【解決手段】ホイールローダ1は、後部車体9の後方に存在する障害物を検出する障害物センサ18と、運転室6内に設置された警報装置20を制御する制御装置19とを備えており、制御装置19は、車体の車体勾配角度θ1を演算する勾配検出部23と、基準勾配角度θを記憶する記憶部22と、車体勾配角度θ1と基準勾配角度θの大小を比較する勾配判定部23と、障害物センサ18の検出結果に基づいて警報装置20を作動させる報知処理を実行する警報制御部24とを有し、車体勾配角度θ1が基準勾配角度θを超えたときに警報装置20の報知処理を無効とする。
車体と、前記車体に搭載される運転室と、前記運転室内に設置される警報装置と、前記警報装置の制御を行う制御装置と、前記車体の後方に存在する障害物を検出する障害物センサと、前記車体の前部に連結されるリフトアームと、前記リフトアームを上下方向に回動させるアームシリンダと、前記リフトアームの先端に連結されるバケットと、前記バケットを上下方向に回動させるバケットシリンダと、を備えた作業車両において、
前記制御装置は、
前記車体の車体勾配角度を演算もしくは測定する勾配検出部と、
前記勾配検出部により演算もしくは測定された車体勾配角度と予め設定された基準勾配角度とを比較する勾配判定部と、
前記障害物センサの検出結果に基づいて前記警報装置を作動させる報知処理を実行する警報制御部とを備え、
前記警報制御部は、前記車体勾配角度が前記基準勾配角度を超えたときに、前記障害物センサの検出結果に基づく前記報知処理を無効とすることを特徴とする作業車両。
【背景技術】
【0002】
作業車両の一例であるホイールローダは、後部車体の前側に前部車体が左右方向へ揺動可能に連結され、前部車体にはリフトアームやバケット等からなるフロント作業機(荷役装置)が取り付けられている。また、後部車体の前部には運転室が設けられており、後部車体の後部にはエンジン室やカウンタウェイトが設けられている。運転室の内部には作業機レバーやアクセルペダル等が配設されており、運転室に搭乗したオペレータが作業機レバーやアクセルペダルを操作することにより、フロント作業機を動作させて掘削や積み込み等の各種作業を行うようになっている。
【0003】
従来より、ホイールローダ等の作業車両とその周辺に存在する障害物との接触事故を防止するために、撮像装置やレーダ装置等を用いて車両周辺の状況を把握し、その結果に基づいてオペレータが作業車両の周囲に存在する障害物の有無を認識できるようにした技術が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、油圧ショベルの車体を構成する上部旋回体の後部に、監視範囲内の画像を撮像するカメラと、監視範囲内に存在する障害物を検出するセンサとを設置し、運転室内の表示装置にカメラ画像と障害物を強調したマークが画描された画像を表示すると共に、警報音を発してオペレータに障害物の存在を報知するようにした周囲監視装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、ダンプトラックの車体に後方に存在する対象物を検出する物体検出装置を設け、この物体検出装置の検出結果に基づいてオペレータに警報を報知すると共に、ベッセルが起立して積荷を排出する際に、警報の報知を実行しないようにした周囲監視装置が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るホイールローダの実施形態を
図1〜
図6を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るホイールローダ1の側面図である。
図1に示すように、ホイールローダ1は、リフトアーム2、バケット3、タイヤ4等を有する前部車体(車体)5と、運転室6、エンジン室7、タイヤ8等を有する後部車体(車体)9とで構成されている。エンジン室7にはエンジン(不図示)が搭載されており、後部車体9の後方にはカウンタウェイト10が取り付けられている。
【0014】
リフトアーム2はアームシリンダ11の駆動により上下方向に回動(俯仰動)し、バケット3はバケットシリンダ12の駆動により上下方向に回動(クラウドまたはダンプ)する。バケットシリンダ12とバケット3の間にはベルクランク13を含むリンク機構が介設されており、このリンク機構を介してバケットシリンダ12はバケット3を回動させる。なお、これらリフトアーム2、バケット3、アームシリンダ11、バケットシリンダ12、ベルクランク13等によってフロント作業機(荷役装置)が構成されている。
