【解決手段】パターン光が投影されている角膜を撮影して、パターン光の反射像を含む角膜撮影像を取得する角膜撮影像取得部と、被検眼の瞳孔径を少なくとも1回以上変化させる瞳孔径変化部と、瞳孔径変化部により瞳孔径が変化されるごとに、パターン光投影光学系によるパターン光の投影と、角膜撮影像取得部による角膜撮影像の取得とを、再実行させる再実行制御部と、角膜撮影像取得部により取得された全ての角膜撮影像から、干渉反射像の検出を行う干渉反射像検出部と、角膜撮影像取得部により取得された角膜撮影像の少なくとも1つから、正常反射像を検出する正常反射像検出部と、正常反射像検出部が検出した正常反射像に基づき、被検眼の角膜形状を演算する角膜形状演算部と、を備える。
前記瞳孔径変化部が、前記被検眼に可視光を投影する可視光投影光学系であって、前記被検眼に投影する前記可視光の光量を変化させることで前記瞳孔径を変化させる可視光投影光学系である請求項1から5のいずれか1項に記載の眼科装置。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[眼科装置の構成]
図1は、本発明の眼科装置10の光学系の配置を示した光学配置図である。ここで、図中のX軸方向は被検者を基準とした左右方向(被検眼Eの眼幅方向)であり、Y軸方向は上下方向であり、Z軸方向は被検者に近づく前方向と被検者から遠ざかる後方向とに平行な前後方向(作動距離方向ともいう)である。
【0029】
図1に示すように、眼科装置10は、被検眼Eの眼特性と、被検眼Eの前眼部の角膜Ecの角膜形状との双方を測定する複合機である。なお、本実施形態では、被検眼Eの眼特性の測定として、被検眼Eの眼屈折力及び眼球波面収差の測定を例に挙げて説明する。また、本実施形態の角膜形状の測定には、角膜Ecのほぼ全領域又は一部の領域の角膜曲率及び曲率半径等の測定の他に、角膜形状から求められる角膜波面収差の測定も含まれるものとする。
【0030】
眼科装置10は、眼特性測定光学系12と、角膜形状測定光学系14と、アライメント光学系16と、固視光学系18とを備える。
【0031】
[眼特性測定光学系]
眼特性測定光学系12は、測定光投影光学系20と第1受光光学系22(本発明の受光部に相当)とを有する。測定光投影光学系20は、被検眼Eの眼底部Efに対して眼特性測定用の測定光L1を投影する。第1受光光学系22は、眼底部Efで反射された測定光L1の反射光を受光して、本発明の反射像に相当する眼特性測定データD1を出力する。
【0032】
<測定光投影光学系>
測定光投影光学系20は、測定光源26と、コリメータレンズ28と、偏光ビームスプリッタ30と、ダイクロイックミラー32と、ダイクロイックミラー34と、対物レンズ36と、光源移動部38と、を有する。
【0033】
測定光源26は、例えば近赤外の波長域の測定光L1をコリメータレンズ28に向けて出射する。この測定光源26としては、例えば、SLD(Super luminescent diode)、レーザ光源、及びLED(Light emitting diode)などが用いられる。また、測定光源26は、光源移動部38により測定光L1の出射方向に平行な方向に沿って移動自在に保持されている。
【0034】
コリメータレンズ28は、測定光源26から入射される測定光L1を平行光とした後、偏光ビームスプリッタ30へ出射する。
【0035】
偏光ビームスプリッタ30は、コリメータレンズ28から入射される測定光L1のP偏光成分をダイクロイックミラー32に向けて反射する。また、偏光ビームスプリッタ30は、ダイクロイックミラー32から入射される眼底部Efからの測定光L1の反射光のS偏光成分を透過して後述の反射鏡40に入射させる。
【0036】
ダイクロイックミラー32は、偏光ビームスプリッタ30から入射される測定光L1をダイクロイックミラー34に向けて反射し、ダイクロイックミラー34から入射される測定光L1の反射光を偏光ビームスプリッタ30に向けて反射し、さらに後述の反射鏡96から入射される固視標光L5を透過してダイクロイックミラー34に入射させる。
【0037】
ダイクロイックミラー34は、ダイクロイックミラー32から入射される測定光L1及び固視標光L5を対物レンズ36に向けて反射し、対物レンズ36から入射される測定光L1の反射光をダイクロイックミラー32に向けて反射する。また、ダイクロイックミラー34は、対物レンズ36から入射される後述のプラチドリング光L2の反射光を透過して後述のハーフミラー70に向けて出射し、ハーフミラー70から入射される後述のXYアライメント光L4を透過して対物レンズ36に向けて出射する。
【0038】
対物レンズ36は、後述のリング光投影光学系52を除く各光学系で共通に用いられ、測定光L1、XYアライメント光L4、及び固視標光L5を被検眼Eに入射させる。
【0039】
<第1受光光学系>
第1受光光学系22は、偏光ビームスプリッタ30、ダイクロイックミラー32,34、及び対物レンズ36を測定光投影光学系20と共有すると共に、反射鏡40と、レンズ42と、コリメータレンズ43と、ハルトマン板44と、エリアセンサ46と、センサ駆動部48と、を有する。
【0040】
反射鏡40は、偏光ビームスプリッタ30から入射される測定光L1の反射光を、レンズ42に向けて反射する。これにより、測定光L1の反射光が、レンズ42を経てコリメータレンズ43にて平行光に変換された後、ハルトマン板44に入射する。
【0041】
