【課題】複数階からなる建物内にある多くの施設のうちユーザの意向に沿った施設の情報に絞って表示させることが可能な情報提供システム、サーバ装置、端末用プログラム、及び情報提供方法を提供する。
【解決手段】情報提供サーバ2は、携帯端末1の端末位置情報と、カメラ13により撮像された建物までの距離情報と、当該建物の方位情報とから特定された建物位置情報に基づいて建物情報を検索し、当該建物情報が示す建物の複数階のうち距離情報及び仰角情報から特定される高さに対応する階における一部平面範囲を建物位置情報、距離情報、及び画角情報に基づいて特定し、当該一部平面範囲にある施設の施設情報を携帯端末1の画面に表示させる。
前記提示手段は、前記施設特定手段により特定された施設の数が所定数以上である場合、前記携帯端末のカメラのズーム倍率を上げることを促す情報を前記携帯端末へ送信することを特徴とする請求項2に記載の情報提供システム。
前記提示手段は、前記仰角情報から特定される高さに対応する階において前記一部平面範囲の全平面範囲に占める割合が所定割合以上である場合、前記携帯端末のカメラのズーム倍率を上げることを促す情報を前記携帯端末へ送信することを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
複数の建物のそれぞれの建物位置情報及び建物情報を建物毎に対応付けて記憶するサーバ装置との間でネットワークを介して通信可能な携帯端末に備えられるコンピュータに、
前記携帯端末のカメラにより撮像された建物が表れる撮像画像を当該携帯端末の画面に表示させるステップと、
前記建物が撮像されたときの前記携帯端末から前記建物までの距離を示す距離情報を取得するステップと、
前記建物が撮像されたときの前記携帯端末を基準とする前記建物の方位を示す方位情報を取得するステップと、
前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の仰角を示す仰角情報を取得するステップと、
前記建物が撮像されたときの前記携帯端末のカメラの水平画角を示す画角情報を取得するステップと、
前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の位置を示す端末位置情報を取得するステップと、
前記距離情報、前記方位情報、前記仰角情報、前記画角情報、及び前記端末位置情報を含む情報取得要求を前記サーバ装置へ送信するステップと、
前記情報取得要求に応じて、前記端末位置情報、前記距離情報、及び前記方位情報に基づいて前記サーバ装置により特定された建物位置情報に対応付けられた建物情報が示す建物の複数階のうち、前記距離情報及び前記仰角情報から特定される高さに対応する階における一部平面範囲であって、前記建物位置情報、前記距離情報、及び前記画角情報に基づいて特定される一部平面範囲にある施設の情報を当該サーバ装置から受信するステップと、
前記受信された施設の情報を前記撮像された建物に関連付けて前記携帯端末の画面に表示させるステップと、
を実行させることを特徴とする端末用プログラム。
複数の建物のそれぞれの建物位置情報及び建物情報を建物毎に対応付けて記憶するサーバ装置との間でネットワークを介して通信可能な携帯端末に備えられるコンピュータに、
前記携帯端末のカメラにより撮像された建物が表れる撮像画像を当該携帯端末の画面に表示させるステップと、
前記建物が撮像されたときの前記携帯端末から前記建物までの距離を示す距離情報を取得するステップと、
前記建物が撮像されたときの前記携帯端末を基準とする前記建物の方位を示す方位情報を取得するステップと、
前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の仰角を示す仰角情報を取得するステップと、
前記建物が撮像されたときの前記携帯端末のカメラの水平画角を示す画角情報を取得するステップと、
前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の位置を示す端末位置情報を取得するステップと、
前記端末位置情報、前記距離情報、及び前記方位情報に基づいて、前記建物の位置を示す建物位置情報を特定するステップと、
前記距離情報、前記仰角情報、前記画角情報、及び前記建物位置情報を含む情報取得要求を前記サーバ装置へ送信するステップと、
前記情報取得要求に応じて、前記建物位置情報に対応付けられた建物情報が示す建物の複数階のうち、前記距離情報及び前記仰角情報から特定される高さに対応する階における一部平面範囲であって、前記建物位置情報、前記距離情報、及び前記画角情報に基づいて特定される一部平面範囲にある施設の情報を当該サーバ装置から受信するステップと、
前記受信された施設の情報を前記撮像された建物に関連付けて前記携帯端末の画面に表示させるステップと、
を実行させることを特徴とする端末用プログラム。
前記コンピュータに、前記サーバ装置から前記カメラのズーム倍率を上げることを促す情報を受信した場合、当該情報を前記携帯端末の画面に表示させるステップを更に実行させることを特徴とする請求項7または8に記載の端末用プログラム。
前記コンピュータに、前記サーバ装置から前記カメラのズーム倍率を上げることを促す情報を受信した場合、ズーム倍率を上げる指令を前記カメラへ出力することでズーム倍率を上げるように制御するステップを更に実行させることを特徴とする請求項7または8に記載の端末用プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、モバイル機器のカメラにより撮像される建物が、複数階からなる大型の商業施設(例えば、ショッピングモールやデパート)や複合施設である場合、当該建物内にある多くの施設の情報をモバイル機器上に表示したのでは、ユーザにとって煩雑である。このような場合、従来の技術では、建物内にある多くの施設のうち、ユーザの意向に沿った施設の情報に絞ってモバイル機器上に表示することは困難である。
【0005】
そこで、本発明は、以上の不都合等に鑑みてなされたものであり、複数階からなる建物内にある多くの施設のうちユーザの意向に沿った施設の情報に絞って表示させることが可能な情報提供システム、サーバ装置、端末用プログラム、及び情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、携帯端末から当該携帯端末のカメラにより撮像された建物までの距離を示す距離情報を取得する距離取得手段と、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末を基準とする前記建物の方位を示す方位情報を取得する方位取得手段と、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の仰角を示す仰角情報を取得する仰角取得手段と、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末のカメラの水平画角を示す画角情報を取得する画角取得手段と、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の位置を示す端末位置情報を取得する端末位置取得手段と、前記端末位置情報、前記距離情報、及び前記方位情報に基づいて、前記建物の位置を示す建物位置情報を特定する建物位置特定手段と、前記建物位置特定手段により特定された建物位置情報に基づいて、複数の建物のそれぞれの建物位置情報及び建物情報を建物毎に対応付けて記憶する記憶手段から建物情報を検索する検索手段と、前記検索手段により検索された建物情報が示す建物の複数階のうち前記距離情報及び前記仰角情報から特定される高さに対応する階における一部平面範囲を前記建物位置情報、前記距離情報、及び前記画角情報に基づいて特定する平面範囲特定手段と、前記平面範囲特定手段により特定された一部平面範囲にある施設の情報を前記撮像された建物に関連付けて前記携帯端末の画面に表示させる提示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、複数階からなる建物内にある多くの施設