【解決手段】タッチパネルは、基材2と、基材2の第1主面21aに設けられ、導電性を有する透明な第1センサ部3と、第1センサ部3に接続され、第1主面21aに設けられている第1配線部と、基材2の第1主面21aとは反対側である第2主面21bに設けられ、導電性を有する透明な第2センサ部4と、第2センサ部4に接続され、第2主面21bに設けられている第2配線部9とを有する。第1配線部7及び第2配線部9のそれぞれは、レーザー溝により区画された複数の配線を有し、第1配線部7と第2配線部9とが、第1主面21aから第2主面21bに向かう断面方向において、重ならない位置にそれぞれ設けられている。
前記導電部が、前記第1センサ部及び前記第2センサ部の少なくとも一方のセンサ部と同一の材料且つ同一の厚さを有すると共に、前記導電部の前記断面方向と略直交する方向の幅が、前記導電部に積層される配線部の幅より小さくされている
請求項4に記載のタッチパネル。
前記第1主面におけるフレキシブルプリント基板が接続される箇所である第1接続部に対して、導電性を有する第1導電部が前記第1工程において前記第1センサ部と共に形成され、
前記第2主面における前記フレキシブルプリント基板が接続される箇所である第2接続部に対して、導電性を有する第2導電部が前記第2工程において前記第2センサ部と共に形成され、
前記第1接続部に設けられる前記第1配線部及び前記第2接続部に設けられる前記第2配線部の少なくとも一方が、対応する導電部に積層するように形成される
請求項6から8までの何れかに記載のタッチパネルの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のように、レーザーによるパターニングを用いた方法では、ガラス基板の表面側にレーザーによるパターニングで送信電極などのパターンを形成する際に、レーザーがガラス基板を貫通することにより、裏面側に設けられた受信電極などのパターンにダメージを与える虞がある。従って、ガラス基板の表裏それぞれでレーザーによるパターニングを行う際に、反対側に位置する構成へのダメージを回避するためにレーザー出力(例えば、レーザー密度)を高精度で調整しなければならないという問題が生じてしまう。係る問題は、ガラス基板等の両面に電極以外の構成、例えば、Agのような金属をからなる配線部をレーザーによるパターニングを用いて形成する場合にも同様に生じる。
【0006】
従って、本発明は、反対側に位置する電極などへのレーザーによるダメージを根本的に回避することで、レーザー出力を調整することなく、基材の両面のそれぞれに所定の構成(例えば、配線部)を形成可能なタッチパネル、タッチパネルの製造方法及び電子機器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、
基材と、
基材の第1主面に設けられ、導電性を有する透明な第1センサ部と、
第1センサ部に接続され、第1主面に設けられている第1配線部と、
基材の第1主面とは反対側である第2主面に設けられ、導電性を有する透明な第2センサ部と、
第2センサ部に接続され、第2主面に設けられている第2配線部と
を有し、
第1配線部及び第2配線部のそれぞれは、レーザー溝により区画された複数の配線を有し、
第1配線部と第2配線部とが、第1主面から第2主面に向かう断面方向において、重ならない位置にそれぞれ設けられている
タッチパネルである。
また、本発明は、上述したタッチパネルを有する電子機器でも良い。
【0008】
また、本発明は、例えば、
基材の第1主面に導電性を有する透明な第1センサ部を形成し、第1主面とは反対側である第2主面に導電性を有する透明な第2センサ部を形成する第1工程と、
第1主面に、第1センサ部に接続される第1配線部をレーザーによるパターニングにより形成する第2工程と、
第2主面に、第2センサ部に接続される第2配線部をレーザーによるパターニングにより形成する第3工程と
を含み、
第2及び第3工程において、第1配線部と第2配線部とが、第1主面から第2主面に向かう断面方向において重ならない位置にそれぞれ形成される
タッチパネルの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レーザー出力を高精度に調整することなく、基材の両面のそれぞれに所定の構成(例えば、配線部)を形成することができる。なお、本明細書において例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態等について図面を参照しながら説明する。説明は以下の順序で行う。
<1.一実施の形態>
<2.変形例>
