【実施例】
【0022】
以下本発明の一実施例による高所作業車用バスケットを説明する。
図1は、本実施例による高所作業車用バスケットの外観斜視図である。
本実施例による高所作業車用バスケットは、作業者H1(
図14参照)が搭乗する台座10と、台座10の周囲に配置される周囲フレーム20と、台座10の周囲で周囲フレーム20の間に形成される乗降口30とを備えている。
本実施例による高所作業車用バスケットは、乗降口30の少なくとも一部に、スロープ40を設けている。スロープ40は、第1スロープ40Aと第2スロープ40Bとで構成されている。
乗降口30には、第1乗降口扉50と第2乗降口扉60を有している。
【0023】
乗降口30として、第1乗降口扉50で覆われる第1乗降口31と、第2乗降口扉60で覆われる第2乗降口32とが形成される。
乗降口30の一方の側縁には支柱21が配置されている。支柱21は周囲フレーム20の一部を構成している。
第1乗降口扉50は、支柱21に一端を回動自在に設けた複数の第1横方向部材51と、これらの第1横方向部材51の他端に回動自在に設けた第1縦方向部材52とを有している。
第2乗降口扉60は、複数の第2横方向部材61と、これらの第2横方向部材61の端部を連結した一対の第2縦方向部材62とを有している。
第2乗降口32には、第2乗降口扉60の上方に手摺りバー70を備えている。手摺りバー70は、乗降口30の他方の側縁を回動支点71としている。
図1に示すように、手摺りバー70の移動端72を第1縦方向部材52に係合させることで乗降口30を覆う乗降口閉状態となる。
このように、手摺りバー70によって第1乗降口扉50の動作を規制でき、乗降口30を確実に閉状態とすることができる。
【0024】
図2は、第2乗降口開状態を示す本実施例による高所作業車用バスケットの外観斜視図である。
第2乗降口扉60は、下端63を支点として回動動作を行う。
第2乗降口扉60は、回動動作によって、
図1に示すように第2乗降口32を覆う第2乗降口閉状態と、
図2に示すように第2乗降口32を開放して作業者H1が歩行できる第2乗降口開状態とになる。
乗降口30の下方には軸81を備え、第2乗降口扉60の下端63には軸81を受ける軸受が設けられている。
スロープ40は、スロープ閉状態では、第1乗降口扉50の少なくとも一部を覆い、第2乗降口扉60を覆わない。このように、スロープ閉状態では、スロープ40は第2乗降口扉60を覆わないため、スロープ閉状態で第2乗降口扉60を利用できる。
【0025】
手摺りバー70は、移動端72と第1縦方向部材52との係合を解除し、回動支点71を中心にして移動端72を第2乗降口32の上方に移動する。移動端72と第1縦方向部材52との係合を解除することで、第1乗降口扉50は移動可能な状態となる。また、第2乗降口扉60が第2乗降口開状態であれば、移動端72を第2乗降口32の上方に移動することで、第2乗降口32は全開状態となる。
このように、車椅子H2(
図14参照)又は車輪付資器材の乗降の必要が無いときには第2乗降口扉60によって作業者H1が乗降を行える。
【0026】
図3は、第1乗降口開状態及び第2乗降口開状態を示す本実施例による高所作業車用バスケットの外観斜視図である。
スロープ40は、下端41を支点として回動動作を行う。第1スロープ40Aと第2スロープ40Bとは、それぞれ独立して回動動作を行うことができる。
第1スロープ40Aと第2スロープ40Bとがそれぞれ独立して回動動作を行うことができるため、第1スロープ40Aと第2スロープ40Bとのそれぞれの上端42の接地高さが異なっても、がたつきを生じることなく安定したスロープ開状態とすることができる。
【0027】
スロープ40は、回動動作によって、
図1に示すように乗降口30の少なくとも一部を覆うスロープ閉状態と、
図3に示すように乗降口30の少なくとも一部を開放して車椅子H2又は車輪付資器材が走行できるスロープ開状態とになる。
図3では、更に、第2スロープ40Bが第1スロープ40Aに対して離間する方向に移動した状態を示している。
スロープ40の下端41には軸81を受ける軸受が設けられている。
軸81には、ストッパー82を設けてあり、第1スロープ40Aは軸81に沿って摺動することが規制され、第2スロープ40Bは、ストッパー82と第2乗降口扉60との間で軸81に沿って摺動する。
第2乗降口扉60は、第2スロープ40Bと同様に軸81に沿って摺動し、スロープ40に対して離間可能に移動することができる。
第2乗降口扉60をスロープ40に対して離間させることができるので、第2スロープ40Bを第1スロープ40Aに対して離間することができ、車椅子H2や車輪付資器材の乗降に必要な空間を確保でき、車幅の異なる車椅子H2や車輪付資器材に対応できる。
