【課題】ヒト、特に2歳未満の子供において、血清型10A、22F又は33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)を適切に防御可能な新規肺炎連鎖球菌ワクチン、及び前記ワクチンの製造方法の提供。
【解決手段】活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F莢膜多糖を調製するための方法であって、(a)血清型22F莢膜多糖単離物を酸化剤と反応させる工程;(b)反応停止剤を加えることにより酸化反応を停止させ、活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F多糖を得る工程;を含む方法。前記莢膜多糖をワクチンとして製剤化する場合には、前記莢膜多糖が担体タンパク質に共有結合で連結された免疫原性コンジュゲートとして提供されることが好ましい。
ステップ(a)において、前記多糖を0.01〜10、0.05〜5、0.1〜1、0.5〜1、0.7〜0.8、0.01〜0.2、0.05〜0.5、0.05〜0.2、0.1〜0.3モル当量の酸化剤と反応させる、請求項1または2に記載の方法。
反応停止剤が、ビシナルジオール、1,2−アミノアルコール、アミノ酸、グルタチオン、亜硫酸塩、硫酸水素塩、亜ジオチン酸塩、メタ重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、または亜リン酸から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
反応停止剤が、グリセロール、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、またはブタン−2,3−ジオールから選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
0.1〜10、0.5〜5、0.5〜3または0.5〜2モル当量の反応停止剤を加えることにより酸化反応を停止させる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
請求項1から20のいずれか一項に記載の方法によって取得されたか、または取得可能な、活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F莢膜多糖。
25kDa〜1000kDa、100kDa〜1000kDa、300kDa〜800kDa、300kDa〜700kDa、300kDa〜600kDa、400kDa〜1000kDa、400kDa〜800kDa、400kDa〜700kDa、または400kDa〜600kDaの間の分子量を有する、請求項21に記載の活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F莢膜多糖。
300kDa〜800kDaの間の分子量を有する、請求項21に記載の活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F莢膜多糖。
400kDa〜600kDaの間の分子量を有する、請求項21に記載の活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F莢膜多糖。
10〜25、10〜20、12〜20、または14〜18の間の酸化度を有する、請求項21から24のいずれか一項に記載の活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F莢膜多糖。
10〜20の間の酸化度を有する、請求項21から24のいずれか一項に記載の活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F莢膜多糖。
血清型22F多糖1mMあたり少なくとも0.6mMのアセテートを含む、請求項21から26のいずれか一項に記載の活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F莢膜多糖。
担体タンパク質に共有結合で連結された肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F多糖を含む免疫原性コンジュゲートを調製するための方法であって、
(a)請求項1から20のいずれか一項に記載の方法によって取得したまたは取得可能な活性化血清型22F多糖を担体タンパク質と混和するステップと、
(b)混和された活性化血清型22F多糖と担体タンパク質を還元剤と反応させて、血清型22F多糖:担体タンパク質コンジュゲートを形成するステップと
を含む調製方法。
ステップ(d)における活性化多糖の濃度が、0.1mg/mL〜10mg/mL、0.5mg/mL〜5mg/mL、または0.5mg/mL〜2mg/mLの間である、請求項29から35のいずれか一項に記載の方法。
活性化血清型22F多糖の担体タンパク質に対する初期比が、5:1〜0.1:1、2:1〜0.1:1、2:1〜1:1、1.5:1〜1:1、0.1:1〜1:1、0.3:1〜1:1、または0.6:1〜1.2:1の間である、請求項29から37のいずれか一項に記載の方法。
多糖:担体タンパク質コンジュゲートを、タンジェンシャルフロー濾過および透析濾過によって精製するステップをさらに含む、請求項29から45のいずれか一項に記載の方法。
請求項29から46のいずれか一項に記載の方法によって取得されたか、または取得可能な、担体タンパク質に共有結合で連結された肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F多糖を含む、免疫原性コンジュゲート。
免疫原性コンジュゲートにおける血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMの、多糖単離物における血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比が少なくとも0.7である、請求項47に記載の免疫原性コンジュゲート。
免疫原性コンジュゲートにおける血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMの、活性化多糖における血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比が少なくとも0.7である、請求項47から49のいずれか一項に記載の免疫原性コンジュゲート。
400kDa〜15000kDa、500kDa〜10000kDa、2000kDa〜10000kDa、3000kDa〜8000kDa、または3000〜5000kDaの間の分子量を有する、請求項47から50のいずれか一項に記載の免疫原性コンジュゲート。
血清型22F多糖の総量に対して、約50、45、40、35、30、25、20、または15%未満の遊離血清型22F多糖を含む、請求項47から52のいずれか一項に記載の免疫原性コンジュゲート。
コンジュゲートにおける血清型22F多糖の担体タンパク質に対する比が0.8〜1.2の間である、請求項47から54のいずれか一項に記載の免疫原性コンジュゲート。
50%〜80%の間の血清型22F免疫原性コンジュゲートが、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する、請求項47から57のいずれか一項に記載の免疫原性コンジュゲート。
複合化度が、2〜15、2〜13、2〜10、2〜8、2〜6、2〜5、2〜4、3〜15、3〜13、3〜10、3〜8、3〜6、3〜5、3〜4、4〜7、5〜15、5〜10、8〜15、8〜12、10〜15、または10〜12の間である、請求項47から58のいずれか一項に記載の免疫原性コンジュゲート。
対象において、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)感染、血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)と関連する疾患または状態を治療または防止する方法であって、請求項64から67のいずれか一項に記載の免疫原性組成物または請求項68に記載のワクチンの治療または予防有効量を投与するステップを含む方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、本発明の好ましい実施形態および本明細書に含まれる実施例からなる以下の詳細な説明を参照することで、より難なく理解することができる。別段定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の技術者が一般に理解しているのと同じ意味を有する。本発明を実施し、または試す際には、本明細書に記載のものと同様または同等などのような方法および材料を使用してもよいが、本明細書には、ある特定の好ましい方法および材料を記載する。実施形態について述べ、本発明を主張する際は、ある特定の用語を、以下で述べる定義に従って使用する。
【0013】
本明細書で使用するとき、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、別段指摘しない限り、複数の言及を包含する。したがって、たとえば、「方法(the method)」と言及される場合、1つまたは複数の方法、および/または本明細書に記載の種類および/もしくは本開示を読めば当業者には明白となる種類のステップを包含する。
【0014】
本明細書で使用するとき、多糖または担体タンパク質−多糖コンジュゲートの「分子量」という用語は、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)と組み合わせたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって算出された分子量を指す。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「酸化度」(DO)とは、多糖単離物を酸化剤で活性化したときに生じる、アルデヒド基あたりの糖反復単位の数を指す。多糖の酸化度は、当業者公知の慣例的な方法を使用して求めることができる。
【0016】
本開示では、「含む(comprises)」、「含まれる(comprised)」、「含むこと(comprising)」、「含有する(contains)」、「含有すること(containing)」などの用語は、米国特許法におけるこれら用語による意味をもちうる、たとえば、「包含する(includes)」、「包含される(included)」、「包含すること(including)」などを意味しうることが指摘される。このような用語は、特定の成分または成分一式を、他のいずれかの成分を除外せずに含むことを指す。「から本質的になること(consisting essentially of)」や「から本質的になる(consists essentially of)」などの用語は、米国特許法におけるこれら用語による意味を有する、たとえば、本発明の新規または基本の特徴を損なわない追加の成分またはステップを含む余地がある、すなわち、本発明の新規または基本の特徴を損なう、列挙されない成分またはステップを除外する。用語「からなる(consists of)」および「からなること(consisting of)」は、米国特許法におけるこれら用語による意味を有する、すなわち、これらの用語は限定的である。したがって、これらの用語は、特定の成分または成分一式を含み、他のすべての成分を除外することを指す。
【0017】
本明細書で使用するとき、本明細書で使用する用語「コンジュゲート」または「複合多糖」とは、担体タンパク質と共有結合を介してコンジュゲートさせた多糖を指す。本発明の複合多糖およびそれを含む免疫原性組成物は、多少の量の遊離多糖を含有してもよい。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「血清型10A複合多糖」または「血清型10Aコンジュゲート」とは、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型10A莢膜多糖単離物を、担体タンパク質と共有結合を介してコンジュゲートさせたものを指す。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「血清型22F複合多糖」または「血清型22Fコンジュゲート」とは、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F莢膜多糖単離物を、担体タンパク質と共有結合を介してコンジュゲートさせたものを指す。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「血清型33F複合多糖」または「血清型33Fコンジュゲート」とは、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型33F莢膜多糖単離物を、担体タンパク質と共有結合を介してコンジュゲートさせたものを指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「血清型10A多糖」とは、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型10A莢膜多糖を指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「血清型22F多糖」とは、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F莢膜多糖を指す。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「血清型33F多糖」とは、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型33F莢膜多糖を指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「遊離多糖」とは、担体タンパク質と共有結合を介してコンジュゲートしていないが、それにもかかわらず、莢膜多糖−担体タンパク質コンジュゲート組成物中に存在する莢膜多糖を意味する。遊離多糖は、多糖−担体タンパク質コンジュゲートと非共有結合で連結されていてもよい(すなわち、これに非共有結合され、吸着され、または閉じ込められていてもよい)。
【0025】
遊離多糖のパーセンテージは、血清型10A、22F、または33F莢膜多糖−担体タンパク質コンジュゲートの最終精製後に測定される。最終精製後4週間以内に測定することが好ましい。パーセンテージは、サンプル中の全多糖に対するパーセンテージとして示される。
【0026】
本明細書で使用するとき、「コンジュゲートする」、「コンジュゲートした」、および「コンジュゲートすること」(「コンジュゲートさせる」および他の活用形)とは、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)莢膜多糖を、共有結合を介して担体タンパク質に付着させるプロセスを指す。
【0027】
用語「対象」とは、ヒトを含めた哺乳動物、または鳥類、魚類、爬虫類、両生類、もしくは他のいずれかの動物を指す。用語「対象」は、家庭用愛玩動物または研究動物も包含する。家庭用愛玩動物および研究動物の非限定的な例としては、イヌ、ネコ、ブタ、ウサギ、ラット、マウス、アレチネズミ、ハムスター、モルモット、フェレット、サル、鳥、ヘビ、トカゲ、魚、カメ、およびカエルが挙げられる。用語「対象」は、家畜動物も包含する。用語「対象」は、家畜動物も包含する。家畜動物の非限定的な例としては、アルパカ、バイソン、ラクダ、ウシ、シカ、ブタ、ウマ、ラマ、ラバ、ロバ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、トナカイ、ヤク、ニワトリ、ガチョウ、およびシチメンチョウが挙げられる。
【0028】
生物である肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)(肺炎球菌としても知られる)が引き起こす侵襲性疾患の防止に向けた多価コンジュゲート肺炎球菌ワクチンの調製では、選択した肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型を成長させて、ワクチンの生産に必要な多糖が供給される。細胞を発酵槽で成長させ、発酵の終わりに、デオキシコール酸ナトリウムまたは代わりの溶解剤を加えて溶解を誘発する。次いで、溶菌ブロスを収集して、下流工程において細菌細胞を取り囲む莢膜多糖を精製および回収する。活性化および担体タンパク質とのコンジュゲーション後、多糖は、最終ワクチン製品に含められ、ワクチンのターゲット集団において、選択された肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型に対する免疫を付与する。
【0029】
多糖:担体タンパク質コンジュゲートの免疫原性は、多糖のサイズを含めたいくつかの要素に左右される。多糖サイズは、各調製バッチにおいてアッセイされる品質特性であり、適正に制御されなければならない。高分子量の莢膜多糖は、抗原表面に存在するエピトープの価数がより高いために、ある特定の抗体免疫応答を誘発することができる。コンジュゲートを調製する際の多糖サイズの望ましくない縮小を防止または限定して、多糖の免疫原性を保つことが一般に好ましい。加えて、コンジュゲートの品質特性の一貫性を維持するために、活性化ステップおよび後続のコンジュゲーションの際に、多糖分子量のバッチ間のばらつきを低減することも重要である。
【0030】
還元的アミノ化化学(RAC)は、本発明者らによって、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型10A、22F、または33F莢膜多糖−タンパク質担体コンジュゲートの調製に適する方法であることが実証された。RAC手法は、多糖を酸化によって活性化し、引き続いて、活性化した多糖を、還元によってタンパク質担体とコンジュゲートさせるものである。血清型10A、33F、および22F多糖は、特に敏感な多糖であることが分かっており、コンジュゲート調製の酸化ステップの際に分解およびサイズ縮小を被りやすい。加えて、これまでに知られている活性化方法を使用すると、分子量にばらつきのある活性化血清型10A、33F、および22F多糖が生じた。
【0031】
したがって、分子量が制御され、一定である、活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型10A、22F、または33F多糖を調製する方法が切に求められている。
【0032】
本発明の目的は、活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型10A、22F、または33F多糖を調製するための方法である。特に、本発明の目的は、活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型10A、22F、または33F多糖を調製するための方法であって、
(a)血清型10A、22F、または33F多糖単離物を酸化剤と反応させるステップと、
(b)反応停止剤を加えることにより酸化反応を停止させ、結果として活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型10A、22F、または33F多糖が得られるステップと
を含む調製方法である。
【0033】
血清型10A、22F、または33F多糖の単離および精製
血清型10A、22F、および33F多糖の構造は、文献(たとえば、Kamerling JPC.Pneumococcal polysaccharides:a chemical view.In:Tomasz A編、Streptococcus pneumoniae,molecular biology and mechanisms of disease.ニューヨーク州ニューヨーク:Mary Ann Liebert,Inc.、2000.81〜114頁を参照されたい)で開示されている。
【0034】
図1に示すとおり、血清型22Fの多糖反復単位は、分岐状の五糖主鎖(1つのグルクロン酸(GlcpA)、1つのグルコピラノース(Glcp)、1つのガラクトフラノース(Galf)、および2つのラムノピラノース(Rhap))からなり、αGlcp分岐がβRhap45のC3ヒドロキシル基に連結している。多糖反復単位におけるβRhap残基のC2ヒドロキシル基のおよそ80%は、O−アセチル化されている。
【0035】
図2に示すとおり、血清型10Aの多糖反復単位は、2つのD−ガラクトースフラノース、3つのD−ガラクトピラノース、1つのN−アセチルガラクトサミン、および糖鎖と1つのD−リビトールを介して連結しているリン酸結合からなる。
【0036】
図3に示すとおり、血清型33Fの多糖反復単位は、3つのD−ガラクトピラノース、2つのD−ガラクトフラノース、および1つのD−グルコピラノースからなる。特に、5−D−ガラクトフラノシル残基は、33F多糖反復単位の約90%においてO−アセチル化されている。
【0037】
血清型10A、22F、および33F莢膜多糖は、当業者公知の単離手順を使用して、細菌から直接取得することができる(たとえば、米国特許出願公開第20060228380号、第20060228381号、第20070184071号、第20070184072号、第20070231340号、および第20080102498号、またはWO2008118752で開示されている方法を参照されたい)。加えて、これら多糖は、合成プロトコールを使用して生産することもできる。
