【実施例】
【0062】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用いた各成分の特性の測定方法、物性測定方法は以下の通りである。
【0063】
(1)メルトフローレート(MFR、g/10分)
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238−89に従い、190℃、2.16kg荷重(kgf)の条件下で測定した。
【0064】
(2)密度(kg/m
3)
密度(表1、2では「D」と記載する。)は、JIS K7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。密度が低く熱処理時にストランドが融着する場合は、熱処理を実施せず密度[D0](kg/m
3)を測定し、下記関係式(Eq−2)を用いて熱処理後測定密度[D]に換算した。
[D0]=0.9945×[D]+2.6832--------(Eq−2)
【0065】
(3)極限粘度([η]、dl/g)
極限粘度は、測定サンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、下記式(Eq−3)に示すように濃度[C]を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位;dl/g)として求めた。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)--------(Eq−3)
【0066】
(4)分子量分布(Mw/Mn)
分子量分布は、ウォーターズ社製ゲル浸透クロマトグラフ allianceGPC2000型(高温サイズ排除クロマトグラフ)を用い、以下のようにして算出した。
[使用装置および条件]
解析ソフト;クロマトグラフィデータシステムEmpower2(Waters社、登録商標)
カラム;TSKgel GMH
6− HT×2+TSKgel GMH
6−HTL×2
(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー(株))
移動相;o−ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株) 特級試薬)
検出器;示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度;140℃
流速;1.0mL/分
注入量;500μL
サンプリング時間間隔;1秒
試料濃度;0.15%(w/v)
分子量較正;単分散ポリスチレン(東ソー(株))/分子量495〜分子量2060万
Z. Crubisic, P. Rempp, H. Benoit, J. Polym. Sci.,
B5, 753 (1967)に記載された汎用較正の手順に従い、ポリエチレン分子量換算として計算した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比をを算出する。
【0067】
(5)GPC−VISCO法による重量平均分子量(G
Mw)
GPC−VISCO法による重量平均分子量(G
Mw)は、ウォーターズ社製GPC/V2000を用い、以下のようにして測定した。ガードカラムはShodexAT−G、分析カラムはAT−806を2本使用し、カラム温度は145℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼンおよび酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.3質量%を用い、速度1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1質量%とし、検出器として示差屈折計、3キャピラリー粘度計を用いた。標準ポリスチレンは、東ソー(株)製を用いた。分子量計算は、粘度計と屈折計から実測粘度を算出し、実測ユニバーサルキャリブレーションより重量平均分子量(G
Mw)を算出した。
【0068】
(6)溶出曲線
本発明における昇温溶離分別(TREF)による溶出曲線は、ポリマーを一度高温にて完全に溶解させた後に冷却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させ、次いで温度を連続的または段階的に昇温して溶出した成分を回収し、その濃度を連続的に検出して、その溶出量と溶出温度によって描かれるグラフで、ポリマーの組成分布を測定するものである。
【0069】
溶出曲線の測定はクロス分別クロマトグラフ(Polymer Char社製 CFC2)を用い、GPCカラムは昭和電工(株)製Shodex HT−806M 3本を使用した。
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
サンプル濃度:4mg/ml
注入量:0.4ml
結晶化速度:1℃/分
溶出温度:0.5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140の各温度(℃)
【0070】
TREF測定によって得られた各溶出温度における溶出成分のクロマトグラムは、装置付属のデータ処理プログラムにより処理され、総和が100%になるよう規格化された溶出量(クロマトグラムの面積に比例)が求められる。さらに溶出温度に対する積分溶出曲線が算出される。この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が求められる。
【0071】
(7)低温ヒートシール性、耐熱性、充填可能温度域
<積層体の製造方法>
65mmφの押出機とダイ幅500mmのTダイを有する住友重機械工業社製ラミネーターを用いて、基材である厚さ15μmのナイロンフィルム上にウレタン系アンカーコート剤を塗布し、更にその上にエアギャップ130mm、ダイ下樹脂温度295℃、引取速度80m/分の条件下で、エチレン−αオレフィン共重合体((株)プライムポリマー製、商品名「モアテック 1018D」)を膜厚25μmになるよう調整を行い押出ラミネート加工して中間層を形成した。その際、ナイロンフィルムとの接着強度を向上させるためナイロンフィルム側の中間層樹脂表面にはオゾン処理を施し、溶融膜の表面酸化を促した。さらにその中間層の上に、シーラント層として、実施例または比較例で調製したエチレン系樹脂組成物をエアギャップ130mm、ダイ下樹脂温度295℃、引取速度80m/分の条件下で、膜厚25μmになるように押出ラミネート加工した。