ハルトマン板44は、2次元配列された複数のマイクロレンズを有しており、レンズ42から入射する測定光L1の反射光を複数の分割光に分割してエリアセンサ46の受光面に入射させる。
【0042】
エリアセンサ46は、例えばCMOS(complementary metal oxide semiconductor)型又はCCD(Charge Coupled Device)型の撮像素子である。このエリアセンサ46は、ハルトマン板44から入射される複数の分割光を受光(撮像)して、各分割光に対応した複数の点像からなるハルトマン像の画像データを、被検眼Eの眼底部Efの眼特性測定データD1(本発明の反射像に相当)として後述の統括制御部100(
図4参照)へ出力する。
【0043】
センサ駆動部48は、コリメータレンズ43、ハルトマン板44、及びエリアセンサ46を、測定光L1の反射光の入射方向に平行な方向に沿って移動自在に保持する。センサ駆動部48及び既述の光源移動部38は、被検眼Eの屈折度数に応じて、測定光源26と眼底部Efとエリアセンサ46とが略共役な位置関係となるように駆動される。
【0044】
[角膜形状測定光学系]
角膜形状測定光学系14は、リング光投影光学系52と第2受光光学系54とを有する。リング光投影光学系52は、本発明のパターン光投影光学系に相当するものであり、被検眼Eの前眼部の角膜Ecに対してプラチドリング光L2を投影する。また、第2受光光学系54は、本発明の角膜撮影像取得部に相当するものであり、プラチドリング光L2が投影されている角膜Ec(前眼部)を撮影、すなわちプラチドリング光L2の反射光を撮像して、角膜Ecを含む前眼部の撮影画像データD2を出力する。
【0045】
<リング光投影光学系>
リング光投影光学系52は、プラチドリング58と、一対の光源60と、一対のコリメータレンズ62と、を有する。
【0046】
図2は、被検眼E側から見たプラチドリング58の正面図である。
図2及び既述の
図1に示すように、プラチドリング58は略円環状に形成されており、中心開口66と、複数のリングパターン68と、一対の開口69と、を有する。
【0047】
中心開口66は、プラチドリング58の中心部に形成された円状の開口穴であり、その中心が対物レンズ36の光軸と略一致している。この中心開口66を通して、測定光L1、XYアライメント光L4、及び固視標光L5が被検眼Eに入射されると共に、被検眼Eにて反射された反射光が対物レンズ36に入射される。
【0048】
複数のリングパターン68は、対物レンズ36の光軸を中心として同心円状に形成されており、それぞれ光を透過させる。また、プラチドリング58の裏面側(対物レンズ36側)には、各リングパターン68に沿って複数のLED等(図示せず)が配置されている。
【0049】
各リングパターン68は、上述の不図示の各LEDから出射される不可視光(例えば近赤外光)により照明される。これにより、本発明の角膜形状測定用のパターン光として、各リングパターン68をそれぞれ透過した透過光からなるプラチドリング光L2が被検眼Eの角膜Ecに投影されると共に、角膜Ecにて反射されたプラチドリング光L2の反射光が、対物レンズ36に入射される。なお、不可視光であるプラチドリング光L2の波長域は特に限定はされない。
【0050】
一対の開口69は、プラチドリング58の内側から外側に向かって例えば3番目(3番目以外でも可)のリングパターン68の円周上に形成されている。
【0051】
一対の光源60は、一対の開口69にそれぞれ対応してプラチドリング58の裏面側に設けられている。一対の光源60は、それぞれ一対のコリメータレンズ62に向けてZアライメント光L3を出射する。
【0052】
一対のコリメータレンズ62は、一対の光源60から入射されたZアライメント光L3を平行光にした後、一対の開口69に向けてそれぞれ出射する。これにより、一対の開口69をそれぞれ通過した一対のZアライメント光L3が被検眼Eの角膜Ecに投影される。そして、被検眼Eの角膜Ecにて反射された一対のZアライメント光L3の反射光が、既述のプラチドリング光L2の反射光と共に、対物レンズ36に入射される。
【0053】
[第2受光光学系]
図1に戻って、第2受光光学系54は、ダイクロイックミラー34及び対物レンズ36を測定光投影光学系20と共有すると共に、ハーフミラー70と、リレーレンズ72と、結像レンズ74と、エリアセンサ76と、を有する。
【0054】
ハーフミラー70は、後述の反射鏡84から入射されるXYアライメント光L4をダイクロイックミラー34に向けて反射させる。また、ハーフミラー70は、ダイクロイックミラー34から入射されるプラチドリング光L2、一対のZアライメント光L3、及びXYアライメント光L4の各反射光を透過させてリレーレンズ72に入射させる。これにより、各反射光が、リレーレンズ72及び結像レンズ74を介して、エリアセンサ76の受光面に入射される。
【0055】
[アライメント光学系]
アライメント光学系16は、ダイクロイックミラー34、対物レンズ36、及びハーフミラー70を第2受光光学系54と共有すると共に、アライメント光源80と、レンズ82と、反射鏡84と、を有する。
【0056】
アライメント光源80は、XYアライメント光L4をレンズ82に向けて出射する。このXYアライメント光L4は、レンズ82を透過後、反射鏡84、ハーフミラー70、ダイクロイックミラー34、及び対物レンズ36を経て平行光として被検眼Eの角膜Ecに投影される。そして、角膜Ecにて反射されたXYアライメント光L4の反射光は、対物レンズ36、ダイクロイックミラー34、ハーフミラー70、リレーレンズ72、及び結像レンズ74を経て、エリアセンサ76の受光面に入射される。