【0038】
本発明の免疫原性コンジュゲート中に使用されるそれぞれの多糖の作成に使用する血清型10A、22F、および33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)菌株は、確立された培養物保存機関または臨床検体から入手することができる。
【0039】
精製血清型10A、22F、および33F多糖は、当業者によく知られている方法によって取得する。細菌細胞は、ダイズ系培地で成長させることが好ましい。肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型10A、22F、または33F莢膜多糖を産生する細菌細胞を発酵させてから、細菌細胞を溶解させて、細胞可溶化液を生産する。細菌細胞は、どのような溶菌剤を使用して溶解させてもよい。「溶菌剤」は、細胞壁の破壊、および細胞溶解を引き起こす自己溶菌酵素の放出を助ける、たとえば、洗浄剤を始めとする、いずれかの薬剤である。本明細書で使用するとき、用語「洗浄剤」とは、細菌細胞の溶解を誘発することのできるいずれかのアニオンまたはカチオン洗浄剤を指す。本発明の方法の範囲内での使用について、そのような洗浄剤の代表的な例としては、デオキシコール酸ナトリウム(DOC)、N−ラウロイルサルコシン、ケノデオキシコール酸ナトリウム、およびサポニンが挙げられる。
【0040】
本発明の一実施形態では、細菌細胞の溶解に使用される溶菌剤は、DOCである。DOCは、ウシなどの生物供給源から一般に得られる、胆汁酸であるデオキシコール酸のナトリウム塩である。DOCは、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)の細胞壁成長および分裂に関与する自己溶菌酵素である、LytAタンパク質を活性化させる。LytAタンパク質は、そのC末端部分にコリン結合性ドメインを有しており、lytA遺伝子の突然変異は、DOCによる溶解に抵抗性であるLytA突然変異体を生じさせることが知られている。
【0041】
本発明の一実施形態では、細菌細胞の溶解に使用される溶菌剤は、非動物由来溶菌剤である。本発明の方法の範囲内で使用する非動物由来溶菌剤には、作用方式がDOCと似通っている(すなわち、LytA機能に影響を及ぼし、結果として肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)細胞を溶解させる)非動物供給源からの薬剤が含まれる。このような非動物由来溶菌剤としては、限定はしないが、DOCの類似体、界面活性剤、洗浄剤、およびコリンの構造類似体が挙げられる。一実施形態では、非動物由来溶菌剤は、デカンスルホン酸、tert−オクチルフェノキシポリ(オキシエチレン)エタノール(たとえば、Igepal(登録商標)CA−630、CAS番号:9002−93−1、Sigma Aldrich、ミズーリ州セントルイスから入手可能)、オクチルフェノールエチレンオキシド縮合物(たとえば、Triton(登録商標)X−100、Sigma Aldrich、ミズーリ州セントルイスから入手可能)、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、イミノジプロピオン酸ラウリル、ドデシル硫酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸塩、ヒオデオキシコール酸塩、グリコデオキシコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、タウロケノデオキシコール酸塩、およびコール酸塩からなる群から選択される。別の実施形態では、非動物由来溶菌剤は、N−ラウロイルサルコシンである。別の実施形態では、溶菌剤は、N−ラウロイルサルコシンナトリウムである。
【0042】
次いで、遠心分離、深層濾過、沈殿、限外濾過、活性炭処理、透析濾過、および/またはカラムクロマトグラフィーの使用を始めとする、当業界で知られている形成技術を使用して、細胞可溶化液から莢膜多糖を精製することができる(たとえば、米国特許出願公開第20060228380号、第20060228381号、第20070184071号、第20070184072号、第20070231340号、および第20080102498号、またはWO2008118752を参照されたい)。次いで、精製血清型10A、22F、または33F多糖を、免疫原性コンジュゲートの調製に使用することができる。
【0043】
血清型22Fコンジュゲートまたは血清型33Fコンジュゲートを、有利な濾過特性および/または収率で生成するために、多糖をより小さい分子量(MW)範囲にサイジングしてから、担体タンパク質とコンジュゲートさせることが好ましい。精製血清型22F多糖または血清型33F多糖のサイズは、たとえばO−アセチル基の存在などの、多糖構造の肝要な特色を保ちながら、縮小させることが有利である。精製血清型22F多糖または血清型33F多糖のサイズは、機械的均質化によって縮小させることが好ましい。
【0044】
好ましい実施形態では、高圧均質化によって、精製多糖のサイズを縮小させる。高圧均質化では、工程の流れを十分に小さい寸法の流路にポンプで送り込むことにより、高いせん断速度が実現される。せん断速度は、より大きい適用均質化圧力を使用すると増加し、露出時間は、供給材料の流れをホモジナイザーに再循環させることにより、延長させることができる。
【0045】
高圧均質化法は、精製血清型22F多糖または血清型33F多糖のサイズを、O−アセチル基の存在などの、多糖の構造上の特色を保ちながら縮小させるのに特に適している。
【0046】
肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)可溶化液から血清型22F莢膜多糖を精製し、精製された多糖を場合によりサイジングすることにより取得した、血清型22F多糖単離物は、たとえば、分子量、および血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMを始めとする、種々のパラメーターによって特徴付けることができる。
【0047】
好ましい実施形態では、サイジングされた血清型22F多糖は、400kDa〜700kDaの間で構成される分子量を有する。
【0048】
肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)可溶化液から血清型33F莢膜多糖を精製し、精製された多糖を場合によりサイジングすることにより取得した、血清型33F多糖単離物は、たとえば、分子量、および血清型33F多糖1mMあたりのアセテートmMを始めとする、種々のパラメーターによって特徴付けることができる。
【0049】
多糖のO−アセチル化の程度は、当業界で知られているいずれかの方法、たとえば、プロトンNMRによって求めることができる(LemercinierおよびJones(1996)、Carbohydrate Research 296、83〜96;JonesおよびLemercinier(2002)、J.Pharmaceutical and Biomedical Analysis 30、1233〜1247;WO05/033148またはWO00/56357)。よく使用される別の方法は、Hestrin(1949)、J.Biol.Chem.180、249〜261に記載されている。O−アセチル基の存在を、イオンHPLC分析によって割り出すことが好ましい。
【0050】
好ましい実施形態では、血清型22F多糖単離物は、
−血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)細菌細胞の発酵培養物を調製するステップと、
−前記発酵培養物中で細菌細胞を溶解させるステップと、
−発酵培養物から血清型22F多糖を精製するステップと
を含む方法によって取得される。
【0051】
好ましい実施形態では、血清型22F多糖単離物は、
−血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)細菌細胞の発酵培養物を調製するステップと、
−前記発酵培養物中で細菌細胞を溶解させるステップと、
−発酵培養物から血清型22F多糖を精製するステップと、
−血清型22F多糖を、機械的サイジング、好ましくは高圧均質化によってサイジングするステップと
を含む方法によって取得される。
【0052】
好ましい実施形態では、血清型22F多糖単離物は、
−血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)細菌細胞の発酵培養物を調製するステップと、
−前記発酵培養物中で細菌細胞を溶解させるステップと、
−発酵培養物から血清型22F多糖を精製するステップと、
−血清型22F多糖を、機械的サイジング、好ましくは高圧均質化によってサイジングするステップと
を含み、血清型22F多糖単離物は、400kDa〜700kDaの間で構成される分子量を有する、方法によって取得される。
【0053】
好ましい実施形態では、血清型33F多糖単離物は、
−血清型33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)細菌細胞の発酵培養物を調製するステップと、
−前記発酵培養物中で細菌細胞を溶解させるステップと、
−発酵培養物から血清型33F多糖を精製するステップと
を含む方法によって取得される。
【0054】
好ましい実施形態では、血清型33F多糖単離物は、
−血清型33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)細菌細胞の発酵培養物を調製するステップと、
−前記発酵培養物中で細菌細胞を溶解させるステップと、
−発酵培養物から血清型33F多糖を精製するステップと、
−血清型33F多糖を、機械的サイジング、好ましくは高圧均質化によってサイジングするステップと
を含む方法によって取得される。
【0055】
肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)可溶化液から血清型10A莢膜多糖を精製し、精製された多糖を場合によりサイジングすることにより取得した、血清型10A多糖単離物は、たとえば分子量を始めとする、種々のパラメーターによって特徴付けることができる。血清型10A多糖単離物は、サイジングしないことが好ましい。
【0056】
好ましい実施形態では、血清型10A多糖単離物は、
−血清型10A肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)細菌細胞の発酵培養物を調製するステップと、
−前記発酵培養物中で細菌細胞を溶解させるステップと、
−発酵培養物から血清型10A多糖を精製するステップと
を含む方法によって取得される。
【0057】
血清型10A、22F、または33F多糖の活性化
血清型10A、22F、または33F多糖単離物は、
(a)血清型10A、22F、または33F多糖単離物を酸化剤と反応させるステップと、
(b)反応停止剤を加えることにより酸化反応を停止させ、結果として活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型10A、22F、または33F多糖が得られるステップと
を含む方法によって活性化させる。
【0058】
好ましい実施形態では、ステップ(a)における血清型10A、22F、または33F多糖の濃度は、0.1mg/mL〜10mg/mLの間である。好ましい実施形態では、ステップ(a)における血清型10A、22F、または33F多糖の濃度は、0.5mg/mL〜5mg/mLの間である。好ましい実施形態では、ステップ(a)における血清型10A、22F、または33F多糖の濃度は、1mg/mL〜3mg/mLの間である。好ましい実施形態では、ステップ(a)における血清型22Fまたは33F多糖の濃度は、約2mg/mLである。好ましい実施形態では、ステップ(a)における血清型10A多糖の濃度は、約2.5mg/mLである。
【0059】
好ましい実施形態では、酸化剤は、ペルヨーデートである。ペルヨーデートは、ビシナルなヒドロキシル基を酸化して、カルボニルまたはアルデヒド基を形成し、C−C結合を切断する。
【0060】
用語「ペルヨーデート」は、ペルヨーデートと過ヨウ素酸の両方を包含する。この用語はまた、メタペルヨーデート(IO
4−)とオルトペルヨーデート(IO
65−)の両方を包含する。用語「ペルヨーデート」は、過ヨウ素酸ナトリウムおよび過ヨウ素酸カリウムを始めとする、様々な塩のペルヨーデートも包含する。好ましい実施形態では、酸化剤は、過ヨウ素酸ナトリウムである。好ましい実施形態では、血清型10A、22F、または33F多糖の酸化に使用されるペルヨーデートは、メタペルヨーデートである。好ましい実施形態では、血清型10A、22F、または33F多糖の酸化に使用されるペルヨーデートは、メタ過ヨウ素酸ナトリウムである。
【0061】
好ましい実施形態では、多糖は、0.01〜10、0.05〜5、0.1〜1、0.5〜1、0.7〜0.8、0.01〜0.2、0.05〜0.5、0.05〜0.2、0.1〜0.3モル当量の酸化剤と反応させる。好ましい実施形態では、多糖は、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8と反応させる。好ましい実施形態では、多糖は、約0.10モル当量の酸化剤と反応させる。好ましい実施形態では、多糖は、約0.15モル当量の酸化剤と反応させる。好ましい実施形態では、多糖は、約0.25モル当量の酸化剤と反応させる。好ましい実施形態では、多糖は、約0.5モル当量の酸化剤と反応させる。好ましい実施形態では、多糖は、約0.8モル当量の酸化剤と反応させる。
【0062】
好ましい実施形態では、ステップ(a)における反応の持続時間は、1〜50、1〜40、1〜30、1〜25、1〜20、1〜10、10〜50、10〜40、10〜30、10〜20時間の間の時間である。好ましい実施形態では、多糖が血清型10A多糖であるとき、ステップ(a)における反応の持続時間は、1時間〜10時間の間である。好ましい実施形態では、多糖が血清型10A多糖であるとき、ステップ(a)における反応の持続時間は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10時間である。好ましい実施形態では、多糖が血清型10A多糖であるとき、ステップ(a)における反応の持続時間は、約4時間である。好ましい実施形態では、多糖が血清型22F多糖であるとき、ステップ(a)における反応の持続時間は、10時間〜20時間の間である。好ましい実施形態では、多糖が血清型22F多糖であるとき、ステップ(a)における反応の持続時間は、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20時間である。好ましい実施形態では、多糖が血清型33F多糖であるとき、ステップ(a)における反応の持続時間は、15時間〜25時間の間である。好ましい実施形態では、多糖が血清型33F多糖であるとき、ステップ(a)における反応の持続時間は、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25時間である。好ましい実施形態では、多糖が血清型33F多糖であるとき、ステップ(a)における反応の持続時間は、約20時間である。
【0063】
好ましい実施形態では、ステップ(a)における反応の温度は、1℃〜30℃、1℃〜10℃、10℃〜20℃、20℃〜30℃、2℃〜8℃の間に保たれる。好ましい実施形態では、ステップ(a)における反応の温度は、約5℃に保たれる。
【0064】
好ましい実施形態では、ステップ(a)は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、またはBis−Trisから選択される緩衝液中で実施される。好ましい実施形態では、ステップ(a)は、リン酸カリウム緩衝液中で実施される。好ましい実施形態では、ステップ(a)は、リン酸ナトリウム緩衝液中で実施される。
【0065】
好ましい実施形態では、緩衝液は、1〜500mM、1〜300mM、50〜200mMの間の濃度を有する。好ましい実施形態では、緩衝液は、濃度が約100mMである。
【0066】
好ましい実施形態では、ステップ(a)におけるpHは、4〜8、5〜7、5.5〜6.5の間である。好ましい実施形態では、ステップ(a)におけるpHは、約6である。好ましい実施形態では、ステップ(a)におけるpHは、約5.8である。
【0067】
一実施形態では、反応停止剤は、ビシナルジオール、1,2−アミノアルコール、アミノ酸、グルタチオン、亜硫酸塩、硫酸水素塩、亜ジオチン酸塩、メタ重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、または亜リン酸から選択される。
【0069】
【化1】
の1,2−アミノアルコール
[式中、R
1は、H、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルから選択される]
である。
【0070】
一実施形態では、反応停止剤は、亜硫酸、硫酸水素酸、亜ジオチン酸、メタ重亜硫酸、チオ硫酸、亜リン酸、次亜リン酸のナトリウム塩およびカリウム塩、または亜リン酸から選択される。
【0071】
一実施形態では、反応停止剤は、アミノ酸である。一実施形態では、前記アミノ酸は、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファン、チロシン、およびヒスチジンから選択される。
【0072】
一実施形態では、反応停止剤は、亜硫酸塩、たとえば、硫酸水素塩、亜ジオチン酸塩、メタ重亜硫酸塩、チオ硫酸塩である。
【0073】
一実施形態では、反応停止剤は、2つのビシナルヒドロキシル基、すなわち、2つの隣接した炭素原子に共有結合している2つのヒドロキシル基を含む化合物(ビシナルジオール)である。
【0075】
【化2】
[式中、R
1およびR
2は、H、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルからそれぞれ独立に選択される]
であることが好ましい。
【0076】
好ましい実施形態では、反応停止剤は、グリセロール、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、またはブタン−2,3−ジオール、アスコルビン酸である。好ましい実施形態では、反応停止剤は、ブタン−2,3−ジオールである。
【0077】
好ましい実施形態では、0.1〜10、0.5〜5、0.5〜3、0.5〜2モル当量の反応停止剤を加えることにより、酸化剤が中和される。好ましい実施形態では、約0.5、1、1.5、2、2.5、3モル当量の反応停止剤を加えることにより、酸化剤が中和される。好ましい実施形態では、約2モル当量の反応停止剤を加えることにより、酸化剤が中和される。
【0078】
好ましい実施形態では、ステップ(b)の持続時間は、0.1〜10、0.5〜5、または0.5〜2時間の間の時間である。好ましい実施形態では、ステップ(b)の持続時間は、約0.5、1、1.5、2.5、または3時間である。
【0079】
好ましい実施形態では、ステップ(b)における反応の温度は、1℃〜30℃、1℃〜25℃、1℃〜20℃、1℃〜10℃、10℃〜20℃、2℃〜8℃の間に保たれる。好ましい実施形態では、ステップ(b)における反応の温度は、約1、2、3、4、5、6、7、または8℃に保たれる。
【0080】
好ましい実施形態では、ステップ(b)におけるpHは、4〜8、5〜7、5.5〜6.5の間である。好ましい実施形態では、ステップ(a)におけるpHは、約6である。
【0081】
好ましい実施形態では、活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、精製されている。活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、透析、または限外濾過/透析濾過などの、当業者公知の方法に従って精製することができる。たとえば、活性化多糖は、濃縮し、限外濾過装置を使用して透析濾過することにより精製される。
【0082】
好ましい実施形態では、血清型10A多糖単離物は、
(a)血清型10A多糖単離物をペルヨーデートと反応させるステップと、
(b)ブタン−2,3−ジオールを加えることにより酸化反応を停止させ、結果として活性化血清型10A多糖が得られるステップと
を含む方法によって活性化される。
【0083】
好ましい実施形態では、血清型10A多糖単離物は、
(a)血清型10A多糖単離物を、2℃〜8℃の間の温度でペルヨーデートと反応させるステップと、
(b)2℃〜8℃の間の温度でブタン−2,3−ジオールを加えることにより酸化反応を停止させ、結果として活性化血清型10A多糖が得られるステップと
を含む方法によって活性化される。
【0084】
好ましい実施形態では、血清型10A多糖単離物は、
(a)血清型10A多糖単離物を、2℃〜8℃の間の温度で、0.2〜0.3モル当量のペルヨーデートと反応させるステップと、