但し、以下に示す実施の形態等は、本発明の技術思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明は例示された構成に限定されるものではない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものではない。特に、実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置、上下左右等の方向の記載等は特に限定する旨の記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがあり、また、図示が煩雑となることを防止するために、参照符号の一部のみを図示する場合や、一部を簡略化して図示する場合もある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、重複する説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
なお、以下の説明において、X軸、Y軸、Z軸は、3軸直交座標系を示しており、X軸の正方向を上方向、X軸の負方向を下方向、Y軸の正方向を右方向、Y軸の負方向を左方向、Z軸の正方向を手前方向、Z軸の負方向を奥行き方向とする。
【0012】
<1.一実施の形態>
[タッチパネルの概略構成例]
一実施の形態に係るタッチパネル(タッチパネル1)について説明する。タッチパネル1は、携帯情報端末装置、携帯電話機、スマートフォン、車載機器等種々の電子機器の入力装置として用いられる。また、実施の形態ではタッチパネル1として、絶縁基板上の入力操作領域に沿って多数の電極を配設し、指等の入力操作体が接近して検出電極間の静電容量が変化した電極を検出し、当該電極の位置から入力操作位置を検出する、所謂、静電容量式のタッチパネルを例にして説明する。
【0013】
図1は、タッチパネル1の概略構成例を説明するための分解斜視図である。タッチパネル1は、例えば、基材2と、基材2の一方の主面である第1主面21aに設けられる第1センサ部3と、基材2の第1主面21aとは反対側の第2主面21bに設けられる第2センサ部4とを有している。第1センサ部3及び第2センサ部4により、タッチパネル1のセンサ部であるセンサ部5が形成される。
【0014】
第1主面21aの所定箇所及び第2主面21bの所定箇所のそれぞれに対して、FPC6が熱圧着等により接続される。FPC6の先端は、例えば、切り欠きによって3個の先端部(先端部6a、6b及び6c)に分岐されている。例えば、先端部6bが第1主面21aに接続され、先端部6a及び6cが第2主面21bに接続される。FPC6は、後述する第1配線部を介して第1センサ部3に接続され、また、後述する第2配線部を介して第2センサ部4に接続される。
【0015】
なお、上述したFPC6を含む構成がタッチパネル1とされても良い。また、タッチパネル1の構成として、
図1に示した構成以外の構成が追加されても良い。例えば、第1センサ部3側に設けられるカバーガラスや、第2センサ部4側に設けられる保護シートが、タッチパネル1の構成として追加されても良い。
【0016】
[タッチパネルの各部について]
(基材について)
次に、
図2〜
図12を参照しつつ、タッチパネル1を構成する各部について説明する。始めに、基材2について説明する。基材2は、ガラスやフィルム(例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム)等の絶縁性のものである。本実施の形態では、基材2は矩形状を有しているが、基材2は、他の多角形状、円形状、楕円形状等であっても良い。基材2は、第1主面21a(表面)と、第1主面21aとは反対側の第2主面21b(裏面)とを有している。上述したように、第1主面21aに第1センサ部3が設けられ、第2主面21bに第2センサ部4が設けられている。
【0017】
なお、第1主面21aには、FPC6の先端部6bが熱圧着等で接続される領域である第1接続部22a(
図2参照)が設定されている。第2主面21bには、FPC6の先端部6a及び6cが熱圧着等で接続される領域である第2接続部22b及び第3接続部22cが設定されている(
図6参照)。なお、本実施の形態では、第2接続部22b及び第3接続部22cが特許請求の範囲における第2接続部に対応する。
【0018】
(第1センサ部について)
次に、第1センサ部3について説明する。第1センサ部3は、導電性を有する透明なセンサ部であり、例えば、受信(Rx)電極として機能する。なお、本明細書における「透明」とは例えば、タッチパネル1を介して表示されるディスプレイの表示内容が視認できる程度であれば良い。本実施の形態では、第1センサ部3がITO(Indium Tin Oxide)膜から構成されている。