【0015】
リフトアーム2と前部車体5の連結部分にはアーム角度センサ14が取り付けられており、このアーム角度センサ14によってリフトアーム2の回動角度が検出される。アームシリンダ11は圧力センサ15を備えており、この圧力センサ15によってフロント作業機にかかる作業機圧が検出される。バケットシリンダ12は近接スイッチ16を備えており、バケットシリンダ12のロッドが所定量だけ短縮されると、この近接スイッチ16がオン動作するようになっている。
【0016】
前部車体5と後部車体9とはセンタピン17により互いに回動自在に連結され、ステアリングシリンダ(不図示)の伸縮により後部車体9に対し前部車体5が左右に屈折する。後部車体9の前部に搭載された運転室6には、オペレータが座る運転席、ホイールローダ1の操舵角を制御するステアリングホイールと、ホイールローダ1を始動・停止させるキースイッチ、オペレータへの情報を提示する表示装置(いずれも図示せず)等が設置されている。
【0017】
後部車体9の後部の所定位置、例えば、カウンタウェイト10には障害物センサ18が設置されている。障害物センサ18は、ミリ波レーダやレーザ光(三次元レーザ)等を用いて後部車体9の後方に存在する障害物の有無を検出するセンサであり、障害物とは、他の作業車両、作業現場に出入りする作業員や関係者、作業現場の構造物等である。障害物センサ18の検出信号は
図3に示す後述の制御装置19に取り込まれ、制御装置19は、車体(前部車体5と後部車体9)の勾配角度を演算し、演算した車体勾配角度に基づいて警報装置20への制御信号の出力を制御する。なお、障害物センサ18は、エンジン室7の最後面カバーとなるリアグリルに設けても良い。
【0018】
本実施形態に係るホイールローダ1は、前部車体5と後部車体9を走行させる走行動作の他に、掘削や積み込み等の各種作業を行うものであり、かかる作業の一例として、
図2には「かき上げ作業」を実行する場合が示されている。具体的には、前部車体5と後部車体9を走行させながらバケット3に土砂を掬い込んだ後、そのまま地山Mを登坂しながら掘削土砂を上部または山向こう側へ押し込む「かき上げ作業」動作が示されている。
【0019】
以下、前述した制御装置19について説明すると、
図3は第1実施例に係る制御装置19のブロック図である。
図3に示すように、制御装置19は、勾配検出部21と、記憶部22と、勾配判定部23と、警報制御部24と、を有する。制御装置19による各種処理は、HDD等の記憶装置などに記憶されたプログラムを、図示しないCPUがメモリにロードして実行することにより実現される。
【0020】
勾配検出部21には、車体角速度および車体加速度を検出するIMU(Inertial Measurement Unit)25の検出信号と、車速を検出する車速センサ26の検出信号とが入力され、勾配検出部21は、これらIMU25と車速センサ26の検出信号に基づいて車体勾配角度θ1を演算する。このようにIMU(慣性計測装置)25と車速センサ26を用いて車体勾配角度θ1を演算すると、路面勾配の影響を排除した高精度な車体勾配を推定できるが、これらIMU25と車速センサ26の代わりに傾斜センサを用いて車体勾配角度θ1を測定することも可能である。
【0021】
記憶部22には、所定の基準勾配角度θ(例えば10度)が記憶されている。基準勾配角度θは予め設定された不変値であるが、オペレータが図示せぬ入力装置を用いて基準勾配角度θの値を変えられるようにし、その値を記憶部22に記憶させることも可能である。
【0022】
勾配判定部23は、勾配検出部21で演算された車体勾配角度θ1と、記憶部22に記憶された基準勾配角度θとの大小を比較し、その判定結果を警報制御部24に出力する。
【0023】
警報制御部24には障害物センサ18の検出信号が入力され、警報制御部24は、勾配判定部23の判定結果に基づいて警報装置20に対して所定の制御信号を出力する。障害物センサ18は、常時障害物の有無の検出を行い、その検出信号を警報制御部24に入力する。
【0024】