(b)2℃〜8℃の間の温度で0.5〜2モル当量のブタン−2,3−ジオールを加えることにより酸化反応を停止させ、結果として活性化血清型10A多糖が得られるステップと
を含む方法によって活性化される。
【0085】
好ましい実施形態では、血清型22F多糖単離物は、
(a)血清型22F多糖単離物をペルヨーデートと反応させるステップと、
(b)ブタン−2,3−ジオールを加えることにより酸化反応を停止させ、結果として活性化血清型22F多糖が得られるステップと
を含む方法によって活性化される。
【0086】
好ましい実施形態では、血清型22F多糖単離物は、
(a)血清型22F多糖単離物を、2℃〜8℃の間の温度でペルヨーデートと反応させるステップと、
(b)2℃〜8℃の間の温度でブタン−2,3−ジオールを加えることにより酸化反応を停止させ、結果として活性化血清型22F多糖が得られるステップと
を含む方法によって活性化される。
【0087】
好ましい実施形態では、血清型22F多糖単離物は、
(a)血清型22F多糖単離物を、2℃〜8℃の間の温度で、0.05〜0.2モル当量のペルヨーデートと反応させるステップと、
(b)2℃〜8℃の間の温度で、2〜3、好ましくは2モル当量のブタン−2,3−ジオールを加えることにより酸化反応を停止させ、結果として活性化血清型22F多糖が得られるステップと
を含む方法によって活性化される。
【0088】
好ましい実施形態では、血清型33F多糖単離物は、
(a)血清型33F多糖単離物をペルヨーデートと反応させるステップと、
(b)ブタン−2,3−ジオールを加えることにより酸化反応を停止させ、結果として活性化血清型33F多糖が得られるステップと
を含む方法によって活性化される。
【0089】
好ましい実施形態では、血清型33F多糖単離物は、
(a)血清型33F多糖単離物を、2℃〜8℃の間の温度でペルヨーデートと反応させるステップと、
(b)2℃〜8℃の間の温度でブタン−2,3−ジオールを加えることにより酸化反応を停止させ、結果として活性化血清型33F多糖が得られるステップと
を含む方法によって活性化される。
【0090】
好ましい実施形態では、血清型33F多糖単離物は、
(a)血清型33F多糖単離物を、2℃〜8℃の間の温度で、0.05〜0.2モル当量のペルヨーデートと反応させるステップと、
(b)2℃〜8℃の間の温度で0.5〜1.5モル当量のブタン−2,3−ジオールを加えることにより酸化反応を停止させ、結果として活性化血清型33F多糖が得られるステップと
を含む方法によって活性化される。
【0091】
好ましい実施形態では、本発明は、上で開示した方法によって取得したまたは取得可能な活性化血清型10A莢膜多糖に関する。
【0092】
好ましい実施形態では、本発明は、上で開示した方法によって取得したまたは取得可能な活性化血清型22F莢膜多糖に関する。
【0093】
好ましい実施形態では、本発明は、上で開示した方法によって取得したまたは取得可能な活性化血清型33F莢膜多糖に関する。
【0094】
好ましい実施形態では、ステップ(b)から得られた活性化血清型10A多糖は、ステップ(a)で使用した多糖単離物の分子量の20%〜100%、30%〜95%、40%〜95%、60%〜95%、85%〜95%の間、または約90%である分子量を有する。
【0095】
好ましい実施形態では、ステップ(b)から得られた活性化血清型10A多糖は、ステップ(a)で使用した多糖単離物の分子量の少なくとも20、25、30、35、40、または45%である分子量を有する。好ましい実施形態では、ステップ(b)から得られた活性化血清型10A多糖は、ステップ(a)で使用した多糖単離物の分子量の少なくとも50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%である分子量を有する。
【0096】
好ましい実施形態では、ステップ(b)から得られた活性化血清型22F多糖は、ステップ(a)で使用した多糖単離物の分子量の50%〜100%、60%〜95%、85%〜95%の間、または約90%である分子量を有する。
【0097】
好ましい実施形態では、ステップ(b)から得られた活性化血清型22F多糖は、ステップ(a)で使用した多糖単離物の分子量の少なくとも50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%である分子量を有する。
【0098】
好ましい実施形態では、ステップ(b)から得られた活性化血清型33F多糖は、ステップ(a)で使用した多糖単離物の分子量の50%〜100%、60%〜95%、85%〜95%の間、または約90%である分子量を有する。
【0099】
好ましい実施形態では、ステップ(b)から得られた活性化血清型33F多糖は、ステップ(a)で使用した多糖単離物の分子量の少なくとも50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%である分子量を有する。
【0100】
好ましい実施形態では、活性化血清型10A、22F、または33F多糖の酸化度は、2〜30、2〜25、2〜20、2〜15、2〜10、2〜5、5〜30、5〜25、5〜20、5〜15、5〜10、10〜30、10〜25、10〜20、10〜15、5〜25、10〜30、15〜30、15〜25、15〜20、20〜30、20〜25の間である。好ましい実施形態では、活性化血清型10A、22F、または33F多糖の酸化度は、2〜10、4〜8、4〜6、6〜8、6〜12、8〜14、9〜11、10〜16、12〜16、14〜18、16〜20、16〜18、18〜22、18〜20の間である。
【0101】
好ましい実施形態では、活性化血清型10A多糖は、分子量が50kDa〜400kDa、50kDa〜350kDa、50kDa〜300kDa、50kDa〜250kDa、50kDa〜200kDa、100kDa〜300kDa、100kDa〜250kDa、または100kDa〜200kDaの間である。好ましい実施形態では、活性化血清型10A多糖は、分子量が50kDa〜300kDaの間である。好ましい実施形態では、活性化血清型10A多糖は、分子量が100kDa〜200kDaの間である。好ましい実施形態では、活性化血清型10A多糖は、分子量が、100kDa〜200kDaの間であり、酸化度が5〜20、5〜15、8〜14、8〜12、または9〜11の間である。好ましい実施形態では、活性化血清型10A多糖は、分子量が、100kDa〜200kDaの間であり、酸化度が9〜11の間である。
【0102】
好ましい実施形態では、活性化血清型22F多糖は、分子量が25kDa〜1000kDa、100kDa〜1000kDa、300kDa〜800kDa、300kDa〜700kDa、300kDa〜600kDa、400kDa〜1000kDa、400kDa〜800kDa、400kDa〜700kDa、または400kDa〜600kDaの間である。好ましい実施形態では、活性化血清型22F多糖は、分子量が300kDa〜800kDaの間である。好ましい実施形態では、活性化血清型22F多糖は、分子量が400kDa〜800kDaの間である。好ましい実施形態では、活性化血清型22F多糖は、分子量が400kDa〜600kDaの間である。好ましい実施形態では、活性化血清型22F多糖は、分子量が、400kDa〜800kDaの間であり、酸化度が10〜25、10〜20、12〜20、または14〜18の間である。好ましい実施形態では、活性化血清型22F多糖は、分子量が、400kDa〜800kDaの間であり、酸化度が10〜20の間である。
【0103】
好ましい実施形態では、活性化血清型22F多糖は、血清型22F多糖1mMあたり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、もしくは0.7、または約0.8mMのアセテートを含む。好ましい実施形態では、活性化血清型22F多糖は、血清型22F多糖1mMあたり少なくとも0.5、0.6、または0.7mMのアセテートを含む。好ましい実施形態では、活性化血清型22F多糖は、血清型22F多糖1mMあたり少なくとも0.6mMのアセテートを含む。好ましい実施形態では、活性化血清型22F多糖は、血清型22F多糖1mMあたり少なくとも0.7mMのアセテートを含む。
【0104】
好ましい実施形態では、活性化血清型22F多糖は、分子量が400kDa〜800kDaの間であり、血清型22F多糖1mMあたり少なくとも0.6mMのアセテートを含む。
【0105】
好ましい実施形態では、活性化血清型22F多糖は、分子量が400kDa〜800kDaの間であり、酸化度が12〜20の間であり、血清型22F多糖1mMあたり少なくとも0.6mMのアセテートを含む。
【0106】
好ましい実施形態では、活性化血清型33F多糖は、分子量が50Da〜1250Da、200Da〜1200Da、500Da〜1200Da、500Da〜1000Da、700Da〜1200Da、800Da〜1200Da、800Da〜1100Da、900Da〜1200Da、800Da〜1000Daの間である。好ましい実施形態では、活性化血清型33F多糖は、分子量が500kDa〜1000kDaの間である。好ましい実施形態では、活性化血清型33F多糖は、分子量が50kDa〜600kDa、50kDa〜500kDa、または50kDa〜400kDaの間である。
【0107】
好ましい実施形態では、活性化血清型33F多糖は、血清型33F多糖1mMあたり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、もしくは0.8、または約0.9mMのアセテートを含む。好ましい実施形態では、活性化血清型33F多糖は、血清型33F多糖1mMあたり少なくとも0.6、0.7、または0.8mMのアセテートを含む。好ましい実施形態では、活性化血清型33F多糖は、血清型33F多糖1mMあたり少なくとも0.6mMのアセテートを含む。好ましい実施形態では、活性化血清型33F多糖は、血清型33F多糖1mMあたり少なくとも0.7mMのアセテートを含む。
【0108】
好ましい実施形態では、活性化血清型33F多糖は、分子量が800kDa〜1200kDaの間であり、血清型33F多糖1mMあたり少なくとも0.7mMのアセテートを含む。好ましい実施形態では、活性化血清型33F多糖は、分子量が800kDa〜1200kDaの間であり、血清型33F多糖1mMあたり少なくとも0.7mMのアセテートを含み、酸化度が10〜20の間である。
【0109】
好ましい実施形態では、活性化血清型33F多糖は、分子量が50kDa〜200kDaの間であり、血清型33F多糖1mMあたり少なくとも0.7mMのアセテートを含む。
【0110】
好ましい実施形態では、活性化血清型33F多糖は、分子量が50kDa〜200kDaの間であり、血清型33F多糖1mMあたり少なくとも0.7mMのアセテートを含み、酸化度が10〜20の間である。
【0111】
一実施形態では、活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、場合により凍結保護剤/凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)の存在下で凍結乾燥される。好ましい実施形態では、凍結保護剤/凍結乾燥保護剤は、スクロース、トレハロース、ラフィノース、スタキオース、メレチトース、デキストラン、マンニトール、ラクチトール、およびパラチニットから選択される。好ましい実施形態では、凍結保護剤/凍結乾燥保護剤は、スクロースである。凍結乾燥された活性化多糖は、次いで、担体タンパク質を含む溶液と混和することができる。
【0112】
別の実施形態では、活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、担体タンパク質と混和され、場合により凍結保護剤/凍結乾燥保護剤の存在下で凍結乾燥される。好ましい実施形態では、凍結保護剤/凍結乾燥保護剤は、スクロース、トレハロース、ラフィノース、スタキオース、メレチトース、デキストラン、マンニトール、ラクチトール、およびパラチニットから選択される。好ましい実施形態では、凍結保護剤/凍結乾燥保護剤は、スクロースである。共に凍結乾燥された(co−lyophilized)多糖と担体タンパク質は、次いで、溶液に再懸濁し、還元剤と反応させることができる。
【0113】
一実施形態では、本発明は、凍結乾燥された活性化血清型10A多糖に関する。一実施形態では、本発明は、凍結乾燥された活性化血清型22F多糖に関する。一実施形態では、本発明は、凍結乾燥された活性化血清型33F多糖に関する。
【0114】
一実施形態では、本発明は、共に凍結乾燥された活性化血清型10A多糖とタンパク質担体に関する。好ましい実施形態では、タンパク質担体は、CRM
197である。一実施形態では、本発明は、共に凍結乾燥された活性化血清型22F多糖とタンパク質担体に関する。好ましい実施形態では、タンパク質担体は、CRM
197である。一実施形態では、本発明は、共に凍結乾燥された活性化血清型33F多糖とタンパク質担体に関する。好ましい実施形態では、タンパク質担体は、CRM
197である。
【0115】
活性化血清型10A、22F、または33F多糖の担体タンパク質とのコンジュゲーション
本明細書で開示する活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、
(a)活性化血清型10A、22F、または33F多糖を担体タンパク質と混和するステップと、
(b)混和された活性化血清型10A、22F、または33F多糖と担体タンパク質を還元剤と反応させて、血清型10A、22F、または33F多糖:担体タンパク質コンジュゲートを形成するステップと
を含む方法によって、担体タンパク質とコンジュゲートすることができる。
【0116】
ジメチルスルホキシド(DMSO)中での還元的アミノ化による、活性化血清型22Fまたは33F多糖のタンパク質担体とのコンジュゲーションは、たとえば、多糖のO−アセチル化のレベルが著しく低減する水相中での還元的アミノ化に比べて、多糖のO−アセチル含有量を維持するのに適する。好ましい実施形態では、ステップ(a)およびステップ(b)は、DMSO中で実施される。
【0117】
好ましい実施形態では、ステップ(a)は、凍結乾燥された血清型10A、22F、または33F多糖を、担体タンパク質を含む水溶液、または担体タンパク質とDMSOとを含む溶液に溶解させることを含む。好ましい実施形態では、ステップ(a)は、共に凍結乾燥された血清型10A、22F、または33F多糖と担体タンパク質を、水溶液またはDMSOに溶解させることを含む。
【0118】
ステップ(a)および(b)を水溶液中で実施するとき、前記溶液は、PBS、MES、HEPES、Bis−tris、ADA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、DIPSO、MOBS、HEPPSO、POPSO、TEA、EPPS、ビシン、またはHEPBから選択されることが好ましい緩衝液から選択されることが好ましい、pHが6.0〜8.5、7〜8、または7〜7.5の間である緩衝液を含む。好ましい実施形態では、緩衝液は、PBSである。好ましい実施形態では、pHは、約7.3である。
【0119】
好ましい実施形態では、ステップ(a)における活性化血清型10A、22F、または33F多糖の濃度は、0.1mg/mL〜10mg/mL、0.5mg/mL〜5mg/mL、0.5mg/mL〜2mg/mLの間である。好ましい実施形態では、ステップ(a)における活性化血清型10A、22F、または33F多糖の濃度は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3mg/mLである。
【0120】
好ましい実施形態では、活性化血清型10A、22F、または33F多糖の担体タンパク質に対する初期比(重量/重量)は、5:1〜0.1:1、2:1〜0.1:1、2:1〜1:1、1.5:1〜1:1、0.1:1〜1:1、0.3:1〜1:1、0.6:1〜1:1.2の間である。好ましい実施形態では、活性化血清型10A、22F、または33F多糖の担体タンパク質に対する初期比は、約0.6:1および1:1.2である。好ましい実施形態では、活性化血清型10A、22F、または33F多糖の担体タンパク質に対する初期比は、約0.4:1、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2:1である。
【0121】
好ましい実施形態では、ステップ(b)において、活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、0.1〜10モル当量の間、0.5〜5モル当量の間、0.5〜2.5モル当量の間の還元剤と反応させる。好ましい実施形態では、ステップ(b)において、活性化血清型10A、22F、または33Fは、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、または2.5モル当量の還元剤と反応させる。
【0122】
一実施形態では、還元剤は、ブレンステッド酸またはルイス酸存在下のシアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムまたは亜鉛;アミンボラン、たとえば、ピリジンボラン、2−ピコリンボラン、2,6−ジボラン−メタノール、ジメチルアミン−ボラン、t−BuMe
iPrN−BH
3、ベンジルアミン−BH
3、または5−エチル−2−メチルピリジンボラン(PEMB)である。好ましい実施形態では、還元剤は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムである。
【0123】
好ましい実施形態では、ステップ(b)の持続時間は、1〜50、5〜30、10〜30、15〜30、20〜30、5〜25、10〜25、15〜25時間の間の時間である。好ましい実施形態では、ステップ(b)の持続時間は、約20、21、22、23、24、25、26、27、28時間である。
【0124】
好ましい実施形態では、ステップ(b)における反応の温度は、10℃〜40℃、15℃〜30℃、20℃〜26℃、21℃〜25℃の間に保たれる。好ましい実施形態では、ステップ(b)における反応の温度は、約21、22、23、24、または25℃に保たれる。
【0125】
好ましい実施形態では、担体タンパク質に共有結合で連結された血清型10A、22F、または33F多糖を含む免疫原性コンジュゲートを調製するための方法は、NaBH
4を加えて未反応アルデヒドをキャッピングする(停止させる)ステップ(ステップc)をさらに含む。
【0126】
好ましい実施形態では、ステップ(c)において、未反応アルデヒドは、0.1〜10モル当量、0.5〜5モル当量、または1〜3モル当量のNaBH
4を加えることによりキャッピングされる。好ましい実施形態では、ステップ(c)において、未反応アルデヒドは、約2モル当量のNaBH
4を加えることによりキャッピングされる。
【0127】
好ましい実施形態では、ステップ(c)の持続時間は、0.1〜10、0.5〜5、または2〜4時間の間の時間である。好ましい実施形態では、ステップ(c)の持続時間は、約3時間である。
【0128】
好ましい実施形態では、ステップ(c)における反応の温度は、10℃〜40℃、15℃〜30℃、または20℃〜26℃の間に保たれる。好ましい実施形態では、ステップ(c)における反応の温度は、約23℃に保たれる。
【0129】
血清型10A、22F、または33F多糖を担体タンパク質とコンジュゲートさせた後、多糖−タンパク質コンジュゲートは、当業者公知の様々な技術によって精製する(多糖−タンパク質コンジュゲートの量について富化する)ことができる。そうした技術としては、透析、濃縮/透析濾過操作、タンジェンシャルフロー濾過沈殿/溶離、カラムクロマトグラフィー(DEAEまたは疎水性相互作用クロマトグラフィー)、および深層濾過が挙げられる。
【0130】
好ましい実施形態では、担体タンパク質は、非毒性で非反応原性であり、十分な量および純度で入手可能である。担体タンパク質は、標準のコンジュゲーション手順に適したものにすべきである。
【0131】
