(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-166273(P2019-166273A)
(43)【公開日】2019年10月3日
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 3/026 20060101AFI20190906BHJP
A47C 7/00 20060101ALI20190906BHJP
【FI】
A47C3/026
A47C7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-58474(P2018-58474)
(22)【出願日】2018年3月26日
(71)【出願人】
【識別番号】518103097
【氏名又は名称】笠原 泰藏
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】笠原 泰藏
【テーマコード(参考)】
3B084
3B091
【Fターム(参考)】
3B084AA00
3B091AA04
3B091AB01
3B091AC05
3B091AC08
(57)【要約】
【課題】重心が適度に移動するようにユーザーの着座動作を補助できる椅子を提供する。
【解決手段】椅子100は、座部10と、脚部20と、支柱部30とを備える。支柱部30は、支柱部材31と、揺動支持部材32とを含む。支柱部30は、脚部20から立設して延び、座部10を支持する。支柱部30は、座部10への荷重に応じて脚部20に対して揺動可能である。支柱部30は、座部10への荷重の無い無荷重状態において自立する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、
脚部と、
前記脚部から立設して延び、前記座部を支持する支柱部と
を備え、
前記支柱部は、前記座部への荷重に応じて前記脚部に対して揺動可能であり、前記座部への前記荷重の無い無荷重状態において自立する、椅子。
【請求項2】
前記支柱部は、前記座部に固定される柱状の支柱部材と、前記支柱部材を揺動可能に支持する揺動支持部材とを含み、
前記揺動支持部材は、前記無荷重状態において前記支柱部材を自立させる、請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記脚部は、前記座部と対向する第1対向面を有し、
前記支柱部材は、前記脚部と対向する第2対向面を有し、
前記揺動支持部材は、前記支柱部材を支持する点支持部材を含み、
前記点支持部材は、前記第1対向面と前記第2対向面との間に配置され、前記第1対向面及び前記第2対向面の少なくとも一方の対向面と点で当接する、請求項2に記載の椅子。
【請求項4】
前記揺動支持部材は、第1重りと、第2重りと、第1腕部と、第2腕部とを更に含み、
前記第1腕部は、前記第1重りと、前記座部又は前記支柱部材とを接続し、
前記第2腕部は、前記第2重りと、前記座部又は前記支柱部材とを接続し、
前記第1重りと前記第2重りとは、前記支柱部材の軸線を介して互いに対向して配置され、
前記点支持部材は、前記支柱部材にヤジロベー作用を付加し、前記無荷重状態において、前記脚部の載置される載置面から前記点までの高さを、前記載置面から前記第1重りまでの高さと、前記載置面から前記第2重りまでの高さとのいずれの高さよりも大きくするように配置される、請求項3に記載の椅子。
【請求項5】
前記揺動支持部材は、内部に気体を注入可能な膨張部材を更に含み、
前記膨張部材は、前記内部に前記気体が注入された注入状態において、前記支柱部材を挿入可能な筒状に膨張する、請求項2又は請求項3に記載の椅子。
【請求項6】
前記揺動支持部材は、前記支柱部材を支持する弾性部材を更に含み、
前記弾性部材は、前記脚部に固定される、請求項2又は請求項3に記載の椅子。
【請求項7】
前記弾性部材は、コイルバネである、請求項6に記載の椅子。
【請求項8】
前記弾性部材は、柱状のゴム部材である、請求項6に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