具体的には、車体勾配角度θ1が基準勾配角度θを超えていない場合、警報制御部24は、障害物センサ18が後部車体9の後方に存在する障害物を検出したとき、その検出信号に基づいて警報装置20に動作信号を出力する。一方、車体勾配角度θ1が基準勾配角度θを超えている場合、警報制御部24は、後部車体9の後方に障害物が存在するか否かに関わらず、警報装置20に動作信号を出力しないようになっている。
【0025】
警報装置20は、運転室6に設置されたスピーカやアラーム装置等からなり、警報制御部24から動作信号が入力されると、スピーカ音やアラーム音等の警告音を発生させてオペレータに報知する。なお、警報装置20は、後部車体9の後方に障害物が存在することを運転室6内のオペレータに報知できれば良く、スピーカ音やアラーム音等を用いた聴覚的な報知だけでなく、表示装置の表示画面を用いた視覚的な報知であっても良い。
【0026】
次に、制御装置19の制御動作について、
図4に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0027】
ホイールローダ1が操作可能な状態、すなわちキースイッチ(不図示)がスタートの状態(始動時)になると、制御装置19は
図4に示す処理を開始する。まず、勾配検出部21が、IMU25と車速センサ26の検出信号に基づいて車体勾配角度θ1を演算する(ステップS1)。
【0028】
次に、勾配判定部23が、勾配検出部21で演算された車体勾配角度θ1と、記憶部22に記憶された基準勾配角度θとを比較し、車体勾配角度θ1が基準勾配角度θを超えているか否かを判定する(ステップS2)。
【0029】
ステップS2において、車体勾配角度θ1が基準勾配角度θを超えていないと判断された場合(ステップS2のNo)、警報制御部24は、ステップS3へ進む。
【0030】
ステップS3において、警報制御部24は、警報装置20への動作信号の出力を許容する状態に制御され、報知処理が有効とされる。この状態で障害物センサ18が後部車体9の後方に存在する障害物を検出した場合には、その動作信号により警報装置20が作動し、警報装置20からスピーカ音やアラーム音等の警告音が発生するため、運転室6内のオペレータは障害物の存在を警告音によって把握することができる。
【0031】
一方、ステップS2において、車体勾配角度θ1が基準勾配角度θを超えていると判断された場合(ステップS2のYes)、警報制御部24は、後部車体9の後方に障害物が存在するか否かに関わらず、警報装置20への動作信号出力を不許可の状態に制御され、報知処理が無効とされる。(ステップS4)、これにより警報装置20は警告音を発生しない非作動状態を維持する。なお、その後に車体勾配角度θ1が基準勾配角度θ以下となったら、ステップS2からステップS3へ移行し、警報制御部24は警報装置20への動作信号の出力を許可する状態に制御されて報知処理が有効となり、障害物センサ18からの信号に応じて警報装置20が作動する。
【0032】
本実施形態にかかるホイールローダ1では、
図1に示すように、走行時や掘削作業時は車体(前部車体5と後部車体9)の姿勢が地面Pとほぼ平行に維持されるため、障害物センサ18が後部車体9の後方に存在する作業員や構造物等の障害物を検出したとき、警報装置20を作動させることによって、運転室6内のオペレータに障害物の存在を報知させることができる。
【0033】
一方、ホイールローダ1が「かき上げ作業」を行っている時は、
図2に示すように、前部車体5と後部車体9が地面Pに対して傾斜する地山Mを登坂するため、後部車体9の後部に搭載した障害物センサ18が地面Pを障害物として誤検出しまうおそれがある。本実施形態にかかるホイールローダ1では、このような「かき上げ作業」時において、地山Mを登坂する車体の車体勾配角度θ1が予め設定された基準勾配角度θを超えると、警報制御部24が警報装置20への動作信号の出力を行わないため、障害物センサ18が地面Pを障害物として認識したとしても警報されることがなくなる。また、その後に車体勾配角度θ1が基準勾配角度θ以下となったら、警報制御部24が警報装置20への動作信号の出力が許容されるため、障害物センサ18の検出結果に基づいて、オペレータは後部車体9の後方に存在する障害物の有無を把握することができる。
【0034】
