【課題】圧力、酸素飽和度、活動、同種のものに応答性である皮下心臓律動モニタ、皮下血液力学的モニタの植え込みを簡素化するよう最適化されたプログラミングウィザードを提供する。
【解決手段】プログラム可能な植え込み型監視装置及び装置をプログラムするためのプログラマを含んでいる各システムが開示されており、その使用方法も開示されている。第1のシステムでは、プログラマは、監視理由の入力に応答性であり、プログラミングコマンドを植え込み型装置へ、不整脈記憶判定基準の優先順位付けを含め、送信するように構成されている。植え込み型監視装置は、その後、優先順位付けに従って不整脈の記録を記憶及び/又は送信するように構成されている。第2のシステムでは、プログラマは患者の年齢を植え込み型装置へ送信するように構成されており、植え込み型監視装置は、その後、患者の年齢に基づいて不整脈検出判定基準を適用するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
ここ40年に亘って、植え込み型の、単腔又は二腔ペーシング能力を有するカルディオバーター/除細動器(ICD)及びペースメーカー、心筋刺激装置、虚血治療装置、及び薬物送達装置を含め、非常に多くのIMDが心不整脈及び他の障害を治療するべく臨床的に患者に植え込まれてきた。最近開発された植え込み型ペースメーカー及びICDには、心拍数や心房EGM及び心室EGMの形態学及び他の特性並びに他のEGM特性に基づく高性能不整脈検出及び弁別システムが設けられている。これらIMDの殆どは、ニアフィールドEGMを感知するために心腔に隣接して又は心腔の中に配置される双極電極対を支承している電気リード又は電極の1つをファーフィールド単極EGM感知用にIMDハウジング上に配置させている電気リードを採用している。何れの場合も、電極対を横断するニアフィールド又はファーフィールドEGM信号は、それに連結されている感知増幅器でフィルタ処理及び増幅され、次いで、サンプリングされたEGMを記録するために又は感知事象信号をEGMから引き出すために処理される。
【0003】
心不整脈を治療するための療法を提供する現在のIMDでは、サンプリングされたEGM波形の感知事象信号及び特定の態様を利用し、検出動作アルゴリズム及び療法送達動作アルゴリズムに従って、自動的に心不整脈を検出するように及び適切な療法の送達を制御するようになっている。ペーシング又はカルディオバージョン/除細動療法を提供しているその様な心臓IMDでは、EGMのアナログ及びデジタル両方の信号処置を継続的に行って、P波事象及び/又はR波事象を感知するように及び心不整脈エピソードが起きたときを判定するようになっている。例えば、デジタル信号処理アルゴリズムを採用して様々な心房頻拍と心室頻拍を互いに見分けられるようにしている。頻拍エピソードが検出されると、少なくとも選択されたEGM信号セグメント及び感知事象ヒストグラムデータ若しくは同種物が後刻の外部プログラマへのテレメトリ送出に備えてFIFO方式で内部RAMに記憶される。これらIMDの多くは、更に、リアルタイムテレメトリセッションがプログラムを使用している医学的ケア提供者によって開始されたら、EGMをサンプリングし、不定長のリアルタイムEGMデータをアップリンクテレメトリ送信を介して外部プログラマへ送信するように、動作させることができる。
【0004】
次に続くインタロゲーション及び医師による分析に備えた外部プログラムへのアップリンクテレメトリ送信に備えて心臓EGMデータを記録する能力を採用している植え込み型心臓モニタも開発されており、臨床的に植え込まれている。ダウンリンクテレメトリ送信及びインタロゲーションコマンド受信によって開始されるテレメトリセッション中、記録されたデータは医学的ケア提供者が動作させているプログラマへアップリンクテレメトリ送信で周期的にテレメトリ送出される。
【0005】
メドトロニック社のRTM即ちReveal.TM.挿入式ループレコーダーは、皮下的に植え込まれることを意図した植え込み型モニタの形態をしていて、この場合は「皮下ECG」とも特徴付けられる心臓のファーフィールドEGMを拾うのに使用する装置ハウ
