(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-163650(P2019-163650A)
(43)【公開日】2019年9月26日
(54)【発明の名称】スラブ型枠用バタ材締着具
(51)【国際特許分類】
E04G 17/00 20060101AFI20190830BHJP
E04G 11/36 20060101ALI20190830BHJP
【FI】
E04G17/00 E
E04G11/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2018-52682(P2018-52682)
(22)【出願日】2018年3月20日
(71)【出願人】
【識別番号】518096559
【氏名又は名称】有限会社板原金属
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】板原 龍也
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150GA03
2E150GA14
2E150GB01
2E150HB01
2E150MA02Z
2E150MA46Z
(57)【要約】
【課題】 スラブ型枠の施工作業を迅速容易に行うことができるスラブ型枠用バタ材締着具を提供する。
【解決手段】 矩形板状の当て板10と、当て板10の表面中央から起立する保持部材20とを備え、当て板10は、短辺方向両側に設けられて当て板10の表面側に起立する一対のリブ11,12を備え、一対のリブ11,12は、互いに対向するように一対の切欠部11a,12aが形成されており、当て板10の表面側における保持部材20を挟んだ長手方向両側には、一対の切欠部11a,12aに短辺方向に沿ってバタ材を配置可能であると共に、一対のリブ11,12間に長辺方向に沿ってバタ材を配置可能である型枠用バタ材締着具1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形板状の当て板と、
前記当て板の表面中央から起立する保持部材とを備え、
前記当て板は、短辺方向両側に設けられて前記当て板の表面側に起立する一対のリブを備え、
一対の前記リブは、互いに対向するように一対の切欠部が形成されており、
前記当て板の表面側における前記保持部材を挟んだ長手方向両側には、一対の前記切欠部に短辺方向に沿ってバタ材を配置可能であると共に、一対の前記リブ間に長辺方向に沿ってバタ材を配置可能であるスラブ型枠用バタ材締着具。
【請求項2】
前記保持部材は、バタ材を固定するための楔状部材が着脱可能に挿入される楔孔が形成されている請求項1に記載のスラブ型枠用バタ材締着具。
【請求項3】
前記当て板は、表面の短辺方向中央部が一対の前記切欠部の底部と同じ高さになるように隆起した形状を有する請求項1または2に記載のスラブ型枠用バタ材締着具。
【請求項4】
前記保持部材の基端部は、前記当て板に形成された貫通孔に表面側から挿入されて、前記当て板の裏面側に突出した状態で固定されている請求項1から3のいずれかに記載のスラブ型枠用バタ材締着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラブ型枠用バタ材締着具に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートの打設に用いられる型枠を固定する型枠用バタ材の締着具として、例えば、特許文献1に開示されたコンクリート型枠締付座金が知られている。このコンクリート型枠締付座金は、座金本体の一方面を利用して、平行に配置された二本の横バタ材を結合することができると共に、座金本体の他方面を利用して、一本使いのバタ材の締付にも使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−120922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のコンクリート型枠締付座金は、複数のバタ材を長手方向に突き合わせて連結する用途には使用できないため、スラブ型枠におけるバタ材の延長には適していない。スラブ型枠用バタ材の延長に際しては、複数のバタ材を突き合わせた後、添え木を用いて釘打ちにより固定することが一般に行われており、作業性の面で改良の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、スラブ型枠の施工作業を迅速容易に行うことができるスラブ型枠用バタ材締着具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、矩形板状の当て板と、前記当て板の表面中央から起立する保持部材とを備え、前記当て板は、短辺方向両側に設けられて前記当て板の表面側に起立する一対のリブを備え、一対の前記リブは、互いに対向するように一対の切欠部が形成されており、前記当て板の表面側における前記保持部材を挟んだ長手方向両側には、一対の前記切欠部に短辺方向に沿ってバタ材を配置可能であると共に、一対の前記リブ間に長辺方向に沿ってバタ材を配置可能であるスラブ型枠用バタ材締着具により達成される。
【0007】
このスラブ型枠用バタ材締着具において、前記保持部材は、バタ材を固定するための楔状部材が着脱可能に挿入される楔孔が形成されていることが好ましい。
