(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-164867(P2019-164867A)
(43)【公開日】2019年9月26日
(54)【発明の名称】ディスク装置
(51)【国際特許分類】
G11B 33/14 20060101AFI20190830BHJP
G11B 25/04 20060101ALI20190830BHJP
【FI】
G11B33/14 501Q
G11B33/14 501M
G11B33/14 503J
G11B25/04 101F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-52774(P2018-52774)
(22)【出願日】2018年3月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 仁文
(72)【発明者】
【氏名】加藤 泰彦
(57)【要約】
【課題】フィルタを容易に脱着可能なディスク装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、ディスク装置は、筐体と、筐体内に回転自在に設けられたディスク状の記録媒体と、記録媒体に対して情報を処理するヘッドと、筐体内に設けられ、ヘッドを移動可能に支持するアクチュエータアッセンブリと、筐体内に設けられたフィルタユニット40と、を備えている。フィルタユニット40は、筐体の内面に固定されたベース42と、ベースに取付けられた保持フレーム44と、保持フレームに取り出し可能に保持された捕集フィルタ46と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に回転自在に設けられたディスク状の記録媒体と、
前記記録媒体に対して情報を処理するヘッドと、
前記筐体内に設けられ、前記ヘッドを移動可能に支持するアクチュエータアッセンブリと、
前記筐体内に設けられたフィルタユニットと、を備え、
前記フィルタユニットは、前記筐体の内面に固定されたベースと、前記ベースに取付けられた保持フレームと、前記保持フレームに取り出し可能に保持された捕集フィルタと、を備えているディスク装置。
【請求項2】
前記保持フレームは、前記ベースに対して、脱着可能に装着されている請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記ベースは、前記筐体の内面に固定された第1面と、前記第1面と対向する第2面と、前記第2面に形成された第1凹部と、第1凹部内に突出する第1凸部と、前記第2面に形成された第2凹部と、前記第2凹部内に突出した第2凸部と、を有し、
前記保持フレームは、前記第2面上に配置され、前記第1凹部内に挿入され前記第1凸部と係合する第1フックと、前記第2凹部に挿入され前記第2凸部に係合する第2フックと、前記第2フックが設けられた弾性変形可能なロックレバーと、を有している請求項2に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記保持フレームは、前記第1フックおよび第2フックがそれぞれ前記第1凸部および第2凸部に係合する方向に前記保持フレームを付勢する予圧印加部材を有している請求項3に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記予圧印加部材は、前記保持フレームから延出した第1ビームと、前記第1ビームの延出端に設けられ前記ベースの第2面に当接する押圧突起と、を有している請求項4に記載のディスク装置。
【請求項6】
前記保持フレームは、前記ベースと一体に形成され、
前記保持フレームは、前記捕集フィルタを収容する収容部と、前記保持フレームの一端部に開口しているとともに前記収容部に連通する挿入口と、を有し、
前記捕集フィルタは、前記挿入口を通して、前記収容部に挿入可能および前記収容部から引き出し可能である請求項1に記載のディスク装置。
【請求項7】
前記保持フレームは、前記挿入口に突出し、前記捕集フィルタの一端に当接可能なストッパを有している請求項6に記載のディスク装置。
【請求項8】
前記筐体は、前記記録媒体を収容するベースと、前記ベースに固定されたトップカバーと、を有し、前記フィルタユニットのベースは、前記トップカバーの内面に固定されている請求項1から7のいずれか1項に記載のディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクドライブとして、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)は、可動部の一例として、筐体内に配設された磁気ディスク、磁気ディスクを支持および回転するスピンドルモータ、磁気ヘッドを支持したアクチュエータアッセンブリ、このアクチュエータアッセンブリを駆動するボイスコイルモータ等を備えている。また、HDDは、可動部の稼動によって筐体内に発生した塵埃を捕獲する捕集フィルタ(循環フィルタ)を備えている。捕集フィルタとして、静電フィルタを用いたHDDが提案されている。
【0003】