のうちユーザの意向に沿った施設の情報に絞って表示させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報提供システムにおいて、前記建物情報には、前記建物内にある施設のそれぞれの所在階における位置を示す施設位置情報が含まれており、前記階における一部平面範囲と前記施設位置情報とに基づいて、当該一部平面範囲にある施設を特定する施設特定手段を更に備え、前記提示手段は、前記施設特定手段により特定された施設の情報を前記撮像された建物に関連付けて前記携帯端末の画面に表示させることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、複数階からなる建物内にある多くの施設のうちユーザの意向に沿った施設の情報に絞って表示させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の情報提供システムにおいて、前記提示手段は、前記施設特定手段により特定された施設の数が所定数以上である場合、前記携帯端末のカメラのズーム倍率を上げることを促す情報を前記携帯端末へ送信することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、ユーザの意向に沿った施設の施設情報を高精度で表示させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の情報提供システムにおいて、前記提示手段は、前記仰角情報から特定される高さに対応する階において前記一部平面範囲の全平面範囲に占める割合が所定割合以上である場合、前記携帯端末のカメラのズーム倍率を上げることを促す情報を前記携帯端末へ送信することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、ユーザの意向に沿った施設の施設情報を高精度で表示させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、携帯端末から当該携帯端末のカメラにより撮像された建物までの距離を示す距離情報を前記携帯端末から取得する距離取得手段と、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末を基準とする前記建物の方位を示す方位情報を前記携帯端末から取得する方位取得手段と、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の仰角を示す仰角情報を前記携帯端末から取得する仰角取得手段と、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末のカメラの水平画角を示す画角情報を前記携帯端末から取得する画角取得手段と、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の位置を示す端末位置情報を前記携帯端末から取得する端末位置取得手段と、前記端末位置情報、前記距離情報、及び前記方位情報に基づいて、前記建物の位置を示す建物位置情報を特定する建物位置特定手段と、前記建物位置特定手段により特定された建物位置情報に基づいて、複数の建物のそれぞれの建物位置情報及び建物情報を建物毎に対応付けて記憶する記憶手段から建物情報を検索する検索手段と、前記検索手段により検索された建物情報が示す建物の複数階のうち前記距離情報及び前記仰角情報から特定される高さに対応する階における一部平面範囲を前記建物位置情報、前記距離情報、及び前記画角情報に基づいて特定する平面範囲特定手段と、前記平面範囲特定手段により特定された一部平面範囲にある施設の情報を前記携帯端末へ送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、携帯端末から当該携帯端末のカメラにより撮像された建物までの距離を示す距離情報を前記携帯端末から取得する距離取得手段と、前記距離情報、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末を基準とする前記建物の方位を示す方位情報、及び前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の位置を示す端末位置情報に基づいて特定された、前記建物の位置を示す建物位置情報を前記携帯端末から取得する建物位置取得手段と、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の仰角を示す仰角情報を前記携帯端末から取得する仰角取得手段と、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末のカメラの水平画角を示す画角情報を前記携帯端末から取得する画角取得手段と、前記建物位置取得手段により取得された建物位置情報に基づいて、複数の建物のそれぞれの建物位置情報及び建物情報を建物毎に対応付けて記憶する記憶手段から建物情報を検索する検索手段と、前記検索手段により検索された建物情報が示す建物の複数階のうち前記距離情報及び前記仰角情報から特定される高さに対応する階における一部平面範囲を前記建物位置情報、前記距離情報、及び前記画角情報に基づいて特定する平面範囲特定手段と、前記平面範囲特定手段により特定された一部平面範囲にある施設の情報を前記携帯端末へ送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、複数の建物のそれぞれの建物位置情報及び建物情報を建物毎に対応付けて記憶するサーバ装置との間でネットワークを介して通信可能な携帯端末に備えられるコンピュータに、前記携帯端末のカメラにより撮像された建物が表れる撮像画像を当該携帯端末の画面に表示させるステップと、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末から前記建物までの距離を示す距離情報を取得するステップと、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末を基準とする前記建物の方位を示す方位情報を取得するステップと、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の仰角を示す仰角情報を取得するステップと、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末のカメラの水平画角を示す画角情報を取得するステップと、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の位置を示す端末位置情報を取得するステップと、前記距離情報、前記方位情報、前記仰角情報、前記画角情報、及び前記端末位置情報を含む情報取得要求を前記サーバ装置へ送信するステップと、前記情報取得要求に応じて、前記端末位置情報、前記距離情報、及び前記方位情報に基づいて前記サーバ装置により特定された建物位置情報に対応付けられた建物情報が示す建物の複数階のうち、前記距離情報及び前記仰角情報から特定される高さに対応する階における一部平面範囲であって、前記建物位置情報、前記距離情報、及び前記画角情報に基づいて特定される一部平面範囲にある施設の情報を当該サーバ装置から受信するステップと、前記受信された施設の情報を前記撮像された建物に関連付けて前記携帯端末の画面に表示させるステップと、を実行させることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、複数の建物のそれぞれの建物位置情報及び建物情報を建物毎に対応付けて記憶するサーバ装置との間でネットワークを介して通信可能な携帯端末に備えられるコンピュータに、前記携帯端末のカメラにより撮像された建物が表れる撮像画像を当該携帯端末の画面に表示させるステップと、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末から前記建物までの距離を示す距離情報を取得するステップと、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