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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-163889(P2019-163889A)
(43)【公開日】2019年9月26日
(54)【発明の名称】除水または除塵装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 15/18 20060101AFI20190830BHJP
   B08B 5/00 20060101ALI20190830BHJP
   F26B 5/00 20060101ALI20190830BHJP
【FI】
   F26B15/18 Z
   B08B5/00 Z
   F26B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-51408(P2018-51408)
(22)【出願日】2018年3月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000183738
【氏名又は名称】春日電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076163
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋 宣之
(72)【発明者】
【氏名】福田 勝喜
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 政浩
(72)【発明者】
【氏名】稲村 達也
(72)【発明者】
【氏名】植村 隆
(72)【発明者】
【氏名】梶原 薫
(72)【発明者】
【氏名】小川 博史
(72)【発明者】
【氏名】小出 涼
【テーマコード(参考)】
3B116
3L113
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB14
3B116AB16
3B116AB48
3B116BB24
3B116BB90
3B116CC03
3L113AA03
3L113AB10
3L113AC48
3L113AC69
3L113AC74
3L113BA13
3L113DA07
(57)【要約】
【課題】 軽量な処理対象物であっても、エア噴射の圧力によって浮き上がったり、吹き飛ばされたりせずに、確実に除水または除塵ができるようにすること。
【解決手段】 処理対象物を搬送する搬送手段2に対して所定の位置に設けられるとともに、搬送過程の処理対象物に向かって圧縮エアを噴射するエア噴射ノズル6とが備えられ、上記エア噴射ノズル6から噴射された圧縮エアによって水滴や塵などを吹き飛ばす装置を前提とする。そして、搬送手段2の上方において、少なくとも上記圧縮エアの噴射領域に対応する部分に、上記処理対象物を上記搬送手段2に向かって押さえる押さえ手段7が設けられている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物を搬送する搬送手段と、
この搬送手段に対して所定の位置に設けられるとともに、搬送過程の処理対象物に向かって圧縮エアを噴射するエア噴射ノズルとが備えられ、
上記エア噴射ノズルから噴射された圧縮エアによって水滴や塵などを吹き飛ばす除水又は除塵装置であって、
上記搬送手段の上方において、少なくとも上記圧縮エアの噴射領域に対応する部分には、上記処理対象物を上記搬送手段に向かって押さえる押さえ手段が設けられた除水または除塵装置。
【請求項2】
上記押さえ手段は、上記搬送手段と同期して移動する押さえネットであり、
上記処理対象物が、上記押さえネットと上記搬送手段との間に挟まれて搬送される請求項1に記載の除水又は除塵装置。
【請求項3】
上記押さえネットの押さえ力を調整する押さえ力調整手段が設けられた請求項2に記載の除水または除塵装置。
【請求項4】
上記押さえ手段は、上記搬送手段の上方で、この搬送手段と所定の間隔を保って固定されるとともに、上記処理対象物の搬送方向に沿って長さを有する1または複数の押さえ部材である請求項1に記載の除水または除塵装置。
【請求項5】
上記押さえ部材と上記搬送手段との間隔を調整する高さ調整手段が備えられた請求項4に記載の除水または除塵装置。
【請求項6】
上記押さえ部材の一端側であって、上記搬送手段で搬送される処理対象物が、当該押さえ部材の下方に進入する部分には、上記搬送手段の搬送面に対して傾斜した進入ガイド部を備えるとともに、この進入ガイド部の傾斜角度を調整する角度調整手段が備えられた請求項4または5に記載の除水または除塵装置。
【請求項7】
上記搬送手段は、処理対象物を載置する搬送面と、
この搬送面から上記押さえ手段に向かって突出した突起部とからなる請求項1〜5のいずれか1に記載の除水または除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理対象物の表面に付着した水滴や塵などを圧縮エアで吹き飛ばす除水または除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば食品の製造工程などで、食品を充填した容器を水洗した後に、容器の表面に付着した水滴を、圧縮エアで吹き飛ばして除水する除水装置が用いられている。