ジング上に離間配置された一対の感知電極を有している。Reveal.TM.挿入式ループレコーダーは、患者が不整脈エピソードの影響を感じて磁石を植え込み部位の上に当てることによって記録取り機能をアクティブにしたとき、その様なファーフィールドEGM又は皮下ECG信号の1つ又はそれ以上のセグメント(プログラムされている動作モードに依存)をサンプリングし記録する。例えば、患者が徐脈又は頻拍により意識喪失を感じたとき又は或る種の頻拍を伴う動悸を感じたときにEGMのプログラム可能長のセグメントの記憶を開始させることができる。メモリ容量は制限されており、よってメモリに記憶されるその様ないくつものEGMエピソードデータセグメントは、患者が記憶をトリガしメモリが一杯になると新たなEGMエピソードで上書きされることになる。プログラマを使用している医師又は医学的ケア提供者によってメモリインタロゲーションテレメトリセッションが開始されると、最も直近に記憶されたエピソードデータのセグメント又は複数セグメントがアップリンクテレメトリ送信を介して外部プログラマへ送信される。Reveal.TM.挿入式ループレコーダーの態様は同一出願人によるPCT出願国際公開第98/02209号に開示されている。
【0006】
この型式のより複雑な植え込み型モニタ及びペースメーカーIPG類であって、但しより多くの電極を装置ハウジング上に平面アレイ状に配列させたものが、同一出願人による米国特許第5,331,966号に開示されている。皮下植え込み部位の一対の直交感知EGM又は「皮下ECG」信号を提供するように3つの電極が採用されている。開示されているペースメーカーの実施形態では、リードを採用して心腔に双極電極対を配置し追加のニアフィールドEGM感知信号を提供させるようにしており、当該電極からP波又はR波を感知し(双極電極対の場所に依存)、当該電極を通じてペーシングパルスを心房又は心室へ印加させるようにしている。ニアフィールド及びファーフィールドEGMエピソードデータの記録取りは、徐脈の検出又は頻脈性不整脈判定基準が満たされたことにより自動的に呼び出されることもあれば、外部限定機能プログラマを使用している患者によって手動で始めさせることもできるし、全機能プログラマを使用している医師によって始めさせることもできる。
【0007】
心臓監視機能を有するこれらのIMD全てでは、その様なモニタで心臓のEGMは継続的に感知及びサンプリングされ、EGMエピソードデータの記録取りが様々なやり方でトリガされている。植え込むのが比較的安価で単純なReveal.TM.挿入式ループレコーダーは、多数の患者への植え込み及び使用を処方した医師には好感をもって航空機の「ブラックボックス」になぞらえられている。比較的単純なReveal.TM.挿入式ループレコーダーを使用している患者によってトリガされるEGMエピソードデータの記録取りは、患者が感じている諸症状の原因を診断する場合に、及び植え込みを処方したりより複雑な療法送達IMDである例えばマルチプログラマブル生理的DDDRペースメーカーや単腔又は二腔ICDをプログラムする場合に、大きな価値のあることが証明されている。
【0008】
血流力学的モニタ及び他の生理学的モニタの様な他のプログラム可能な植え込み型医療装置各種が入手可能である。これらには、例えば、米国特許第5331966号、同第5987352号、同第6230059号、同第6236882号、同第6381493号、及び同第7035684号、に開示されている何れも植え込み型のペースメーカー及び除細動器並びに皮下モニタが含まれる。
【0009】
プログラミングコマンド又はデータは、典型的には、植え込まれているRFテレメトリアンテナ及び付属回路構成と外部プログラマに関連付けられている外部RFテレメトリアンテナの間で送信される。植え込まれている装置への送信テレメトリは、典型的に、医師が装置の動作をプログラムするのを可能にさせる。例えば以上に挙げた参考文献に論じられている植え込み型ECGモニタの文脈では、検出されるべき不整脈の型、不整脈を検出