図2に示すように、第1センサ部3は、例えば、X軸方向に延設された短冊の電極パターンが、複数、Y軸方向に整列して設けられた構成を有している。第1センサ部3は、例えば、フォトリソグラフィ法やレーザーエッチング法により形成される。
【0019】
(第1導電部について)
上述したように、第1主面21aには、FPC6が接続される第1接続部22aが設定されている。
図2に示すように、第1接続部22aには、導電性を有する第1導電部3aが設けられている。第1導電部3aは、例えば、第1センサ部3と同じITO膜から構成されている。第1導電部3aは、第1主面21aの周縁に向かって櫛葉状の形状を有している。詳細は後述するが、第1導電部3aは、第1センサ部3と共に(同時に)形成される。例えば、第1主面21a上に一様に成膜されたITO膜の適切な箇所を除去することにより、第1センサ部3及び第1導電部3aを同時に形成することができる。第1導電部3aは第1センサ部3と共に形成されることから、当該第1導電部3aは、第1センサ部3と同一の材料且つ同一の厚さを有している。
【0020】
(第1配線部について)
次に、第1センサ部3に接続される第1配線部(第1配線部7)について説明する。
図3は、第1主面21aに形成される第1配線部7を示している。本実施の形態では、第1配線部7は、レーザーエッチング法によって形成された複数の銀配線のパターンから構成されている。勿論、第1配線部7が銀以外の銅配線のパターン等から構成されていても良い。第1配線部7の銀配線のパターンが、第1センサ部3の電極パターンの下側に対してそれぞれ接続され、
図3に示すように、各配線が第1接続部22aに向かって引き回されている。
【0021】
図4は、第1接続部22a周辺の第1配線部7を拡大して示した図である。上述したように、第1配線部7は、レーザーエッチング法で形成された複数のレーザー溝71により区画された複数の銀配線72を有している。各銀配線72は、第1接続部22aに引き回されている。第1接続部22aでは、第1配線部7は、第1主面21aの周縁に向かって櫛葉状の形状を有している。
【0022】
(第1シールド部について)
図5は、上述した基材2、第1センサ部3及び第1配線部7を合わせて示した図である。基材2の第1主面21aには、更に、第1シールド部8が設けられている。第1シールド部8は、第1センサ部3及び第1配線部7の周囲を略囲むように、第1主面21aの外周縁に沿って設けられている。第1シールド部8により静電気の侵入が防止され、タッチパネル1の検出精度の低下やこれに伴う誤作動を防止することができる。第1シールド部8は、銀や銅等のパターンからなり、グランド又は所定の接地電位に接続されている。なお、第1シールド部8は、電極パターン間でノイズの伝搬を防止するために適宜設けられるグランド用パターンを含んでいても良い。
【0023】
(第2センサ部について)
次に、第2センサ部4について説明する。第2センサ部4は、導電性を有する透明なセンサ部であり、例えば、送信(Tx)電極として機能する。本実施の形態では、第2センサ部4がITO膜から構成されている。
図6に示すように、第2センサ部4は、例えば、Y軸方向に延設された短冊状のパターンが、複数、X軸方向に整列して設けられた構成を有している。第2センサ部4は、例えば、フォトリソグラフィ法やレーザーエッチング法により形成される。
【0024】
(第2導電部について)
上述したように、第2主面21bには、FPC6が接続される第2接続部22b及び第3接続部22cが設定されている。
図6に示すように、第2、第3接続部22b、22cには、導電性を有する第2導電部4aが設けられている。第2導電部4aは、例えば、第2センサ部4と同じくITO膜から構成されている。第2導電部4aは、第2主面21bの周縁に向かって櫛葉状の形状を有している。詳細は後述するが、第2導電部4aは、第2センサ部4と共に(同時に)形成される。例えば、第2主面21bに一様に成膜されたITO膜の適切な箇所を除去することにより、第2センサ部4及び第2導電部4aを同時に形成することができる。第2導電部4aは第2センサ部4と共に形成されることから、当該第2導電部4aは、第2センサ部4と同一の材料且つ同一の厚さを有している。
【0025】
(第2配線部について)
次に、第2センサ部4に接続される第2配線部(第2配線部9)について説明する。
図7は、第2主面21bに形成される第2配線部9を示す図である。本実施の形態では、第2配線部9は、レーザーエッチング法によって形成された銀配線のパターンから構成されている。勿論、第2配線部9が銀以外の銅配線のパターン等から構成されていても良い。第2配線部9の銀配線のパターンが、第2センサ部4の電極パターンの左右両側に対してそれぞれ接続される。