【0057】
図3は、第2受光光学系54のエリアセンサ76の受光面の正面図である。
図3に示すように、エリアセンサ76はCCD型又はCMOS型の撮像素子である。エリアセンサ76の受光面には、結像レンズ74により、前眼部像に重畳してプラチドリング光L2の反射光に基づく反射像であるプラチドリング像86と、一対のZアライメント光L3の反射光に基づく反射像である一対の輝点像B1と、XYアライメント光L4の反射光に基づく反射像である輝点像B2と、が結像される。
【0058】
エリアセンサ76は、プラチドリング像86、一対の輝点像B1、及び輝点像B2を含む被検眼Eの前眼部の画像を撮像し、撮影画像データD2を後述の統括制御部100(
図4参照)へ出力する。なお、撮影画像データD2は本発明の角膜撮影像に相当する。
【0059】
プラチドリング像86は、本発明のパターン光の(角膜による)反射像に相当するものであり、同心円状の複数(本実施形態では7本)のリング像87により構成された多重リング像である。なお、本実施形態では、プラチドリング像86が7重のリング像87により構成されているが、2重以上のリング像87で構成されていてもよい。以下、各リング像87を、プラチドリング像86の内側から外側に向かって第1リング像87、第2リング像87、…第7リング像87とする。
【0060】
第3リング像87(他のリング像87でも可)と一対の輝点像B1との双方は、被検眼Eに対する眼科装置10のZ軸方向のアライメント状態を示す。さらに、輝点像B2は、被検眼Eに対する眼科装置10のX軸方向及びY軸方向のアライメント状態を示す(特開2011-115387号公報参照)。
【0061】
[固視光学系]
図1に戻って、固視光学系18は、本発明の瞳孔径変化部及び可視光投影光学系に相当するものであり、被検眼Eに対して、被検眼Eの固視又は雲霧のための固視標光L5を投影する。固視光学系18は、ダイクロイックミラー32、ダイクロイックミラー34、及び対物レンズ36を既述の測定光投影光学系20と共有すると共に、光源88と、レンズ90と、固視標92と、レンズ94と、反射鏡96と、視標移動部98と、を有する。
【0062】
光源88は、レンズ90に向けて可視光の波長域の照明光を出射する。この照明光は、レンズ90にて平行光とされた後、固視標92に入射される。
【0063】
固視標92は、例えば風景又は放射線のパターンであり、レンズ90から入射される照明光によって後方から照明される。これにより、固視標92からレンズ94に向けて固視標光L5が出射される。この固視標光L5は、レンズ94、反射鏡96、ダイクロイックミラー32、ダイクロイックミラー34、及び対物レンズ36を経て、被検眼Eに入射され、その眼底部Efに投影される。
【0064】
視標移動部98は、被検眼Eの屈折力に応じて、光源88、レンズ90、及び固視標92を一体に移動させる。これにより、被検眼Eを固視させることができる。さらに、視標移動部98は、被検眼Eの眼屈折力の測定時には、被検眼Eの調節の影響をなくすための雲霧を行う。
【0065】
本実施形態の固視光学系18は、後述の統括制御部100(
図4参照)の制御の下、光源88から出射される照明光の光量、すなわち、被検眼Eに入射させる固視標光L5の光量を変化させる。被検眼Eは、対光反射(対光反応)により入射する可視光(固視標光L5)の光量が増加するほど瞳孔径が小さくなるので、被検眼Eに入射させる固視標光L5の光量を変化させることで、被検眼Eの瞳孔径を変化させることができる。
【0066】
[統括制御部の構成]
図4は、眼科装置10の統括制御部100の機能ブロック図である。
図4に示すように、統括制御部100は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はFPGA(field-programmable gate array)等を含む各種の演算部及びメモリ等から構成された演算回路である。この統括制御部100には、既述の各光学系の他に、操作部102、記憶部104、表示部106、及びアライメント駆動部108が接続されている。そして、統括制御部100は、検者による操作部102への入力操作に応じて、眼科装置10の各部の動作を統括制御する。
【0067】
記憶部104には、被検眼Eの眼特性及び角膜形状の測定結果が記憶される他、眼科装置10による測定を実行させるための測定プログラム(不図示)などが記憶されている。表示部106には、被検眼Eの眼特性及び角膜形状の測定結果等が表示される。アライメント駆動部108は、統括制御部100による制御の下、被検眼Eに対して眼科装置10の各光学系をXYZ軸の各軸方向に相対移動させることにより、被検眼Eに対して眼科装置10をオートアライメントさせる。
【0068】
統括制御部100は、記憶部104から読み出した不図示の測定プログラムを実行することにより、眼特性測定制御部110、第1画像取得部112、眼特性演算部114、角膜形状測定制御部116、第2画像取得部118、アライメント検出部120、干渉リング像検出部122、正常リング像検出部124、及び角膜形状演算部126として機能する。
【0069】