するための判定基準、及び検出された不整脈に関係付けられるデータの記憶、に向けられた拡張的プログラミング選択肢が利用可能である。1つの商業的に入手可能なこの型式の皮下モニタに、メドトロニック・インク社から入手可能なReveal AF TM装置がある。
【0010】
その様な装置ではメモリ空間が限られているので、優先順位の最も高い情報が優先的に記憶されていることを医師が確信できるように記憶データの優先順位付けが望ましい。例示としてのデータ優先順位付けスキームは米国特許第6230059号、同第6236882号、同第5944745号、同第7130678号、及び同第6589187号に開示されている。普通、医師には外部プログラマによりデータ記憶のための優先順位を設定するという選択肢がある。
【0011】
その様な装置は、更に、医師が、不整脈検出機構のアクティブ化又は非アクティブ化によって、及び心拍数の様な不整脈検出に関連付けられる特定のパラメータを調節することによって、患者の病態に合わせて設定することもできる不整脈検出能力を有しているのが典型的である。植え込み型装置のための例示としての検出機構が米国特許第6236882号及び同第6381493号に開示されている。
【0012】
植え込み型装置のプログラミングは複雑で時間を消費するものであることから、この処理を簡素化するための機構が提案されてきた。その様な機構は時に「プログラミングウィザード」として知られている。その様な機構は米国特許公開第20110098637号及び同第20060020292号に開示されている。その様な機構を使用すれば、患者に関する診断情報が医師によって入力されると、「ウィザード」がプログラムされるべき装置パラメータを提案する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、患者の身体18の上胸部領域に患者の心臓16から位置をずらして皮下的に植え込まれている、本発明の改良から恩恵を受ける植え込み型心臓モニタ10の簡略化された模式図である。心臓モニタ10(身体18に対し縮尺を拡大して図示)のハウジングは、密閉封止されたエンクロージャ14へ取り付けられている非伝導性ヘッダモジュール12を備えている。エンクロージャ14は、心臓モニタ10のオペレーティングシステムを収容していて、伝導性であるのが好ましいが、電気絶縁被覆で一部を覆われていてもよい。第1の皮下感知電極Aがヘッダモジュール12の表面上に形成されており、第2の皮下感知電極Bがエンクロージャ14の露出部分によって形成されている。フィードスルーが第1感知電極Aをエンクロージャ14内の感知用回路構成と電気接続するようにヘッダモジュール12とエンクロージャ14の合わせ面を貫いて延びており、伝導性ハウジング電極Bは感知回路構成と直接に接続されている。ヘッダモジュール12とエンクロージャ14を一体に連結する1つの形態が同一出願人による米国特許第5,851,221号に開示されている。
【0021】
心臓16の脱分極及び再分極に付随する電気信号は心臓EGMと呼称され、感知電極Aと感知電極Bを横断して感知される。心臓モニタ10は、EGMを検出し、その後の外部プログラマ(
図2に示されている)へのアップリンクテレメトリ送信のためにEGMを感知ベクトルA−Bに記録するべく、その電極A及び電極Bを心臓16の軸に対し所望の向きにして皮下組織へ縫い付けられる。
【0022】
一般に、密閉封止されているエンクロージャ14は、リチウムバッテリと、装置動作を制御するとともに不整脈EGMエピソードデータをメモリレジスタに記録する回路構成と、ダウンリンクテレメトリコマンドを外部プログラマから受信するとともに記憶データをテレメトリアップリンクで外部プログラマへ送信するテレメトリ送受信器アンテナ及び回路と、を含んでいる。回路構成及びメモリは、サンプリングされたEGMの振幅値のA/D変換を有する離散論理又はマイクロコンピュータに基づくシステムに実装されていてもよい。本発明に従って修正され得る1つの例示としてのオペレーティングシステムが上記第’209号PCT出願に記載されている。
【0023】