重心の移動に応じてバランスの変化する椅子が知られている。このような椅子として、特許文献1に記載のバランス瞑想用椅子は、ユーザーの着座に応じて座面が傾斜し得る。特許文献1に記載のバランス瞑想用椅子は、座板と、座板の裏面に設けられた突起と、受け板とを備える。特許文献1に記載のバランス瞑想用椅子では、受け板の上面に設けられた円筒状のスベリ止め部材に、座板の突起が挿入される。特許文献1に記載のバランス瞑想用椅子によれば、着座しているユーザーがバランスを保つことによって、バランス感覚が養われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平9−25号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のバランス瞑想用椅子では、スベリ止め部材の浅型円筒の直径が座板の突起の直径よりも大きいため、突起が倒れた場合に突起が自立しない。従って、ユーザーによる着座の際に、重心が適度に移動するように補助することが困難であった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、重心が適度に移動するようにユーザーの着座動作を補助できる椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る椅子は、座部と、脚部と、支柱部とを備える。前記支柱部は、前記脚部から立設して延び、前記座部を支持する。前記支柱部は、前記座部への荷重に応じて前記脚部に対して揺動可能であり、前記座部への前記荷重の無い無荷重状態において自立する。
【0007】
ある実施形態において、前記支柱部は、前記座部に固定される柱状の支柱部材と、前記支柱部材を揺動可能に支持する揺動支持部材とを含む。前記揺動支持部材は、前記無荷重状態において前記支柱部材を自立させる。
【0008】
ある実施形態において、前記脚部は、前記座部と対向する第1対向面を有する。前記支柱部材は、前記脚部と対向する第2対向面を有する。前記揺動支持部材は、前記支柱部材を支持する点支持部材を含む。前記点支持部材は、前記第1対向面と前記第2対向面との間に配置され、前記第1対向面及び前記第2対向面の少なくとも一方の対向面と点で当接する。
【0009】
ある実施形態において、前記揺動支持部材は、第1重りと、第2重りと、第1腕部と、第2腕部とを更に含む。前記第1腕部は、前記第1重りと、前記座部又は前記支柱部材とを接続する。前記第2腕部は、前記第2重りと、前記座部又は前記支柱部材とを接続する。前記第1重りと前記第2重りとは、前記支柱部材の軸線を介して互いに対向して配置される。前記点支持部材は、前記支柱部材にヤジロベー作用を付加し、前記無荷重状態において、前記脚部の載置される載置面から前記点までの高さを、前記載置面から前記第1重りまでの高さと、前記載置面から前記第2重りまでの高さとのいずれの高さよりも大きくするように配置される。
【0010】
ある実施形態において、前記揺動支持部材は、内部に気体を注入可能な膨張部材を更に含む。前記膨張部材は、前記内部に前記気体が注入された注入状態において、前記支柱部材を挿入可能な筒状に膨張する。
【0011】
ある実施形態において、前記揺動支持部材は、前記支柱部材を支持する弾性部材を更に含む。前記弾性部材は、前記脚部に固定される。
【0012】
ある実施形態において、前記弾性部材は、コイルバネである。
【0013】
ある実施形態において、前記弾性部材は、柱状のゴム部材である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の椅子によれば、重心が適度に移動するようにユーザーの着座動作を補助できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る椅子を示す側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る椅子を示す一部拡大断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る椅子を示す一部拡大断面図である。
【
図5】(a)は、本発明の実施形態に係る椅子を示す側面図であり、(b)は、椅子を示す一部拡大断面図である。
【
図6】(a)は、本発明の実施形態に係る椅子を示す側面図であり、(b)は、椅子を示す一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0017】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る椅子100の構成の概要について説明する。
図1は、椅子100を示す側面図である。椅子100は、例えば、身体鍛錬器具である。身体鍛錬器具は、身体を鍛錬するための器具であり、例えば、体幹トレーニング、背筋矯正、又は瞑想導入のために用いられる。
【0018】