末を基準とする前記建物の方位を示す方位情報を取得するステップと、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の仰角を示す仰角情報を取得するステップと、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末のカメラの水平画角を示す画角情報を取得するステップと、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の位置を示す端末位置情報を取得するステップと、前記端末位置情報、前記距離情報、及び前記方位情報に基づいて、前記建物の位置を示す建物位置情報を特定するステップと、前記距離情報、前記仰角情報、前記画角情報、及び前記建物位置情報を含む情報取得要求を前記サーバ装置へ送信するステップと、前記情報取得要求に応じて、前記建物位置情報に対応付けられた建物情報が示す建物の複数階のうち、前記距離情報及び前記仰角情報から特定される高さに対応する階における一部平面範囲であって、前記建物位置情報、前記距離情報、及び前記画角情報に基づいて特定される一部平面範囲にある施設の情報を当該サーバ装置から受信するステップと、前記受信された施設の情報を前記撮像された建物に関連付けて前記携帯端末の画面に表示させるステップと、を実行させることを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の端末用プログラムにおいて、前記コンピュータに、前記サーバ装置から前記カメラのズーム倍率を上げることを促す情報を受信した場合、当該情報を前記携帯端末の画面に表示させるステップを更に実行させることを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項7または8に記載の端末用プログラムにおいて、前記コンピュータに、前記サーバ装置から前記カメラのズーム倍率を上げることを促す情報を受信した場合、ズーム倍率を上げる指令を前記カメラへ出力することでズーム倍率を上げるように制御するステップを更に実行させることを特徴とする。
【0020】
請求項11に記載の発明は、コンピュータにより実行される情報提供方法であって、携帯端末から当該携帯端末のカメラにより撮像された建物までの距離を示す距離情報を取得するステップと、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末を基準とする前記建物の方位を示す方位情報を取得するステップと、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の仰角を示す仰角情報を取得するステップと、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末のカメラの水平画角を示す画角情報を取得するステップと、前記建物が撮像されたときの前記携帯端末の位置を示す端末位置情報を取得するステップと、前記端末位置情報、前記距離情報、及び前記方位情報に基づいて、前記建物の位置を示す建物位置情報を特定するステップと、前記建物位置情報に基づいて、複数の建物のそれぞれの建物位置情報及び建物情報を建物毎に対応付けて記憶する記憶手段から建物情報を検索するステップと、前記検索された建物情報が示す建物の複数階のうち前記距離情報及び前記仰角情報から特定される高さに対応する階における一部平面範囲を前記建物位置情報、前記距離情報、及び前記画角情報に基づいて特定するステップと、前記特定された一部平面範囲にある施設の情報を前記撮像された建物に関連付けて前記携帯端末の画面に表示させるステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数階からなる建物内にある多くの施設のうちユーザの意向に沿った施設の情報に絞って表示させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について詳細に説明する。
【0024】
[1.情報提供システムSの構成及び機能概要]
先ず、
図1等を参照して、本発明の一実施形態に係る情報提供システムSの構成及び概要機能について説明する。
図1は、情報提供システムSの概要構成の一例を示す図である。
図1に示すように、情報提供システムSは、携帯端末1、及び情報提供サーバ2(サーバ装置の一例)等を備えて構成されている。携帯端末1と情報提供サーバ2とは、ネットワークNWを介して通信可能になっている。ネットワークNWは、例えば、電話用回線交換ネットワーク、及びインターネットに接続するためのデータ通信用パケット交換ネットワークを含む。なお、
図1の例では、1つの携帯端末1を示しているが、実際には複数の携帯端末が存在する。
【0025】
(1−1.携帯端末1の構成及び機能概要)
携帯端末1は、無線通信部11、GPS(Global Positioning System)受信機12、カメラ13、距離センサ14、方位センサ15、表示・操作部16、記憶部17、及び制御部18等を備え、これらの構成部分はバス19を介して電気的に接続されている。なお、携帯端末1の例として、携帯電話機,スマートフォン,タブレット,携帯ゲーム機等が挙げられる。
【0026】
無線通信部11は、制御部18の制御の下、最寄りの基地局(図示せず)との間で無線通信を行い、当該基地局及びネットワークNWを介して情報提供サーバ2との間で通信を行う。GPS受信機12は、GPS衛星から出力される航法電波を受信し、携帯端末1の現在位置(緯度及び経度)を検出し、検出した位置を示す端末位置情報を制御部18へ出力する。
【0027】
カメラ13は、例えば、レンズ及び撮像素子等から構成され、カメラ13の画角に収まる範囲内の実空間を撮像素子により連続的に撮像し、撮像した撮像画像(RGB画像)を制御部18へ出力する。ここで、画角は、垂直画角と水平画角からなり、焦点距離(レンズの主点から焦点までの距離)により定まる。垂直画角は撮像範囲(撮像素子に写る範囲)の上端から下端までの画角であり、水平画角は撮像範囲(撮像素子に写る範囲)の左端から右端までの画角である。撮像素子として、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が用いられる。なお、カメラ13は、焦点距離を変更可能な光学ズーム機能を有することが望ましい。光学ズーム機能によれば、ズーム倍率の変化に応じてカメラ13の画角は変化する。例えばズーム倍率が大きいほど画角は狭くなる。
【0028】
距離センサ14は、投射したレーザまたは赤外線が物体を往復する時間から距離を撮像画像の画素毎に計測(つまり、TOF(Time Of Flight)方式を用いて計測)し、計測した距離(つまり、携帯端末1から上記物体までの距離)を画素毎に示す距離画像を制御部18へ出力する。ここで、本実施形態で対象とする物体は、カメラ13により撮像される建物等の被写体である。なお、距離センサ14として、2台のカメラの撮像画像の視差に基づいて距離画像を出力するステレオカメラを用いてもよい。
【0029】
方位センサ15は、例えば、3軸地磁気センサ等から構成され、携帯端末1を基準とする上記物体の方位を検出し、検出した方位を示す方位情報を制御部18へ出力する。ここで、物体の方位とは、方位センサ15から見た物体への方角(つまり、携帯端末1の画面と反対側の面が向いている方角)であり、当該方位は、カメラ13により物体が撮像されているときの当該カメラ13のレンズの光軸方向を示す。
【0030】
表示・操作部16は、携帯端末1のユーザの指やペン等による操作指示を受け付ける入力機能と、画像及びテキスト等を表示する画面を有するタッチパネルとを備える。表示・操作部16は、ユーザからの操作指示を受け付け、当該操作指示を制御部18に与える。
【0031】