図2は、外部プログラマに含まれている典型的な構成要素の機能ブロック線図である。本発明を実践するための1つの方法では、プログラマ20は診療所又は他の医療施設に配置されていて、複数患者についてIMDをインタロゲート及びプログラムするのに使用されている。プログラマ20とIMDの間のテレメトリリンク状態の自動制御は、IMDの不注意なプログラミング又はインタロゲーションの公算を低める。テレメトリリンクの状態を自動的に制御することについての本発明の態様は、家庭用モニタ又は患者プログラマ又はIMDをプログラム又はインタロゲートすることが可能な他の外部装置を含むシステムの様な、IMDと通信するために使用される何れのシステムに組み入れられてもよい。ここでの「プログラマ」という用語の使用は、従って、或る特定の型式の外部装置に限定されるものではなく、概して、IMD相手に通信リンクを確立することができる外部装置であって、テレメトリリンク状態の自動制御が所望される何れの外部装置をも指す。
【0024】
図2に示されているプログラマ20は、
図1に示されているIMD10の様なIMDとの双方向通信のためのテレメトリ回路72を含んでいる。プログラマ20は、本発明による自動テレメトリリンク状態制御を含むプログラマ機能を制御するためにマイクロプロセッサ74が関連付けられているメモリ78と共に動作するというマイクロプロセッサ制御型装置であってもよい。
【0025】
メモリ78は、単独で又はIMDメモリ56(
図1)と組み合わせて使用されてテレメトリリンク制御動作で使用される情報を記憶する。その様な情報は、テレメトリセッションがアクティブか非アクティブかを検証するための条件、その様な条件を監視する時間間隔、及びテレメトリ終了動作時に表示させるメッセージを含んでいよう。テレメトリリンク状態の制御で使用されるパラメータは、メモリ78(及び/又はIMDメモリ)に記憶される固定値であってもよいし、臨床医学者がユーザーインターフェース73を使用してプログラムできるカスタマイズされた値であってもよい。
【0026】
臨床医学者がプログラマ20と対話するために、マイクロプロセッサ74へ連結されているキーボード、グラフィカルユーザーインターフェース、又は他のユーザーインターフェース73が提供されている。ディスプレイ76及び/又はユーザーインターフェース73は、ユーザーが、ダウンリンクテレメトリ又はアップリンクテレメトリを開始させるためのコマンド信号及び植え込まれている装置とのテレメトリリンクがひとたび確立されたらテレメトリセッションを開始させ及び制御するためのコマンド信号を入力できるようにしている。音声認識/応答システムの様な他の型式のユーザー対話機構及び電子機器が実装されていてもよい。
【0027】
ディスプレイ24は、患者関連データ、メニュー選択、及びテレメトリセッション時のデータ入力のために使用されるデータ入力フィールドを表示するのに使用される。ディスプレイ画面24は、更に、既記憶又はリアルタイムの検索IMDデータの各種画面を表示し、またアップリンク事象信号をそれらが受信された際に表示するようにして、それによりユーザーが適時にIMD動作履歴及び状態を考察することを可能にするための手段として働いていてもよい。ディスプレイ76は、本発明によって提供されているテレメトリリ
ンク制御動作中にはテレメトリリンク状態に関するユーザーへのメッセージを表示するのに使用される。更に、テレメトリ、プログラミング、及び/又はインタロゲーションの状態又は条件にユーザーの注意を喚起するのに使用される可聴音又は可聴メッセージを流すためのスピーカ77が提供されていてもよい。
【0028】
プログラマ20は、中央データベースへデータを転送する又は他の患者管理システムと通信するために使用される通信モジュール79を含んでいてもよく、当該通信モジュール79はモデムとして具現化されていてもよい。プログラマ20は、更に、ECGリードや血圧モニタなどの様な外部監視機器を含む周辺装置を連結するためのインターフェース75を含んでいてもよい。
【0029】
本発明が実践され得る例示としてのプログラマには、米国特許第4550370号、同第6230059号、同第7528094号、及び同第6381493号に記載されているものが含まれる。
【0030】
