【実施例1】
【0010】
図1〜
図8は、この発明の実施例1を示すものである。
図1、
図2に示すように、管更生工法においては、地中に埋設された既設管1を地面(例えば、路面など)2の掘削をすることなく更生するものであって、地面2に設置されたマンホール3から内部の地下空間4に?がって配置された水平方向の既設管1の内周面に、管体構造物(更生管)5を付設している。
管更生工法の実施にあたっては、各機器として、地面2に設置される帯状体供給装置6と、マンホール3から地下空間4に設置される製管装置7と、地面2に設置される油圧ユニット8と、地面2に設置される補強材供給装置9と、地面2に設置される充填材供給装置10とが備えられる。
【0011】
帯状体供給装置6は、帯状体(ストリップ)11をマンホール3から製管装置7へ供給する。
製管装置7は、地下空間4で組み付け可能な製管機12と製管ケージ13とを備え、帯状体供給装置6からの帯状体11を製管機12に導入し、そして、帯状体11を製管ケージ13で強制的に湾曲させて、順次に螺旋状に連続的に巻き回して製管し、管体構造物(更生管)5を構成する。
油圧ユニット8は、製管装置7に供給する作動油圧を発生し、作動油圧によって製管装置7を駆動する。
【0012】
図3、
図4、
図7、
図8に示すように、帯状体11は、例えば、硬質塩化ビニール製であって、長尺状で且つ薄い平坦状の帯板14と、帯板14の長手方向Xへ延びる一側端部15の嵌合凹部16と、帯板14の長手方向Xへ延びる他側端部17の嵌合凸部18と、帯板14の一面で帯板14の長手方向Xへ延び且つ帯板14の短手方向(両側端部方向)Yへ所定間隔L1に並んで立設した複数本のリブ19からなるリブ部20と、を含むものである。複数本のリブ19は、
図3に示すように、例えば、11本であって、高さH1で且つ所定間隔L1で形成される。なお、リブ19の本数は、任意に設定が可能である。
また、帯状体11には、帯板14の一面で嵌合凸部18付近で、相互に隣接する帯板14の一側端部15と他側端部17とを重合して圧着するホットメルト21が備えられる。
更に、帯状体11には、
図3に示すように、一側端部15の嵌合凹部16付近で一側端接続突部22が備えられるとともに、他側端部17の嵌合凸部18付近のリブ19には一側端接続突部22に相互に隣接して接続される他側端接続突部23が備えられる。
製管装置7では、帯状体11が螺旋状に連続的に巻き回されるときに、帯板14の一面が外方に向かって外周面として配置され、そして、帯状体11の相互に隣接する嵌合凹部16と嵌合凸部18とが嵌合して連結される。
リブ19は、
図8に示すように、帯板14から立ち上がる支柱部24と、支柱部24の先端部として、支柱部24に対して直交方向へ延びる鍔部25とからなる。また、隣接するリブ19・19間には、幅W2で且つ高さH2の間隙26が形成される。
管体構造物5にあっては、帯板14の一面が外方面となるように螺旋状に巻き回され、複数本のリブ19の先端部である鍔部25の先端面が既設管1の内周面に接して配置される。
【0013】
また、製管装置7には、
図4に示すように、接着剤自動供給機(図示せず)を構成する接着剤ノズル27が備えられる。接着剤ノズル27から吐出される接着剤Bは、巻き回されて相互に隣接する帯状体11の嵌合凹部16と嵌合凸部18とを強固に連結する。
【0014】
補強材供給装置9は、
図1に示すように、螺旋状に巻き回された帯状体11を補強するための補強材28を、製管装置7側へ供給する。補強材供給装置9からの補強材28は、製管装置7付近に配置された補強材係合ローラ29に導入され、螺旋状に巻き回された帯状体11の一面(外方面)で隣接するリブ19・19間の間隙26に挿入して配置される。なお、補強材28の配置にあっては、各間隙26毎、あるいは、所定数の間隙26を空けて配置することも可能である。
図8に示すように、補強材28は、例えば、アルミニウム製で、断面円形状の棒状体に形成され、螺旋状に巻き回された帯状体11の一面(外方面)で隣接するリブ19・19間の間隙26の幅W2且つ高さH2よりも小さな直径Dに形成される(D<W2、D<H2)。従って、補強材28は、そのままの状態では、螺旋状に巻き回された帯状体11の隣接するリブ19・19間の間隙26で、浮いた状態になったりして、動き易い状態となって一定の位置に収まらない場合がある。
【0015】
そこで、この実施例1では、螺旋状に巻き回された帯状体11の隣接するリブ19・19間の間隙26には、
図7、
図8に示すように、補強材28をリブ19・19間の間隙26で特定位置Pに保持するための補強材保持用留め具30が配設される。上記の特定位置Pとは、この実施例1では、
図8に示すように、例えば、間隙26の中心C上であって、且つ補強材28の外周面が帯状体11の帯板14に接する状態の位置である。なお、上記の特定位置Pは、種々変更が可能なものである。
図6に示すように、補強材保持用留め具30は、例えば、薄い板材を断面U字形状に成形加工したものであって、中央部位で補強材28の外周面に接して補強材28を押圧する保持部31と、保持部31の両側端部から広がるように立ち上がる一対の立上部32・32と、一対の立上部32・32に連続して隣接するリブ19・19の先端部である鍔部25・25に係着される一対の係着部33・33とを備え、所定長さKに形成される。立上部32は、間隙26の高さH2よりも小さな高さH3に形成される。