眼特性測定制御部110は、眼科装置10による被検眼Eの眼特性の測定を制御する。この眼特性測定制御部110は、固視光学系18を制御して被検眼Eを雲霧(眼屈折力の測定時)させると共に、眼特性測定光学系12(測定光投影光学系20及び第1受光光学系22)を制御して、被検眼Eの眼底部Efに対する測定光L1の投影と、測定光L1の反射光の撮像及び眼特性測定データD1の出力とを実行させる。
【0070】
なお、被検眼Eの眼特性の測定は、詳しくは後述するが、角膜形状測定光学系14による被検眼Eの角膜形状測定用の1回目の撮影画像データD2の取得後のタイミングであって、且つ固視光学系18により被検眼Eの瞳孔径を変化させる場合にはその変化前のタイミングで実行される。
【0071】
また、被検眼Eの眼特性の測定は必須ではなく、不要であれば省略してもよい。この場合、操作部102に対して眼特性の測定の中止操作を入力することで、眼科装置10による被検眼Eの眼特性の測定が省略される。
【0072】
第1画像取得部112は、既述の第1受光光学系22と共に本発明の眼底像取得部を構成する。この第1画像取得部112は、第1受光光学系22から出力される眼底部Efの眼特性測定データD1を取得して、この眼特性測定データD1を眼特性演算部114へ出力する。
【0073】
眼特性演算部114は、第1画像取得部112から入力された眼特性測定データD1を解析して、被検眼Eの眼屈折力及び眼球波面収差等の眼特性を演算する。なお、眼特性の演算方法については公知技術(特開2011-115387号公報)であるので、ここでは具体的な説明は省略する。そして、眼特性演算部114は、被検眼Eの眼特性の演算結果を記憶部104に記憶させると共に表示部106に表示させる。
【0074】
角膜形状測定制御部116は、眼科装置10による被検眼Eの角膜Ecの角膜形状の測定を制御する。この角膜形状測定制御部116は、最初に、固視光学系18を制御して被検眼Eを固視させると共に、リング光投影光学系52及びアライメント光学系16を制御して、被検眼Eの角膜Ecに対して、プラチドリング光L2、一対のZアライメント光L3、及びXYアライメント光L4を投影する。また、角膜形状測定制御部116は、第2受光光学系54を制御して、各光の反射光、すなわち既述の
図3に示したプラチドリング像86、一対の輝点像B1、及び輝点像B2の撮像と、アライメント検出用の撮影画像データD2の出力とを実行させる。
【0075】
また、角膜形状測定制御部116は、アライメント完了後、角膜形状測定光学系14を制御して、リング光投影光学系52による角膜Ecへのプラチドリング光L2の投影と、第2受光光学系54によるプラチドリング像86の1回目の撮像(取得)及び1回目の撮影画像データD2の出力と、を実行させる。なお、この1回目の撮影画像データD2の出力後、必要に応じて、既述の眼特性測定制御部110によって被検眼Eの眼特性の測定が実行される。
【0076】
さらに、角膜形状測定制御部116は、被検眼Eの眼特性の測定完了後、或いは被検眼Eの眼特性の測定が不要である場合には1回目の撮影画像データD2の出力後に、後述の干渉リング像検出部122からその検出結果を取得する。次いで、角膜形状測定制御部116は、干渉リング像検出部122の検出結果に基づき、固視光学系18による被検眼Eの瞳孔径の変化と、この瞳孔径を変化させた状態での角膜形状測定光学系14による2回目の撮影画像データD2の取得とを実行させる必要があるか否かを判定する。
【0077】
そして、角膜形状測定制御部116は、瞳孔径の変化及び2回目の撮影画像データD2の取得が必要と判定した場合、固視光学系18を制御して、被検眼Eに投影する固視標光L5の光量を増加させることにより、被検眼Eの瞳孔径を変化(縮小)させる。すなわち、被検眼Eを縮瞳させる。次いで、角膜形状測定制御部116は、角膜形状測定光学系14を制御して、角膜Ecに対するプラチドリング光L2の投影と、2回目のプラチドリング像86の撮像及び撮影画像データD2の出力とを再実行させる。
【0078】
第2画像取得部118は、既述の第2受光光学系54と共に本発明の角膜撮影像取得部を構成するものであり、第2受光光学系54から出力される前眼部(角膜Ec)の撮影画像データD2を取得する。この第2画像取得部118は、前述のアライメント駆動部108によるアライメント前に第2受光光学系54からアライメント検出用の撮影画像データD2を取得した場合、この撮影画像データD2をアライメント検出部120へ出力する。また、第2画像取得部118は、アライメント駆動部108によるアライメント後に第2受光光学系54から撮影画像データD2を取得した場合、この撮影画像データD2を干渉リング像検出部122へ出力する。
【0079】
アライメント検出部120は、第2画像取得部118から入力されるアライメント検出用の撮影画像データD2を解析して、既述の
図3に示したように、第3リング像87と一対の輝点像B1との位置関係に基づき、被検眼Eに対する眼科装置10のZ軸方向のアライメント状態を検出する。また、アライメント検出部120は、輝点像B2の位置に基づき、被検眼Eに対する眼科装置10のX軸方向及びY軸方向のアライメント状態を検出する。
【0080】
そして、アライメント検出部120は、XYZ軸の各軸方向のアライメント検出結果をアライメント駆動部108へ出力する。これにより、アライメント駆動部108によって、被検眼Eに対する眼科装置10のオートアライメントが実行される。なお、オートアライメントを実行する代わりに、アライメント検出部120によるアライメント検出結果を表示部106に表示させると共に、操作部102への入力操作に応じてアライメント駆動部108を駆動させる手動アライメントを行ってもよい。