図3は、本発明から恩恵を受け得るIMDのための例示としての回路30を描いている。回路30は植え込み型装置シェル31の輪郭の中に描かれている。電極32a及び電極32bは身体からの信号を、ここでは単に分かり易くするために差動増幅器として描かれている入力機構38へ持ち込み、その出力がQRS検出器36及びA/D変換器37へ送給される。
【0031】
これらの回路36及び回路37はどちらも不整脈検出器39へ出力を供給し、不整脈検出器39は、この好適な実施形態では、自動トリガ信号をトリガ設定回路6へ供給する。アナログ−デジタル変換器からのデータ出力は、データがメモリ34への入力として準備ができた状態となる前に、所望される場合は回路35で変換、圧縮、フォーマット、及びマーク又は再定式化を施される。メモリ制御回路8は、A/D変換器から変換有り又は変換無しの入力を受信し、同様に回路35からの入力、自動トリガ判定回路(ここでは不整脈検出回路として見られる)39からの入力(所望される場合はQRS検出器からの直接入力を含むこともある)、そしてトリガ設定部回路6からの信号も受信する。トリガ設定部回路は、更に、インプラント30の外からの信号であってテレメートされるか又はそれ以外にユーザーによって通信が図られている信号を受信し復号するよう動作する通信ユニット5によって制御されていてもよい。
【0032】
通信ユニット5は、更に、メモリ制御器と通信して外の装置による分析のためにメモリデータをオフロードすることを要求することができるようにしておきたい。それは、アンテナ及び/又は
図2のプログラマに対応する装置30Aの様な外の装置と通信するための他の送受信器装置を収容しているものとする。クロック又はカウンタ回路7が、データオフロードセッションと同時に、開始からの時間又はリアルタイムを外のインターロガー装置30Aへ報告することで、メモリ34に記録される事象が時間的にピンポイント化される。
【0033】
この全体設計に対する既知の代替形である例えば以上に挙げた参考文献に開示されているものが採用されていてもよい。例えば、回路6、8、39、及び35の機能の一部又は全部を果たすべくマイクロプロセッサが採用されていてもよい。
【0034】
植え込み型装置は様々な不整脈を検出する能力を有しているのが好ましい。例示としての不整脈検出方法論を以下に示す。以上に挙げた参考文献から採られた不整脈検出方法論を代用することもできる。
【0035】
装置は、例えば、心停止(アジストリー)、徐脈、心室性の頻脈性不整脈、及び心房性
の頻脈性不整脈を検出できるようになっていてもよい。心停止、徐脈、及び心室性の頻脈性不整脈の各検出アルゴリズムは心拍基準(beat-by-beat basis)で作動していてもよい。エピソード検出判定基準が合致すれば自動エピソードが宣言される。
【0036】
心房性の頻脈性不整脈は、2分セグメントで蓄積された根拠を基に検出される。事象間の時間間隔、即ちR−R間隔が、心房性不整脈の根拠を築くのに使用されていてもよい。
心停止は、装置を植え込む主要理由の1つである失神に関係付けられることもある。前に感知された事象から現在の事象(心室性の感知、エスケープタイムアウト、又は範囲越えしたECG信号)までの間隔がプログラムされている心停止持続時間を超過している場合、心停止エピソード(アジストリー)が検出されることになる。心停止エピソードは、装置が検出時低信号振幅の根拠を検出すれば装置によって拒絶される。心停止エピソードは12感知事象後に終了する。
【0037】
徐脈を検出することもできる。徐脈は臨床的には60bpm未満の安静時心拍数と定義されている。それは時に意識喪失及び呼吸困難を引き起こす。R−R間隔がプログラムされている徐脈検出レート(Brady Detection Rate)より長いとき、関連付けられる事象は徐脈事象として数えられる。連続的徐脈事象数がプログラムされている検出徐脈間隔数(Brady Number of Intervals to D
etect)を超過している場合、徐脈エピソードが検出されることになる。徐脈エピソ
ードは徐脈検出レートより短い4連続R−R間隔が起こった後に終了する。
