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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-162444(P2019-162444A)
(43)【公開日】2019年9月26日
(54)【発明の名称】薬物送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20190830BHJP
【FI】
   A61M37/00 516
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-82664(P2019-82664)
(22)【出願日】2019年4月24日
(62)【分割の表示】特願2015-559599(P2015-559599)の分割
【原出願日】2014年2月28日
(31)【優先権主張番号】61/770,639
(32)【優先日】2013年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】517284522
【氏名又は名称】ソレント・セラピューティクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル・エフ・ロス
(72)【発明者】
【氏名】ルーク・ヘーガン
(72)【発明者】
【氏名】アレックス・マルキン
(72)【発明者】
【氏名】ディレック・ハチェット
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ・マークス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・リュツオ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA71
4C267CC01
4C267CC05
4C267GG14
4C267GG16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハウジング上部およびハウジング下部を含むハウジングを備える場合がある経皮的薬物送達装置を提供する。
【解決手段】ハウジング下部14は、ハウジング下部16を使用者の皮膚18に取り外し可能なように取り付ける皮膚取り付け手段22を含む底面を画定する場合がある。ハウジング上部は、装置の中央領域30を少なくとも部分的に取り囲む場合がある。装置は、マイクロニードル組立品36および中央領域内に配置されたレザバー38も含む場合がある。レザバーは、マイクロニードル組立品と流体連通する場合がある。さらに、装置は、中央領域内のマイクロニードル組立品の上方に配置された押し要素40を含む場合がある。押し要素は、マイクロニードル組立品を通して伝達される下向きの成分および皮膚取り付け手段を通して伝達される上向きの成分を持つ継続的双方向力を提供するように構成される場合がある。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮的薬物送達装置であって、
ハウジング上部および空洞を画定するハウジング下部を含むハウジングであって、前記ハウジング下部が、前記ハウジング下部を使用者の皮膚に取り外し可能なように取り付けるための皮膚取り付け手段を含む底面を画定し、前記ハウジング上部が前記装置の中央領域を少なくとも部分的に取り囲んでいるハウジングと、
前記中央領域内に配置されたマイクロニードル組立品と、
前記空洞内に配置されたレザバーであって、前記レザバーが前記マイクロニードル組立品と流体連通しているレザバーと、
前記中央領域内の前記マイクロニードル組立品の上方に配置された押し要素であって、前記押し要素が前記マイクロニードル組立品を通して伝達する下向きの成分および前記皮膚取り付け手段を通して伝達される上向きの成分を持つ継続的双方向力を提供するように構成されている押し要素と、を備え、
前記押し要素が、前記ハウジング上部と前記レザバーとの間で圧縮された圧縮コイルバネ、又は、前記ハウジング上部と前記レザバーの間に位置付けられたジャケット内に真空密封されて空気によって拡張可能な材料を備える経皮的薬物送達装置。
【請求項2】
前記レザバーが前記マイクロニードル組立品と前記押し要素の間に配置され、前記継続的双方向力の前記下向きの成分が前記レザバーを通して前記マイクロニードル組立品に伝達される、請求項1に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項3】
前記レザバーが柔軟なブラダーとして構成されている、請求項2に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項4】
前記継続的双方向力の前記下向きの成分が、前記レザバー内に含まれる薬物製剤を加圧する、請求項3に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項5】
前記レザバーが硬質部材として構成され、流体の形態の薬物製剤を含む、請求項2に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項6】
前記継続的双方向力の前記下向きの成分が、前記レザバー内に含まれる前記薬物製剤の圧力を増加させることなく、前記マイクロニードル組立品を通して伝達される、請求項5に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項7】
前記装置の外側領域が、前記皮膚取り付け手段と前記ハウジング下部の前記底面との間の界面に画定され、前記中央領域が、前記マイクロニードル組立品および前記押し要素のフットプリントによって画定され、前記継続的双方向力の前記下向きの成分が、前記中央領域を通して前記マイクロニードル組立品に伝達され、前記継続的双方向力の前記上向きの成分が、前記外側領域を通して前記皮膚取り付け手段に伝達される、請求項1に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項8】
前記マイクロニードル組立品と、前記レザバーと、前記押し要素とが垂直に整列し、前記中央領域が、皮膚貫通部材、前記レザバーおよび前記押し要素のフットプリントによって画定される、請求項7に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項9】
前記ハウジングの下に画定され、前記中央領域と外側領域を分けている中間領域をさらに含み、前記継続的双方向力の前記下向きの成分も前記上向きの成分も前記中間領域を通って伝達されない、請求項7に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項10】
前記継続的双方向力の前記下向きの成分が前記押し要素によって加えられる時、前記マイクロニードル組立品が前記ハウジングに対して動くように構成されている、請求項1に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項11】
前記レザバーの上方に配置されたプランジャーをさらに備え、
前記押し要素が、前記圧縮コイルバネであり、前記圧縮コイルバネが前記ハウジング上部と前記プランジャーとの間で圧縮されている、請求項1に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項12】
前記バネの作動を防ぐように構成されたロック機構をさらに備える、請求項11に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項13】
前記皮膚取り付け手段が、前記ハウジング下部の前記底面と前記使用者の前記皮膚との間に配置された接着層を備える、請求項1に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項14】
前記マイクロニードル組立品が、前記皮膚取り付け手段から分離され、前記皮膚取り付け手段に対して独立して前記使用者の前記皮膚に対する近接離間方向に移動可能である、請求項1に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項15】
経皮的薬物送達装置であって、
空洞を画定する下部ハウジングに取り付けられた上部ハウジングであって、前記下部ハウジングを使用者の皮膚に取り外し可能なように取り付けるための皮膚取り付け手段を含む底面を画定している上部ハウジングと、
開口部を画定し、マイクロニードル組立品を取り囲む前記下部ハウジングであって、前記装置が、前記下部ハウジングが前記マイクロニードル組立品から分離されるように構成されている前記下部ハウジングと、
前記空洞内に配置され、前記マイクロニードル組立品と流体連通しているレザバーと、
