特開2019-164045(P2019-164045A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-164045(P2019-164045A)
(43)【公開日】2019年9月26日
(54)【発明の名称】熱式流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/684 20060101AFI20190830BHJP
【FI】
   G01F1/684 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-52360(P2018-52360)
(22)【出願日】2018年3月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】池 信一
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035EA04
2F035EA05
2F035EA08
(57)【要約】
【課題】配管における周囲より薄くした測定部に設けた熱式流量計を用いてより高精度な流量測定ができるようにする。
【解決手段】センサ部102を構成する温度測定部111は、第1基板121の主表面121aに形成されている。また、第1基板121の裏面121bは、配管101における測定部101aの外壁に接して設けられている。センサ部102を構成するヒータ112は、第2基板122の主表面122aに形成されている。また、第2基板122の裏面122bは、配管101における測定部101aの外壁に接して設けられている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の流体を輸送する配管と、
前記配管の外壁に形成されて一部が他の部位より薄く形成された測定領域と、
前記測定領域において前記流体を加熱するように構成されたヒータ、および前記測定領域において前記流体の温度を測定するように構成された温度測定部を備え、前記ヒータの温度と前記ヒータの熱影響を受けない位置における前記流体の温度との差が設定されている設定温度差となるように前記ヒータを駆動しているときの、前記ヒータに加熱された前記流体における熱拡散の状態に対応するセンサ値を出力するように構成されたセンサ部と、
前記流体の流量を前記センサ値から算出するように構成された流量算出部と、
前記温度測定部が主表面に形成された第1基板と、
前記ヒータが主表面に形成された第2基板と
を備え、
前記第1基板の裏面および前記第2基板の裏面が前記測定領域の外壁に接して配置され、
前記第1基板および前記第2基板は、前記配管の材料より高い熱伝導度を有する材料から構成されていることを特徴とする熱式流量計。
【請求項2】
請求項1記載の熱式流量計において、
前記第1基板および前記第2基板は、シリコン、セラミック、または金属から構成されていることを特徴とする熱式流量計。
【請求項3】
請求項1または2記載の熱式流量計において、
前記温度測定部は、前記ヒータより上流側で前記ヒータの熱影響を受けない位置の前記流体の温度を測定し、
前記センサ部は、前記ヒータの温度と前記温度測定部が測定した前記流体の温度との差が前記設定温度差となるように前記ヒータを駆動しているときの、前記ヒータの電力を前記センサ値として出力する
ことを特徴とする熱式流量計。
【請求項4】
請求項1または2記載の熱式流量計において、
前記温度測定部は、第1温度測定部、第2温度測定部、第3温度測定部から構成され、
前記第1温度測定部は、前記ヒータより上流側で前記ヒータの熱影響を受けない位置の前記流体の温度を測定し、
前記第2温度測定部は、前記ヒータより上流側で前記ヒータの熱影響を受ける位置の前記流体の温度を測定し、
前記第3温度測定部は、前記ヒータより下流側で前記ヒータの熱影響を受ける位置の前記流体の温度を測定し、
前記センサ部は、前記ヒータの温度と、前記第1温度測定部が測定した前記流体の温度との差が前記設定温度差となるように前記ヒータを駆動しているときの、前記第2温度測定部が測定した前記流体の温度と前記第3温度測定部が測定した前記流体の温度との温度差を前記センサ値として出力する
ことを特徴とする熱式流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体における熱拡散の作用を利用して流量を測定する熱式流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
流路を流れる流体の流量や流速を測定する技術が工業・医療分野などで幅広く利用されている。流量や流速を測定する装置としては、電磁流量計、渦流量計、コリオリ式流量計、熱式流量計など様々な種類があり、用途に応じて使い分けられている。熱式流量計は、 気体と液体の検出が可能であり、圧力損失が基本的にはなく、質量流量が測定できるなどの利点がある。このような熱式流量計は、微量な液体流量の測定に適している。
【0003】
熱式流量計には、ヒータの上下流の温度差により流量を測定する方法と、ヒータの消費電力による流量を測定する方法とがある。例えば、液体の流量を測定する場合、ヒータ温度を液温に対し、プラス10℃など一定温度に加温駆動で動作させ、上流と下流との温度差またはヒータの電力から、流量を算出する。
【0004】
このような熱式流量計では、配管を流れる測定対象の流体を効率良く短時間で加熱するために、他の部位より薄く形成した箇所にセンサ部を設けるようにしている(特許文献1参照)。このように構成することで、高感度で流体の流れによる温度変化を検出することができ、高精度で被測定流体の流量を測定することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2003−532099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、配管を薄くした箇所は、測定対象の液体より発生する気体が透過しやすい状態となる。このため、この箇所より気体成分の透過(アウトガス)が発生する場合がある。このような状態では、アウトガスがセンサ部に影響を及ぼす場合が発生し、高い精度で正確な流量測定ができないという問題があった。