【0038】
心室頻拍のエピソードが何度も立証されるとSCDのリスクが高まる。本装置は頻拍のエピソードを検出できる。目標は心室頻拍のエピソードを検出することとしてもよい。検出は典型的には心室周期長及び持続時間に基づく。装置は頻拍検出アルゴリズム内に2つの検出ゾーンを有している。一方のゾーンは心室頻拍(VT)を検出するために設計されていて連続的カウンタスキームに基づいている。他方のゾーンは速い心室頻拍(FVT)を検出するために設計されていて確率的カウンタスキームに基づいている。VTゾーンはユーザーによってプログラム可能である。FVTは固定であり、ユーザーによってプログラム可能ではない。
【0039】
どちらかのゾーンに入る事象は頻拍検出に考慮されるが、但し各ゾーンはそれがどの様に頻拍を検出するかにおいて固有である。CTDI(Consective Tachycardia Detection Interval:連続的頻拍検出間隔)は、心室周期長(CTDI)及び持続時間(Consecutive Number of Beats to Detect(CNID):検出連続的拍動数)の両方のプログラミング
を許容する連続的カウンタゾーンとすることができる。頻拍検出が有効になっているとき、プログラムされているCTDIよりも短いR−R間隔は頻拍事象として数えられる。頻拍事象の計数は、当該CTDIより大きいか又はそれに等しいR−R間隔が起これば0へリセットされる。頻拍エピソードは、8連続感知事象がCTDIより大きいか又はそれに等しかった後に又はRR中央値がCTDIより大きいまま20秒が経過した後に終了する。PTDI(Propabilistic Tachycardia Detection Interval:確率的頻拍検出間隔)は、固定PTDI及び固定持続時間(Probabilistic Number of Intervals to Detect−PNID:検出確率的間隔数)を有する確率的カウンタゾーンとすることができる。PNIDは、2つの数、即ち、事象数と事象のウインドーの組合せである。
【0040】
本発明の或る好適な実施形態では、CTDIのプログラミングは、患者の年齢の関数として等しい対応する検出レートを自動的に選択することによって簡素化されている。例えば、CTDIは、230bpm引く患者の年齢、に対応していてもよい。他の実施形態では、ここで論じられている他の検出判定基準が患者の年齢を基に設定され、同じく同様の
方式で自動的にプログラムされてもよい。
【0041】
頻拍検出が有効になっているとき、R−R間隔がプログラムされているPTDIより短いなら、事象は頻拍事象として数えられる。頻拍事象数が確率的閾値即ちプログラムされているPNIDの第1の数に達した場合、頻拍エピソードが検出される。直近頻拍事象数の計数は確率的検出ウインドー即ちプログラムされているPNIDの第2の数に制限される。閾値は確率的検出ウインドーの75%とされていてもよい。
【0042】
組み合わせ計数検出は、頻拍検出が有効になると自動的に有効になるようになっていてもよい。確率的事象数が6又はそれ以上である場合、頻拍事象の和が検出組み合わせ間隔数(Combined Number of Intervals to Detect(CNID))に達すれば組み合わせ計数検出が起こる。CNIDはINT[(7*確率的閾値)/6]に等しいとされていてもよい。装置は心房細動と心房頻拍の両方を検出できる。
【0043】
好適にも、装置は、P波が検出されないという事実にもかかわらず心房細動(AF)を検出する。心房レート及びA−Vパターン情報を使用する代わりに、R−R間隔の変動性のパターンをクラスタシグネチャメトリックを使用し分析して患者が心房細動にあるかどうかの判定を下すようにすることができる。
【0044】
クラスタシグネチャメトリック(CSM)は、R−R間隔の変化を分析して心室伝導のパターンをローレンツプロットに推定するのに役立つ。AT及びAFは心室伝導の固有シグネチャを有しているので、この情報は心房性不整脈の存在を検出することができるのみならず、ATとAFを見分けるのに役立てることができる。装置では検出器のパワーを高めるために心房情報は何も利用可能になっていないため、これらのR−R間隔パターンが引き伸ばされた(2分)時間に亘って分析される。アルゴリズムはこの情報を使用して2分間隔毎のAT状態又はAF状態を報告する。