好ましい実施形態では、活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、DT(ジフテリア毒素)、TT(破傷風毒素)、またはTTの断片C、CRM197(非毒性であるが抗原として同一である、ジフテリア毒素の変異体)、他のDT点突然変異体、たとえば、CRM176、CRM228、CRM45(Uchidaら、J.BioI.Chem.218、3838〜3844、1973);CRM9、CRM102、CRM103、およびCRM107、ならびにNichollsおよびYoule、Genetically Engineered Toxins、Frankel編、Maecel Dekker Inc,、1992に記載されている他の突然変異;欠失、またはGlu−148のAsp、Gln、もしくはSer、および/またはAla158のGlyへの突然変異、ならびにUS4709017またはUS4950740で開示されている他の突然変異;少なくとも1つまたは複数の残基Lys516、Lys526、Phe530、および/またはLys534の突然変異、ならびにUS5917017またはUS6455673で開示されている他の突然変異、またはUS5843711で開示されている断片;何らかの方法で無毒化されたply、たとえば、dPLY−GMBS(WO04081515、PCT/EP2005/010258)やdPLY−ホルモールを含めた肺炎球菌ニューモリシン(Kuoら(1995)、Infect Immun 63、2706〜13)、PhtA、PhtB、PhtD、PhtEを含めたPhtX(PhtA、PhtB、PhtD、またはPhtEの配列は、WO00/37105またはWO00/39299で開示されている)およびPhtタンパク質の融合物、たとえば、PhtDE融合物、PhtBE融合物、PhtA−E(WO01/98334、WO03/54007、W02009/000826)、OMPC(髄膜炎菌外膜タンパク質−通常は髄膜炎菌(N.meningitidis)血清型Bから抽出される−EP0372501)、PorB(髄膜炎菌(N.meningitidis)からのもの)、PD(ヘモフィルスインフルエンザタンパク質D−たとえば、EP0594610Bを参照のこと)、またはこれらの免疫学的機能同等物、合成ペプチド(EP0378881、EP0427347)、熱ショックタンパク質(WO93/17712、WO94/03208)、百日咳タンパク質(WO98/58668、EP0471177)、サイトカイン、リンホカイン、成長因子またはホルモン(WO1091/01146)、種々の病原由来の抗原からの多数のヒトCD4+T細胞エピトープを含む人工タンパク質(Falugiら(2001)、Eur J Immunol 31、3816〜3824)、たとえば、N19タンパク質(Baraldoiら(2004)、Infect Immun 72、4884〜7)、肺炎球菌表面タンパク質PspA(WO02/091998)、鉄取り込みタンパク質(WO01/72337)、C.ディフィシル(C.difficile)の毒素AまたはB(WO00/61761)からなる群から選択される担体タンパク質とコンジュゲートされる。一実施形態では、活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、DT(ジフテリアトキソイド)とコンジュゲートされる。別の実施形態では、活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、TT(破傷風トキソイド)とコンジュゲートされる。別の実施形態では、活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、TTの断片Cとコンジュゲートされる。別の実施形態では、活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、PD(ヘモフィルスインフルエンザタンパク質D−たとえば、EP0594610Bを参照のこと)とコンジュゲートされる。
【0132】
好ましい実施形態では、活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、CRM
197タンパク質とコンジュゲートされる。CRM
197タンパク質は、ジフテリア毒素の非毒性の形態であるが、ジフテリア毒素と免疫学的に区別がつかない。CRM
197は、毒素産生性コリネファージβのニトロソグアニジン突然変異誘発によって生み出された非毒素産生性ファージβ197
tox−を感染させたジフテリア菌(C.diphtheriae)によって産生される(Uchida,T.ら、1971、Nature New Biology 233:8〜11)。CRM
197は、限外濾過、硫酸アンモニウム沈殿法、およびイオン交換クロマトグラフィーによって精製される。CRM
197タンパク質は、ジフテリア毒素と分子量が同じであるが、構造遺伝子における単一の塩基変更(グアニンがアデニンになる)の点でそれと異なっている。この単一の塩基変更は、成熟タンパク質においてアミノ酸置換(グリシンの代わりにグルタミン酸)を引き起こし、ジフテリア毒素の毒性の性質がなくなる。CRM
197タンパク質は、糖のための安全で有効なT細胞依存性担体である。CMR
197およびその産生についてのこれ以上の細目は、たとえば、US5,614,382において見ることができる。
【0133】
好ましい実施形態では、本明細書で開示する活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、
(a)活性化血清型10A、22F、または33F多糖をCRM
197と混和するステップと、
(b)混和された活性化血清型10A、22F、または33F多糖とCRM
197をシアノ水素化ホウ素ナトリウムと反応させて、血清型10A、22F、または33F多糖:CRM197コンジュゲートを形成するステップと
を含む方法によって、CRM
197とコンジュゲートされる。
【0134】
好ましい実施形態では、本明細書で開示する活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、
(a)活性化血清型10A、22F、または33F多糖をCRM
197と混和するステップと、
(b)混和された活性化血清型10A、22F、または33F多糖とCRM
197をシアノ水素化ホウ素ナトリウムと反応させて、血清型10A、22F、または33F多糖:CRM
197コンジュゲートを形成するステップと
を含み、
ステップ(a)およびステップ(b)は、DMSO中で実施される方法によって、CRM
197とコンジュゲートされる。
【0135】
好ましい実施形態では、本明細書で開示する活性化血清型10A、22F、または33F多糖は、
(a)活性化血清型10A、22F、または33F多糖をCRM
197と混和するステップと、
(b)混和された活性化血清型10A、22F、または33F多糖とCRM
197を、0.5〜2モル当量のシアノ水素化ホウ素ナトリウムと反応させて、血清型10A、22F、または33F多糖:CRM
197コンジュゲートを形成するステップと
を含み、
ステップ(a)およびステップ(b)は、DMSO中で実施される方法によって、CRM197とコンジュゲートされる。
【0136】
一実施形態では、本発明は、本明細書で開示する方法によって取得したまたは取得可能な免疫原性コンジュゲートに関する。好ましい実施形態では、本発明は、本明細書で開示する血清型10A、22F、または33F活性化多糖を、還元的アミノ化によって担体タンパク質とコンジュゲートすることにより取得したまたは取得可能な免疫原性コンジュゲートに関する。好ましい実施形態では、本発明は、本明細書で開示する血清型10A、22F、または33F活性化多糖を、DMSO中での還元的アミノ化によって担体タンパク質とコンジュゲートすることにより取得したまたは取得可能な免疫原性コンジュゲートに関する。好ましい実施形態では、担体タンパク質は、CRM
197である。
【0137】
血清型10A免疫原性コンジュゲート
好ましい実施形態では、血清型10A免疫原性コンジュゲートは、分子量が、500kDa〜15000kDa、500kDa〜10000kDa、2000kDa〜10000kDa、または3000kDa〜8000kDaの間である。好ましい実施形態では、血清型10A免疫原性コンジュゲートは、分子量が3000kDa〜8000kDaの間である。免疫原性コンジュゲートの分子量は、SEC−MALLSによって測定される。
【0138】
好ましい実施形態では、血清型10A免疫原性コンジュゲートは、血清型10A多糖の総量に対して、約50、45、40、35、30、25、20、または15%未満の遊離血清型10A多糖を含む。好ましい実施形態では、血清型10A免疫原性コンジュゲートは、血清型10A多糖の総量に対して、約25%未満の遊離血清型10A多糖を含む。好ましい実施形態では、血清型10A免疫原性コンジュゲートは、血清型10A多糖の総量に対して、約20%未満の遊離血清型10A多糖を含む。好ましい実施形態では、血清型10A免疫原性コンジュゲートは、血清型10A多糖の総量に対して、約15%未満の遊離血清型10A多糖を含む。
【0139】
好ましい実施形態では、コンジュゲートにおける血清型10A多糖の担体タンパク質に対する比(重量/重量)は、0.5〜3の間である。好ましい実施形態では、コンジュゲートにおける血清型10A多糖の担体タンパク質に対する比は、0.5〜2、0.5〜1.5、0.5〜1、1〜1.5、1〜2の間である。好ましい実施形態では、コンジュゲートにおける血清型10A多糖の担体タンパク質に対する比は、0.8〜1.4の間である。好ましい実施形態では、コンジュゲートにおける血清型10A莢膜多糖の担体タンパク質に対する比は、0.8〜1.2の間である。
【0140】
サイズ排除クロマトグラフィー媒体(CL−4B)を使用して、コンジュゲートの相対的な分子サイズ分布を決定することができる。重力供給式カラム(gravity fed column)でサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して、コンジュゲートの分子サイズ分布を測定する。媒体にある孔に入らない大きい分子は、小さい分子よりすばやく溶離される。画分収集装置を使用して、カラム溶出液を収集する。画分を糖のアッセイによる比色試験にかける。Kdを求めるために、カラムを較正し、分子が完全に排除される画分(V
0)、すなわち(Kd=0)、および最大の保持に相当する画分(V
i)、すなわち(Kd=1)を定める。指定のサンプルが帰する画分(V
e)は、式Kd=(V
e−V
0)/(V
i−V
0)によって、Kdに関連付けられる。
【0141】
好ましい実施形態では、血清型10A免疫原性コンジュゲートの少なくとも30%が、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートの少なくとも40%が、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。好ましい実施形態では、血清型10A免疫原性コンジュゲートの少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%が、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。好ましい実施形態では、血清型10A免疫原性コンジュゲートの少なくとも60%が、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。好ましい実施形態では、50%〜80%の間の血清型10A免疫原性コンジュゲートが、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。
【0142】
複合化度(degree of conjugation)は、目的の多糖とコンジュゲートされている担体タンパク質中のリシン残基の数である。多糖への共有結合での連結による、担体タンパク質のリシン修飾の証拠は、当業者公知の慣例的な方法を使用するアミノ酸分析によって得られる。コンジュゲーションの結果、回収されたリシン残基の数は、コンジュゲート材料の生成に使用したCRM
197タンパク質出発材料に比べて減少する。
【0143】
好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートの複合化度は、2〜15、2〜13、2〜10、2〜8、2〜6、2〜5、2〜4、3〜15、3〜13、3〜10、3〜8、3〜6、3〜5、3〜4、5〜15、5〜10、8〜15、8〜12、10〜15、または10〜12の間である。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートの複合化度は、6〜8の間である。
【0144】
血清型22F免疫原性コンジュゲート
好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートは、血清型22F多糖1mMあたり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、もしくは0.7、または約0.8mMのアセテートを含む。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートは、血清型22F多糖1mMあたり少なくとも0.5、0.6、または0.7mMのアセテートを含む。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートは、血清型22F多糖1mMあたり少なくとも0.6mMのアセテートを含む。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートは、血清型22F多糖1mMあたり少なくとも0.7mMのアセテートを含む。
【0145】
好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートにおける血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMの、多糖単離物における血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比は、少なくとも0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、または0.95である。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートにおける血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMの、多糖単離物における血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比は、少なくとも0.7である。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートにおける血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMの、多糖単離物における血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比は、少なくとも0.9である。
【0146】
好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートにおける血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMの、活性化多糖における血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比は、少なくとも0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、または0.95である。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートにおける血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMの、活性化多糖における血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比は、少なくとも0.7である。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートにおける血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMの、活性化多糖における血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比は、少なくとも0.9である。
【0147】
好ましい実施形態では、血清型22F免疫原性コンジュゲートは、分子量が、400kDa〜15000kDa、500kDa〜10000kDa、2000kDa〜10000kDa、3000kDa〜8000kDa、または3000〜5000kDaの間である。好ましい実施形態では、血清型22F免疫原性コンジュゲートは、分子量が3000kDa〜5000kDaの間である。免疫原性コンジュゲートの分子量は、SEC−MALLSによって測定される。
【0148】
好ましい実施形態では、血清型22F免疫原性コンジュゲートは、血清型22F多糖の総量に対して、約50、45、40、35、30、25、20、または15%未満の遊離血清型22F多糖を含む。好ましい実施形態では、血清型22F免疫原性コンジュゲートは、血清型22F多糖の総量に対して、約40%未満の遊離血清型22F多糖を含む。好ましい実施形態では、血清型22F免疫原性コンジュゲートは、血清型22F多糖の総量に対して、約25%未満の遊離血清型22F多糖を含む。好ましい実施形態では、血清型22F免疫原性コンジュゲートは、血清型22F多糖の総量に対して、約20%未満の遊離血清型22F多糖を含む。好ましい実施形態では、血清型22F免疫原性コンジュゲートは、血清型22F多糖の総量に対して、約15%未満の遊離血清型22F多糖を含む。
【0149】
好ましい実施形態では、コンジュゲートにおける血清型22F多糖の担体タンパク質に対する比(重量/重量)は、0.5〜3の間である。好ましい実施形態では、コンジュゲートにおける血清型22F多糖の担体タンパク質に対する比は、0.5〜2、0.5〜1.5、0.8〜1.2、0.5〜1、1〜1.5、または1〜2の間である。好ましい実施形態では、コンジュゲートにおける血清型22F多糖の担体タンパク質に対する比は、0.8〜1.2の間である。好ましい実施形態では、コンジュゲートにおける血清型22F多糖の担体タンパク質に対する比は、0.9〜1.1の間である。
【0150】
好ましい実施形態では、血清型22F免疫原性コンジュゲートの少なくとも30%が、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートの少なくとも40%が、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。好ましい実施形態では、血清型22F免疫原性コンジュゲートの少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%が、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。好ましい実施形態では、血清型22F免疫原性コンジュゲートの少なくとも60%が、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。好ましい実施形態では、50%〜80%の間の血清型22F免疫原性コンジュゲートが、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。好ましい実施形態では、65%〜80%の間の血清型22F免疫原性コンジュゲートが、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。
【0151】
好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートの複合化度は、2〜15、2〜13、2〜10、2〜8、2〜6、2〜5、2〜4、3〜15、3〜13、3〜10、3〜8、3〜6、3〜5、3〜4、4〜7、5〜15、5〜10、8〜15、8〜12、10〜15、または10〜12の間である。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートの複合化度は、4〜7の間である。
【0152】
血清型33F免疫原性コンジュゲート
好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートは、血清型33F多糖1mMあたり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、もしくは0.7、または約0.8mMのアセテートを含む。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートは、血清型33F多糖1mMあたり少なくとも0.5、0.6、または0.7mMのアセテートを含む。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートは、血清型33F多糖1mMあたり少なくとも0.6mMのアセテートを含む。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートは、血清型33F多糖1mMあたり少なくとも0.7mMのアセテートを含む。
【0153】
好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートにおける血清型33F多糖1mMあたりのアセテートmMの、多糖単離物における血清型33F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比は、少なくとも0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、または0.95である。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートにおける血清型33F多糖1mMあたりのアセテートmMの、多糖単離物における血清型33F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比は、少なくとも0.7である。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートにおける血清型33F多糖1mMあたりのアセテートmMの、多糖単離物における血清型33F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比は、少なくとも0.9である。