【0008】
前記当て板は、表面の短辺方向中央部が一対の前記切欠部の底部と同じ高さになるように隆起した形状を有することが好ましい。
【0009】
前記保持部材の基端部は、前記当て板に形成された貫通孔に表面側から挿入されて、前記当て板の裏面側に突出した状態で固定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスラブ型枠用バタ材締着具によれば、スラブ型枠の施工作業を迅速容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスラブ型枠用バタ材締着具の正面図である。
【
図2】
図1に示すスラブ型枠用バタ材締着具の側面図である。
【
図3】
図1に示すスラブ型枠用バタ材締着具の平面図である。
【
図4】
図1に示すスラブ型枠用バタ材締着具にバタ材を取り付けた状態の一例を示す正面図である。
【
図5】
図1に示すスラブ型枠用バタ材締着具にバタ材を取り付けた状態の他の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスラブ型枠用バタ材締着具の正面図である。また、
図2および
図3は、
図1のスラブ型枠用バタ材締着具をそれぞれ矢示A方向および矢示B方向に見た側面図および平面図である。
図1から
図3に示すように、スラブ型枠用バタ材締着具1は、当て板10と、当て板10の表面中央から直角に起立する保持部材20と、楔状部材30とを備えている。なお、
図2および
図3においては、楔状部材30の図示を省略している。
【0013】
当て板10は、矩形板状に形成されており、短辺方向(
図3のC方向)両側には、当て板10の表面側に略直角に起立する一対のリブ11,12が、長辺方向(
図3のD方向)の全体にわたって設けられている。各リブ11,12には、両側部を残して長辺方向に沿って大きく切り欠かれた一対の切欠部11a,12aが、互いに対向するように形成されている。なお、当て板10および一対のリブ11,12の両側部には、複数のクギ孔10b,11b, 12bが形成されている。
【0014】
図2に示すように、当て板10は、表面の短辺方向中央部が、長手方向(図面を貫通する方向)に沿って一対の切欠部の底部111a,121aと同じ高さとなるように隆起した形状を有している。
【0015】
保持部材20は、帯板状に形成されている。保持部材20の基端部20aは、当て板10の中央に短辺方向に沿って形成されたスリット状の貫通孔10aに表面側から挿入されており、当て板10の裏面側に突出した状態で溶接等により固定されている。保持部材20の先端部(図の上部)には、楔状部材30が着脱可能に挿入される楔孔20bが形成されている。楔状部材30は、保持部材20に設けられた連結部22にチェーン32を介して取り付けられている。
【0016】
上記の構成を備えるスラブ型枠用バタ材締着具1によれば、
図4に示すように、互いに平行に配置された2本のバタ材40,42の間に保持部材20を挿入し、バタ材40,42を、保持部材20の両側で当て板10の短辺方向(図面を貫通する方向)に沿うように、一対の切欠部11a,12aに配置した後、楔状部材30を楔孔20bに挿入することにより、一対の切欠部11a,12aと楔状部材30との間にバタ材40,42を挟持して、締着することができる。バタ材40,42は、本実施形態では木質材であるが、鋼管など他のバタ材であってもよい。バタ材40,42は、一対の切欠部11a,12aの底部111a,121aに支持されると共に、当て板10の隆起した中央部によっても支持されるため、バタ材40,42を確実に締着することができる。
【0017】
一方、2本のバタ材40,42を長手方向に突き合わせて連結する場合には、
図5に示すように、2本のバタ材40,42を、保持部材20の両側で当て板10に長辺方向に沿うように搭載して、一対のリブ11,12間に配置することができ、楔状部材30を楔孔20bに挿入することで、2本のバタ材40,42を、当て板10の隆起した中央部に搭載した状態で連結することができる。バタ材40,42の固定は、必ずしも楔状部材30の使用に限定されず、他の固定手段を用いてもよい。
【0018】
スラブ型枠用バタ材締着具1は、保持部材20の基端部20aが、当て板10の裏面側に突出した状態で固定されているため、
図5に示すように、この基端部20aを、パイプサポート(支保工)50の受け板52の中央に形成された孔部54に挿入することにより、バタ材40,42の連結部をパイプサポート50の受け板52で確実に支持することができる。したがって、バタ材40,42を突き合わせにより連結する場合の強度を良好に維持することができる。
【0019】
本実施形態のスラブ型枠用バタ材締着具1は、従来と同様に平行に配置された複数のバタ材の締着に利用できるだけでなく、複数のバタ材を突き合わせて連結する用途にも利用できるため、スラブ型枠の施工現場での作業性を大きく向上させることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 スラブ型枠用バタ材締着具
10 当て板
11,12 リブ
11a,12a 切欠部
20 保持部材
20a 基端部
20b 楔孔
30 楔状部材