【0072】
<液体包装袋の充填方法及び充填適性評価>
粘性体自動充填包装機(大成ラミック(株)製 NT−DANGAN TYPE−III)を用いて、次の条件で液体を充填し、液体充填小袋を得た。
[充填条件]
シール温度:(縦)190℃、(横)140〜210℃の範囲で5℃刻み
包装形態:三方シール
袋寸法:幅75mm×縦85mm ピッチ
充填物:23℃の水
充填量:約24g
充填速度:25m/分
【0073】
(耐圧性)
上記の条件で液体充填を行い、液体充填小袋の横シール部を上記の条件でヒートシールした。同条件で、横シール部がヒートシールされた液体充填小袋を5つ作製し、耐圧試験に供した。具体的には、液体充填小袋に、耐圧テスター(小松製作所製)にて100kgの荷重を1分間掛け、破袋、又は水洩れの発生しない横シール温度を評価した。横シール部が破袋、又は水漏れの発生しない最も低いシール温度(以下「充填開始温度」と記載する。)が低いほど、低温ヒートシール性、低温充填性に優れる。5つの液体充填小袋の中で破袋、または水漏れが発生した袋の個数を以下の基準で評価した。
○:破袋、又は水漏れが発生した袋の数が0個
△:破袋、又は水漏れが発生した袋の数が1〜4個
×:破袋、又は水漏れが発生した袋の数が5個
【0074】
(外観)
上記の条件で液体充填を行い、液体充填小袋の横シール部を上記温度でヒートシールし、横シール部が発泡したり、後退したりする温度を評価した。ヒートシール温度が高すぎると、樹脂が柔らかくなって充填物である水を噛みこみ、ヒートシールした際の熱で水が蒸発し発泡が発生する。また、ヒートシール温度が低くすぎると、ヒートシールが不十分となりシール部の後退が発生する。
○:発泡及び後退共に目視では見られない
△:発泡又は後退の何れかが目視で僅かに見られる
×:発泡又は後退の何れかが顕著に見られる
【0075】
横シール温度が低温から高温まで幅広く、発泡及び後退が共に目視では見られないことが望ましく、シール部の後退が発生しないヒートシール温度が低いほど低温ヒートシール性に優れ、発泡が発生しないヒートシール温度が高いほど耐熱性に優れる。
上記耐圧テストおよび上記外観の結果が良好な横シール温度域が広いほど、低温ヒートシール性と耐熱性とがバランスよく優れ、充填可能温度域が広くなる。
【0076】
[実施例1]
固体触媒成分の調製
十分に窒素置換した300リットルの反応器に600℃で10時間乾燥させたシリカ10.0kgとトルエン154リットルとを入れ、懸濁状にして0℃まで冷却した。その後、この懸濁液にメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=3.02モル/リットル)23.4リットルを1時間かけて滴下した。この際、系内の温度を0〜5℃の範囲に保った。各成分を、引き続き0℃で30分間接触させ、次いで1.5時間かけて95℃まで昇温し、その温度で4時間反応させた。その後60℃まで降温し、上澄み液をデカンテーション法により除去した。このようにして得られた固体成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン100リットルで再懸濁し、全量を160リットルとした。
【0077】
このようにして得られた懸濁液に、ビス(1,3−n−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(Zr=25.6ミリモル/リットル)20.0リットルを20℃で30分間かけて滴下し、さらに20℃で2時間反応を行った。その後上澄み液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより、固体触媒成分1gあたり3.2mgのジルコニウムを含有する固体触媒成分を得た。
【0078】
予備重合触媒の調製
十分に窒素置換した350リットルの反応器に、上記で調製した固体触媒成分7.0kgとヘキサンを入れ、全容積を285リットルにした。系内を10℃まで冷却した後、エチレンを8Nm
3/時間の流量で5分間ヘキサン中に吹き込んだ。この間、系内の温度は10〜15℃に保持した。その後、エチレンの供給を停止し、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBALH)を2.4モルおよび1−ヘキセンを1.2kg入れた。系内を密閉系にした後、8Nm
3/時間の流量でエチレンンの供給を再度開始した。15分後、エチレンンの流量を2Nm
3/時間に下げ、系内の圧力を0.08MPaGにした。この間に、系内の温度は35℃まで上昇した。その後、系内の温度を32〜35℃に調節しながら、エチレンを4Nm
3/時間の流量で3.5時間供給した。この間、系内の圧力は0.07〜0.08MPaGに保持されていた。次いで、系内を窒素により置換した後、上澄み液を除去し、ヘキサンで2回洗浄した。このようにして固体触媒成分1gあたり3gのポリマーが予備重合された予備重合触媒を得た。この予備重合したポリマーの極限粘度[η]は2.1dl/gであり、1−ヘキセンの含量は4.8質量%であった。
【0079】
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)の製造
連続式流動床気相重合装置を用い、エチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。
重合槽に、上記予備重合触媒を4g/時間にて連続的に供給しながら、全圧2.0MPaG、重合温度70℃、ガス線速0.7m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.028、水素/エチレン=6.8×10
-4、エチレン濃度=48モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−1)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−1)の収量は5.1kg/時間であった。
【0080】