【0154】
好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートにおける血清型33F多糖1mMあたりのアセテートmMの、活性化多糖における血清型33F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比は、少なくとも0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、または0.95である。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートにおける血清型33F多糖1mMあたりのアセテートmMの、活性化多糖における血清型33F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比は、少なくとも0.7である。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートにおける血清型33F多糖1mMあたりのアセテートmMの、活性化多糖における血清型33F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比は、少なくとも0.9である。
【0155】
好ましい実施形態では、血清型33F免疫原性コンジュゲートは、分子量が、500kDa〜30000kDa、500kDa〜25000kDa、500kDa〜20000kDa、500kDa〜15000kDa、500kDa〜10000kDa、1000kDa〜10000kDa、1000kDa〜8000kDa、1000kDa〜5000kDa、2000kDa〜10000kDa、2000kDa〜8000kDa、または2000kDa〜5000kDaの間である。好ましい実施形態では、血清型33F免疫原性コンジュゲートは、分子量が1000kDa〜5000kDaの間である。免疫原性コンジュゲートの分子量は、SEC−MALLSによって測定される。
【0156】
好ましい実施形態では、血清型33F免疫原性コンジュゲートは、血清型33F多糖の総量に対して、約50、45、40、35、30、25、20、または15%未満の遊離血清型33F多糖を含む。好ましい実施形態では、血清型33F免疫原性コンジュゲートは、血清型33F多糖の総量に対して、約25%未満の遊離血清型33F多糖を含む。好ましい実施形態では、血清型33F免疫原性コンジュゲートは、血清型33F多糖の総量に対して、約20%未満の遊離血清型33F多糖を含む。好ましい実施形態では、血清型33F免疫原性コンジュゲートは、血清型33F多糖の総量に対して、約15%未満の遊離血清型33F多糖を含む。
【0157】
好ましい実施形態では、コンジュゲートにおける血清型33F多糖の担体タンパク質に対する比(重量/重量)は、0.4〜3の間である。好ましい実施形態では、コンジュゲートにおける血清型33F多糖の担体タンパク質に対する比は、0.5〜2、0.5〜1.5、0.5〜1、1〜1.5、1〜2の間である。好ましい実施形態では、コンジュゲートにおける血清型33F多糖の担体タンパク質に対する比は、0.5〜1.5の間である。好ましい実施形態では、コンジュゲートにおける血清型33F多糖の担体タンパク質に対する比は、0.5〜1.2の間である。
【0158】
好ましい実施形態では、血清型33F免疫原性コンジュゲートの少なくとも30%が、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートの少なくとも40%が、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。好ましい実施形態では、血清型33F免疫原性コンジュゲートの少なくとも45%、50%、55%、60%、65%が、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。好ましい実施形態では、血清型33F免疫原性コンジュゲートの少なくとも60%が、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。好ましい実施形態では、40%〜80%の間の血清型33F免疫原性コンジュゲートが、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。好ましい実施形態では、45%〜65%の間の血清型33F免疫原性コンジュゲートが、CL−4Bカラムにおいて0.3以下のKdを有する。
【0159】
好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートの複合化度は、1〜15、2〜13、2〜10、2〜8、2〜6、2〜5、2〜4、3〜15、3〜13、3〜10、3〜8、3〜6、3〜5、3〜4、5〜15、5〜10、8〜15、8〜12、10〜15、または10〜12の間である。好ましい実施形態では、免疫原性コンジュゲートの複合化度は、3〜6の間である。
【0160】
免疫原性組成物
用語「免疫原性組成物」は、抗原、たとえば、微生物またはその構成成分を含有する、対象における免疫応答の惹起に使用することのできるいずれかの医薬組成物に関する。
【0161】
本明細書で使用するとき、「免疫原性」とは、細菌莢膜多糖などの抗原(または抗原のエピトープ)、または抗原を含む複合多糖もしくは免疫原性組成物が、哺乳動物などの宿主において、液性もしくは細胞媒介性または両方の免疫応答を惹起しうる能力を意味する。
【0162】
好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、本明細書で開示する方法によって取得した血清型10A、22F、または33Fコンジュゲートを含む。好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、本明細書で開示する方法によって取得可能な血清型10A、22F、または33Fコンジュゲートを含む。
【0163】
一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、対象に投与されたとき、血清型10A肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)に結合しうる抗体の形成を誘発する。一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、対象に投与されたとき、標準のELISAアッセイによって測定される、血清型10A肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)に結合しうる抗体の形成を誘発する。
【0164】
一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、対象に投与されたとき、本明細書で開示するとおりのオプソニン化食作用アッセイにおいて、血清型10A肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)を死滅させうる抗体の形成を誘発する。
【0165】
一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、対象に投与されたとき、血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)に結合しうる抗体の形成を誘発する。一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、対象に投与されたとき、標準のELISAアッセイによって測定される、血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)に結合しうる抗体の形成を誘発する。
【0166】
一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、対象に投与されたとき、本明細書で開示するとおりのオプソニン化食作用アッセイにおいて、血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)を死滅させうる抗体の形成を誘発する。
【0167】
一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、対象に投与されたとき、血清型33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)に結合しうる抗体の形成を誘発する。一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、対象に投与されたとき、標準のELISAアッセイによって測定される、血清型33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)に結合しうる抗体の形成を誘発する。
【0168】
一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、対象に投与されたとき、本明細書で開示するとおりのオプソニン化食作用アッセイにおいて、血清型33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)を死滅させうる抗体の形成を誘発する。
【0169】
本発明の免疫原性組成物の製剤化は、業界で認知されている方法を使用して実現することができる。たとえば、血清型10A、22F、または33Fコンジュゲートを生理学的に許容できるビヒクルと共に製剤化して、組成物を調製することができる。そのようなビヒクルの例としては、限定はしないが、水、緩衝食塩水、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、およびデキストロース溶液が挙げられる。
【0170】
好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、少なくとも1種の追加の抗原を含んでもよい。好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、少なくとも1種の追加の肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)莢膜多糖を含んでもよい。
【0171】
好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、担体タンパク質とコンジュゲートされた、少なくとも1種の追加の肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)莢膜多糖を含んでもよい。好ましい実施形態では、前記担体タンパク質は、CRM
197である。
【0172】
ある特定の実施形態では、免疫原性組成物は、1種または複数のアジュバントを含む。本明細書で定義するとき、「アジュバント」とは、本発明の免疫原性組成物の免疫原性を増強する働きをする物質である。したがって、アジュバントは、免疫応答を追加免疫するためにしばしば与えられ、当業者によく知られている。組成物の有効性を高めるのに適するアジュバントとしては、限定はしないが、以下のものが挙げられる。
(1)アルミニウム塩(ミョウバン)、たとえば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなど、
(2)水中油型エマルション製剤(ムラミルペプチド(以下で定義する)や細菌細胞壁成分などの他の詳細な免疫賦活薬を含むまたは含まないもの)、たとえば、
(a)5%のスクアレン、0.5%の5Tween80、および0.5%のSpan85を含有する(場合により、様々な量のMTP−PE(必須ではないが以下を参照されたい)を含有する)MF59(PCT公開第WO90/14837号)を、Model 11OYマイクロフルダイザー(Microfluidics、マサチューセッツ州ニュートン)などのマイクロフルダイザーを使用してサブミクロン粒子に製剤化したもの、
(b)10%のスクアレン、0.4%のTween80、5%のpluronicブロックポリマーL121、およびthr−MDP(以下を参照のこと)を含有するSAFを、顕微溶液化してサブミクロンエマルションにしたもの、またはボルテックス撹拌してより大きい粒径のエマルションを生じさせたもの、
(c)2%のスクアレン、0.2%のTween80、ならびに米国特許第4,912,094号に記載の3−O−脱アシル化(deaylated)モノホスホリルリピドA(MPL(商標))(Corixa)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましくはMPL+CWS(Detox(商標))からなる群からの1種または複数の細菌細胞壁成分を含有する、Ribi(商標)アジュバント系(RAS)(Corixa、モンタナ州ハミルトン)、
(3)サポニンアジュバント、たとえば、Quil AまたはSTIMULON(商標)QS−21(Antigenics、マサチューセッツ州フレミーミングハム)(米国特許第5,057,540号)またはそれから生成される粒子、たとえば、ISCOM(免疫賦活複合体)、
(4)細菌リポ多糖、合成リピドA類似体、たとえば、Corixaから入手可能であり、米国特許第6,113,918号に記載されている、アミノアルキルグルコサミンホスフェート化合物(AGP)またはその誘導体もしくは類似体(このようなAGPの一つは、水性形態または安定なエマルションとして製剤化される、529としても知られる(正式にはRC529として知られる)、2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]エチル2−デオキシ−4−Oホスホノ−3−O−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル]−2−[(R)−3テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]−b−D−グルコピラノシドである)、合成ポリヌクレオチド、たとえば、CpGモチーフを含んでいるオリゴヌクレオチド(米国特許第6,207,646号)、
(5)サイトカイン、たとえば、インターロイキン(たとえば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12、IL−15、IL−18など)、インターフェロン(たとえば、γインターフェロン)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、補助刺激分子87−1および87−2など、
(6)細菌ADPリボシル化毒素、たとえば、野生型または突然変異形態のコレラ毒素(CT)(たとえば、この場合、公開国際特許出願第WO00/18434号(WO02/098368およびWO02/098369も参照のこと)に従って、アミノ酸29位のグルタミン酸が別のアミノ酸、好ましくはヒスチジンで置き換えられている)、百日咳毒素(PT)、または大腸菌(E.coli)熱不安定毒素(LT)、特にLT−K63、LT−R72、CT−S109、PT−K9/G129(たとえば、WO93/13302およびWO92/19265を参照のこと)の無毒化突然変異体、ならびに
(7)免疫賦活薬として作用して組成物の有効性を高める他の物質。
【0173】
ムラミルペプチドとしては、限定はしないが、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)などが挙げられる。
【0174】
本発明の一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、アジュバントとしてCpGオリゴヌクレオチドを含む。本明細書で使用する、CpGオリゴヌクレオチドとは、免疫賦活性CpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)を指し、したがって、これらの用語は、別段指摘しない限り、互換的に使用される。免疫賦活性CpGオリゴデオキシヌクレオチドは、場合によりある特定の好ましい塩基状況内で、メチル化されていないシトシン−グアニンジヌクレオチドである、1つまたは複数の免疫賦活性CpGモチーフを含んでいる。CpG免疫賦活性モチーフのメチル化状態とは、一般に、ジヌクレオチド中のシトシン残基を指す。少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含んでいる免疫賦活性オリゴヌクレオチドとは、リン酸結合によって3’グアニンに連結された5’非メチル化シトシンを含んでおり、Toll様受容体9(TLR−9)に結合することで免疫系を活性化する、オリゴヌクレオチドである。別の実施形態では、免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、TLR9を介して免疫系を活性化するが、CpGモチーフがメチル化されていない場合ほど強く活性化しない、1つまたは複数のメチル化CpGジヌクレオチドを含んでいてもよい。CpG免疫抑制性オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の回文構造を含んでもよく、その回文構造が、CpGジヌクレオチドを含んでもよい。CpGオリゴヌクレオチドは、米国特許第6,194,388号、第6,207,646号、第6,214,806号、第6,218,371号、第6,239,116号、および第6,339,068号を含めて、いくつかの交付済み特許、公開特許出願、および他の刊行物に記載されている。
【0175】
本発明の一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、WO2010/125480の3頁22行〜12頁36行に記載のCpGオリゴヌクレオチドのいずれかを含む。
【0176】
異なるクラスのCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドが確認されている。それらは、A、B、C、およびPクラスと称され、WO2010/125480の3頁22行〜12頁36行により詳細に記載されている。本発明の方法は、こうした異なるクラスのCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドの使用を包含する。
【0177】
本発明の一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、AクラスCpGオリゴヌクレオチドを含む。本発明の「Aクラス」CpGオリゴヌクレオチドは、次の核酸配列:5’GGGGACGACGTCGTGGGGGGG3’(配列番号1)を有することが好ましい。Aクラスオリゴヌクレオチドの非限定的な一部の例として、5’G*G*G_G_A_C_G_A_C_G_T_C_G_T_G_G*G*G*G*G*G3’(配列番号2)[配列中、*は、ホスホロチオエート結合を指し、_は、ホスホジエステル結合を指す]が挙げられる。
【0178】
本発明の一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、BクラスCpGオリゴヌクレオチドを含む。一実施形態では、本発明で使用するCpGオリゴヌクレオチドは、少なくとも、式:
5’X
1X
2CGX
3X
43’[配列中、X
1、X
2、X
3、およびX
4は、ヌクレオチドである]で表されるBクラスCpGオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、X
2は、アデニン、グアニン、またはチミンである。別の実施形態では、X
3は、シトシン、アデニン、またはチミンである。
【0179】
本発明のBクラスCpGオリゴヌクレオチド配列は、米国特許第6,194,388号、第6,207,646号、第6,214,806号、第6,218,371号、第6,239,116号、および第6,339,068号の上方に広く記載されている配列である。例示的な配列としては、限定はしないが、これらの後半の出願および特許に記載されている配列が挙げられる。
【0180】
一実施形態では、本発明の「Bクラス」CpGオリゴヌクレオチドは、次の核酸配列を有する。
5’TCGTCGTTTTTCGGTGCTTTT3’(配列番号3)、または
5’TCGTCGTTTTTCGGTCGTTTT3’(配列番号4)、または
5’TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT3’(配列番号5)、または
5’TCGTCGTTTCGTCGTTTTGTCGTT3’(配列番号6)、または
5’TCGTCGTTTTGTCGTTTTTTTCGA3’(配列番号7)。
【0181】
こうした配列のいずれかにおいて、連結のすべてが、すべてホスホロチオエート結合であってもよい。別の実施形態では、こうした配列のいずれかにおいて、好ましくはCpGモチーフの「C」と「G」間で、連結の1つまたは複数がホスホジエステルであり、セミソフトCpGオリゴヌクレオチドをなしていてもよい。こうした配列のいずれかにおいて、5’Tの代わりにエチル−ウリジンまたはハロゲンが存在してもよく、ハロゲン置換の例としては、限定はしないが、ブロモ−ウリジンまたはヨード−ウリジン置換が挙げられる。