図7に示すように、電極パターンの左側に接続される各配線が第2接続部22bに向かって引き回され、電極パターンの右側に接続される各配線が第3接続部22cに向かって引き回されている。
【0026】
図8は、第2接続部22b周辺の第2配線部9を拡大して示した図である。上述したように、第2配線部9は、レーザーエッチング法で形成された複数のレーザー溝91により区画された複数の銀配線92を有している。各銀配線92は、第2接続部22bに引き回されている。第2接続部22bでは、第2配線部9は、第2主面21bの周縁に向かって櫛葉状の形状を有している。なお、第3接続部22c周辺の第2配線部9も、
図8とは左右対称的になる他は同様の構成となっている。
【0027】
(第2シールド部について)
図9は、上述した基材2、第2センサ部4及び第2配線部9を合わせて示した図である。基材2の第2主面21bには、第2シールド部10が設けられている。第2シールド部10は、第2センサ部4及び第2配線部9の周囲を略囲むように、第2主面21bの外周縁に沿って設けられている。第2シールド部10により静電気の侵入が防止され、タッチパネル1の検出精度の低下やこれに伴う誤作動を防止することができる。第2シールド部10は、銀や銅等のパターンからなり、グランド又は所定の接地電位に接続されている。なお、第2シールド部10は、電極パターン間でノイズの伝搬を防止するために適宜設けられるグランド用パターンを含んでいても良い。
【0028】
(タッチパネルの断面構成について)
次に、タッチパネル1の断面構成について説明する。
図10は、上述したタッチパネル1の構成を一方の面(例えば、第1主面21a)に合わせて(投影して)示した図である。
図11Aは、
図10における切断線A−A'でタッチパネル1を切断した場合の断面図である。
図11Bは、
図10における切断線B−B'でタッチパネル1を切断した場合の断面図である。
図11Cは、
図10における切断線C−C'でタッチパネル1を切断した場合の断面図である。
【0029】
図11Aに示すように、基材2の第1主面21aには第1センサ部3が設けられ、基材2の第2主面21bには第2センサ部4が設けられている。
【0030】
図11B及び
図11Cに示すように、第1配線部7及び第2配線部9は、第1主面21aから第2主面21bに向かう断面方向(本実施の形態におけるZ軸方向)において、重ならない位置にそれぞれ設けられている。係る構成により、例えば、第2主面21bに第2配線部9をレーザーエッチング法により設ける場合でも、反対側の第1主面21aには第1配線部7が設けられていないため、基材2を介して第1主面21a側に伝搬し得るレーザー出力により第1配線部7にダメージを与える虞が無い。即ち、基材2の両面それぞれに第1配線部7及び第2配線部9をレーザーエッチング法により設ける場合でも、レーザー出力を高精度に調整する必要が無くなる。また、レーザーエッチング法を用いることにより、フォトリソグラフィ法を用いる製造方法に比べ大規模な設備を不要であり、製造費用を抑制することができる。
【0031】
(接続部の構成例について)
次に、本実施の形態に係る接続部の構成例について説明する。本例では、第2接続部22bを例にして説明するが、第3接続部22cについても同様である。
【0032】
上述したように、第2接続部22bに、第2導電部4aが第2センサ部4と共に形成される。
図12に示すように、本実施の形態では、少なくとも第2接続部22bに設けられた第2導電部4aの上に第2配線部9が積層して設けられている。なお、
図12に示すように、第2接続部22b以外の領域における第2導電部4aに第2配線部9が積層して設けられていても良い。
【0033】
係る構成の場合、第2接続部22bにおける第2導電部4aの幅(以下の説明では、幅とは、断面方向と略直交する方向の長さで、Y軸方向の長さを意味する。)が、第2接続部22bにおける第2配線部9の幅より小さくされていることが好ましい。これにより、第2配線部9を形成する際に印刷ずれが生じた場合でも、第2配線部9と隣接する第2導電部4aとが接触してしまうことを防止することができる。
【0034】
数値の一例を下記に示す。なお、本発明は下記の数値に限定されるものではない。
・銀印刷配線(櫛葉状の第2配線部9の配線)のピッチ:0.7(mm)
・銀印刷配線(櫛葉状の第2配線部9の配線)の線幅/ギャップ:0.4/0.3(mm)
・第2導電部の櫛葉状のパターンのピッチ:0.7(mm)
・第2導電部の櫛葉状のパターンの線幅/ギャップ:0.15/0.55