記憶部17は、例えば、不揮発性メモリ等から構成され、OS(Operating System),及びアプリケーション等を格納する。アプリケーションは、アプリケーションプログラム(本発明の端末用プログラムを含む)等をメモリに展開して実行可能な状態にインストールされたアプリケーションインスタンスである。このようなアプリケーションには、例えば、物体認識アルゴリズム及びAR(Augmented Reality:拡張現実)アルゴリズム等が規定される。
【0032】
物体認識アルゴリズムにより、撮像画像から建物等の物体を認識することができる。また、ARアルゴリズムにより、撮像画像に表れる建物等の物体に対して付加情報を関連付けてユーザに提示することができる。なお、アプリケーションプログラムは、所定のサーバから携帯端末1にダウンロードされてもよいし、CD、DVD等の記録媒体に記録(つまり、コンピュータにより読み取り可能に記録)されており、当該記録媒体から読み込まれて記憶部17に格納されるようにしてもよい。
【0033】
制御部18は、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),及びRAM(Random Access Memory)等から構成され、CPUがOS上で動作するアプリケーションにしたがって各種処理を実行する。
【0034】
具体的には、制御部18は、カメラ13から撮像画像を取得するとともに、距離センサ14から距離画像をそれぞれ取得する。なお、距離画像の座標系は撮像画像の座標系に合せられ、撮像画像(距離画像)を構成する各画素は、座標(x,y)、色情報(R,G,Bの各輝度値)、及び距離情報を持つことになる。制御部18は、取得された撮像画像を表示・操作部16の画面に表示させる。このとき、撮像画像に建物が表れる場合、制御部18は、物体認識アルゴリズムにより当該建物を認識する。ここで認識される建物には、個人住宅(戸建)、集合住宅(例えば、マンションやアパート)、店舗、商業施設(例えば、ショッピングモールやデパート)、及び複合施設等が含まれる。そして、制御部18は、当該建物が撮像(認識)されたときの距離情報を取得する。ここで、距離情報は、距離センサ14から撮像画像に表れる建物までの距離を示す。距離情報の例として、物体認識アルゴリズムにより認識された建物の表面(つまり、光の反射面)上の所定画素の距離情報が挙げられる。所定画素は、例えば、認識された建物の表面上の何れかの点(例えば、重心点や輪郭上の点)の画素である。また、画面の中央部分を含む領域に表れる建物が認識されるように構成する場合、上記所定画素は、画面に表示されている撮像画像の中心点(言い換えれば、画面の中心点)とするとよい。
【0035】
さらに、制御部18は、上記建物が撮像(認識)されたときの方位情報を方位センサ15から取得し、上記建物が撮像(認識)されたときの携帯端末1の仰角を示す仰角情報を取得し、上記建物が撮像(認識)されたときのカメラ13の水平画角を示す画角情報を取得し、上記建物が撮像(認識)されたときの端末位置情報をGPS受信機12から取得する。ここで、携帯端末1の仰角とは、カメラ13のレンズの光軸(視線)と水平面とのなす角度である。このような仰角は、公知の種々の技術を用いることで算出できるが、例えば加速度センサにより検出された重力加速度に基づいて算出することができる。なお、カメラ13が焦点距離を変更可能な光学ズーム機能を有する場合、制御部18は、当該光学ズーム機能を有することを示すズーム機能有情報を取得してもよい。
【0036】
そして、制御部18は、上記建物が撮像されたときの距離情報、当該建物が撮像されたときの方位情報、当該建物が撮像されたときの仰角情報、当該建物が撮像されたときの画角情報、及び当該建物が撮像されたときの端末位置情報を含む情報取得要求を、無線通信部11及びネットワークNWを介して情報提供サーバ2へ送信する。ここで、情報取得要求には、ズーム機能有情報が含まれてもよい。なお、撮像画像から複数の建物が認識された場合、それぞれの建物の表面上の所定画素の距離情報が情報提供サーバ2へ送信されてもよいし、或いは、認識された複数の建物のうちユーザにより指定された1つの建物の表面上の所定画素の距離情報が情報提供サーバ2へ送信されてもよい。
【0037】
そして、制御部18は、上記情報取得要求に応じて情報提供サーバ2から送信された施設情報を無線通信部11を介して取得し、ARアルゴリズムにより、当該施設情報を、撮像された建物に関連付けて画面に表示させる。特に、本実施形態では、複数階からなる建物(商業施設、または複合施設)内にある(存在する)多くの施設のうちユーザの意向に沿った施設の施設情報に絞って画面に表示させることができる。
【0038】
(1−2.情報提供サーバ2の構成及び機能概要)
情報提供サーバ2は、通信部21、記憶部22、及びシステム制御部23等を備え、これらの構成部分はバス24を介して電気的に接続されている。なお、情報提供サーバ2は、1台のサーバコンピュータにより構成されてもよいし、複数台のサーバコンピュータにより構成されてもよい。
【0039】
通信部21は、システム制御部23の制御の下、ネットワークNWを介して携帯端末1との間で通信を行う。記憶部22(記憶手段の一例)は、例えば、ハードディスクドライブ等から構成され、OS及びアプリケーション、及び各種データ等を格納する。このようなアプリケーションには、例えば、物体認識アルゴリズム等が規定される。各種データには、地図データが含まれる。地図データには、建物及び道路等を表す地図画像等が含まれ、地図画像における各地点は緯度及び経度に対応付けられる。また、記憶部22には、建物情報データベース(DB)221が構築されている。なお、建物情報データベース221は、情報提供サーバ2とは異なる他のサーバに備えられてもよい。
【0040】
建物情報データベース221は、複数の建物のそれぞれの建物位置情報、及び建物情報等を建物毎に対応付けて登録(記憶)する。ここで、建物位置情報は、建物の平面(底面)上の何れか任意の1点または複数点の緯度及び経度である。任意の1点とは、例えば、建物の平面上の重心点、或いは登録者のくせ等に起因して重心点から少しずれた点である。任意の複数点とは、例えば、建物の平面上の隅(角)の点(例えば、建物が長方形状である場合、重心点+4隅の点)である。建物情報には、建物ID、建物名、所在地(住所)、築年数、階数、及び建物種別等の情報が含まれる。建物IDは、建物毎に一意に付与された識別情報である。建物種別は、例えば、個人住宅、集合住宅、店舗、商業施設、複合施設(複合商業施設)の別である。商業施設内には、多くの店舗(例えば、飲食店、衣服店、書店、文具店、家電量販店、雑貨店)等の施設が存在する。複合施設内には、多くの店舗に加えて、企業のオフィス、診療所、映画館、美術館、劇場、集合住宅等の複数種類の施設が存在する。
【0041】
建物種別が集合住宅である場合、建物情報には、建物ID等に加えて更に、例えば、戸数、及び各戸(各部屋)の固有情報が含まれる。戸の固有情報には、例えば、所在階、部屋番号、間取り、及び取引対象有無等の情報が含まれる。取引対象有の戸は、取引対象として登録された物件(以下、「取引対象物件」という)である。取引対象有の戸(つまり、取引対象物件)の固有情報には、さらに、取引種別、取引条件情報、及び取扱い不動産会社情報等の物件情報が含まれる。取引種別は、例えば、賃貸物件、新築物件、中古物件の別である。賃貸物件は貸出中の取引対象物件である。新築物件または中古物件は売出中の取引対象物件である。また、賃貸物件の取引条件情報には、賃料、敷金、礼金、及び契約期間等の情報が含まれる。また、中古物件の取引条件情報には、価格、管理費、及び修繕積立金等の情報が含まれる。また、取扱い不動産会社情報には、不動産会社名、所在地、電話番号、メールアドレス、及び営業時間等の情報が含まれる。
【0042】