もし、除水が不十分で、水滴が付着したままの容器が段ボール箱などに詰められると、箱に水のシミができたり、カビが発生したりしてしまって、商品価値が落ちてしまい、時には返品の原因になってしまうことがある。そのため、除水装置には確実な除水機能が望まれている。
【0003】
この種の除水装置として、例えば図9に示すものが知られている。
この除水装置は、本体1の上部にネットコンベア2を設け、このネットコンベア2上に除水対象物を乗せて搬送するようにしている。
また、本体1の上面には、ネットコンベア2の搬送面を覆ったり解放したりできるユニットカバー3を設け、このユニットカバー3内に、エア噴射ユニット4を装着している。このエア噴射ユニット4には、複数のエア噴射ノズル6が取り付けられ、このエア噴射ノズル6は、図示しない圧縮エア源から導かれる圧縮エアを噴射しながら、その噴射反力で噴射口が旋回する。
なお、この上側のエア噴射ユニット4は、ユニットカバー3に対し、図示しない支持機構によって上下位置を調整可能に支持されている。
【0004】
また、ネットコンベア2の下方には、エア噴射ユニット5が設けられ、このエア噴射ユニット5にも、図示していないが複数のエア噴射ノズル6が設けられている。
そして、ユニットカバー3を閉じた状態でこの装置を作動させれば、上下のエア噴射ユニット4,5のエア噴射ノズル6からネットコンベア2上の除水対象に向かって圧縮エアが噴射され、除水対象物の表面に付着している水滴を吹き飛ばすことができる。
なお、上記エア噴射ノズル6から噴射される圧縮エアは、ネットコンベア2で搬送される物体の表面に付着した塵などを吹き飛ばすことができる。つまり、図9に示す除水装置と同様の構成は、除塵装置としても利用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−042451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような除水装置は、処理対象物に付着している水滴を吹き飛ばさなければならない。そのため、大きな噴射圧力が必要である。
一方で、処理対象物には、様々なものがあり、中には非常に軽量の物体を除水しなければならないことがある。
例えば、弁当用の醤油パックや紙コップなどの軽量の物は、ネットコンベア2での搬送過程で、上下から圧縮エアが噴射されると、搬送面から浮きあがってしまうことがある。
【0007】
処理対象物が搬送面から浮き上がると、ネットコンベア2の搬送力が処理対象物に伝わらなくなるので、処理対象物と搬送面とが相対移動してしまう。そのため、浮き上がった処理対象物が再び搬送面に戻っても、その着地点は初期の位置からずれてしまう。
また、処理対象物は、搬送面から浮き上がるだけでなく、噴射エアの圧力によって移動し、搬送面上の初期位置からずれてしまうこともある。
【0008】
このような位置ずれが生じると、その処理対象物は、搬送面上で後続の処理対象物や先行する処理対象物に衝突したり重なったりして、処理対象物のスムーズな連続搬送の妨げになってしまう。
処理対象物同士が重なれば、その重なり部分には圧縮エアが当たらないため、そこに水滴や塵が残ってしまう。
また、噴射エアの圧力によって処理対象物の位置が大きくずれてしまうことで、処理対象物にエア噴射ノズルからのエアが届かなくなってしまうこともある。処理対象物に噴射エアが届かなければ、所期の除水効果が得られなくなる。
【0009】
例えば、紙コップのように起立させて搬送される軽量の処理対象物が、噴射エアの圧力に負けて倒れてしまうと、転がって噴射エアが届かないところや、搬送面の外へ移動してしまうこともある。そのようなときには、当該除水装置の連続運転ができなくなってしまう。
また、弁当用の醤油パックのような小さな袋でも、搬送面上で初期の位置からずれて搬送されれば、次工程での連続処理ができなくなることがある。なぜなら、当該装置の次工程では、搬送面上における初期の位置を前提にして種々の機器がセッティングされているからである。そして、処理対象物の位置がずれて搬送された場合に、次工程で連続処理をするためには、処理対象物の位置を修正しなければならず、その手間がかかってしまうという問題も発生する。
【0010】
さらに、処理対象物が、噴射エアの圧力で搬送面の外など予期しないところに吹き飛ばされてしまえば、例えば搬送手段や他の機構に絡まったりして、当該除水装置の故障の原因になることもある。
また、絡まった処理対象物を取り除くために、除水処理を一時的に中断しなければならない。除水処理を中断すれば、その前後工程の稼働にも支障をきたすことになる。
【0011】
上記のような除水装置の問題は、軽量の処理対象物に付着した塵を吹き飛ばすための除塵装置においても同様に発生するものである。
この発明の目的は、軽量な処理対象物であっても、噴射エアの圧力によって浮き上がったり、吹き飛ばされたりせずに、確実に除水または除塵ができる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、処理対象物を搬送する搬送手段と、この搬送手段に対して所定の位置に設けられるとともに、搬送過程の処理対象物に向かって圧縮エアを噴射するエア噴射ノズルとが備えられ、上記エア噴射ノズルから噴射された圧縮エアによって水滴や塵などを吹き飛ばす除水または除塵装置を前提とする。そして、上記搬送手段の上方において、少なくとも上記圧縮エアの噴射領域に対応する部分には、上記処理対象物を上記搬送手段に向かって押さえる押さえ手段が設けられたことを特徴とする。