【0081】
図5は、干渉リング像検出部122による撮影画像データD2内の干渉リング像87aの検出を説明するための説明図である。なお、被検眼Eの瞳孔Epと虹彩Eiとの境界を示す撮影画像データD2内の瞳孔縁像Edを明確化するため、
図5の符号5Aに示す撮影画像データD2として、符号5Bに示す撮影画像データD2(前眼部像)からプラチドリング像86を省略したものを図示している。また、以下の説明において「瞳孔Ep」には撮影画像データD2内の瞳孔像が含まれ、且つ「虹彩Ei」には撮影画像データD2内の虹彩像が含まれるものとする。
【0082】
図5及び既述の
図4に示すように、干渉リング像検出部122は、本発明の干渉反射像検出部に相当するものであり、撮影画像データD2を解析して撮影画像データD2内の干渉リング像87aの検出を行う。干渉リング像87aは、本発明の干渉反射像に相当するものであり、プラチドリング像86を構成する各リング像87の中で瞳孔縁像Edに対して少なくとも一部が重なる像である。
【0083】
撮影画像データD2内において瞳孔Epと虹彩Eiと各リング像87とはそれぞれ輝度値が大きく異なる。このため、干渉リング像検出部122は、撮影画像データD2の画素ごとの輝度値を検出する。そして、干渉リング像検出部122は、撮影画像データD2の画素ごとの輝度値に基づき、撮影画像データD2内から、瞳孔Epと虹彩Eiとの境界である瞳孔縁像Ed、瞳孔Epと各リング像87との境界、及び虹彩Eiと各リング像87との境界、をそれぞれ検出する。
【0084】
この際に、例えば第3リング像87が瞳孔縁像Edと完全に重なる場合には、干渉リング像検出部122により瞳孔縁像Edを検出することができない。この場合、干渉リング像検出部122は、瞳孔Ep及び虹彩Eiの双方との境界を有する第3リング像87を干渉リング像87aとして検出する。
【0085】
また、各リング像87の中のいずれかが瞳孔縁像Edの一部と重なる場合、干渉リング像検出部122により瞳孔縁像Edの一部のみが検出される。この場合、干渉リング像検出部122は、各リング像87の中で瞳孔縁像Edに交わる像を干渉リング像87aとして検出する。
【0086】
さらに、各リング像87の中で瞳孔縁像Edに重なる像、すなわち干渉リング像87aが存在しない場合、干渉リング像検出部122により瞳孔縁像Edの全周が検出される。この場合、干渉リング像検出部122は、各リング像87の中に干渉リング像87aが無い旨の検出を行う。
【0087】
このように干渉リング像検出部122は、撮影画像データD2の画素ごとの輝度値の検出結果に基づき、撮影画像データD2内から干渉リング像87aの検出を行う。なお、干渉リング像検出部122が、例えばパターンマッチング法等を用いて撮影画像データD2から瞳孔Ep、虹彩Ei、及び各リング像87を検出し、これらの検出結果に基づき、撮影画像データD2内の干渉リング像87aを検出してもよい。すなわち、干渉リング像検出部122による干渉リング像87aの検出方法は上記の方法に限定はされない。
【0088】
そして、干渉リング像検出部122は、既述の1回目の撮影画像データD2から干渉リング像87aの検出を行った場合、その1回目の検出結果を、正常リング像検出部124と既述の角膜形状測定制御部116とにそれぞれ出力する。
【0089】
角膜形状測定制御部116は、干渉リング像検出部122により1回目の撮影画像データD2から干渉リング像87aが検出されなかった場合、固視光学系18による被検眼Eの縮瞳と、角膜形状測定光学系14による2回目の撮影画像データD2の取得とを中止させる。この場合、角膜形状測定制御部116は、本発明の中止制御部として機能する。
【0090】
一方、角膜形状測定制御部116は、1回目の撮影画像データD2から干渉リング像87aが検出された場合、固視光学系18を制御して、被検眼Eに投影する固視標光L5の光量を増加させる。これにより、被検眼Eが対光反射により縮瞳されて瞳孔Epの瞳孔径が小さくなるので、1回目の撮影画像データD2内の干渉リング像87aと、瞳孔縁像Edとの重なり(干渉)が解消される。
【0091】
次いで、角膜形状測定制御部116は、本発明の再実行制御部として機能し、角膜形状測定光学系14を制御して、プラチドリング光L2の投影と、プラチドリング像86の撮像及び撮影画像データD2の出力とを再実行させる。これにより、第2画像取得部118による2回目の撮影画像データD2の取得と、干渉リング像検出部122による2回目の干渉リング像87aの検出とが繰り返し実行される。そして、干渉リング像検出部122は、その2回目の検出結果を正常リング像検出部124へ出力する。
【0092】
正常リング像検出部124は、本発明の正常反射像検出部に相当するものである。この正常リング像検出部124は、干渉リング像検出部122の検出結果に基づき、1回目及び2回目の撮影画像データD2の少なくとも一方から、瞳孔縁像Edに重ならない各リング像87(第1リング像87から第7リング像87)を、それぞれ第1正常リング像87bから第7正常リング像87bとして検出する(
図6等参照)。
【0093】
正常リング像検出部124は、1回目の撮影画像データD2から干渉リング像87aが検出されなかった場合、すなわち2回目の撮影画像データD2の取得が行われなかった場合、1回目の撮影画像データD2から各リング像87の全てを各正常リング像87b(第1正常リング像87bから第7正常リング像87b)として検出する。