前記マイクロニードル組立品と前記上部ハウジングとの間の前記空洞内に配置され、(i)下向き成分を持ち、前記上部および下部ハウジングから分離し、使用者の皮膚に向かって前記マイクロニードル組立品を介して伝達される継続的力、(ii)上向きの成分を持ち、前記マイクロニードル組立品から分離し、前記下部ハウジングに伝達される継続的力を提供するように構成された押し要素と、を備え、
前記押し要素が、前記上部ハウジングと前記レザバーとの間で圧縮された圧縮コイルバネ、又は、前記上部ハウジングと前記レザバーの間に位置付けられたジャケット内に真空密封されて空気によって拡張可能な材料を備える経皮的薬物送達装置。
【請求項16】
前記装置が、前記上部ハウジングと前記押し要素との間に配置された硬質部材をさらに含む、請求項15に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項17】
前記レザバーが、硬質材料を備え、前記押し要素と前記マイクロニードル組立品との間の前記空洞内に位置付けられている、請求項15に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項18】
前記押し要素が、作動前の状態において圧縮されている前記圧縮コイルバネを備える、請求項15に記載の経皮的薬物送達装置。
【請求項19】
前記押し要素が頂部を有するプランジャー及び前記圧縮コイルバネを備え、前記頂部が前記上部ハウジングに画定された開口部を通って延長し、前記頂部が前記上部ハウジングに対して移動可能であり、前記頂部への下向きの力の適用が、前記マイクロニードル組立品に対してさらなる下向きの力を伝達する、請求項15に記載の経皮的薬物送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、マイクロニードル組立品を使用して、皮膚を通して患者に薬物製剤を送達するための装置に一般的に関連する。
【背景技術】
【0002】
多くの装置が、マイクロニードル組立品を使用して、薬物およびその他の医薬品化合物の経皮的送達を行なうために過去に開発されている。マイクロニードルは、大きな従来型の針と比べて、患者に引き起こす痛みが少ないという利点がある。さらに、針を介した薬物の従来的皮下(しばしば、筋肉中)送達は、大量の薬物を一度に送達するように働き、それによって薬物の生物学的利用率のスパイクを生じることがよくある。特定の代謝プロフィールを持つ薬剤では、これは大きな問題ではない。しかし、多くの薬物は、患者の血流中で定常状態濃度を有することによって恩恵を受ける。かかる薬物の周知の例は、インスリンである。経皮的薬物送達装置は技術的に、長期間に渡って一定速度で薬物をゆっくりと投与することができる。従って、経皮的薬物送達装置は、従来的皮下薬物送達方法に対して、いくつかの利点を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、既存の経皮的薬物送達装置は、体内に吸収することができるように、皮膚の角質層の下にすべての薬物を一貫して送達できないことがよくある。これに関しては、針のサイズが小さいために、薬物のすべてまたは一部が、皮膚上面上、または角質層中にのみ送達され、薬物が患者の体の中に吸収されないことがよくある。これはさまざまな理由で起こる可能性がある。例えば、針へかける力が一貫しないこと、または挿入後に針を外側に押すように働く皮膚の自然な弾力性のために、針の深さが、望ましい挿入深さからわずかに後戻りする場合がある。このような小さな針を使用した経皮的送達をさらに複雑にしているのは、皮膚が針と完全な接合を形成する場合があり、薬物が、針に沿って挿入点に向かって上向きに、薬物を体の中に吸収することができる細胞層から遠ざかるように流れる場合があるためである。
【0004】
従って、患者の皮膚を通して薬物製剤を一貫的かつ効果的に送達するための、改善された能力を有する経皮的薬物送達装置に対するニーズがなおも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様および利点は、以下の記述で部分的に説明され、または記述から明らかである場合があり、または本発明の実施を通して習得される場合がある。
【0006】
1つの態様では、本主題は、経皮的薬物送達装置を対象とする。装置は、ハウジング上部およびハウジング下部を含むハウジングを備える場合がある。ハウジング下部は、ハウジング下部を使用者の皮膚に取り外し可能なように取り付ける皮膚取り付け手段を含む底面を画定する場合がある。ハウジング上部は、装置の中央領域を少なくとも部分的に取り囲む場合がある。装置は、マイクロニードル組立品および中央領域内に配置されたレザバーも含む場合がある。レザバーは、マイクロニードル組立品と流体連通する場合がある。さらに、装置は、中央領域内のマイクロニードル組立品の上方に配置された押し要素を含む場合がある。押し要素は、マイクロニードル組立品を通して伝達される下向きの成分および皮膚取り付け手段を通して伝達される上向きの成分を持つ継続的双方向力を提供するように構成される場合がある。
【0007】
別の態様では、本主題は、経皮的薬物送達装置を対象とする。装置は、空洞を画定するハウジング下部に取り付けられたハウジング上部を含む場合がある。ハウジング下部は、ハウジング下部を使用者の皮膚に取り外し可能なように取り付けるための皮膚取り付け手段を含む底面を画定する場合がある。ハウジング下部は、開口部も画定する場合があり、マイクロニードル組立品を取り囲む場合がある。装置は、ハウジング下部がマイクロニードル組立品から分離するように構成される場合がある。さらに、装置は、マイクロニードル組立品と流体連通している空洞内に配置されたレザバーを含む場合がある。さらに、装置は、マイクロニードル組立品とハウジング上部との間の空洞内に配置された押し要素を含む場合がある。押し要素は、ハウジング下部から分離できるように構成される場合があり、(i)下向き成分を持ち、上部およびハウジング下部から分離し、使用者の皮膚に向かってマイクロニードル組立品を介して伝達される継続的力、(ii)上向きの成分を持ち、マイクロニードル組立品から分離し、ハウジング下部に伝達される継続的力を提供する場合がある。
【0008】
さらなる態様では、本主題は、薬物製剤を経皮的に送達するための方法を対象とする。方法は、皮膚に隣接して経皮的薬物送達装置を位置付けることと、装置のハウジングを皮膚取り付け手段を介して皮膚に取り付けることと、押し要素を使用して、装置のマイクロニードル組立品を通して伝達される下向きの成分、および皮膚取り付け手段を通して伝達される上向きの成分を持つ継続的双方向力を加えることと、マイクロニードル組立品からこれを通して皮膚の中へまたは皮膚を通して薬物製剤を送達することと、を一般的に含む場合がある。
【0009】
本発明のこれらおよびその他の特徴、態様および利益は、以下の記述および添付請求項を参照することによってより良く理解されるであろう。本明細書に組み込まれ本明細書の一部を成す添付の図面は、本発明の実施形態を図示し、記述と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0010】
当業者を対象とした、本発明の完全かつ実施可能な開示は、本明細書に記載されており、これは添付図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本主題の態様による、経皮的薬物送達装置の1つの実施形態の組立斜視図を示す。
図2図2は、線2−2について取った図1に示される装置の断面図を示し、特に非作動位置にある装置のさまざまな構成要素を示す。
図3図3は、線2−2について取った図1に示される装置の別の断面図を示し、特に作動位置にある装置のさまざまな構成要素を示す。
図4図4は、図1〜3に示される装置の分解斜視図を示す。
図5図5は、本主題の態様による、経皮的薬物送達装置の別の実施形態の組立斜視図を示す。
図6図6は、線6−6について取った図5に示される装置の断面図を示し、特に非作動位置にある装置のさまざまな構成要素を示す。
図7図7は、図6に示される装置の別の断面図を示し、特に作動位置にある装置のさまざまな構成要素を示す。
図8図8は、図5〜7に示される装置の分解斜視図を示す。
図9図9は、図5〜8に示される装置の双方向押し要素の断面図を示し、特に非作動または非拡張位置にある双方向押し要素を示す。
図10図10は、図5〜8に示される装置の双方向押し要素の別の断面図を示し、特に作動または拡張位置にある双方向押し要素を示す。
図11図11は、開示される経皮的薬物送達装置とともに使用するのに適した、マイクロニードル組立品構成の1つの実施形態の拡大部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本発明の実施形態を詳細に参照するが、1つ以上の例を図に示す。各例は、本発明の説明方法として提供されており、本発明を限定するものではない。実際に、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明に様々な改造および変形をなすことができることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、一つの実施形態の一部として図示または記述される特徴を、別の実施形態とともに使用して、なおさらなる実施形態を生じる可能性がある。したがって、本発明が、添付した請求項の範囲およびそれらの均等物の範囲内に収まるような改造や変形を網羅することが意図される。