【0013】
なお、「圧縮エアの噴射領域」とは、エア噴射ノズルから噴射された圧縮エアの圧力が届く範囲のことである。
また、上記押さえる押さえ手段は、搬送手段上の処理対象物が位置ずれを生じないように上方から押さえる機能を発揮するものであるが、処理対象物に対して常時押さえ力を作用させるものに限らない。
例えば、処理対象物に対して常時押さえ力を発揮するもの、処理対象物に対して押さえ力は作用させないが常時接触しているもの、通常は処理対象物との間にわずかな隙間を保ち、処理対象物が傾いたり、浮き上がったりしたときにのみ、上方から押さえ力を発揮するものが上記押さえ手段に含まれる。
【0014】
第2の発明は、上記押さえ手段が、上記搬送手段と同期して移動する押さえネットであり、上記処理対象物が、上記押さえネットと上記搬送手段との間に挟まれて搬送されることを特徴とする。
第3の発明は、上記押さえネットの押さえ力を調整する押さえ力調整手段が設けられたことを特徴とする。
【0015】
第4の発明は、上記押さえ手段が、上記搬送手段の上方で、この搬送手段と所定の間隔を保って固定されるとともに、上記処理対象物の搬送方向に沿って長さを有する1または複数の押さえ部材であることを特徴とする。
第5の発明は、上記押さえ部材と上記搬送手段との間隔を調整する高さ調整手段が備えられたことを特徴とする。
【0016】
第6の発明は、上記押さえ部材の一端側であって、上記搬送手段で搬送される処理対象物が、当該押さえ部材の下方に進入する部分には、上記搬送手段の搬送面に対して傾斜した進入ガイド部が設けられるとともに、この進入ガイド部の傾斜角度を調整する角度調整手段が備えられたことを特徴とする。
第7の発明は、上記搬送手段が、処理対象物を載置する搬送面と、この搬送面から上記押さえ手段に向かって突出した突起部とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、搬送手段から浮き上がろうとする処理対象物を押さえ手段が押さえるため、処理対象物が搬送手段上で初期位置からずれてしまうことがない。処理対象物の位置ずれが無いので、初期位置に合わせて設定されたエア噴射ノズルから噴射される圧縮エアが、処理対象物にまんべんなく届いて、除水漏れや除塵漏れが発生することがない。
特に、処理対象物が浮き上がって重なるようなことがないため、処理対象物のスムーズな搬送が可能になるとともに、重なり部分に圧縮エアが届かずに、水滴や塵が残されることもない。
【0018】
また、処理対象物が初期の位置を保って搬送されるため、決まった搬送位置を前提にして機器などが設定された次工程に対してもスムーズな受け渡しができる。
さらに、圧縮エアで吹き飛ばされた処理対象物が、装置の故障の原因になったり、前後の工程を停止させる原因になったりすることがない。そのため、この装置を組み込んだ製造ラインなどの生産効率が下がることもない。
【0019】
第2の発明によれば、処理対象物が搬送手段と押さえネットとの間に挟まれて搬送されるので、処理対象物の初期位置が確実に維持される。
【0020】
第3の発明によれば、処理対象物の大きさや形状などに合わせて押さえネットの押さえ力を適切に調整することができる。押さえネットの押さえ力を強く調整すれば、搬送手段と押さえネットとの間に挟まれた処理対象物の位置ずれを完璧に防止できる。
一方、押さえ力を強くし過ぎれば、処理対象物を変形させたり、損傷させてしまったりすることがあるが、この発明の押さえ力調整手段で、押さえ力を適切に調整すれば、処理対象物を損傷させることもない。
【0021】
第4の発明では、押さえ手段が固定された押さえ部材で構成されているので、例えば搬送手段と同期して移動する押さえネットのように、駆動機構を必要としない。その分、構造を単純化でき、メンテナンスも容易である。
【0022】
第5の発明によれば、搬送時の高さが異なる処理対象物に合わせて、押さえ部材の位置を適切に調整することができる。そのため、高さの異なる様々な処理対象物に対して、搬送手段からの浮き上がりを防止して、位置ずれを防止できる。
第6の発明によれば、押さえ部材と搬送手段との間に、処理対象物をスムーズに進入させることができる。
【0023】
第7の発明によれば、搬送手段の突起部が、処理対象物を搬送方向に押して、押さえ手段の下方に押し込むことができる。処理対象物が押さえ手段に当たって、押し戻されるようなことがなく、確実に搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の第1実施形態の搬送手段付近の正面図で、本体の前面カバーを外した状態である。
図2】第1実施形態の押さえネットの押さえ力調整手段の部分拡大図である。
図3】第1実施形態の押さえネットの部分平面図である。
図4】第2実施形態の搬送手段付近の正面図である。
図5】第2実施形態の上側のエア噴射ユニットを下方から見た図である。
図6】第2実施形態の進入ガイド部の角度調整手段を説明するための図である。