得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−1)パウダーに対して、耐熱安定剤としてスミライザー(登録商標)GP(住友化学(株)製)1000ppmを添加しラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用い、樹脂温度180℃、回転数50rpmで5分間溶融混練した。さらに、この溶融ポリマーを、プレス成形機((株)神藤金属工業所製)を用い、冷却温度20℃、冷却時間5分間、冷却圧力100kg/cm
2の条件にて冷却した。該試料を測定用試料として物性測定を行った。物性測定結果を表1に示す。
【0081】
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の製造
連続式流動床気相重合装置を用い、エチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。
重合槽に上記予備重合触媒を4g/時間の速度にて連続的に供給しながら、全圧2.0MPaG、重合温度70℃、ガス線速0.7m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.026、水素/エチレン=21×10
-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−1)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−1)の収量は2.2kg/時間であった。
【0082】
得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−1)パウダーはエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−1)パウダーと同様の方法にて物性を測定した。物性測定結果を表1に示す。
【0083】
エチレン系共重合体(A)の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−1)60質量部と上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−1)40質量部とを混合し、エチレン系共重合体(A−1)を得た。上記共重合体(A1−1)および上記共重合体(A2−1)と同様の方法にてエチレン系共重合体(A−1)の物性を測定した。物性測定結果を表1に示す。TREF溶出曲線は
図1に示す通りであり、ピークの数は1つであった。
【0084】
低密度ポリエチレン(B−1)
[η]/(GMw)
0.776=1.37×10
-4を満たす市販の高圧法低密度ポリエチレンを使用した。
【0085】
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
得られたエチレン系共重合体(A−1)100質量部に対して、スリップ剤としてエルカ酸アミドを0.07質量部配合した後、得られた配合物と低密度ポリエチレン(B−1)とを、配合物を75質量%、低密度ポリエチレン(B−1)を25質量%の割合で、(株)池貝製2軸異方向46mmφ押出機(L/D=35)を用いて、温度200℃、スクリュー回転数300rpm、フィーダー回転数30rpmの条件で溶融混練し、エチレン系樹脂組成物(C−1)を得た。得られたエチレン系樹脂組成物(C−1)の物性を表2に示す。
【0086】
エチレン系樹脂組成物(C−1)の物性、およびエチレン系樹脂組成物(C−1)を用いて上記の方法で得られた積層体の耐圧性および外観の評価を実施した。結果を表3に示す。
【0087】
[実施例2]
実施例1と同様のエチレン系共重合体(A−1)100質量部に対して、スリップ剤としてエルカ酸アミドを0.07質量部配合した後、得られた配合物と後述する低密度ポリエチレン(B−2)とを、配合物を75質量%、低密度ポリエチレン(B−2)を25質量%の割合で実施例1と同様の方法で溶融混練し、エチレン系樹脂組成物(C−2)を得た。
【0088】
エチレン系樹脂組成物(C−2)の物性、およびエチレン系樹脂組成物(C−2)を用いて上記の方法で製造された積層体の耐圧性、および外観の評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
【0089】
低密度ポリエチレン(B−2)の製造
[触媒調製例XP−1]
(固体状担体(X−1)の調製)
内容積270リットルの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、シリカゲル(富士シリシア(株)製:平均粒径70μm、比表面積340m
2/g、細孔容積1.3cm
3/g、250℃で10時間乾燥)10kgを77リットルのトルエンに懸濁させた後0〜5℃に冷却した。この懸濁液にメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al原子換算で3.5mmol/mL)19.4リットルを30分間かけて滴下した。この際、系内温度を0〜5℃に保った。各成分を、引き続き0〜5℃で30分間接触させた後、約1.5時間かけて系内温度を95℃まで昇温して、引き続き95℃で4時間接触させた。その後常温まで降温して、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにトルエンで2回洗浄した後、全量115リットルの、固体状担体(X−1)のトルエンスラリーを調製した。得られたスラリー成分の一部を採取し濃度を調べたところ、固体状担体(X−1)濃度:122.6g/L、Al濃度:0.62mol/Lであった。
【0090】
(固体触媒成分の調製)
内容積200ミリリットルの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、トルエンを300ミリリットル、および上記固体状担体(X−1)のトルエンスラリー400ミリリットル(Al原子換算で0.25mol)を装入した。次に、遷移金属錯体であるイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液を、Zr原子換算で1.07mmol滴下し、遷移金属錯体であるジメチルシリレン(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液を、Zr原子換算で0.17mmol滴下し、各成分を、系内温度20〜25℃で1時間接触させた後、系内温度を75℃に昇温し、さらに2時間接触させた。30℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにヘキサンを用いて2回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量1リットルとし、固体触媒成分のスラリーを調製した。