係着部33は、この実施例1において、鍔部25の側端部位を挟むように形成され、立上部32に突出して成形された一対の係着突起34・34と、鍔部25の先端部位に形成された一対の係着先端片35・35とからなる。
補強材保持用留め具30は、保持部31の幅W3が隣接するリブ19・19間の間隙26の幅W2よりも小さく形成され、且つ、隣接するリブ19・19間の間隙26に配置される以前では、一対の係着部33・33間の幅W4が保持部31の幅W3よりも大きく形成される。
これにより、補強材保持用留め具30においては、一対の立上部32・32が狭められて(
図6の一点鎖線の矢印で示す)、一対の係着部33・33間の幅W4が保持部31の幅W3と略同一になるまで小さくなった際には(
図7、
図8で示す)、一対の立上部32・32に弾性復元力が発生し、その弾性復元力によって一対の係着部33・33が隣接するリブ19・19の鍔部25・25の側面部位に係着される。
補強材保持用留め具30は、
図6に示すように、所定長さKに形成されて隣接するリブ19・19間の間隙26の補強材28に所定間隔を開けて配置され、補強材28を各巻回毎で特定位置Pに保持する。
なお、補強材保持用留め具30は、螺旋状に巻き回された帯状体14の隣接するリブ19・19間の間隙26に、補強材28が挿入されるとき、又は、補強材28が挿入された後などで、配置することが可能である。
【0016】
充填材供給装置10は、
図2に示すように、既設管1の内周面と帯状体11との間に充填材36を供給するものであって、充填材ノズル37を備える。充填材36としては、例えば、コンクリート・接着剤などからなる。
【0017】
以下、この実施例1に係る管更生工法について説明する。
管更生工法の実施において、帯状体供給装置6からの帯状体11がマンホール3を経由して地下空間4の製管装置7の製管ケージ13に供給され、そして、帯状体11が製管ケージ13により螺旋状に巻き回されて製管される。
そして、補強材28が隣接するリブ19・19間の間隙26に挿入して配置されるとともに、その間隙26には補強材28を帯板14側へ押圧して特定位置Pに保持するように補強材保持用留め具30が挿入して配置される。
さらに、複数本のリブ19の先端部である鍔部25の先端面が既設管1の内周面に接し、そして、既設管1の内周面と帯状体11との間に充填材36を充填して管体構造物(更生管)5が構成される。
この結果、この実施例1においては、
図8に示すように、補強材28を特定位置Pに保持するための補強材保持用留め具30を、螺旋状に巻き回された帯状体11の隣接するリブ19・19間の間隙26に配置することから、螺旋状の隣接するリブ19・19間の間隙26で、補強材28を各巻回毎で特定位置Pに同じ状態で配置し、帯状体11の強度を高く維持し、これにより、管体構造物5の強度の低下を防止することができる。
【実施例4】
【0020】
図13は、この発明の実施例4を示すものである。
この実施例4の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、隣接するリブ19・19間の間隙26には、2本の補強材28・28を配置する。
この場合、一方の補強材28を一方のリブ19の支柱部24と帯体14との隅部位を特定位置Pとして配置するとともに、他方の補強材28を他方のリブ19の支柱部24と帯体14との隅部位を特定位置Pとして配置する。
そして、補強材保持用留め具30は、2本の補強材28・28を同時に押圧する保持部61と、保持部61の両側端部から立ち上がって弾性復元力を発生する立上部62・62と、隣接するリブ19・19の鍔部25・25の下面に係着する一対の係着部33・33としての一対の係着突片63・63とからなる。
この実施例4の構造によれば、隣接するリブ19・19間の間隙26に2本の補強材28・28が配置された場合でも、2本の補強材28・28を特定位置P・Pに同時に保持することができ、また、簡素な構造とすることができる。
【0021】
図14は、この発明の実施例5を示すものである。
この実施例5の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、補強材保持用留め具30は、底部となる保持部71と、一対の立上部72・72と、一対の係着部73・73とからなり、内部空間74にて補強材28を保持部71に保持する。
このため、補強材保持用留め具30の立上部72・72には、補強材28を保持部71との間で保持して固定するように、係着部73・73側の折曲部75・75から先端部76・76が保持部71の中央側へ向かって窄むように傾斜する支持部77・77が形成される。支持部77・77は、立上部72・72にU字形状の切れ目を入れて形成され、且つ切れ目が無い折曲部75・75を中心にして先端部76・76が内部空間74に向かって傾斜して配置される。先端部76・76は、補強材28の外面に当接して補強材28を保持部71に固定する。保持部71付近の内部空間74の幅は、補強材28の直径と略同一、又は、補強材28の直径よりも少しだけ大きく設定される。従って、補強材28の特定位置Pは、内部空間74で保持部71上となる。
この実施例5の構造によれば、補強材保持用留め具30の内部空間74において、補強材28を保持部71と支持部77・77の先端部76・76とによって挟んで堅固に保持することができる。