建物種別が商業施設または複合施設である場合、建物情報には、建物ID等に加えて更に、例えば、建物のサイズ(高さ、幅、奥行き)、建物の各階の平面図(各階の全平面範囲において施設が占有する区画を表した見とり図)、各階の地面から天井までの高さ、各階の施設のそれぞれの施設情報及び施設位置情報等が含まれる。ここで、施設情報には、施設ID、施設名、施設への連絡先(例えば、電話番号、メールアドレス)、及び施設の外観写真の他、施設の種類に応じた情報等が含まれる。施設IDは、施設毎に一意に付与された識別情報である。施設の種類に応じた情報の例として、営業時間、診察時間、開演及び終演時間等が挙げられる。また、施設が集合住宅である場合、施設の種類に応じた情報には、戸数、及び各戸の固有情報(例えば、部屋番号、間取り、及び取引対象有無等であり、取引対象有の場合、取引種別、取引条件情報、及び取扱い不動産会社情報等)が含まれる。施設位置情報は、施設の所在階における位置を示す。この位置は、例えば、施設の所在階における平面(フロア)上の何れか任意の1点(例えば、施設の平面上の重心点)であり、建物の特定位置(例えば、建物の隅または中心であり、緯度及び経度に対応付けられる)を原点とする建物座標系(建物毎に異なる座標系)における座標(x,y)で表されてもよいし、緯度及び経度で表されてもよい。
【0043】
システム制御部23は、CPU,ROM,及びRAM等から構成され、CPUがOS上で動作するアプリケーションにしたがって各種処理を実行する。
図2は、システム制御部23の機能ブロックの一例を示す図である。
図2に示すように、システム制御部23は、受信情報取得部231、建物位置特定部232、建物情報検索部233、平面範囲特定部234、施設特定部235、及び情報取得・提示部236等として機能する。ここで、受信情報取得部231は、本発明における距離取得手段、方位取得手段、仰角取得手段、画角取得手段、端末位置取得手段、及び建物位置取得手段等の一例である。建物位置特定部232は、本発明における建物位置特定手段の一例である。建物情報検索部233は、本発明における検索手段の一例である。平面範囲特定部234は、本発明における平面範囲特定手段の一例である。施設特定部235は、本発明における施設特定手段の一例である。情報取得・提示部236は、本発明における提示手段及び送信手段の一例である。
【0044】
受信情報取得部231は、携帯端末1から送信され、通信部21により受信された情報取得要求等の各種要求(リクエスト)から処理に必要な情報を取得する。なお、情報取得要求から、上述した距離情報、方位情報、仰角情報、画角情報、及び端末位置情報が取得される。なお、情報取得要求にズーム機能有情報が含まれる場合、当該情報取得要求からズーム機能有情報が取得される。
【0045】
建物位置特定部232は、受信情報取得部231により取得された端末位置情報、距離情報、及び方位情報に基づいて、撮像された建物の位置を示す建物位置情報を特定する。例えば、建物位置特定部232は、端末位置情報が示す緯度及び経度、距離情報が示す距離、及び方位情報が示す方位を、建物の位置を算出するための計算式に代入して当該建物の緯度及び経度を算出することで建物位置情報を特定する。或いは、建物位置特定部232は、端末位置情報が示す位置から、方位情報が示す方位で且つ距離情報が示す距離にある地点の緯度及び経度を地図データから抽出することで建物位置情報を特定してもよい。
【0046】
別の例として、建物位置情報は、携帯端末1により特定されてもよい。この場合、携帯端末1の制御部18が建物位置特定手段として、建物位置特定部232と同様の方法で、端末位置情報、距離情報、及び方位情報に基づいて、撮像された建物の位置を示す建物位置情報を特定する。そして、制御部18は、特定した建物位置情報を含む情報取得要求を、無線通信部11及びネットワークNWを介して情報提供サーバ2へ送信する。
【0047】
建物情報検索部233は、建物位置特定部232により特定された建物位置情報に基づいて、建物情報データベース221から建物情報を検索する。例えば、建物情報検索部233は、建物情報データベース221に登録された建物位置情報を参照して、建物位置特定部232により特定された建物位置情報が示す緯度及び経度を基準として予め設定された検索範囲内に緯度及び経度が含まれる建物があるか否かを判定することにより建物情報を検索する。ここで、検索範囲の一例として、建物位置情報が示す緯度及び経度を中心として半径数m〜十数mの円の範囲が設定される。
【0048】
平面範囲特定部234は、建物情報検索部233により検索された建物情報が示す建物の複数階のうち上記距離情報及び上記仰角情報から特定される高さに対応する階における一部平面範囲を上記建物位置情報、上記距離情報、及び上記画角情報等に基づいて特定する。施設特定部235は、当該階における一部平面範囲と、当該階にある施設の施設位置情報とに基づいて、当該一部平面範囲にある施設を特定する(つまり、当該階における全平面範囲にある全施設から、当該階における一部平面範囲にある一部の施設を絞り込む)。情報取得・提示部236は、施設特定部235により特定された施設の施設情報を建物情報データベース221から取得し、当該取得した施設情報を携帯端末1へ送信(提供)することで上記撮像された建物に関連付けて携帯端末1の画面に表示させる。
【0049】
ここで、
図3〜
図7を参照して、建物情報検索部233により検索された建物情報が示す建物の階における一部平面範囲を特定する方法と、当該一部平面範囲にある施設を特定する方法の具体例について説明する。
図3は、携帯端末1のユーザUと建物Bとの位置関係を建物Bの側方から表した図(側面図)である。
図4〜
図7は、携帯端末1のユーザUと建物Bとの位置関係を建物Bの3階(3F)を上方から表した図(平面図)である。なお、
図3〜
図7に示す建物Bは11階建ての複合施設である。また、
図4〜
図7に示すように、建物Bの3階には、通路と隣接する施設O1〜O17が存在しており、図中、P1〜P17は、それぞれ、施設O1〜O17の施設位置情報が示す位置であり、P0は、建物Bの建物情報に予め含まれる建物位置情報(つまり、建物情報データベース221に登録された建物位置情報)が示す位置である。
図3の例では、平面範囲特定部234は、距離情報が示す距離D(つまり、携帯端末1の端末位置情報が示す位置TPから建物Bの建物位置情報が示す位置BPまでの距離)と、仰角情報が示す仰角φとから高さH(建物位置情報が示す位置BPにおける高さ)を算出(H=Dtanφ)する。そして、平面範囲特定部234は、当該算出により特定された高さHと各階の地面から天井までの高さ(建物情報に含まれる)とから当該高さHに対応する階を特定する。
図3の例では、天井までの高さが高さHよりも高い階(3F〜11F)の中で、最も天井までの高さが低い階(3F)が特定される。
【0050】
そして、
図4及び
図5の例では、平面範囲特定部234は、距離情報が示す距離D(つまり、携帯端末1の端末位置情報が示す位置TPから建物Bの建物位置情報が示す位置BPまでの距離)と、画角情報が示す平面画角θとから幅Wを算出(W=2Dtan2/θ)する。ここで、幅Wは、方位情報が示す方位(つまり、図中、位置TPを始点とし位置BPを終点とする方向ベクトルVの方向)と直交する方向(法線ベクトルの方向)の幅であり、当該幅Wの中心点は位置BPに相当する。そして、平面範囲特定部234は、方位情報が示す方位と直交する方向の一辺(建物位置情報が示す位置BPを通り、且つ幅Wの辺)と、当該方位情報が示す方位と平行する一辺(深度Deの辺)とからなる四角形の範囲を一部平面範囲R1,R2として特定する。一部平面範囲R1,R2の特定では、建物位置情報が示す位置BPの緯度及び経度を基準として当該一部平面範囲R1,R2内の緯度及び経度が特定される。なお、深度Deは、建物Bのサイズに基づき決定(例えば、深度De=建物Bの奥行き)されてもよいし、或いは幅Wに基づき決定(例えば、深度De=幅W)されてもよい。一方、
図4及び
図5とは異なる例である
図6の例では、平面範囲特定部234は、距離情報が示す距離Dと、画角情報が示す平面画角θとから半径r(上記幅Wの1/2)を算出(r=Dtan2/θ)する。そして、平面範囲特定部234は、建物位置情報が示す位置BPを中心する半径rの円(実質的には、当該円のうち建物B内の半円部分)の範囲を一部平面範囲R3として特定する。
【0051】
そして、