【0045】
AF検出アルゴリズムは、心房期外収縮(PAC)及び心室期外収縮(PVC)の証拠を使用し、長引く異所性興奮(ectopy)に起因する検出を回避することによって特異度を上げる手助けをする。AF検出は心室検出とは独立している。AFエピソードはこれらのエピソードの1つと同時に検出され得る。心房エピソード終了は同時発生心室エピソードとは独立している。AFエピソードの終了は2分間隔上で起こる。
【0046】
心房頻拍(AT)は、2分という時間内に現れるRR変動性のパターンに基づき、2つのアルゴリズムの一方を使用して検出されるものであり、それらアルゴリズムの一方は極めて規則的なRR間隔(規則性証拠)を探すものであり、そしてもう一方は規則性証拠(AV結節の自律変調による変動性勘案のため)及びローレンツプロットを使用して、一様に不規則なRR間隔(AV結節の自立変調及び伝導比の変化に起因する変動)又は不規則なRR間隔(不規則な心房活動によるAV結節不応期の変調、AV結節の自律変調、及び伝導比の変化に起因する変動)を探すものである。
【0047】
比較的短期間使用(例えば2年間又は3年間)を意図した実施形態では、植え込まれた装置は不整脈検出パラメータを更新する必要はないであろう。また一方、より長寿命の装置、例えば再充電式装置の場合には、植え込まれた装置内のプロセッサは、従来様式のプロセッサリアルタイムクロック能力に基づいて患者の年齢を定期的に(例えば毎年)更新するように構成されているプログラミングコマンドを含んでいてもよい。その様な実施形態では、実際に、患者の年齢を使用して検出判定基準の自動更新を単純な方式で提供できる。
【0048】
不整脈が検出されると、詳細なECG及びエピソード概要情報が、後の医師による考察に備えて記憶される。例示としての自動エピソード記憶方法論を以下に示す。
或る好適な実施形態では、AFエピソード又はATエピソードは他の型式のエピソードの1つ(アジストリー、徐脈、又は頻拍)と同時に起こり得る。これが起こった場合、システムはエピソード関連情報及び各エピソードのECGストリップを独立に記憶する。自動エピソードの他の組合せで同時に起こり得るものはない。
【0049】
1日(午前零時から午前零時まで)につき記憶される自動エピソードの数について制限を設定することができる。これは過早バッテリ枯渇を未然に防ぐためである。装置が一日で固定エピソード数(例えば27件)を集めてしまったなら、次のスキームが適用され、即ち、エピソードは、集められるべき最小エピソード数が満たされていないエピソード型式についてのみ検出され記憶されることになる。AFエピソードについては、装置は最長AFエピソードを検出し記憶することを続行する。
【0050】
1つの実施形態では、AF又はAT以外の各自動記憶エピソード型式について、30秒のECGデータ、R−R間隔、マーカーチャネル注釈、及び検出判定基準のための注釈が検出前に記憶され、最大27秒が終了前に記憶される。検出から終了までのエピソードの持続時間が27秒より少ない場合、エピソード終了前に記憶されるのは27秒より少ない。
【0051】
エピソード記憶のプログラミングを簡素化するために、本発明はAF波記憶優先順位付けの自動選択を提供することができる。例えば、各AFエピソード又は各ATエピソードについて、2分のECGデータ、R−R間隔、及びマーカーチャネル注釈を検出前に記憶させておく。エピソード終了時にデータを何も記憶させないでおく。AF検出が有効になっている場合、持続時間閾値をプログラムすることによって、AFエピソードについてのECGの記憶を、検出エピソードの持続時間に関して条件付けられたものにすることができる。検出エピソード持続時間がこの閾値より短いなら、その場合ECGは記憶されず、エピソードログ情報は記憶されない。
【0052】
AFエピソード記憶優先順位付けの選択は、以上に論じられている患者監視の主たる理由の医師入力指示へ連結されていてもよい。例えば、次の監視理由一覧について、AF記憶のための次の規則、即ち、