【0182】
Bクラスオリゴヌクレオチドの非限定的な一部の例として、
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*T*C*G*G*T*G*C*T*T*T*T3’(配列番号8)、または
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*T*C*G*G*T*C*G*T*T*T*T3’(配列番号9)、または
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*G*T*C*G*T*T*T*T*G*T*C*G*T*T3’(配列番号10)、または
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*G*T*C*G*T*T3’(配列番号11)、または
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*G*T*C*G*T*T*T*T*T*T*T*C*G*A3’(配列番号12)
[配列中、*は、ホスホロチオエート結合を指す]が挙げられる。
【0183】
本発明の一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、CクラスCpGオリゴヌクレオチドを含む。一実施形態では、本発明の「Cクラス」CpGオリゴヌクレオチドは、次の核酸配列を有する。
5’TCGCGTCGTTCGGCGCGCGCCG3’(配列番号13)、または
5’TCGTCGACGTTCGGCGCGCGCCG3’(配列番号14)、または
5’TCGGACGTTCGGCGCGCGCCG3’(配列番号15)、または
5’TCGGACGTTCGGCGCGCCG3’(配列番号16)、または
5’TCGCGTCGTTCGGCGCGCCG3’(配列番号17)、または
5’TCGACGTTCGGCGCGCGCCG3’(配列番号18)、または
5’TCGACGTTCGGCGCGCCG3’(配列番号19)、または
5’TCGCGTCGTTCGGCGCCG3’(配列番号20)、または
5’TCGCGACGTTCGGCGCGCGCCG3’(配列番号21)、または
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCG3’(配列番号22)、または
5’TCGTCGTTTTCGGCGGCCGCCG3’(配列番号23)、または
5’TCGTCGTTTTACGGCGCCGTGCCG3’(配列番号24)、または
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT3’(配列番号25)
【0184】
こうした配列のいずれかにおいて、連結のすべてが、すべてホスホロチオエート結合であってもよい。別の実施形態では、こうした配列のいずれかにおいて、好ましくはCpGモチーフの「C」と「G」間で、連結の1つまたは複数がホスホジエステルであり、セミソフトCpGオリゴヌクレオチドをなしていてもよい。
【0185】
Cクラスオリゴヌクレオチドの非限定的な一部の例として、
5’T*C_G*C_G*T*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C_G*C*G*C*C*G3’(配列番号26)、または
5’T*C_G*T*C_G*A*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C_G*C*G*C*C*G3’(配列番号27)、または
5’T*C_G*G*A*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C_G*C*G*C*C*G3’(配列番号28)、または
5’T*C_G*G*A*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C*G*C*C*G3’(配列番号29)、または
5’T*C_G*C_G*T*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C*G*C*C*G3’(配列番号30)、または
5’T*C_G*A*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C_G*C*G*C*C*G3’(配列番号31)、または
5’T*C_G*A*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C*G*C*C*G3’(配列番号32)、または
5’T*C_G*C_G*T*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C*C*G3’(配列番号33)、または
5’T*C_G*C_G*A*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C_G*C*G*C*C*G3’(配列番号34)、または
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G3’(配列番号35)、または
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*G*C*C*G*C*C*G3’(配列番号36)、または
5’T*C*G*T*C_G*T*T*T*T*A*C_G*G*C*G*C*C_G*T*G*C*C*G3’(配列番号37)、または
5’T*C_G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号38)
[配列中、*は、ホスホロチオエート結合を指し、_は、ホスホジエステル結合を指す]が挙げられる。
【0186】
こうした配列のいずれかにおいて、5’Tの代わりにエチル−ウリジンまたはハロゲンが存在してもよく、ハロゲン置換の例としては、限定はしないが、ブロモ−ウリジンまたはヨード−ウリジン置換が挙げられる。
【0187】
本発明の一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、PクラスCpGオリゴヌクレオチドを含む。一実施形態では、本発明で使用するCpGオリゴヌクレオチドは、5’TLR活性化ドメインと、少なくとも2つの回文構造領域とを含んでおり、一つの回文構造領域が、長さが少なくとも6ヌクレオチドである5’回文構造領域であり、長さが少なくとも8ヌクレオチドである3’回文構造領域に、直接またはスペーサーを介して接続している、PクラスCpGオリゴヌクレオチドであり、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのYpRジヌクレオチドを含む。一実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、T*C_G*T*C_G*A*C_G*T*T*C_G*G*C*G*C_G*C*G*C*C*G(配列番号27)でない。一実施形態では、PクラスCpGオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含む。別の実施形態では、TLR活性化ドメインは、TCG、TTCG、TTTCG、TYpR、TTYpR、TTTYpR、UCG、UUCG、UUUCG、TTT、またはTTTTである。さらに別の実施形態では、TLR活性化ドメインは、5’回文構造領域内にある。別の実施形態では、TLR活性化ドメインは、5’回文構造領域のすぐ5’側にある。
【0188】
一実施形態では、本発明の「Pクラス」CpGオリゴヌクレオチドは、次の核酸配列:5’TCGTCGACGATCGGCGCGCGCCG3’(配列番号39)を有する。
【0189】
前記配列において、連結のすべてが、すべてホスホロチオエート結合であってもよい。別の実施形態では、好ましくはCpGモチーフの「C」と「G」間で、連結の1つまたは複数がホスホジエステルであり、セミソフトCpGオリゴヌクレオチドをなしていてもよい。こうした配列のいずれかにおいて、5’Tの代わりにエチル−ウリジンまたはハロゲンが存在してもよく、ハロゲン置換の例としては、限定はしないが、ブロモ−ウリジンまたはヨード−ウリジン置換が挙げられる。
【0190】
Pクラスオリゴヌクレオチドの非限定的な一例として、
5’T*C_G*T*C_G*A*C_G*A*T*C_G*G*C*G*C_G*C*G*C*C*G3’(配列番号40)
[配列中、*は、ホスホロチオエート結合を指し、_は、ホスホジエステル結合を指す]が挙げられる。
【0191】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含む。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエート連結である。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホジエステル様連結を含む。別の実施形態では、ホスホジエステル様連結は、ホスホジエステル連結である。別の実施形態では、親油性基が、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされている。一実施形態では、親油性基は、コレステロールである。
【0192】
一実施形態では、本明細書で開示するCpGオリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間連結が、ホスホジエステル結合である(PCT出願WO2007/026190に記載されている「ソフト」オリゴヌクレオチド)。別の実施形態では、本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、耐分解性になっている(すなわち、安定化されている)。「安定化オリゴヌクレオチド」とは、(たとえば、エキソまたはエンドヌクレアーゼによる)in vivo分解に相対的に耐性があるオリゴヌクレオチドを指す。核酸安定化は、主鎖修飾によって実現することができる。ホスホロチオエート連結を有するオリゴヌクレオチドは、活性が最大となり、細胞内エキソおよびエンドヌクレアーゼによる分解からオリゴヌクレオチドを保護する。
【0193】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル連結とホスホロチオエート連結の組合せを備えたキメラ主鎖を有していてもよい。本発明の目的では、キメラ主鎖とは、少なくとも1つのヌクレオチド間連結がホスホジエステルまたはホスホジエステル様であり、他の少なくとも1つのヌクレオチド間連結が安定化されたヌクレオチド間連結であり、少なくとも1つのホスホジエステルまたはホスホジエステル様連結と、少なくとも1つの安定化された連結は、異なるものである、部分的に安定化された主鎖を指す。ホスホジエステル連結がCpGモチーフ内に優先的に位置しているとき、そのような分子は、PCT出願WO2007/026190に記載されているように、「セミソフト」と呼ばれる。
【0194】
CpGオリゴヌクレオチドのサイズ(すなわち、オリゴヌクレオチドの長さに沿ったヌクレオチド残基の数)も、オリゴヌクレオチドの賦活活性に寄与しうる。細胞への取り込みを促進するために、本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、6ヌクレオチド残基の最小長を有することが好ましい。大きめのオリゴヌクレオチドは、細胞内部で分解されるので、6ヌクレオチドより大きい(さらにより大きいkb長でも)あらゆるサイズのオリゴヌクレオチドが、十分な免疫賦活性モチーフが存在すれば、免疫応答を誘発しうる。ある特定の実施形態では、CpGオリゴヌクレオチドは、6〜100ヌクレオチド長、より優先的には8〜30ヌクレオチド長である。重要な実施形態では、本発明の核酸およびオリゴヌクレオチドは、プラスミドまたは発現ベクターでない。
【0195】
一実施形態では、本明細書で開示するCpGオリゴヌクレオチドは、WO2007/026190の134〜147段落に記載されているように、塩基および/または糖などにおける置換または修飾を含む。
【0196】
一実施形態では、本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、化学修飾されている。化学修飾の例は、当業者に知られており、たとえば、Uhlmann E.ら(1990)、Chem.Rev.90:543;S.Agrawal編、Humana Press、米国トトワ、1993;Crooke,S.T.ら(1996)、Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.36:107〜129;およびHunziker J.ら(1995)、Mod.Synth.Methods 7:331〜417に記載されている。本発明によるオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾がなされていてよく、そのような修飾は、自然DNAまたはRNAから構成される同じ配列のオリゴヌクレオチドと比較すると、特定のホスホジエステルヌクレオシド間架橋、および/または特定のβ−D−リボース単位、および/または特定の自然ヌクレオシド塩基位に位置している。
【0197】
本発明の一部の実施形態では、CpGを含んでいる核酸は、当業者公知の方法(たとえば、WO03/024480を参照のこと)に従って、免疫原性担体と単に混合してよいことになる。
【0198】
本発明の特定の実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物はいずれも、2μg〜100mgのCpGオリゴヌクレオチド、好ましくは0.1mg〜50mgのCpGオリゴヌクレオチド、好ましくは0.2mg〜10mgのCpGオリゴヌクレオチド、好ましくは0.3mg〜5mgのCpGオリゴヌクレオチド、なお好ましくは0.5〜2mgのCpGオリゴヌクレオチド、なお好ましくは0.75〜1.5mgのCpGオリゴヌクレオチドを含む。好ましい実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、およそ1mgのCpGオリゴヌクレオチドを含む。
【0199】
好ましい実施形態では、アジュバントは、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、および水酸化アルミニウムからなる群から選択されるアルミニウム系アジュバントである。一実施形態では、本明細書に記載の免疫原性組成物は、リン酸アルミニウムアジュバントを含む。
【0200】
好ましい実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、緩衝液、凍結保護剤、塩、二価カチオン、非イオン洗浄剤、フリーラジカル酸化防止剤、希釈剤、または担体の少なくとも1つをさらに含む。
【0201】
免疫原性組成物は、薬学的に許容できる担体を場合により含んでもよい。薬学的に許容できる担体には、ヒトならびに非ヒト哺乳動物を含めた動物における使用について、連邦政府、州政府の規制機関、もしくは他の規制機関によって認可されている、または米国薬局方もしくは一般に認められている他の薬局方に載っている担体が含まれる。担体という用語は、医薬組成物と一緒に投与される、希釈剤、佐剤、添加剤、またはビヒクルを指すのに使用することができる。水、食塩水、ならびにデキストロース水溶液およびグリセロール水溶液は、液体担体として、特に注射用溶液に用いることができる。適切な医薬担体の例は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている。製剤は、投与方式に合ったものにすべきである。
【0202】
免疫原性組成物は、限定はしないが、Tris(トロメタミン)、リン酸、酢酸、ホウ酸、クエン酸、グリシン、ヒスチジン、およびコハク酸から選択される、生理学的に許容できる1種または複数の緩衝液を場合により含んでもよい。ある特定の実施形態では、製剤は、約5.0〜約7.0、好ましくは約5.5〜約6.5のpH範囲内に緩衝される。
【0203】
免疫原性組成物は、限定はしないが、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート80(Tween80)、ポリソルベート60(Tween60)、ポリソルベート40(Tween40)、およびポリソルベート20(Tween20)、限定はしないがBrij58、Brij35を含めたポリオキシエチレンアルキルエステル、ならびに他の界面活性剤、たとえば、Triton X−100、Triton X−114、NP40、Span85、およびPluronicシリーズの非イオン界面活性剤(たとえば、Pluronic121)を始めとする、1種または複数の非イオン界面活性剤を場合により含んでもよく、好ましい構成成分は、約0.001%〜約2%(約0.25%までが好ましい)の濃度のポリソルベート80、または約0.001%〜1%(約0.5%までが好ましい)の濃度のポリソルベート40である。
【0204】
本発明はさらに、本発明の免疫原性組成物を含むワクチンに関する。
【0205】
免疫応答を誘発し、感染から防御する方法
本開示はまた、本明細書に記載の免疫原性組成物の使用方法を包含する。たとえば、本開示の一実施形態は、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)に対する免疫応答を誘発する方法であって、本明細書に記載の免疫原性組成物のいずれかを対象に免疫原性量投与することを含む方法を提供する。
【0206】
本開示の一実施形態は、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染から対象を防御する方法、または肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染を防止する方法、または肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)が引き起こす感染と関連する少なくとも1つの症状の重症度を軽減するもしくはその発症を遅らせる方法であって、本明細書に記載の免疫原性組成物のいずれかを対象に免疫原性量投与することを含む方法を提供する。
【0207】
本開示の一実施形態は、血清型10A肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染から対象を防御する方法、または血清型10A肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染を防止する方法、または血清型10A肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)が引き起こす感染と関連する少なくとも1つの症状の重症度を軽減するもしくはその発症を遅らせる方法であって、本明細書に記載の免疫原性組成物のいずれかを対象に免疫原性量投与することを含む方法を提供する。
【0208】
本開示の一実施形態は、対象において、血清型10A肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)と関連する肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)感染、疾患、または状態を治療または防止する方法であって、本明細書に記載の免疫原性組成物の治療または予防有効量を対象に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態は、対象において、血清型10A肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)と関連する肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)感染、疾患、または状態を治療または防止する方法であって、本明細書に記載の免疫原性組成物からポリクローナルまたはモノクローナル抗体調製物を生成することと、前記抗体調製物を使用して対象に受動免疫を付与することとを含む方法を提供する。
【0209】
一実施形態では、本開示は、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染から対象を防御し、かつ/または肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染を防止し、かつ/または肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)が引き起こす感染と関連する少なくとも1つの症状の重症度を軽減するもしくはその発症を遅らせ、かつ/または血清型10A肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染から対象を防御し、かつ/または血清型10A肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染を防止し、かつ/または血清型10A肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)が引き起こす感染と関連する少なくとも1つの症状の重症度を軽減するもしくはその発症を遅らせる医薬を製造するための、本明細書で開示する免疫原性コンジュゲートまたは免疫原性組成物の使用に関する。