【0007】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、配管における周囲より薄くした測定領域に設けた熱式流量計を用いてより高精度な流量測定ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る熱式流量計は、測定対象の流体を輸送する配管と、配管の外壁に形成されて一部が他の部位より薄く形成された測定領域と、測定領域において流体を加熱するように構成されたヒータ、および測定領域において流体の温度を測定するように構成された温度測定部を備え、ヒータの温度とヒータの熱影響を受けない位置における流体の温度との差が設定されている設定温度差となるようにヒータを駆動しているときの、ヒータに加熱された流体における熱拡散の状態に対応するセンサ値を出力するように構成されたセンサ部と、流体の流量をセンサ値から算出するように構成された流量算出部と、温度測定部が主表面に形成された第1基板と、ヒータが主表面に形成された第2基板とを備え、第1基板の裏面および第2基板の裏面が測定領域の外壁に接して配置され、第1基板および第2基板は、配管の材料より高い熱伝導度を有する材料から構成されている。
【0009】
上記熱式流量計において、第1基板および第2基板は、シリコン、セラミック、または金属から構成されていればよい。
【0010】
上記熱式流量計において、温度測定部は、ヒータより上流側でヒータの熱影響を受けない位置の流体の温度を測定し、センサ部は、ヒータの温度と温度測定部が測定した流体の温度との差が設定温度差となるようにヒータを駆動しているときの、ヒータの電力をセンサ値として出力する。
【0011】
上記熱式流量計において、温度測定部は、第1温度測定部、第2温度測定部、第3温度測定部から構成され、第1温度測定部は、ヒータより上流側でヒータの熱影響を受けない位置の流体の温度を測定し、第2温度測定部は、ヒータより上流側でヒータの熱影響を受ける位置の流体の温度を測定し、第3温度測定部は、ヒータより下流側でヒータの熱影響を受ける位置の流体の温度を測定し、センサ部は、ヒータの温度と、第1温度測定部が測定した流体の温度との差が設定温度差となるようにヒータを駆動しているときの、第2温度測定部が測定した流体の温度と第3温度測定部が測定した流体の温度との温度差をセンサ値として出力する。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、第1基板および第2基板を用いるようにしたので、配管における周囲より薄くした測定領域に設けた熱式流量計を用いてより高精度な流量測定ができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態における熱式流量計の構成を示す構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態における熱式流量計の一部構成を示す断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態における他の熱式流量計の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態における熱式流量計について図1図2を参照して説明する。この熱式流量計は、測定対象の流体を輸送する配管101と、センサ部102と、流量算出部103とを備える。配管101は、例えば、フッ素樹脂などの合成樹脂から構成されている。配管101は、配管101の外壁に形成されて一部が他の部位より薄く形成された測定領域101aを有する。測定領域101aは、例えば、部分的にへこむ形状とされている。測定領域101aにおける最も薄くなる箇所の厚さは、例えば、100μm程度である。
【0015】
実施の形態において、センサ部102は、温度測定部111、ヒータ112、制御部113、電力計測部114を備える。
【0016】
温度測定部111は、第1基板121の主表面121aに形成(搭載)されている。温度測定部111は、例えば、複数の熱電対を構成する配線パターンなどから構成されたサーモパイルなどの温度センサ素子である。また、第1基板121の裏面121bは、配管101における測定領域101aの外壁に接して設けられている。第1基板121は、温度測定部111および測定領域101aの外壁の両者に熱的接触している。
【0017】
同様に、ヒータ112は、第2基板122の主表面122aに形成(搭載)されている。ヒータ112は、例えば、発熱抵抗体となるヒータ素子、流体温度計測用の温度センサ素子から構成されている。また、第2基板122の裏面122bは、配管101における測定領域101aの外壁に接して設けられている。第2基板122は、ヒータ112および測定領域101aの外壁の両者に熱的接触している。温度測定部111は、流体の温度を測定する。
【0018】
第1基板121,第2基板122は、例えば、熱伝導性接着剤により配管101における測定領域101aの外壁に接着固定されている。第1基板121および第2基板122は、配管101を形成する材料より高い熱伝導度を有する材料から構成されている。第1基板121および第2基板122を、熱伝導率の良い材料から構成することで、配管101を流れる流体の温度が、温度測定部111に伝わりやすくなり、またヒータ112からの熱が流体に伝えやすくなる。第1基板121および第2基板122は、例えば、シリコン、セラミック、または金属から構成されている。第1基板121および第2基板122は、例えば、単結晶シリコンから構成されていればよい。また、第1基板121,第2基板122の板厚は、測定領域101a以外の配管101の管壁の厚さ以下とされているとよい。
【0019】
実施の形態において、センサ部102は、温度測定部111、ヒータ112、制御部113、電力計測部114を備える。ヒータ112を搭載する第2基板122は、第1基板121の下流に設けられているので、ヒータ112は、第1基板121に搭載されている温度測定部111より下流に設けられるものとなる。