【0013】
一般的に、本主題は、薬物製剤を使用者の皮膚内へおよび/または使用者の皮膚を通して送達するように構成される経皮的薬物送達装置を対象とする。装置は、ハウジングの少なくとも一部が使用者の皮膚に取り付けられるように構成されている装置のさまざまな構成要素を、包み込むまたは取り囲むように構成されるハウジングを一般的に含む場合がある。装置は、マイクロニードル組立品と流体連通するレザバーも含む場合がある。レザバーは、マイクロニードル組立品を介して使用者の皮膚を通してその後に送達するために、薬物製剤を保持するように一般的に構成される場合がある。さらに、装置は、装置を通して継続的双方向力を加えるように構成された押し要素を含む場合がある。具体的には、いくつかの実施形態では、押し要素は、マイクロニードル組立品を通して継続的な下向きの力を加え、組立品のマイクロニードルを使用者の皮膚内に押し込むように構成される場合がある。同時に、押し要素は、(ハウジングと皮膚との間に配置された適切な皮膚取り付け手段によって)ハウジングを通して使用者の皮膚に伝達された継続的な上向きの力をハウジングに加え、それによってマイクロニードル組立品の周りの使用者の皮膚を引き締める緊張力を提供して、マイクロニードルの皮膚内への挿入および皮膚内での維持を容易にするように構成される場合がある。
【0014】
ここで図を参照すると、図1〜4は、本主題の態様による、経皮的薬物送達装置10の1つの実施形態のいくつかの図を示す。示されるように、装置10は、装置10のさまざまな構成要素を少なくとも部分的に取り囲むおよび/または包み込むように構成される外側ハウジング12を含む場合がある。一般的に、ハウジング12は、ハウジング上部14と、ハウジング上部14と一体的に形成され、かつ/またはハウジング上部14から延長するハウジング下部16とを含む場合がある。ハウジング上部14は、さまざまな装置構成要素を収納するための開放容積を画定するように一般的に構成される場合がある。例えば、図2および3に示されるように、装置10が使用者の皮膚18上に定置される時、開放容積が、使用者の皮膚18とハウジング上部14の間に画定され、この中に装置構成要素が含まれる場合がある。当然のことながら、ハウジング上部14は、任意の適切な形状を画定するように一般的に構成される場合がある。例えば、例示的実施形態に示されるように、ハウジング上部14は、半円またはドーム形を画定する。しかし、その他の実施形態では、ハウジング上部14は、装置10のさまざまな構成要素を収納するための開放容積を確定する、その他の任意の適切な形状を有する場合がある。
【0015】
ハウジング12のハウジング下部16は、装置10が使用されている時、使用者の皮膚に隣接して位置付けられるように一般的に構成される場合がある。例えば、例示的実施形態に示されるように、ハウジング下部16は、ハウジング下部16の底面20が使用者の皮膚18にすぐ隣接して延長する場合があるように、フランジまたは、ハウジング上部14の底部周縁から外向きに延長する突起として構成される場合がある。さらに、いくつかの実施形態では、ハウジング下部16は、任意の適切な皮膚取り付け手段を使用して、使用者の皮膚18に取り付けるように構成される場合がある。例えば、1つの実施形態では、接着層22は、ハウジング下部16の底面20に塗布される場合がある。従って、装置10が使用者の皮膚18上に定置される時、ハウジング12は、接着層22を介して皮膚18に取り付けられる場合がある。しかし、その他の実施形態では、ハウジング12を使用者の皮膚18に取り付けるために、当技術分野で知られている任意のその他の適切な皮膚取り付け手段を使用してもよい。
【0016】
さらに、特に図2および3に示されるように、装置10の異なるゾーンまたは領域が、ハウジング12によって、および/またはハウジング12内に画定される場合がある。例えば、装置10は、その中心線31の周りに画定された中央領域30を含む場合がある。装置10は、装置10が使用者の皮膚18に取り付けられている場所で、装置の周縁の周りに一般的に画定された外部領域32も含む場合がある。例えば、図2および3に示されるように、外側領域32が、ハウジング下部16の底面20とハウジング12を使用者の皮膚18に固定している接着層22の間の界面に画定される場合がある。さらに、装置10は、中央領域30と外部領域32との間に延長し、これらを分離している中間領域34を含む場合がある。
【0017】
いくつかの実施形態では、装置10は、中央領域30内に少なくとも部分的に配置された1つ以上の構成要素を含む場合がある。例えば、例示的実施形態で示されるように、装置10は、マイクロニードル組立品36と、レザバー38と、中央領域30内に垂直に整列した双方向押し要素40とを含み、このような構成要素のフットプリントは中央領域30の外側周縁を一般的に画定する。下に記述されるように、押し要素40は、マイクロニードル組立品36を使用者の皮膚18の中に押し込むために、中央領域30を通して下向きの力を加えるように構成される場合がある。さらに、押し要素40は、ハウジング12を通して装置10の外側領域32に伝達される上向きの力を中央領域30を通して加え、それによって接着層22を介して使用者の皮膚18に上向きの力を提供するようにも構成される場合がある。
【0018】
一般的に、装置10のマイクロニードル組立品36は、例えば、適切な基質またはサポートから外向きに延長する複数のマイクロニードルを含むように構成するなどの、流体薬物製剤を使用者の皮膚18内へおよび/または使用者の皮膚18を通して送達するための、本技術分野で知られている任意の適切な構成を有する場合がある。例えば、適切なマイクロニードル組立品構成の1つの実施形態の部分断面図が図11に示されている。図のように、マイクロニードル組立品36は、上面44と底面46を画定するサポート42と、底面46から外向きに延長する複数のマイクロニードル48と、を含む場合がある。サポート42は、金属材料、セラミック材料、プラスチック材料、および/またはその他任意の適切な材料などの、硬質、半硬質、または柔軟な材料シートから一般的に作られる場合がある。さらに、サポート42は、その上面44と底面46との間に、薬剤製剤がその間を流れることができる1つ以上の開口部を画定する場合がある。例えば、図11に示されるように、単一開口部50が、サポート42の各マイクロニードル48の場所に画定され、薬物製剤を上面44からこのようなマイクロニードル48に送達できるようになる。しかし、その他の実施形態では、サポート42は、各マイクロニードル48の場所に、および/または各マイクロニードルから間隔を置いて位置付けられたその他の任意の数の開口部50を画定する場合がある。
【0019】
さらに、図11に示されるように、マイクロニードル組立品36の各マイクロニードル48は、サポート42の底面46に隣接して位置付けられ、かつ/または底面から延長するベース52と、ベース52の反対側に配置された先端54との間に延長する、貫通または針様形状(例えば、円錐またはピラミッド形状または円錐またはピラミッド形状に移行する円筒形状)を画定するように一般的に構成される場合がある。一般的に理解されているように、先端54は、サポート42から最も離れて配置される各マイクロニードル48の先端に対応する場合があり、各マイクロニードル48の最小寸法を画定する場合がある。さらに、各マイクロニードル48は、そのベース52とその先端54との間に、マイクロニードル48が角質層を貫通して表皮内へと通過するために十分な任意の適切な長さ51を一般的に画定する場合がある。いくつかの実施形態では、マイクロニードルが表皮の内面を通って真皮内に貫通しないように、マイクロニードル48の長さ51を制限することが望ましい場合がある。このような実施形態は、薬物製剤を投与される患者の痛みを最小化するのに有利に役立つ。例えば、1つの実施形態では、各マイクロニードル48の長さ51を、約800μm未満、約750μm未満、または約500μm、およびその間のその他任意の部分的範囲など、約1000マイクロメートル(μm)未満に画定する場合がある。特定の実施形態では、長さ51は、約100μm〜1000μmまたは約200μm〜約1000μmおよびその間のその他任意の部分的範囲など、約25μm〜約1000μmの範囲である場合がある。
【0020】
当然のことながら、マイクロニードル48の長さ51は、開示された装置が使用者に使用される場所によって異なる場合がある。例えば、使用者の脚に使用される装置のマイクロニードル48の長さは、使用者の腕に使用される装置のマイクロニードル48の長さとは実質的に異なる場合がある。