図4の例では、施設特定部235は、建物Bの3階における一部平面範囲R1(つまり、当該範囲内の緯度及び経度の群)と、建物Bの3階にある施設O1〜O17の施設位置情報が示す位置P1〜P17との一致比較を行うことで、当該一部平面範囲R1にある施設O1〜O6(つまり、施設位置情報が示す位置P1〜P6が一部平面範囲R1に含まれる施設O1〜O6)を特定する。一方、
図5の例では、施設特定部235は、当該一部平面範囲R2にある施設O4、O7、O8、及びO9を特定する。一方、
図6の例では、施設特定部235は、当該一部平面範囲R3にある施設O1及びO4を特定する。
【0052】
ところで、
図4の例では、建物Bの奥行き方向にある施設の施設情報を提示することができるという利点があるが、平面画角θが広い分、ユーザに提示される施設情報の数が多くなり、場合によってはユーザにとって煩雑になる可能性もある。携帯端末1のカメラ13が上記光学ズーム機能を有する場合、
図7に示すように、カメラ13のズーム倍率を上げることにより同じ位置から平面画角θを狭めることができ、その結果、建物Bの奥行き方向にある施設の施設情報を提示でき、なおかつ、ユーザの意向に沿った施設の施設情報を高精度で提示(言い換えれば、ユーザの意向に沿っている可能性の高い施設の施設情報を提示)することができる。これを効果的に実現するため、例えば、情報取得・提示部236は、施設特定部235により特定された施設の数が所定数(例えば、3つ)以上であるか否かを判定し、当該施設の数が所定数以上である場合、携帯端末1のカメラ13のズーム倍率を上げることを促す情報を携帯端末1へ送信するとよい。或いは、情報取得・提示部236は、上記階において特定された一部平面範囲の全平面範囲(つまり、当該階における全平面範囲)に占める割合が所定割合(例えば、30%)以上であるか否かを判定し、一部平面範囲の全平面範囲に占める割合が所定割合以上である場合、携帯端末1のカメラ13のズーム倍率を上げることを促す情報を携帯端末1へ送信してもよい。
【0053】
[2.情報提供システムSの動作例]
次に、情報提供システムSの動作において実行される携帯端末1及び情報提供サーバ2のそれぞれの処理について説明する。
【0054】
(2−1.携帯端末1の処理)
先ず、
図8を参照して、携帯端末1の制御部18により実行される処理について説明する。
図8は、携帯端末1の制御部18により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0055】
図8に示す処理は、携帯端末1のユーザからの操作指示に応じてアプリケーションが起動することにより開始される。
図8に示す処理が開始されると、制御部18は、カメラ13、距離センサ14、方位センサ15、及びGPS受信機12へ起動指令を与えるとともに、画像表示処理を開始する(ステップS1)。この起動指令により、制御部18には、カメラ13から撮像画像及び画角情報が、距離センサ14から距離画像が、方位センサ15から方位情報が、GPS受信機12から端末位置情報が、それぞれ連続的に入力され(取り込まれ)、さらに、加速度センサにより検出された重力加速度から画角情報が連続的に算出され、例えば、RAMのワーク領域に時系列で(例えば、時刻が付与されて)記憶される。また、画像表示処理において、制御部18は、カメラ13から入力されワーク領域に記憶された撮像画像を所定のフレームレートで表示・操作部16の画面に表示させる。このとき、ユーザは注目する建物に対して携帯端末1を向け、当該建物がカメラ13により撮像されるようにカメラアングルを調整する。
【0056】
次いで、制御部18は、上記ワーク領域に記憶された撮像画像から、物体認識アルゴリズムにより建物が認識されたか否かを判定する(ステップS2)。例えば、画面の中央部分を含む領域に建物の一部(例えば、ガラスや壁等の建物を構成する物)が表れた場合、当該建物が認識される。制御部18は、撮像画像から建物が認識されたと判定した場合(ステップS2:YES)、ステップS3へ進む。なお、制御部18は、例えば、認識された建物の輪郭を強調表示させてもよい。この場合、制御部18は、強調表示された建物がユーザにより指定(例えば、画面(タッチパネル)上でタッチ指示)された場合に、ステップS3へ進むように構成してもよい。一方、制御部18は、撮像画像から建物が認識されないと判定した場合(ステップS2:NO)、ステップS10へ進む。
【0057】
なお、ステップS2において、撮像画像から建物が認識されてステップS3へ進んだ後、処理がステップS2に戻った場合において、前回のステップS2の時点での撮像範囲と今回のステップS2の時点での撮像範囲との間の変更幅(つまり、前回の撮像範囲からの変更幅)が閾値未満である場合には、前回認識された建物と同一の建物は認識されないように構成される。一方、例えば携帯端末1の位置やカメラアングルが変更されたり、或いは、カメラ13のズーム倍率が上げられる(つまり、平面画角θが狭められる)ことによって、前回のステップS2の時点での撮像範囲と今回のステップS2の時点での撮像範囲との間の変更幅が閾値以上になる場合、前回認識された建物と同一の建物が再び認識されてステップS3へ進むことになる。
【0058】
ステップS3では、制御部18は、建物が認識された時点の距離画像における所定画素(例えば、画面の中心点の画素)の距離情報(つまり、撮像画像と同期した距離情報)を上記ワーク領域から取得して情報取得要求にセットする。次いで、制御部18は、建物が認識された時点の方位情報(つまり、撮像画像と同期した方位情報)を上記ワーク領域から取得して情報取得要求にセットする(ステップS4)。次いで、制御部18は、建物が認識された時点の仰角情報(つまり、撮像画像と同期した仰角情報)を上記ワーク領域から取得して情報取得要求にセットする(ステップS5)。次いで、制御部18は、建物が認識された時点の画角情報(つまり、撮像画像と同期した画角情報)を上記ワーク領域から取得して情報取得要求にセットする(ステップS6)。次いで、制御部18は、建物が認識された時点の端末位置情報(つまり、撮像画像と同期した端末位置情報)を上記ワーク領域から取得して情報取得要求にセットする(ステップS7)。別の例として、制御部18は、上記取得した距離情報、方位情報、及び端末位置情報に基づいて、撮像画像に表れる建物の位置を示す建物位置情報を特定してもよい。この場合、制御部18は、特定した建物位置情報を情報取得要求にセットすることになる。また、カメラ13が焦点距離を変更可能な光学ズーム機能を有する場合、制御部18は、光学ズーム機能を有することを示すズーム機能有情報を情報取得要求にセットしてもよい。
【0059】
次いで、制御部18は、距離情報、方位情報、仰角情報、画角情報、及び端末位置情報がセットされた情報取得要求(または、距離情報、仰角情報、画角情報、及び建物位置情報がセットされた情報取得要求)を、無線通信部11及びネットワークNWを介して情報提供サーバ2へ送信する(ステップS8)。この情報取得要求に応じて情報提供サーバ2から施設情報が送信された場合、当該施設情報は無線通信部11により受信される。そして、制御部18は、ARアルゴリズムにより、当該受信された施設情報を撮像画像に表れる建物に関連付けて、表示・操作部16の画面に表示させ(ステップS9)、ステップS2に戻る。ここで、受信された施設情報には、施設ID、施設名、及び施設への連絡先等が含まれるが、このうち、画面には施設名だけが表示され、施設名が指定された場合に、施設詳細情報(例えば、施設の外観写真、及び施設の種類に応じた情報)が表示されるように構成するとよい。
【0060】
図9は、複合施設の一部が携帯端末1のカメラ13により撮像されたときの画面表示例を示す図である。
図9(A)の例は、
図4に示す一部平面範囲R1にある施設O1〜O6が特定された場合の表示例であり、施設O1〜O6の施設名N1〜N6が建物B(複合施設)上に吹き出し表示(つまり、関連付けて表示)されている。施設名N1〜N6には、ハイパーリンクが設定されており、ユーザにより指定可能になっている。一方、
図9(B)の例は、
図7に示す一部平面範囲R4にある施設O1〜O3が特定された場合の表示例であり、施設O1〜O3の施設名N1〜N3が建物B上に吹き出し表示されている。つまり、