図7】第3実施形態の搬送手段を構成するネットの部分斜視図である。
図8】第3実施形態の作用を説明する概念図である。
図9】従来の除水装置の概観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1〜3に示す第1実施形態は、図9に示す従来の除水装置に、この発明の押さえ手段を構成する無端状のネット7を設けた除水装置である。この第1実施形態において、従来の除水装置と同じ構成要素には図9と同じ符号を用いるとともに、以下の説明にも図9を参照する。
図1は、この発明の搬送手段であるネットコンベア2付近の正面図であるが、上下のエア噴射ユニット4,5の位置を分かりやすくするため、本体1の前面カバーを取り除き、ユニットカバー3の輪郭を二点鎖線で示している。
【0026】
また、図1,2では当該装置の一方の側面だけを表現しているので、組を構成する一対の部材のうち、他方の側にある部材は表現されていない。ただし、図1,2に表現されていない他方の部材であっても、以下には一方の側の部材と同一符号を付してそれらが存在することを示す。
【0027】
図1に示すように、本体1の上面1aであって、ネットコンベア2の搬送方向xを基準として、ユニットカバー3の上流側には、一対の支持板8,8が、ユニットカバー3より下流側には一対の支持板9,9が、それぞれネットコンベア2を介して対向する位置に固定されている。
【0028】
上流側の支持板8,8には、一対のスプロケット10を備えた駆動軸11の両端が回転可能に支持されるとともに、図2に示すように、上記ネット7の高さ位置を調整するためのガイドローラ12,12を回転可能に支持した支持軸14と、ネット7のテンションを調整するためのテンションローラ13,13を回転可能に支持した支持軸15の両端が固定されている。また、本体1にはモーターMが取り付けられ、その駆動力が上記駆動軸11に伝達されるようにしている。
なお、駆動軸11に設けられるスプロケット10の数は、ネット7の幅などに応じて設定すればよい。
【0029】
また、上記支持板8,8には、上下方向に長い長穴16,16及び17,17が形成され、上記支持軸14,15の両端が、この長穴16,16及び17,17を貫通するボルト18,18及び19,19で支持板8,8に固定されている。したがって、この長穴16,16及び17,17の範囲で、上記ガイドローラ12及びテンションローラ13の高さ位置を調整できる(図2参照)とともに、ボルト18,18及び19,19の締め付け力で調整高さを固定できる。
【0030】
そして、上記テンションローラ13,13を下方に移動させることで、ネット7のテンションを大きくし、上方へ移動させることでネット7のテンションを小さくすることができる。
なお、図2中の符号30は支持軸14,15に固定されたカラーで、上記ガイドローラ12及びテンションローラ13の軸方向の移動を規制している。
【0031】
また、上記下流側の支持板9,9間には、上記駆動側のスプロケット10,10との間でネット7を架け回す従動側のスプロケット20,20を備えた従動軸21の両端が回転可能に支持されるとともに、ガイドローラ22,22を回転可能に支持する支持軸24とテンションローラ23,23を回転可能に支持する支持軸25の両端が固定されている。
上記支持板9,9にも、上記支持軸24,25を固定するための長穴26,26及び27,27が形成され、この長穴26,26及び27,27の範囲内で、ボルト28,28及び29,29を締め付けることで、ガイドローラ22,22及びテンションローラ23,23の高さ位置を調整可能にしているとともに、ボルト28,28及び29,29の締め付け力で調整高さを固定できる。
【0032】
そして、上記テンションローラ23,23を下方に移動させることで、ネット7のテンションを大きくし、上方へ移動させることでネット7のテンションを小さくすることができる。
また、図示していないが、支持板9,9側においても、図2に示す支持板8側と同様に、上記支持軸24,25に回転可能にされたガイドローラ22及びテンションローラ23の軸方向の移動を規制するカラー30が固定されている。
なお、支持軸14,15に取り付けられるガイドローラ12及びテンションローラ13や、支持軸24,25に取り付けられるガイドローラ22及びテンションローラ23の数は、ネット7の大きさなどに応じて決めればよく、特に限定されない。
【0033】
一方、上記ネット7は、図3に示すように、矩形波状に曲げられた線材7aを、複数組みあわせ、長さ方向の両端を連結して無端状に構成されている。
このネット7は、搬送方向xに直交する幅方向線部7bが等間隔に配置され、全体として凹凸が少なく表面を平滑にしたものである。
そして、上記スプロケット10,20の外周面には、上記幅方向線部7bがはまる線状溝(図示していない)を形成し、この線状溝に上記幅方向線部7bを嵌め込んで、駆動軸11に供給された移動力が従動軸21まで伝達されるようにしている。
【0034】
ただし、押さえネットの構成は図3に示すものに限らない。
上側のエア噴射ユニット4のエア噴射ノズル6から噴射される圧縮エアが、処理対象物に到達できるものならどのようなものでも構わない。例えば、上記線状溝を備えたスプロケットを用いないで、チェーンなどによって駆動されるものでもよい。そのうえで、線材の連結部分などに大きな凹凸がなくて全体として平滑なものが、処理対象物を均等に押さえることができるという点で好ましい。