【0091】
(予備重合触媒成分(XP−1)の調製)
上記で得られた固体触媒成分のヘキサンスラリーを38〜40℃まで昇温した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DiBAl−H)120mmolを添加した。系内温度を38〜40℃に保持したまま、常圧下にてエチレン供給を開始し、固体触媒成分に対して重量換算で3等量分のエチレン(すなわち、固体触媒成分の3倍の重量のエチレン)を重合させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘキサンを用いて4回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量を1リットルとした。次に、系内温度を35℃に昇温した後、エマルゲン(登録商標)108(花王(株)製)1.0gを添加し、2時間接触させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘキサンを用いて4回洗浄した。次に、内容積1リットルのガラス製グラスフィルターに上記ヘキサンスラリーを移し、ヘキサンを濾別後、減圧下で減圧乾燥させることで、予備重合触媒成分(XP−1)195gを得た。得られた予備重合触媒(XP−1)の組成を調べたところ、予備重合触媒成分1g当たり、Zr原子が0.54mg含まれていた。
【0092】
内容積1.7m
3の流動層型気相重合反応器において、予備重合触媒成分(XP−1)を用いて、エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造を行った。重合槽に上記予備重合触媒成分(XP−1)を5.6g/時間の速度にて連続的に供給しながら、全圧1.7MPaG、重合温度79℃、ガス線速0.75m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.0073、水素/エチレン=30×10
-4)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、低密度ポリエチレン(B−2)を得た。得られた低密度ポリエチレン(B−2)の収量は6.2kg/時間であり、密度が919kg/m
3、MFRが1.9g/10分であった。その他物性を表1に示す。
【0093】
[実施例3]
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を6g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧2.0MPaG、重合温度70℃、ガス線速0.7m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.033、水素/エチレン=6.8×10
-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−2)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−2)の収量は4.0kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
【0094】
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を2g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧2.0MPaG、重合温度60℃、ガス線速0.7m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.022、水素/エチレン=17×10
-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−2)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−2)の収量は4.0kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
【0095】
エチレン系共重合体(A)の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−2)60質量部と上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−2)40質量部とを混合し、エチレン系共重合体(A−2)を得た。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。TREF溶出曲線は
図2に示す通りであり、ピークが1つであった。
【0096】
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
エチレン系共重合体(A−2)100質量部に対して、実施例1と同様にスリップ剤と低密度ポリエチレン(B−1)を配合後、押出機で溶融混合してエチレン系樹脂組成物(C−3)を得た。
【0097】
エチレン系樹脂組成物(C−3)の物性、およびエチレン系樹脂組成物(C−3)を用いて上述の方法で製造された積層体の耐圧性、および外観評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
【0098】
[実施例4]
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を2g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧2.0MPaG、重合温度60℃、ガス線速0.8m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.022、水素/エチレン=16×10