【0028】
第1乗降口扉50は、
図1に示すように第1縦方向部材52を乗降口30に位置させることで第1乗降口31を覆う第1乗降口閉状態となり、
図3に示すように第1縦方向部材52を乗降口30より上方に移動させることで第1乗降口31を開放する第1乗降口開状態となる。
このように、第1乗降口扉50が上方への移動により第1乗降口開状態となるため、第1乗降口扉50が車椅子H2や車輪付資器材の乗降に支障を与えることが少ない。
【0029】
図4は、本実施例による高所作業車用バスケットの外観要部斜視図である。
第1乗降口扉50は、
図4(a)に示すように第1縦方向部材52の上端を手摺りバー70の移動端72に係合させるとともに、
図4(b)に示すように第1縦方向部材52の下端を固定具53で固定している。第1乗降口扉50を第1乗降口開状態とするには、固定具53を解除する。
図4(a)に示すように、第1乗降口扉50は、第1横方向部材51に止め具54を設けている。スロープ40は、スロープ閉状態では止め具54によって規制される。スロープ40をスロープ開状態とするには、止め具54を解除する。
【0030】
本実施例による高所作業車用バスケットは、前方の一側方に操作盤90を配置し、操作盤90を除く前方位置を乗降口30とし、第1乗降口31を前方の他側方に配置し、第2乗降口32を前方の中央に配置している。更に、軸81を乗降口30の下方だけでなく操作盤90の下方にも延出して設けている。
従って、
図3に示すように、第2乗降口扉60を操作盤90の下方に移動させることができ、第1スロープ40Aに対する第2スロープ40Bの移動距離を大きくできるため、限られた横幅のバスケットにおいても、車幅の広い車椅子H2や車輪付資器材に対応することができる。
【0031】
以下本発明の他の実施例による高所作業車用バスケットを説明する。
図5は、本実施例による高所作業車用バスケットの外観斜視図である。
本実施例による高所作業車用バスケットは、作業者H1が搭乗する台座10と、台座10の周囲に配置される周囲フレーム20と、台座10の周囲で周囲フレーム20の間に形成される乗降口30とを備えている。
本実施例による高所作業車用バスケットは、乗降口30の少なくとも一部に、スロープ40を設けている。スロープ40は、台座側スロープ40Cと延長用スロープ40Dとで構成され、踏み板には、滑りを生じないように、鉄製、ステンレス製、又はアルミ製のエキスパンドメタルを用いている。アルミ製のエキスパンドメタルが最も適している。
乗降口30には、第1乗降口扉50と第2乗降口扉60を有している。
【0032】
乗降口30として、第1乗降口扉50で覆われる第1乗降口31と、第2乗降口扉60で覆われる第2乗降口32とが形成される。
乗降口30(第1乗降口31)の一方の側縁には支柱21が配置されている。支柱21は周囲フレーム20の一部を構成している。
第2乗降口扉60は、複数の第2横方向部材61と、これらの第2横方向部材61の端部を連結した一対の第2縦方向部材62とを有している。
第2乗降口32には、第2乗降口扉60の上方に手摺りバー70を備えている。手摺りバー70は、乗降口30(第2乗降口32)の他方の側縁を回動支点71としている。
このように、手摺りバー70によって第1乗降口扉50の動作を規制でき、乗降口30を確実に閉状態とすることができる。
なお、第1乗降口扉50は、スロープ閉状態にあるスロープ40の側端を固定する固定具53と、スロープ閉状態にあるスロープ40の上端を固定する止め具54とを備えている。スロープ40をスロープ開状態とするには、固定具53及び止め具54を解除する。
【0033】
図6は、第2乗降口開状態を示す本実施例による高所作業車用バスケットの外観斜視図である。
第2乗降口扉60は、下端63を支点として回動動作を行う。
第2乗降口扉60は、回動動作によって、
図1に示すように第2乗降口32を覆う第2乗降口閉状態と、
図6に示すように第2乗降口32を開放して作業者H1が歩行できる第2乗降口開状態とになる。
第2乗降口扉60の下端63には軸受が設けられている。
スロープ40は、スロープ閉状態では、第1乗降口扉50の少なくとも一部を覆い、第2乗降口扉60を覆わない。このように、スロープ閉状態では、スロープ40は第2乗降口扉60を覆わないため、スロープ閉状態で第2乗降口扉60を利用できる。
【0034】
手摺りバー70は、回動支点71を中心にして移動端72を第2乗降口32の上方に移動する。第2乗降口扉60が第2乗降口開状態であれば、移動端72を第2乗降口32の上方に移動することで、第2乗降口32は全開状態となる。
このように、車椅子H2又は車輪付資器材の乗降の必要が無いときには第2乗降口扉60によって作業者H1が乗降を行える。
【0035】