【0035】
上記のように設けられた駆動側のスプロケット10,10と従動側のスプロケット20,20とにネット7を架け回し、その下側部分をガイドローラ12,12及び22,22の下側を通し、上側部分をテンションローラ13,13及び23,23の下側を通している。
そして、上記各ガイドローラ12,12,22,22、及びテンションローラ13,13,23,23の高さ位置を調整し、ネット7の下側部分の高さ位置及び弛みを適切に調整するようにしている。
【0036】
上記ネット7の下側部分の弛んだ部分の重量が処理対象物に押さえ力として作用することになる。
したがって、処理対象物に合わせて、上記弛みを調整するようにしている。その際、ガイドローラ12,12及び22,22の高さ位置は、搬送面2aとの間隔d1が、その下を処理対象物が通過できる大きさになるように調整しなければならない。
【0037】
また、この第1実施形態では、スプロケット10,10の位置をガイドローラ12,12よりも高い位置に保ち、ネット7と搬送面2aとの間隔が上流に向かって拡大するようにしている。したがって、搬送面2aに導かれる処理対象物は、上記拡大部分からスムーズに導入されることになる。
また、スプロケット20,20をガイドローラ22,22よりも高い位置に保ち、ネット7と搬送面2aとの間隔が下流に向かって拡大するようにしている。したがって、搬送面2aから出ていく処理対象物の姿勢が安定する。
【0038】
そして、この第1実施形態の除水装置では、ネットコンベア2の移動とネット7の移動とが同期するようにしている。つまり、ネットコンベア2の搬送面2aと、搬送面2aに対向するネット7の下側面とが、搬送方向xに同じ速度で移動するように上記モーターMが制御される。
【0039】
上記のように構成された第1実施形態の除水装置では、上記支持板8,8の上流側でネットコンベア2上に乗せて搬送される処理対象物は、上記ガイドローラ12,12の真下に達すると、上記間隔d1内に進入し、上下ネットに挟まれた状態でユニットカバー3内に搬送される。
【0040】
ユニットカバー3内では、上下のエア噴射ユニット4,5のエア噴射ノズル6から圧縮エアが噴射されるが、処理対象物は上下のネットに挟まれているため、噴射エアの圧力によって浮き上がったり、吹き飛ばされたりすることがない。
処理対象物が、例えば、弁当用の醤油パックのようにきわめて軽量な物体であっても、噴射エアの圧力でネットコンベア2上の位置がずれてしまうようなことがないため、確実に除水できる。
【0041】
また、処理対象物は、ユニットカバー3から外に排出されて下流側のテンションローラ22,22の位置まで達すれば、ネット7の押さえ力から開放され、次工程へ搬送される。ネット7の押さえ力から開放される位置は、上記ユニットカバー3の外であって、噴射エアの圧力の影響がないところなので、ネット7から開放された処理対象物は、ネットコンベア2上の位置を保ったまま次工程へ送られることになる。
したがって、搬送中の位置ずれによる混乱もなく、次工程でもスムーズな連続処理ができる。
【0042】
なお、この第1実施形態では、ユニットカバー3の上流側から、ネットコンベア2とネット7とで処理対象物が挟まれるようにしているが、この発明の押さえネットは、少なくとも圧縮エア噴射領域に設けられればよい。圧縮エア噴射領域とは、圧縮エアの圧力が届く領域であって、噴射エアの圧力によって処理対象物の位置がずれてしまう可能性のある領域となる。この第1実施形態では、上下のエア噴射ユニット4,5から圧縮エアが噴射されるユニットカバー3内を、圧縮エア噴射領域としている。
【0043】
また、上記したようにこの装置では、上記ガイドローラ12,12,22,22、及びテンションローラ13,13,23,23の上下位置を調整することで、ガイドローラ12,22と搬送面2aとの隙間d1及びネット7のテンションを調整できる。そして、上記隙間d1とネット7のテンションとを調整することによって処理対象物に対する押さえ力が調整できる。
【0044】
ネット7のテンションが小さければ、ネット7の下側部分が大きく弛んでその重量が処理対象物に作用するので、押さえ力が大きくなり、ネット7のテンションが大きければ、弛みが少なくなり押さえ力も小さくなる。さらに、上記ガイドローラ12,12、22,22の高さ位置によって、ネット7の弛んだ部分の重量の、処理対象物に対する作用も変わり、押さえ力が変化する。
この第1実施形態では、上記ガイドローラ12,12、22,22、テンションローラ13,13、23,23、長穴16,16、26,26、17,17、27,27、及びボルト18,18、28,28、19,19、29,29によって、この発明の押さえ力調整手段を構成している。
【0045】
そして、上記押さえ力は、処理対象物の種類によって調整することが好ましい。
例えば、ガイドローラ12,12、22,22と搬送面2aとの間隔d1を大きめにしてテンションを小さめにすることで、大きさや形状などにばらつきがある処理対象物が連続的に搬送される場合にも対応し、処理対象物を強い力で確実に抑えることができる。