-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−3)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−3)の収量は4.0kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
【0099】
エチレン系共重合体(A)の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−2)60質量部と上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−3)40質量部とを混合し、エチレン系共重合体(A−3)を得た。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。TREF溶出曲線は
図3に示す通りであり、ピークが1つであった。
【0100】
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
エチレン系共重合体(A−3)100質量部に対して、実施例1と同様にスリップ剤と低密度ポリエチレン(B−1)を配合後、押出機で溶融混合してエチレン系樹脂組成物(C−4)を得た。
【0101】
エチレン系樹脂組成物(C−4)の物性および、エチレン系樹脂組成物(C−4)を用いて上記の方法で製造された積層体の耐圧性、および外観の評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
【0102】
[実施例5]
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を2g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧2.0MPaG、重合温度60℃、ガス線速0.8m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.021、水素/エチレン=15×10
-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−4)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−4)の収量は4.0kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
【0103】
エチレン系共重合体(A)の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−2)60質量部と上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−4)40質量部とを混合し、エチレン系共重合体(A−4)を得た。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。TREF溶出曲線は
図4に示す通りであり、ピークが1つであった。
【0104】
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
エチレン系共重合体(A−4)100質量部に対して、実施例1と同様にスリップ剤と低密度ポリエチレン(B−1)を配合後、押出機で溶融混合してエチレン系樹脂組成物(C−5)を得た。
【0105】
エチレン系樹脂組成物(C−5)の物性および、エチレン系樹脂組成物(C−5)を用いて上記の方法で製造された積層体の耐圧性、および外観の評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
【0106】
[実施例6]
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を4g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧1.5MPaG、重合温度66℃、ガス線速0.7m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.034、水素/エチレン=7.5×10
-4、エチレン濃度=53モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−3)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−3)の収量は4.0kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
【0107】
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を2g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧2.1MPaG、重合温度57℃、ガス線速0.8m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.021、水素/エチレン=21×10
-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−5)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−5)の収量は4.0kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
【0108】
エチレン系共重合体(A)の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−3)60質量部と上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−5)40質量部とを混合し、エチレン系共重合体(A−5)を得た。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。TREF溶出曲線は
図5に示す通りであり、ピークが1つであった。
【0109】
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
エチレン系共重合体(A−5)100質量部に対して、実施例1と同様にスリップ剤と低密度ポリエチレン(B−1)を配合後、押出機で溶融混合してエチレン系樹脂組成物(C−6)を得た。