図5は第2実施例に係る制御装置27のブロック図であり、
図3に対応する部分には同一符号を付してある。
【0035】
図5に示すように、第2実施例に係る制御装置27は、勾配検出部21と、記憶部22と、勾配判定部23と、警報制御部24と、姿勢判定部28と、圧力判定部29とを有する。
【0036】
勾配検出部21には、車体角速度および車体加速度を検出するIMU25の検出信号と、車速を検出する車速センサ26の検出信号が入力され、勾配検出部21は、これらIMU25と車速センサ26の検出信号に基づいて車体勾配角度θ1を演算する。
【0037】
記憶部22には、所定の基準勾配角度θ(例えば10度)と、所定の基準アーム角速度と、所定の基準作業機圧とがそれぞれ記憶されている。これら基準勾配角度θと基準アーム角速度および基準作業機圧は予め設定された不変値であっても良いが、オペレータが図示せぬ入力装置を用いてそれぞれの値を変えられるようにし、その値を記憶部22に記憶させることも可能である。基準アーム角速度は、アームを上昇させながら行う、かき上げ作業時におけるバケットの到達高さを考慮して設定されるもので、例えばフル操作時の50%程度に設定される。
【0038】
勾配判定部23は、勾配検出部21で演算された車体勾配角度θ1と、記憶部22に記憶された基準勾配角度θとの大小を比較し、その判定結果を警報制御部24に出力する。
【0039】
姿勢判定部28は、アーム角度センサ14によって検出されたリフトアーム2の回動角度から演算された角速度と、記憶部22に記憶された基準アーム角速度とを比較し、その判定結果を警報制御部24に出力する。
【0040】
圧力判定部29は、圧力センサ15によって検出されたフロント作業機にかかる作業機圧と、記憶部22に記憶された基準作業機圧とを比較し、その判定結果を警報制御部24に出力する。
【0041】
警報制御部24には障害物センサ18の検出信号が入力され、警報制御部24は、勾配判定部23と姿勢判定部28および圧力判定部29の判定結果に基づいて、警報装置20に対して所定の動作信号の出力を許可するか否かを制御する。
【0042】
次に、制御装置27の制御動作について、
図6に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0043】
ホイールローダ1が操作可能な状態になると、制御装置27は
図6に示す処理を開始する。まず、勾配検出部21が、IMU25と車速センサ26との検出信号に基づいて車体勾配角度θ1を演算する(ステップS11)。
【0044】
次に、勾配判定部23が、勾配検出部21で演算された車体勾配角度θ1と、記憶部22に記憶された基準勾配角度θとを比較し、車体勾配角度θ1が基準勾配角度θを超えているか否かを判定する(ステップS12)。
【0045】
ステップS12において、車体勾配角度θ1が基準勾配角度θを超えていないと判断された場合(ステップS12のNo)、ステップS13へ進む。
【0046】
ステップS13において、警報制御部24は、警報装置20への動作信号出力を不許可状態から許可状態に制御され、報知処理が有効となる。これにより障害物センサ18によって障害物が検出されれば、警報装置20に動作信号が出力され、警報装置20からスピーカ音やアラーム音等の警告音が発生するため、運転室6内のオペレータは障害物の存在を警告音によって把握することができる。
【0047】
一方、ステップS12において、車体勾配角度θ1が基準勾配角度θを超えていると判断された場合(ステップS12のYes)、姿勢判定部28が、アーム角度センサ14によって検出されたリフトアーム2の回動角度に基づくアーム角速度と、記憶部22に記憶された基準アーム角速度とを比較し、リフトアーム2のアーム角速度が設定された基準アーム角速度以上であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0048】
ステップS14において、アーム角速度が基準アーム角速度未満であると判断された場合(ステップS14のNo)はステップS11に戻り、アーム角速度が基準アーム角速度以上であると判断された場合(ステップS14のYes)はステップS15へ進む。
【0049】