【0210】
本開示の一実施形態は、血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染から対象を防御する方法、または血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染を防止する方法、または血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)が引き起こす感染と関連する少なくとも1つの症状の重症度を軽減するもしくはその発症を遅らせる方法であって、本明細書に記載の免疫原性組成物のいずれかを対象に免疫原性量投与することを含む方法を提供する。
【0211】
本開示の一実施形態は、対象において、血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)と関連する肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)感染、疾患、または状態を治療または防止する方法であって、本明細書に記載の免疫原性組成物の治療または予防有効量を対象に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態は、対象において、血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)と関連する肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)感染、疾患、または状態を治療または防止する方法であって、本明細書に記載の免疫原性組成物からポリクローナルまたはモノクローナル抗体調製物を生成することと、前記抗体調製物を使用して対象に受動免疫を付与することとを含む方法を提供する。
【0212】
一実施形態では、本開示は、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染から対象を防御し、かつ/または肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染を防止し、かつ/または肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)が引き起こす感染と関連する少なくとも1つの症状の重症度を軽減するもしくはその発症を遅らせ、かつ/または血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染から対象を防御し、かつ/または血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染を防止し、かつ/または血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)が引き起こす感染と関連する少なくとも1つの症状の重症度を軽減するもしくはその発症を遅らせる医薬を製造するための、本明細書で開示する免疫原性コンジュゲートまたは免疫原性組成物の使用に関する。
【0213】
本開示の一実施形態は、血清型33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染から対象を防御する方法、または血清型33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染を防止する方法、または血清型33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)が引き起こす感染と関連する少なくとも1つの症状の重症度を軽減するもしくはその発症を遅らせる方法であって、本明細書に記載の免疫原性組成物のいずれかを対象に免疫原性量投与することを含む方法を提供する。
【0214】
本開示の一実施形態は、対象において、血清型33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)と関連する肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)感染、疾患、または状態を治療または防止する方法であって、本明細書に記載の免疫原性組成物の治療または予防有効量を対象に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態は、対象において、血清型33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)と関連する肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)感染、疾患、または状態を治療または防止する方法であって、本明細書に記載の免疫原性組成物からポリクローナルまたはモノクローナル抗体調製物を生成することと、前記抗体調製物を使用して対象に受動免疫を付与することとを含む方法を提供する。
【0215】
一実施形態では、本開示は、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染から対象を防御し、かつ/または肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染を防止し、かつ/または肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)が引き起こす感染と関連する少なくとも1つの症状の重症度を軽減するもしくはその発症を遅らせ、かつ/または血清型33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染から対象を防御し、かつ/または血清型33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)への感染を防止し、かつ/または血清型33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)が引き起こす感染と関連する少なくとも1つの症状の重症度を軽減するもしくはその発症を遅らせる医薬を製造するための、本明細書で開示する免疫原性コンジュゲートまたは免疫原性組成物の使用に関する。
【0216】
免疫原性組成物に対する「免疫応答」とは、目的の免疫原性組成物またはワクチン組成物中に存在する分子に対する液性および/または細胞媒介性免疫応答が対象において展開されることである。本開示の目的では、「液性免疫応答」は、抗体が媒介となる免疫応答であり、本開示の免疫原性組成物またはワクチン中の抗原を認識し、いくらかの親和性で結合する抗体の誘導および生成を伴うのに対し、「細胞媒介性免疫応答」は、T細胞および/または他の白血球が媒介となるものである。「細胞媒介性免疫応答」は、主要組織適合複合体(MHC)のクラスIまたはクラスII分子、CD1、または他の非古典的MHC様分子と共同した抗原性エピトープの提示によって惹起される。これによって、抗原特異的なCD4+ヘルパーT細胞またはCD8+細胞傷害性Tリンパ球(「CTL」)が活性化される。CTLは、古典的または非古典的MHCによってコードされ細胞表面に発現されるタンパク質と共同して提示される、ペプチド抗原に対して特異性を有する。CTLは、細胞内の微生物の細胞内での破壊、またはそのような微生物に感染した細胞の溶解の誘導および促進を助ける。細胞性免疫の別の側面には、ヘルパーT細胞による抗原特異的応答が関与する。ヘルパーT細胞は、その表面上で古典的または非古典的MHC分子と共同してペプチドまたは他の抗原を示す細胞に対して、非特異的なエフェクター細胞の機能を刺激し、その活性を集中させるのを助ける働きをする。「細胞媒介性免疫応答」は、サイトカイン、ケモカイン、ならびにCD4+およびCD8+T細胞から派生するものを含めて、活性化T細胞および/または他の白血球によって産生される他のそうした分子の産生も指す。特定の抗原または組成物が細胞媒介性免疫応答を刺激しうる能力は、いくつかのアッセイ、たとえば、リンパ球増殖(リンパ球活性化)アッセイ、CTL細胞傷害性細胞アッセイ、感作された対象における抗原に特異的なTリンパ球のアッセイ、または抗原による再刺激に応じたT細胞によるサイトカイン産生の測定によって決定することができる。このようなアッセイは、当業界でよく知られている。たとえば、Ericksonら(1993)、J.Immunol.151:4189〜4199、およびDoeら(1994)、Eur.J.Immunol.24:2369〜2376を参照されたい。
【0217】
本明細書で使用するとき、「治療」(その変形語、たとえば、「治療する」または「治療される」を含める)とは、(i)伝統的なワクチンでのような感染または再感染の防止、(ii)症状の重症度の軽減またはその解消、および(iii)問題の病原または障害の実質的または完全な除去のいずれか1つまたは複数を意味する。すなわち、治療は、(感染する前に)予防的に、または(感染してから)治療的に行うことができる。本開示では、予防的治療が好ましい形式である。本開示の特定の実施形態によれば、宿主動物を血清型10A肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)感染に対して予防的および/または治療的に免疫化することを含めて治療する組成物および方法が提供される。本開示の特定の実施形態によれば、宿主動物を血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)感染に対して予防的および/または治療的に免疫化することを含めて治療する組成物および方法が提供される。本開示の特定の実施形態によれば、宿主動物を血清型33F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)感染に対して予防的および/または治療的に免疫化することを含めて治療する組成物および方法が提供される。本開示の方法は、対象に予防的および/または治療的な免疫を付与するのに有用である。本開示の方法は、生物医学的研究用途のための対象において実施することもできる。
【0218】
本明細書で互換的に使用される「免疫原性量」および「免疫学的有効量」とは、当業者公知の標準のアッセイによって測定される、細胞性(T細胞)もしくは液性(B細胞もしくは抗体)応答のいずれかまたは両方の免疫応答を惹起するのに十分な抗原または免疫原性組成物の量を指す。
【0219】
好ましい実施形態では、前記対象はヒトである。最も好ましい実施形態では、前記対象は、新生児(すなわち、月齢3か月未満)、乳児(月齢3か月〜1歳)、または幼児(すなわち、1歳から4歳)である。
【0220】
一実施形態では、本明細書で開示する免疫原性組成物は、ワクチンとして使用するためのものである。
【0221】
このような実施形態では、ワクチン接種される対象は、1歳未満でもよい。たとえば、ワクチン接種される対象は、月齢約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12か月でよい。一実施形態では、ワクチン接種される対象は、月齢約2、4、または6か月である。別の実施形態では、ワクチン接種される対象は、2歳未満である。たとえば、ワクチン接種される対象は、月齢約12〜15か月でよい。ある場合では、1用量程度の少量の本発明による免疫原性組成物が必要とされるが、状況によっては、2回目、3回目、または4回目の用量が与えられる場合もある(投薬計画の部を参照されたい)。
【0222】
本発明の一実施形態では、ワクチン接種される対象は、50歳以上の成人、より好ましくは55歳以上の成人である。一実施形態では、ワクチン接種される対象は、65歳以上、70歳以上、75歳以上、または80歳以上の成人である。
【0223】
一実施形態では、ワクチン接種される対象は、免疫無防備状態の個体、特にヒトである。免疫無防備状態の個体とは、一般に、感染性因子による攻撃に対して正常な液性または細胞性防御を展開しうる能力の弱体化または低下を示す者と定義される。
【0224】
本発明の一実施形態では、ワクチン接種される免疫無防備状態の対象は、免疫系を損ない、結果として抗体応答を肺炎球菌疾患からの防御またはその治療に不十分にする、疾患または状態に罹患している。
【0225】
一実施形態では、前記疾患は、原発性免疫不全障害である。前記原発性免疫不全障害は、複合型T細胞B細胞免疫不全症(combined T−and B−cell immunodeficiency)、抗体不全症、明確に定義された症候群、免疫調節不全疾患、食細胞障害、先天免疫不全症、自己炎症性障害、および補体不全症からなる群から選択されることが好ましい。一実施形態では、前記原発性免疫不全障害は、PCT出願WO2010/125480の24頁11行〜25頁19行で開示されているものから選択される。
【0226】
本発明の特定の実施形態では、ワクチン接種される免疫無防備状態の対象は、HIV感染、後天性免疫不全症候群(AIDS)、がん、慢性の心臓または肺障害、うっ血性心不全、真性糖尿病、慢性肝疾患、アルコール中毒、肝硬変、髄液漏、心筋症、慢性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、脾臓不全症(鎌状赤血球症など)、脾臓機能の欠如(無脾症)、血液悪性病変、白血病、多発性骨髄腫、ホジキン病、リンパ腫、腎不全、ネフローゼ症候群、および喘息からなる群から選択される疾患に罹患している。
【0227】
本発明の一実施形態では、ワクチン接種される免疫無防備状態の対象は、栄養失調症に罹患している。
【0228】
本発明の特定の実施形態では、ワクチン接種される免疫無防備状態の対象は、感染に対する身体の抵抗力を低下させる薬物または治療を受けている。一実施形態では、前記薬物は、PCT出願WO2010/125480の26頁33行〜26頁40行で開示されているものから選択される。
【0229】
本発明の特定の実施形態では、ワクチン接種される免疫無防備状態の対象は、喫煙者である。
【0230】
本発明の特定の実施形態では、ワクチン接種される免疫無防備状態の対象は、白血球数(white blood cell count、leukocyte count)が、1リットルあたり5×10
9細胞未満、または1リットルあたり4×10
9細胞未満、または1リットルあたり3×10
9細胞未満、または1リットルあたり2×10
9細胞未満、または1リットルあたり1×10
9細胞未満、または1リットルあたり0.5×10
9細胞未満、または1リットルあたり0.3×10
9細胞未満、または1リットルあたり0.1×10
9細胞未満である。
【0231】
白血球数(white blood cell count、leukocyte count):血液中の白血球(WBC)の数。WBCは、普通はCBC(全血球計算)の一環として測定される。白血球は、血液中の、感染と闘う細胞であり、赤血球として知られる赤い(酸素を運搬する)血液細胞と区別される。好中球(多形核白血球、PMN)、杆状球(わずかに未熟な好中球)、Tリンパ球(T細胞)、Bリンパ球(B細胞)、単球、好酸球、および好塩基球を含めた、異なるタイプの白血球が存在する。すべてのタイプの白血球が白血球数に反映される。白血球数の正常範囲は、普通、血液1立方ミリメートルあたり4,300細胞〜10,800細胞の間である。白血球数は、leukocyte countとも呼ばれることがあり、国際単位では1リットルあたり4.3〜10.8×10
9細胞と示すことができる。
【0232】
本発明の特定の実施形態では、ワクチン接種される免疫無防備状態の対象は、好中球減少症に罹患している。本発明の特定の実施形態では、ワクチン接種される免疫無防備状態の対象は、好中球数が、1リットルあたり2×10
9細胞未満、または1リットルあたり1×10
9細胞未満、または1リットルあたり0.5×10
9細胞未満、または1リットルあたり0.1×10
9細胞未満、または1リットルあたり0.05×10
9細胞未満である。
【0233】
少ない白血球数または「好中球減少症」は、循環血液中の好中球のレベルが異常に低いことを特徴とする状態である。好中球は、感染の防止を助け、感染と闘う、特殊な種類の白血球である。がん患者が好中球減少症になる最も一般的な理由は、化学療法の副作用としてであるとされる。化学療法によって誘発された好中球減少症のせいで、患者の感染のリスクは高まり、がん治療は中断される。
【0234】
本発明の特定の実施形態では、ワクチン接種される免疫無防備状態の対象は、CD4+細胞数が500/mm
3未満、またはCD4+細胞数が300/mm
3未満、またはCD4+細胞数が200/mm
3未満、CD4+細胞数が100/mm
3未満、CD4+細胞数が75/mm
3未満、またはCD4+細胞数が50/mm
3未満である。
【0235】
CD4細胞試験は、通常、mm
3中の細胞の数として報告する。正常なCD4数は、500〜1600の間であり、CD8数は、375〜1100の間である。CD4数は、HIVのヒトでは劇的に減少する。
【0236】
本発明の一実施形態では、本明細書で開示する免疫無防備状態の対象のいずれもが、男性のヒトまたは女性のヒトである。
【0237】
組成物中のコンジュゲートの量は、一般に、そのコンジュゲートについてコンジュゲートされ、またコンジュゲートされていない、全多糖を基準として算出される。たとえば、遊離多糖が20%であるコンジュゲートは、100mcgの多糖用量中に約80mcgのコンジュゲートされた多糖と約20mcgのコンジュゲートされていない多糖を有する。コンジュゲートへのタンパク質の寄与は、普通、コンジュゲートの用量を算出する際に考慮に入れない。一般に、各用量は、0.1〜100mcg、特に0.1〜10mcg、より特段には1〜10mcg、より特段には1〜5μgの多糖を含む。各用量は、約1.1、2、2.2、3、3.3、4、4.4μgの多糖を含むことが好ましい。
【0238】
特定の免疫原性組成物またはワクチンに最適な構成成分量は、対象における適切な免疫応答の観察を含む標準の研究によって突き止めることができる。対象は、初回ワクチン接種に続いて、十分に間隔を置いた1回または数回の追加免疫化を受けることができる。
【0239】
免疫原としての抗原の有効性は、増殖アッセイ、細胞溶解アッセイ、たとえば、T細胞がその特異的ターゲット細胞を溶解しうる能力を測定するクロム放出アッセイ、または血清中の抗原に特異的な循環抗体のレベルを測定することによるB細胞活性レベルの測定のいずれかによって測定することができる。抗原投与後に誘導される抗原特異的抗体の血清レベルを測定する、より詳細には、そのようにして誘導された抗体が、本明細書に記載するとおりの特定の白血球のオプソニン化食作用能を増強しうる能力を測定することにより、免疫応答を検出してもよい。免疫応答の防御レベルは、免疫化された宿主に、投与されたことのある抗原を負荷することにより測定できる。たとえば、免疫応答が望まれる抗原が細菌である場合、免疫原性量の抗原によって誘発される防御のレベルは、動物に細菌細胞を負荷した後の生存パーセントまたは死亡パーセントを検出することにより測定される。一実施形態では、防御の量は、細菌感染と関連する少なくとも1つの症状、たとえば、感染と関連する発熱を計測することにより測定できる。多抗原または多成分ワクチンまたは免疫原性組成物中の抗原それぞれの量は、他の構成成分それぞれに対して異なるものになり、当業者公知の方法によって求めることができる。そのような方法は、免疫原性および/またはin vivo効力を測定する手順を含むであろう。
【0240】
本開示はさらに、本開示の莢膜多糖または複合多糖に特異的および選択的に結合する抗体および抗体組成物を提供する。一部の実施形態では、抗体は、本開示の莢膜多糖または複合多糖が対象に投与されて生成される。一部の実施形態では、本開示は、本開示の莢膜多糖または複合多糖の1つまたは複数に照準を合わせた、精製または単離抗体を提供する。一部の実施形態では、本開示の抗体は、動物効力モデルまたはオプソニン化食作用死滅アッセイのいずれかで細菌の死滅を測定したとき、機能しうるものである。一部の実施形態では、本開示の抗体は、対象に受動免疫を付与する。本開示はさらに、本開示の抗体もしくは抗体断片をコードするポリヌクレオチド分子、ならびに、当業者によく知られている技術を使用して本開示の抗体または抗体組成物を産生する細胞、細胞系(たとえば、抗体の組換え産生用のハイブリドーマ細胞または他の操作された細胞系)、またはトランスジェニック動物を提供する。
【実施例】
【0241】
(実施例1)
血清型22F多糖−CRM
197コンジュゲートの調製
1.1.肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F多糖単離物の調製
血清型22F莢膜多糖は、当業者公知の単離手順を使用して、細菌から直接取得することができる(たとえば、米国特許出願公開第20060228380号、第20060228381号、第20070184071号、第20070184072号、第20070231340号、および第20080102498号、またはWO2008118752で開示されている方法を参照されたい)。血清型22F肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)をシードボトルで成長させ、次いでシード発酵槽に移した。目標光学濃度に達したら、細胞を産生発酵槽に移した。N−ラウロイルサルコシンを加えて発酵ブロスを不活化し、限外濾過および透析濾過によって精製した。