【0094】
一方、正常リング像検出部124は、1回目の撮影画像データD2から干渉リング像87aが検出された場合、すなわち2回目の撮影画像データD2の取得が行われた場合、1回目及び2回目の撮影画像データD2の少なくとも一方から、各正常リング像87bの検出を行う。具体的に正常リング像検出部124は、干渉リング像検出部122の2回目の検出結果に基づき、以下の第1検出方法又は第2検出方法を用いて、各正常リング像87bの検出を行う。
【0095】
図6は、正常リング像検出部124による第1検出方法での各正常リング像87bの検出を説明するための説明図である。
図7の符号7Aは、
図6中の1回目の撮影画像データD2の一例を示した説明図であり、符号7Bは、
図6中の2回目の撮影画像データD2の一例を示した説明図である。
【0096】
図6及び
図7に示すように、正常リング像検出部124は、干渉リング像検出部122により2回目の撮影画像データD2から干渉リング像87aが検出されなかった場合、第1検出方法を用いて各正常リング像87bの検出を行う。具体的に、正常リング像検出部124は、2回目の撮影画像データD2から各リング像87の全てを、第1正常リング像87bから第7正常リング像87bとして検出する。
【0097】
図8は、正常リング像検出部124による第2検出方法での各正常リング像87bの検出を説明するための説明図である。
図9の符号9Aは、
図8中の1回目の撮影画像データD2の一例を示した説明図であり、符号9Bは、
図8中の2回目の撮影画像データD2の一例を示した説明図である。
【0098】
図8及び
図9に示すように、正常リング像検出部124は、干渉リング像検出部122により2回目の撮影画像データD2から干渉リング像87aが検出された場合、第2検出方法を用いて各正常リング像87bの検出を行う。具体的に、正常リング像検出部124は、干渉リング像検出部122による1回目及び2回目の検出結果に基づき、1回目の撮影画像データD2内の干渉リング像87aと、2回目の撮影画像データD2内の干渉リング像87aとをそれぞれ判別する。ここでは、1回目の撮影画像データD2内の第3リング像87と、2回目の撮影画像データD2内の第2リング像87とがそれぞれ干渉リング像87aであるものとする。
【0099】
そして、正常リング像検出部124は、1回目の撮影画像データD2から第2リング像87を第2正常リング像87bとして検出し、2回目の撮影画像データD2から第3リング像87を第3正常リング像87bとして検出する。また、正常リング像検出部124は、残りの各正常リング像87bについては1回目及び2回目のいずれか一方の撮影画像データD2から検出する。
【0100】
このように正常リング像検出部124は、第1検出方法及び第2検出方法のいずれの方法によっても、1回目及び2回目の撮影画像データD2の少なくとも一方から、瞳孔縁像Edに重ならない各リング像87、すなわち各正常リング像87bを検出することができる。そして、正常リング像検出部124は、各正常リング像87bの検出結果を角膜形状演算部126へ出力する。
【0101】
角膜形状演算部126は、正常リング像検出部124から入力される各正常リング像87bの検出結果に基づき、1回目及び2回目の撮影画像データD2の少なくとも一方の各正常リング像87bから、角膜形状及び角膜波面収差を演算する。なお、角膜形状及び角膜波面収差の具体的な演算方法は公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。そして、角膜形状演算部126は、被検眼Eの角膜形状等の演算結果を記憶部104に記憶させると共に表示部106に表示させる。
【0102】
[眼科装置の作用]
図10は、上記構成の眼科装置10による被検眼Eの眼特性及び角膜形状の測定処理(本発明の眼科装置の角膜形状測定方法に相当)の流れを示すフローチャートである。最初に、統括制御部100の角膜形状測定制御部116は、固視光学系18を制御して被検眼Eの眼底部Efに固視標光L5を通常の光量で投影させることにより、被検眼Eを固視させる(ステップS1)。
【0103】
また、角膜形状測定制御部116は、アライメント光学系16及びリング光投影光学系52を制御して、被検眼Eの前眼部にプラチドリング光L2、一対のZアライメント光L3、及びXYアライメント光L4を投影させる。さらに、角膜形状測定制御部116は、第2受光光学系54を制御して、被検眼Eからの各反射光(反射像)の撮像とアライメント検出用の撮影画像データD2の出力とを実行させる。このアライメント検出用の撮影画像データD2は、第2受光光学系54から第2画像取得部118を経てアライメント検出部120に入力される。
【0104】
アライメント検出部120は、第2画像取得部118から入力されたアライメント検出用の撮影画像データD2を解析して、第3リング像87と一対の輝点像B1との位置関係、及び輝点像B2の位置に基づき、被検眼Eに対する眼科装置10のXYZ軸方向のアライメント状態を検出する。そして、アライメント検出部120は、アライメント状態の検出結果をアライメント駆動部108へ出力する。これにより、アライメント駆動部108によって、被検眼Eに対する眼科装置10のオートアライメントが実行される(ステップS2)。なお、既述のようにオートアライメントの代わりに手動アライメントを行ってもよい。