図9(B)の例は、
図9(A)の状態からカメラ13のズーム倍率が上げられることでズームされた後の表示例を示す。施設名N1〜N3には、ハイパーリンクが設定されており、ユーザにより指定可能になっている。また、
図9(B)の例では、ユーザから見て手前(近い方)にある施設名N1の文字サイズが最も大きく表示され、ユーザから見て奥(遠い方)にある施設名N3の文字サイズが最も小さく表示されるように制御部18により制御される。これにより、ユーザは、建物Bのどの位置に施設があるかを一目で把握することができる。なお、カメラ13のズーム倍率を上げることを促す情報が無線通信部11により受信された場合、制御部18は、当該ズーム倍率を上げることを促す情報を画面に表示(或いは音声出力)させる。また、該当する施設情報が無い場合、情報提供サーバ2から該当無情報が送信され、表示・操作部16における画面に表示されることになる。
【0061】
一方、ステップS10では、制御部18は、ユーザからの指示を受け付けたか否かを判定する。制御部18は、ユーザからの指示を受け付けた場合(ステップS10:YES)、当該指示に応じた処理を実行する(ステップS11)。例えば、ユーザが、画面に表示された施設名を指定(例えば、画面上でタッチ指示)すると、制御部18は、ユーザからの指示を受け付けたと判定し、ステップS11において、上記指定された施設名に対応する施設IDを含む詳細情報取得要求を、無線通信部11及びネットワークNWを介して情報提供サーバ2へ送信する。この詳細情報取得要求に応じて情報提供サーバ2から施設詳細情報(例えば、施設の外観写真、及び施設の種類に応じた情報)が送信されると、当該施設詳細情報が画面に表示されることになる。
【0062】
或いは、ユーザが、ズーム倍率を上げることを促す情報に応じて、カメラ13のズーム倍率を上げる操作を表示・操作部16を通じて行うと、ステップS10において、制御部18は、ユーザからの指示を受け付けたと判定し、ステップS11において、ズーム倍率を上げる指令をカメラ13へ出力することでズーム倍率を上げるように制御する。これにより、ユーザの意思によりピンポイントで合わせられた施設の施設情報を表示することができる。なお、カメラ13のズーム倍率を上げることを促す情報が無線通信部11により受信された場合、制御部18は、ユーザによってズーム倍率を上げる操作が行われなくても、ズーム倍率を上げる指令をカメラ13へ出力することでズーム倍率を上げる(つまり、自動的にズーム倍率を上げる)ように制御してもよい。この場合、当該ズーム倍率を上げることを促す情報を画面に表示(或いは音声出力)させなくてもよい。一方、制御部18は、ユーザからの指示を受け付けていないと判定した場合(ステップS10:NO)、ステップS12へ進む。
【0063】
ステップS12では、制御部18は、アプリケーションを終了するか否かを判定する。例えば、ユーザからアプリケーションの終了指示が受け付けられた場合、制御部18は、アプリケーションを終了すると判定し(ステップS12:YES)、
図8に示す処理を終了する。一方、制御部18は、アプリケーションを終了しないと判定した場合(ステップS12:NO)、ステップS2に戻る。
【0064】
(2−2.情報提供サーバ2の処理)
次に、
図10を参照して、情報提供サーバ2のシステム制御部23により実行される処理について説明する。
図10は、携帯端末1からの情報取得要求が受信されたときの施設情報提供処理の一例を示すフローチャートである。
【0065】
図10に示す処理は、携帯端末1からの情報取得要求が通信部21により受信された場合に開始される。
図10に示す処理が開始されると、システム制御部23(受信情報取得部231)は、通信部21により受信された情報取得要求から、距離情報、方位情報、仰角情報、画角情報、及び端末位置情報を取得する(ステップS20)。なお、情報取得要求に建物位置情報が含まれる場合、当該情報取得要求から建物位置情報が取得される。また、情報取得要求にズーム機能有情報が含まれる場合、当該ズーム機能有情報が取得される。
【0066】
次いで、システム制御部23(建物位置特定部232)は、ステップS20で取得された端末位置情報、距離情報、及び方位情報に基づいて、撮像された建物の位置を示す建物位置情報を特定する(ステップS21)。例えば、上述したように、システム制御部23(建物位置特定部232)は、端末位置情報が示す緯度及び経度、距離情報が示す距離、及び方位情報が示す方位を、建物の位置を算出するための計算式に代入して当該建物の緯度及び経度を算出することで建物位置情報を特定する。なお、情報取得要求から建物位置情報が取得された場合、当該取得された建物位置情報が特定される。
【0067】
次いで、システム制御部23(建物情報検索部233)は、ステップS21で特定された建物位置情報が示す緯度及び経度を基準として設定した検索範囲内にある建物の建物情報を建物情報データベース221から検索する(ステップS22)。例えば、システム制御部23(建物情報検索部233)は、建物情報データベース221に登録された建物位置情報を参照して、ステップS21で特定された建物位置情報が示す緯度及び経度を中心として設定した検索範囲内に緯度及び経度が含まれる建物の建物情報を検索する。
【0068】
次いで、システム制御部23(建物情報検索部233)は、ステップS22で建物情報が検索されたか(ヒットしたか)否かを判定する(ステップS23)。システム制御部23(建物情報検索部233)は、建物情報が検索されない(ヒットしない)と判定した場合(ステップS23:NO)、ステップS24へ進む。一方、システム制御部23(建物情報検索部233)は、建物情報が検索された(ヒットした)と判定した場合(ステップS23:YES)、ステップS26へ進む。
【0069】
ステップS24では、システム制御部23(建物情報検索部233)は、再検索を行うか否かを判定する。例えば、システム制御部23(建物情報検索部233)は、予め設定された再検索実施有無を確認し、再検索実施有が設定されている場合、再検索実施有の設定と共に設定された再検索上限回数(例えば、2回)以下であるかをさらに確認し、再検索上限回数以下である場合、再検索を行うと判定し(ステップS24:YES)、ステップS25へ進む。一方、システム制御部23(建物情報検索部233)は、再検索実施無が設定されている場合、または再検索実施有が設定されているが再検索上限回数以下でない場合、再検索を行わないと判定し(ステップS24:NO)、ステップS36へ進む。
【0070】
ステップS25では、システム制御部23(建物情報検索部233)は、上記検索範囲を拡張設定する。すなわち、システム制御部23(建物情報検索部233)は、直前の検索範囲(第1の範囲)より広い検索範囲(第2の範囲)を設定する。例えば、ステップS21で特定された建物位置情報が示す緯度及び経度を中心として、半径5mの検索範囲から半径10mの検索範囲に拡張設定される。そして、システム制御部23(建物情報検索部233)は、検索範囲の拡張後、ステップS22に戻り、拡張した検索範囲内の建物の建物情報を建物情報データベース221から検索する。このように、システム制御部23(建物情報検索部233)は、ステップS21で特定された建物位置情報が示す緯度及び経度を基準とする第1の検索範囲内に経度を基準が含まれる建物があるか否かを判定し、当該第1の検索範囲内に経度を基準が含まれる建物がないと判定した場合、当該第1の検索範囲より広い第2の検索範囲を設定し、当該第2の検索範囲内に経度を基準が含まれる建物があるか否かを判定することにより建物の建物情報を検索する。これにより、徐々に検索範囲を広げていくことが可能となり、最初から広い検索範囲で検索することに比べて、検索精度を向上させることができるとともに、検索ヒット数を減らすことができるので以降のステップでの処理時間を短縮することができる。
【0071】