図1に示すように、椅子100は、座部10と、脚部20と、支柱部30とを備える。支柱部30は、脚部20から立設して延び、座部10を支持する。支柱部30は、無荷重状態において自立する。無荷重状態は、座部10への荷重の無い状態を示す。支柱部30は、無荷重状態において、例えば、姿勢PAのように自立する。以下、支柱部30が自立した姿勢PAを「自立姿勢PA」と記載することがある。自立姿勢PAにおいて、脚部20を載置する載置面F(例えば、床面)と支柱部30の軸線SLとは、例えば、直交する。自立姿勢PAにおいて、椅子100の重心は、例えば、支柱部30(好ましくは支柱部30の軸線SL上)に位置する。
【0019】
支柱部30は、座部10への荷重に応じて脚部20に対して揺動可能である。例えば、支柱部30は、揺動方向D1又はD2に沿って姿勢PB(例えば、姿勢PB1又は姿勢PB2)のように揺動し得る。以下、支柱部30が揺動した姿勢PBを「揺動姿勢PB」と記載することがある。
【0020】
ユーザーは、例えば、載置面Fに脚部20を載置した状態(以下、「載置状態」と記載することがある。)で座部10に着座する。以下、着座したユーザーを「着座ユーザー」と記載することがある。ユーザーが座部10に着座すると、座部10に荷重が発生する。椅子100の重心は、例えば、支柱部30の軸線SL上から軸線SL上以外の位置へ着座動作に基づいて移動し得る。着座動作は、ユーザーが着座する動作と、着座ユーザーが身体の姿勢を変化させる動作とを含む。着座ユーザーは、椅子100の重心移動によって椅子100の姿勢が崩れると、椅子100の姿勢を維持するように反射的に身体の姿勢を制御する。身体の姿勢を制御する鍛錬を繰り返すことによって、ユーザーは、バランス反応を向上させ得る。
【0021】
以上、
図1を参照して説明したように、本実施形態によれば、支柱部30は、脚部20から立設して延び、座部10を支持する。支柱部30は、座部10への荷重に応じて脚部20に対して揺動可能であり、無荷重状態において自立する。このようにして、支柱部30は、座部10に荷重が発生した際に、自立姿勢PAを維持し易いように作用する。従って、重心が適度に移動するようにユーザーの着座動作を補助できる。
【0022】
引き続き
図1を参照して、椅子100の構成の詳細について説明する。座部10は、座面部11と、支柱受け部12とを含む。座面部11は、例えば、クッション性を有する厚板状部材である。座面部11は、着座可能な座面を有する。側面視において、座面は、例えば、緩やかな凹弧状である。また、座面の中央近傍は、例えば、緩やかな凸弧状である。平面視において、座面部11は、例えば、角丸の略方形状である。支柱受け部12は、座面部11の座面に対する裏面の中央に配置される。支柱受け部12は、例えば、円柱状部材である。支柱受け部12は、支柱部30の座部10側の端部に固定される。なお、以下では、自立姿勢PAにおいて、支柱部30の軸線SLに沿った方向(以下、「軸線方向」と記載することがある。)の座部10側を「上」、脚部20側を「下」とそれぞれ記載することがある。
【0023】
支柱部30は、支柱部材31と、揺動支持部材32とを含むことが好ましい。支柱部材31は、柱状である。支柱部材31を構成する材料は、例えば、金属である。支柱部材31は、座部10に固定される。すなわち、支柱部材31の長手方向に沿った両端部のうち、一方の端部は、支柱受け部12の下面の中央に固定される。また、他方の端部は、揺動支持部材32に固定される。揺動支持部材32は、例えば、弾性又は靱性を有する。揺動支持部材32は、支柱部材31を揺動可能に支持する。また、揺動支持部材32は、無荷重状態において支柱部材31を自立させる。このようにして、支柱部30の強度を向上させるとともに、荷重に応じて支柱部30を揺動させることができる。従って、着座動作を補助する際の安定性を向上させることができる。
【0024】
次に、
図1を参照しつつ、
図2を更に参照して、支柱部30が揺動する動作について説明する。
図2は、
図1のIB−IB線に沿った断面図である。支柱部30は、座部10への荷重に応じて脚部20に対して揺動可能である。
【0025】
詳細には、支柱部30は、