ただし、あまり強い力で押さえつけることで処理対象物が変形したり、破損してしまったりする場合もある。その場合には、上記ガイドローラ12,12及び22,22の高さ位置やテンションを調整して押さえ力を弱くしなければならない。
したがって、処理対象物の形状や材質などによって適度な押さえ力を設定する必要がある。
【0046】
図4〜6に示す第2実施形態は、この発明の押さえ部材として押さえバー31を用いた除水装置で、それ以外の構成は図9に示す従来の装置と同じである。したがって、従来と同じ構成要素には図9と同じ符号を用い、以下の説明にも図9を参照する。
図4は、第2実施形態の搬送手段であるネットコンベア2付近の正面図であるが、ネットコンベア2の搬送面2aを一点鎖線で示し、その下方を省略している。
また、図5は、上側のエア噴射ユニット4の底面側から、押さえバー31を取り付けたフレーム32を見た図であるが、エア噴射ユニット4に取り付けられているエア噴射ノズル6は省略している。
【0047】
この第2実施形態では、図4,5に示すようにエア噴射ユニット4の底面に、フレーム32が固定されている。このフレーム32は、図5に示すように、棒状の一対の第1フレーム部材33,33と、チャネル状の一対の第2フレーム部材39,39とが組み合わされて長方形に構成されたもので、この長方形の長手方向を搬送方向と平行にしている。
また、各第1フレーム部材33の両端には支持片34a,35aを設け、これら支持片34a,35aには、図4に示すように、上記第2フレーム部材39,39がその断面が下方向内向きになるように固定されている。
このようにした第2フレーム部材39,39間には、複数の押さえバー31の両端が固定されている。
【0048】
なお、一対の第1フレーム部材33,33は、同じ構成を備えているので、以下では、特に必要がない限り、一方の第1フレーム部材33のみを説明する。
上記第1フレーム部材33は、長手方向において分断された第1チャネル部材34及び第2チャネル部材35からなり、第1チャネル部材34に対して、第2チャネル部材35の長さを短くしている。
また、上記のように分断された第1チャネル部材34及び第2チャネル部材35は、それらの対向面間に間隔を保つようにしている。そして、それら対向面側をチャネル状の連結部材36に挿入している。
【0049】
上記第1フレーム部材33では、上記連結部材36に対して上記第1チャネル部材34は固定されるが、第2チャネル部材35は摺動可能に挿入される。そして、第2チャネル部材35は、上記第1チャネル部材34との対向間隔、及び連結部材36に形成された長穴36a,36b(図4参照)の範囲内でフレーム32の長手方向に移動可能であるとともに、その移動位置をボルト37,38で固定できるようにしている。
【0050】
上記ボルト37,38は、連結部材36及び第2チャンネル部材35を貫通し、その先端に図示しないナットを締め付けることによって、連結部材36に第2チャネル部材35を固定するようにしている。ただし、第2チャネル部材35の一方の片にねじ穴を形成し、そのねじ穴で上記ボルト37,38の先端をねじ込むようにしてもよい。
このようにした連結部材36の長穴36a,36bを、ユニットカバー3よりも搬送方向上流側に位置させている。つまり、上記長穴36a,36bは、ユニットカバー3の外側に位置することになる。
【0051】
上記押さえバー31は、例えば直径が2[mm]のステンレス製ワイヤーの芯材31aに、滑性に優れたフッ素系樹脂製のチューブ31bを被せたものである。芯材31aの長さを、チューブ31bの長さをよりも長くして、チューブ31bから芯材31aの両端を突出させている。この突出部分を、上記第2フレーム部材39,39に固定している。
なお、上記押さえバー31の全長を、フレーム32の長手方向の長さよりも長くしている。
したがって、押さえバー31は直線状の第1フレーム部材33に対して撓んだ状態で第2フレーム部材39,39間に固定されることになる。
【0052】
また、上記第2フレーム部材39は一対の支持片39a,39bを備え、これら支持片39a,39bには図示しない小孔が形成されている。上記押さえバー31の端部に突出させた芯材31aを、上記支持片39a,39bに形成された2つの小孔に挿入することによって、押さえバー31の両端を第2フレーム部材39,39に結合している。このように、芯材31aを上記支持片39a,39bの小孔に挿入すれば、撓み状態の押さえバー31はその弾性によって伸びる方向の力を発揮し、その力によって芯材31aが小孔から抜けるのを防止できる。
【0053】
上記のように、押さえバー31は、両端に突出した芯材31a,31aが上記小孔に挿入されて一対の第2フレーム部材39,39間に固定されているので、その中間部分を強制的に撓ませれば、第2フレーム部材39,39から引き抜いてフレーム32から取り外すことができる。
フレーム32から取り外した押さえバー31は、洗浄したり交換したりすることができる。また、フレーム32から外した押さえバー31のチューブ31bだけを洗浄したり、チューブ31bを交換したりすることもできる。
【0054】
また、この第2実施形態のように押さえバー31を交換可能にする場合にも、第2フレーム部材39,39は図示のようなチャネル状に限定されない。第2フレーム部材39は、棒部材やパイプ状であっても、上記芯材31aを挿入する2つの小孔を設ければ、これらの小孔に対して芯材31aを抜き差しすることで押さえバー31の着脱を容易にできる。