通常、捕集フィルタは、筐体のトップカバーとベースとの間に挟まれた状態で筐体内に設置されている。一方、近年、HDDの記憶容量の増加に伴い、磁気ディスクの設置枚数も増加しつつある。多数枚の磁気ディスクを筐体に収納する場合、ベースの壁厚を薄くし内部スペースを拡大する必要がある。壁厚を薄くする分、ベースの強度が低下する。そのため、捕集フィルタを挟む構成とした場合、ベースに不可が作用し、ベースが変形する可能性が生じる。
また、筐体の変形を防止するため、捕集フィルタを筐体内面に粘着剤で貼付した場合、修理時に被取り付け部品を洗浄する際、捕集フィルタを筐体から引きはがして廃棄する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−291082号公報
【特許文献2】米国特許第7,450,338号明細書
【特許文献3】米国特許第8,885,290号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の実施形態の課題は、フィルタを容易に脱着することが可能なディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、ディスク装置は、筐体と、前記筐体内に回転自在に設けられたディスク状の記録媒体と、前記記録媒体に対して情報を処理するヘッドと、前記筐体内に設けられ、前記ヘッドを移動可能に支持するアクチュエータアッセンブリと、前記筐体内に設けられたフィルタユニットと、を備えている。前記フィルタユニットは、前記筐体の内面に固定されたベースと、前記ベースに取付けられた保持フレームと、前記保持フレームに取り出し可能に保持された捕集フィルタと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)をトップカバーを分解して示す斜視図。
【
図2】
図2は、前記HDDのフィルタユニットを示す斜視図。
【
図3】
図3は、前記フィルタユニットのベース部と保持フレームとを示す分解斜視図。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係るHDDのフィルタユニットを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図面を参照しながら、実施形態に係るディスク装置ついて説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の大きさ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(第1の実施形態)
ディスク装置として、第1の実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)について詳細に説明する。
図1は、トップカバーを外して示す第1の実施形態に係るHDDの分解斜視図である。
HDDは、偏平なほぼ矩形状の筐体10を備えている。この筐体10は、上面の開口した矩形箱状のベース12と、トップカバー14と、を有している。ベース12は、トップカバー14と隙間を置いて対向する矩形状の底壁12aと、底壁の周縁に沿って立設された側壁12bとを有し、例えば、アルミニウムにより一体に成形されている。トップカバー14は、例えば、ステンレスにより矩形板状に形成されている。トップカバー14は、複数のねじ13によりベース12の側壁12b上にねじ止めされ、ベース12の上部開口を閉塞する。
【0010】
筐体10内には、ディスク状の記録媒体として複数枚の磁気ディスク18、および磁気ディスク18を支持および回転させるスピンドルモータ19が設けられている。スピンドルモータ19は、底壁12a上に配設されている。各磁気ディスク18は、例えば、直径88.9mm(3.5インチ)に形成され、その上面または下面に磁気記録層を有している。各磁気ディスク18は、スピンドルモータ19の図示しないハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにクランプばね20によりクランプされ、ハブに固定されている。これにより、各磁気ディスク18は、ベース12の底壁12aと平行に位置した状態に支持されている。各磁気ディスク18は、スピンドルモータ19により所定の回転数で回転される。
なお、
図1に示すように、本実施形態においては、例えば7枚の磁気ディスク18が筐体10内に配置されているが、磁気ディスク18の枚数はこれに限られない。
【0011】
筐体10内には、磁気ディスク18に対して情報の記録、再生を行なう複数の磁気ヘッド17、および、これらの磁気ヘッド17を磁気ディスク18に対して移動自在に支持したアクチュエータアッセンブリ22が設けられている。また、筐体10内には、アクチュエータアッセンブリ22を回動および位置決めするボイスコイルモータ(VCM)24、磁気ヘッド17が磁気ディスク18の最外周に移動した際、磁気ヘッド17を磁気ディスク18から離間したアンロード位置に保持するランプロード機構25、および変換コネクタ等の電子部品が実装された基板ユニット(FPCユニット)21が設けられている。