【0105】
上述のアライメントが完了すると、角膜形状測定制御部116は、角膜形状測定光学系14を制御して、リング光投影光学系52から角膜Ecへのプラチドリング光L2の投影(ステップS3)と、第2受光光学系54によるプラチドリング像86の1回目の撮像(取得)及び1回目の撮影画像データD2の出力(ステップS4)と、を実行させる。これにより、1回目の撮影画像データD2が、第2受光光学系54から第2画像取得部118を経て干渉リング像検出部122に入力される。なお、ステップS3は本発明のパターン光投影ステップに相当し、且つステップS4は本発明の角膜撮影像取得ステップに相当する。
【0106】
1回目の撮影画像データD2の取得後、被検眼Eの眼特性を測定する必要がある場合、眼特性測定制御部110は、被検眼Eの眼特性の測定を開始させる(ステップS5でYES)。なお、後述のステップS11以降では被検眼Eを縮瞳させるため、その前に被検眼Eの眼特性の測定を行うことにより、眼特性の測定結果に縮瞳の影響が及ぶことが防止される。
【0107】
眼特性測定制御部110は、既述の固視光学系18を制御して被検眼Eを雲霧させると共に、眼特性測定光学系12を制御して、測定光投影光学系20による被検眼Eの眼底部Efに対する測定光L1の投影(ステップS6)と、第1受光光学系22による測定光L1の反射光の撮像及び眼特性測定データD1の出力(ステップS7)と、を実行させる。これにより、眼特性測定データD1が、第1受光光学系22から第1画像取得部112を経て眼特性演算部114に入力される。そして、眼特性演算部114は、第1画像取得部112から入力された眼特性測定データD1を解析して、被検眼Eの眼屈折力及び眼球波面収差等の眼特性を演算し、この眼特性の演算結果を記憶部104に記憶させると共に表示部106に表示させる(ステップS8)。
【0108】
被検眼Eの眼特性の測定完了後、或いは被検眼Eの眼特性の測定を行わない場合には1回目の撮影画像データD2の取得後(ステップS5でNO)、干渉リング像検出部122は、既述の
図5に示したように、1回目の撮影画像データD2から干渉リング像87aの検出を行う(ステップS9)。なお、ステップS9は、本発明の干渉反射像検出ステップに相当する。そして、干渉リング像検出部122は、干渉リング像87aの1回目の検出結果を正常リング像検出部124と角膜形状測定制御部116とにそれぞれ出力する。
【0109】
角膜形状測定制御部116は、干渉リング像検出部122により1回目の撮影画像データD2から干渉リング像87aが検出されなかった場合、固視光学系18による被検眼Eの縮瞳と、角膜形状測定光学系14による2回目の撮影画像データD2の取得とを中止させる(ステップS10でYES)。この場合には、後述のステップS15に移行する。これにより、1回目の撮影画像データD2から各正常リング像87bの全てを検出可能な場合には、その後の新たな撮影画像データD2の取得を省略させることにより、測定を短時間で終了させることができる。
【0110】
一方、角膜形状測定制御部116は、干渉リング像検出部122により1回目の撮影画像データD2から干渉リング像87aが検出された場合、固視光学系18による被検眼Eの縮瞳と、角膜形状測定光学系14による2回目の撮影画像データD2の取得とを開始させる(ステップS10でNO、本発明の再実行制御ステップに相当)。
【0111】
最初に、角膜形状測定制御部116は、固視光学系18を制御して被検眼Eの眼底部Efに固視標光L5を投影させると共にその光量を増加させる(ステップS11、本発明の瞳孔径変化ステップに相当)。これにより、被検眼Eが固視されると共に対光反射によって縮瞳される。その結果、少なくとも1回目の撮影画像データD2内の干渉リング像87aと、瞳孔縁像Edとの重なりが解消される。なお、本実施形態では、既存の固視光学系18を利用することで、眼科装置10のハードウェア的な変更を行うことなく、被検眼Eを縮瞳させることができる。
【0112】
次いで、角膜形状測定制御部116は、角膜形状測定光学系14を制御して、リング光投影光学系52による角膜Ecへのプラチドリング光L2の投影(ステップS12)と、第2受光光学系54によるプラチドリング像86の2回目の撮像及び2回目の撮影画像データD2の出力(ステップS13)と、を実行させる。これにより、1回目と2回目とで互いに異なる瞳孔径での被検眼Eの角膜Ec(前眼部)の撮影が実行される。
【0113】
そして、干渉リング像検出部122への2回目の撮影画像データD2の入力と、干渉リング像検出部122による2回目の干渉リング像87aの検出及び正常リング像検出部124への検出結果の出力と、が実行される(ステップS14)。なお、ステップS12は本発明のパターン光投影ステップに相当し、ステップS13は本発明の角膜撮影像取得ステップに相当し、さらにステップS14は本発明の干渉反射像検出ステップに相当する。
【0114】
正常リング像検出部124は、1回目の撮影画像データD2から干渉リング像87aが検出されなかった場合、1回目の撮影画像データD2から各正常リング像87bの全てを検出する。
【0115】
一方、正常リング像検出部124は、1回目の撮影画像データD2から干渉リング像87aが検出された場合、干渉リング像検出部122の検出結果に基づき、既述の
図6から