【0021】
さらに、各マイクロニードル48は、任意の適切なアスペクト比(すなわち、各マイクロニードル48の断面寸法53に対する長さ51)を一般的に画定する場合がある。しかし、特定の実施形態では、アスペクト比は、3より大きい、または4より大きいなど、2より大きい場合がある。当然のことながら、断面寸法53(例えば、幅、直径など)が各マイクロニードル26の長さ(例えば、図11に示されるように)に対して異なる場合、アスペクト比は平均断面寸法53に基づいて決定される場合がある。
【0022】
さらに、各マイクロニードル48は、サポート42に画定される開口部50と流体連通する1つ以上のチャネル56を画定する場合がある。一般的に、チャネル56は、各マイクロニードル48上および/または各マイクロニードル48内の任意の適切な位置に画定される場合がある。例えば、図11に示されるように、1つの実施形態では、チャネル56は、各マイクロニードル48の外部表面に沿って画定される場合がある。別の実施形態では、チャネル56は、各マイクロニードル48が中空のシャフトを形成するように、マイクロニードル48の内部を通って画定される場合がある。いずれにしても、チャネル56は、薬物製剤がサポート42の上面44から、開口部50を通って、チャネル56の中に流れることを可能にする経路を形成し、その時点で薬物製剤が使用者の皮膚18内におよび/または使用者の皮膚18を通って送達されてもよいように一般的に構成される場合がある。
【0023】
当然のことながら、チャネル56は、任意の適切な断面形状を画定するように構成される場合がある。例えば、1つの実施形態では、各チャネル56は、半円または円の形状を画定する場合がある。別の実施形態では、各チャネル56は、「V」型またはその他任意の適切な断面形状など、円以外の形状を画定する場合がある。
【0024】
いくつかの実施形態では、マイクロニードル48によって画定されたチャネル56の寸法は、薬物製剤の毛細管流動を誘導するために特に選択される場合がある。一般的に理解されているように、毛細管流動は、チャネルの壁に対する流体の接着力が液体分子間の粘着力よりも大きいときに発生する。具体的には、チャネル内の毛細管圧は、チャネルの断面寸法に反比例し、対象流体の表面エネルギーに、流体とチャネルの間に画定される界面での接触角のコサインをかけたものに正比例する。従って、マイクロニードル組立品36を通した薬物製剤の毛細管流動を促進するため、チャネル56の断面寸法58(図11)(例えば、直径、幅など)を選択的に制御する場合があり、寸法が小さいほど一般に毛細管圧が高くなる。例えば、いくつかの実施形態では、断面寸法58は、各チャネル56の断面積が、約1,250平方マイクロメートル(μm)〜約60,000μm、または約6,000μm〜20,000μm、およびその間のその他任意の部分的範囲など、約1,000μm〜約125,000μmの範囲になるように選択される場合がある。
【0025】
当然のことながら、図11は、適切なマイクロニードル組立品構成の一部のみを示し、従って装置10内で使用されるマイクロニードル組立品36は、そのサポート42から延長する任意の数のマイクロニードル48を一般的に含む場合がある。例えば、1つの実施形態では、マイクロニードル組立品36内に含まれるマイクロニードル48の実際の数は、約50マイクロニードル/平方センチメートル(cm)〜約1250マイクロニードル/2、または100マイクロニードル/cm〜約500マイクロニードル/cm、およびその間のその他任意の部分的範囲など、約10マイクロニードル/cm〜約1,500マイクロニードル/cmの範囲である場合がある。
【0026】
これも当然のことながら、マイクロニードル48は、さまざまな異なるパターンでサポート42上に一般的に配置される場合があり、このようなパターンは、任意の特定の使用のために設計されうる。例えば、1つの実施形態では、マイクロニードル48は、長方形もしくは正方形の格子、または同心円など、均一な様式で離間される場合がある。このような実施形態では、マイクロニードル48の間隔は、多くの要因に一般的に依存し、これにはマイクロニードル48の長さおよび幅、並びにマイクロニードル48を通して送達されることが意図されている薬物製剤の量とタイプが含まれるがこれに限定されない。非限定的例として、本発明での使用に適したマイクロニードル配列としては、国際特許公開第2012/020332号(Ross)、国際特許公開第2001/0270221号(Ross)、および国際特許公開第2011/070457号(Ross)に記述されるものが挙げられる。
【0027】
戻って図1〜4を参照すると、上述のように、開示された装置10は、マイクロニードル組立品36と流体連通しているレザバー38も含む場合がある。具体的には、図2および3に示されるように、レザバー38は、装置10の中央領域30内のマイクロニードル組立品36の上方に位置付けられる場合がある。いくつかの実施形態では、レザバー38は、マイクロニードル組立品36の一部に取り付けられるように構成される場合がある。例えば、図2および3に示されるように、接着層60が、マイクロニードル組立品36をレザバー38に固定するために、レザバー38の底面62とマイクロニードル組立品36の上面との間(すなわち、サポート42の上面44)に配置される場合がある。
【0028】
一般的に、レザバー38は、任意の適切な構造を有する場合があり、かつ/または薬物製剤のマイクロニードル組立品36へのその後の送達の前に、レザバー38が初めに薬物製剤を保持することを可能にする任意の適切な材料から形成される場合がある。従って、当然のことながら、本書で使用される場合、「レザバー」という用語は、流体薬物製剤を保持するように構成された装置10内の任意の適切な指定エリアまたはチャンバーを一般的にさす。例えば、例示的実施形態に示されるように、レザバー38は、薬物製剤を保持するための開放容積または空洞64を画定する硬質または半硬質部材として構成される場合がある。しかし、その他の実施形態では、レザバー38は、その他の任意の適切な構成を持つ場合がある。例えば、別の実施形態では、レザバー38は、柔軟なブラダーとして構成される場合がある。さらなる実施形態では、レザバー38は、透過性、半透過性または微小孔性固体基質など、それを通して薬物製剤を方向付けることができる固体容器または基質として構成される場合がある。またさらなる実施形態では、レザバー38は、硬質部材内に含まれるか、または硬質部材によって遮蔽された柔軟なブラダーを備える場合がある。
【0029】
当然のことながら、任意の適切な薬物製剤は、レザバー38内に保持され、マイクロニードル組立品36を介して使用者の皮膚18を通してその後送達される場合がある。本書で使用される場合、「薬物製剤」という用語は、その最も広い意味で使用され、任意の薬物(例えば、原薬形態の薬物)および/または薬物を含む任意の溶液、乳剤、懸濁液および/または同種の物を含む場合があるがこれに限定されない。同様に、「薬物」という用語は、その最も広い意味で使用され、薬効を持つまたは持つとされる任意の化合物を含み、これには規制化合物または非規制化合物の両方を含む。例えば、適切なタイプの薬物には、生物製剤、小分子薬剤、ワクチン、タンパク性化合物、抗感染剤、ホルモン、心臓作用または血流を調整する化合物、疼痛管理剤などを含む場合があるがこれに限定されない。当業者であれば、薬効を持つまたは持つとされる化合物を生成するために、任意の適切な様式でさまざまな原料を一緒に混ぜ合わせる場合があることを容易に理解するはずである。
【0030】
これも当然のことながら、薬物製剤は、さまざまな異なる方法でレザバー38に供給される場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、薬物製剤は、レザバー38の一部を通して画定された入口チャネル66を介して供給される場合がある。このような実施形態では、適切な導管、ポート、またはチューブ68(例えば、微小孔チューブまたはその他任意の適切な柔軟チューブ)は、入口チャネル66内に受け入れられるように構成される場合があり、薬物製剤が入口チャネル66を通してレザバー38内へと方向付けられてもよいように、適切な薬物源(例えば、薬物製剤を含むシリンジ)と流体連通する場合がある。他の実施形態では、薬物製剤は、その他の任意の適切な手段/方法を使用して、レザバー38に供給される場合がある。例えば、レザバー38は、装置10に組み立てられる前に事前充填または事前チャージされるように構成される場合がある。
【0031】
さらに、図4に特に示されるように、装置10は、レザバー38とマイクロニードル組立品36との間に配置される流量制御膜70も含む場合がある。一般的に、流量制御膜70は、薬物製剤がレザバー38から放出される時、その流量を遅くするかまたはその他の方法で制御するように構成される場合がある。流量制御膜70の特定の材料、厚さなどは、当然ながら薬物製剤の粘性、望ましい送達時間など複数の要因に基づき変化する場合がある。