【0242】
精製された肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F多糖は、PANDA2K homogenizer(登録商標)(GEA Niro Soavi)を使用しての高圧均質化によってサイジングして、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F多糖単離物を生産した。
【0243】
1.2.肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F莢膜多糖単離物の酸化
多糖の酸化は、算出された量の500mMリン酸カリウム緩衝液(pH5.8)およびWFIを順次加えて最終多糖濃度を2.0g/Lとすることにより取得した100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH5.8±0.2)中で実施した。所望であれば、反応pHをおよそ5.8に調整した。pH調整後、反応温度を5±3℃に下げた。0.10±0.02モル当量(MEq)の過ヨウ素酸ナトリウムを加えて酸化を開始した。目標酸化反応時間は、5±3℃で16±1時間である。
【0244】
5±3℃で1〜2時間継続的に撹拌しながら、2MEqの2,3−ブタンジオールで酸化反応を停止させた。
【0245】
活性化多糖の濃縮および透析濾過を、100K MWCO限外濾過カセットを使用して実施した。透析濾過は、35倍透析濾過体積のWFIに対して行った。精製された活性化多糖を5±3℃で保管した。精製された活性化糖は、特に、(i)SEC−MALLSによる分子量、(ii)O−アセチルの存在、および(iii)酸化度によって特徴付けられる。
【0246】
多糖および多糖−タンパク質コンジュゲートの分子量を求めるのには、SEC−MALLSを使用する。SECを使用して、流体力学的体積により多糖を分離する。屈折率(RI)および多角度レーザー光散乱(MALLS)検出器を使用して分子量を求める。光は、物体と相互作用すると散乱し、散乱光の量は、濃度、dn/dc(比屈折率増分)の2乗、および物体のモル質量に関連付けられる。分子量測定値は、MALLS検出器からの散乱光シグナルおよびRI検出器からの濃度シグナルの読み取りに基づき算出される。
【0247】
活性化多糖の酸化度(DO=糖反復単位のモル/アルデヒドのモル)は、次のとおりに求めた。
糖反復単位のモルは、たとえば、アンスロン法を使用するなどの種々の比色法によって求められる。最初に、硫酸および熱の作用によって多糖を単糖に分解する。アンスロン試薬は、ヘキソースと反応すると黄色から緑色の錯体を形成し、その吸光度を625nmで分光光度的に読み取る。アッセイの範囲内で、吸光度は、存在するヘキソースの量に正比例する。
【0248】
アルデヒドのモルも、MBTH比色法を使用して同時に求められる。MBTHアッセイは、(所与のサンプルからの)アルデヒド基を3−メチル−2−ベンゾチアゾロンヒドラゾン(MBTHアッセイ試薬)と反応させることによりアジン化合物を形成するものである。余分な3−メチル−2−ベンゾチアゾロンヒドラゾンは、酸化して反応性カチオンを形成する。反応性カチオンとアジンは、反応して青色の発色団を形成する。次いで、形成した発色団を650nmで分光光度的に読み取る。
【0249】
1.3.活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F多糖のCRM
197とのコンジュゲーション
コンジュゲーション方法は、次のステップからなる。
a.スクロース添加剤との混和および凍結乾燥
b.凍結乾燥された多糖およびCRM
197の再溶解
c.活性化多糖のCRM
197とのコンジュゲーションおよびキャッピング
d.コンジュゲートの精製
【0250】
a.スクロースとの混和および凍結乾燥
活性化多糖をスクロース(WFI中50%w/v)と混和して、活性化多糖1グラムあたり25グラムの比とした。次いで、混和した混合物のボトルを凍結乾燥した。凍結乾燥後、凍結乾燥された活性化多糖を含有するボトルを−20±5℃で保管した。算出された量のCRM
197タンパク質(目標S/P投入量比=1)を、別途シェルフリージングし、凍結乾燥した。凍結乾燥されたCRM
197を−20±5℃で保管した。
【0251】
b.凍結乾燥された活性化多糖およびCRM
197タンパク質の再溶解
凍結乾燥された活性化多糖を無水ジメチルスルホキシド(DMSO)で再溶解した。多糖が完全に溶解したら、凍結乾燥されたCRM
197に等量の無水DMSOを加えて再溶解した。
【0252】
c.活性化多糖のCRM
197とのコンジュゲーションおよびキャッピング
再溶解された(DMSO中の)CRM
197を、コンジュゲーション反応容器において再溶解された活性化多糖と混和した。反応溶液中の最終多糖濃度は、1g/Lとする。反応混合物に1.5±0.1MEqのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えてコンジュゲーションを開始し、反応液を23±2℃で20±2時間インキュベートした。2MEqの水素化ホウ素ナトリウムを加えてコンジュゲーション反応を終結させた。キャッピング反応液を23±2℃で3±1時間インキュベートした。
【0253】
d.コンジュゲートの精製
100K MWCO膜を使用するタンジェンシャルフロー濾過による精製の準備において、コンジュゲート溶液を、冷却した5mMコハク酸−0.9%食塩水(pH6.0)で1:5に希釈し、5mMコハク酸−0.9%食塩水(pH6.0)を媒質として使用して20倍透析濾過を行った。透析濾過が完了した後、コンジュゲート保持液をさらに希釈し、0.22μmフィルターで濾過し、2〜8℃で保管した。
【0254】
表1は、本発明の方法によって取得した血清型22F多糖−CRM
197コンジュゲートの特徴付けデータを含む。特に、表のコンジュゲート5および6は、実施例1で開示したとおりに取得したものである。
【0255】
RAC−DMSO法によって生成した血清型22F多糖−CRM
197コンジュゲートは、表1に示すとおり、RAC−水溶液法によって生成したコンジュゲートに比べて、良好な収率を達成し、良好なバッチ間のMW統一性を示し、それと共に顕著に低い遊離糖レベル%とより高い担体タンパク質(リシン)修飾を示した。
【0256】
【表1】
【0257】
(実施例2)
血清型10A多糖−CRM
197コンジュゲートの調製
2.1.肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型10A多糖単離物の調製
血清型10A多糖単離物は、精製多糖をサイジングしなかったことを除き、実施例1.1で開示したとおりに取得した。
【0258】
2.2.肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型10A莢膜多糖単離物の酸化
多糖溶液に、算出された体積の0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)および注射用水(WFI)を加えて、最終多糖濃度を2.5g/Lとし、リン酸カリウム緩衝液の最終濃度を25mMとした。必要なら、pHをおよそ6.0に調整した。次いで、希釈された多糖を5±3℃に冷却した。0.25±0.02モル当量(MEq)の過ヨウ素酸ナトリウム溶液を加えて酸化を開始した。酸化反応時間は、5±3℃でおよそ4時間とした。5±3℃で1〜2時間継続的に撹拌しながら、1MEqの2,3−ブタンジオールで酸化反応を停止させた。
【0259】
目標反応時間に達した後、30K MWCO Millipore限外濾過カセットを使用して活性化多糖を濃縮した。次いで、20倍透析濾過体積のWFIに対して透析濾過を行った。精製された活性化多糖を5±3℃で保管した。精製された活性化糖は、特に、(i)SEC−MALLSによる分子量および(ii)酸化度によって特徴付けられる。
【0260】
2.3 活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型10A多糖のCRM
197とのコンジュゲーション
コンジュゲーション方法は、次のステップからなる。
a.スクロース添加剤との混和および凍結乾燥
b.凍結乾燥された多糖およびCRM197の再溶解
c.活性化多糖のCRM197とのコンジュゲーションおよびキャッピング
d.コンジュゲートの精製
【0261】
a.スクロースとの混和
活性化多糖をスクロースと混和して、活性化多糖1グラムあたり25±2.5グラムのスクロースの比とした。次いで、混和した混合物のボトルを凍結乾燥した。凍結乾燥後、凍結乾燥された活性化多糖を含有するボトルを−20±5℃で保管した。
【0262】
b.凍結乾燥された活性化多糖およびCRM
197タンパク質の再溶解
凍結乾燥された活性化多糖を無水ジメチルスルホキシド(DMSO)で再溶解した。多糖が完全に溶解したら、算出されたCRM
197に同量の無水DMSOを加えて再溶解した。
【0263】
c.活性化多糖のCRM
197とのコンジュゲーションおよびキャッピング
コンジュゲーション反応器において、再溶解された活性化多糖に、再溶解された(DMSO中の)CRM
197を加えた。最終多糖濃度は、1g/Lとする。反応混合物に1.2±0.1MEqのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えてコンジュゲーションを実施した。反応液を23±2℃で24±2時間インキュベートした。2MEqの水素化ホウ素ナトリウムを加えてコンジュゲーション反応を終結させた。キャッピング反応液を23±2℃で3±1時間インキュベートした。
【0264】
2MEqの水素化ホウ素ナトリウムを加えてコンジュゲーション反応を終結させた。このキャッピング反応は、23±2℃で3±1時間進められた。
【0265】
d.コンジュゲートの精製
次いで、コンジュゲート溶液を5倍(体積)の冷却した5mMコハク酸−0.9%食塩水(pH6.0)に希釈し、5mMコハク酸−0.9%食塩水(pH6.0)を使用して20倍透析濾過を行った。最初の透析濾過が完了した後、コンジュゲート保持液を0.22μmフィルターを介して移した。コンジュゲートを5mMコハク酸/0.9%食塩水(pH6)でさらに希釈し、最終の0.22μm濾過ステップの後、2〜8℃で保管した。
【0266】
表2は、本発明の方法によって取得した血清型10A多糖−CRM
197コンジュゲートの特徴付けデータを含む。特に、表2のコンジュゲート4〜6は、実施例2で開示したとおりに取得したものである。
【0267】
RAC−DMSO法によって生成した血清型10A多糖−CRM
197コンジュゲートは、表2に示すとおり、RAC−水溶液法によって生成したコンジュゲートに比べて、良好な収率を達成し、良好なバッチ間のMW統一性を示し、それと共に顕著に低い遊離糖レベル%とより高い担体タンパク質(リシン)修飾を示した。
【0268】
【表2】
【0269】
(実施例3)
血清型33F多糖−CRM
197コンジュゲートの調製
3.1.肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型33F多糖単離物の調製
血清型33F多糖単離物は、実施例1.1で開示したとおりに取得した。
【0270】
3.2.肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型33F莢膜多糖単離物の酸化
多糖溶液に、算出された体積の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)および注射用水(WFI)を加えて、最終多糖濃度を2g/Lとした。必要なら、pHをおよそ6.0に調整した。次いで、希釈された多糖を5±3℃に冷却した。0.1モル当量(MEq)の過ヨウ素酸ナトリウム溶液を加えて酸化を開始した。酸化反応時間は、5±3℃でおよそ20時間とした。5±3℃で約1時間継続的に撹拌しながら、1MEqの2,3−ブタンジオールで酸化反応を停止させた。目標反応時間に達した後、100K MWCO Millipore限外濾過カセットを使用して活性化多糖を濃縮した。次いで、40倍透析濾過体積のWFIに対して透析濾過を行った。精製された活性化多糖を5±3℃で保管した。精製された活性化糖は、特に、(i)SEC−MALLSによる分子量および(ii)酸化度によって特徴付けられる。
【0271】
3.3 活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型33F多糖のCRM
197とのコンジュゲーション
血清型33F多糖−CRM197コンジュゲートは、実施例3.2で取得した活性化33F多糖を使用して、実施例1.3と同様の方法によって取得した。
【0272】
RAC−DMSO法によって生成した血清型33F多糖−CRM
197コンジュゲートは、表3に示すとおり、RAC−水溶液法によって生成したコンジュゲートに比べて、良好な収率を達成し、O−アセチルレベルの保存に関して良好なバッチ間の統一性が良好を示し、それと共に全般に低い遊離糖レベル%とより高い担体タンパク質(リシン)修飾を示した
【0273】
【表3】
【0274】
(実施例4)
停止処理が活性化血清型22Fおよび33F多糖の分子量に与える効果
22Fおよび33F多糖の活性化を4℃または22℃で実施した。どちらの温度でも、同様のDO値が得られた。しかし、温度が高められた結果、活性化多糖の分解がより速くなり、それによって、(たとえば、
図4(22℃)と
図5(4℃)を比較して分かるとおり)活性化多糖MWが小さくなったことから、活性化反応には4℃が一般に好ましかった。加えて、活性化データによって、酸化後の未反応NaIO
4の停止処理が、活性化、特に多めの量のNaIO
4を使用する活性化にとって、不可欠なステップであることが示された。
図6に示すグラフから、(停止処理を用いて)漸増する濃度のペルヨーデートを活性化に使用したとき、活性化33F多糖のMWは比較的安定するものの、そうしたMWは、停止処理ステップを使用しないと非常に変化しやすいことが示される。目標酸化度を実現するために定めた特殊な条件において、活性化多糖の分子量は、停止処理ステップを使用すると、より変化しにくい。酸化の後に反応停止試薬を加えることは、たとえば限外濾過や透析濾過による精製が完了するまで、活性化多糖の構造の完全性を保つ助けとなる。
【0275】
(実施例5)
オプソニン化食作用活性アッセイ(OPA)
本明細書で開示する方法によって取得したコンジュゲートの免疫原性は、以下に記載するオプソニン化食作用アッセイ(OPA)を使用して評価することができる。
【0276】
30匹の雌の6〜7週齢Swiss Websterマウスからなる群を、0週目に、皮下経路によって、0.001μg、0.01μg、または0.1μgの試験コンジュゲートで免疫化した。3週目にマウスを同じ用量のコンジュゲートで追加免疫し、次いで4週の時点で採血した。4週目の血清サンプルで血清型専用のOPAを実施した。
【0277】
検証されたオプソニン化食作用活性(OPA)アッセイを使用して、肺炎連鎖球菌(S.pneumonia)血清型10A、22F、または33Fに特異的な、マウス血清中の機能抗体を測定する。莢膜多糖に特異的な免疫グロブリンが細菌をオプソニン化し、補体付着を誘発し、それによって食作用、および食作用による細菌の死滅を促進しうる能力を測定するアッセイの反応に、試験血清をセットする。OPA力価は、試験血清なしの対照ウェルと比較して細菌数を50%減少させる希釈度の逆数であると定義される。OPA力価は、この50%死滅カットオフ値をもたらす2つの希釈度から内挿される。
【0278】
OPA手順は、Huら、Clin Diagn Lab Immunol 2005;12(2月号(2)):287〜95に記載の方法に準拠し、次の変更を加えた。試験血清を2.5倍に連続希釈し、マイクロタイターアッセイプレートに加えた。生きた血清型10A、22F、および33Fターゲット細菌株をウェルに加え、プレートを25℃(血清型22F)または37℃(血清型10Aおよび33F)で30分間振盪した。分化させたHL−60細胞(食細胞)および仔ウサギ血清(3〜4週齢、Pel−Freez(登録商標)、最終濃度12.5%)をウェルに加え、プレートを37℃で45分間(血清型22Fおよび33F)または60分間(血清型10A)振盪した。反応を終結させるために、80μLの0.9%NaClをすべてのウェルに加え、混合し、10μLの分割量を、200μLの水を含有するMultiScreen HTS HVフィルタープレート(Millipore(登録商標))のウェルに移した。プレートを介して液体を真空濾過し、150μLのHySoy培地を各ウェルに加え、濾過した。次いで、フィルタープレートを37℃、5%CO
2で終夜インキュベートし、次いでDestain Solution(Bio−Rad)で固定した。次いで、プレートをクーマシーブルーで染色し、一度脱染した。コロニーを画像処理し、Cellular Technology Limited(CTL)ImmunoSpot Analyzer(登録商標)で数え上げた。生コロニー数を使用して死滅曲線にプロットし、OPA力価を算出した。
【0279】
実施例1〜3で開示したとおりに取得した血清型10A多糖−CRM
197コンジュゲート、血清型22F多糖−CRM
197コンジュゲート、および血清型33F多糖−CRM
197コンジュゲートを上で開示したOPAアッセイで試験し、免疫原性であることがわかった。
ステップ(a)において、前記多糖を0.01〜10、0.05〜5、0.1〜1、0.5〜1、0.7〜0.8、0.01〜0.2、0.05〜0.5、0.05〜0.2、0.1〜0.3モル当量の酸化剤と反応させる、請求項1または2に記載の方法。
反応停止剤が、ビシナルジオール、1,2−アミノアルコール、アミノ酸、グルタチオン、亜硫酸塩、硫酸水素塩、亜ジオチン酸塩、メタ重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、または亜リン酸から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
反応停止剤が、グリセロール、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、またはブタン−2,3−ジオールから選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
25kDa〜1000kDa、100kDa〜1000kDa、300kDa〜800kDa、300kDa〜700kDa、300kDa〜600kDa、400kDa〜1000kDa、400kDa〜800kDa、400kDa〜700kDa、または400kDa〜600kDaの間の分子量を有する、請求項19に記載の活性化肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F莢膜多糖。
担体タンパク質に共有結合で連結された肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型22F多糖を含む免疫原性コンジュゲートを調製するための方法であって、
(a)請求項1から18のいずれか一項に記載の方法によって取得した活性化血清型22F多糖を担体タンパク質と混和するステップと、
(b)混和された活性化血清型22F多糖と担体タンパク質を還元剤と反応させて、血清型22F多糖:担体タンパク質コンジュゲートを形成するステップと
を含む調製方法。
ステップ(d)における活性化多糖の濃度が、0.1mg/mL〜10mg/mL、0.5mg/mL〜5mg/mL、または0.5mg/mL〜2mg/mLの間である、請求項27から33のいずれか一項に記載の方法。
活性化血清型22F多糖の担体タンパク質に対する初期比が、5:1〜0.1:1、2:1〜0.1:1、2:1〜1:1、1.5:1〜1:1、0.1:1〜1:1、0.3:1〜1:1、または0.6:1〜1.2:1の間である、請求項27から35のいずれか一項に記載の方法。
免疫原性コンジュゲートにおける血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMの、多糖単離物における血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比が少なくとも0.7である、請求項45に記載の免疫原性コンジュゲート。
免疫原性コンジュゲートにおける血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMの、活性化多糖における血清型22F多糖1mMあたりのアセテートmMに対する比が少なくとも0.7である、請求項45から47のいずれか一項に記載の免疫原性コンジュゲート。
400kDa〜15000kDa、500kDa〜10000kDa、2000kDa〜10000kDa、3000kDa〜8000kDa、または3000〜5000kDaの間の分子量を有する、請求項45から48のいずれか一項に記載の免疫原性コンジュゲート。
複合化度が、2〜15、2〜13、2〜10、2〜8、2〜6、2〜5、2〜4、3〜15、3〜13、3〜10、3〜8、3〜6、3〜5、3〜4、4〜7、5〜15、5〜10、8〜15、8〜12、10〜15、または10〜12の間である、請求項45から56のいずれか一項に記載の免疫原性コンジュゲート。