図2に示すように、座面部11への荷重に応じて脚部20の中心(軸線SL)に対して円領域CR内を揺動可能である。円領域CRの中心は、軸線SLである。円領域CRの半径は、支柱部30の長手方向の略長さである。例えば、支柱部30は、軸線SLからの放射方向に沿った方向(例えば、揺動方向D1、D2、D3、又はD4)に沿って揺動可能である。すなわち、支柱部30は、座面部11への荷重に応じて自立姿勢PAから例えば、揺動姿勢PB1、PB2、PB3、又はPB4へ変位し得る。また、例えば、支柱部30は、軸線SLを中心に回動するように揺動可能である。すなわち、支柱部30は、例えば、揺動姿勢PB1と揺動姿勢PB3との間、揺動姿勢PB3と揺動姿勢PB2との間、揺動姿勢PB2と揺動姿勢PB4との間、又は揺動姿勢PB4と揺動姿勢PB1との間の各々を、揺動方向D5、D6、D7又はD8に沿ってそれぞれ揺動可能である。
【0026】
支柱部30は、無荷重状態において自立する。具体的には、支柱部30は、座面部11への荷重に応じて円領域CR内を脚部20に対して揺動し、座面部11への荷重が無くなると自立姿勢PAの位置へ揺動して戻る。
【0027】
なお、
図3に示すように、揺動支持部材32は、弾性部材32Aを含むことが好ましい。
図3は、椅子100を示す一部拡大断面図である。詳細には、弾性部材32Aは、弾性体で構成される。弾性部材32Aの上端部321は、支柱部材31に固定される。例えば、支柱部材31の下端部311は、弾性部材32Aの上端部321を挿入可能な中空の円筒状に形成される。
【0028】
弾性部材32Aは、脚部20に固定される。詳細には、脚部20は、底部20Aと、台部20Bと、保持部20Cとを含む。底部20Aは、例えば、略円錐台状である。底部20Aを構成する材料は、例えば、金属、又は合成樹脂である。台部20Bは、例えば、円柱状である。台部20Bを構成する材料は、例えば、金属である。台部20Bは、底部20Aの上面に固定される。保持部20Cは、中空の円筒状である。保持部20Cを構成する材料は、例えば、金属である。保持部20Cは、台部20Bの上面に固定される。保持部20Cは、弾性部材32Aの下端部322が挿入されることによって弾性部材32Aを保持する。このようにして、弾性部材32Aは、支柱部材31と保持部20Cと接続する。支柱部30が荷重に応じて揺動した場合、弾性部材32Aの弾性による反作用の力が自立姿勢PAを維持するように働く。従って、支柱部30は、弾性に応じて滑らかに揺動し得る。その結果、着座動作の際に椅子100に生じる振動(例えば、ガタツキ)を抑制できる。
【0029】
また、弾性部材32Aは、コイルバネ32Bであることが好ましい。弾性部材32Aは、例えば、金属製の圧縮コイルバネである。このようなコイルバネ32Bによれば、簡易な構成で支柱部30を滑らかに揺動させることができる。
【0030】
また、
図4に示すように、弾性部材32Aは、ゴム部材32Cであってもよい。
図4は、椅子100を示す一部拡大断面図である。ゴム部材32Cは、例えば、円柱状、又は角柱状である。ゴム部材32Cを構成する材料は、例えば、天然ゴム、又はシリコーンゴムである。このようなゴム部材32Cによれば、支柱部30を滑らかに揺動可能にするとともに、椅子100の重量を低減できる。
【0031】
また、揺動支持部材32は、膨張部材(図示せず)を含んでいてもよい。膨張部材は、例えば、エアクッションである。膨張部材は、例えば、テント生地、又はターポリンで構成される。ターポリンは、繊維編織物に樹脂が積層又は含浸している基材である。膨張部材は、内部に気体を注入可能である。注入状態において、膨張部材は、支柱部材31を挿入可能な筒状に膨張する。注入状態は、膨張部材の内部に気体が注入された状態を示す。膨張部材は、支柱部材31を揺動可能に支持する。このような膨張部材によれば、気体の注入量に応じて弾性力の大きさを容易に調整できる。さらに、支柱部30を揺動可能にするとともに、椅子100の重量を更に低減できる。
【0032】
また、
図5に示すように、揺動支持部材32は、点支持部材32Dを更に含むことが好ましい。
図5(a)は、椅子100を示す側面図である。
図5(b)は、椅子100を示す一部拡大断面図である。詳細には、
図5(a)及び(b)に示すように、揺動支持部材32は、例えば、コイルバネ32Bと、点支持部材32Dとを含む。コイルバネ32Bは、脚部20の保持部20Cによって保持される。脚部20は、座部10と対向する第1対向面20B1を有する。保持部20Cは、例えば、溶接部材であり、コイルバネ32Bの下端部322を第1対向面20B1に溶接する。また、保持部20Cは、例えば、ビス部材であってもよく、コイルバネ32Bの下端部322を第1対向面20B1にビス止めしてもよい。
【0033】