ステップS26では、システム制御部23(建物情報検索部233)は、検索された建物情報を建物情報データベース221から取得する。ステップS22において複数の建物情報が検索(つまり、異なる複数の建物IDがヒット)された場合、システム制御部23は、検索された複数の建物の建物情報のうち、例えば、ステップS21で特定された建物位置情報が示す緯度及び経度からの距離が最も近い建物の建物情報を取得する。或いは、システム制御部23は、検索された複数の建物のそれぞれの建物名を携帯端末1へ送信して携帯端末1の画面に表示させ、当該表示された複数の建物名のうちユーザにより選択された何れか1つの建物名を携帯端末1から取得することで当該建物名に対応する建物情報を取得してもよい。
【0072】
次いで、システム制御部23は、ステップS26で取得された建物情報に含まれる建物種別が商業施設または複合施設であるか否かを判定する(ステップS27)。システム制御部23は、当該建物種別が商業施設または複合施設でないと判定した場合(ステップS27:NO)、建物種別に応じた処理を実行する(ステップS28)。建物種別に応じた処理おいて、例えば、上記建物種別が集合住宅であり、且つ上記建物情報に取引対象物件の固有情報が含まれる場合、当該取引対象物件の固有情報が携帯端末1へ送信される。一方、上記建物種別が集合住宅であり、且つ上記建物情報に取引対象物件の固有情報が含まれない場合、該当無を示す情報が携帯端末1へ送信される。また、上記建物種別が店舗である場合、当該店舗の情報が携帯端末1へ送信される。なお、上記建物種別が個人住宅である場合、該当無を示す情報が携帯端末1へ送信される。
【0073】
一方、システム制御部23は、当該建物種別が商業施設または複合施設であると判定した場合(ステップS27:YES)、システム制御部23(平面範囲特定部234)は、ステップS20で取得された距離情報及び仰角情報に基づいて、高さHを算出する(ステップS29)。次いで、システム制御部23(平面範囲特定部234)は、ステップS29で算出された高さHと、ステップS26で取得された建物情報が示す建物の各階の地面から天井までの高さとから、高さHに対応する階(
図3の例では、3階)を特定する(ステップS30)。次いで、システム制御部23(平面範囲特定部234)は、ステップS20で取得された距離情報及び画角情報と、ステップS21で特定された建物位置情報とに基づいて、ステップS26で取得された建物情報が示す建物の一部平面範囲を特定(例えば、一部平面範囲内のどの箇所であっても緯度及び経度が判断できるように、当該一部平面範囲内の緯度及び経度の群を特定)する(ステップS31)。なお、建物の一部平面範囲の特定(ステップS31)は、ステップS29の直前、またはステップS30の直前に行われるように構成してもよい。次いで、システム制御部23(施設特定部235)は、ステップS30で特定された階においてステップS31で特定された一部平面範囲と、当該階にある施設の施設位置情報とに基づいて、当該一部平面範囲にある施設を特定(例えば、一部平面範囲内の緯度及び経度の群中に、施設位置情報が示す緯度及び経度が含まれる施設(例えば、施設ID)を特定)する(ステップS32)。
【0074】
次いで、システム制御部23(情報取得・提示部236)は、ステップS32で特定された施設の数が所定数以上であるか否かを判定する(ステップS33)。なお、ステップS33の判定は、情報取得要求からズーム機能有情報が取得された場合に限り行われてもよい(ステップS33の判定が行われない場合、処理はステップS32からステップS35へ進む)。システム制御部23(情報取得・提示部236)は、施設の数が所定数以上であると判定した場合(ステップS33:YES)、携帯端末1のカメラ13のズーム倍率を上げることを促す情報を通信部21及びネットワークNWを介して携帯端末1へ送信し(ステップS34)、
図10に示す処理を終了する。そして、携帯端末1がカメラ13のズーム倍率を上げることを促す情報に応じて、前回の撮像範囲より狭まった撮像範囲で撮像された建物(前回認識された建物と同一の建物)を認識しステップS2〜S8を通じて情報取得要求を送信した場合、システム制御部23は当該情報取得要求を受信して、
図10に示す処理を再開することになる。一方、システム制御部23(情報取得・提示部236)は、施設の数が所定数以上でないと判定した場合(ステップS33:NO)、ステップS35へ進む。
【0075】
なお、システム制御部23(情報取得・提示部236)は、ステップS33において上記特定された施設の数が所定数以上であるか否かを判定する代わりに、上記特定された階において上記特定された一部平面範囲の全平面範囲(つまり、当該階における全平面範囲)に占める割合が所定割合以上であるか否かを判定してもよい。システム制御部23(情報取得・提示部236)は、一部平面範囲の全平面範囲に占める割合が所定割合以上であると判定した場合、携帯端末1のカメラ13のズーム倍率を上げることを促す情報を通信部21及びネットワークNWを介して携帯端末1へ送信し、
図10に示す処理を終了する。一方、システム制御部23(情報取得・提示部236)は、一部平面範囲の全平面範囲に占める割合が所定割合以上でないと判定した場合、ステップS35へ進む。
【0076】
ステップS35では、システム制御部23(情報取得・提示部236)は、ステップS32で特定された施設の施設情報(例えば、ステップS32で特定された施設IDを含む施設情報)を通信部21及びネットワークNWを介して携帯端末1へ送信し、
図10に示す処理を終了する。これにより、上記ステップS9で施設情報が、撮像された建物に関連付けられて携帯端末1の画面に表示されることになる。一方、ステップS36では、システム制御部23(情報取得・提示部235)は、該当無を示す情報を通信部21及びネットワークNWを介して携帯端末1へ送信し、
図10に示す処理を終了する。
【0077】
以上説明したように、上記実施形態によれば、情報提供サーバ2は、携帯端末1の端末位置情報と、カメラ13により撮像された建物までの距離情報と、当該建物の方位情報とから特定された建物位置情報に基づいて建物情報を検索し、当該建物情報が示す建物の複数階のうち距離情報及び仰角情報から特定される高さに対応する階における一部平面範囲を建物位置情報、距離情報、及び画角情報に基づいて特定し、当該一部平面範囲にある施設の施設情報を携帯端末1の画面に表示させるように構成したので、複数階からなる建物内にある多くの施設のうちユーザの意向に沿った施設の施設情報に絞って表示させることができる。さらに、施設の数が所定数以上であるか、または一部平面範囲の全平面範囲に占める割合が所定割合以上である場合に、情報提供サーバ2がカメラ13のズーム倍率を上げることを促す情報を携帯端末1へ送信する構成によれば、ユーザの意向に沿った施設の施設情報を高精度で表示させることができる。
【0078】
なお、以上のように本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態から種々構成等に変更を加えてもよく、その場合も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、
図10に示すステップS32では、建物の該当階(ステップS30で特定された階)における一部平面範囲と施設位置情報とに基づいて、当該一部平面範囲にある施設を特定するように構成したが、これに代えて、建物の該当階における一部平面範囲(一部平面範囲内の緯度及び経度の群)と全平面範囲に対応する平面図とに基づいて、当該一部平面範囲にある施設を特定するように構成してもよい。ここで、平面図は、該当階における全平面範囲において施設が占有する区画を表した見とり図であり、区画毎に施設IDが付与されている。この構成の場合、建物の建物位置情報(例えば、建物が長方形状である場合、重心点+4隅の点)から、当該建物の該当階における全平面範囲内の緯度及び経度の群が特定(全平面範囲内のどの箇所であっても緯度及び経度が判断できるように特定)される。そして、該当階における全平面範囲内の緯度及び経度の群に基づいて、該当階における平面図に表された各区画(施設が占有する区画)の緯度及び経度が特定され、そのうち、該当階における一部平面範囲に少なくとも一部が含まれる区画に対応する施設(施設ID)が特定される。