ベース12の底壁12aの外面には、プリント回路基板27がねじ止めされている。プリント回路基板27は、スピンドルモータ19の動作を制御するとともに、基板ユニット21を介してVCM24および磁気ヘッド17の動作を制御する制御部を構成している。
【0012】
アクチュエータアッセンブリ22は、アクチュエータブロック29と、アクチュエータブロック29から同一方向に延出する複数本、例えば、8本のアーム30と、各アーム30の延出端に取付けられた複数のヘッドジンバルアッセンブリ(HGA)32と、を有している。アクチュエータブロック29は、底壁12aに立設された支持シャフト(枢軸)26に、ユニット軸受を介して、回動自在に支持されている。各HGA32は、アーム30から延出するサスペンション(ロードビーム)と、ロードビームおよびアーム30上に配置された図示しないフレクシャ(配線部材)と、フレクシャのジンバル部に搭載された磁気ヘッド17と、を有している。
【0013】
アクチュエータアッセンブリ22は、アクチュエータブロック29からアーム30と反対の方向に延出した図示しない支持フレームと、この支持フレームに取付けられたボイスコイルと、を更に備えている。ボイスコイルは、底壁12aに設置された一対のヨーク38間に位置し、これらのヨーク38、および何れかのヨーク38に固定された磁石とともにVCM24を構成している。
【0014】
FPCユニット21は、フレキシブルプリント回路基板により形成された本体21aを有し、この本体21aはベース12の底壁12aに固定されている。本体21a上には変換コネクタ等の電子部品が実装されている。変換コネクタは、底壁12aを貫通して、プリント回路基板27に接続されている。FPCユニット21は本体21aから延出した中継フレキシブルプリント回路基板(以下、中継FPCと称する)21bを有している。中継FPC21bの延出端部は、アクチュエータブロック29の側面(設置面)に取付けられている。中継FPC21bの延出端部は、前述したフレクシャを介して磁気ヘッド17に電気的に接続されている。
【0015】
筐体10内において、側壁12bの近傍に循環フィルタ(捕集フィルタ)31が設けられ、磁気ディスク16の外側に位置している。循環フィルタ31は、スピンドルモータ19等の可動部の稼動によって筐体10内に発生した塵埃を捕獲する。
本実施形態によれば、HDDは、筐体10内に設けられたフィルタユニット40を更に備え、このフィルタユニット40は、捕集フィルタを有している。一例では、フィルタユニット40は、トップカバー14の内面に固定されている。以下、フィルタユニット40について詳細に説明する。
【0016】
図2は、フィルタユニット(捕集フィルタ)を示す斜視図、
図3は、フィルタユニットのベース部と保持フレームとを示す分解斜視図である。
図2および
図3に示すように、フィルタユニット40は、それぞれ合成樹脂により形成された板状のベース42と、ベース42に脱着可能に装着された保持フレーム44と、保持フレーム44に保持されたフィルタ本体(捕集フィルタ)46と、を有している。
【0017】
ベース42は、第1面42aおよび第1面42aに対向する第2面42bを有している。ベース42の第1面42aは、例えば、接着剤により、トップカバー14の内面に貼付されている。ベース42は、それぞれ保持フレーム44の一部が係合する第1透孔48および第2透孔49と、位置決め凹所53と、を有している。一例では、第1凹部として機能する第1透孔48は、矩形状の断面形状を有し、ベース42の第1面42aおよび第2面42bに開口している。ベース42は、第1透孔48の一辺から第1透孔48内に突出する第1凸部(フック)48aを有している。第2凹部として機能する第2透孔50は、第1透孔48から所定の間隔をおいて配置されている。一例では、第2透孔50は、矩形状の断面形状を有し、ベース42の第1面42aおよび第2面42bに開口している。ベース42は、第2透孔50の一辺から第2透孔50内に突出する第2凸部(フック)50aを有している。第1凸部48aは、第1透孔48内において、第2透孔50と反対側に位置する一辺に設けられている。第2凸部50aは、第2透孔50内において、第1透孔48と反対側に位置する一辺に設けられている。
位置決め凹所53は、第1透孔48と第2透孔50との間に位置し、ベース42の第2表面に開口している。
【0018】
保持フレーム44は、矩形状の主壁51と、主壁51の両側部から同一方向、例えば、主壁51と直交する方向、に延出する一対の側壁52a、52bと、それぞれ一方の側壁52aから他方の側壁52bに向かって延出する第1ビーム54aおよび第2ビーム54bと、を有し、合成樹脂等により一体に成形されている。主壁51および一対の側壁52a、52bは、トップカバー14に対して、ほぼ垂直に立設している。一対の側壁52a、52は、間隔を置いて、互いにほぼ平行に対向している。また、第1ビーム54aおよび第2ビーム54bは、側壁52aの下端部、すなわち、ベース42側の端部、から側壁52aと垂直な方向に延出している。第1ビーム54aおよび第2ビーム54bは、ベース42とほぼ平行に延在している。
【0019】