図7は、第1乗降口開状態及び第2乗降口閉状態を示す本実施例による高所作業車用バスケットの外観斜視図である。
台座側スロープ40Cは、台座10に対して下端41を支点として回動動作を行う。延長用スロープ40Dは、台座側スロープ40Cに対して動作する。延長用スロープ40Dは、スロープ閉状態では、台座側スロープ40Cに重ねることができ、スロープ開状態では、台座側スロープ40Cから展開して用いることができる。なお、本実施例では、延長用スロープ40Dは、台座側スロープ40Cに対して回動動作することで台座側スロープ40Cから展開させているが、台座側スロープ40Cに対して摺動動作することで台座側スロープ40Cから展開させてもよい。
このように、スロープ閉状態では、延長用スロープ40Dを、台座側スロープ40Cに重ねることでスロープ40の高さを低くすることができ、スロープ開状態では、延長用スロープ40Dを、台座側スロープ40Cから展開することでスロープ40を長くできるため、スロープ40の傾斜を小さくでき、車椅子H2や車輪付資器材を乗降させやすい。
【0036】
スロープ40は、下端41を支点として回動動作させることで、
図5に示すように乗降口30の少なくとも一部、すなわち第1乗降口31を覆うスロープ閉状態と、
図7に示すように乗降口30の少なくとも一部、すなわち第1乗降口31を開放して車椅子H2又は車輪付資器材が走行できるスロープ開状態とになる。
図7では、延長用スロープ40Dを、台座側スロープ40Cから展開した状態を示しているが、延長用スロープ40Dを台座側スロープ40Cから展開させずに用いることもできる。
【0037】
第1乗降口扉50は、支柱21に一端を回動自在に設けた複数の第1横方向部材51と、これらの第1横方向部材51の他端に回動自在に設けた第1縦方向部材52とを有している。
図7に示すように、手摺りバー70の移動端72を第1縦方向部材52に係合させることで第1乗降口31、及び第2乗降口32を覆う乗降口閉状態となる。なお、移動端72と第1縦方向部材52との係合を解除することで、第1乗降口扉50は移動可能な状態となる。
【0038】
図8は、第1乗降口の開動作途中状態を示す本実施例による高所作業車用バスケットの要部外観斜視図、
図9は、第1乗降口開状態を示す本実施例による高所作業車用バスケットの外観斜視図である。
【0039】
第1横方向部材51の一端側回動支点51aは支柱21に回動自在に設け、第1横方向部材51の他端側回動支点51bは第1縦方向部材52に回動自在に設けている。
第1乗降口扉50は、
図7に示すように第1縦方向部材52を乗降口30に位置させることで第1乗降口31を覆う第1乗降口閉状態となり、
図8に示すように第1縦方向部材52を、台座10に設けた係合部11との係合を解除して台座10から離間させ、
図9に示すように乗降口30より上方に移動させることで第1乗降口31を開放する第1乗降口開状態となる。
このように、第1乗降口扉50が上方への移動により第1乗降口開状態となるため、第1乗降口扉50が車椅子H2や車輪付資器材の乗降に支障を与えることが少ない。
なお、支柱21は、第1乗降口31の一方の側縁に位置させて固定される支柱固定部21aと、第1横方向部材51の一端側回動支点51aを取り付ける支柱本体部21bと、支柱本体部21bを支柱固定部21aよりも内方に配置させる支柱連接部21cとで構成されている。
【0040】
図10は、
図7の状態における第1乗降口扉を示す平面図及び側面図である。
一端側回動支点51aは、支柱21よりもバスケットの後方側に配置し、
図10(a)に示すように、第1横方向部材51は一端側回動支点51a側に屈曲部51cを形成することで、第1横方向部材51を台座10の側縁に沿わせている。
図10に示すように、一端側回動支点51aを支柱21よりもバスケットの後方側に配置することで第1乗降口31の間口を広くすることができる。
【0041】
図11は、本実施例による高所作業車用バスケットの異なる使用態様を示す外観要部斜視図である。
図11では、
図6に示すように第2乗降口32を開放して作業者H1が歩行できる第2乗降口開状態とし、第2乗降口扉60の上方に、持ち運び用スロープ110を設置した状態を示している。
このように、持ち運び用スロープ110を第2乗降口扉60の上方に設置することで、バスケットの前方からも、車椅子H2や車輪付資器材を乗降することができる。
【0042】
図12及び
図13は、本実施例による高所作業車用バスケットの第3乗降口扉を示す外観斜視図であり、
図12は、第3乗降口扉を閉じた状態を示し、
図13は第3乗降口扉を開いた状態を示している。
【0043】
図に示すように、本実施例による高所作業車用バスケットは、第3乗降口扉100で覆われる第3乗降口33を設けている。