図8に示した第1検出方法又は第2検出方法を用いて、1回目及び2回目の撮影画像データD2の少なくとも一方から各正常リング像87bを個別に検出する(ステップS15)。なお、ステップS15は、本発明の正常反射像検出ステップに相当する。そして、正常リング像検出部124は、各正常リング像87bの検出結果を角膜形状演算部126へ出力する。
【0116】
各正常リング像87bの検出結果の入力を受けた角膜形状演算部126は、1回目及び2回目の撮影画像データD2の少なくとも一方の各正常リング像87bに基づき、角膜形状及び角膜波面収差を演算する(ステップS16、本発明の角膜形状演算ステップに相当)。この角膜形状演算部126による角膜形状等の演算結果は記憶部104に記憶されると共に表示部106に表示される(ステップS17)。
【0117】
[本実施形態の効果]
以上のように本実施形態の眼科装置10では、瞳孔径が異なる同一の被検眼Eの撮影画像データD2を2回取得し、瞳孔縁像Edに重ならない各リング像87(各正常リング像87b)を、1回目及び2回目の撮影画像データD2の中から個別に検出することにより、プラチドリング像86の各リング像87の位置検出誤差を軽減することができる。また、各リング像87の中で3φ(mm)から6φ(mm)の範囲における角膜形状測定に最も重要な部分の形状を正確に測定することができる。その結果、被検眼Eの角膜形状を高精度に測定することができる。
【0118】
[その他]
上記実施形態では、本発明の角膜形状測定用のパターン光として7重のプラチドリング光L2を例に挙げて説明したが、1重又は2重以上のプラチドリング光L2(ケラトリング光を含む)、及び所定パターンのドット光などの角膜形状の測定に利用可能なパターン光であれば特に限定はされない。また、1つ(1種類)のパターン光を被検眼Eに投影してもよいし、或いはプラチドリング光L2のように複数のパターン光を被検眼Eに同時に投影してもよい。
【0119】
上記実施形態では、2回目の撮影画像データD2の取得を行う際に、被検眼Eに投影される固視標光L5の光量を増加させて被検眼Eを縮瞳(瞳孔径を減少)させているが、逆に被検眼Eに投影される固視標光L5の光量を減少させて被検眼Eを散瞳(瞳孔径を増加)させてもよい。
【0120】
上記実施形態では、本発明の瞳孔径変化部及び可視光投影光学系として固視光学系18を例に挙げて説明したが、例えばプラチドリング58の近傍に可視光源を設けて、この可視光源から被検眼Eに可視光を投影させると共に、可視光の光量を変化させてもよい。また、この場合、可視光源は眼科装置10とは別体に設けられていてもよい。
【0121】
上記実施形態では、被検眼Eに投影される固視標光L5(可視光)の光量を変化させることで被検眼Eの瞳孔径を変化させているが、被検眼Eとは反対側の眼に入射させる可視光の光量を変化させることにより、間接対光反射を利用して被検眼Eの瞳孔径を変化させてもよい。また、被検者に対して何らかの刺激を与えることによりその瞳孔径を変化させてもよい。
【0122】
上記実施形態では、固視光学系18により被検眼Eの瞳孔径を1回変化させることで、角膜形状測定光学系14によるプラチドリング光L2の投影及び撮影画像データD2の取得を1回再実行しているが、瞳孔径の変化の回数及び前述の再実行の回数は1回に限定されるものではない。すなわち、固視光学系18により被検眼Eの瞳孔径を複数回変化させることで、角膜形状測定光学系14によるプラチドリング光L2の投影及び撮影画像データD2の取得を複数回再実行してもよい。
【0123】
例えば、正常リング像検出部124が既述の
図6及び
図7に示した第1検出方法のみで各正常リング像87bの検出を行う場合には、干渉リング像検出部122により干渉リング像87aが検出されなくなるまで、固視光学系18による被検眼Eの瞳孔径の変化が繰り返される。また、固視光学系18により被検眼Eの瞳孔径が変化されるごとに、角膜形状測定光学系14によるプラチドリング光L2の投影及び撮影画像データD2の取得が再実行される。
【0124】
上記実施形態では、角膜形状測定光学系14により新たな撮影画像データD2が取得されるごとに、干渉リング像検出部122による干渉リング像87aの検出を実行しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、固視光学系18により被検眼Eの瞳孔径を所定回数(少なくとも1回以上)だけ変化させると共に、角膜形状測定光学系14により所定回数分の撮影画像データD2の取得が実行された後で、干渉リング像検出部122が全ての撮影画像データD2からの干渉リング像87aの検出を実行してもよい。
【0125】
上記実施形態では、角膜形状測定光学系14による1回目の撮影画像データD2の取得と2回目の撮影画像データD2の取得との間に、眼特性測定光学系12による被検眼Eの眼特性の測定を行っているが、この被検眼Eの眼特性の測定を、角膜形状測定光学系14による1回目の撮影画像データD2の取得前に行ってもよい。
【0126】
上記実施形態では、眼科装置10により被検眼Eの眼特性として眼屈折力等を測定する場合を例に挙げて説明を行ったが、眼屈折力以外の各種眼特性[眼圧、眼底の光学断層画像、角膜内皮細胞、及び眼軸長等]の測定を行ってもよい。
【0127】
上記実施形態では、眼科装置10として被検眼Eの眼特性と角膜Ecの角膜形状との双方を測定する複合機を例に挙げて説明したが、本発明の眼科装置には、角膜Ecの角膜形状の測定を行う角膜トポグラファー装置等の角膜形状測定装置、及び角膜Ecの一部の領域の角膜曲率を測定するケラトメータ等も含まれる。