ただし、押さえバー31とフレーム32とは、着脱可能にされなくてもよい。例えば、上記芯材31aを、溶接などで第2フレーム部材39,39に結合してもよい。
なお、この第2実施形態では、第1フレーム部材33及び第2フレーム部材39にチャネル状の部材を用いることでフレーム32の軽量化を図っている。
【0055】
また、先に説明した上側のエア噴射ユニット4は、ハンドル41を回すことによって、ユニットカバー3に対する上下位置を調整可能にしている(図4参照)。そして、上記したようにエア噴射ユニット4にはフレーム32が固定されている。そのため、エア噴射ユニット4の上下移動によって、フレーム32及び押さえバー31も上下に移動する。
したがって、ハンドル41を介してエア噴出ユニット4を上下に移動させる機構が、この発明の押さえ部材の高さ調整手段となる。このようにした高さ調整手段によって、押さえバー31と搬送面2aとの間隔d2を調整できるようにしている。
【0056】
さらに、押さえバー31は、搬送方向xの上流側から順にA,B,Cの3つの角が形成されている。上記角B,C間は、搬送面2aとほぼ平行に保たれ、この部分で搬送面2a上の処理対象物40を押さえるようにしている。
また、上記ユニットカバー3の上流側に位置する押さえバー31の端部が第2フレーム部材39に固定されることによって、押さえバー31の上記端部側が上方へ向かって傾斜している。このように押さえバー31が傾斜しているので、搬送面2aとの間隔が上流に向かって拡大する。したがって、搬送面2aに導かれる処理対象物は、上記傾斜部から搬送面2aとの間隔d2にスムーズに導入されることになる。
【0057】
ただし、上記角A,B間をこの発明の進入ガイド部31cとし、この進入ガイド部31cの搬送面2aに対する傾斜角度θを角Aより上流側の傾斜角度よりも小さくして、処理対象物がよりスムーズに導入されるようにしている。
この進入ガイド部31cの傾斜角度θが大き過ぎた場合、押さえ部材に衝突した処理対象物にはそれを押し戻す方向の力が大きく作用してしまう。反対に角度θが小さすぎた場合にも、処理対象物が狭い間隔d2に進入しにくくなってしまう。そのため、上記角度θを適切に設定する必要があるが、進入ガイド部31cの角度θを適切に設定するため、ユニットカバー3の上流側においては、押さえバー31に二つの角A,Bを形成しているのである。
【0058】
また、ユニットカバー3より下流側においても、上流側と同じように押さえバー31の端部側が上方に向かって傾斜し、搬送面2aとの間隔が下流に向かって拡大している。したがって、押さえバー31の押さえ範囲から出て行く処理対象物の姿勢が安定する。
そして、処理対象物が出て行く側では、押さえバー31の傾斜角度が、処理対象物の移動に影響を与えないので、その角度を調整する必要はなく、下流側では1つの角Cのみを形成している。
【0059】
なお、上記間隔d2に導入される処理対象物の大きさや形状が様々なので、上記進入ガイド部31cと搬送面2aとの角度θを調整できるようにしているが、その具体的な構成は図6の模式図に示したとおりである。
図6において、点P1,P2を、第1フレーム部材33の両端と押さえバー31との結合点とする。
【0060】
この図6に示す状態から、結合点P1を点P2側に移動させると、押さえバー31に対して第1フレーム部材33の長さが短くなるので、進入ガイド部31cが搬送面2aに対して立ち上がり、角度θが大きくなる。
なお、結合点P1を点P2側へ移動させるとは、図4に示す連結部材36のボルト37,38を緩めて、第2チャネル部材35を第1チャネル部材34に近づけることである。
【0061】
また、上記連結部材36のボルト37,38を緩めて第2チャネル部材35を第1チャネル部材34から離して第1フレーム部材33の長さを長くすれば、上記進入ガイド部31cと搬送面2aとの角度θは小さくなる。
このように、上記連結部材36の長穴36a,36bの部分で第1フレーム部材33の全長を調整することによって上記進入ガイド部31cの角度θを調整することができる。そして、上記角度θを、処理対象物の形状や大きさに応じて設定すれば、処理対象物をよりスムーズに押さえバー31と搬送面2aとの間に進入させることができる。
上記連結部材36の長穴36a,36b及びボルト37,38が、この発明の角度調整手段を構成している。
【0062】
なお、上記長穴36a,36bでの調整範囲は、第1フレーム部材33の全長に比べればわずかであり、上記角度調整によって押さえバー31の上記角B,C間と搬送面2aとの平行が崩れることはほとんどない。
そして、この第2実施形態では、上記したように角度調整手段を構成する連結部材36の長穴36a,36bの部分をユニットカバー3の外側に設けているので、進入ガイド部31cの角度調整の際に、いちいちユニットカバー3を開けなくてもよい。
また、ユニットカバー3を閉じた状態では、進入ガイド部31cと搬送面2aとが対向しているので、上記角度θが分かりやすく、ユニットカバー3を開いた状態のときよりも角度調整がやりやすい。
【0063】