第3乗降口33は、台座10の他方の側方に設けられており、第3乗降口33には第3乗降口扉100と第3乗降口用手摺りバー73とが配置されている。
第3乗降口33の一方の側縁には支柱22が配置され、第3乗降口扉100と第3乗降口用手摺りバー73とは、支柱22に回動自在に設けている。
図13に示すように、第3乗降口扉100は、内開き、すなわち台座10側に開き、第3乗降口用手摺りバー73は、支柱22の上端を回動支点として移動端が第3乗降口33の上方に移動することで開状態となる。
【0044】
本実施例による高所作業車用バスケットは、台座10の前方の一側方に操作盤90を配置し、台座10の前方の他側方に第2乗降口32を配置し、台座10の一方の側方に第1乗降口31を配置し、台座10の他方の側方に第3乗降口33を配置している。そして、第1乗降口31には第1乗降口扉50を配置し、第2乗降口32には第2乗降口扉60を配置し、第3乗降口33には第3乗降口扉100を配置している。
本実施例によれば、スロープ閉状態では、スロープ40は第2乗降口扉60及び第3乗降口扉100を覆わないため、スロープ閉状態で第2乗降口扉60及び第3乗降口扉100を利用できる。また、車椅子H2や車輪付資器材を台座10に載せた状態で第1乗降口扉50及び第2乗降口扉60を利用できない場合であっても、第3乗降口33を利用して乗降することができる。
【0045】
図14は、本実施例による高所作業車用バスケットに車椅子を搭乗させた状態、及び搭乗させた車椅子の固定に用いるベルト固定用レールを示す図である。
図14(a)では、作業者H1、車椅子H2、及び補助者H3が台座10に搭乗した状態を示している。
図14(b)に示すように、本実施例による高所作業車用バスケットは、台座10に搭乗させた車椅子H2又は車輪付資器材の移動を抑制する固定ベルト(図示省略)を装着するベルト固定用レール120を備えている。このようなベルト固定用レール120としては、例えばSURFACE RAIL(Unwin社製)や、エアラインレール(オールセーフ株式会社製 AR−HA)を用いることができる。
【0046】
ベルト固定用レール120は、台座10に設けており、複数の固定ベルトを装着できる第1ベルト固定用レール121と、第1ベルト固定用レール121よりも短い第2固定用レール122とからなる。第1ベルト固定用レール121を第2固定用レール122より長くすることで、2つの固定ベルトを取り付けることができ、第2固定用レール122に取り付ける固定ベルトと合わせて3つの固定ベルトを取り付けることができる。
第1ベルト固定用レール121は、第1乗降口31及び第2乗降口32に対向する位置に配置し、第2ベルト固定用レール122は、操作盤90に対向する位置であってバスケット後方に配置している。第1ベルト固定用レール121よりも短い第2固定用レール122を、操作盤90に対向する位置であってバスケット後方に配置することで、作業者H1の作業に支障を与えにくい。
第1ベルト固定用レール121及び第2固定用レール122は、バスケット前縁BFに平行に配置し、第1ベルト固定用レール121はバスケット前縁BFとバスケット後縁BBとの中央に配置し、第2ベルト固定用レール122は第1ベルト固定用レール121よりもバスケット後縁BBに配置する。
このようにベルト固定用レール120を配置することで、台座10に搭乗させた車椅子H2又は車輪付資器材の固定作業が容易であるとともに、作業者H1の作業に支障を与えにくい。
【0047】
図15(a)は、本実施例による高所作業車用バスケットを搭載する梯子車のバスケット乗降時の状態の一例を示す上面図、
図15(b)は
図15(a)の側断面図である。
本実施例による梯子車は、運転席を有するキャビン1と荷台と梯子3とを備えている。
荷台には、ターンテーブルが配置される。ターンテーブルには、ターンテーブルによって旋回する旋回ポストを設けている。旋回ポストには固定梯子3Aの一端が固定されている。また、一般的には、固定梯子3Aに対して摺動する可動梯子3Bを複数備えている。固定梯子3Aと入れ子構造となっている最上段の可動梯子3Bの伸張方向の先端部には屈折中心3Cを設けている。屈折中心3Cは、屈折ピンで上下方向に揺動可能に屈折部(最先端の梯子)3Dが接続され、屈折部3Dは,バスケットアーム3Eを介して、本実施例による高所作業車用バスケットAを接続している。
図15に示すように、キャビン1の前方に高所作業車用バスケットAを降ろして乗降を行う場合には、車両前方に高所作業車用バスケットAを降ろせるだけのスペースがあれば、バスケット側面から車椅子H2の乗降が可能となることから、バスケット前方から乗降する場合に比較して、より狭い車両前方のスペースでも車椅子利用者の救助が可能となる。