主壁51は、中空に形成され、その内部空間(収容部)は、主壁51の下端に開口している。また、主壁51の一方の主面および他方の主面の大部分に亘って開口(窓)51aが形成されている。フィルタ本体46は、主壁51の下端開口から主壁51内に挿入され、主壁51内に保持されている。フィルタ本体46の大部分は、開口51aを通して、外部に露出している。一例では、フィルタ本体46は、通気性を有する袋状の外皮と、外皮内に充填された静電化繊維あるいは不織布等と、を有している。外皮としては、樹脂の織布、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の織布を用いることができる。
【0020】
側壁52aは、その下端に突設された第1フック(第1係合部)60を一体に有している。第1フック60は、ベース42の第1凸部48aに係合可能に形成されている。他方の側壁52bは、その高さ方向中途部から側壁52bの下端近傍まで延出した平板状のロックレバー62を一体に有している。ロックレバー62は、延出端、つまり、下端から外側(他方の側壁52aと反対方向)に突出する第2フック62aと、高さ方向の中途部に突設された押圧突起62bとを一体に有している。第2フック62aは、ベース42の第2凸部50aに係合可能に形成されている。ロックレバー62は、自身の弾性により、基端を支点として、側壁52a側および反対側に弾性変形可能である。押圧突起62bを押圧しロックレバー62を側壁52a側に変位させると、第2フック62aが第2凸部50aから外れ、ロックを解除することができる。
また、第1ビーム54aは、延出端の下面に突設された押圧突起56aを一体に有している。押圧突起56aは、ベース42の第2面42bに当接可能に形成されている。第1ビーム54aおよび押圧突起56aは、保持フレーム44に予圧を印加する予圧印加部材を構成している。第2ビーム54bは、延出端の下面に突設された位置決め突起56bを有している。位置決め突起56bは、ベース42の位置決め凹所53に係合可能に形成されている。
【0021】
図2に示すように、フィルタ本体46を収容した保持フレーム44は、ベース42に脱着可能に装着されている。装着時、まず、第1フック60をベース42の第1透孔48に挿入し、第1凸部48aに係合させる。次いで、ロックレバー62の第2フック62aを第2透孔50内に押し込み、第2凸部50aに係合させる。この際、ロックレバー62は、第2フック62aが第2凸部50aに当接することにより側壁52a側に変形し、その後、第2フック62aが第2凸部50aを乗り越えた時点で、元に位置に復帰する。これにより、第2フック62aが第2凸部50aに引っ掛かり、つまり、係合する。
【0022】
第2ビーム54bの位置決め突起56bがベース42の位置決め凹所53に係合し、保持フレーム44をベース42に対して所定位置に位置決めしている。また、第1ビーム54aの押圧突起56aがベース42の第2面42bに当接することにより、第1ビーム54aは、基端部を支点として、ベース42から離れる方向に弾性変形する。そのため、第1ビーム54aは、元の位置に戻ろうとする弾性力を発生し、押圧突起56aをベース42の第2面42bに押し付けるとともに、保持フレーム44をベース42から離間する方向(第1および第2フック60、62aがそれぞれ第1凸部48aおよび第2凸部40aと係合する方向)に付勢している。保持フレーム44に印加された付勢力(予圧)により、第1フック60および第2フック62aは、それぞれ第1凸部48aおよび第2凸部50aに押し付けられ、ガタ付が防止される。このようにして、保持フレーム44は、ベース42の所定位置にガタ付きなく装着される。
【0023】
保持フレーム44およびフィルタ本体46を取り外す場合、ロックレバー62の押圧突起62bを押圧し、ロックレバー62を側壁52a側に変位させることにより、第2フック62aと第2凸部50aとの係合を解除する(ロック解除する)。この状態で、保持フレーム44を引き上げ、第1フック60を第1透孔48から引き出すことにより、保持フレーム44およびフィルタ本体46をベース42から取り外すことができる。なお、フィルタ本体46は、主壁51の下端開口を通して引き出し可能である。
【0024】
上記のように構成されたフィルタユニット40は、トップカバー14をベース12に固定することにより、FPCユニット21と磁気ディスク18との間の空間に配置される。磁気ディスク18の回転によって生じる空気流は、保持フレーム44の開口51aを介してフィルタ本体(捕集フィルタ)46を通過する。フィルタ本体46は、空気流中に含まれる塵埃を捕集する。
【0025】
以上のように構成されたHDDおよびフィルタユニットによれば、フィルタ本体46および保持フレーム44を筐体10に対して容易に着脱可能となる。そのため、例えば、HDDの修理時に内部の取り付け部品を洗浄する際、フィルタ本体46および保持フレーム44をトップカバー14から容易に取り外すことができ、フィルタ本体46を損傷することがない。洗浄後、フィルタ本体46および保持フレーム44をベース42に装着することにより、フィルタ本体46を再利用することができる。