【0020】
ここで、センサ部102は、ヒータ112の温度と、ヒータ112の熱影響を受けない位置における流体の温度との差が、設定されている設定温度差となるようにヒータ112を駆動しているときの、ヒータ112に加熱された流体における熱拡散の状態に対応するセンサ値を出力する。実施の形態において、制御部113が、ヒータ112の温度と、温度測定部111で測定されるヒータ112の熱影響を受けない位置、例えばヒータ112より上流における流体の温度との差が、予め設定されている設定温度差となるように、ヒータ112を制御して駆動する。
【0021】
例えば、制御部113は、ヒータ112に電力を供給する電力供給回路と、温度差検出回路と、電力供給回路が供給する電力を制御する制御回路などから構成されている。制御回路は、例えば、前述したヒータ112を構成するブリッジ回路の出力電圧が0となるように、ブリッジ回路に供給される電圧を帰還制御して、電力供給回路が供給する駆動電圧を調整する。
【0022】
また、電力計測部114は、制御部113により制御されているヒータ112の電力を計測して出力する。電力計測部114は、例えば、ヒータ電力検出回路から構成されている。ヒータ電力検出回路は、例えば、ヒータ112を構成する前述したヒータ素子に印加される電圧と、このヒータ素子を含むブリッジ回路に印加される電圧とから、ヒータ素子における駆動電力を求める。
【0023】
上述した、センサ部102を構成している電力計測部114から出力される電力が、センサ値となる。流量算出部103は、電力計測部114が計測して出力したヒータ112の電力(センサ値)より、流体の流量を算出する。流量算出部103は、例えば、あらかじめ設定されている物性データとしての係数を用いてセンサ値から流量を算出する流量演算回路などから構成されている。
【0024】
実施の形態によれば、温度測定部111およびヒータ112が、配管101の周囲より肉薄とされている測定領域101aから、第1基板121,第2基板122を挾んで離間する状態となる。この結果、実施の形態によれば、温度測定部111およびヒータ112は、測定領域101aにおけるアウトガスによる影響が防げるようになり、より高精度な流量測定ができるようになる。
【0025】
ここで、実施の形態における熱式流量計の動作について、より詳細に説明する。よく知られているように、ヒータ112の温度とヒータ112の熱影響を受けない位置における流体の温度との差が設定温度差となるようにヒータ112を駆動しているときの、ヒータ112が消費している電力と、流体の流量との間には相関がある。また、この相関関係は、同じ流体/流量/温度において再現性がある。従って、上述したように、ヒータ112が制御部113に制御されている状態で、電力計測部114が計測した電力より、流量算出部103において、所定の相関係数(定数)を用いることで流量が算出できる。
【0026】
なお、図3に示すように、温度測定部(第1温度測定部)111、ヒータ112、制御部113、温度測定部(第2温度測定部)116、温度測定部(第3温度測定部)117からセンサ部102’を構成してもよい。温度測定部111は、第1基板123を介して測定領域101aに設けられている。温度測定部116は、第1基板124を介して測定領域101cに設けられている。温度測定部117は、第1基板125を介して測定領域101dに設けられている。ヒータ112は、第2基板122を介して測定領域101bに設けられている。第1基板123,124,125、第2基板122は、例えば、熱伝導性のよいシリコン、セラミック、または金属から構成されている。第1基板123,124,125、第2基板122は、例えば、単結晶シリコンから構成されていればよい。
【0027】
この構成において、制御部113は、ヒータ112の温度と、温度測定部111で測定されるヒータ112の熱影響を受けない位置、例えばヒータ112より上流における流体の温度との差が、予め設定されている設定温度差となるように、ヒータ112を制御して駆動する。
【0028】
温度測定部116は、温度測定部111より下流側でかつヒータ112の上流側に設けられている。また、温度測定部117は、ヒータ112の下流側に設けられている。温度測定部116,温度測定部117は、流体の温度を測定する。
【0029】
温度測定部116が測定している流体の温度と、温度測定部117が測定している流体の温度との温度差より、流体の流量を算出することができる。この例では、温度測定部116が測定している流体の温度と、温度測定部117が測定している流体の温度との温度差が、センサ値となる。
【0030】
よく知られているように、ヒータ112の温度とヒータ112の熱影響を受けない位置における流体の温度との差が、予め設定されている設定温度差となるようにヒータ112を駆動しているときの、ヒータ112より上流の流体の温度とヒータ112より下流の流体の温度との温度差と、流体の流量との間には相関がある。また、この相関関係は、同じ流体/流量/温度において再現性がある。従って、上述したように、ヒータ112が制御部113に制御されている状態で、温度測定部116が測定した温度と温度測定部117が測定した温度との差(温度差)より、所定の相関係数(定数)を用いることで流量が算出できる。
【0031】
以上に説明したように、本発明によれば、第1基板および第2基板を用いるようにしたので、配管における周囲より薄くした測定領域に設けた熱式流量計を用いてより高精度な流量測定ができるようになる。
【0032】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0033】
101…配管、101a…測定領域、102…センサ部、103…流量算出部、111…温度測定部、112…ヒータ、113…制御部、114…電力計測部、121…第1基板、121a…主表面、121b…裏面、122…第2基板、122a…主表面、122b…裏面。
図1
図2
図3