【0032】
いくつかの実施形態では、流量制御膜70は、任意の適切な透過性、半透過性、または微小孔性材料から製作される場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、流量制御膜70を形成するために使用される材料は、約1ミクロン〜約500ミクロン、または約20ミクロン〜約200ミクロン、およびその間のその他任意の部分的範囲など、約0.01ミクロン〜約1000ミクロンの平均細孔径を有する場合がある。さらに、特定の実施形態では、流量制御膜70を形成するために使用される材料は、約0.1ミクロン〜約0.9ミクロン、または約0.25ミクロン〜約0.75ミクロン、およびその間のその他任意の部分的範囲など、約0.01ミクロン〜約1ミクロンの範囲の平均細孔径を有する場合がある。適切な薄膜材料としては、例えば、繊維性ウェブ(例えば、織布または不織布)、開口フィルム、発泡体、スポンジなどが挙げられ、これらは、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸ポリビニル、エチレン酢酸n−ブチル、およびエチレン酢酸ビニル共重合体などのポリマーから形成される。
【0033】
引き続き図1〜4を参照すると、装置10は、レザバー38のすぐ上方に位置付けられたプランジャー72も含む場合がある。一般的に、プランジャー72は、ハウジング12内に含まれるさまざまな構成要素が、(マイクロニードル組立品36の底部がハウジング下部16の底面20と概して整列しているかまたは底面に対して引っ込んでいる)非作動位置(図2)と、(マイクロニードル組立品36がハウジング下部16の底面20を超えて外向きに延長し、それによって組立品36のマイクロニードル48が使用者の皮膚18を貫通できるようにする)作動位置(図3)との間で移動する際、ハウジング12に対して移動するように構成される場合がある。図2〜4に示されるように、一つの実施形態では、プランジャー72は、ハウジング12に画定された対応する開口部76内にスライド可能に受け入れられるように構成される円筒形の頂部74と、レザバー38と係合するかまたはその他の方法でレザバーにすぐ隣接して位置付けられるように構成される平らな底部部分78と、を一般的に含む場合がある。このような実施形態では、プランジャー72がハウジング12に対して下向きに移動する時、プランジャー72の底部部分78は、マイクロニードル組立品36を使用者の皮膚18の中に下向きに押し込む力をレザバー38に対して加える場合がある。
【0034】
さらに、上述のように、開示された装置10は、装置10の中央領域30内に配置された双方向押し要素40も含む場合がある。一般的に、押し要素40は、装置10を通して使用者の皮膚18に継続的な双方向力(下向きの成分と上向きの成分の両方を持つ)を加えるように構成される任意の適切なバイアス機構および/または力を加える手段としてもよい。例えば、図示される実施形態に示されるように、押し要素40は、ハウジング12とプランジャー72との間に圧縮された圧縮コイルバネを備える。従って、使用中に装置10が作動位置へと移動する時(図3)、バネは、ハウジング12およびプランジャー72に対して、装置10を通して使用者の皮膚18に伝達される継続的な双方向力を加えるように構成される場合がある。具体的には、組立品36のマイクロニードル48が使用者の皮膚18内に押し込まれ、その中に維持されるように、力の下向きの成分(図3の矢印84によって示される)は、装置10の中央領域30を通して(すなわち、プランジャー72およびレザバー38を通して)マイクロニードル組立品36へと下向きに伝達される場合がある。同様に、力の上向きの成分(図3の矢印86によって示される)は、装置10の中央領域30を通ってハウジング12へと上向きに伝達される場合があり、それによって使用者の皮膚18から遠ざかるようにハウジング12を押す場合がある。しかし、ハウジング12は、その外側周縁の周りで(すなわち、装置10の外側領域32で)使用者の皮膚18に取り付けられるので、このような上向きの力は、上向きの緊張力を使用者の皮膚18に提供するために、ハウジング12および接着層22を通して一般的に伝達される場合がある。したがって、マイクロニードル48が使用者の皮膚18内に下向きに押されると、使用者の皮膚18は同時に、装置10の周縁の周りで上向きに引っ張られる場合があり、それによってマイクロニードル組立品36の周りの皮膚18を引き締め、そこでマイクロニードル48を使用者の皮膚18内に挿入し皮膚18内に維持する場合があるのを容易にする。
【0035】
いくつかの実施形態では、装置10は、装置10が使用されていない時、装置構成要素を非作動位置に維持するように構成されるロック機構も含む場合がある。例えば、図1に示されるように、ロックピン80を、ハウジング上部14の反対側と係合し、それによってバネを圧縮または非作動状態に維持するように、プランジャー72内に画定された開口部82を通して延長するように構成する場合がある。しかし、ロックピン80が取り外された時、継続的な双方向の力が装置10を通して使用者の皮膚18に伝達されるように、バネは圧縮開放される場合がある。代替的実施形態では、ロック機構は、その他任意の適切な構成を有し、かつ/または装置10のその他任意の適切な構成要素と関連する場合がある。
【0036】
当然のことながら、バネ/ロックピン80の配設の代替として、プランジャー72は、当技術分野で知られているその他任意の適切な配設および/または構成を使用して、非作動位置と作動位置の間で移動する場合がある。例えば、別の実施形態では、ハウジング上部14の頂部を越えて外向きに延長するプランジャー72の頂部74は、プランジャー72を作動位置に手動で下向きに押すための押しボタンとして使用される場合がある。このような実施形態では、バネ40がプランジャー72を非作動位置へと付勢するように、バネ40の底部は、例えばプランジャー72に結合される場合がある。
【0037】
例示的実施形態では、レザバー38は硬質または半硬質部材として構成される場合があるので、押し要素40によって加えられる力は、薬物製剤自体に伝達される代わりに、レザバー38の本体を通して伝達されることに注意すべきである。従って、マイクロニードル48は、薬物製剤の圧力を増やすことなく、またはその他の方法で薬物製剤に著しい下向きの力を加えることなく、使用者の皮膚18内に押し込まれる場合がある。言い換えると、押し要素40は、作動されかつマイクロニードル組立品36に下向きの力を加えている時、装置を通って出て、かつマイクロニードルチャネル56を通って皮膚に入る流動薬物に圧力をかけない。
【0038】
ここで図5〜10を参照すると、本主題の態様による、経皮的薬物送達装置110の別の実施形態のいくつかの図が示されている。示されるように、装置110は、装置110のさまざまな構成要素を少なくとも部分的に取り囲むおよび/または包み込むように構成された外側ハウジング112を含む場合がある。一般的に、ハウジング112は、ハウジング上部114およびハウジング下部116を含む場合がある。しかし、図1〜4を参照した上述のハウジング12とは異なり、ハウジング上部114およびハウジング下部116は、別々に互いに取り付けられるように構成された別々の構成要素を備える場合がある。例えば、図6〜8に示されるように、1つの実施形態では、ハウジング上部114の底部周辺面117は、接着剤、熱接合/溶接またはその他任意の適切な取り付け手段を使用して、ハウジング下部116の上面118に固定されるように構成される場合がある。
【0039】
一般的に、ハウジング上部114は、さまざまな装置構成要素を収納するための開放容積を画定する外側シェルとして構成される場合がある。例えば、図6および7に示されるように、ハウジング112が組み立てられた時、開放容積は、ハウジング上部114とハウジング下部116との間に画定され、この中に装置構成要素が少なくとも部分的に含まれる場合がある。当然のことながら、ハウジング上部114は、任意の適切な形状を画定するように構成される場合がある。例えば、例示的実施形態に示されるように、ハウジング上部114は、半円またはドーム形を一般的に画定する。しかし、他の実施形態では、ハウジング上部114は、装置10のさまざまな構成要素を収納するための開放容積を画定する、その他の任意の適切な形状を有する場合がある。
【0040】
ハウジング112のハウジング下部116は、装置110が使用されている時、使用者の皮膚18に隣接して位置付けられるように一般的に構成される場合がある。例えば、例示的実施形態に示されるように、ハウジング下部116は、ハウジング下部116の底面120が使用者の皮膚18にすぐ隣接して延長してもよいように、ハウジング上部114の底部周辺面117から内向きと外向き両方に延長するように構成された平らなパネルを備える場合がある。さらに、図8に示されるように、ハウジング下部116は、それを通って使用者の皮膚18にアクセスできる中央開口部121を画定する場合がある。例えば、以下に記述されるように、装置110のマイクロニードル組立品136は、このような組立品が使用者の皮膚18を貫通できるように、開口部121を通って延長するように構成される場合がある。