点支持部材32Dは、球状部分又は尖頭状部分を有する。点支持部材32Dを構成する材料は、例えば、金属である。具体的には、点支持部材32Dは、金属球のような球体である。なお、点支持部材32Dは、例えば、円錐体、又は角錐体であってもよいし、略半球状、又は尖頭状の先端部を有する柱状部材であってもよい。
【0034】
点支持部材32Dは、支柱部材31を支持する。支柱部材31は、脚部20と対向する第2対向面311Aを有する。例えば、支柱部材31の下端部311は、中空の円筒状に形成される。点支持部材32Dは、第1対向面20B1と第2対向面311Aとの間に配置される。具体的には、点支持部材32Dは、コイルバネ32Bの筒内において第1対向面20B1に載置される。支柱部材31は、コイルバネ32Bの筒内に挿入されて、点支持部材32Dの上部に載置される。
【0035】
点支持部材32Dは、第1対向面20B1及び第2対向面311Aの少なくとも一方の対向面と点Kで当接する。例えば、
図5(b)に示すように、点支持部材32Dは、点Kで第1対向面20B1と当接する。点Kは、一点を示すが、点支持部材32Dに対する荷重に応じて面領域(例えば、円形接触面)を示し得る。このように支柱部材31を点Kで支持することによって、支柱部30を揺動させ易くし得る。従って、着座ユーザーは、身体の姿勢を制御するために更に高度なバランス反応を要求される。その結果、ユーザーの鍛錬度に応じて、身体の姿勢を制御する難度を向上させることができる。
【0036】
また、
図6に示すように、点支持部材32Dは、支柱部材31にヤジロベー作用を付加するように構成されてもよい。
図6(a)は、椅子100を示す側面図である。
図6(b)は、椅子100を示す一部拡大断面図である。具体的には、
図6(a)に示すように、揺動支持部材32は、第1腕部32F1と、第2腕部32F2と、第1重り32E1と、第2重り32E2とを更に含み得る。
【0037】
第1腕部32F1と、第2腕部32F2とは、金属棒のような棒部材である。第1腕部32F1と、第2腕部32F2とは、それぞれ同じ長さであることが好ましい。第1腕部32F1は、第1重り32E1と、座部10又は支柱部材31とを接続する。第2腕部32F2は、第2重り32E2と、座部10又は支柱部材31とを接続する。例えば、第1腕部32F1と、第2腕部32F2との各上端部は、それぞれ支柱受け部12の下面に固定される。第1腕部32F1と、第2腕部32F2との各々は、例えば、支柱受け部12の下面から略逆V字状に延びる。
【0038】
第1重り32E1と、第2重り32E2とは、金属球のような重りである。第1重り32E1と、第2重り32E2とは、それぞれ同じ重量であることが好ましい。第1重り32E1と、第2重り32E2とは、第1腕部32F1と、第2腕部32F2との各下端部にそれぞれ固定されており、支柱部材31の軸線SLを介して互いに対向して配置される。
【0039】
点支持部材32Dは、例えば、略半球状の上端部32D2を有する柱状部材である。点支持部材32Dは、脚部20から立設する。点支持部材32Dの下端部32D1は、例えば、台部20Bに固定される。
図6(b)に示すように、支柱部材31の下端部311は、例えば、上端部32D2を挿入可能な中空の円筒状に形成される。
【0040】
図6(a)及び(b)に示すように、点支持部材32Dは、支柱部材31にヤジロベー作用を付加する。具体的には、点支持部材32Dの上端部32D2は、支柱部材31の第2対向面311Aと点Kで当接する。点支持部材32Dは、無荷重状態において、高さH2と、高さH3とのいずれの高さよりも高さH1を大きくするように配置されることが好ましい。高さH1は、載置面Fから点Kまでの高さを示す。高さH2は、載置面Fから第1重り32E1までの高さを示す。高さH3は、載置面Fから第2重り32E2までの高さを示す。このようにして、高さH1は、支柱部材31を揺動し得る高さに構成される。点支持部材32Dは、支柱部材31を点Kで支持することによって、支柱部材31にヤジロベー作用を付加する。従って、支柱部30は、重心のバランスが釣り合うように支持され得る。その結果、重心が適度に移動するようにユーザーの着座動作を更に補助できる。
【0041】
以上、図面(
図1〜
図6)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、傾き、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、椅子の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 座部
20 脚部
30 支柱部
100 椅子