(0.2/0.5でも良い。)
【0035】
本実施の形態では、第1接続部22aも第2接続部22bと同様の構成を有している。例えば、少なくとも第1接続部22aに設けられた第1導電部3aに第1配線部7が積層して設けられる。第1接続部22a以外の領域における第1導電部3aに第1配線部7が積層して設けられていても良い。また、第1導電部3aの幅が第1配線部7の幅より小さくされていることが好ましい。係る構成により第1配線部7を形成する際の印刷ずれが生じた場合でも、第1配線部7と隣接する第1導電部3aとが接触してしまうことを防止することができる。
【0036】
上述したように、FPC6が熱圧着される箇所を、導電性を有する構成が積層された2層構造とすることにより、導電抵抗を下げることができる。また、経年変化により配線の銀インクが劣化した場合であっても導電性を有する第1、第2導電部3a、4aがあるため、導電性を確保することができる。
【0037】
[タッチパネルの製造方法について]
次に、
図13を参照して、本実施の形態に係るタッチパネル1の製造方法の一例について説明する。
図13Aはタッチパネル1の製造方法の工程図(フローチャート)である。また、理解を容易とするために、
図13Bでは、所定の工程で形成される構成を適宜、示している。
【0038】
ステップS1では、両面にITOが成膜された基材2の両面に、スクリーン印刷でエッチングレジストが印刷される。そして、次の工程であるステップS2では、基材2の両面(第1、第2主面21a、21b)に同時に薬液でエッチングを施し、ITOのパターンを印刷する。なお、本工程におけるITOのパターンは、第1センサ部3、第2センサ部4、第1導電部3a及び第2導電部4aに対応するパターンである。
【0039】
そして、次の工程であるステップS3では、エッチングレジストが剥離され、第1センサ部3、第2センサ部4、第1導電部3a及び第2導電部4aが同時に形成される。このように、本実施の形態では、第1、第2、第3接続部22a、22b、22cのそれぞれの所定箇所にITOを除去せずに残すようにしている。係るステップS1〜S3の工程が第1工程に対応する。
【0040】
次の工程であるステップS4では、表面側(本実施の形態では、第1主面21a)に配線回路用の銀インクをスクリーン印刷で大まかに形成する。このとき、第1接続部22aに形成された第1導電部3aの上にも
図12に示すような櫛葉状の形状をなして積層するように銀インクが印刷される。
【0041】
次の工程であるステップS5では、ステップS4で形成した銀インクに対してレーザーによるトリミング(パターニング)が行われ、レーザー溝71により区画された銀インクの配線が、第1センサ部3の電極パターンに適切に接続される。これにより、第1センサ部3に接続される第1配線部7が形成される。また、少なくとも第1接続部22aにおいて第1導電部3a及び第1配線部7が積層した構成が形成される。係るステップS4、S5が第2工程に対応する。ここで、第1配線部7について、ステップS1において、第1配線部7に対応する範囲にITOのパターンを形成しておき、ステップS4において、このITOのパターンの上に銀インクを印刷してITOのパターンと銀インクとの積層体を形成しておき、このステップS5で、ITOのパターンと銀インクとの積層体に対して一括してレーザーによるトリミングを行うことで、第1配線部7を形成しても良い。
【0042】
次の工程であるステップS6では、裏面側(本実施の形態では、第2主面21b)に配線回路用の銀インクをスクリーン印刷で大まかに形成する。このとき、第2接続部22bに形成された第2導電部4aの上にも
図12に示すような櫛葉状の形状をなして積層するように銀インクが印刷される。
【0043】
次の工程であるステップS7では、ステップS6で形成した銀インクに対してレーザーによるトリミング(パターニング)が行われ、レーザー溝91により区画された銀インクの配線が、第2センサ部4の電極パターンに適切に接続される。これにより、第2センサ部4に接続される第2配線部9が形成される。上述したように、第2配線部9は、断面方向において、第1配線部7と重ならない位置に設けられる。また、少なくとも第2接続部22bにおいて第2導電部4a及び第2配線部9が積層した構成が形成される。係るステップS6、S7が第3工程に対応する。ここで、第2配線部9について、ステップS1において、第2配線部9に対応する範囲にITOのパターンを形成しておき、ステップS6において、このITOのパターンの上に銀インクを印刷してITOのパターンと銀インクとの積層体を形成しておき、このステップS7で、ITOのパターンと銀インクとの積層体に対して一括してレーザーによるトリミングを行うことで、第2配線部9を形成しても良い。