a)失神―最長AFエピソードのみ、
b)動悸―6分以上のAFエピソード、
c)発作―10分以上のAFエピソード、
d)心室頻拍―10分以上のAFエピソード、
e)疑似AF―6分以上のAFエピソード、
f)AFアブレーション―全て、
g)AF管理―全て、
h)潜因性脳卒中―全て、
i)他の不特定理由―10分以上のAFエピソード、
が自動的にプログラムされるようになっていてもよい。
【0053】
本発明の他の実施形態では、心室性不整脈のどのエピソードを同様の様式で記憶させるかを優先順位付けするために、監視理由又は他の診断的分類を採用することもできるであろう。
【0054】
新たなエピソードが検出されると、その関連付けられるECGストリップが常に記憶されることになる。但し、メモリがそれまでの検出エピソードによって既に一杯である場合は古いECGストリップが上書きされることになる。上書きされることになるECGスト
リップは、3件より多いエピソードが記憶されている心停止、徐脈、頻拍、又はATのエピソード型式について及び4件のエピソードが記憶されているAFのエピソード形式について最古ストリップということになろう。この様にして、システムは、最も直近に検出されたエピソードに優先権が与えられた状態で少なくとも3件の心停止、徐脈、頻拍、ATエピソード又は少なくとも4件のAFエピソードがフォローアップ時の考察に利用できるようにする。
【0055】
以上に指摘している様に、本発明の優先順位付け機構は外部装置への送信用データを優先順位付けするのに採用することもできる。例えば、装置は、情報及び記憶波形の選択されたセットを日単位で送信するように構成されていてもよい。装置メモリが所内ダウンロード用により多くの記憶情報を保持できる場合であっても、より高い頻度で起こっている送信用記憶データのサブセットを選択するのに上述の優先順位付け機構が同様の様式で使えるであろう。
【0056】
その様な実施形態では、プログラマへ入力されている植え込み理由が植え込まれている装置によって使用され、長期記憶のための優先順位付けされた波形のセット並びに日常送信のための優先順位の低い波形のセットが定義されるようにしてもよい。
【0057】
図4は、本発明の1つの実施形態によって提供される自動プログラミング機能を示している簡略化された流れ図である。100で、プログラマは装置をインタロゲートして通信を開始させる。102で、医師は患者関連情報をプログラマへ入力する。この情報には上述の様に患者の年齢が含まれ得る。104で、プログラマは不整脈検出パラメータを含め装置をプログラムする。以上に論じられている様に、このステップで、プログラマは頻拍検出レート又は間隔を患者の年齢に基づいて選択することができる。幾つかの実施形態では、他の検出パラメータが患者年齢を基に自動的にプログラムされることもあり得よう。
【0058】
106で、医師は監視理由をプログラマへ入力する。108で、プログラマは後の検索及び/又は送信に備えて植え込まれている装置に記憶させたい検出心房細動エピソードの型式をプログラムする。以上に論じられている様に、他の型式の記憶優先順位付け及び/又は送信も同様の様式で自動的にプログラムされてよい。
【0059】
開示の他の実施形態は、以下を含んでおり、即ち、
A.植え込み型監視装置をプログラムする方法において、
プログラマでの、患者の年齢の入力を検出する段階と、
その後の、プログラミングコマンドをプログラマから植え込み型装置へ、患者の年齢の関数として選択されている不整脈判定基準を含め、送信する段階と
プログラミングコマンドの受信に応え、植え込み型装置を用いて判定基準に従って不整脈を検出させる段階と、を備える方法。
B.当該不整脈が心室性の頻脈性不整脈を備えている、上記方法による方法。
C.当該判定基準がレート又は間隔に基づく判定基準である、上記どちらかの方法による方法。
D.当該判定基準が患者の年齢を事前設定レートから減算したものに基づいて設定されている、上記何れかの方法による方法。
以上の開示と関連付けて、特許請求の範囲を示す。