【0041】
さらに、いくつかの実施形態では、ハウジング下部116は、任意の適切な皮膚取り付け手段を使用して、使用者の皮膚18に取り付けるように構成される場合がある。例えば、1つの実施形態では、接着剤122は、ハウジング下部116の底面120に塗布される場合がある。従って、装置10が使用者の皮膚18上に定置される時、ハウジング112は、接着層122を介して皮膚18に取り付けられる場合がある。しかし、その他の実施形態では、当技術分野で知られている任意のその他の適切な皮膚取り付け手段を使用して、ハウジング112を使用者の皮膚18に取り付ける場合がある。
【0042】
当然のことながら、いくつかの実施形態では、ハウジング112が使用者の体の形状に概して合うように、および/または皮膚18への適正な接着を促進するために、ハウジング上部114およびハウジング下部116の両方が、柔軟なポリマー材料などの比較的柔軟な材料から形成される場合がある。このような実施形態では、装置110は、装置110に構造的サポートを提供するために、ハウジング上部114とハウジング下部116との間に延長する硬質サポート部材124も含む場合がある。例えば、図8に示されるように、サポート部材124は、比較的平らなプラットフォーム125を画定する場合がある。双方向押し要素が、作動した時、この表面との確実および/または均一な係合を達成できるように、プラットフォーム125の平らな下側は、1つの態様では、双方向押し要素に対して平らなまたは実質的に平らな表面を提供する。さらに、サポート部材124は、プラットフォーム125から上向きに延長する外向きの突起126をさらに含む場合がある。さらに、図8に示されるように、ハウジング上部114は、突起126を受け入れるように構成されたサポート開口部128を画定するように構成される場合がある。従って、突起126がサポート開口部128内に受け入れられる時、ハウジング上部114の少なくとも一部がプラットフォーム125に接触し、プラットフォームによって支持される場合がある。さらに、サポート部材124の頂部も、装置110を使用者の皮膚18に取り付けた時、それを通して使用者が力を加える場合がある耐荷重面を提供する場合がある。
【0043】
図1〜4を参照した上述の実施形態と同様に、装置110は、ハウジング112によって画定されるおよび/またはハウジング112内にある異なるゾーンまたは領域を含む場合がある。例えば、図6および7に示されるように、装置110は、その中心線131の周りに画定される中央領域130を含む場合がある。装置110は、装置110が使用者の皮膚18に取り付けられている場所で、一般的に画定される外側領域132も含む場合がある。例えば、図6および7に示されるように、外側領域132は、ハウジング下部116の底面120と接着層122との間の界面に画定される場合がある。さらに、装置110は、中央領域130と外側領域132との間に延長し、これらを分離している中間領域134も含む場合がある。
【0044】
いくつかの実施形態では、装置110は、中央領域130内に少なくとも部分的に配置された1つ以上の構成要素を含む場合がある。例えば、図示される実施形態で示されるように、装置110は、マイクロニードル組立品136と、レザバー138と、中央領域130内に垂直に整列した双方向押し要素140と、を含む場合があり、マイクロニードル組立品136および押し要素140のフットプリントは中央領域130の外側周縁を一般的に画定する。下に記述されるように、押し要素140は、マイクロニードル組立品136を使用者の皮膚18の中に押し込むために、中央領域130を通して下向きの力を加えるように構成される場合がある。さらに、押し要素140は、ハウジング112を通して装置110の外側領域132に伝達される上向きの力を中央領域130を通して加え、それによって接着層122を介して使用者の皮膚18に対して上向きの力を提供するようにも構成される場合がある。
【0045】
一般的に、マイクロニードル組立品136は、上述のマイクロニードル組立品36と同じまたは同様に構成される場合がある。例えば、図11に示されるように、いくつかの実施形態では、マイクロニードル組立品136は、上面44および底面46を持ち、上面44と底面46との間に複数の開口部50を画定するサポート42を含む場合がある。さらに、マイクロニードル組立品136は、底面46から外向きに延長する複数のマイクロニードル48も含む場合がある。上述のように、各マイクロニードル48は、開口部50と流体連通しているチャネル56を画定する場合がある。従って、装置110内に含まれる薬物製剤は、使用者の皮膚18へのその後の送達のために、サポート42の上面44から開口部50を通り、マイクロニードル48内へと方向付けられる場合がある。
【0046】
さらに、上述の実施形態と同様に、装置110のレザバー138は、マイクロニードル組立品136への製剤のその後の送達前に、薬物製剤が当初保持される場合がある任意の適切な指定エリアまたはチャンバーとして、一般に構成される場合がある。例えば、図示される実施形態に示されるように、レザバー138は、柔軟なブラダーとして構成される場合がある。具体的には、図8に示されるように、レザバー138は、柔軟な頂部層142および柔軟な底部層144を含む場合があり、頂部層142および底部層144は、その縁146の周りで互いに固定されるように構成される。このような実施形態では、レザバー138内に保持された薬物製剤をマイクロニードル組立品136に送達できるように、レザバー138の底部層144は、マイクロニードル組立品136と流体連通している開口部または窓148を画定する場合がある。例えば、図8に示されるように、レザバー138がマイクロニードル組立品136のすぐ上方に位置付けられた時、薬物製剤が窓148を通って、マイクロニードル組立品136の上面(すなわち、サポート42の上面44)に沿って方向付けられるように、窓148は、底部層144に画定される場合がある。
【0047】
当然のことながら、薬物製剤は、さまざまな異なる方法でレザバー138に供給される場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、薬物製剤は、レザバー138の頂部層142(または底部層144)に画定される入口開口部150を介して供給される場合がある。このような実施形態では、薬物製剤が入口開口部150を通してレザバー138内へと方向付けられてもよいように、適切な導管、ポート、および/またはチューブは、入口開口部150および適切な薬物源(例えば、薬物製剤を含むシリンジ)の両方と流体連通する場合がある。例えば、図6〜8に示されるように、薬物製剤が、底部端154を通して画定された供給チャネル156を介して入口開口部150に送達されるように、供給ポート152は、入口開口部150の周りでレザバー138に固定/密閉されるように構成された底部端154を含む場合がある。さらに、図5に示されるように、供給ポート152の頂部端158は、ハウジング上部114に画定されたポート開口部160を通って延長するように構成される場合がある。このように、頂部端158は、薬物製剤を供給ポート152内に注入できるように、使用者または医療専門家によってアクセスされる場合がある。表示されてはいないが、供給ポート152は、薬物製剤がポート152を通ってレザバー138の方向に(すなわち、頂部端158から底部端154に)流れることができるようにし、このような薬物製剤の反対方向へ(すなわち、底部端154から頂部端158へ)の流れを防ぐように、一方向弁を含むようにも構成される場合がある。
【0048】
その他の実施形態では、薬物製剤は、その他の任意の適切な手段/方法を使用して、レザバー138に供給される場合がある。例えば、1つの実施形態では、レザバー138は、装置10に組み立てられる前に事前充填または事前チャージされるように構成される場合がある。
【0049】
さらに、開示された装置110は、薬物製剤がマイクロニードル組立品136中に放出される際、その流量を遅くする、またはその他の方法で制御するために、流量制御膜170も含む場合がある。具体的には、図8に示されるように、流量制御膜170は、薬物製剤が窓148を介してレザバー138を出る前に流量制御膜170を通過するように、レザバー窓148の周縁の周りでレザバー138内に固定されるように構成される場合がある。しかし、他の実施形態では、流量制御膜170は、レザバー138の底部層144とマイクロニードル組立品136との間の窓148の場所に位置付けられる場合がある。当然のことながら、流量制御膜170は、膜170が、任意の適切な透過性、半透過性、または微小孔性材料から作成されることにより、レザバー138とマイクロニードル組立品136との間を流れている薬物製剤の流量を制御できるようにすることなど、上述の流量制御膜70と同じまたは同様に一般的に構成される場合がある。