このような第2実施形態の除水装置において、軽量の処理対象物40が搬送面2aに乗せられると、処理対象物40は上流側から搬送され、押さえバー31と搬送面2aとの間隔d2内に進入し、処理対象物40は上部を押さえバー31で押さえられた状態でユニットカバー3内に進入する。この第2実施形態でも、圧縮エアの噴射領域であるユニットカバー3内で押さえバー31で押さえられるので、処理対象物40は搬送面2aから浮き上がったり吹き飛ばされたりすることがない。そのため、処理対象物40は位置ずれせずに搬送され、確実に除水される。また、初期位置からずれることなく、次工程へ搬送される。
【0064】
なお、第2実施形態では、押さえバー31が移動しないので、押さえバー31と処理対象物40とは相対移動することになる。そのため、押さえバー31が処理対象物40に接触した場合には、接触面に摩擦抵抗が発生するが、この実施形態では、押さえバー31の表面が滑性に優れたフッ素系樹脂製のチューブ31bで構成されているので、押さえバー31と処理対象物とが接触しても、その摩擦抵抗がネットコンベア2による搬送の妨げになることはない。
【0065】
ただし、押し付け力を大きくし過ぎれば、摩擦抵抗が大きくなって、処理対象物をスムーズに搬送できない場合もある。そのため、押さえバー31を処理対象物に接触させる場合には、上記高さ調整手段によって押さえバー31の高さ位置を調整し、できるだけ押さえ力を小さくすることが必要である。
また、上記押さえバー31と搬送面2aとの間隔d2を処理対象物の高さよりもわずかに大きくして、常時は処理対象物40の上面が押さえバー31と接触しないようにし、処理対象物40が噴射エアの圧力で姿勢を崩しそうになったときにのみ、押さえバー31に接触して、位置ずれを防止するようにしてもよい。
【0066】
なお、この第2実施形態では、押さえ部材として、ワイヤー状の押さえバー31を用いているが、搬送方向に長さを有する押さえ部材の形態はこれに限らない。
上方からの噴射エアが通過する隙間が確保されれば、ワイヤー状の部材に替えて、帯状や板状の押さえ部材を用いてもよい。そして、処理対象物との接触面は、摩擦係数の小さい部材で構成されることが好ましい。
また、上記帯状の部材に、その長さ方向に間隔を保って複数のローラを配置して、移動する処理対象物の上面に接触したローラが転動しながら押さえ力を発揮するようにしてもよい。
【0067】
図7,8に示す第3実施形態は、この発明の搬送手段が、上記第2実施形態と異なるが、その他の構成は図4に示す第2実施形態と同じである。したがって、第2実施形態と同じ構成要素には、図4と同じ符号を用い、以下には図4及び9を参照しながら、第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0068】
この第3実施形態の搬送手段は、図7に示すネット42を用いたネットコンベアである。このネット42は、矩形波状に折り曲げられた複数の線材を組み合わせて形成されたものである。ただし、平面状の搬送面42aから、上方の押さえバー31に向かって突出した複数の突起部42bが形成されている。これら突起部42bは、ネット42の幅方向に所定の間隔を保って複数設けられるとともに、搬送方向においても所定の間隔を保っている。
なお、上記突起部42bはネット42を構成する線材を折り曲げて形成されている。ただし、突起部42bは、線材を折り曲げて形成するだけでなく、ネット42とは別部材で構成してもよい。
【0069】
このようなネット42を用いたコンベアでは、図8に示すように上記突起部42bが、軽い小物体43をその後方から押して搬送できる。また、突起部42bを覆うようにしてネット42上にのせられたキャップ44を引っ張るようにして搬送し、押さえバー31と搬送面2aとの間に押し込むことができる。
なお、上記突起部42bの形状や間隔は、処理対象物の大きさや形状などによって最適なものを選択すればよい。
また、この第3実施形態のネット42は、第1実施形態のネットコンベア2の代わりに用いることもできる。
【0070】
上記のように第1〜3実施形態は、いずれも軽量な処理対象物が、圧縮エアの圧力によって搬送面から浮き上がったり位置ずれしたりしない除水装置であるが、これらの装置は塵を吹き飛ばす除塵装置としても用いることができる。その場合も、軽量の処理対象物が、浮き上がったり位置ずれしたりしないので、効率の良い除塵ができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
軽量の、容器や機械部品などの水滴や塵を吹き飛ばすのに最適である。
【符号の説明】
【0072】
2 (搬送手段)ネットコンベア
2a 搬送面
6 エア噴射ノズル
7 (押さえ)ネット
12,22 (押さえ力調整手段)ガイドローラ
13,23 (押さえ力調整手段)テンションローラ
16,17,26,27 (押さえ力調整手段)長穴
28,29 (押さえ力調整手段)ボルト
31 (押さえ部材)押さえバー
31c 進入ガイド部
36a,36b (角度調整手段)長穴
37,38 (角度調整手段)ボルト
41 (高さ調整手段)ハンドル
42 (搬送手段)ネット
42a 搬送面
42b 突起部
θ (進入ガイド部と搬送面との)角度
d1,d2 間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9