておく構造としているが、特にこれに限定されない。
【0030】
なお、外容器3は、容器2の係合部2Aの下部が当接する水収納部3Aの開口上縁部にシール部材2cを設けておけば、上記固定機構3C,3Cによって容器2が移動しないように固定しておくことができるうえ、容器2の係合部2Aの裏側と密着することによって、該水収納部3Aの水が該容器2内へ、容器2の飲食物が水収納部3Aへ、流入することを防止できる。
【0031】
また、外容器3における注ぎ口3Bの開口における、容器2から離間する方向の端縁部にはこの端縁部以外と較べて高さの低い段部3Baが形成されている。氷水の入ったコップを注ぎ口3Bから注ぐ際、該コップの開口端部を段部3Baに当接させれば、氷水をこぼすことなく上手く注ぎ口3Bに注ぐことができる。
【0032】
さらに、
図4に示すように、注ぎ口3Bの内側、本実施例では上記段差3Baの下部に、水位(水の量)の目安となる水位表示3aが形成されている。本実施例では、外食産業で利用される一般的なコップの水量である200ミリリットルを目安としている。
【0033】
また、
図5に示すように、外容器3の外周部、本実施例では注ぎ口3Bと直径方向に対向した位置には、内側に抉れた抉れ部3bが形成されている。この抉れ部3bは、例えば冷却補助容器1により容器2内で十分に冷却された飲食物を他の容器に移す際、他の容器の縁を外容器3に接近させて、移しやすくするためのものである。
【0034】
なお、本実施例では、図示していないが、冷却補助容器1には、容器2に対しての蓋を備えていてもよい。蓋を設けておけば、容器2の冷却中、少しの時間でも容器2内の飲食物が外気に接触しないようにでき、衛生的である。
【0035】
また、冷却補助容器1は、注ぎ口3Bの開口を覆う開閉自在な蓋部材を備えておいてもよい。注ぎ口3Bに蓋部材を備えておけば、氷水を注ぐ時以外は蓋部材を閉じた状態として、不意に冷却補助容器1毎移動させても氷水を外容器3外へこぼすことがない。
【0036】
例えば出来たてのお粥は熱くて直ぐに食べることができないが、以上の構成とされた冷却補助容器1における容器2にお粥を入れて、外容器3に容器2を嵌入して注ぎ口3Bから氷水を注げば、該容器2(の内容物であるお粥)が速やかに適度に冷却され、冷めるのを待つ時間が短縮されて早く食べ始めることができる。
【0037】
さらに、本発明の冷却補助容器1は、容器2が電子レンジ使用可能な樹脂製の場合、該容器2に上記で蓋などをして、電子レンジで加熱し、その加熱した後の容器2を外容器3に装着して、氷水を注ぎ口3Bから注いで適温に冷やして飲食するといった使用も可能である。
【0038】
そして、本発明の冷却補助容器1は、水収納部3Aに氷が浸入せず、氷は注ぎ口3Bに滞留させる構成であるため、該水収納部3Aは氷を収納しなくてよい分だけ外形形状を小型化することができ、したがって、外食時に、携帯することができる。