【0050】
さらに図5〜10を参照すると、上述のように、装置110は、装置110の中央領域130内に配置された双方向押し要素140も含む場合がある。一般的に、押し要素140は、装置110を通して使用者の皮膚18に対して継続的な双方向力(下向きの成分と上向きの成分の両方を持つ)を加えるように構成される、任意の適切な付勢機構および/または力を加える手段を備える場合がある。例えば、図示される実施形態に示されるように、押し要素140は、ハウジング上部114とレザバー138との間に位置付けられた拡張可能部材を備える場合がある。拡張可能部材は、部材が装置100の中央領域130を通していかなる力も伝達しない非拡張状態(図6および9)と、中央領域130を通して継続的な双方向の力を加えるように部材が外向きに拡張する拡張または作動状態(図7および10)と、になるように一般に構成される場合がある。例えば、図9および10に特に示されるように、拡張可能部材は、非拡張状態にある時第1の高さ172を、そして作動状態にある時に第2の高さ174を画定するように構成される場合がある。
【0051】
このような拡張は、拡張可能部材が、装置110の中央領域130を通して、継続的な下向きの力および継続的な上向きの力の両方を加えるための手段を一般的に提供する場合がある。具体的には、力の下向きの成分(図7の矢印184によって示される)は、組立品136のマイクロニードル48を、中央開口部121(図8)を通して延長し、かつ使用者の皮膚18内に押し込み、その中に維持するように、中央領域130を通して(例えば、レザバー138を通って)マイクロニードル組立品136へと下向きに伝達される場合がある。当然のことながら、このような実施形態では、レザバー138内の流体は、双方向押し要素140によって加えられる下向きの圧力要素の結果、加圧される。同様に、力の上向きの成分(図7の矢印186によって示される)は、中央領域130を通して(例えば、サポート部材124を通して)ハウジング112へと上向きに伝達される場合があり、それによって使用者の皮膚から遠ざかるようにハウジング112を押す。しかし、ハウジング112は、その外側周縁の周りで(すなわち、装置110の外側領域132で)使用者の皮膚18に取り付けられるので、このような上向きの力は、上向きの緊張力を使用者の皮膚18に対して提供するように、ハウジング112を通して接着層122に一般的に伝達される場合がある。したがって、マイクロニードル48は使用者の皮膚18内に下向きに押されると、使用者の皮膚18は装置の周縁の周りで上向きに引っ張られ、それによってマイクロニードル組立品36の周りの皮膚18を引き締め、そこにおいてマイクロニードル48が使用者の皮膚18内に挿入され皮膚内に維持されるのをさらに容易にする場合がある。
【0052】
特に図9および10に示されるように、いくつかの実施形態では、拡張可能部材は、適切な外側被覆またはジャケット178内に真空密封された拡張可能材料176(例えば、圧縮フォーム)を含む場合がある。このように、拡張可能部材を、真空を開放して、ジャケット178内に空気を流入させることによって、作動する場合がある。例えば、図示される実施形態に示されるように、ピールストリップまたは取り外し可能タブ180を使用して、ジャケット178内に画定されたジャケット開口部182を露出することによって、拡張可能部材を作動させてもよい。具体的には、図9に示されるように、取り外し可能タブ180は、開口部182を密封し、ジャケット178内の真空を維持するために、最初はジャケット開口部182の上に位置付けられる場合がある。しかし、取り外し可能タブ180が引かれるかまたは開口部から剥がされると(例えば、タブ109の露出端188を引くことによって)、密封が破られて空気がジャケット178内に流入し、それによってその中に含まれる拡張可能材料176が外向きに拡張することができる場合がある。このような実施形態では、タブ180の部分は、ハウジング112内に画定される対応する開口部またはスロット190を通して延長し、使用者がタブ180を引くかまたは開口部182から剥がせるように構成される場合がある。当然のことながら、ジャケット178は、伸縮性、弾性、オーバーサイズである場合があり、かつ/またはそこに含まれる拡張可能材料176の拡張を可能にするその他任意の適切な構成を有する場合がある。
【0053】
代替的実施形態では、ジャケット178内に含まれる真空は、その他任意の適切な作動手段を使用して開放される場合がある。例えば、別の実施形態では、ピン、針またはその他の貫通機構がジャケット178を貫通し、それによって開口部を作って真空を開放するように、押しボタンまたはその他の構成要素を押すように構成される場合がある。
【0054】
さらに、当然のことながら、レザバー138は柔軟なブラダーとして構成されているので、レザバー138は、押し要素140によって加えられる下向きの力によって加圧される場合がある。このように、レザバー138内に含まれる薬物製剤の圧力が増加する場合があり、それによって、レザバー138からマイクロニードル組立品136への製剤の流れを促進する場合がある。
【0055】
上述のように、中央領域30、130および外側領域32、132を持つことに加えて、本開示の装置10、110は、中央領域30、130と外側領域32、132との間に画定され、これらを分けている中間領域34、134も含む場合がある。いくつかの実施形態では、装置10、110の中間領域34、134は、それに沿っては装置10、110が使用者の皮膚18に接触しないエリアに対応する場合がある。例えば、図2および3に示されるように、装置10の中間領域34は、ハウジング12の下の、接着層22と、マイクロニードル組立品36、レザバー38および押し要素40によって画定されるフットプリントの間に画定される開放空間に対応する場合がある。同様に、図6および7に示されるように、装置110の中間領域134は、ハウジング112の下の、接着層122と、マイクロニードル組立品136および押し要素140によって画定されるフットプリントの間に画定される開放空間に対応する場合がある。それ故に、力が、それぞれマイクロニードル組立品36、136および接着層22、122を通して使用者の皮膚18に伝達される中央および外側領域とは異なり、中間領域34、134を通して使用者の皮膚18に伝達される力は実質にないか、または全くない。このように、いくつかの実施形態では、中間領域34、134の幅192は、中央領域30、130を通して皮膚18に加えられる下向きの力、および外側領域34、134を通して皮膚18に加えられる上向きの力が互いに十分離間されるように選択される場合がある。例えば、1つの実施形態では、中間領域34、134の幅は、約1ミリメートル(mm)〜約10mm、または約2mm〜約5mm、およびその間の任意のその他の部分的範囲など、約0.5mm〜約15mmの範囲である場合がある。
【0056】
ハウジング下部116とマイクロニードル組立品136の分離または機能分離は、2つの要素がもう一方とは独立して動くこと、および実質的に反対の力の成分をそれらに伝達することを可能にする。さらに、マイクロニードル組立品136、押し要素140、およびハウジング上部114の重ね合わせは、(例えば、ハウジング上部114を介した)ハウジング下部116への継続的な上向きの力、およびマイクロニードル組立品136への継続的な下向きの力の同時適用を可能にする。しかし、当然のことながら、これらのほぼ反対の力の独立した伝達を効率的に可能にするためには、押し要素140とハウジング下部116も互いに分離または機能分離することになる。
【0057】
さらに、当然のことながら、いくつかの実施形態では、本開示の押し要素40、140の構成(例えば、バネのバネ定数または拡張可能部材の拡張定数)は、マイクロニードル組立品36、136に伝達される一定力が、マイクロニードル48が使用者の皮膚18を貫通し、薬物製剤の送達の間その中に留まるのに十分であるように選択される場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、押し要素40、140は、装置10、110を通して加えられる力の上向きおよび下向きの成分が、約0.15ニュートン(N)〜約10N、または約0.25N〜約5N、およびその間のその他すべての部分的範囲など、約0.1N〜約20Nの範囲となるように構成される場合がある。
【0058】