ステップS15において、圧力判定部29は、圧力センサ15によって検出されたフロント作業機にかかる作業機圧と、記憶部22に記憶された基準作業機圧とを比較し、フロント作業機の作業機圧が設定された基準作業機圧以上であるか否かを判定する。そして、フロント作業機の作業機圧が基準作業機圧未満であると判断された場合(ステップS15のNo)はステップS11に戻り、フロント作業機の作業機圧が基準作業機圧以上であると判断された場合(ステップS15のYes)はステップS16へ進む。
【0050】
ステップS16では、警報制御部24は、警報装置20への動作信号の出力が許可された状態から不許可の状態に制御し、報知処理を無効とする。そのため警報装置20は警告音を発生しない非作動状態となる。なお、その後に車体勾配角度θ1が基準勾配角度θ以下となったら、ステップS12からステップS13へ移行し、警報制御部24は、警報装置20への動作信号の出力を不許可の状態から許可状態へと制御し、報知処理を有効とする。
【0051】
以上説明したように、第2実施例に係る制御装置27では、警報装置20への動作信号出力の許可、不許可を勾配判定部23による車体傾斜角度の大きさだけでなく、姿勢判定部28によるフロント作業機の姿勢と、圧力判定部29によるフロント作業機の作業機圧とを加味しているため、ホイールローダ1の「かき上げ作業」動作と他の動作との違いを的確に認識することができる。例えば、リフトアーム2のアーム角速度を判定する姿勢判定部28に基づいて「単純走行動作」と「作業時走行動作」とが区別され、かき上げフロント作業機にかかる作業機圧を判定する圧力判定部29に基づいて「掘削動作」と「非掘削動作」とが区別されるため、これらの組み合わせによって「かき上げ作業時」に障害物センサ18が後方の地面Pを障害物と誤検出しまうことを防止できる。
【0052】
なお、第2実施例に係る制御装置27において、姿勢判定部28と圧力判定部29のいずれか一方を省略し、警報制御部24における警報装置20への動作信号の出力の許可、不許可の判定条件として、勾配判定部23による車体傾斜角度の大きさに、姿勢判定部28によるフロント作業機の姿勢と、圧力判定部29によるフロント作業機の作業機圧とのいずれか一方のみを追加するようにしても良い。
【0053】
また、第2実施例に係る制御装置27では、姿勢判定部28がリフトアーム2のアーム角速度に基づいてフロント作業機の姿勢を判定しているが、リフトアーム2のアーム角速度とバケット3のバケット角との両方に基づいてフロント作業機の姿勢を判定するようにしても良い。具体的には、近接スイッチ16の動作信号に基づいてバケット3が所定の設定角を超えているか否かを判定し、バケット3が設定角を超えている場合は「ホッパ投入作業」と判断できるので、「かき上げ作業」とは区別され、かき上げ作業時における警報装置20による誤警報をより的確に防止することができる。また、バケット角の検出を近接スイッチ16にて行うようにしたが、バケット3の回動角度を角度センサにより検出するようにしても良い。
【0054】
なお、上記の実施形態に係るホイールローダ1では、車体勾配角度θ1が基準勾配角度θを超えたときに、警報制御部24が警報装置20への動作信号の出力の許可、不許可を行うようにしたが、障害物センサ18の動作を停止することにより、障害物の検出を行わないようにして警報装置20から警告音が発生しないようにしても良い。
【0055】
また、第1実施例では「かき上げ作業」を「車体勾配角度」によって判断したが、「車体勾配角度」に加え、「車体の前進動作」を加えることができる。この場合「車体の前進動作」は不図示の前後進切換スイッチの前進への切替え、または車速、トランスミッションの速度段情報によって検出することができる。
【0056】
また、「かき上げ作業」を判断したときに、警報装置20への動作信号出力を不許可として地面の誤検出を防止するようにし、車体の勾配角度が基準勾配角度以下となったときに、警報装置20への動作信号出力を許可するようにしたが、かき上げ作業は、一定時間で繰り返されることが多い作業であることを鑑み、警報装置20への動作信号出力を不許可としてから一定時間後に、警報装置20への動作信号出力を許可するようにすることもできる。
【0057】
また、上記した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。