【0110】
エチレン系樹脂組成物(C−6)の物性および、エチレン系樹脂組成物(C−6)を用いて上記の方法で製造された積層体の耐圧性、および外観の評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
【0111】
[実施例7]
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を4g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧2.0MPaG、重合温度70℃、ガス線速0.8m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.034、水素/エチレン=10×10
-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−4)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−4)の収量は5.0kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
【0112】
エチレン系共重合体(A)の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−4)100質量部をエチレン系共重合体(A−6)として用いた。TREF溶出曲線は
図5に示す通りであり、ピークが1つであった。
【0113】
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
エチレン・α−オレフィン系共重合体(A−6)100質量部に対して、実施例1と同様にスリップ剤と低密度ポリエチレン(B−1)を配合後、押出機で溶融混合してエチレン系樹脂組成物(C−7)を得た。
【0114】
[比較例1]
エチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の製造
重合槽に、上記予備重合触媒を4g/時間の速度にて連続的に供給しながら全圧2.0MPaG、重合温度70℃、ガス線速0.7m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.024、水素/エチレン=19×10
-4、エチレン濃度=57モル%)。重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−6)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−6)の収量は2.2kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。TREF溶出曲線は
図7に示す通りであり、ピークが1つであった。
【0115】
エチレン系共重合体(A)の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−1)60質量部と上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A2−6)40質量部とを混合し、エチレン系共重合体(CA−1)を得た。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
【0116】
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
エチレン系共重合体(CA−1)100質量部に対して、スリップ剤としてエルカ酸アミドを0.07質量部配合した後、得られた配合物と低密度ポリエチレン(B−1)とを、配合物を75質量%、低密度ポリエチレン(B−1)を25質量%の割合で、実施例1と同様の方法で、押出機で溶融混合してエチレン系樹脂組成物(CC−1)を得た。
【0117】
エチレン系樹脂組成物(CC−1)の物性および、エチレン系樹脂組成物(CC−1)を用いて製造された積層体の耐圧性、および外観の評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
【0118】
[比較例2]
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)の製造
連続式流動床気相重合装置を用い、エチレンと1−ヘキセンの共重合を行った。
重合槽に、上記予備重合触媒を4g/時間の速度にて連続的に供給しながら、重合槽内のパウダーレベルが一定になるように重合槽内パウダーを連続的に抜出し、全圧2.0MPaG、重合温度70℃、ガス線速0.7m/秒の条件下にて重合を行った。重合の間、一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成(モル比);1−ヘキセン/エチレン=0.035、水素/エチレン=10.5×10
-4)。
【0119】
得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−5)の収量は6.5kg/時間であった。また、実施例1と同様の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。物性の測定結果を表1に示す。
【0120】
エチレン系共重合体の製造
上記エチレン・1−ヘキセン共重合体(A1−5)100質量%をエチレン系共重合体(CA−2)として用いた。TREF溶出曲線は
図7に示す通りであり、ピークが1つであった。
【0121】
エチレン系樹脂組成物(C)の製造
エチレン系状重合体(CA−2)100質量部に対して、スリップ剤としてエルカ酸アミドを0.07質量部配合した後、得られた配合物と低密度ポリエチレン(B−1)とを、配合物を75質量%、低密度ポリエチレン(B−1)を25質量%の割合で、実施例1と同様の方法で、押出機で溶融混合してエチレン系樹脂組成物(CC−2)を得た。
【0122】
エチレン系樹脂組成物(CC−2)の物性および、エチレン系樹脂組成物(CC−2)を用いて上記の方法で製造された積層体の耐圧性、および外観の評価を実施した。結果を表2及び表3に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】
【0125】
【表3】