【0044】
第2配線部9をレーザーエッチング法により形成する際に、第2配線部9が形成される箇所とは反対側の箇所に第1配線部7がないので、当該箇所に伝搬し得るレーザーのエネルギーにより第1配線部7にダメージを与えてしまうことを防止することができる。従って、基材2の表裏それぞれに第1、第2配線部7、9を形成する際にレーザーの出力を調整する必要が無くなり、任意のレーザー出力を設定することができ、効率良くタッチパネル1を製造できる。
【0045】
次の工程であるステップS8では、第1主面21aに、銀インクを用いたスクリーン印刷により第1シールド部8が形成される。次の工程であるステップS9では、第2主面21bに、銀インクを用いたスクリーン印刷により第2シールド部10が形成される。
【0046】
次の工程であるステップS10では、第1、第2主面21a、21bのそれぞれに、配線保護用のオーバーコートがスクリーン印刷により形成される。以上のようにして、タッチパネル1が作製される。なお、図示はしていないが、FPC6が第1、第2接続部22a、22bに熱圧着等により接続される。これにより、第1、第2センサ部3、4と、FPC6との間で電気的な導通が確立され、第1、第2センサ部3、4により得られる出力をタッチパネル1の外部に取り出すことが可能となる。
【0047】
<2.変形例>
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく各種の変形が可能である。
【0048】
図14に示すように、第1主面21aにおいて、断面方向で第2配線部9と少なくとも一部が重なる位置に第1シールド部8が設けられていても良い。係る第1シールド部8を形成する工程が第4工程に対応する。このように第1シールド部8を形成する場合、上述した第2工程および第3工程においてレーザーによるトリミングがすでに完了しているため、以降の工程ではレーザーによるトリミングが行われないので、第2配線部9と断面方向において一部が重なる位置に第1シールド部8を設けても第2配線部9にレーザーによるダメージを与えてしまうことが無い。更に、各構成を集約できるため、タッチパネル1の狭縁化を図ることができる。
【0049】
また、
図14に示す構成の場合、第1、第2シールド部8、10の厚み(断面方向の長さ)が第1、第2配線部7、9の厚みに比べて大きくされても良い。係る構成により、第1、第2シールド部8、10によるシールド性(耐ノイズ性能)を向上させることができる。また、例えば、第1シールド部8の厚みを大きくすることにより、第1シールド部8を形成した後に第2配線部9を形成する場合でも、第2配線部9を形成する際のレーザーによる影響を受けづらくすることができる。
【0050】
上述した実施の形態では、第1接続部22aに設けられる第1配線部7が第1導電部3aの上に積層するように設けられ、第2接続部22bに設けられる第2配線部9が第2導電部4aの上に積層するように設けられている例を説明したが、これに限定されるものではない。第1導電部3a及び第2導電部4aの何れか一方の導電部が形成される構成でも良く、係る構成において、第1配線部7及び第2配線部9のうちの対応する配線部が、形成された導電部の上に積層して設けられるようにしても良い。この構成でも実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、第1接続部22aに設けられる第1配線部7に対応する導電部は第1導電部3aであり、第2接続部22bに設けられる第2配線部9に対応する導電部は第2導電部4aである。
【0051】
上述した実施の形態において、第1接続部、第2接続部は、1個の接続部でも良いし、複数の接続部から構成されても良い。また、一実施の形態に係る工程は適宜変更である。例えば、第2主面21b側の第2配線部9を形成した後に、第1主面21a側の第1配線部7を形成するようにしても良い。また、上述した一実施の形態では、短冊状の電極パターンを例に説明したが、菱形状の電極パターン等であっても良い。また、一実施の形態では、第1主面21aを表面側とし、第2主面21bを裏面側として説明したが、反対であっても良い。
【0052】
上述の実施の形態および変形例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよく、公知のもので置き換えることも可能である。また、実施の形態および変形例における構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、技術的な矛盾が生じない範囲において、互いに組み合わせることが可能である。