フィルタユニット40は、筐体10の内面に貼付された状態で筐体10に固定されている。すなわち、フィルタユニット40は、トップカバー14とベース12との間に挟んで固定される構造ではない。そのため、フィルタユニット40の設置によるベース12の変形を生じることがない。
【0026】
保持フレーム44をベース42に装着した状態において、保持フレーム44は第1ビーム54aにより係合方向に付勢されているため、保持フレーム44とベース42との間のガタ付きを無くし、ガタ付きによる塵埃の発生および騒音の発生を防止することが可能となる。また、保持フレームとベースとの脱着構造は、フックを凸部に掛ける簡易な構造であり、保持フレーム着脱時に塵埃の発生を防止することができる。
以上のことから、第1の実施形態によれば、フィルタを容易に脱着可能なディスク装置が得られる。
なお、第1の実施形態において、フィルタユニット40の設置位置は、トップカバー14の内面に限定されることなく、他の筐体内面、例えば、ベース12の底壁12a上としてもよい。
【0027】
次に、他の実施形態に係るHDDのフィルタユニットについて説明する。以下に述べる他の実施形態において、上述した第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略あるいは簡略化し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係るHDDのフィルタユニットを示す斜視図である。
図示のように、第2の実施形態によれば、フィルタユニット40は、板状のベース42と、保持フレーム44とを有し、これらは合成樹脂等により一体に成形されている。ベース42は、筐体10の内面、例えば、トップカバー14の内面に貼付されている。
【0028】
主壁51の上端部、すなわち、ベース42の反対側の端部、の上面および前面に、挿入口51bが開口している。挿入口51bは、主壁51の内部空間(収容部)に連通している。これにより、フィルタ本体46は、挿入口51bを通して、主壁51の内部空間に抜き差しすることができる。すなわち、保持フレーム44に対してフィルタ本体46を着脱することができる。
主壁51の上端に、挿入口51bに突出した一対のストッパ66が設けられている。ストッパ66は、フィルタ本体46の上端縁に当接し、保持フレーム44からのフィルタ本体46の抜けを規制している。これらのストッパ66は、挿入口51bから外れる位置まで弾性変形可能に形成されている。フィルタ本体46を保持フレーム44に装着する際、あるいは、保持フレーム44から取り外す際、ストッパ66を挿入口51bから外れる位置に変形させ、挿入口51bを開放した状態とすればよい。
【0029】
なお、フィルタ本体46は、比較的柔らかい材料で形成されているため、ストッパ66を避けるようにフィルタ本体46を部分的に曲げた状態で、保持フレーム44に装着する、あるいは、保持フレーム44から取り出すことが可能である。すなわち、ストッパ66を変形されることなくフィルタ本体46を脱着することも可能である。
第2の実施形態において、HDDの他の構成は、前述した第1の実施形態に係るHDDと同一である。
【0030】
以上のように構成されたHDDおよびフィルタユニットによれば、筐体10に対してフィルタ本体46を容易に着脱することが可能となる。例えば、HDDの修理時に内部の取り付け部品を洗浄する際、フィルタ本体46をトップカバー14から容易に取り外すことができ、フィルタ本体46を損傷することがない。洗浄後、フィルタ本体46を保持フレーム44に装着することにより、フィルタ本体46を再利用することができる。
本実施形態によれば、ベースおよび保持フレームは一体に成形されているため、フィルタユニットの構造の簡略化を図ることが可能となる。同時、ベースおよび保持フレーム間のガタ付きがなく、塵埃の発生および騒音の発生を防止することができる。
以上のことから、第2の実施形態によれば、フィルタを容易に脱着可能なディスク装置が得られる。
【0031】
本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、フィルタユニットの形状および寸法は、上述した実施形態に限定されることなく、適宜変更可能である。フィルタ本体の形状は、矩形状に限定されることなく、設置スペースに併せて種々の形状を選択可能である。また、HDDにおいて、磁気ディスクは7枚に限らず、6枚以下あるいは8枚以上としてもよく、HGAの数および磁気ヘッドの数も磁気ディスクの設置枚数に応じて増減すればよい。
【符号の説明】
【0032】
10…筺体、12…ベース、12a…底壁、12b…側壁、14…トップカバー、
17…磁気ヘッド、18…磁気ディスク、19…スピンドルモータ、
21…FPCユニット、22…アクチュエータアッセンブリ、
40…フィルタユニット、42…ベース、44…保持フレーム、
46…フィルタ本体(捕集フィルタ)、48a…第1透孔(第1凹部)、
50…第2透孔(第2凹部)、60…第1フック(第1係合部)、
62a…第2フック(第2係合部)、62…ロックレバー、54a…第1ビーム、
56b…押圧突起