これも当然のことながら、本主題の代替的実施形態では、押し要素40、140は、継続的な双方向の力を提供する能力があるその他任意の適切な要素および/または部材を備える場合がある。例えば、1つの実施形態では、押し要素40、140は、ハウジング12、112内に位置付けられた、ソレノイド作動シリンダーまたはその他任意の適切なアクチュエータなどの機械的アクチュエータを備える場合がある。さらなる実施形態では、押し要素40、140は、装置10、110を通して継続的な双方向の力を機械的に加えるため、ハウジング12、112内にネジ止めされるよう構成されたネジ付きボルトまたはネジを備える場合がある。またさらに、ブラダーまたはその他の要素を、ポンプまたはその他の機構などによって、空気圧で拡張させる場合がある。
【0059】
さらに、当然のことながら、皮膚取り付け手段(例えば、接着層22、122)は、使用者の皮膚18に力の上向きの成分を伝えるのに十分な表面積を提供するために、任意の適切な幅194を画定するように一般的に構成される場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、皮膚取り付け手段の幅194は、約5ミリメートル(mm)〜約25mm、または約10mm〜約25mm、およびそれらの間の任意のその他の部分的範囲などの、約5mm〜約30mmの範囲である場合がある。
【0060】
上述のように、本主題は、薬物製剤を経皮的に送達するための方法も対象とする。方法には、皮膚18に隣接して経皮的薬物送達装置10、110を位置付けることと、押し要素40、140を使用して、装置10、110のマイクロニードル組立品36、136を通して伝達される下向きの成分、および装置10、110の皮膚取り付け手段22、122を通して伝達される上向きの成分を持つ継続的双方向力を加えることとを一般的に含む場合がある。
【0061】
この書面による記述は、最良モードを含めて本発明を開示するため、ならびに任意の当業者が、任意の装置またはシステムを作成および使用し、任意の組み込まれた方法を実施することを含めて本発明を実施することを可能にするためにも、実施例を使用している。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が考え付くその他の例を含む場合がある。このようなその他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造的要素を含む場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言葉からわずかに異なる同等の構造的要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内となることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2019年4月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央領域と、前記中央領域を囲む外側領域とを有する薬物送達装置であって、
少なくとも部分的に該薬物送達装置の前記中央領域を画定するハウジング上部、及び少なくとも部分的に前記外側領域を画定するハウジング下部を含むハウジングと、
前記中央領域内に配置されたマイクロニードル組立品と、
前記中央領域内に配置され、前記マイクロニードル組立品と流体連通しているレザバーと、
前記中央領域内の前記マイクロニードル組立品の上方に配置され、前記マイクロニードル組立品を通して伝達する下向きの成分及び前記ハウジングを通して伝達される上向きの成分を有する継続的双方向力を提供するように構成されている押し要素と、を備え、
前記マイクロニードル組立品が前記ハウジング下部から独立して動くように構成された薬物送達装置。
【請求項2】
前記レザバーが前記マイクロニードル組立品と前記押し要素の間に配置され、前記継続的双方向力の前記下向きの成分が前記レザバーを通して前記マイクロニードル組立品に伝達される、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項3】
前記レザバーが柔軟な部材を含み、前記継続的双方向力の前記下向きの成分が、前記レザバーを加圧する、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項4】
前記レザバーが薬物製剤を含有し、前記継続的双方向力の前記下向きの成分が、前記レザバー内の前記薬物製剤に働く、請求項3に記載の薬物送達装置。
【請求項5】
前記レザバーが、薬物製剤を含有する硬質部材として構成され、前記継続的双方向力の前記下向きの成分が、前記レザバー内に含まれる前記薬物製剤の圧力を増加させることなく、前記マイクロニードル組立品を通して伝達される、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項6】
前記継続的双方向力の前記下向きの成分が、前記中央領域を通して前記マイクロニードル組立品に伝達され、前記継続的双方向力の前記上向きの成分が、前記中央領域を通して前記ハウジング上部に伝達される、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項7】
前記継続的双方向力の前記下向きの成分が前記押し要素によって加えられる時、前記マイクロニードル組立品が前記ハウジングに対して動くように構成されている、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項8】
前記押し要素が、前記ハウジング上部と前記レザバーとの間で圧縮されているバネを備える、請求項1に記載の薬物送達装置。
【請求項9】
前記レザバーの上方に配置されたプランジャーをさらに備え、
前記バネが前記ハウジング上部と前記プランジャーとの間で圧縮されている、請求項8に記載の薬物送達装置。
【請求項10】
薬物送達装置であって、
ハウジング下部と、
前記ハウジング下部に取り付けられたハウジング上部と、
協働して空洞を画定する前記ハウジング上部及び前記ハウジング下部に取り囲まれ、前記ハウジング下部から分離している、マイクロニードル組立品と、
前記空洞内に配置され、前記マイクロニードル組立品と流体連通しているレザバーと、
前記マイクロニードル組立品及び前記ハウジング上部との間の前記空洞内に配置され、前記ハウジング下部から独立して動き、かつ該薬物送達装置を通して継続的双方向力を提供するように構成された押し要素と、を備える薬物送達装置。
【請求項11】
前記継続的双方向力が、(i)前記マイクロニードル組立品を介して伝達される下向きの成分と、(ii)前記ハウジング下部に伝達される上向きの成分とを備え、前記上向きの成分が前記マイクロニードル組立品から分離されるように構成される、請求項10に記載の薬物送達装置。
【請求項12】
前記レザバーが薬物製剤を含有し、
前記継続的双方向力の前記下向きの成分が、前記レザバー内に含まれる前記薬物製剤の
圧力を増加させることなく、前記マイクロニードル組立品を通して伝達される、請求項11に記載の薬物送達装置。
【請求項13】
前記レザバーが前記マイクロニードル組立品と前記押し要素の間に配置され、前記継続的双方向力の前記下向きの成分が前記レザバーを通して前記マイクロニードル組立品に伝達される、請求項11に記載の薬物送達装置。
【請求項14】
前記押し要素が、作動可能であり、作動前の状態において圧縮されている部材を備える、請求項10に記載の薬物送達装置。
【請求項15】
前記ハウジング上部が開口部を画定し、前記押し要素の頂部が前記開口部を通って延出し、前記頂部が前記ハウジング上部に対して移動可能であり、前記頂部への下向きの力の適用が、前記マイクロニードル組立品に対してさらなる下向きの力を伝達する、請求項10に記載の薬物送達装置。
【請求項16】
前記マイクロニードル組立品と、前記レザバーと、前記押し要素とが垂直に整列する、請求項10に記載の薬物送達装置。
【請求項17】
中央領域と、前記中央領域を囲む外側領域とを有する薬物送達装置であって、
該薬物送達装置の前記中央領域内に配置されたマイクロニードル組立品と、
前記中央領域内に配置され、薬物製剤を含有し、前記マイクロニードル組立品と流体連通しているレザバーと、
前記中央領域内の前記マイクロニードル組立品の上に配置され、前記マイクロニードル組立品を通して伝達される下向きの成分、及び前記レザバーを通して伝達される上向きの成分を有する継続的双方向力を提供する、押し要素と、を備え、
前記レザバーが、前記マイクロニードル組立品と前記押し要素との間に配置され、
前記継続的双方向力の前記下向きの成分が、前記レザバー内の前記薬物製剤の圧力を増加させることなく、前記レザバーを通して前記マイクロニードル組立品に伝達される、薬物送達装置。
【請求項18】
ハウジング上部とハウジング下部とを含むハウジングをさらに備え、
前記マイクロニードル組立品は、前記ハウジング下部とは独立して動くように構成される、請求項17に記載の薬物送達装置。
【請求項19】
ハウジング上部とハウジング下部とを含むハウジングをさらに備え、
前記押し要素は、前記ハウジング上部と前記レザバーとの間で圧縮されたバネを備える、請求項17に記載の薬物送達装置。